国家公務員法

# 昭和二十二年法律第百二十号 #
略称 : 国公法 

第二章 中央人事行政機関

分類 法律
カテゴリ   国家公務員
@ 施行日 : 令和五年四月一日 ( 2023年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和三年法律第六十一号による改正
最終編集日 : 2024年 08月12日 14時06分


1項

内閣の所轄の下に人事院を置く。


人事院は、この法律に定める基準に従つて、内閣に報告しなければならない。

○2項

人事院は、法律の定めるところに従い、給与 その他の勤務条件の改善 及び人事行政の改善に関する勧告、採用試験(採用試験の対象官職 及び種類 並びに採用試験により確保すべき人材に関する事項を除く)、任免(標準職務遂行能力、採用昇任等基本方針、幹部職員の任用等に係る特例 及び幹部候補育成課程に関する事項(第三十三条第一項に規定する根本基準の実施につき必要な事項であつて、行政需要の変化に対応するために行う優れた人材の養成 及び活用の確保に関するものを含む)を除く)、給与(一般職の職員の給与に関する法律昭和二十五年法律第九十五号第六条の二第一項の規定による指定職俸給表の適用を受ける職員の号俸の決定の方法 並びに同法第八条第一項の規定による職務の級の定数の設定 及び改定に関する事項を除く)、研修(第七十条の六第一項第一号に掲げる観点に係るものに限る)の計画の樹立 及び実施 並びに当該研修に係る調査研究、分限、懲戒、苦情の処理、職務に係る倫理の保持 その他職員に関する人事行政の公正の確保 及び職員の利益の保護等に関する事務をつかさどる。

○3項

法律により、人事院が処置する権限を与えられている部門においては、人事院の決定 及び処分は、人事院によつてのみ審査される。

○4項

前項の規定は、法律問題につき裁判所に出訴する権利に影響を及ぼすものではない。

1項

前条第二項の所掌事務のうち職務に係る倫理の保持に関する事務を所掌させるため、人事院に国家公務員倫理審査会を置く。

○2項

国家公務員倫理審査会に関しては、この法律に定めるもののほか国家公務員倫理法平成十一年法律第百二十九号)の定めるところによる。

1項

人事院は、人事官三人をもつて、これを組織する。

○2項

人事官のうち一人は、総裁として命ぜられる。

○3項

人事院は、事務総長 及び予算の範囲内においてその職務を適切に行うため必要とする職員を任命する。

○4項

人事院は、その内部機構を管理する。


国家行政組織法昭和二十三年法律第百二十号)は、人事院には適用されない。

1項

人事官は、人格が高潔で、民主的な統治組織と成績本位の原則による能率的な事務の処理に理解があり、かつ、人事行政に関し識見を有する年齢三十五年以上の者のうちから、両議院の同意を経て、内閣が任命する。

○2項

人事官の任免は、天皇が認証する。

○3項

次の各号いずれかに該当する者は、人事官となることができない。

一 号

破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者

二 号

禁錮以上の刑に処せられた者 又は第四章に規定する罪を犯し、刑に処せられた者

三 号

第三十八条第二号 又は第四号に該当する者

○4項

任命の日以前五年間において、政党の役員、政治的顧問 その他これらと同様な政治的影響力を有する政党員であつた者 又は任命の日以前五年間において、公選による国 若しくは都道府県の公職の候補者となつた者は、人事院規則で定めるところにより、人事官となることができない。

○5項

人事官の任命については、そのうちの二人が、同一の政党に属し、又は同一の大学学部を卒業した者となることとなつてはならない。

1項

人事官は、任命後、人事院規則の定めるところにより、最高裁判所長官の面前において、宣誓書に署名してからでなければ、その職務を行つてはならない。

○2項

第三章第七節の規定は、人事官にこれを準用する。

1項

人事官の任期は、四年とする。


但し、補欠の人事官は、前任者の残任期間在任する。

○2項

人事官は、これを再任することができる。


但し、引き続き十二年を超えて在任することはできない

○3項

人事官であつた者は、退職後一間年は、人事院の官職以外の官職に、これを任命することができない

1項

人事官は、左の各号の一に該当する場合を除く外、その意に反して罷免されることがない。

一 号

第五条第三項各号の一に該当するに至つた場合

二 号

国会の訴追に基き、公開の弾劾手続により罷免を可とすると決定された場合

三 号

任期が満了して、再任されず 又は人事官として引き続き十二年在任するに至つた場合

○2項

前項第二号の規定による弾劾の事由は、左に掲げるものとする。

一 号

心身の故障のため、職務の遂行に堪えないこと

二 号

職務上の義務に違反し、その他人事官たるに適しない非行があること

○3項

人事官の中、二人以上が同一の政党に属することとなつた場合においては、これらの者の中一人以外の者は、内閣が両議院の同意を経て、これを罷免するものとする。

○4項

前項の規定は、政党所属関係について異動のなかつた人事官の地位に、影響を及ぼすものではない。

1項

人事官の弾劾の裁判は、最高裁判所においてこれを行う。

○2項

国会は、人事官の弾劾の訴追をしようとするときは、訴追の事由を記載した書面を最高裁判所に提出しなければならない。

○3項

国会は、前項の場合においては、同項に規定する書面の写を訴追に係る人事官に送付しなければならない。

○4項

最高裁判所は、第二項の書面を受理した日から三十日以上九十日以内の間において裁判開始の日を定め、その日の三十日以前までに、国会 及び訴追に係る人事官に、これを通知しなければならない。

○5項

最高裁判所は、裁判開始の日から百日以内に判決を行わなければならない。

○6項

人事官の弾劾の裁判の手続は、裁判所規則でこれを定める。

○7項

裁判に要する費用は、国庫の負担とする。

1項

人事官の給与は、別に法律で定める。

1項

人事院総裁は、人事官の中から、内閣が、これを命ずる。

○2項

人事院総裁は、院務を総理し、人事院を代表する。

○3項

人事院総裁に事故のあるとき、又は人事院総裁が欠けたときは、先任の人事官が、その職務を代行する。

1項

定例の人事院会議は、人事院規則の定めるところにより、少なくとも一週間一回、一定の場所において開催することを常例としなければならない。

○2項

人事院会議の議事は、すべて議事録として記録しておかなければならない。

○3項

前項の議事録は、幹事がこれを作成する。

○4項

人事院の事務処理の手続に関し必要な事項は、人事院規則でこれを定める。

○5項

事務総長は、幹事として人事院会議に出席する。

○6項

人事院は、次に掲げる権限を行う場合においては、人事院の議決を経なければならない。

一 号

人事院規則の制定 及び改廃

二 号
削除
三 号

第二十二条の規定による関係大臣 その他の機関の長に対する勧告

四 号

第二十三条の規定による国会 及び内閣に対する意見の申出

五 号

第二十四条の規定による国会 及び内閣に対する報告

六 号

第二十八条の規定による国会 及び内閣に対する勧告

七 号

第四十八条の規定による試験機関の指定

八 号

第六十条の規定による臨時的任用 及びその更新に対する承認、臨時的任用に係る職員の員数の制限 及びその資格要件の決定 並びに臨時的任用の取消(人事院規則の定める場合を除く

九 号

第六十七条の規定による給与に関する法律に定める事項の改定案の作成 並びに国会 及び内閣に対する勧告

十 号

第八十七条の規定による事案の判定

十一 号

第九十二条の規定による処分の判定

十二 号

第九十五条の規定による補償に関する重要事項の立案

十三 号

第百三条第五項の審査請求に対する裁決

十四 号

第百八条の規定による国会 及び内閣に対する意見の申出

十五 号

第百八条の三第六項の規定による職員団体の登録の効力の停止 及び取消し

十六 号

その他人事院の議決によりその議決を必要とされた事項

1項

人事院に事務総局 及び法律顧問を置く。

○2項

事務総局の組織 及び法律顧問に関し必要な事項は、人事院規則でこれを定める。

○3項

人事院は、毎会計年度の開始前に、次の会計年度においてその必要とする経費の要求書を国の予算に計上されるように内閣に提出しなければならない。


この要求書には、土地の購入、建物の建造、事務所の借上、家具、備品 及び消耗品の購入、俸給 及び給料の支払 その他必要なあらゆる役務 及び物品に関する経費が計上されなければならない。

○4項

内閣が、人事院の経費の要求書を修正する場合においては、人事院の要求書は、内閣により修正された要求書とともに、これを国会に提出しなければならない。

○5項

人事院は、国会の承認を得て、その必要とする地方の事務所を置くことができる。

1項

事務総長は、総裁の職務執行の補助者となり、その一般的監督の下に、人事院の事務上 及び技術上のすべての活動を指揮監督し、人事院の職員について計画を立て、募集、配置 及び指揮を行い、又、人事院会議の幹事となる。

1項

人事官 及び事務総長は、他の官職を兼ねてはならない。

1項

人事院は、その所掌事務について、法律を実施するため、又は法律の委任に基づいて、人事院規則を制定し、人事院指令を発し、及び手続を定める。


人事院は、いつでも、適宜に、人事院規則を改廃することができる。

○2項

人事院規則 及びその改廃は、官報をもつて、これを公布する。

○3項

人事院は、この法律に基いて人事院規則を実施し 又はその他の措置を行うため、人事院指令を発することができる。

1項

人事院 又はその指名する者は、人事院の所掌する人事行政に関する事項に関し調査することができる。

○2項

人事院 又は前項の規定により指名された者は、同項の調査に関し必要があるときは、証人を喚問し、又 調査すべき事項に関係があると認められる書類 若しくはその写の提出を求めることができる。

○3項

人事院は、第一項の調査(職員の職務に係る倫理の保持に関して行われるものに限る)に関し必要があると認めるときは、当該調査の対象である職員に出頭を求めて質問し、又は同項の規定により指名された者に、当該職員の勤務する場所(職員として勤務していた場所を含む。)に立ち入らせ、帳簿書類 その他必要な物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。

○4項

前項の規定により立入検査をする者は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があつたときは、これを提示しなければならない。

○5項

第三項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

1項

人事院は、前条の規定による権限(職員の職務に係る倫理の保持に関して行われるものに限り、かつ、第九十条第一項に規定する審査請求に係るものを除く)を国家公務員倫理審査会に委任する。

1項

人事院は、職員に対する給与の支払を監理する。

○2項

職員に対する給与の支払は、人事院規則 又は人事院指令に反してこれを行つてはならない。

1項

内閣総理大臣は、法律の定めるところに従い、採用試験の対象官職 及び種類 並びに採用試験により確保すべき人材に関する事務、標準職務遂行能力、採用昇任等基本方針、幹部職員の任用等に係る特例 及び幹部候補育成課程に関する事務(第三十三条第一項に規定する根本基準の実施につき必要な事務であつて、行政需要の変化に対応するために行う優れた人材の養成 及び活用の確保に関するものを含む。)、一般職の職員の給与に関する法律第六条の二第一項の規定による指定職俸給表の適用を受ける職員の号俸の決定の方法 並びに同法第八条第一項の規定による職務の級の定数の設定 及び改定に関する事務 並びに職員の人事評価(任用、給与、分限 その他の人事管理の基礎とするために、職員がその職務を遂行するに当たり発揮した能力 及び挙げた業績を把握した上で行われる勤務成績の評価をいう。以下同じ。)、研修、能率、厚生、服務、退職管理等に関する事務(第三条第二項の規定により人事院の所掌に属するものを除く)をつかさどる。

○2項

内閣総理大臣は、前項に規定するもののほか、各行政機関がその職員について行なう人事管理に関する方針、計画等に関し、その統一保持上必要な総合調整に関する事務をつかさどる。

1項

内閣総理大臣は、職員の退職管理に関する事項(第百六条の二から第百六条の四までに規定するものに限る)に関し調査することができる。

○2項

第十七条第二項から第五項までの規定は、前項の規定による調査について準用する。


この場合において、

同条第二項
人事院 又は前項の規定により指名された者は、同項」とあるのは
「内閣総理大臣は、第十八条の三第一項」と、

同条第三項
第一項の調査(職員の職務に係る倫理の保持に関して行われるものに限る。)」とあるのは
第十八条の三第一項の調査」と、

対象である職員」とあるのは
「対象である職員 若しくは職員であつた者」と、

同項の規定により指名された者に、当該職員」とあるのは
当該職員」と、

立ち入らせ」とあるのは
「立ち入り」と、

検査させ、又は関係者に質問させる」とあるのは
「検査し、若しくは関係者に質問する」と

読み替えるものとする。

1項

内閣総理大臣は、前条の規定による権限を再就職等監視委員会に委任する。

1項

内閣総理大臣は、職員の離職に際しての離職後の就職の援助を行う。

○2項

内閣総理大臣は、官民の人材交流(国と民間企業との間の人事交流に関する法律平成十一年法律第二百二十四号第二条第三項に規定する交流派遣 及び民間企業に現に雇用され、又は雇用されていた者の職員への第三十六条ただし書の規定による採用 その他これらに準ずるものとして政令で定めるものをいう。第五十四条第二項第七号において同じ。)の円滑な実施のための支援を行う。

1項

内閣総理大臣は、前条に規定する事務を官民人材交流センターに委任する。

○2項

内閣総理大臣は、前項の規定により委任する事務について、その運営に関する指針を定め、これを公表する。

1項

内閣府に、官民人材交流センターを置く。

○2項

官民人材交流センターは、この法律 及び他の法律の規定によりその権限に属させられた事項を処理する。

○3項

官民人材交流センターの長は、官民人材交流センター長とし、内閣官房長官をもつて充てる。

○4項

官民人材交流センター長は、官民人材交流センターの事務を統括する。

○5項

官民人材交流センター長は、官民人材交流センターの所掌事務を遂行するために必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出、意見の開陳、説明 その他必要な協力を求め、又は意見を述べることができる。

○6項

官民人材交流センターに、官民人材交流副センター長を置く。

○7項

官民人材交流副センター長は、官民人材交流センター長の職務を助ける。

○8項

官民人材交流センターに、所要の職員を置く。

○9項

内閣総理大臣は、官民人材交流センターの所掌事務の全部 又は一部を分掌させるため、所要の地に、官民人材交流センターの支所を置くことができる。

○10項

第三項から前項までに定めるもののほか、官民人材交流センターの組織に関し必要な事項は、政令で定める。

1項

内閣総理大臣は、職員の人事記録に関することを管理する。

○2項

内閣総理大臣は、内閣府、デジタル庁、各省 その他の機関をして、当該機関の職員の人事に関する一切の事項について、人事記録を作成し、これを保管せしめるものとする。

○3項

人事記録の記載事項 及び様式 その他人事記録に関し必要な事項は、政令でこれを定める。

○4項

内閣総理大臣は、内閣府、デジタル庁、各省 その他の機関によつて作成保管された人事記録で、前項の規定による政令に違反すると認めるものについて、その改訂を命じ、その他所要の措置をなすことができる。

1項

内閣総理大臣は、政令の定めるところにより、職員の在職関係に関する統計報告の制度を定め、これを実施するものとする。

○2項

内閣総理大臣は、前項の統計報告に関し必要があるときは、関係庁に対し随時 又は定期に一定の形式に基いて、所要の報告を求めることができる。

1項

人事院 又は内閣総理大臣は、それぞれ人事院規則 又は政令の定めるところにより、この法律に基づく権限の一部を他の機関をして行なわせることができる。


この場合においては、人事院 又は内閣総理大臣は、当該事務に関し、他の機関の長を指揮監督することができる。

1項

人事院は、人事行政の改善に関し、関係大臣 その他の機関の長に勧告することができる。

○2項

前項の場合においては、人事院は、その旨を内閣に報告しなければならない。

1項

人事院は、この法律の目的達成上、法令の制定 又は改廃に関し意見があるときは、その意見を国会 及び内閣に同時に申し出なければならない。

1項

内閣総理大臣は、この法律の目的達成上必要があると認めるときは、人事院に対し、人事院規則を制定し、又は改廃することを要請することができる。

○2項

内閣総理大臣は、前項の規定による要請をしたときは、速やかに、その内容を公表するものとする。

1項

人事院は、毎年、国会 及び内閣に対し、業務の状況を報告しなければならない。

○2項

内閣は、前項の報告を公表しなければならない。

1項

内閣府 、デジタル庁 及び各省 並びに政令で指定するその他の機関には、人事管理官を置かなければならない。

○2項

人事管理官は、人事に関する部局の長となり、前項の機関の長を助け、人事に関する事務を掌る。


この場合において、人事管理官は、中央人事行政機関との密な連絡 及びこれに対する協力につとめなければならない。