行政執行法人の労働関係に関する法律

昭和二十三年法律第二百五十七号
分類 法律
カテゴリ   労働
@ 施行日 : 平成二十八年四月一日
@ 最終更新 : 平成二十六年法律第六十九号による改正
最終編集日 : 2023年 03月05日 09時13分

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  • 第一章 総則

  • 第二章 労働組合

  • 第三章 団体交渉等

  • 第四章 争議行為

  • 第六章 あつせん、調停及び仲裁

  • 第七章 雑則

第一章 総則

1項

この法律は、行政執行法人の職員の労働条件に関する苦情 又は紛争の友好的かつ平和的調整を図るように団体交渉の慣行と手続とを確立することによつて、行政執行法人の正常な運営を最大限に確保し、もつて公共の福祉を増進し、擁護することを目的とする。

2項

国家の経済と国民の福祉に対する行政執行法人の重要性に鑑み、この法律で定める手続に関与する関係者は、経済的紛争をできるだけ防止し、かつ、主張の不一致を友好的に調整するために、最大限の努力を尽くさなければならない。

1項

この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

一 号

行政執行法人

独立行政法人通則法平成十一年法律第百三号第二条第四項に規定する行政執行法人をいう。

二 号

職員

行政執行法人に勤務する一般職に属する国家公務員をいう。

1項

職員に関する労働関係については、この法律の定めるところにより、この法律に定めのないものについては、労働組合法昭和二十四年法律第百七十四号。第五条第二項第八号第七条第一号ただし書、第八条第十八条第二十四条の二第一項 及び第二項第二十七条の十三第二項第二十八条第三十一条 並びに第三十二条の規定を除く)の定めるところによる。


この場合において、

同法第六条
労働組合の代表者 又は労働組合の委任を受けた者」とあり、
及び同法第七条第二号
使用者が雇用する労働者の代表者」とあるのは
「労働組合を代表する交渉委員」と、

同条第四号
労働関係調整法(昭和二十一年法律第二十五号)による労働争議の調整」とあるのは
「行政執行法人の労働関係に関する法律による紛争の調整」と

読み替えるものとする。

2項

中央労働委員会(以下「委員会」という。)は、職員に関する労働関係について労働組合法第二十四条第一項に規定する事件の処理をする場合には、会長 及び第二十五条の規定に基づき公益を代表する委員のうちから会長があらかじめ指名した四人の委員全員により構成する審査委員会を設けて事件の処理を行わせ、当該審査委員会のした処分をもつて委員会の処分とすることができる。


ただし、事件が重要と認められる場合 その他 審査委員会が処分をすることが適当でないと認められる場合は、この限りでない。

3項

前項の審査委員会に関する事項 その他同項の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

第二章 労働組合

1項

職員は、労働組合を結成し、若しくは結成せず、又は これに加入し、若しくは加入しないことができる。

2項

委員会は、職員が結成し、又は加入する労働組合(以下「組合」という。)について、職員のうち労働組合法第二条第一号に規定する者の範囲を認定して告示するものとする。

3項

前項の規定による委員会の事務の処理には、委員会の公益を代表する委員のみが参与する。

4項

行政執行法人は、職を新設し、変更し、又は廃止したときは、速やかにその旨を委員会に通知しなければならない。

5項

前条第二項 及び第三項の規定は、第三項に規定する事務の処理について準用する。

1項

職員は、組合の業務に専ら従事することができない


ただし、行政執行法人の許可を受けて、組合の役員として専ら従事する場合は、この限りでない。

2項

前項ただし書の許可は、行政執行法人が相当と認める場合に与えることができるものとし、これを与える場合においては、行政執行法人は、その許可の有効期間を定めるものとする。

3項

第一項ただし書の規定により組合の役員として専ら従事する期間は、職員としての在職期間を通じて五年その職員が国家公務員法昭和二十二年法律第百二十号第百八条の六第一項ただし書の規定により職員団体の業務に専ら従事したことがある者であるときは、五年からその専ら従事した期間を控除した期間)を超えることができない

4項

第一項ただし書の許可は、当該許可を受けた職員が組合の役員として当該組合の業務にもつぱら従事する者でなくなつたときは、取り消されるものとする。

5項

第一項ただし書の許可を受けた職員は、その許可が効力を有する間は、休職者とし、いかなる給与も支給されないものとする。

第三章 団体交渉等

1項

第十一条 及び第十二条第二項に規定するもののほか、職員に関する次に掲げる事項は、団体交渉の対象とし、これに関し労働協約を締結することができる。


ただし、行政執行法人の管理 及び運営に関する事項は、団体交渉の対象とすることができない

一 号

賃金 その他の給与、労働時間、休憩、休日 及び休暇に関する事項

二 号

昇職、降職、転職、免職、休職、先任権 及び懲戒の基準に関する事項

三 号

労働に関する安全、衛生 及び災害補償に関する事項

四 号

前三号に掲げるもののほか、労働条件に関する事項

1項

行政執行法人と組合との団体交渉は、専ら、行政執行法人を代表する交渉委員と組合を代表する交渉委員とにより行う。

1項

行政執行法人を代表する交渉委員は当該行政執行法人が、組合を代表する交渉委員は当該組合が指名する。

2項

行政執行法人 及び組合は、交渉委員を指名したときは、その名簿を相手方に提示しなければならない。

1項

前二条に定めるもののほか、交渉委員の数、交渉委員の任期 その他 団体交渉の手続に関し必要な事項は、団体交渉で定める。

1項

行政執行法人 及び組合は、職員の苦情を適当に解決するため、 行政執行法人を代表する者 及び職員を代表する者各同数をもつて構成する苦情処理共同調整会議を設けなければならない。

2項

苦情処理共同調整会議の組織 その他苦情処理に関する事項は、団体交渉で定める。

第四章 争議行為

1項

職員 及び組合は、行政執行法人に対して同盟罷業、怠業、その他 業務の正常な運営を阻害する一切の行為をすることができない。


また、職員 並びに組合の組合員 及び役員は、このような禁止された行為を共謀し、唆し、又はあおつてはならない。

2項

行政執行法人は、作業所閉鎖をしてはならない。

1項

前条の規定に違反する行為をした職員は、解雇されるものとする。

1項

前条の規定による解雇に係る労働組合法第二十七条第一項の申立てがあつた場合において、当該申立てが当該解雇がされた日から二月を経過した後にされたものであるときは、委員会は、同条第二項の規定にかかわらず、これを受けることができない

2項

前条の規定による解雇に係る労働組合法第二十七条第一項の申立てを受けたときは、委員会は、当該申立ての日から二月以内同法第二十七条の十二第一項命令を発するようにしなければならない。

第六章 あつせん、調停及び仲裁

1項

委員会が次条第一項第二十七条第三号 及び第四号 並びに第三十三条第四号の委員会の決議、次条第二項 及び第二十九条第四項の委員会の同意 その他 政令で定める委員会の事務を処理する場合には、これらの事務の処理には、公益を代表する委員のうち会長があらかじめ指名する四人の委員 及び会長(次条第二項第二十九条第二項 及び第三十四条第二項において「行政執行法人担当公益委員」という。)、労働組合法第十九条の三第二項に規定する行政執行法人の推薦に基づき任命された同項に規定する四人の委員(次条第二項 及び第二十九条第二項において「行政執行法人担当使用者委員」という。)並びに同法第十九条の三第二項に規定する行政執行法人職員が結成し、又は加入する労働組合の推薦に基づき任命された同項に規定する四人の委員(次条第二項 及び第二十九条第二項において「行政執行法人担当労働者委員」という。)のみが参与する。


この場合において、委員会の事務の処理に関し必要な事項は、政令で定める。

1項

委員会は、行政執行法人と その職員との間に発生した紛争について、関係当事者の双方 若しくは一方の申請 又は委員会の決議により、あつせんを行うことができる。

2項

前項のあつせんは、委員会の会長が行政執行法人担当公益委員、行政執行法人担当使用者委員 若しくは行政執行法人担当労働者委員 若しくは第二十九条第四項の調停委員候補者名簿に記載されている者のうちから指名するあつせん員 又は委員会の同意を得て委員会の会長が委嘱するあつせん員によつて行う。

3項

労働組合法第十九条の十第一項に規定する地方において中央労働委員会が処理すべき事件として政令で定めるものについては、委員会の会長は、前項の規定にかかわらず同条第一項に規定する地方調整委員のうちから、あつせん員を指名する。


ただし、委員会の会長が当該地方調整委員のうちから あつせん員を指名することが適当でないと認める場合は、この限りでない。

4項

あつせん員(委員会の委員 又は労働組合法第十九条の十第一項に規定する地方調整委員である者を除く次項において同じ。)は、政令で定めるところにより、報酬 及び その職務を行うために要する費用の弁償を受けることができる。

5項

あつせん員 又は あつせん員であつた者は、その職務に関して知ることができた秘密を漏らしてはならない。

6項

労働関係調整法昭和二十一年法律第二十五号第十三条 及び第十四条の規定は、第一項のあつせんについて準用する。

1項

委員会は、次の場合に調停を行う。

一 号

関係当事者の双方が委員会に調停の申請をしたとき。

二 号

関係当事者の一方が労働協約の定に基いて委員会に調停の申請をしたとき。

三 号

関係当事者の一方の申請により、委員会が調停を行う必要があると決議したとき。

四 号

委員会が職権に基き、調停を行う必要があると決議したとき。

五 号

主務大臣が委員会に調停の請求をしたとき。

1項

委員会による調停は、当該事件について設ける調停委員会によつて行う。

1項

調停委員会は、公益を代表する調停委員、行政執行法人を代表する調停委員 及び職員を代表する調停委員各三人以内で組織する。


ただし、行政執行法人を代表する調停委員と職員を代表する調停委員とは、同数でなければならない。

2項

公益を代表する調停委員は行政執行法人担当公益委員のうちから、行政執行法人を代表する調停委員は行政執行法人担当使用者委員のうちから、 職員を代表する調停委員は行政執行法人担当労働者委員のうちから、委員会の会長が指名する。

3項

労働組合法第十九条の十第一項に規定する地方において中央労働委員会が処理すべき事件として政令で定めるものについては、委員会の会長は、前項の規定にかかわらず同条第一項に規定する地方調整委員のうちから、調停委員を指名する。


ただし、委員会の会長が当該地方調整委員のうちから調停委員を指名することが適当でないと認める場合は、この限りでない。

4項

委員会の会長は、必要があると認めるときは、前二項の規定にかかわらず、厚生労働大臣があらかじめ委員会の同意を得て作成した調停委員候補者名簿に記載されている者のうちから、調停委員を委嘱することができる。

5項

前項の規定による調停委員は、政令で定めるところにより、報酬 及び その職務を行うために要する費用の弁償を受けることができる。

1項

委員会は、調停委員会に、その行う事務に関し報告をさせ、又は必要な指示をすることができる。

1項

労働関係調整法第二十二条から 第二十五条まで第二十六条第一項から 第三項まで 及び第四十三条の規定は、調停委員会 及び調停について準用する。

1項

委員会は、次の場合に仲裁を行う。

一 号

関係当事者の双方が委員会に仲裁の申請をしたとき。

二 号

関係当事者の一方が労働協約の定に基いて委員会に仲裁の申請をしたとき。

三 号

委員会があつせん 又は調停を開始した後二月を経過して、なお紛争が解決しない場合において、関係当事者の一方が委員会に仲裁の申請をしたとき。

四 号

委員会が、あつせん 又は調停を行つている事件について、仲裁を行う必要があると決議したとき。

五 号

主務大臣が委員会に仲裁の請求をしたとき。

1項

委員会による仲裁は、当該事件について設ける仲裁委員会によつて行う。

2項

仲裁委員会は、行政執行法人担当公益委員の全員をもつて充てる仲裁委員 又は委員会の会長が行政執行法人担当公益委員のうちから指名する三人の仲裁委員で組織する。

3項

労働関係調整法第三十一条の三から 第三十四条まで 及び第四十三条の規定は、仲裁委員会、仲裁 及び裁定について準用する。


この場合において、

同法第三十一条の五
委員 又は特別調整委員」とあるのは、
「委員」と

読み替えるものとする。

1項

行政執行法人と その職員との間に発生した紛争に係る委員会の裁定に対しては、当事者は、双方とも最終的決定としてこれに服従しなければならない。

2項

政府は、行政執行法人がその職員との間に発生した紛争に係る委員会の裁定を実施した結果、その事務 及び事業の実施に著しい支障が生ずることのないように、できる限り努力しなければならない。

第七章 雑則

1項

第二十七条第五号 及び第三十三条第五号に規定する主務大臣は、厚生労働大臣 及び行政執行法人を所管する大臣(当該調停 又は仲裁に係る行政執行法人を所管する大臣に限る)とする。

1項

次に掲げる法律の規定は、職員については、適用しない

一 号

国家公務員法第三条第二項から 第四項まで第三条の二第十七条第十七条の二第十九条第二十条第二十二条第二十三条第七十条の五から 第七十一条まで第七十三条第七十七条第八十四条第二項第八十四条の二第八十六条から 第八十八条まで第九十六条第二項第九十八条第二項 及び第三項第百条第四項第百八条の二から 第百八条の七まで 並びに附則第十六条の規定

二 号

国家公務員法の一部を改正する法律昭和二十三年法律第二百二十二号附則第三条の規定

2項

前項の規定は、職員に関し、その職務と責任の特殊性に基づいて、国家公務員法附則第十三条に定める同法の特例を定めたものである。

3項

行政執行法人 及び職員に係る処分 又は その不作為であつて第三条第一項の規定により読み替えられた労働組合法第七条各号に該当するものについては、審査請求をすることができない