民法

# 明治二十九年法律第八十九号 #

第二章 婚姻

分類 法律
カテゴリ   民事
@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第百二号による改正
最終編集日 : 2024年 04月27日 20時49分


第一節 婚姻の成立

第一款 婚姻の要件

1項

婚姻は、十八歳にならなければ、することができない

1項

配偶者のある者は、重ねて婚姻をすることができない

1項

直系血族 又は三親等内の傍系血族の間では、婚姻をすることができない


ただし、養子と養方の傍系血族との間では、この限りでない。

2項

第八百十七条の九の規定により親族関係が終了した後も、前項同様とする。

1項

直系姻族の間では、婚姻をすることができない


第七百二十八条 又は第八百十七条の九の規定により姻族関係が終了した後も、同様とする。

1項

養子 若しくはその配偶者 又は養子の直系卑属 若しくはその配偶者と養親 又はその直系尊属との間では、第七百二十九条の規定により親族関係が終了した後でも、婚姻をすることができない

1項

成年被後見人が婚姻をするには、その成年後見人の同意を要しない。

1項

婚姻は、戸籍法昭和二十二年法律第二百二十四号)の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる。

2項

前項の届出は、当事者双方 及び成年の証人二人以上が署名した書面で、又はこれらの者から口頭で、しなければならない。

1項

婚姻の届出は、その婚姻が第七百三十一条第七百三十二条第七百三十四条から第七百三十六条まで 及び前条第二項の規定 その他の法令の規定に違反しないことを認めた後でなければ、受理することができない

1項

外国に在る日本人間で婚姻をしようとするときは、その国に駐在する日本の大使、公使 又は領事にその届出をすることができる。


この場合においては、前二条の規定を準用する。

第二款 婚姻の無効及び取消し

1項

婚姻は、次に掲げる場合に限り、無効とする。

一 号

人違い その他の事由によって当事者間に婚姻をする意思がないとき。

二 号

当事者が婚姻の届出をしないとき。


ただし、その届出が第七百三十九条第二項に定める方式を欠くだけであるときは、婚姻は、そのためにその効力を妨げられない。

1項

婚姻は、次条第七百四十五条 及び第七百四十七条の規定によらなければ、取り消すことができない

1項

第七百三十一条第七百三十二条 及び第七百三十四条から第七百三十六条までの規定に違反した婚姻は、各当事者、その親族 又は検察官から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。


ただし、検察官は、当事者の一方が死亡した後は、これを請求することができない

2項

第七百三十二条の規定に違反した婚姻については、前婚の配偶者も、その取消しを請求することができる。

1項

第七百三十一条の規定に違反した婚姻は、不適齢者が適齢に達したときは、その取消しを請求することができない

2項

不適齢者は、適齢に達した後、なお三箇月間は、その婚姻の取消しを請求することができる。


ただし、適齢に達した後に追認をしたときは、この限りでない。

1項

詐欺 又は強迫によって婚姻をした者は、その婚姻の取消しを家庭裁判所に請求することができる。

2項

前項の規定による取消権は、当事者が、詐欺を発見し、若しくは強迫を免れた後三箇月を経過し、又は追認をしたときは、消滅する。

1項

婚姻の取消しは、将来に向かってのみその効力を生ずる。

2項

婚姻の時においてその取消しの原因があることを知らなかった当事者が、婚姻によって財産を得たときは、現に利益を受けている限度において、その返還をしなければならない。

3項

婚姻の時においてその取消しの原因があることを知っていた当事者は、婚姻によって得た利益の全部を返還しなければならない。


この場合において、相手方が善意であったときは、これに対して損害を賠償する責任を負う。

1項

第七百二十八条第一項第七百六十六条から第七百六十九条まで第七百九十条第一項ただし書 並びに第八百十九条第二項第三項第五項 及び第六項の規定は、婚姻の取消しについて準用する。

第二節 婚姻の効力

1項

夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫 又は妻の氏を称する。

1項

夫婦の一方が死亡したときは、生存配偶者は、婚姻前の氏に復することができる。

2項

第七百六十九条の規定は、前項 及び第七百二十八条第二項の場合について準用する。

1項

夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。

1項

夫婦間でした契約は、婚姻中、いつでも、夫婦の一方からこれを取り消すことができる。


ただし、第三者の権利を害することはできない。

第三節 夫婦財産制

第一款 総則

1項

夫婦が、婚姻の届出前に、その財産について別段の契約をしなかったときは、その財産関係は、次款に定めるところによる。

1項

夫婦が法定財産制と異なる契約をしたときは、婚姻の届出までにその登記をしなければ、これを夫婦の承継人 及び第三者に対抗することができない

1項

夫婦の財産関係は、婚姻の届出後は、変更することができない

2項

夫婦の一方が、他の一方の財産を管理する場合において、管理が失当であったことによってその財産を危うくしたときは、他の一方は、自らその管理をすることを家庭裁判所に請求することができる。

3項

共有財産については、前項の請求とともに、その分割を請求することができる。

1項

前条の規定 又は第七百五十五条の契約の結果により、財産の管理者を変更し、又は共有財産の分割をしたときは、その登記をしなければ、これを夫婦の承継人 及び第三者に対抗することができない。

第二款 法定財産制

1項

夫婦は、その資産、収入 その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。

1項

夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。


ただし、第三者に対し責任を負わない旨を予告した場合は、この限りでない。

1項

夫婦の一方が婚姻前から有する財産 及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産夫婦の一方が単独で有する財産をいう。)とする。

2項

夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定する。

第四節 離婚

第一款 協議上の離婚

1項

夫婦は、その協議で、離婚をすることができる。

1項

第七百三十八条第七百三十九条 及び第七百四十七条の規定は、協議上の離婚について準用する。

1項

離婚の届出は、その離婚が前条において準用する第七百三十九条第二項の規定 及び第八百十九条第一項の規定 その他の法令の規定に違反しないことを認めた後でなければ、受理することができない

2項

離婚の届出が前項の規定に違反して受理されたときであっても、離婚は、そのためにその効力を妨げられない。

1項

父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父 又は母と子との面会 及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担 その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。


この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。

2項

前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、同項の事項を定める。

3項

家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前二項の規定による定めを変更し、その他子の監護について相当な処分を命ずることができる。

4項

前三項の規定によっては、監護の範囲外では、父母の権利義務に変更を生じない。

1項

婚姻によって氏を改めた夫 又は妻は、協議上の離婚によって婚姻前の氏に復する。

2項

前項の規定により婚姻前の氏に復した夫 又は妻は、離婚の日から三箇月以内戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離婚の際に称していた氏を称することができる。

1項

協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。

2項

前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。


ただし、離婚の時から二年を経過したときは、この限りでない。

3項

前項の場合には、家庭裁判所は、当事者双方がその協力によって得た財産の額 その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか 並びに分与の額 及び方法を定める。

1項

婚姻によって氏を改めた夫 又は妻が、第八百九十七条第一項の権利を承継した後、協議上の離婚をしたときは、当事者 その他の関係人の協議で、その権利を承継すべき者を定めなければならない。

2項

前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所がこれを定める。

第二款 裁判上の離婚

1項

夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

一 号

配偶者に不貞な行為があったとき。

二 号

配偶者から悪意で遺棄されたとき。

三 号

配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。

四 号

配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。

五 号

その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

2項

裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。

1項

第七百六十六条から第七百六十九条までの規定は、裁判上の離婚について準用する。