商標権は、設定の登録により発生する。
商標法
第四章 商標権
第一節 商標権
第四十条第一項の規定による登録料 又は第四十一条の二第一項の規定により商標登録をすべき旨の査定 若しくは審決の謄本の送達があつた日から三十日以内に納付すべき登録料の納付があつたときは、商標権の設定の登録をする。
前項の登録があつたときは、次に掲げる事項を商標公報に掲載しなければならない。
商標権者の氏名 又は名称 及び住所 又は居所
商標登録出願の番号 及び年月日
登録番号 及び設定の登録の年月日
前各号に掲げるもののほか、必要な事項
特許庁長官は、前項の規定により同項各号に掲げる事項を掲載した商標公報(以下「商標掲載公報」という。)の発行の日から二月間、特許庁において出願書類 及び その附属物件を公衆の縦覧に供しなければならない。
ただし、個人の名誉 又は生活の平穏を害するおそれがある書類 又は物件 及び公の秩序 又は善良の風俗を害するおそれがある書類 又は物件であつて、特許庁長官が秘密を保持する必要があると認めるものについては、この限りでない。
特許庁長官は、個人の名誉 又は生活の平穏を害するおそれがある書類 又は物件であつて、前項ただし書の規定により特許庁長官が秘密を保持する必要があると認めるもの以外のものを縦覧に供しようとするときは、当該書類 又は物件を提出した者に対し、その旨 及び その理由を通知しなければならない。
商標権の存続期間は、設定の登録の日から十年をもつて終了する。
商標権の存続期間は、商標権者の更新登録の申請により更新することができる。
商標権の存続期間を更新した旨の登録があつたときは、存続期間は、その満了の時に更新されるものとする。
商標権の存続期間の更新登録の申請をする者は、次に掲げる事項を記載した申請書を特許庁長官に提出しなければならない。
申請人の氏名 又は名称 及び住所 又は居所
前二号に掲げるもののほか、経済産業省令で定める事項
更新登録の申請は、商標権の存続期間の満了前六月から満了の日までの間にしなければならない。
商標権者は、前項に規定する期間内に更新登録の申請をすることができないときは、その期間が経過した後であつても、経済産業省令で定める期間内にその申請をすることができる。
商標権者が前項の規定により更新登録の申請をすることができる期間内に、その申請をしないときは、その商標権は、存続期間の満了の時にさかのぼつて消滅したものとみなす。
前条第四項の規定により消滅したものとみなされた商標権の原商標権者は、経済産業省令で定める期間内に限り、経済産業省令で定めるところにより、その申請をすることができる。
ただし、故意に、同条第三項の規定により更新登録の申請をすることができる期間内にその申請をしなかつたと認められる場合は、この限りでない。
前項の規定による更新登録の申請があつたときは、存続期間は、その満了の時にさかのぼつて更新されたものとみなす。
前条第二項の規定により回復した商標権の効力は、第二十条第三項に規定する更新登録の申請をすることができる期間の経過後 前条第一項の申請により商標権の存続期間を更新した旨の登録がされる前における次に掲げる行為には、及ばない。
当該指定商品 又は指定役務についての当該登録商標の使用
第三十七条各号に掲げる行為
第四十条第二項の規定による登録料 又は第四十一条の二第七項の規定により更新登録の申請と同時に納付すべき登録料の納付があつたときは、商標権の存続期間を更新した旨の登録をする。
第二十条第三項 又は第二十一条第一項の規定により更新登録の申請をする場合は、前項の規定にかかわらず、第四十条第二項の規定による登録料 及び第四十三条第一項の規定による割増登録料 又は第四十一条の二第七項の規定により更新登録の申請と同時に納付すべき登録料 及び第四十三条第二項の規定による割増登録料の納付があつたときに、商標権の存続期間を更新した旨の登録をする。
前二項の登録があつたときは、次に掲げる事項を商標公報に掲載しなければならない。
商標権者の氏名 又は名称 及び住所 又は居所
登録番号 及び更新登録の年月日
前二号に掲げるもののほか、必要な事項
商標権の分割は、その指定商品 又は指定役務が二以上あるときは、指定商品 又は指定役務ごとにすることができる。
前項の分割は、商標権の消滅後においても、第四十六条第三項の審判の請求があつたときは、その事件が審判、再審 又は訴訟に係属している場合に限り、することができる。
商標権の移転は、その指定商品 又は指定役務が二以上あるときは、指定商品 又は指定役務ごとに分割してすることができる。
国 若しくは地方公共団体 若しくはこれらの機関 又は公益に関する団体であつて営利を目的としないものの商標登録出願であつて、第四条第二項に規定するものに係る商標権は、譲渡することができない。
公益に関する事業であつて営利を目的としないものを行つている者の商標登録出願であつて、第四条第二項に規定するものに係る商標権は、その事業とともにする場合を除き、移転することができない。
地域団体商標に係る商標権は、譲渡することができない。
団体商標に係る商標権が移転されたときは、次項に規定する場合を除き、その商標権は、通常の商標権に変更されたものとみなす。
団体商標に係る商標権を団体商標に係る商標権として移転しようとするときは、その旨を記載した書面 及び第七条第三項に規定する書面を移転の登録の申請と同時に特許庁長官に提出しなければならない。
商標権が移転された結果、同一の商品 若しくは役務について使用をする類似の登録商標 又は類似の商品 若しくは役務について使用をする同一 若しくは類似の登録商標に係る商標権が異なつた商標権者に属することとなつた場合において、その一の登録商標に係る商標権者、専用使用権者 又は通常使用権者の指定商品 又は指定役務についての登録商標の使用により他の登録商標に係る商標権者 又は専用使用権者の業務上の利益(当該 他の登録商標の使用をしている指定商品 又は指定役務に係るものに限る。)が害されるおそれのあるときは、当該他の登録商標に係る商標権者 又は専用使用権者は、当該一の登録商標に係る商標権者、専用使用権者 又は通常使用権者に対し、当該使用について、その者の業務に係る商品 又は役務と自己の業務に係る商品 又は役務との混同を防ぐのに適当な表示を付すべきことを請求することができる。
商標権者は、指定商品 又は指定役務について登録商標の使用をする権利を専有する。
ただし、その商標権について専用使用権を設定したときは、専用使用権者がその登録商標の使用をする権利を専有する範囲については、この限りでない。
商標権の効力は、次に掲げる商標(他の商標の一部となつているものを含む。)には、及ばない。
自己の肖像 又は自己の氏名 若しくは名称 若しくは著名な雅号、芸名 若しくは筆名 若しくはこれらの著名な略称を普通に用いられる方法で表示する商標
当該指定商品 若しくはこれに類似する商品の普通名称、産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、形状、生産 若しくは使用の方法 若しくは時期 その他の特徴、数量 若しくは価格 又は当該指定商品に類似する役務の普通名称、提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、態様、提供の方法 若しくは時期 その他の特徴、数量 若しくは価格を普通に用いられる方法で表示する商標
当該指定役務 若しくはこれに類似する役務の普通名称、提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、態様、提供の方法 若しくは時期 その他の特徴、数量 若しくは価格 又は当該指定役務に類似する商品の普通名称、産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、形状、生産 若しくは使用の方法 若しくは時期 その他の特徴、数量 若しくは価格を普通に用いられる方法で表示する商標
当該指定商品 若しくは指定役務 又はこれらに類似する商品 若しくは役務について慣用されている商標
商品等が当然に備える特徴のうち政令で定めるもののみからなる商標
前各号に掲げるもののほか、需要者が何人かの業務に係る商品 又は役務であることを認識することができる態様により使用されていない商標
前項第一号の規定は、商標権の設定の登録があつた後、不正競争の目的で、自己の肖像 又は自己の氏名 若しくは名称 若しくは著名な雅号、芸名 若しくは筆名 若しくはこれらの著名な略称を用いた場合は、適用しない。
商標権の効力は、次に掲げる行為には、及ばない。
ただし、その行為が不正競争の目的でされない場合に限る。
特定農林水産物等の名称の保護に関する法律(平成二十六年法律第八十四号。以下 この項において「特定農林水産物等名称保護法」という。)第三条第一項(特定農林水産物等名称保護法第三十条において読み替えて適用する場合を含む。次号 及び第三号において同じ。)の規定により特定農林水産物等名称保護法第六条の登録に係る特定農林水産物等名称保護法第二条第二項に規定する特定農林水産物等(当該登録に係る特定農林水産物等を主な原料 又は材料として製造され、又は加工された同条第一項に規定する農林水産物等を含む。次号 及び第三号において「登録に係る特定農林水産物等」という。)又はその包装に同条第三項に規定する地理的表示(次号 及び第三号において「地理的表示」という。)を付する行為
特定農林水産物等名称保護法第三条第一項の規定により登録に係る特定農林水産物等 又はその包装に地理的表示を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡 若しくは引渡しのために展示し、輸出し、又は輸入する行為
特定農林水産物等名称保護法第三条第一項の規定により登録に係る特定農林水産物等に関する広告、価格表 若しくは取引書類に地理的表示を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に地理的表示を付して電磁的方法により提供する行為
登録商標の範囲は、願書に記載した商標に基づいて定めなければならない。
指定商品 又は指定役務の範囲は、願書の記載に基づいて定めなければならない。
第一項の場合においては、第五条第四項の記載 及び物件を考慮して、願書に記載した商標の記載の意義を解釈するものとする。
商標権の効力については、特許庁に対し、判定を求めることができる。
特許庁長官は、前項の規定による求があつたときは、三名の審判官を指定して、その判定をさせなければならない。
特許法第七十一条第三項 及び第四項の規定は、第一項の判定に準用する。
特許庁長官は、裁判所から商標権の効力について鑑定の嘱託があつたときは、三名の審判官を指定して、その鑑定をさせなければならない。
特許法第七十一条の二第二項の規定は、前項の鑑定の嘱託に準用する。
商標権者、専用使用権者 又は通常使用権者は、指定商品 又は指定役務についての登録商標の使用がその使用の態様によりその商標登録出願の日前の出願に係る他人の特許権、実用新案権 若しくは意匠権 又はその商標登録出願の日前に生じた他人の著作権 若しくは著作隣接権と抵触するときは、指定商品 又は指定役務のうち抵触する部分についてその態様により登録商標の使用をすることができない。
商標権者は、その商標権について専用使用権を設定することができる。
ただし、第四条第二項に規定する商標登録出願に係る商標権 及び地域団体商標に係る商標権については、この限りでない。
専用使用権者は、設定行為で定めた範囲内において、指定商品 又は指定役務について登録商標の使用をする権利を専有する。
専用使用権は、商標権者の承諾を得た場合 及び相続 その他の一般承継の場合に限り、移転することができる。
特許法第七十七条第四項 及び第五項(質権の設定等)、第九十七条第二項(放棄)並びに第九十八条第一項第二号 及び第二項(登録の効果)の規定は、専用使用権に準用する。
商標権者は、その商標権について他人に通常使用権を許諾することができる。
通常使用権者は、設定行為で定めた範囲内において、指定商品 又は指定役務について登録商標の使用をする権利を有する。
通常使用権は、商標権者(専用使用権についての通常使用権にあつては、商標権者 及び専用使用権者)の承諾を得た場合 及び相続 その他の一般承継の場合に限り、移転することができる。
通常使用権は、その登録をしたときは、その商標権 若しくは専用使用権 又はその商標権についての専用使用権をその後に取得した者に対しても、その効力を生ずる。
通常使用権の移転、変更、消滅 又は処分の制限は、登録しなければ、第三者に対抗することができない。
特許法第七十三条第一項(共有)、第九十四条第二項(質権の設定)及び第九十七条第三項(放棄)の規定は、通常使用権に準用する。
団体商標に係る商標権を有する第七条第一項に規定する法人の構成員(以下「団体構成員」という。)又は地域団体商標に係る商標権を有する組合等の構成員(以下「地域団体構成員」という。)は、当該法人 又は当該組合等の定めるところにより、指定商品 又は指定役務について団体商標 又は地域団体商標に係る登録商標の使用をする権利を有する。
ただし、その商標権(団体商標に係る商標権に限る。)について専用使用権が設定されたときは、専用使用権者がその登録商標の使用をする権利を専有する範囲については、この限りでない。
前項本文の権利は、移転することができない。
団体構成員 又は地域団体構成員は、第二十四条の四、第二十九条、第五十条、第五十二条の二、第五十三条 及び第七十三条の規定の適用については、通常使用権者とみなす。
団体商標 又は地域団体商標に係る登録商標についての第三十三条第一項第三号の規定の適用については、
同号中
「又はその商標権 若しくは専用使用権についての第三十一条第四項の効力を有する通常使用権を有する者」とあるのは、
「若しくはその商標権 若しくは専用使用権についての第三十一条第四項の効力を有する通常使用権を有する者 又はその商標の使用をする権利を有する団体構成員 若しくは地域団体構成員」と
する。
他人の商標登録出願前から日本国内において不正競争の目的でなく その商標登録出願に係る指定商品 若しくは指定役務 又はこれらに類似する商品 若しくは役務についてその商標 又はこれに類似する商標の使用をしていた結果、その商標登録出願の際(第九条の四の規定により、又は第十七条の二第一項 若しくは第五十五条の二第三項(第六十条の二第二項において準用する場合を含む。)において準用する意匠法第十七条の三第一項の規定により、その商標登録出願が手続補正書を提出した時にしたものとみなされたときは、もとの商標登録出願の際 又は手続補正書を提出した際)現にその商標が自己の業務に係る商品 又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているときは、その者は、継続してその商品 又は役務についてその商標の使用をする場合は、その商品 又は役務についてその商標の使用をする権利を有する。
当該業務を承継した者についても、同様とする。
当該商標権者 又は専用使用権者は、前項の規定により商標の使用をする権利を有する者に対し、その者の業務に係る商品 又は役務と自己の業務に係る商品 又は役務との混同を防ぐのに適当な表示を付すべきことを請求することができる。
他人の地域団体商標の商標登録出願前から日本国内において不正競争の目的でなく その商標登録出願に係る指定商品 若しくは指定役務 又はこれらに類似する商品 若しくは役務についてその商標 又はこれに類似する商標の使用をしていた者は、継続してその商品 又は役務についてその商標の使用をする場合は、その商品 又は役務についてその商標の使用をする権利を有する。
当該業務を承継した者についても、同様とする。
当該商標権者は、前項の規定により商標の使用をする権利を有する者に対し、その者の業務に係る商品 又は役務と自己 又はその構成員の業務に係る商品 又は役務との混同を防ぐのに適当な表示を付すべきことを請求することができる。
次の各号のいずれかに該当する者が第四十六条第一項の審判の請求の登録前に商標登録が同項各号のいずれかに該当することを知らないで日本国内において指定商品 若しくは指定役務 又はこれらに類似する商品 若しくは役務について当該登録商標 又はこれに類似する商標の使用をし、その商標が自己の業務に係る商品 又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたときは、その者は、継続してその商品 又は役務についてその商標の使用をする場合は、その商品 又は役務についてその商標の使用をする権利を有する。
当該業務を承継した者についても、同様とする。
同一 又は類似の指定商品 又は指定役務について使用をする同一 又は類似の商標についての二以上の商標登録のうち、その一を無効にした場合における原商標権者
商標登録を無効にして同一 又は類似の指定商品 又は指定役務について使用をする同一 又は類似の商標について正当権利者に商標登録をした場合における原商標権者
前二号に掲げる場合において、第四十六条第一項の審判の請求の登録の際 現にその無効にした商標登録に係る商標権についての専用使用権 又はその商標権 若しくは専用使用権についての第三十一条第四項の効力を有する通常使用権を有する者
当該商標権者 又は専用使用権者は、前項の規定により商標の使用をする権利を有する者から相当の対価を受ける権利を有する。
第三十二条第二項の規定は、第一項の場合に準用する。
商標登録出願の日前 又はこれと同日の特許出願に係る特許権がその商標登録出願に係る商標権と抵触する場合において、その特許権の存続期間が満了したときは、その原特許権者は、原特許権の範囲内において、その商標登録出願に係る指定商品 若しくは指定役務 又はこれらに類似する商品 若しくは役務についてその登録商標 又はこれに類似する商標の使用をする権利を有する。
ただし、その使用が不正競争の目的でされない場合に限る。
第三十二条第二項の規定は、前項の場合に準用する。
前二項の規定は、商標登録出願の日前 又はこれと同日の出願に係る実用新案権 又は意匠権がその商標登録出願に係る商標権と抵触する場合において、その実用新案権 又は意匠権の存続期間が満了したときに準用する。
商標登録出願の日前 又はこれと同日の特許出願に係る特許権がその商標登録出願に係る商標権と抵触する場合において、その特許権の存続期間が満了したときは、その満了の際 現にその特許権についての専用実施権 又はその特許権 若しくは専用実施権についての通常実施権を有する者は、原権利の範囲内において、その商標登録出願に係る指定商品 若しくは指定役務 又はこれらに類似する商品 若しくは役務についてその登録商標 又はこれに類似する商標の使用をする権利を有する。
ただし、その使用が不正競争の目的でされない場合に限る。
第三十二条第二項 及び第三十三条第二項の規定は、前項の場合に準用する。
前二項の規定は、商標登録出願の日前 又はこれと同日の出願に係る実用新案権 又は意匠権がその商標登録出願に係る商標権と抵触する場合において、その実用新案権 又は意匠権の存続期間が満了したときに準用する。
商標権、専用使用権 又は通常使用権を目的として質権を設定したときは、質権者は、契約で別段の定めをした場合を除き、当該指定商品 又は指定役務について当該登録商標の使用をすることができない。
通常使用権を目的とする質権の設定、移転、変更、消滅 又は処分の制限は、登録しなければ、第三者に対抗することができない。
特許法第九十六条(物上代位)の規定は、商標権、専用使用権 又は通常使用権を目的とする質権に準用する。
特許法第九十八条第一項第三号 及び第二項(登録の効果)の規定は、商標権 又は専用使用権を目的とする質権に準用する。
特許法第七十三条(共有)、第七十六条(相続人がない場合の特許権の消滅)並びに第九十八条第一項第一号 及び第二項(登録の効果)の規定は、商標権に準用する。
この場合において、
同号中
「移転(相続 その他の一般承継によるものを除く。)」とあるのは、
「分割、移転(相続 その他の一般承継によるものを除く。)」と
読み替えるものとする。
第二節 権利侵害
商標権者 又は専用使用権者は、自己の商標権 又は専用使用権を侵害する者 又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止 又は予防を請求することができる。
商標権者 又は専用使用権者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却 その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができる。
次に掲げる行為は、当該商標権 又は専用使用権を侵害するものとみなす。
指定商品 若しくは指定役務についての登録商標に類似する商標の使用
又は指定商品 若しくは指定役務に類似する商品 若しくは役務についての登録商標 若しくはこれに類似する商標の使用
指定商品 又は指定商品 若しくは指定役務に類似する商品であつて、その商品 又はその商品の包装に登録商標 又はこれに類似する商標を付したものを譲渡、引渡し又は輸出のために所持する行為
指定役務 又は指定役務 若しくは指定商品に類似する役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に登録商標 又はこれに類似する商標を付したものを、これを用いて当該役務を提供するために所持し、又は輸入する行為
指定役務 又は指定役務 若しくは指定商品に類似する役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に登録商標 又はこれに類似する商標を付したものを、これを用いて当該役務を提供させるために譲渡し、引き渡し、又は譲渡 若しくは引渡しのために所持し、若しくは輸入する行為
指定商品 若しくは指定役務 又はこれらに類似する商品 若しくは役務について登録商標 又はこれに類似する商標の使用をするために登録商標 又はこれに類似する商標を表示する物を所持する行為
指定商品 若しくは指定役務 又はこれらに類似する商品 若しくは役務について登録商標 又はこれに類似する商標の使用をさせるために登録商標 又はこれに類似する商標を表示する物を譲渡し、引き渡し、又は譲渡 若しくは引渡しのために所持する行為
指定商品 若しくは指定役務 又はこれらに類似する商品 若しくは役務について登録商標 又はこれに類似する商標の使用をし、又は使用をさせるために登録商標 又はこれに類似する商標を表示する物を製造し、又は輸入する行為
登録商標 又はこれに類似する商標を表示する物を製造するためにのみ用いる物を業として製造し、譲渡し、引き渡し、又は輸入する行為
商標権者 又は専用使用権者が故意 又は過失により自己の商標権 又は専用使用権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為を組成した商品を譲渡したときは、次の各号に掲げる額の合計額を、商標権者 又は専用使用権者が受けた損害の額とすることができる。
商標権者 又は専用使用権者がその侵害の行為がなければ販売することができた商品の単位数量当たりの利益の額に、自己の商標権 又は専用使用権を侵害した者が譲渡した商品の数量(次号において「譲渡数量」という。)のうち当該商標権者 又は専用使用権者の使用の能力に応じた数量(同号において「使用相応数量」という。)を超えない部分(その全部 又は一部に相当する数量を当該商標権者 又は専用使用権者が販売することができないとする事情があるときは、当該事情に相当する数量(同号において「特定数量」という。)を控除した数量)を乗じて得た額
譲渡数量のうち使用相応数量を超える数量 又は特定数量がある場合(商標権者 又は専用使用権者が、当該商標権者の商標権についての専用使用権の設定 若しくは通常使用権の許諾 又は当該専用使用権者の専用使用権についての通常使用権の許諾をし得たと認められない場合を除く。)におけるこれらの数量に応じた当該商標権 又は専用使用権に係る登録商標の使用に対し受けるべき金銭の額に相当する額
商標権者 又は専用使用権者が故意 又は過失により自己の商標権 又は専用使用権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為により利益を受けているときは、その利益の額は、商標権者 又は専用使用権者が受けた損害の額と推定する。
商標権者 又は専用使用権者は、故意 又は過失により自己の商標権 又は専用使用権を侵害した者に対し、その登録商標の使用に対し受けるべき金銭の額に相当する額の金銭を、自己が受けた損害の額としてその賠償を請求することができる。
裁判所は、第一項第二号 及び前項に規定する登録商標の使用に対し受けるべき金銭の額に相当する額を認定するに当たつては、商標権者 又は専用使用権者が、自己の商標権 又は専用使用権に係る登録商標の使用の対価について、当該商標権 又は専用使用権の侵害があつたことを前提として当該商標権 又は専用使用権を侵害した者との間で合意をするとしたならば、当該商標権者 又は専用使用権者が得ることとなるその対価を考慮することができる。
商標権者 又は専用使用権者が故意 又は過失により自己の商標権 又は専用使用権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その侵害が指定商品 又は指定役務についての登録商標(書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名 及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであつて同一の称呼 及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標 その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。第五十条において同じ。)の使用によるものであるときは、その商標権の取得 及び維持に通常要する費用に相当する額を、商標権者 又は専用使用権者が受けた損害の額とすることができる。
第三項 及び前項の規定は、これらの規定に規定する金額を超える損害の賠償の請求を妨げない。
この場合において、商標権 又は専用使用権を侵害した者に故意 又は重大な過失がなかつたときは、裁判所は、損害の賠償の額を定めるについて、これを参酌することができる。
商標権 若しくは専用使用権の侵害 又は第十三条の二第一項(第六十八条第一項において準用する場合を含む。)に規定する金銭の支払の請求に係る訴訟の終局判決が確定した後に、次に掲げる審決 又は決定が確定したときは、当該訴訟の当事者であつた者は、当該終局判決に対する再審の訴え(当該訴訟を本案とする仮差押命令事件の債権者に対する損害賠償の請求を目的とする訴え 並びに当該訴訟を本案とする仮処分命令事件の債権者に対する損害賠償 及び不当利得返還の請求を目的とする訴えを含む。)においては、当該審決 又は決定が確定したことを主張することができない。
当該商標登録を無効にすべき旨の審決
当該商標登録を取り消すべき旨の決定
特許法第百三条(過失の推定)、第百四条の二(具体的態様の明示義務)、第百四条の三第一項 及び第二項(特許権者等の権利行使の制限)、第百五条(書類の提出等)、第百五条の二の十二から第百五条の六まで(損害計算のための鑑定、相当な損害額の認定、秘密保持命令、秘密保持命令の取消し及び訴訟記録の閲覧等の請求の通知等)並びに第百六条(信用回復の措置)の規定は、商標権 又は専用使用権の侵害に準用する。
第三節 登録料
商標権の設定の登録を受ける者は、登録料として、一件ごとに、三万二千九百円を超えない範囲内で政令で定める額に区分(指定商品 又は指定役務が属する第六条第二項の政令で定める商品 及び役務の区分をいう。以下同じ。)の数を乗じて得た額を納付しなければならない。
商標権の存続期間の更新登録の申請をする者は、登録料として、一件ごとに、四万三千六百円を超えない範囲内で政令で定める額に区分の数を乗じて得た額を納付しなければならない。
前二項の規定は、国に属する商標権には、適用しない。
第一項 又は第二項の登録料は、商標権が国と国以外の者との共有に係る場合であつて持分の定めがあるときは、第一項 又は第二項の規定にかかわらず、これらの規定に規定する登録料の金額に国以外の者の持分の割合を乗じて得た額とし、国以外の者がその額を納付しなければならない。
前項の規定により算定した登録料の金額に十円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。
第一項 又は第二項の登録料の納付は、経済産業省令で定めるところにより、特許印紙をもつてしなければならない。
ただし、経済産業省令で定める場合には、経済産業省令で定めるところにより、現金をもつて納めることができる。
前条第一項の規定による登録料は、商標登録をすべき旨の査定 又は審決の謄本の送達があつた日から三十日以内に納付しなければならない。
特許庁長官は、登録料を納付すべき者の請求により、三十日以内を限り、前項に規定する期間を延長することができる。
登録料を納付すべき者は、第一項に規定する期間(前項の規定による期間の延長があつたときは、延長後の期間)内にその登録料を納付することができないときは、その期間が経過した後であつても、経済産業省令で定める期間内に限り、経済産業省令で定めるところにより、その登録料を納付することができる。
登録料を納付すべき者がその責めに帰することができない理由により、前項の規定により登録料を納付することができる期間内にその登録料を納付することができないときは、同項の規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から十四日(在外者にあつては、二月)以内でその期間の経過後六月以内にその登録料を納付することができる。
前条第二項の規定による登録料は、更新登録の申請と同時に納付しなければならない。
商標権の設定の登録を受ける者は、第四十条第一項の規定にかかわらず、登録料を分割して納付することができる。
この場合においては、商標登録をすべき旨の査定 又は審決の謄本の送達があつた日から三十日以内に、一件ごとに、一万九千百円を超えない範囲内で政令で定める額に区分の数を乗じて得た額を納付するとともに、商標権の存続期間の満了前五年までに、一件ごとに、一万九千百円を超えない範囲内で政令で定める額に区分の数を乗じて得た額を納付しなければならない。
特許庁長官は、前項の規定により商標登録をすべき旨の査定 又は審決の謄本の送達があつた日から三十日以内に納付すべき登録料(以下「前期分割登録料」という。)を納付すべき者の請求により、三十日以内を限り、同項に規定する期間を延長することができる。
前期分割登録料を納付すべき者は、前期分割登録料を納付すべき期間(前項の規定による期間の延長があつたときは、延長後の期間)内に前期分割登録料を納付することができないときは、その期間が経過した後であつても、経済産業省令で定める期間内に限り、経済産業省令で定めるところにより、前期分割登録料を納付することができる。
前期分割登録料を納付すべき者がその責めに帰することができない理由により、前項の規定により前期分割登録料を納付することができる期間内に前期分割登録料を納付することができないときは、同項の規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から十四日(在外者にあつては、二月)以内でその期間の経過後六月以内にその登録料を納付することができる。
第一項の規定により商標権の存続期間の満了前五年までに納付すべき登録料(以下「後期分割登録料」という。)を納付すべき者は、後期分割登録料を納付すべき期間内に後期分割登録料を納付することができないときは、その期間が経過した後であつても、その期間の経過後六月以内に後期分割登録料を追納することができる。
前項の規定により後期分割登録料を追納することができる期間内に後期分割登録料 及び第四十三条第三項の規定により納付すべき割増登録料の納付がなかつたときは、その商標権は、存続期間の満了前五年の日に遡つて消滅したものとみなす。
商標権の存続期間の更新登録の申請をする者は、第四十条第二項の規定にかかわらず、登録料を分割して納付することができる。
この場合においては、更新登録の申請と同時に、一件ごとに、二万五千四百円を超えない範囲内で政令で定める額に区分の数を乗じて得た額を納付するとともに、商標権の存続期間の満了前五年までに、一件ごとに、二万五千四百円を超えない範囲内で政令で定める額に区分の数を乗じて得た額を納付しなければならない。
第五項 及び第六項の規定は、前項の規定により商標権の存続期間の満了前五年までに納付すべき登録料を追納する場合に準用する。
この場合において、
第五項中
「第一項」とあるのは、
「第七項」と
読み替えるものとする。
第四十条第三項から第五項までの規定は、第一項 及び第七項の場合に準用する。
前条第六項の規定により消滅したものとみなされた商標権の原商標権者は、経済産業省令で定める期間内に限り、経済産業省令で定めるところにより、後期分割登録料 及び第四十三条第三項の割増登録料を追納することができる。
ただし、故意に、前条第五項の規定により後期分割登録料を追納することができる期間内にその後 期分割登録料 及び割増登録料を納付しなかつたと認められる場合は、この限りでない。
前項の規定による後期分割登録料 及び第四十三条第三項の割増登録料の追納があつたときは、その商標権は、存続期間の満了前五年の日の前日の経過の時に遡つて存続していたものとみなす。
前二項の規定は、前条第七項の規定により商標権の存続期間の満了前五年までに納付すべき登録料 及び第四十三条第三項の割増登録料を追納する場合に準用する。
前条第二項の規定により回復した商標権の効力は、第四十一条の二第五項の規定により後期分割登録料を追納することができる期間の経過後 前条第二項の規定により商標権が存続していたものとみなされた旨の登録がされる前における次に掲げる行為には、及ばない。
当該指定商品 又は指定役務についての当該登録商標の使用
第三十七条各号に掲げる行為
前項の規定は、前条第三項において準用する同条第二項の規定により回復した商標権の効力について準用する。
利害関係人は、納付すべき者の意に反しても、登録料(更新登録の申請と同時に納付すべき登録料を除く。)を納付することができる。
前項の規定により登録料を納付した利害関係人は、納付すべき者が現に利益を受ける限度においてその費用の償還を請求することができる。
既納の登録料は、次に掲げるものに限り、納付した者の請求により返還する。
第四十一条の二第一項 又は第七項の規定により商標権の存続期間の満了前五年までに納付すべき登録料(商標権の存続期間の満了前五年までに第四十三条の三第二項の取消決定 又は商標登録を無効にすべき旨の審決が確定した場合に限る。)
前項の規定による登録料の返還は、同項第一号の登録料については納付した日から一年、同項第二号の登録料については第四十三条の三第二項の取消決定 又は審決が確定した日から六月を経過した後は、請求することができない。
第一項の規定による登録料の返還を請求する者がその責めに帰することができない理由により前項に規定する期間内にその請求をすることができないときは、同項の規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から十四日(在外者にあつては、二月)以内でその期間の経過後六月以内にその請求をすることができる。
第二十条第三項 又は第二十一条第一項の規定により更新登録の申請をする者は、第四十条第二項の規定により納付すべき登録料のほか、その登録料と同額の割増登録料を納付しなければならない。
ただし、当該更新登録の申請をする者がその責めに帰することができない理由により第二十条第二項に規定する期間内にその登録料を納付することができないときは、その割増登録料を納付することを要しない。
第四十一条の二第七項の場合においては、前項に規定する者は、同条第七項の規定により更新登録の申請と同時に納付すべき登録料のほか、その登録料と同額の割増登録料を納付しなければならない。
ただし、当該者がその責めに帰することができない理由により第二十条第二項に規定する期間内にその登録料を納付することができないときは、その割増登録料を納付することを要しない。
第四十一条の二第五項(同条第八項において準用する場合を含む。以下 この項において同じ。)の場合においては、商標権者は、同条第一項 又は第七項の規定により商標権の存続期間の満了前五年までに納付すべき登録料のほか、その登録料と同額の割増登録料を納付しなければならない。
ただし、当該商標権者がその責めに帰することができない理由により同条第五項に規定する後期分割登録料を納付すべき期間内にその登録料を納付することができないときは、その割増登録料を納付することを要しない。
前三項の割増登録料の納付は、経済産業省令で定めるところにより、特許印紙をもつてしなければならない。
ただし、経済産業省令で定める場合には、経済産業省令で定めるところにより、現金をもつて納めることができる。