児童虐待の防止等に関する法律

平成十二年法律第八十二号
略称 : 児童虐待防止法 
分類 法律
カテゴリ   社会福祉
@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第百四号による改正
最終編集日 : 2024年 04月16日 09時27分

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1項

この法律は、児童虐待が児童の人権を著しく侵害し、その心身の成長 及び人格の形成に重大な影響を与えるとともに、我が国における将来の世代の育成にも懸念を及ぼすことにかんがみ、児童に対する虐待の禁止、児童虐待の予防 及び早期発見 その他の児童虐待の防止に関する 及び地方公共団体の責務、児童虐待を受けた児童の保護 及び自立の支援のための措置等を定めることにより、児童虐待の防止等に関する施策を促進し、もって児童の権利利益の擁護に資することを目的とする。

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1項

この法律において、「児童虐待」とは、保護者親権を行う者未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)がその監護する児童十八歳に満たない者をいう。以下同じ。)について行う次に掲げる行為をいう。

一 号

児童の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること。

二 号

児童にわいせつな行為をすること 又は児童をしてわいせつな行為をさせること。

三 号

児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食 又は長時間の放置、保護者以外の同居人による前二号 又は次号に掲げる行為と同様の行為の放置 その他の保護者としての監護を著しく怠ること。

四 号

児童に対する著しい暴言 又は著しく拒絶的な対応、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力(配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)の身体に対する不法な攻撃であって生命 又は身体に危害を及ぼすもの及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動をいう。)その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。

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1項

何人も、児童に対し、虐待をしてはならない。

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1項

及び地方公共団体は、児童虐待の予防 及び早期発見、迅速かつ適切な児童虐待を受けた児童の保護 及び自立の支援(児童虐待を受けた後十八歳となった者に対する自立の支援を含む。第三項 及び次条第二項において同じ。)並びに児童虐待を行った保護者に対する親子の再統合の促進への配慮 その他の児童虐待を受けた児童が家庭(家庭における養育環境と同様の養育環境 及び良好な家庭的環境を含む。)で生活するために必要な配慮をした適切な指導 及び支援を行うため、関係省庁相互間 その他関係機関 及び民間団体の間の連携の強化、民間団体の支援、医療の提供体制の整備 その他児童虐待の防止等のために必要な体制の整備に努めなければならない。

2項

及び地方公共団体は、児童相談所等関係機関の職員 及び学校の教職員、児童福祉施設の職員、医師、歯科医師、保健師、助産師、看護師、弁護士 その他児童の福祉に職務上関係のある者が児童虐待を早期に発見し、その他児童虐待の防止に寄与することができるよう、研修等必要な措置を講ずるものとする。

3項

及び地方公共団体は、児童虐待を受けた児童の保護 及び自立の支援を専門的知識に基づき適切に行うことができるよう、児童相談所等関係機関の職員、学校の教職員、児童福祉施設の職員 その他児童虐待を受けた児童の保護 及び自立の支援の職務に携わる者の人材の確保 及び資質の向上を図るため、研修等必要な措置を講ずるものとする。

4項

及び地方公共団体は、児童虐待の防止に資するため、児童の人権、児童虐待が児童に及ぼす影響、児童虐待に係る通告義務等について必要な広報 その他の啓発活動に努めなければならない。

5項

及び地方公共団体は、児童虐待を受けた児童がその心身に著しく重大な被害を受けた事例の分析を行うとともに、児童虐待の予防 及び早期発見のための方策、児童虐待を受けた児童のケア 並びに児童虐待を行った保護者の指導 及び支援のあり方、学校の教職員 及び児童福祉施設の職員が児童虐待の防止に果たすべき役割 その他児童虐待の防止等のために必要な事項についての調査研究 及び検証を行うものとする。

6項

児童相談所の所長は、児童虐待を受けた児童が住所 又は居所を当該児童相談所の管轄区域外に移転する場合においては、当該児童の家庭環境 その他の環境の変化による影響に鑑み、当該児童 及び当該児童虐待を行った保護者について、その移転の前後において指導、助言 その他の必要な支援が切れ目なく行われるよう、移転先の住所 又は居所を管轄する児童相談所の所長に対し、速やかに必要な情報の提供を行うものとする。


この場合において、当該情報の提供を受けた児童相談所長は、児童福祉法昭和二十二年法律第百六十四号第二十五条の二第一項に規定する要保護児童対策地域協議会が速やかに当該情報の交換を行うことができるための措置 その他の緊密な連携を図るために必要な措置を講ずるものとする。

7項

児童の親権を行う者は、児童を心身ともに健やかに育成することについて第一義的責任を有するものであって、親権を行うに当たっては、できる限り児童の利益を尊重するよう努めなければならない。

8項

何人も、児童の健全な成長のために、家庭家庭における養育環境と同様の養育環境 及び良好な家庭的環境を含む。)及び近隣社会の連帯が求められていることに留意しなければならない。

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1項

学校、児童福祉施設、病院、都道府県警察、女性相談支援センター、教育委員会、配偶者暴力相談支援センター その他児童の福祉に業務上関係のある団体 及び学校の教職員、児童福祉施設の職員、医師、歯科医師、保健師、助産師、看護師、弁護士、警察官、女性相談支援員 その他児童の福祉に職務上関係のある者は、児童虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、児童虐待の早期発見に努めなければならない。

2項

前項規定する者は、児童虐待の予防 その他の児童虐待の防止 並びに児童虐待を受けた児童の保護 及び自立の支援に関する 及び地方公共団体の施策に協力するよう努めなければならない。

3項

第一項に規定する者は、正当な理由がなく、その職務に関して知り得た児童虐待を受けたと思われる児童に関する秘密を漏らしてはならない。

4項

前項の規定 その他の守秘義務に関する法律の規定は、第二項の規定による 及び地方公共団体の施策に協力するように努める義務の遵守を妨げるものと解釈してはならない。

5項

学校 及び児童福祉施設は、児童 及び保護者に対して、児童虐待の防止のための教育 又は啓発に努めなければならない。

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1項

児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに、これを市町村、都道府県の設置する福祉事務所 若しくは児童相談所 又は児童委員を介して市町村、都道府県の設置する福祉事務所 若しくは児童相談所通告しなければならない。

2項

前項の規定による通告は、児童福祉法第二十五条第一項の規定による通告とみなして、同法の規定を適用する。

3項

刑法明治四十年法律第四十五号)の秘密漏示罪の規定 その他の守秘義務に関する法律の規定は、第一項の規定による通告をする義務の遵守を妨げるものと解釈してはならない。

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1項

市町村、都道府県の設置する福祉事務所 又は児童相談所前条第一項の規定による通告を受けた場合においては、当該通告を受けた市町村、都道府県の設置する福祉事務所 又は児童相談所の所長所員その他の職員 及び当該通告を仲介した児童委員は、その職務上知り得た事項であって当該通告をした者を特定させるものを漏らしてはならない。

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1項

市町村 又は都道府県の設置する福祉事務所第六条第一項の規定による通告を受けたときは、市町村 又は福祉事務所のは、必要に応じ近隣住民学校の教職員児童福祉施設の職員その他の者の協力を得つつ、当該児童との面会 その他の当該児童の安全の確認を行うための措置を講ずるとともに、必要に応じ次に掲げる措置を採るものとする。

一 号

児童福祉法第二十五条の七第一項第一号 若しくは第二項第一号 又は第二十五条の八第一号の規定により当該児童を児童相談所に送致すること。

二 号

当該児童のうち次条第一項の規定による出頭の求め及び調査 若しくは質問、第九条第一項の規定による立入り及び調査 若しくは質問 又は児童福祉法第三十三条第一項 若しくは第二項の規定による一時保護の実施が適当であると認めるものを都道府県知事 又は児童相談所長へ通知すること。

2項

児童相談所第六条第一項の規定による通告 又は児童福祉法第二十五条の七第一項第一号 若しくは第二項第一号 若しくは第二十五条の八第一号の規定による送致を受けたときは、児童相談所長は、必要に応じ近隣住民学校の教職員児童福祉施設の職員その他の者の協力を得つつ、当該児童との面会 その他の当該児童の安全の確認を行うための措置を講ずるとともに、必要に応じ次に掲げる措置を採るものとする。

一 号

児童福祉法第三十三条第一項の規定により当該児童の一時保護を行い、又は適当な者に委託して、当該一時保護を行わせること。

二 号

児童福祉法第二十六条第一項第三号の規定により当該児童のうち第六条第一項の規定による通告を受けたものを市町村に送致すること。

三 号

当該児童のうち児童福祉法第六条の三第十八項に規定する妊産婦等生活援助事業の実施 又は同法第二十五条の八第三号に規定する保育の利用等(以下 この号において「保育の利用等」という。)が適当であると認めるものを その妊産婦等生活援助事業の実施 又は保育の利用等に係る都道府県 又は市町村の長へ報告し、又は通知すること。

四 号

当該児童のうち児童福祉法第六条の三第二項に規定する放課後児童健全育成事業、同条第三項に規定する子育て短期支援事業、同条第五項に規定する養育支援訪問事業、同条第六項に規定する地域子育て支援拠点事業、同条第七項に規定する一時預かり事業、同条第十四項に規定する子育て援助活動支援事業、同条第十九項に規定する子育て世帯訪問支援事業、同条第二十項に規定する児童育成支援拠点事業、同条第二十一項に規定する親子関係形成支援事業、子ども・子育て支援法平成二十四年法律第六十五号第五十九条第一号に掲げる事業 その他市町村が実施する児童の健全な育成に資する事業の実施が適当であると認めるものを その事業の実施に係る市町村の長へ通知すること。

3項

前二項児童の安全の確認を行うための措置、市町村 若しくは児童相談所への送致 又は一時保護を行う者は、速やかにこれを行うものとする。

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1項

都道府県知事は、児童虐待が行われているおそれがあると認めるときは、当該児童の保護者に対し、当該児童を同伴して出頭することを求め、児童委員 又は児童の福祉に関する事務に従事する職員をして、必要な調査 又は質問をさせることができる。


この場合においては、その身分を証明する証票を携帯させ、関係者の請求があったときは、これを提示させなければならない。

2項

都道府県知事は、前項の規定により当該児童の保護者出頭を求めようとするときは、内閣府令で定めるところにより、当該保護者に対し、出頭を求める理由となった事実の内容、出頭を求める日時 及び場所、同伴すべき児童の氏名 その他必要な事項を記載した書面により告知しなければならない。

3項

都道府県知事は、第一項保護者同項の規定による出頭の求めに応じない場合は、次条第一項の規定による児童委員 又は児童の福祉に関する事務に従事する職員の立入り 及び調査 又は質問 その他の必要な措置を講ずるものとする。

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1項

都道府県知事は、児童虐待が行われているおそれがあると認めるときは、児童委員 又は児童の福祉に関する事務に従事する職員をして、児童の住所 又は居所に立ち入り、必要な調査 又は質問をさせることができる。


この場合においては、その身分を証明する証票を携帯させ、関係者の請求があったときは、これを提示させなければならない。

2項

前項の規定による児童委員 又は児童の福祉に関する事務に従事する職員の立入り 及び調査 又は質問は、児童福祉法第二十九条の規定による児童委員 又は児童の福祉に関する事務に従事する職員の立入り 及び調査 又は質問とみなして、同法第六十一条の五第二項の規定を適用する。

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1項

都道府県知事は、第八条の二第一項の保護者 又は前条第一項児童の保護者が正当な理由なく同項の規定による児童委員 又は児童の福祉に関する事務に従事する職員の立入り 又は調査を拒み、妨げ、又は忌避した場合において、児童虐待が行われているおそれがあると認めるときは、当該保護者に対し、当該児童を同伴して出頭することを求め、児童委員 又は児童の福祉に関する事務に従事する職員をして、必要な調査 又は質問をさせることができる。


この場合においては、その身分を証明する証票を携帯させ、関係者の請求があったときは、これを提示させなければならない。

2項

第八条の二第二項の規定は、前項の規定による出頭の求めについて準用する。

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1項

都道府県知事は、第八条の二第一項保護者 又は第九条第一項児童の保護者が正当な理由なく同項の規定による児童委員 又は児童の福祉に関する事務に従事する職員の立入り 又は調査を拒み、妨げ、又は忌避した場合において、児童虐待が行われている疑いがあるときは、当該児童の安全の確認を行い、又はその安全を確保するため、児童の福祉に関する事務に従事する職員をして、当該児童の住所 又は居所の所在地を管轄する地方裁判所、家庭裁判所 又は簡易裁判所の裁判官があらかじめ発する許可状により、当該児童の住所 若しくは居所に臨検させ、又は当該児童を捜索させることができる。

2項

都道府県知事は、前項の規定による臨検 又は捜索をさせるときは、児童の福祉に関する事務に従事する職員をして、必要な調査 又は質問をさせることができる。

3項

都道府県知事は、第一項の許可状(以下「許可状」という。)を請求する場合においては、児童虐待が行われている疑いがあると認められる資料、臨検させようとする住所 又は居所に当該児童が現在すると認められる資料 及び当該児童の保護者第九条第一項の規定による立入り又は調査を拒み、妨げ、又は忌避したことを証する資料を提出しなければならない。

4項

前項の請求があった場合においては、地方裁判所、家庭裁判所 又は簡易裁判所の裁判官は、臨検すべき場所 又は捜索すべき児童の氏名 並びに有効期間、その期間経過後は執行に着手することができず これを返還しなければならない旨、交付の年月日 及び裁判所名を記載し、自己の記名押印した許可状を都道府県知事交付しなければならない。

5項

都道府県知事は、許可状を児童の福祉に関する事務に従事する職員に交付して、第一項の規定による臨検 又は捜索をさせるものとする。

6項

第一項の規定による臨検 又は捜索に係る制度は、児童虐待が保護者がその監護する児童に対して行うものであるために他人から認知されること 及び児童がその被害から自ら逃れることが困難である等の特別の事情から児童の生命 又は身体に重大な危険を生じさせるおそれがあることにかんがみ特に設けられたものであることを十分に踏まえた上で、適切に運用されなければならない。

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1項

前条第一項の規定による臨検 又は捜索は、許可状に夜間でもすることができる旨の記載がなければ、日没から日の出までの間には、してはならない。

2項

日没前に開始した前条第一項の規定による臨検 又は捜索は、必要があると認めるときは、日没後まで継続することができる。

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1項

第九条の三第一項の規定による臨検 又は捜索の許可状は、これらの処分を受ける者提示しなければならない。

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1項

児童の福祉に関する事務に従事する職員は、第九条の三第一項の規定による臨検 若しくは捜索 又は同条第二項の規定による調査 若しくは質問(以下「臨検等」という。)をするときは、その身分を示す証票を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。

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1項

児童の福祉に関する事務に従事する職員は、第九条の三第一項の規定による臨検 又は捜索をするに当たって必要があるときは、錠をはずし、その他必要な処分をすることができる。

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1項

児童の福祉に関する事務に従事する職員は、臨検等をする間は、何人に対しても、許可を受けないでその場所に出入りすることを禁止することができる。

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1項

児童の福祉に関する事務に従事する職員は、第九条の三第一項の規定による臨検 又は捜索をするときは、当該児童の住所 若しくは居所の所有者 若しくは管理者これらの者の代表者、代理人 その他これらの者に代わるべき者を含む。)又は同居の親族で成年に達した者を立ち会わせなければならない。

2項

前項の場合において、同項規定する者を立ち会わせることができないときは、その隣人で成年に達した者 又はその地の地方公共団体の職員を立ち会わせなければならない。

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1項

児童相談所長は、第八条第二項児童の安全の確認を行おうとする場合、又は同項第一号の一時保護を行おうとし、若しくは行わせようとする場合において、これらの職務の執行に際し必要があると認めるときは、当該児童の住所 又は居所の所在地を管轄する警察署長に対し援助を求めることができる。


都道府県知事が、第九条第一項の規定による立入り 及び調査 若しくは質問をさせ、又は臨検等をさせようとする場合についても、同様とする。

2項

児童相談所長 又は都道府県知事は、児童の安全の確認 及び安全の確保に万全を期する観点から、必要に応じ 迅速かつ適切に、前項の規定により警察署長に対し援助を求めなければならない。

3項

警察署長は、第一項の規定による援助の求めを受けた場合において、児童の生命 又は身体の安全を確認し、又は確保するため必要と認めるときは、速やかに、所属の警察官に、同項の職務の執行を援助するために必要な警察官職務執行法昭和二十三年法律第百三十六号)その他の法令の定めるところによる措置を講じさせるよう努めなければならない。

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1項

児童の福祉に関する事務に従事する職員は、第九条の三第一項の規定による臨検 又は捜索をしたときは、これらの処分をした年月日 及びその結果を記載した調書を作成し、立会人に示し、当該立会人とともにこれに署名押印しなければならない。


ただし立会人が署名押印をせず、又は署名押印することができないときは、その旨を付記すれば足りる。

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1項

児童の福祉に関する事務に従事する職員は、臨検等を終えたときは、その結果を都道府県知事報告しなければならない。

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1項

臨検等に係る処分については、行政手続法平成五年法律第八十八号第三章の規定は、適用しない

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1項

臨検等に係る処分については、審査請求をすることができない

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1項

臨検等に係る処分については、行政事件訴訟法昭和三十七年法律第百三十九号第三十七条の四の規定による差止めの訴えを提起することができない

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1項

都道府県知事 又は児童相談所長は、児童虐待を行った保護者について児童福祉法第二十七条第一項第二号 又は第二十六条第一項第二号の規定により指導を行う場合は、当該保護者について、児童虐待の再発を防止するため、医学的 又は心理学的知見に基づく指導を行うよう努めるものとする。

2項

児童虐待を行った保護者について児童福祉法第二十七条第一項第二号の規定により行われる指導は、親子の再統合への配慮 その他の児童虐待を受けた児童が家庭(家庭における養育環境と同様の養育環境 及び良好な家庭的環境を含む。)で生活するために必要な配慮の下に適切に行われなければならない。

3項

児童虐待を行った保護者について児童福祉法第二十七条第一項第二号の措置が採られた場合においては、当該保護者は、同号の指導を受けなければならない。

4項

前項の場合において保護者同項の指導を受けないときは、都道府県知事は、当該保護者に対し、同項の指導を受けるよう勧告することができる。

5項

都道府県知事は、前項の規定による勧告を受けた保護者が当該勧告に従わない場合において必要があると認めるときは、児童福祉法第三十三条第二項の規定により児童相談所長をして児童虐待を受けた児童の一時保護を行わせ、又は適当な者に当該一時保護を行うことを委託させ、同法第二十七条第一項第三号 又は第二十八条第一項の規定による措置を採る等の必要な措置を講ずるものとする。

6項

児童相談所長は、第四項の規定による勧告を受けた保護者が当該勧告に従わず、その監護する児童に対し親権を行わせることが著しく当該児童の福祉を害する場合には、必要に応じて、適切に、児童福祉法第三十三条の七の規定による請求を行うものとする。

7項

都道府県は、保護者への指導(第二項の指導 及び児童虐待を行った保護者に対する児童福祉法第十一条第一項第二号ニの規定による指導をいう。以下 この項において同じ。)を効果的に行うため、同法第十三条第五項に規定する指導教育担当児童福祉司同項に規定する指導 及び教育のほか保護者への指導を行う者に対する専門的技術に関する指導 及び教育を行わせるとともに、第八条の二第一項の規定による調査 若しくは質問、第九条第一項の規定による立入り及び調査 若しくは質問、第九条の二第一項の規定による調査 若しくは質問、第九条の三第一項の規定による臨検 若しくは捜索 又は同条第二項の規定による調査 若しくは質問をした児童の福祉に関する事務に従事する職員 並びに同法第三十三条第一項又は第二項の規定による児童の一時保護を行った児童福祉司以外の者に当該児童に係る保護者への指導を行わせること その他の必要な措置を講じなければならない。

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1項

児童虐待を受けた児童について児童福祉法第二十七条第一項第三号の措置(以下「施設入所等の措置」という。)が採られ、又は同法第三十三条第一項 若しくは第二項の規定による一時保護が行われた場合において、児童虐待の防止 及び児童虐待を受けた児童の保護のため必要があると認めるときは、児童相談所長 及び当該児童について施設入所等の措置が採られている場合における当該施設入所等の措置に係る同号に規定する施設の長は、内閣府令で定めるところにより、当該児童虐待を行った保護者について、次に掲げる行為の全部 又は一部を制限することができる。

一 号
当該児童との面会
二 号
当該児童との通信
2項

前項施設の長は、同項の規定による制限を行った場合 又は行わなくなった場合は、その旨を児童相談所長に通知するものとする。

3項

児童虐待を受けた児童について施設入所等の措置(児童福祉法第二十八条の規定によるものに限る)が採られ、又は同法第三十三条第一項 若しくは第二項の規定による一時保護が行われた場合において、当該児童虐待を行った保護者に対し当該児童の住所 又は居所を明らかにしたとすれば、当該保護者が当該児童を連れ戻すおそれがある等 再び児童虐待が行われるおそれがあり、又は当該児童の保護に支障をきたすと認めるときは、児童相談所長は、当該保護者に対し、当該児童の住所 又は居所を明らかにしないものとする。

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1項

児童虐待を受けた児童について施設入所等の措置(児童福祉法第二十八条の規定によるものを除く。以下 この項において同じ。)が採られた場合において、当該児童虐待を行った保護者に当該児童を引き渡した場合には再び児童虐待が行われるおそれがあると認められるにもかかわらず、当該保護者が当該児童の引渡しを求めること、当該保護者前条第一項の規定による制限に従わないこと その他の事情から当該児童について当該施設入所等の措置を採ることが当該保護者の意に反し、これを継続することが困難であると認めるときは、児童相談所長は、次項の報告を行うに至るまで、同法第三十三条第一項の規定により当該児童の一時保護を行い、又は適当な者に委託して、当該一時保護を行わせることができる。

2項

児童相談所長は、前項の一時保護を行った、又は行わせた場合には、速やかに、児童福祉法第二十六条第一項第一号の規定に基づき、同法第二十八条の規定による施設入所等の措置を要する旨を都道府県知事報告しなければならない。

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1項

児童相談所長は、児童福祉法第三十三条第一項の規定により、児童虐待を受けた児童について一時保護を行っている、又は適当な者に委託して、一時保護を行わせている場合(前条第一項の一時保護を行っている、又は行わせている場合を除く)において、当該児童について施設入所等の措置を要すると認めるときであって、当該児童虐待を行った保護者に当該児童を引き渡した場合には再び児童虐待が行われるおそれがあると認められるにもかかわらず、当該保護者が当該児童の引渡しを求めること、当該保護者第十二条第一項の規定による制限に従わないこと その他の事情から当該児童について施設入所等の措置を採ることが当該保護者の意に反すると認めるときは、速やかに、同法第二十六条第一項第一号の規定に基づき、同法第二十八条の規定による施設入所等の措置を要する旨を都道府県知事報告しなければならない。

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1項

都道府県知事 又は児童相談所長は、児童虐待を受けた児童について施設入所等の措置が採られ、又は児童福祉法第三十三条第一項 若しくは第二項の規定による一時保護が行われ、かつ、第十二条第一項の規定により、当該児童虐待を行った保護者について、同項各号に掲げる行為の全部が制限されている場合において、児童虐待の防止 及び児童虐待を受けた児童の保護のため特に必要があると認めるときは、内閣府令で定めるところにより、六月を超えない期間を定めて、当該保護者に対し、当該児童の住所 若しくは居所、就学する学校 その他の場所において当該児童の身辺につきまとい、又は当該児童の住所 若しくは居所、就学する学校 その他その通常所在する場所(通学路 その他の当該児童が日常生活 又は社会生活を営むために通常移動する経路を含む。)の付近をはいかいしてはならないことを命ずることができる。

2項

都道府県知事 又は児童相談所長は、前項に規定する場合において、引き続き児童虐待の防止 及び児童虐待を受けた児童の保護のため特に必要があると認めるときは、六月を超えない期間を定めて、同項の規定による命令に係る期間を更新することができる。

3項

都道府県知事 又は児童相談所長は、第一項の規定による命令をしようとするとき(前項の規定により第一項の規定による命令に係る期間を更新しようとするときを含む。)は、行政手続法第十三条第一項の規定による意見陳述のための手続の区分にかかわらず、聴聞を行わなければならない。

4項

第一項の規定による命令をするとき(第二項の規定により第一項の規定による命令に係る期間を更新するときを含む。)は、内閣府令で定める事項を記載した命令書を交付しなければならない。

5項

第一項の規定による命令が発せられた後に施設入所等の措置が解除され、停止され、若しくは他の措置に変更された場合、児童福祉法第三十三条第一項 若しくは第二項の規定による一時保護が解除された場合 又は第十二条第一項の規定による制限の全部 若しくは一部が行われなくなった場合は、当該命令は、その効力を失う。


同法第二十八条第三項の規定により引き続き施設入所等の措置が採られ、又は同法第三十三条第六項の規定により引き続き一時保護が行われている場合において、第一項の規定による命令が発せられたときであって、当該命令に係る期間が経過する前に同法第二十八条第二項の規定による当該施設入所等の措置の期間の更新に係る承認の申立てに対する審判 又は同法第三十三条第五項本文の規定による引き続いての一時保護に係る承認の申立てに対する審判が確定したときも、同様とする。

6項

都道府県知事 又は児童相談所長は、第一項の規定による命令をした場合において、その必要がなくなったと認めるときは、内閣府令で定めるところにより、その命令を取り消さなければならない。

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1項

都道府県知事は、児童虐待を受けた児童について施設入所等の措置が採られ、及び当該児童の保護者について児童福祉法第二十七条第一項第二号の措置が採られた場合において、当該児童について採られた施設入所等の措置を解除しようとするときは、当該児童の保護者について同号の指導を行うこととされた児童福祉司等の意見を聴くとともに、当該児童の保護者に対し採られた当該指導の効果、当該児童に対し再び児童虐待が行われることを予防するために採られる措置について見込まれる効果、当該児童の家庭環境 その他内閣府令で定める事項を勘案しなければならない。

2項

都道府県知事は、児童虐待を受けた児童について施設入所等の措置が採られ、又は児童福祉法第三十三条第二項の規定による一時保護が行われた場合において、当該児童について採られた施設入所等の措置 又は行われた一時保護を解除するときは、当該児童の保護者に対し、親子の再統合の促進 その他の児童虐待を受けた児童が家庭で生活することを支援するために必要な助言を行うことができる。

3項

都道府県知事は、前項の助言に係る事務の全部 又は一部を内閣府令で定める者に委託することができる。

4項

前項の規定により行われる助言に係る事務に従事する者 又は従事していた者は、正当な理由がなく、その事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

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1項

都道府県は、児童虐待を受けた児童について施設入所等の措置が採られ、又は児童福祉法第三十三条第二項の規定による一時保護が行われた場合において、当該児童について採られた施設入所等の措置 若しくは行われた一時保護を解除するとき 又は当該児童一時的に帰宅するときは、必要と認める期間、市町村児童福祉施設 その他の関係機関との緊密な連携を図りつつ、当該児童の家庭を継続的に訪問することにより当該児童の安全の確認を行うとともに、当該児童の保護者からの相談に応じ、当該児童の養育に関する指導、助言 その他の必要な支援を行うものとする。

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1項

市町村は、子ども・子育て支援法第二十七条第一項に規定する特定教育・保育施設(次項において「特定教育・保育施設」という。)又は同法第四十三条第二項に規定する特定地域型保育事業(次項において「特定地域型保育事業」という。)の利用について、同法第四十二条第一項若しくは第五十四条第一項の規定により相談、助言 若しくはあっせん 若しくは要請を行う場合 又は児童福祉法第二十四条第三項の規定により調整 若しくは要請を行う場合には、児童虐待の防止に寄与するため、特別の支援を要する家庭の福祉に配慮をしなければならない。

2項

特定教育・保育施設の設置者 又は子ども・子育て支援法第二十九条第一項に規定する特定地域型保育事業者は、同法第三十三条第二項 又は第四十五条第二項の規定により当該特定教育・保育施設を利用する児童(同法第十九条第二号 又は第三号に該当する児童に限る。以下 この項において同じ。)又は当該特定地域型保育事業者に係る特定地域型保育事業を利用する児童を選考するときは、児童虐待の防止に寄与するため、特別の支援を要する家庭の福祉に配慮をしなければならない。

3項

及び地方公共団体は、児童虐待を受けた児童がその年齢 及び能力に応じ充分な教育が受けられるようにするため、教育の内容 及び方法の改善 及び充実を図る等必要な施策を講じなければならない。

4項

及び地方公共団体は、居住の場所の確保、進学 又は就業の支援 その他の児童虐待を受けた者の自立の支援のための施策を講じなければならない。

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1項

地方公共団体の機関 及び病院、診療所、児童福祉施設、学校 その他児童の医療、福祉 又は教育に関係する機関(地方公共団体の機関を除く)並びに医師、歯科医師、保健師、助産師、看護師、児童福祉施設の職員、学校の教職員 その他児童の医療、福祉 又は教育に関連する職務に従事する者は、市町村長、都道府県の設置する福祉事務所の長 又は児童相談所長から児童虐待に係る児童 又はその保護者の心身の状況、これらの者の置かれている環境 その他児童虐待の防止等に係る当該児童、その保護者その他の関係者に関する資料 又は情報の提供を求められたときは、当該資料 又は情報について、当該市町村長、都道府県の設置する福祉事務所の長 又は児童相談所長が児童虐待の防止等に関する事務 又は業務の遂行に必要な限度で利用し、かつ、利用することに相当の理由があるときは、これを提供することができる。


ただし、当該資料 又は情報を提供することによって、当該資料 又は情報に係る児童、その保護者その他の関係者 又は第三者の権利利益を不当に侵害するおそれがあると認められるときは、この限りでない。

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1項

都道府県知事は、児童福祉法第八条第二項に規定する都道府県児童福祉審議会同条第一項ただし書に規定する都道府県にあっては、地方社会福祉審議会)に、第九条第一項の規定による立入り 及び調査 又は質問、臨検等 並びに児童虐待を受けた児童に行われた同法第三十三条第一項 又は第二項の規定による一時保護の実施状況、児童の心身に著しく重大な被害を及ぼした児童虐待の事例 その他の内閣府令で定める事項を報告しなければならない。

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1項

児童の親権を行う者は、児童のしつけに際して、児童の人格を尊重するとともに、その年齢 及び発達の程度に配慮しなければならず、かつ、体罰 その他の児童の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動をしてはならない。

2項

児童の親権を行う者は、児童虐待に係る暴行罪、傷害罪 その他の犯罪について、当該児童の親権を行う者であることを理由として、その責めを免れることはない。

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1項

民法明治二十九年法律第八十九号)に規定する親権の喪失の制度は、児童虐待の防止 及び児童虐待を受けた児童の保護の観点からも、適切に運用されなければならない。

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1項

この法律中都道府県が処理することとされている事務で政令で定めるものは、地方自治法昭和二十二年法律第六十七号第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下「指定都市」という。)及び同法第二百五十二条の二十二第一項の中核市(以下「中核市」という。)並びに児童福祉法第五十九条の四第一項に規定する児童相談所設置市においては、政令で定めるところにより、指定都市 若しくは中核市 又は児童相談所設置市以下「指定都市等」という。)が処理するものとする。


この場合においては、この法律中都道府県に関する規定は、指定都市等に関する規定として指定都市等に適用があるものとする。

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1項

第十二条の四第一項の規定による命令(同条第二項の規定により同条第一項の規定による命令に係る期間が更新された場合における当該命令を含む。)に違反した者は、一年以下の懲役 又は百万円以下の罰金に処する。

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1項

第十三条第四項の規定に違反した者は、一年以下の懲役 又は五十万円以下の罰金に処する。

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