性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律

令和五年法律第六十七号
分類 法律
カテゴリ   刑事
最終編集日 : 2024年 04月24日 20時57分

T
  • 第一章 総則

  • 第二章 性的な姿態を撮影する行為等の処罰

  • 第三章 性的な姿態を撮影する行為により生じた物を複写した物等の没収

第一章 総則

1項
この法律は、性的な姿態を撮影する行為、これにより生成された記録を提供する行為等を処罰するとともに、性的な姿態を撮影する行為により生じた物を複写した物等の没収を可能とし、あわせて、押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等の措置をすることによって、性的な姿態を撮影する行為等による被害の発生 及び拡大を防止することを目的とする。

第二章 性的な姿態を撮影する行為等の処罰

1項

次の各号いずれかに掲げる行為をした者は、三年以下の拘禁刑 又は三百万円以下の罰金に処する。

一 号

正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(以下「性的姿態等」という。)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定 又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し 又はとっているものを除いたもの(以下「対象性的姿態等」という。)を撮影する行為

人の性的な部位(性器 若しくは肛門 若しくはこれらの周辺部、臀部 又は胸部をいう。以下 このにおいて同じ。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る)のうち現に性的な部位を直接 若しくは間接に覆っている部分

に掲げるもののほか、わいせつな行為 又は性交等(刑法明治四十年法律第四十五号第百七十七条第一項に規定する性交等をいう。)がされている間における人の姿態

二 号

刑法第百七十六条第一項各号に掲げる行為 又は事由 その他これらに類する行為 又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し 若しくは全うすることが困難な状態にさせ 又はその状態にあることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為

三 号

行為の性質が性的なものではないとの誤信をさせ、若しくは特定の者以外の者が閲覧しないとの誤信をさせ、又はそれらの誤信をしていることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為

四 号

正当な理由がないのに、十三歳未満の者を対象として、その性的姿態等を撮影し、又は十三歳以上十六歳未満の者を対象として、当該者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者が、その性的姿態等を撮影する行為

2項

前項の罪の未遂は、罰する。

3項

前二項の規定は、刑法第百七十六条 及び第百七十九条第一項の規定の適用を妨げない。

1項

性的影像記録(前条第一項各号に掲げる行為 若しくは第六条第一項の行為により生成された電磁的記録(電子的方式、磁気的方式 その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)その他の記録 又は当該記録の全部 若しくは一部(対象性的姿態等(前条第一項第四号に掲げる行為により生成された電磁的記録 その他の記録 又は第五条第一項第四号に掲げる行為により同項第一号に規定する影像送信をされた影像を記録する行為により生成された電磁的記録 その他の記録にあっては、性的姿態等)の影像が記録された部分に限る)を複写したものをいう。以下同じ。)を提供した者は、三年以下の拘禁刑 又は三百万円以下の罰金に処する。

2項

性的影像記録を不特定 若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の拘禁刑 若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

1項

前条の行為をする目的で、性的影像記録を保管した者は、二年以下の拘禁刑 又は二百万円以下の罰金に処する。

1項

不特定 又は多数の者に対し、次の各号いずれかに掲げる行為をした者は、五年以下の拘禁刑 若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

一 号

正当な理由がないのに、送信されることの情を知らない者の対象性的姿態等の影像(性的影像記録に係るものを除く次号 及び第三号において同じ。)の影像送信(電気通信回線を通じて、影像を送ることをいう。以下同じ。)をする行為

二 号

刑法第百七十六条第一項各号に掲げる行為 又は事由 その他これらに類する行為 又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し 若しくは全うすることが困難な状態にさせ 又はその状態にあることに乗じて、人の対象性的姿態等の影像の影像送信をする行為

三 号

行為の性質が性的なものではないとの誤信をさせ、若しくは不特定 若しくは多数の者に送信されないとの誤信をさせ、又はそれらの誤信をしていることに乗じて、人の対象性的姿態等の影像の影像送信をする行為

四 号

正当な理由がないのに、十三歳未満の者の性的姿態等の影像(性的影像記録に係るものを除く。以下 この号において同じ。)の影像送信をし、又は十三歳以上十六歳未満の者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者が、当該十三歳以上十六歳未満の者の性的姿態等の影像の影像送信をする行為

2項

情を知って、不特定 又は多数の者に対し、前項各号いずれかに掲げる行為により影像送信をされた影像の影像送信をした者も、同項と同様とする。

3項

前二項の規定は、刑法第百七十六条 及び第百七十九条第一項の規定の適用を妨げない。

1項

情を知って、前条第一項各号いずれかに掲げる行為により影像送信をされた影像を記録した者は、三年以下の拘禁刑 又は三百万円以下の罰金に処する。

2項

前項の罪の未遂は、罰する。

1項

第二条から前条までの罪は、刑法第三条の例に従う。

第三章 性的な姿態を撮影する行為により生じた物を複写した物等の没収

1項

次に掲げる物は、没収することができる。

一 号

第二条第一項 又は第六条第一項の罪の犯罪行為により生じた物を複写した物

二 号

私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律平成二十六年法律第百二十六号第三条第一項から第三項までの罪の犯罪行為を組成し、若しくは当該犯罪行為の用に供した私事性的画像記録(同法第二条第一項に規定する私事性的画像記録をいう。次条第一項第二号 及び第十条第一項第一号ロにおいて同じ。)が記録されている物 若しくはこれを複写した物 又は当該犯罪行為を組成し、若しくは当該犯罪行為の用に供した私事性的画像記録物(同法第二条第二項に規定する私事性的画像記録物をいう。第十条第一項第一号ロにおいて同じ。)を複写した物

2項

前項の規定による没収は、犯人以外の者に属しない物に限り、これをすることができる。


ただし、犯人以外の者に属する物であっても、犯罪の後にその者が情を知って保有するに至ったものであるときは、これを没収することができる。