大規模地震対策特別措置法
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
地震災害
地震動により直接に生ずる被害 及びこれに伴い発生する津波、火事、爆発 その他の異常な現象により生ずる被害をいう。
地震防災
地震災害の発生の防止 又は地震災害が発生した場合における被害の軽減をあらかじめ図ることをいう。
地震予知情報
気象業務法(昭和二十七年法律第百六十五号)第十一条の二第一項に規定する地震に関する情報 及び同条第二項に規定する新たな事情に関する情報をいう。
地震防災対策強化地域
次条第一項の規定により指定された地域をいう。
指定行政機関
災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第二条第三号に規定する指定行政機関をいう。
指定地方行政機関
災害対策基本法第二条第四号に規定する指定地方行政機関をいう。
指定公共機関
災害対策基本法第二条第五号に規定する指定公共機関をいう。
指定地方公共機関
災害対策基本法第二条第六号に規定する指定地方公共機関をいう。
地震防災計画
地震防災基本計画、地震防災強化計画 及び地震防災応急計画をいう。
地震防災基本計画
中央防災会議が地震防災対策強化地域について地震防災に関し作成する基本的な計画をいう。
地震防災強化計画
災害対策基本法第二条第九号に規定する防災業務計画、同条第十号に規定する地域防災計画 又は石油コンビナート等災害防止法(昭和五十年法律第八十四号)第三十一条第一項に規定する石油コンビナート等防災計画のうち、第六条第一項各号に掲げる事項について定めた部分をいう。
地震防災応急計画
第七条第一項 又は第二項に規定する者が地震防災応急対策に関し作成する計画をいう。
警戒宣言
第九条第一項の規定により内閣総理大臣が発する地震災害に関する警戒宣言をいう。
地震防災応急対策
警戒宣言が発せられた時から当該警戒宣言に係る大規模な地震が発生するまで 又は発生するおそれがなくなるまでの間において当該大規模な地震に関し地震防災上実施すべき応急の対策をいう。
内閣総理大臣は、大規模な地震が発生するおそれが特に大きいと認められる地殻内において大規模な地震が発生した場合に著しい地震災害が生ずるおそれがあるため、地震防災に関する対策を強化する必要がある地域を地震防災対策強化地域(以下「強化地域」という。)として指定するものとする。
内閣総理大臣は、前項の規定による強化地域の指定をしようとするときは、あらかじめ中央防災会議に諮問しなければならない。
内閣総理大臣は、第一項の規定による強化地域の指定をしようとするときは、あらかじめ関係都道府県知事の意見を聴かなければならない。
この場合において、関係都道府県知事が意見を述べようとするときは、あらかじめ関係市町村長の意見を聴かなければならない。
内閣総理大臣は、第一項の規定による強化地域の指定をしたときは、その旨を公示しなければならない。
前三項の規定は、内閣総理大臣が第一項の規定による強化地域の指定の解除をする場合に準用する。
国は、強化地域に係る大規模な地震の発生を予知し、もつて地震災害の発生を防止し、又は軽減するため、計画的に、地象、水象等の常時観測を実施し、地震に関する土地 及び水域の測量(以下この条 及び第三十三条において「測量」という。)の密度を高める等観測 及び測量の実施の強化を図らなければならない。
中央防災会議は、第三条第一項の規定による強化地域の指定があつたときは、当該強化地域に係る地震防災基本計画を作成し、及びその実施を推進しなければならない。
災害対策基本法第三十四条第二項の規定は、第一項の地震防災基本計画を作成し、又は修正した場合に準用する。
第三条第一項の規定による強化地域の指定があつたときは、指定行政機関の長(指定行政機関が内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項 若しくは第二項 若しくは国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項の委員会 若しくは災害対策基本法第二条第三号ロに掲げる機関 又は同号ニに掲げる機関のうち合議制のものである場合にあつては第十一条第六項第三号 及び第十三条第一項を除き当該指定行政機関をいい、指定行政機関の長から事務の委任があつた場合にあつては当該事務については当該委任を受けた指定地方行政機関の長をいう。以下同じ。)及び指定公共機関(指定公共機関から委任された業務については、当該委任を受けた指定地方公共機関。以下同じ。)は災害対策基本法第二条第九号に規定する防災業務計画において、次に掲げる事項を定めなければならない。
前項に規定する指定があつたときは、災害対策基本法第二十一条に規定する地方防災会議等(市町村防災会議を設置しない市町村にあつては、当該市町村の市町村長)は同法第二条第十号に規定する地域防災計画において、石油コンビナート等災害防止法第二十七条第一項に規定する石油コンビナート等防災本部(第二十八条第二項において「石油コンビナート等防災本部」という。)及び同法第三十条第一項に規定する防災本部の協議会は同法第三十一条第一項に規定する石油コンビナート等防災計画において、前項第一号に掲げる事項を定めるものとするほか、同項第二号 及び第三号に掲げる事項を定めるよう努めなければならない。
強化地域内において次に掲げる施設 又は事業で政令で定めるものを管理し、又は運営することとなる者(前条第一項に規定する者を除く。)は、あらかじめ、当該施設 又は事業ごとに、地震防災応急計画を作成しなければならない。
前三号に掲げるもののほか、地震防災上の措置を講ずる必要があると認められる重要な施設 又は事業
第三条第一項の規定による強化地域の指定の際、当該強化地域内において前項の政令で定める施設 又は事業を現に管理し、又は運営している者(前条第一項に規定する者を除く。)は、当該指定があつた日から六月以内に、地震防災応急計画を作成しなければならない。
地震防災応急計画を作成した者は、当該施設の拡大、当該事業の内容の変更等により、地震防災応急計画を変更する必要が生じたときは、遅滞なく当該計画を変更しなければならない。
第一項 又は第二項に規定する者は、地震防災応急計画を作成したときは、政令で定めるところにより、遅滞なく当該地震防災応急計画を都道府県知事に届け出るとともに、その写しを市町村長に送付しなければならない。
これを変更したときも、同様とする。
第一項 又は第二項に規定する者が前項の届出をしない場合には、都道府県知事は、その者に対し、相当の期間を定めて届出をすべきことを勧告することができる。
都道府県知事は、前項の勧告を受けた者が同項の期間内に届出をしないときは、その旨を公表することができる。
前条第一項 又は第二項に規定する者が、次に掲げる計画 又は規程において、法令の規定に基づき、同条第一項の政令で定める施設 又は事業に関し同条第四項に規定する事項について定めたときは、当該事項について定めた部分(次項において「地震防災規程」という。)は、当該施設 又は事業に係る地震防災応急計画とみなしてこの法律を適用する。
消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)第八条第一項 若しくは第八条の二第一項(これらの規定を同法第三十六条第一項において準用する場合を含む。)に規定する消防計画 又は同法第十四条の二第一項に規定する予防規程
火薬類取締法(昭和二十五年法律第百四十九号)第二十八条第一項に規定する危害予防規程
高圧ガス保安法(昭和二十六年法律第二百四号)第二十六条第一項に規定する危害予防規程
ガス事業法(昭和二十九年法律第五十一号)第二十四条第一項、第六十四条第一項(同法第八十四条において準用する場合を含む。)及び第九十七条第一項に規定する保安規程
電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第四十二条第一項に規定する保安規程
石油パイプライン事業法(昭和四十七年法律第百五号)第二十七条第一項に規定する保安規程
前各号に掲げる計画 又は規程に準ずるものとして内閣府令で定めるもの
地震防災規程を作成した者は、前条第六項の規定にかかわらず、政令で定めるところにより、その地震防災規程の写しを市町村長に送付しなければならない。
地震防災規程を変更したときも、同様とする。
強化地域内の居住者、滞在者 その他の者 及び公私の団体(以下「居住者等」という。)に対して、警戒態勢を執るべき旨を公示すること。
内閣総理大臣は、警戒宣言を発したときは、直ちに、当該地震予知情報の内容について国民に対し周知させる措置を執らなければならない。
この場合において、内閣総理大臣は、気象庁長官をして当該地震予知情報に係る技術的事項について説明を行わせるものとする。
内閣総理大臣は、警戒宣言を発した後気象庁長官から地震予知情報の報告を受けた場合において、当該地震の発生のおそれがなくなつたと認めるときは、閣議にかけて、地震災害に関する警戒解除宣言を発するとともに、第一項第一号に規定する者に対し警戒態勢を解くべき旨を公示し、及び同項第二号に規定する者に対し同号に掲げる措置を中止すべき旨を通知するものとする。
内閣総理大臣は、警戒宣言を発したときは、内閣府設置法第四十条第二項の規定にかかわらず、臨時に内閣府に地震災害警戒本部(以下「警戒本部」という。)を設置するものとする。
警戒本部の長は、地震災害警戒本部長(以下第十三条までにおいて「本部長」という。)とし、内閣総理大臣(内閣総理大臣に事故があるときは、そのあらかじめ指名する国務大臣)をもつて充てる。
地震災害警戒副本部長は、本部長を助け、本部長に事故があるときは、その職務を代理する。
地震災害警戒副本部長が二人以上置かれている場合にあつては、あらかじめ本部長が定めた順序で、その職務を代理する。
本部長 及び地震災害警戒副本部長以外のすべての国務大臣
内閣府副大臣 又は国務大臣以外の指定行政機関の長のうちから、内閣総理大臣が任命する者
地震災害警戒副本部長 及び地震災害警戒本部員以外の地震災害警戒本部の職員は、内閣官房 若しくは指定行政機関の職員 又は指定地方行政機関の長 若しくはその職員のうちから、内閣総理大臣が任命する。
所管区域において指定行政機関の長、指定地方行政機関の長、地方公共団体の長 その他の執行機関、指定公共機関 及び指定地方公共機関が実施する地震防災応急対策 又は災害対策基本法第五十条第一項に規定する災害応急対策(以下「地震防災応急対策等」という。)の総合調整に関すること。
次条の規定 及び第十五条において準用する災害対策基本法第二十八条の六第一項の規定により本部長の権限に属する事務
前二号に掲げるもののほか、法令の規定によりその権限に属する事務
本部長は、地震防災応急対策等を的確かつ迅速に実施するため特に必要があると認めるときは、その必要な限度において、関係指定行政機関の長 及び関係指定地方行政機関の長(第十五条において準用する災害対策基本法第二十八条の五の規定により権限を委任された当該指定行政機関の職員 及び当該指定地方行政機関の職員を含む。)、関係地方公共団体の長 その他の執行機関、関係指定公共機関 並びに関係指定地方公共機関に対し、必要な指示を行うことができる。
本部長は、地震防災応急対策を的確かつ迅速に実施するため、自衛隊の支援を求める必要があると認めるときは、防衛大臣に対し、自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第八条に規定する部隊等の派遣を要請することができる。
警戒本部は、当該地震予知情報に係る地震災害に関し災害対策基本法第二十三条の三第一項に規定する特定災害対策本部、同法第二十四条第一項に規定する非常災害対策本部 若しくは同法第二十八条の二第一項に規定する緊急災害対策本部が設置された時 又は警戒本部の設置期間が満了した時に、廃止されるものとする。
災害対策基本法第二十三条の三第二項、第二十八条の五 及び第二十八条の六第一項の規定は、警戒本部が設置された場合に準用する。
この場合において、
同法第二十八条の五第一項中
「災害応急対策」とあるのは、
「災害応急対策 又は大規模地震対策特別措置法第二条第十四号の地震防災応急対策」と
読み替えるものとする。
警戒宣言が発せられたときは、強化地域に係る都道府県知事 又は市町村長は、都道府県地震災害警戒本部(以下「都道府県警戒本部」という。)又は市町村地震災害警戒本部(以下「市町村警戒本部」という。)を設置するものとする。
警視総監 又は当該道府県の道府県警察本部長(第二十三条第五項において「警察本部長」という。)
都道府県地震災害警戒副本部長 及び都道府県地震災害警戒本部員以外の都道府県警戒本部の職員は、当該都道府県の職員のうちから、当該都道府県の知事が任命する。
次項の規定により都道府県地震災害警戒本部長の権限に属する事務
前三号に掲げるもののほか、法律 又はこれに基づく政令によりその権限に属する事務
前各項に規定するもののほか、都道府県警戒本部に関し必要な事項は、当該都道府県の条例で定める。
都道府県警戒本部が設置されている場合においては、災害対策基本法第十四条第一項に規定する都道府県防災会議は、同条第二項の規定にかかわらず、同項第一号に掲げる事務で当該地震予知情報に係る地震災害に関するものを行わないものとする。
次項の規定により市町村地震災害警戒本部長の権限に属する事務
前二号に掲げるもののほか、法律 又はこれに基づく政令によりその権限に属する事務
前三項に規定するもののほか、市町村警戒本部の組織 その他必要な事項は、当該市町村の条例で定める。
都道府県警戒本部 又は市町村警戒本部は、当該都道府県 又は市町村に当該地震予知情報に係る地震災害に関し災害対策基本法第二十三条第一項に規定する都道府県災害対策本部 又は同法第二十三条の二第一項に規定する市町村災害対策本部が設置された時に、廃止されるものとする。
都道府県警戒本部 又は市町村警戒本部は、第九条第三項の警戒解除宣言があつたときは、速やかに廃止するものとする。
災害対策基本法第五十一条第一項の規定は地震予知情報の伝達について、同法第五十二条の規定は警戒宣言が発せられた場合における防災に関する信号について、同法第五十五条から第五十七条までの規定は都道府県知事 又は市町村長が警戒宣言が発せられたことを知つた場合について準用する。
この場合において、
同法第五十一条第一項中
「、公共的団体 並びに防災上重要な施設の管理者(以下「災害応急対策責任者」という。)」とあるのは、
「その他大規模地震対策特別措置法第二条第十四号の地震防災応急対策の実施の責任を有する者」と
読み替えるものとする。
前各号に掲げるもののほか、地震災害の発生の防止 又は軽減を図るための措置に関する事項
警戒宣言が発せられたときは、指定行政機関の長、指定地方行政機関の長、地方公共団体の長 その他の執行機関、指定公共機関、地震防災応急計画を作成した者 その他法令の規定により地震防災応急対策の実施の責任を有する者は、法令 又は地震防災計画の定めるところにより、地震防災応急対策を実施しなければならない。
前項に規定する者は、地震防災応急対策を的確かつ円滑に実施するため相互に協力しなければならない。
警戒宣言が発せられたときは、強化地域内の居住者等は、火気の使用、自動車の運行、危険な作業等の自主的制限、消火の準備 その他当該地震に係る地震災害の発生の防止 又は軽減を図るため必要な措置を執るとともに、市町村長、警察官、海上保安官 その他の者が実施する地震防災応急対策に係る措置に協力しなければならない。
市町村長は、警戒宣言が発せられた場合において、第七条第六項 又は第八条第二項の規定による送付をした者(政令で定める者を除く。)が第二十一条第二項の規定による地震防災応急対策の実施をしていないことが明らかであると認めるときは、その者に対し、直ちにその実施をすべきことを指示することができる。
市町村長は、警戒宣言が発せられた場合において、第七条第一項 又は第二項に規定する者で同条第六項 又は第八条第二項の規定による送付をしていないもの(政令で定める者を除く。)が管理し、又は運営する施設 又は事業に関し、当該地震の発生により危険な事態が生ずるおそれがあると認めるときは、当該危険な事態の発生を防止するため、その者に対し、執るべき措置を明示してこれを直ちに実施すべきことを指示することができる。
市町村長は、警戒宣言が発せられたときは、当該地震の発生により危険な事態を生ずるおそれがあると認められる物件の占有者、所有者 又は管理者(第六条第一項 又は第七条第一項 若しくは第二項に規定する者を除く。)に対し、地震災害の発生の防止 又は軽減を図るため必要な限度において、直ちに当該物件の除去、保安 その他必要な措置を執るべきことを指示することができる。
前三項に規定するもののほか、市町村長は、警戒宣言が発せられた場合において、当該地震に係る地震災害の発生の防止 又は軽減を図るため必要があると認めるときは、前三項に規定する者に対し、必要な措置を執るべきことを要請し、又は勧告することができる。
都道府県知事、警察本部長 又は政令で定める管区海上保安本部の事務所の長は、市町村長から要求があつたときは、前各項に規定する指示、要請 又は勧告をすることができる。
警察官は、警戒宣言が発せられた場合において、避難に伴う混雑等において危険な事態が発生するおそれがあると認めるときは、当該危険な事態の発生を防止するため、危険を生じさせ、又は危害を受けるおそれのある者 その他関係者に対し、必要な警告 又は指示をすることができる。
この場合において、警察官は、特に必要があると認めるときは、危険な場所への立入りを禁止し、若しくはその場所から退去させ、又は当該危険を生ずるおそれのある道路上の車両 その他の物件の除去 その他必要な措置を執ることができる。
災害対策基本法第五十八条、第六十条、第六十一条、第六十一条の二(同法第六十三条第四項において準用する場合を含む。)、第六十三条第一項 及び第二項、第六十七条、第六十八条、第七十四条、第七十四条の四 並びに第七十九条の規定は、警戒宣言が発せられた場合について準用する。
この場合において、
同法第五十八条中
「災害応急対策責任者」とあるのは
「大規模地震対策特別措置法第二条第十四号の地震防災応急対策の実施の責任を有する者」と、
同法第六十条第四項中
「報告しなければ」とあるのは
「報告し、及び管轄警察署長に通知しなければ」と
読み替えるものとする。
災害対策基本法第七十二条第一項 及び第三項の規定は、警戒宣言が発せられた場合に都道府県知事が市町村長に対して行う指示について準用する。
災害対策基本法第八十六条の規定は、地震防災応急対策に係る措置を実施するため必要な国有財産等の貸付け 又は使用について準用する。
災害対策基本法第六十三条第二項の規定は、前項の場合に準用する。
都道府県知事は、第二十一条第一項第四号から第八号までに掲げる事項について地震防災応急対策に係る措置を実施するため特に必要があると認めるときは、災害救助法(昭和二十二年法律第百十八号)第八条から第十条までの規定の例により、協力命令 若しくは保管命令を発し、土地、家屋 若しくは物資を使用し、若しくは物資を収用し、又はその職員に物資の所在する場所 若しくは物資を保管させる場所に立入検査をさせ、若しくは物資を保管させた者から必要な報告を徴することができる。
前項の規定による都道府県知事の権限に属する事務は、政令で定めるところにより、その一部を市町村長が行うこととすることができる。
指定行政機関の長 及び指定地方行政機関の長は、第二十一条第一項第四号から第八号までに掲げる事項について地震防災応急対策に係る措置を実施するため特に必要があると認めるときは、地震防災強化計画の定めるところにより、当該措置の実施に必要な物資の生産、集荷、販売、配給、保管 若しくは輸送を業とする者に対し、その取り扱う物資の保管を命じ、又はその職員に物資の所在する場所 若しくは物資を保管させる場所に立入検査をさせ、若しくは物資を保管させた者から必要な報告を徴することができる。
国 又は地方公共団体は、第一項、第三項 又は前項の規定による処分が行われたときは、それぞれ、当該処分により通常生ずべき損失を補償しなければならない。
第三項 又は第五項の規定による処分については、都道府県知事 若しくは市町村長 又は指定行政機関の長 若しくは指定地方行政機関の長は、政令で定めるところにより、それぞれ公用令書を交付して行わなければならない。
前項の公用令書には、政令で定めるところにより、次の事項を記載しなければならない。
公用令書の交付を受ける者の氏名 及び住所(法人にあつては、その名称 及び主たる事務所の所在地)
災害対策基本法第八十三条の規定は、第三項の規定により都道府県の職員が立ち入る場合 及び第五項の規定により指定行政機関 又は指定地方行政機関の職員が立ち入る場合に準用する。
市町村長は、警戒宣言が発せられたときは、政令で定めるところにより、当該市町村の居住者等の避難の状況等を都道府県警戒本部に報告しなければならない。
この場合において、都道府県地震災害警戒本部長は、当該報告の概要を警戒本部に通知しなければならない。
市町村長は都道府県警戒本部に対し、指定行政機関の長、指定公共機関の代表者、都道府県地震災害警戒本部長 又は石油コンビナート等防災本部の本部長は警戒本部に対し、それぞれ、政令で定めるところにより、地震防災応急対策に係る措置の実施状況を報告しなければならない。
法令に特別の定めがある場合 又は予算の範囲内において特別の措置を講じている場合を除くほか、地震防災応急対策に要する費用 その他この法律の施行に要する費用は、その実施の責めに任ずる者が負担するものとする。
災害対策基本法第九十二条の規定は第二十六条第一項において準用する同法第六十七条第一項、第六十八条、第七十四条第一項 又は第七十四条の四の規定による応援に要した費用について、同法第九十三条の規定は第二十六条第二項において準用する同法第七十二条第一項の規定による都道府県知事の指示に基づいて市町村長が実施した地震防災応急対策に係る措置に要した費用 及び応援のために要した費用について、同法第九十四条の規定は地震防災応急対策に要する費用について、同法第九十五条の規定は第十三条第一項の規定による地震災害警戒本部長の指示に基づいて地方公共団体の長が実施した地震防災応急対策等に係る措置に要した費用について、それぞれ準用する。
第三条第一項の規定による強化地域の指定があつたときは、当該地域に係る指定行政機関の長、指定地方行政機関の長、地方公共団体の長 その他の執行機関、指定公共機関、地震防災応急計画を作成した者 その他法令の規定により地震防災応急対策の実施の責任を有する者は、法令 又は地震防災計画の定めるところにより、それぞれ又は共同して地震に係る防災訓練を行わなければならない。
都道府県公安委員会は、前項の地震に係る防災訓練の効果的な実施を図るため特に必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、当該訓練の実施に必要な限度で、道路の区間を指定して、歩行者 又は車両の通行を禁止し、又は制限することができる。
第一項に規定する者は、同項の防災訓練を行おうとするときは、住民 その他関係のある公私の団体に協力を求めることができる。
この法律に特別の定めがあるもののほか、この法律の実施のための手続 その他この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。
次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役 又は三十万円以下の罰金に処する。
第二十七条第三項の規定による都道府県知事(同条第四項の規定により権限に属する事務の一部を行う市町村長を含む。)の協力命令 又は保管命令に従わなかつた者
第二十七条第五項の規定による指定行政機関の長 又は指定地方行政機関の長(第十五条において準用する災害対策基本法第二十八条の五第一項の規定により権限の委任を受けた職員を含む。)の保管命令に従わなかつた者
第二十四条の規定による都道府県公安委員会の禁止 又は制限に従わなかつた車両の運転者は、三月以下の懲役 又は二十万円以下の罰金に処する。
次の各号のいずれかに該当する者は、二十万円以下の罰金に処する。
第二十七条第三項(同条第四項の規定による権限に属する事務の一部を行う場合を含む。以下この条において同じ。)又は第五項(第十五条において準用する災害対策基本法第二十八条の五第一項の規定による権限に属する事務の一部を行う場合を含む。以下この条において同じ。)の規定による立入検査を拒み、妨げ、又は忌避した者
第二十七条第三項 又は第五項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
次の各号のいずれかに該当する者は、十万円以下の罰金 又は拘留に処する。
第二十条において準用する災害対策基本法第五十二条第一項の規定に基づく内閣府令によつて定められた防災に関する信号をみだりに使用し、又はこれと類似する信号を使用した者
第二十六条第一項において準用する災害対策基本法第六十三条第一項の規定による市町村長 又は同条第二項の規定による警察官 若しくは海上保安官の禁止 若しくは制限 又は退去命令に従わなかつた者
法人の代表者 又は法人 若しくは人の代理人、使用人 その他の従業者が、その法人 又は人の業務に関し、第三十六条 又は第三十八条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人 又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。