民事訴訟法

# 平成八年法律第百九号 #
略称 : 民訴法 

第三章 当事者

分類 法律
カテゴリ   民事
@ 施行日 : 令和六年三月一日 ( 2024年 3月1日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第四十八号による改正
最終編集日 : 2024年 05月06日 15時40分


第一節 当事者能力及び訴訟能力

1項

当事者能力、訴訟能力 及び訴訟無能力者の法定代理は、この法律に特別の定めがある場合を除き民法明治二十九年法律第八十九号)その他の法令に従う。


訴訟行為をするのに必要な授権についても、同様とする。

1項

法人でない社団 又は財団で代表者 又は管理人の定めがあるものは、その名において訴え、又は訴えられることができる。

1項

共同の利益を有する多数の者で前条の規定に該当しないものは、その中から、全員のために原告 又は被告となるべき一人 又は数人を選定することができる。

2項

訴訟の係属の後、前項の規定により原告 又は被告となるべき者を選定したときは、他の当事者は、当然に訴訟から脱退する。

3項

係属中の訴訟の原告 又は被告と共同の利益を有する者で当事者でないものは、その原告 又は被告を自己のためにも原告 又は被告となるべき者として選定することができる。

4項

第一項 又は前項の規定により原告 又は被告となるべき者を選定した者(以下「選定者」という。)は、その選定を取り消し、又は選定された当事者(以下「選定当事者」という。)を変更することができる。

5項

選定当事者のうち死亡 その他の事由によりその資格を喪失した者があるときは、他の選定当事者において全員のために訴訟行為をすることができる。

1項

未成年者 及び成年被後見人は、法定代理人によらなければ、訴訟行為をすることができない


ただし、未成年者が独立して法律行為をすることができる場合は、この限りでない。

1項

被保佐人、被補助人(訴訟行為をすることにつきその補助人の同意を得ることを要するものに限る次項 及び第四十条第四項において同じ。)又は後見人 その他の法定代理人が相手方の提起した訴え 又は上訴について訴訟行為をするには、保佐人 若しくは保佐監督人、補助人 若しくは補助監督人 又は後見監督人の同意 その他の授権を要しない

2項

被保佐人、被補助人 又は後見人 その他の法定代理人が次に掲げる訴訟行為をするには、特別の授権がなければならない。

一 号

訴えの取下げ、和解、請求の放棄 若しくは認諾 又は第四十八条第五十条第三項 及び第五十一条において準用する場合を含む。)の規定による脱退

二 号

控訴、上告 又は第三百十八条第一項の申立ての取下げ

三 号

第三百六十条第三百六十七条第二項 及び第三百七十八条第二項において準用する場合を含む。)の規定による異議の取下げ 又はその取下げについての同意

1項

外国人は、その本国法によれば訴訟能力を有しない場合であっても、日本法によれば訴訟能力を有すべきときは、訴訟能力者とみなす。

1項

訴訟能力、法定代理権 又は訴訟行為をするのに必要な授権を欠くときは、裁判所は、期間を定めて、その補正を命じなければならない。


この場合において、遅滞のため損害を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、一時訴訟行為をさせることができる。

2項

訴訟能力、法定代理権 又は訴訟行為をするのに必要な授権を欠く者がした訴訟行為は、これらを有するに至った当事者 又は法定代理人の追認により、行為の時にさかのぼってその効力を生ずる。

3項

前二項の規定は、選定当事者が訴訟行為をする場合について準用する。

1項

法定代理人がない場合 又は法定代理人が代理権を行うことができない場合において、未成年者 又は成年被後見人に対し訴訟行為をしようとする者は、遅滞のため損害を受けるおそれがあることを疎明して、受訴裁判所の裁判長に特別代理人の選任を申し立てることができる。

2項

裁判所は、いつでも特別代理人を改任することができる。

3項

特別代理人が訴訟行為をするには、後見人と同一の授権がなければならない。

1項

法定代理権の消滅は、本人 又は代理人から相手方に通知しなければ、その効力を生じない。

2項

前項の規定は、選定当事者の選定の取消し及び変更について準用する。

1項

この法律中 法定代理 及び法定代理人に関する規定は、法人の代表者 及び法人でない社団 又は財団でその名において訴え、又は訴えられることができるものの代表者 又は管理人について準用する。

第二節 共同訴訟

1項

訴訟の目的である権利 又は義務が数人について共通であるとき、又は同一の事実上 及び法律上の原因に基づくときは、その数人は、共同訴訟人として訴え、又は訴えられることができる。


訴訟の目的である権利 又は義務が同種であって事実上 及び法律上同種の原因に基づくときも、同様とする。

1項

共同訴訟人の一人の訴訟行為、共同訴訟人の一人に対する相手方の訴訟行為 及び共同訴訟人の一人について生じた事項は、他の共同訴訟人に影響を及ぼさない。

1項

訴訟の目的が共同訴訟人の全員について合一にのみ確定すべき場合には、その一人の訴訟行為は、全員の利益においてのみ その効力を生ずる。

2項

前項に規定する場合には、共同訴訟人の一人に対する相手方の訴訟行為は、全員に対してその効力を生ずる。

3項

第一項に規定する場合において、共同訴訟人の一人について訴訟手続の中断 又は中止の原因があるときは、その中断 又は中止は、全員についてその効力を生ずる。

4項

第三十二条第一項の規定は、第一項に規定する場合において、共同訴訟人の一人が提起した上訴について他の共同訴訟人である被保佐人 若しくは被補助人 又は他の共同訴訟人の後見人 その他の法定代理人のすべき訴訟行為について準用する。

1項

共同被告の一方に対する訴訟の目的である権利と共同被告の他方に対する訴訟の目的である権利とが法律上 併存し得ない関係にある場合において、原告の申出があったときは、弁論 及び裁判は、分離しないでしなければならない。

2項

前項の申出は、控訴審の口頭弁論の終結の時までにしなければならない。

3項

第一項の場合において、各共同被告に係る控訴事件が同一の控訴裁判所に各別に係属するときは、弁論 及び裁判は、併合してしなければならない。

第三節 訴訟参加

1項

訴訟の結果について利害関係を有する第三者は、当事者の一方を補助するため、その訴訟に参加することができる。

1項

補助参加の申出は、参加の趣旨 及び理由を明らかにして、補助参加により訴訟行為をすべき裁判所にしなければならない。

2項

補助参加の申出は、補助参加人としてすることができる訴訟行為とともにすることができる。

1項

当事者が補助参加について異議を述べたときは、裁判所は、補助参加の許否について、決定で、裁判をする。


この場合においては、補助参加人は、参加の理由を疎明しなければならない。

2項

前項の異議は、当事者がこれを述べないで弁論をし、又は弁論準備手続において申述をした後は、述べることができない

3項

第一項の裁判に対しては、即時抗告をすることができる。

1項

補助参加人は、訴訟について、攻撃 又は防御の方法の提出、異議の申立て、上訴の提起、再審の訴えの提起 その他一切の訴訟行為をすることができる。


ただし、補助参加の時における訴訟の程度に従いすることができないものは、この限りでない。

2項

補助参加人の訴訟行為は、被参加人の訴訟行為と抵触するときは、その効力を有しない。

3項

補助参加人は、補助参加について異議があった場合においても、補助参加を許さない裁判が確定するまでの間は、訴訟行為をすることができる。

4項

補助参加人の訴訟行為は、補助参加を許さない裁判が確定した場合においても、当事者が援用したときは、その効力を有する。

1項

補助参加に係る訴訟の裁判は、次に掲げる場合を除き、補助参加人に対してもその効力を有する。

一 号

前条第一項ただし書の規定により補助参加人が訴訟行為をすることができなかったとき。

二 号

前条第二項の規定により補助参加人の訴訟行為が効力を有しなかったとき。

三 号

被参加人が補助参加人の訴訟行為を妨げたとき。

四 号

被参加人が補助参加人のすることができない訴訟行為を故意 又は過失によってしなかったとき。

1項

訴訟の結果によって権利が害されることを主張する第三者 又は訴訟の目的の全部 若しくは一部が自己の権利であることを主張する第三者は、その訴訟の当事者の双方 又は一方を相手方として、当事者としてその訴訟に参加することができる。

2項

前項の規定による参加の申出は、書面でしなければならない。

3項

前項の書面は、当事者双方に送達しなければならない。

4項

第四十条第一項から第三項までの規定は第一項の訴訟の当事者 及び同項の規定によりその訴訟に参加した者について、第四十三条の規定は同項の規定による参加の申出について準用する。

1項

前条第一項の規定により自己の権利を主張するため訴訟に参加した者がある場合には、参加前の原告 又は被告は、相手方の承諾を得て訴訟から脱退することができる。


この場合において、判決は、脱退した当事者に対しても その効力を有する。

1項

訴訟の係属中 その訴訟の目的である権利の全部 又は一部を譲り受けたことを主張する者が第四十七条第一項の規定により訴訟参加をしたときは、時効の完成猶予に関しては、当該訴訟の係属の初めに、裁判上の請求があったものとみなす。


前項に規定する場合には、その参加は、訴訟の係属の初めに遡って法律上の期間の遵守の効力を生ずる。

1項

訴訟の係属中第三者がその訴訟の目的である義務の全部 又は一部を承継したときは、裁判所は、当事者の申立てにより、決定で、その第三者に訴訟を引き受けさせることができる。

2項

裁判所は、前項の決定をする場合には、当事者 及び第三者を審尋しなければならない。

3項

第四十一条第一項 及び第三項 並びに前二条の規定は、第一項の規定により訴訟を引き受けさせる決定があった場合について準用する。

1項

第四十七条から第四十九条までの規定は訴訟の係属中 その訴訟の目的である義務の全部 又は一部を承継したことを主張する第三者の訴訟参加について、前条の規定は訴訟の係属中第三者がその訴訟の目的である権利の全部 又は一部を譲り受けた場合について準用する。

1項

訴訟の目的が当事者の一方 及び第三者について合一にのみ確定すべき場合には、その第三者は、共同訴訟人としてその訴訟に参加することができる。

2項

第四十三条 並びに第四十七条第二項 及び第三項の規定は、前項の規定による参加の申出について準用する。

1項

当事者は、訴訟の係属中、参加することができる第三者にその訴訟の告知をすることができる。

2項

訴訟告知を受けた者は、更に訴訟告知をすることができる。

3項

訴訟告知は、その理由 及び訴訟の程度を記載した書面を裁判所に提出してしなければならない。

4項

訴訟告知を受けた者が参加しなかった場合においても、第四十六条の規定の適用については、参加することができた時に参加したものとみなす。

第四節 訴訟代理人及び補佐人

1項

法令により裁判上の行為をすることができる代理人のほか、弁護士でなければ訴訟代理人となることができない


ただし、簡易裁判所においては、その許可を得て、弁護士でない者を訴訟代理人とすることができる。

2項

前項の許可は、いつでも取り消すことができる。

1項

訴訟代理人は、委任を受けた事件について、反訴、参加、強制執行、仮差押え 及び仮処分に関する訴訟行為をし、かつ、弁済を受領することができる。

2項

訴訟代理人は、次に掲げる事項については、特別の委任を受けなければならない。

一 号
反訴の提起
二 号

訴えの取下げ、和解、請求の放棄 若しくは認諾 又は第四十八条第五十条第三項 及び第五十一条において準用する場合を含む。)の規定による脱退

三 号

控訴、上告 若しくは第三百十八条第一項の申立て 又はこれらの取下げ

四 号

第三百六十条第三百六十七条第二項 及び第三百七十八条第二項において準用する場合を含む。)の規定による異議の取下げ 又はその取下げについての同意

五 号
代理人の選任
3項

訴訟代理権は、制限することができない


ただし、弁護士でない訴訟代理人については、この限りでない。

4項

前三項の規定は、法令により裁判上の行為をすることができる代理人の権限を妨げない。

1項

訴訟代理人が数人あるときは、各自当事者を代理する。

2項

当事者が前項の規定と異なる定めをしても、その効力を生じない。

1項

訴訟代理人の事実に関する陳述は、当事者が直ちに取り消し、又は更正したときは、その効力を生じない。

1項

訴訟代理権は、次に掲げる事由によっては、消滅しない。

一 号
当事者の死亡 又は訴訟能力の喪失
二 号
当事者である法人の合併による消滅
三 号
当事者である受託者の信託に関する任務の終了
四 号

法定代理人の死亡、訴訟能力の喪失 又は代理権の消滅 若しくは変更

2項

一定の資格を有する者で自己の名で他人のために訴訟の当事者となるものの訴訟代理人の代理権は、当事者の死亡 その他の事由による資格の喪失によっては、消滅しない。

3項

前項の規定は、選定当事者が死亡 その他の事由により資格を喪失した場合について準用する。

1項

第三十四条第一項 及び第二項 並びに第三十六条第一項の規定は、訴訟代理について準用する。

1項

当事者 又は訴訟代理人は、裁判所の許可を得て、補佐人とともに出頭することができる。

2項

前項の許可は、いつでも取り消すことができる。

3項

補佐人の陳述は、当事者 又は訴訟代理人が直ちに取り消し、又は更正しないときは、当事者 又は訴訟代理人が自らしたものとみなす。