高等専門学校は、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号) その他の法令の規定によるほか、この省令の定めるところにより設置するものとする。
高等専門学校設置基準
制定に関する表明
第一章 総則
高等専門学校は、その組織編制、施設、設備等がこの省令で定める設置基準より低下した状態にならないようにすることはもとより、学校教育法第百二十三条において準用する同法第百九条第一項の点検 及び評価の結果 並びに認証評価の結果を踏まえ、教育研究活動等について不断の見直しを行うことにより、常にその充実を図り、もつて教育水準の維持向上に努めなければならない。
前項の場合において、高等専門学校は、その教育内容を学術の進展に即応させるため、必要な研究が行われるように努めるものとする。
高等専門学校は、学科ごとに、人材の養成に関する目的 その他の教育上の目的を学則等に定めるものとする。
入学者の選抜は、学校教育法施行規則(昭和二十二年文部省令第十一号)第百七十九条において準用する同令第百六十五条の二第一項第三号の規定により定める方針に基づき、公正かつ妥当な方法により、適切な体制を整えて行うものとする。
第二章 組織編制
高等専門学校の学科は、専攻分野を教育するために組織されるものであつて、その規模内容が学科として適当と認められるものとする。
高等専門学校においては、同一の学科につき同一の学年の学生をもつて一 又は数個の学級を編制するものとする。
ただし、教育上有益と認めるときには、異なる学科の学生をもつて学級を編制することができる。
一学級の学生の数は、四十人を標準とする。
高等専門学校は、教育研究実施組織 及び前項の組織の円滑かつ効果的な業務の遂行のための支援、高等専門学校運営に係る企画立案、当該高等専門学校以外の者との連携、人事、総務、財務、広報、情報システム 並びに施設 及び設備の整備 その他の高等専門学校運営に必要な業務を行うため、専属の教員 又は事務職員等を置く組織を編制するものとする。
教員のうち、第十六条に規定する一般科目を担当する基幹教員(教育課程の編成 その他の学科の運営について責任を担う教員(助手を除く。)であつて、専ら当該高等専門学校の教育に従事するもの又は一年につき八単位以上の当該高等専門学校の授業科目を担当するものをいう。以下同じ。)の数は、次の各号に掲げる数を下つてはならない。
入学定員に係る学生を一の学級に編制する場合は、十人
入学定員に係る学生を二の学級に編制する場合は、十二人
入学定員に係る学生を三の学級に編制する場合は、十四人
入学定員に係る学生を四の学級から六の学級までに編制する場合は、十四人に三学級を超えて一学級を増すごとに四人を加えた数
入学定員に係る学生を七以上の学級に編制する場合は、二十六人に六学級を超えて一学級を増すごとに三人を加えた数
教員のうち、工学に関する学科において第十六条に規定する専門科目を担当する基幹教員の数は、当該高等専門学校に一の学科を置くときは八人、二以上の学科を置くときは八人に一学科を超えて一学科を増すごとに七人を加えた数を下つてはならない。
この場合において、一学科の入学定員に係る学生を二以上の学級に編制するときは、これらに一学級を超えて一学級を増すごとに五人を加えるものとする。
工学に関する学科以外の学科において第十六条に規定する専門科目を担当する基幹教員の数は、別に定める。
第六項に規定する一般科目を担当する基幹教員の数 及び第七項 又は前項に規定する専門科目を担当する基幹教員の数を合計した数(次項 及び第八条の二において「必要基幹教員数」という。)の四分の三以上は、専ら当該高等専門学校の教育に従事する教員とする。
高等専門学校の基幹教員が他の高等専門学校において八単位以上の授業科目を担当する場合は、当該基幹教員を当該他の高等専門学校の必要基幹教員数の四分の一の範囲内で算入することができる。
高等専門学校は、演習、実験、実習 又は実技を伴う授業科目については、なるべく助手に補助させるものとする。
高等専門学校は、各授業科目について、当該授業科目を担当する教員以外の教員、学生 その他の高等専門学校が定める者(以下「指導補助者」という。)に補助させることができ、また、十分な教育効果を上げることができると認められる場合は、当該授業科目を担当する教員の指導計画に基づき、指導補助者に授業の一部を分担させることができる。
基幹教員であつて専門科目を担当する教授 及び准教授の数は、一般科目を担当する基幹教員数と専門科目を担当する基幹教員数との合計数の二分の一を下つてはならない。
第六条第二項に規定する一般科目を担当する専任者の数及び同条第三項 又は第四項に規定する専門科目を担当する専任者の数を合計した数に五分の一を乗じて算出される数(小数点以下の端数があるときは、これを四捨五入する。)の範囲内については、専任教員以外の者であつても、専攻分野におけるおおむね五年以上の実務の経験を有し、かつ、高度の実務の能力を有する者であつて、一年につき六単位以上の授業科目を担当し、かつ、教育課程の編成について責任を担うもので足りるものとする。
高等専門学校は、当該高等専門学校の教育研究活動等の適切かつ効果的な運営を図るため、その教員 及び事務職員等に必要な知識 及び技能を習得させ、並びにその能力 及び資質を向上させるための研修(次項に規定する研修に該当するものを除く。)の機会を設けること その他必要な取組を行うものとする。
高等専門学校は、指導補助者(教員を除く。)に対し、必要な研修を行うものとする。
第三章 教員の資格
校長となることのできる者は、人格が高潔で、学識が優れ、かつ、高等専門学校の運営に関し識見を有すると 認められる者とする。
教授となることのできる者は、次の各号のいずれかに該当し、かつ、高等専門学校における教育を担当するにふさわしい教育上の能力を有すると認められる者とする。
博士の学位(外国において授与されたこれに相当する学位を含む。)を有する者
学位規則(昭和二十八年文部省令第九号)第五条の二に規定する専門職学位(外国において授与されたこれに相当する学位を含む。)を有し、当該専門職学位の専攻分野に関する業務についての実績を有する者
大学 又は高等専門学校において教授、准教授 又は基幹教員としての講師の経歴(外国におけるこれらに相当する教員としての経歴を含む。)のある者
学校、研究所、試験所、調査所等に在職し、教育 若しくは研究に関する実績を有する者 又は工場 その他の事業所に在職し、技術に関する業務についての実績を有する者
特定の分野について、特に優れた知識 及び経験を有すると認められる者
前各号に掲げる者と 同等以上の能力を有すると文部科学大臣が認めた者
准教授と なることのできる者は、次の各号のいずれかに該当し、かつ、高等専門学校における教育を担当するにふさわしい教育上の能力を有すると 認められる者とする。
前条各号のいずれかに該当する者
大学 又は高等専門学校において助教 又はこれに準ずる職員としての経歴(外国におけるこれらに相当する職員としての経歴を含む。)のある者
修士の学位 又は学位規則第五条の二に規定する専門職学位(外国において授与されたこれらに相当する学位を含む。)を有する者
特定の分野について、優れた知識 及び経験を有すると認められる者
前各号に掲げる者と同等以上の能力を有すると 文部科学大臣が認めた者
講師となることのできる者は、次の各号のいずれかに 該当する者とする。
第十一条 又は前条に規定する教授 又は准教授と なることのできる者
高等学校(中等教育学校の後期課程を含む。)において教諭の経歴のある者で、かつ、高等専門学校における教育を担当するにふさわしい教育上の能力を有すると認められる者
前各号に掲げる者と同等以上の能力を有すると文部科学大臣が認めた者
助教と なることのできる者は、次の各号のいずれかに該当し、かつ、高等専門学校における教育を担当するにふさわしい教育上の能力を有すると認められる者とする。
第十一条各号 又は第十二条各号のいずれかに該当する者
修士の学位(医学を履修する課程、歯学を履修する課程、薬学を履修する課程のうち臨床に係る実践的な能力を培うことを主たる目的とするもの又は獣医学を履修する課程を修了した者については、学士の学位)又は学位規則第五条の二に規定する専門職学位(外国において授与されたこれらに相当する学位を含む。)を有する者
特定の分野について、知識 及び経験を有すると 認められる者
助手と なることのできる者は、次の各号のいずれかに 該当する者とする。
学士の学位 又は学位規則第二条の二の表に規定する専門職大学を卒業した者に授与する学位(外国において授与されたこれらに相当する学位を含む。)を有する者
短期大学士の学位 若しくは学位規則第五条の五に規定する短期大学士(専門職)の学位(外国において授与されたこれらに相当する学位を含む。)又は準学士の称号(外国におけるこれに相当する称号を含む。)を有する者
前二号に掲げる者と 同等以上の能力を有すると文部科学大臣が認めた者
第四章 教育課程
一年間の授業を行う期間は、三十五週にわたることを原則とする。
高等専門学校の授業科目は、その内容により、各学科に共通する一般科目 及び学科ごとの専門科目に分ける。
高等専門学校は、学校教育法施行規則第百七十九条において準用する同令第百六十五条の二第一項第一号 及び第二号の規定により定める方針に基づき、必要な授業科目を自ら開設し、体系的に教育課程を編成するものとする。
教育課程は、各授業科目を各学年に配当して編成するものとする。
各授業科目の単位数は、三十単位時間(一単位時間は、標準五十分とする。第七項において同じ。)の履修を一単位として計算するものとする。
前項の規定にかかわらず、高等専門学校が定める授業科目については、一単位の授業科目を四十五時間の学修を必要とする内容をもつて構成することを標準とし、講義、演習、実験、実習 若しくは実技のいずれかにより 又はこれらの併用により行う授業の方法に応じ、当該授業による教育効果、授業時間外に必要な学修等を考慮して、おおむね十五時間から四十五時間までの範囲で高等専門学校が定める時間の授業をもつて一単位として単位数を計算することができる。
前項の規定により計算することのできる授業科目の単位数の合計数は、六十単位を超えないものとする。
前三項の規定にかかわらず、卒業研究、卒業制作等の授業科目については、これらの学修の成果を評価して単位の修得を認定することが適切と認められる場合には、これらに必要な学修等を考慮して、単位数を定めることができる。
第一項に定める授業科目のほか、高等専門学校においては、特別活動を九十単位時間以上実施するものとする。
高等専門学校は、文部科学大臣が別に定めるところにより、授業を、多様なメディアを高度に利用して、当該授業を行う 教室等以外の場所で履修させることができる。
高等専門学校は、授業を、外国において履修させることができる。
前項の規定により、多様なメディアを高度に利用して、当該授業を行う教室等以外の場所で履修させる場合についても、同様とする。
高等専門学校は、文部科学大臣が別に定めるところにより、授業の一部を、校舎 及び附属施設以外の場所で行うことができる。
高等専門学校は、学生に対して、授業の方法 及び内容並びに一年間の授業の計画をあらかじめ明示するものとする。
高等専門学校は、学修の成果に係る評価 及び卒業の認定に当たつては、客観性 及び厳格性を確保するため、学生に対してその基準をあらかじめ明示するとともに、当該基準にしたがつて適切に行うものとする。
第五章 課程修了の認定等
全課程の修了の認定に必要な単位数は、百六十七単位以上(そのうち、一般科目については七十五単位以上、専門科目については八十二単位以上とする。)とする。
ただし、商船に関する学科にあつては練習船実習を除き百四十七単位以上(そのうち、一般科目については七十五単位以上、専門科目については六十二単位以上とする。)とする。
前項の規定により卒業の要件として修得すべき単位数のうち、第十七条の二第一項の授業の方法により修得する単位数は六十単位を超えないものとする。
高等専門学校は、教育上有益と認めるときは、学生が高等専門学校の定めるところにより他の高等専門学校において履修した授業科目について修得した単位を、六十単位を超えない範囲で当該高等専門学校における授業科目の履修により修得したものと みなすことができる。
高等専門学校は、教育上有益と認めるときは、学生が行う大学における学修 その他文部科学大臣が別に定める学修を、当該高等専門学校における授業科目の履修とみなし、高等専門学校の定めるところにより単位の修得を認定することができる。
前項により認定することができる単位数は、前条により当該高等専門学校において修得したものとみなす単位数と合わせて六十単位を超えないものとする。
第一項の規定は、学生が、外国の大学 又は高等学校に留学する場合 及び外国の大学が行う通信教育における授業科目を我が国において履修する場合について準用する。
この場合において認定することができる単位数は、前条 及び第一項により当該高等専門学校において修得したものとみなし、又は認定する単位数と合わせて六十単位を超えないものとする。
高等専門学校は、高等専門学校の定めるところにより、当該高等専門学校の学生以外の者で一 又は複数の授業科目を履修する者(第三項において「科目等履修生」という。)に対し、単位の修得を認定することができる。
高等専門学校は、高等専門学校の定めるところにより、当該高等専門学校の学生以外の者で学校教育法第百二十三条において準用する同法第百五条に規定する特別の課程を履修する者(次項において「特別の課程履修生」という。)に対し、単位の修得を認定することができる。
高等専門学校は、科目等履修生、特別の課程履修生 その他の学生以外の者(次項において「科目等履修生等」という。)を相当数受け入れる場合においては、第六条第六項から第八項までの規定 及び第二十五条に規定する基準を考慮して、教育に支障のないよう、それぞれ相当の基幹教員 並びに校地 及び校舎の面積を増加するものとする。
第六章 施設及び設備等
高等専門学校における校地の面積(附属施設用地 及び寄宿舎の面積を除く。)は、収容定員上の学生一人当たり十平方メートルとして算定した面積とする。
高等専門学校における校舎の面積は、その教育に支障のないよう、少なくとも次の各号に定める面積に学科の種類に応じ次項 又は第四項に定める面積を加えた面積を下らないものとする。
入学定員に係る学生を一の学級に編制する場合は、一六五二・八九平方メートル
入学定員に係る学生を二の学級に編制する場合は、二六四四・六三平方メートル
入学定員に係る学生を三の学級に編制する場合は、三四七一・〇七平方メートル
入学定員に係る学生を四の学級に編制する場合は、四一三二・二三平方メートル
入学定員に係る学生を五の学級に編制する場合は、四七九三・三九平方メートル
入学定員に係る学生を六の学級に編制する場合は、五二八九・二六平方メートル
入学定員に係る学生を七以上の学級に編制する場合は、五二八九・二六平方メートルに六学級を超えて一学級を増すごとに三三〇・五八平方メートルを加えた面積
工学に関する学科に係る前項の加える面積は、次の各号に掲げるとおりとする。
当該学科の入学定員に係る学生を、一の学級に編制するときは一六五二・八九平方メートル、二以上の学級に編制するときは一六五二・八九平方メートルに学級数の増加に応じて相当面積を加えた面積
二以上の学科を置く場合は、それぞれの学科の所要面積を合計した面積。
ただし、二以上の学科が共用する建物があるときは、教育に支障のない限度において、当該合計した面積から一部を減じた面積
工学に関する学科以外の学科に係る第二項の加える面積は、別に定める。
前三項に定める面積は、専用部分の面積とする。
ただし、当該高等専門学校と 他の学校、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成十八年法律第七十七号)第二条第七項に規定する幼保連携型認定こども園、専修学校 又は各種学校(以下この項において「学校等」という。)が同一の敷地内 又は隣接地に所在する場合であつて、それぞれの学校等の校舎の専用部分の面積 及び共用部分の面積を合算した面積が、それぞれの学校等が設置の認可を受ける場合において基準となる校舎の面積を合算した面積以上のものであるときは、当該高等専門学校の教育に支障がない限度において、前三項に定める面積に当該学校等との共用部分の面積を含めることができる。
高等専門学校は、教育研究を促進するため、学科の種類、教員数 及び学生数に応じ、図書、学術雑誌、電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法 その他の情報通信の技術を利用する方法をいう。)により提供される学術情報 その他の教育研究上必要な資料を、図書館を中心に系統的に整備し、学生、教員 及び事務職員等へ提供するものとする。
高等専門学校には、教育上必要な場合は、学科の種類に応じ、実験・実習工場、練習船 その他の適当な規模内容を備えた附属施設を置くものとする。
高等専門学校は、その教育研究上の目的を達成するため、必要な経費の確保等により、教育研究にふさわしい環境の整備に努めるものとする。
高等専門学校 及び学科(以下「高等専門学校等」という。)の名称は、高等専門学校等として適当であるとともに、当該高等専門学校等の教育研究上の目的にふさわしいものとする。
第七章 教育課程等に関する事項の改善に係る先導的な取組に関する特例
この省令に定める教育課程 又は施設 及び設備等に関する事項に関し、その改善に係る実証的な成果の創出に資する先導的な取組を行うため特に必要があると認められる場合であつて、高等専門学校が、当該先導的な取組を行うとともに、教育研究活動等の状況について自ら行う点検、評価 及び見直しの体制の整備、教育研究活動等の状況の積極的な公表 並びに学生の教育上適切な配慮を行う高等専門学校であることの文部科学大臣の認定を受けたときには、文部科学大臣が別に定めるところにより、第十五条、第十七条第一項 若しくは第五項、第十八条第二項、第十九条、第二十条第二項 若しくは第三項 又は第二十五条の規定(次項において「特例対象規定」という。)の全部 又は一部によらないことができる。
教育課程等特例認定高等専門学校(前項の規定により認定を受けた高等専門学校をいう。)は、特例対象規定の全部 又は一部によらない教育を行うための教育課程 又は施設 及び設備等に関する事項を学則等に定め、公表するものとする。