水産資源保護法

昭和二十六年法律第三百十三号
分類 法律
カテゴリ   水産業
@ 施行日 : 令和四年六月十七日 ( 2022年 6月17日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第六十八号による改正
最終編集日 : 2023年 01月22日 17時17分

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  • 第一章 総則

  • 第二章 水産資源の保護培養

    • 第一節 水産動植物に有害な物の遺棄の制限等
    • 第二節 水産動物の輸入防疫
    • 第三節 保護水面
    • 第四節 溯河魚類の保護培養
    • 第五節 水産動植物の種苗の確保
  • 第三章 水産資源の調査

  • 第四章 補助

  • 第五章 雑則

  • 第六章 罰則

第一章 総則

1項

この法律は、水産資源の保護培養を図り、且つ、その効果を将来にわたつて維持することにより、漁業の発展に寄与することを目的とする。

1項

公共の用に供しない水面には、別段の規定がある場合を除き、この法律の規定を適用しない

1項

公共の用に供しない水面であつて公共の用に供する水面と連接して一体を成すものには、この法律を適用する。

第二章 水産資源の保護培養

第一節 水産動植物に有害な物の遺棄の制限等

1項

農林水産大臣 又は都道府県知事は、水産資源の保護培養のために必要があると認めるときは、次に掲げる事項に関して、農林水産省令 又は規則を定めることができる。

一 号

水産動植物に有害な物の遺棄 又は漏せつ その他 水産動植物に有害な水質の汚濁に関する制限 又は禁止

二 号

水産動植物の保護培養に必要な物の採取 又は除去に関する制限 又は禁止

三 号
水産動植物の移植に関する制限 又は禁止
2項

前項の規定による農林水産省令 又は規則には、必要な罰則を設けることができる。

3項

前項の罰則に規定することができる罰は、農林水産省令にあつては二年以下の懲役五十万円以下の罰金拘留 若しくは科料 又は これらの併科


規則にあつては六月以下の懲役十万円以下の罰金拘留 若しくは科料 又は これらの併科とする。

4項

第一項の規定による農林水産省令 又は規則には、犯人が所有し、又は所持する漁獲物、漁船、漁具 その他 水産動植物の採捕の用に供される物 及び同項第三号の水産動植物の没収 並びに犯人が所有していたこれらの物件の全部 又は一部を没収することができない場合におけるその価額の追徴に関する規定を設けることができる。

5項

農林水産大臣は、第一項の農林水産省令を制定し、又は改廃しようとするときは、水産政策審議会の意見を聴かなければならない。

6項

都道府県知事は、第一項の規則を制定し、又は改廃しようとするときは、農林水産大臣の認可を受けなければならない。

7項

都道府県知事は、第一項の規則を制定し、又は改廃しようとするときは、関係海区漁業調整委員会(内水面漁場管理委員会を置く都道府県の管轄に属する内水面(漁業法昭和二十四年法律第二百六十七号第六十条第五項第五号に規定する内水面をいう。以下同じ。)に係るものにあつては、内水面漁場管理委員会)の意見を聴かなければならない。

8項

農林水産大臣は、第一項第一号 又は第二号に掲げる事項に関する農林水産省令 又は規則であつて、河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)が適用され、若しくは準用される河川(以下「河川」という。)又は砂防法明治三十年法律第二十九号)第二条の規定により国土交通大臣が指定した土地(以下「指定土地」という。)に係るものを定め、又は認可しようとするときは、あらかじめ国土交通大臣に協議しなければならない。

9項

農林水産大臣は、第一項第一号に掲げる事項に関する農林水産省令を定め、又は規則を認可しようとするときは、あらかじめ経済産業大臣に協議しなければならない。

1項

爆発物を使用して水産動植物を採捕してはならない。


ただし、海獣捕獲のためにする場合 又は調査研究のため農林水産大臣の許可を受けてする場合は、この限りでない。

1項

水産動植物を麻痺させ、又は死なせる有毒物を使用して、水産動植物を採捕してはならない。


ただし、調査研究のため農林水産大臣の許可を受けてする場合は、この限りでない。

1項

前二条の規定に違反して採捕した水産動植物は、所持し、又は販売してはならない。

1項

公共の用に供しない水面であつて公共の用に供する水面 又は第三条の水面に通ずるものには、政令で、第四条から 前条までの規定 及びこれらに係る罰則を適用することができる。

1項

農林水産大臣は、水産資源の保護のために必要があると認めるときは、漁業法第百十九条第一項 又は第二項 及び この法律の第四条第一項の規定に基づく農林水産省令の規定により農林水産大臣の許可を要する漁業につき、漁業の種類 及び水域別に、農林水産省令で、当該漁業に従事することができる漁船の隻数の最高限度(以下「定数」という。)を定めることができる。

2項

農林水産大臣は、前項の定数を定める場合には、水産資源の現状 及び現に当該漁業を営む者の数 その他 自然的 及び社会的条件を総合的に勘案しなければならない。

3項

農林水産大臣は、定数を定めようとするときは、水産政策審議会の意見を聴かなければならない。

1項

前条の規定により定数が定められた時に当該漁業の種類 及び水域につき現に漁業の許可(漁業に関する起業の認可を含む。以下同じ。)を受けている漁船の隻数が定数をこえているときは、農林水産大臣は、左に掲げる事項を勘案して農林水産省令で定める基準に従い、そのこえる数の漁船につき、当該漁業に係る許可の取消の期日 又は変更すべき当該漁業の操業区域 及び変更の期日を指定しなければならない。

一 号

各漁業者が当該漁業の種類 及び水域につき許可を受けている漁船の隻数

二 号

当該漁業に従事する漁船の航海度数、主たる操業の場所、操業日数、網入数、漁獲数量 その他の操業状況

三 号

賃金 その他の給与等の労働条件

四 号
各漁業者の経済が当該漁業に依存する程度
2項

農林水産大臣は、前項の基準を定めようとするときは、水産政策審議会の意見を聴かなければならない。

3項

第一項の規定による指定をする場合において必要があると認めるときは、農林水産大臣は、当該漁業の種類 及び水域につき漁業の許可を受けている漁船であつて同項の指定を受けなかつたものにつき、変更すべき当該漁船の操業区域 及び変更の期日を指定することができる。

4項

第一項 又は前項の規定による指定は、告示をもつてする。

5項

前項の告示をしたときは、当該漁業に係る許可は、その有効期間にかかわらず、その指定された期日に取り消され、又は操業区域の変更があつたものとする。

6項

第一項 又は第三項の規定による指定は、これによつて必要となる次条の規定による補償金の総額が国会の議決を経た予算の金額をこえない範囲内でしなければならない。

1項

政府は、前条第五項の規定による許可の取消 又は操業区域の変更によつて生じた損失を当該処分を受けた者に対し補償しなければならない。

2項

前項の規定により補償すべき損失は、同項の処分によつて通常生ずべき損失とする。

3項

前項の補償金額は、農林水産大臣が水産政策審議会の意見を聴いて定め、これを告示する。

4項

補償金交付の方法は、政令で定める。

5項

第三項の規定により告示された補償金額に不服がある者は、告示の日から六月以内に、訴えをもつて、その増額を請求することができる。

6項

前項の訴においては、国を被告とする。

1項

第十条第五項の規定により許可の取消を受けた者は、同条第四項の告示の日現在において、許可を受けた漁船に乗り組んでいる者 及び当該漁船のために陸上作業をしている者に対し、交付を受けた補償金のうち農林水産省令で定める金額を支給しなければならない。

第二節 水産動物の輸入防疫

1項

輸入防疫対象疾病(持続的養殖生産確保法平成十一年法律第五十一号第二条第二項に規定する特定疾病に該当する水産動物の伝染性疾病 その他の水産動物の伝染性疾病であつて農林水産省令で定めるものをいう。以下同じ。)にかかるおそれのある水産動物であつて農林水産省令で定めるもの及び その容器包装(当該容器包装に入れられ、又は当該容器包装で包まれた物であつて当該水産動物でないものを含む。以下同じ。)を輸入しようとする者は、農林水産大臣の許可を受けなければならない。

2項

前項の許可を受けようとする者は、農林水産省令で定めるところにより、当該水産動物の種類 及び数量、原産地、輸入の時期 及び場所 その他 農林水産省令で定める事項を記載した申請書に、輸出国の政府機関により発行され、かつ、その検査の結果当該水産動物が輸入防疫対象疾病にかかつているおそれがないことを確かめ、又は信ずる旨を記載した検査証明書 又は その写しを添えて、これを農林水産大臣に提出しなければならない。

3項

農林水産大臣は、第一項の許可の申請があつた場合において、その申請に係る水産動物 及び その容器包装が次の各号いずれかに該当するときは、同項許可をしなければならない。

一 号

前項の検査証明書 又は その写しにより輸入防疫対象疾病の病原体を広げるおそれがないと認められるとき。

二 号

次条第一項の規定による命令に係る措置が実施されることにより輸入防疫対象疾病の病原体を広げるおそれがなくなると認められるとき。

4項

農林水産大臣は、第一項の許可をしたときは、農林水産省令で定めるところにより、許可を受ける者に対し輸入許可証を交付する。

1項

農林水産大臣は、前条第一項の許可の申請に係る水産動物 及び その容器包装が、輸出国の事情 その他の事情からみて、同条第二項の検査証明書 又は その写しのみによつては輸入防疫対象疾病の病原体を広げるおそれがないとは認められないときは、同条第一項の許可をするに当たり、その申請をした者に対し、輸入防疫対象疾病の潜伏期間を考慮して農林水産省令で定める期間当該水産動物 及び その容器包装を農林水産省令で定める方法により管理すべきことを命ずることができる。

2項

前項の規定による命令を受けた者は、同項の期間内に当該水産動物が輸入防疫対象疾病にかかり、又はかかつている疑いがあることを発見したときは、農林水産省令で定めるところにより、農林水産大臣の行う検査を受けなければならない。

3項

前項の検査を受けた者は、その結果についての通知を受けるまでの間は、当該水産動物 及び その容器包装を第一項の農林水産省令で定める方法により管理しなければならない。

1項

農林水産大臣は、前条第二項の検査の結果、第十三条第一項の許可の申請に係る水産動物が輸入防疫対象疾病にかかつていると認められるときは、当該水産動物 又は その容器包装を所有し、又は管理する者に対し、当該水産動物 又は その容器包装、いけす その他輸入防疫対象疾病の病原体が付着し、若しくは付着しているおそれのある物品の焼却、埋却、消毒 その他 必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

1項

農林水産大臣は、この節の規定の施行に必要な限度において、水産動物 及び その容器包装を輸入しようとする者 又は輸入した者 その他の関係者に対し、これらの輸入に関し必要な報告を求め、又は その職員に、これらの者の事業場、事務所 若しくは水産動物の管理に係る施設に立ち入り、水産動物、容器包装、書類 その他の物件を検査させることができる。

2項

前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。

3項

第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

第三節 保護水面

1項

この法律において「保護水面」とは、水産動物が産卵し、稚魚が生育し、又は水産動植物の種苗が発生するのに適している水面であつて、その保護培養のために必要な措置を講ずべき水面として都道府県知事 又は農林水産大臣が指定する区域をいう。

1項

都道府県知事は、水産動植物の保護培養のため必要があると認めるときは、水産政策審議会の意見を聴いて農林水産大臣が定める基準に従つて、保護水面を指定することができる。

2項

都道府県知事は、前項の規定により保護水面の指定をしようとするときは、あらかじめ、農林水産大臣に協議し、その同意を得なければならない。

3項

都道府県知事は、第一項の規定により保護水面の指定をしようとするときは、指定をしようとする保護水面が漁業法第六十条第五項第二号に規定する海面に属する場合にあつては、当該保護水面につき定められた海区に設置した海区漁業調整委員会の意見を、指定をしようとする保護水面が内水面に属する場合にあつては、内水面漁場管理委員会(同法第百七十一条第一項ただし書の規定により内水面漁場管理委員会を置かない都道府県にあつては、同条第四項ただし書の規定により当該都道府県の知事が指定する海区漁業調整委員会)の意見を聴かなければならない。

4項

農林水産大臣は、水産動植物の保護培養のため特に必要があると認めるときは、第一項の規定にかかわらず同項に規定する基準に従つて、保護水面を指定することができる。

5項

農林水産大臣は、前項の規定により保護水面の指定をしようとするときは、指定をしようとする保護水面の属する水面を管轄する都道府県知事の意見を聴かなければならない。

6項

第三項の規定は、都道府県知事が前項の規定により農林水産大臣に意見を述べようとする場合に準用する。

7項

第一項 又は第四項の規定による保護水面の指定は、保護水面の区域の告示をもつてする。

1項

都道府県知事 又は農林水産大臣は、保護水面が前条第一項に規定する基準に適合しなくなつたときその他 情勢の推移により必要が生じたときは、遅滞なく、その指定した保護水面の区域を変更し、又は その指定を解除するものとする。

2項

前条第二項第三項 及び第五項から 第七項までの規定は、前項の規定による変更 又は解除について準用する。

1項

保護水面の管理は、当該保護水面を指定した都道府県知事 又は農林水産大臣が行う。

1項

都道府県知事 又は農林水産大臣は、第十八条第一項 又は第四項の規定により保護水面の指定をするときは、当該保護水面の管理計画を定めなければならない。

2項

前項の保護水面の管理計画においては、少なくとも次に掲げる事項を定めなければならない。

一 号

増殖すべき水産動植物の種類 並びにその増殖の方法 及び増殖施設の概要

二 号

採捕を制限し、又は禁止する水産動植物の種類 及び その制限 又は禁止の内容

三 号

制限し、又は禁止する漁具 又は漁船 及び その制限 又は禁止の内容

3項

都道府県知事は、その管理する保護水面の管理計画を定め、又は変更しようとするときは、前項各号に掲げる事項について、あらかじめ、農林水産大臣に協議し、その同意を得なければならない。

4項

第十八条第三項第五項 及び第六項の規定は、第一項の保護水面の管理計画を定め、又は変更しようとする場合に準用する。

5項

農林水産大臣は、水産動植物の保護培養のため特に必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、その管理する保護水面の管理計画を変更すべきことを指示することができる。


この場合には、第十八条第五項 及び第六項の規定を準用する。

1項

保護水面の区域(河川、指定土地 又は港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)第二条第三項に規定する港湾区域、同法第五十六条第一項の規定により都道府県知事が公告した水域、排他的経済水域 及び大陸棚の保全 及び利用の促進のための低潮線の保全 及び拠点施設の整備等に関する法律(平成二十二年法律第四十一号)第九条第一項の規定により国土交通大臣が公告した水域 若しくは海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律(平成三十年法律第八十九号)第二条第五項に規定する海洋再生可能エネルギー発電設備整備促進区域(第五項において「港湾区域」と総称する。)に係る部分を除く)内において、埋立て若しくはしゆんせつの工事 又は水路、河川の流量 若しくは水位の変更を来す工事をしようとする者は、政令の定めるところにより、当該保護水面を管理する都道府県知事 又は農林水産大臣の許可を受けなければならない。

2項

都道府県知事 又は農林水産大臣は、前項の許可を受けないでされた工事が当該保護水面の管理に著しく障害を及ぼすと認めるときは、当該工事の施行者に対し、当該工事を変更し、又は当該水面を原状に回復すべきことを命ずることができる。

3項

国土交通大臣、都道府県知事 又は市町村長は、河川 若しくは指定土地に関する第一項に掲げる工事をし、若しくはさせようとする場合 又は これらの工事について河川法第二十三条から 第二十七条まで若しくは第二十九条の規定による許可 若しくは砂防法第四条の規定による制限に係る許可をしようとする場合において、当該工事が保護水面の区域内においてされるものであるときは、政令の定めるところにより、あらかじめ、当該保護水面を管理する都道府県知事 又は農林水産大臣に協議しなければならない。

4項

砂利採取法昭和四十三年法律第七十四号)第十六条第二号に規定する河川管理者は、同条の採取計画 又は変更後の採取計画に基づいて行う工事が第一項に規定する工事に該当し、かつ、保護水面の区域内においてされるものである場合において、当該採取計画 又は採取計画の変更について同条 又は同法第二十条第一項の規定による認可をしようとするときは、政令の定めるところにより、あらかじめ、当該保護水面を管理する都道府県知事 又は農林水産大臣に協議しなければならない。

5項

国土交通大臣 若しくは港湾管理者(港湾法第二条第一項に規定する港湾管理者をいう。以下同じ。)が港湾区域内における第一項に規定する工事をしようとする場合 又は これらの工事について港湾管理者が同法第三十七条第一項の規定による許可をし、若しくは同条第三項の規定による協議に応じ、都道府県知事が同法第五十六条第一項の規定による許可をし、若しくは同条第三項の規定による協議に応じ、港湾管理者が同法第五十八条第二項の規定により公有水面埋立法(大正十年法律第五十七号)の規定による都道府県知事(地方自治法昭和二十二年法律第六十七号第二百五十二条の十九第一項指定都市の区域内にあつては、当該指定都市の長)の職権を行い、国土交通大臣が排他的経済水域及び大陸棚の保全及び利用の促進のための低潮線の保全及び拠点施設の整備等に関する法律第九条第一項の規定による許可をし、若しくは同条第五項の規定による協議に応じ、若しくは国土交通大臣が海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律第十条第一項の規定による許可をし、若しくは同条第三項の規定により読み替えられた同条第一項の規定による協議に応じようとする場合において、当該工事が保護水面の区域内においてされるものであるときは、国土交通大臣、港湾管理者 又は都道府県知事は、政令の定めるところにより、あらかじめ、当該保護水面を管理する都道府県知事 又は農林水産大臣に協議しなければならない。

6項

保護水面の区域内において水産動植物の保護培養のため特に必要があるときは、当該保護水面を管理する都道府県知事 又は農林水産大臣は、政令の定めるところにより、国土交通大臣、都道府県知事 又は港湾管理者に対し、当該区域内における第一項に掲げる工事 又は その工事により施設された工作物に関し必要な勧告をすることができる。

第四節 溯河魚類の保護培養

1項

農林水産大臣は、毎年度、溯河魚類のうちさけ 及びますの個体群の維持のために国立研究開発法人水産研究・教育機構(以下「機構」という。)が実施すべき人工ふ化放流に関する計画を定めなければならない。

2項

前項の計画においては、当該年度において人工ふ化放流を実施すべき河川 及び放流数を定めなければならない。

3項

農林水産大臣は、第一項の計画を定めようとするときは、水産政策審議会の意見を聴かなければならない。

4項

農林水産大臣は、第一項の計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表するとともに、機構に通知しなければならない。

5項

機構は、前項の規定による通知を受けたときは、当該計画に従つて人工ふ化放流を実施しなければならない。

1項

機構は、溯河魚類のうちさけ 又は ますを目的とする漁業を営む者が、前条第一項の人工ふ化放流により著しく利益を受けるときは、農林水産省令で定めるところにより、農林水産大臣の承認を受けて、その者にその実施に要する費用の一部を負担させることができる。

1項

溯河魚類の通路となつている水面に設置した工作物の所有者 又は占有者は、溯河魚類の溯上を妨げないように、その工作物を管理しなければならない。

2項

農林水産大臣 又は都道府県知事は、前項の工作物の所有者 又は占有者が同項の規定による管理を怠つていると認めるときは、その者に対し、同項の規定に従つて管理すべきことを命ずることができる。

3項

都道府県知事は、前項の規定による命令をしたときは、遅滞なく、その旨を農林水産大臣に報告しなければならない。

1項

農林水産大臣は、溯河魚類の通路を害するおそれがあると認めるときは、水面の一定区域内における工作物の設置を制限し、又は禁止することができる。

2項

農林水産大臣は、前項の規定による制限をしようとするときは、当該工作物を設置しようとする者に対し、溯河魚類の通路 若しくは当該通路に代わるべき施設を設置すべきことを命じ、又は溯河魚類の通路 若しくは当該通路に代わるべき施設を設置することが著しく困難であると認める場合においては、当該水面における溯河魚類 若しくは その他の魚類の繁殖に必要な施設を設置し、若しくは方法を講ずべきことを命ずることによつても、これをすることができる。

3項

前項の規定による命令を受けた者は、農林水産省令の定めるところにより、当該命ぜられた事項についての計画を作成し、これについて農林水産大臣の承認を受けなければならない。

1項

農林水産大臣は、工作物が溯河魚類の通路を害すると認めるときは、その所有者 又は占有者に対し、除害工事を命ずることができる。

2項

前項の規定により除害工事を命ずるときは、次項の規定による補償金の総額が国会の議決を経た予算の金額を超えない範囲内でしなければならない。

3項

農林水産大臣は、第一項の規定により除害工事を命じたときは、その工作物について権利を有する者に対し、相当の補償をしなければならない。


ただし第二十五条第二項の規定による命令に違反した者に対し、第一項の規定により除害工事を命じた場合においては、その者に対しては、補償しない。

4項

第一項の規定による除害工事の命令が利害関係人の申請によつてされたときは、農林水産大臣の定めるところにより、当該申請者が、前項本文の規定による補償をしなければならない。

5項

前二項の補償金額に不服がある者は、補償金額決定の通知を受けた日から 六月以内に、訴えをもつて、その増減を請求することができる。

6項

前項の訴えにおいては、国を被告とする。


ただし第四項の場合においては、申請者 又は工作物について権利を有する者を被告とする。

7項

第一項の規定による工作物の除害工事の命令があつた場合において、当該工作物の上に先取特権、質権 又は抵当権があるときは、当該先取特権者、質権者 又は抵当権者から 供託しなくてもよい旨の申出がある場合を除き、農林水産大臣 又は第四項の当該申請者は、第三項 又は第四項補償金を供託しなければならない。

8項

前項の先取特権者、質権者 又は抵当権者は、同項の規定により供託した補償金に対してその権利を行うことができる。

1項

内水面においては、溯河魚類のうちさけを採捕してはならない。


ただし、漁業の免許を受けた者 又は漁業法第百十九条第一項 若しくは第二項 及び この法律の第四条第一項の規定に基づく農林水産省令 若しくは規則の規定により農林水産大臣 若しくは都道府県知事の許可を受けた者が、当該免許 又は許可に基づいて採捕する場合は、この限りでない。

1項

公共の用に供しない水面であつて公共の用に供する水面 又は第三条の水面に通ずるものには、政令で、第二十五条から 前条までの規定 及び これらに係る罰則を適用することができる。

第五節 水産動植物の種苗の確保

1項

農林水産省令で定める水産動植物の種苗を、業として、販売の目的をもつて採捕し、又は生産しようとする者は、農林水産省令の定めるところにより、農林水産大臣にその旨の届出をしなければならない。


その業を廃止したときも、同様とする。

1項

農林水産大臣は、前条に規定する水産動植物の種苗を確保するために必要があると認めるときは、農林水産省令の定めるところにより、同条に規定する者に対し、当該水産動植物の種苗の生産 又は配付につき必要な指示をすることができる。

第三章 水産資源の調査

1項

農林水産大臣は、この法律の目的を達成するために、水産資源の保護培養に必要であると認められる種類の漁業について、漁獲数量、操業の状況 及び海況等に関し、科学的調査を実施しなければならない。

1項

農林水産大臣 又は都道府県知事は、前条の調査を行うために必要があると認めるときは、漁業を営み、又はこれに従事する者に、漁獲の数量、時期、方法 その他 必要な事項を報告させることができる。

2項

都道府県知事は、前項の規定により得た報告の結果を農林水産大臣に報告しなければならない。

第四章 補助

1項

国は、この法律の目的を達成するために、予算の範囲内において、次に掲げる費用の一部を補助することができる。

一 号

都道府県知事が管理計画に基づいて行う 保護水面の管理に要する費用

二 号

溯河魚類の通路となつている水面に設置した工作物の所有者 又は占有者(第二十七条第一項の規定による除害工事の命令を受けた者を除く)が、当該水面において、第二十六条第二項に規定する施設を設置し、又は改修するのに要する費用

三 号

機構以外の者が溯河魚類のうちさけ 又はますの人工ふ化放流事業を行うのに要する費用

第五章 雑則

1項

農林水産大臣は、水産資源の保護培養に関する事項の指導 及び普及その他 この法律 及び この法律に基づく命令の励行に関する事務をつかさどらせるため、所部の職員のうちから 水産資源保護指導官を命ずるものとする。

2項

都道府県知事は、水産資源の保護培養に関する事項の指導 及び普及その他 この法律 及び この法律に基づく命令の励行に関する事務をつかさどらせるため、所部の職員のうちから 水産資源保護指導吏員を命ずることができる。

1項

この法律に規定する農 林水産大臣の権限に属する事務の一部は、政令で定めるところにより、都道府県知事が行うこととすることができる。

1項

都道府県知事は、水産資源の保護培養のために必要があると認めるときは、漁業協同組合 その他の者に対し、水産資源の保護培養に関し協力を求めることができる。

1項

水産政策審議会は、第二章第一節の規定によりその権限に属させられた事項を処理するために必要があると認めるときは、漁業を営み、若しくはこれに従事する者 その他 関係者に対し出頭を求め、若しくは必要な報告を求め、又は その委員 若しくは その事務に従事する者に漁場、船舶、事業場 若しくは事務所について所要の調査をさせることができる。

1項

第四条第一項第六項 及び第七項 並びに第三十三条の規定により都道府県が処理することとされている事務は、地方自治法第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。

1項

この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定 又は改廃に伴い 合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。

第六章 罰則

1項

第五条から 第七条までの規定に違反した者は、三年以下の懲役 又は二百万円以下の罰金に処する。

1項

第十三条第一項の許可を受けないで、同項の輸入をした者は、三年以下の懲役 又は百万円以下の罰金に処する。

1項

次の各号いずれかに該当する者は、一年以下の懲役 又は五十万円以下の罰金に処する。

一 号

第十四条第一項第十五条 又は第二十七条第一項の規定による命令に違反した者

二 号

第十四条第二項 若しくは第三項 又は第二十八条の規定に違反した者

三 号

第二十二条第一項の許可を受けないで、同項の工事をした者

四 号

第二十六条第一項 又は第二項の規定による制限又は禁止に違反した者

1項

第四十一条 又は前条第二号第二十八条に係る部分に限る)の場合において、犯人が所有し、又は所持する漁獲物、漁船 又は漁具 その他水産動植物の採捕の用に供される物は、没収することができる。


ただし、犯人が所有していたこれらの物件の全部 又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴することができる。

1項

第四十一条から 第四十三条までの罪を犯した者には、情状により、懲役 及び罰金を併科することができる。

1項

次の各号いずれかに該当する者は、六月以下の懲役 又は三十万円以下の罰金に処する。

一 号

第十六条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、 若しくは忌避した者

二 号

第二十六条第三項の規定に違反した者

三 号

第三十条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者

四 号

第三十三条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者

1項

法人の代表者 又は法人 若しくは人の代理人、使用人 その他の従業者が、その法人 又は人の業務 又は財産に関して、第四十一条から 第四十三条まで 又は前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人 又は人に対し、各本条の罰金刑を科する。