漁船損害等補償法

# 昭和二十七年法律第二十八号 #
略称 : 漁船損害等補償法 

第二章 漁船保険組合の組織

分類 法律
カテゴリ   水産業
@ 施行日 : 令和四年九月一日 ( 2022年 9月1日 )
@ 最終更新 : 令和元年法律第七十一号
最終編集日 : 2024年 10月17日 19時43分


第一節 通則

1項

漁船保険組合(以下「組合」という。)は、組合員が所有し、又は所有権以外の権原に基づき使用する漁船に関し漁船保険事業等を行うことを目的とする。

1項

組合は、法人とする。

1項
組合の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。
1項

組合の名称中には、「漁船保険組合」という文字を用いなければならない。

2項

組合でないものは、その名称中に、「漁船保険組合」という文字を用いてはならない。

1項

この法律の規定により登記すべき事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。

1項

組合の事業年度は、四月一日から翌年三月三十一日までとする。

1項

この法律による漁船損害等補償に関する書類(漁船乗組船主保険事業に関する書類を除く)には、印紙税を課さない。

第二節 設立

1項

組合を設立するには、組合員たる資格を有する者のうち、五人以上が発起人とならなければならない。

1項

発起人は、あらかじめ組合の区域 及び組合員たる資格に関する目論見書を作り、一定の期間前までにこれを会議の日時 及び場所とともに公告して、設立準備会を開かなければならない。

2項

前項の一定の期間は、二週間を下つてはならない。

1項

設立準備会においては、出席した前条第一項の目論見書に定める組合員たる資格を有する者の中から定款 及び保険約款の作成に当たるべき者(以下「定款等作成委員」という。)を選任し、かつ、区域、組合員たる資格 その他定款作成の基本となるべき事項 及び保険料率 その他保険約款作成の基本となるべき事項を定めなければならない。

2項

定款等作成委員は、五人以上でなければならない。

3項

設立準備会の議事は、出席した前条第一項の目論見書に定める組合員たる資格を有する者の過半数の同意をもつて決する。

1項

定款等作成委員が定款 及び保険約款を作成したときは、発起人は、一定の期間前までにこれを創立総会の日時 及び場所とともに公告して、創立総会を開かなければならない。

2項

前項の一定の期間は、二週間を下つてはならない。

3項

定款等作成委員が作成した定款 及び保険約款の承認、事業計画の作成 その他設立に必要な事項の決定は、創立総会の議決によらなければならない。

4項

創立総会においては、前項の定款 及び保険約款を修正することができる。


ただし、区域 及び組合員たる資格に関する定款の規定については、この限りでない。

5項

創立総会の議事は、組合員たる資格を有する者でその会日までに発起人に対して設立の同意を申し出た者の半数以上が出席し、その議決権の三分の二以上で決する。

6項

前項の者は、書面 又は代理人をもつて議決権を行うことができる。

7項

創立総会については、第二十八条第二十九条第二項から第四項まで 及び第二十九条の二の規定を準用する。


この場合において、

第二十九条第二項
「前項」とあるのは
第十四条第六項」と、

同条第三項
「前二項」とあるのは
第十四条第六項 又は前項」と

読み替えるものとする。

1項

発起人は、創立総会の終了後遅滞なく定款、保険約款 及び事業計画書を農林水産大臣に提出して、設立の認可を申請しなければならない。

2項

発起人は、農林水産大臣の要求があるときは、設立に関する報告書を提出しなければならない。

1項

農林水産大臣は、前条第一項の規定による申請があつた場合において、次の各号いずれにも該当せず、かつ、その事業が健全に行われ公益に反しないと認められるときには、設立の認可をしなければならない。

一 号

設立の手続 又は定款、保険約款 若しくは事業計画の内容が、法令 又は法令に基づいてする行政庁の処分に違反するとき。

二 号

定款、保険約款 又は事業計画のうち、主要な事項につき、虚偽の記載があり、又はその記載が欠けているとき。

三 号

保険金の支払に充てることのできる資産の額が、大規模な事故が生じた場合においても保険金を確実に支払うために必要かつ適当なものとして政令で定める額に満たないとき。

2項

農林水産大臣は、前項の認可をし、又はしなかつたときは、遅滞なく発起人に対してその旨を書面で通知しなければならない。

1項

設立の認可があつたときは、発起人は、遅滞なく その事務を理事に引き渡さなければならない。

1項

組合は、主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによつて成立する。

1項

組合の定款には、次の事項を記載しなければならない。

一 号
目的
二 号
名称
三 号
区域
四 号
事務所の所在地
五 号
事業
六 号

準備金の積立て 及び管理の方法に関する規定

七 号
剰余金の処分 及び不足金の処理に関する規定
八 号
組合員たる資格 並びに組合員の加入 及び脱退に関する規定
九 号
事業の執行に関する規定
十 号
役員の定数、職務の分担 及び選任に関する規定
十一 号
公告の方法
十二 号
存立の期間 又は解散の事由を定めたときは、その期間 又は事由
2項

前項第十二号に掲げる事項中に、残余財産の帰属すべき者に関する規定を設ける場合には、その者は、組合 又は漁業災害補償法昭和三十九年法律第百五十八号)第四条に規定する漁業共済団体のうちから選定されるようにしなければならない。

3項
農林水産大臣は、模範定款例を定めることができる。
1項

組合は、保険約款をもつて、次に掲げる事項を規定しなければならない。

一 号
漁船保険の保険の目的
二 号
漁船保険事業等の細目に関する事項
三 号
保険金額に関する事項
四 号
保険料率に関する事項
五 号
保険責任に関する事項
六 号
漁船保険事業等の実施の方法に関する事項
七 号

前各号に掲げるもののほか、農林水産省令で定める事項

2項

農林水産大臣は、模範保険約款例を定めることができる。

第三節 組合員

1項

組合員たる資格を有する者は、漁船保険の保険の目的たるべき漁船の所有者 又は使用者で、当該組合の区域内に、その者の住所 又は当該漁船の主たる根拠地があるものとする。

1項

設立当時の組合員は、組合の保険約款で定める期間内に漁船保険の保険料(保険約款で定めるところに従い保険料の分割支払がされる場合にあつては、保険料のうちその第一回の支払に係るもの)の支払をしなかつたときは、そのときに組合員たる地位を失う。

2項

組合設立後に組合員になろうとする者が組合に漁船保険の保険料(保険約款で定めるところに従い保険料の分割支払がされる場合にあつては、保険料のうちその第一回の支払に係るもの)の支払をしたときは、その者は、その時(保険約款で別段の定めをしたときはその日)から組合員となる。

1項

組合員は、三月前までに予告して、組合を脱退することができる。

2項

組合員は、次の事由によつて脱退する。


ただし第一号の場合については、組合の定款で別段の定めをすることができる。

一 号
漁船保険の保険関係の全部の消滅
二 号
組合員たる資格の喪失
三 号
死亡 又は解散
四 号
破産手続開始の決定
五 号
除名
1項

漁船保険の保険の目的たる漁船の譲受人が、第百十一条第一項の規定により当該漁船につき組合員(同条第二項同条第三項 及び第百十一条の二第三項において準用する場合を含む。)又は第九十四条第二項の規定により組合員とみなされる者を含む。)の有する漁船保険の保険関係に関する権利義務を承継したときは、その者は、当該漁船を譲り受けた時から組合員となる。


ただし、その者が組合員たる資格を有しないときは、この限りでない。

2項

前項の規定は、第百十一条第三項の規定による漁船保険の保険関係に関する権利義務の承継があつた場合に準用する。

1項

漁船保険の保険の目的たる漁船の所有者 又は使用者が、第百十一条の二第一項の規定により当該漁船につき組合員(第九十四条第二項 又は第百十一条第二項同条第三項 及び第百十一条の二第三項において準用する場合を含む。)の規定により組合員とみなされる者を含む。)の有する漁船保険の保険関係に関する権利義務を承継したときは、その者は、その時から組合員となる。


ただし、その者が組合員たる資格を有しないときは、この限りでない。

1項
除名の事由は、定款で定める。
2項

除名は、総会の決議によつて行うものとする。この場合において、組合は、その総会の会日の七日前までにその組合員に対してその旨を通知し、かつ、総会において弁明する機会を与えなければならない。

3項

除名については、第四十四条第一項の規定を準用する。

4項

除名は、除名した組合員に対してその旨を通知しなければ、これをもつてその組合員に対抗することができない。

1項

組合員が第二十三条第一項 及び同条第二項第二号から第五号までの規定により組合を脱退したときは、第二十四条 又は第二十五条の規定に該当する場合のほかは、当該組合と当該組合員との間に成立している漁船保険の保険関係は、全て、消滅する。

2項

組合員は、組合を脱退したときでも、脱退の日の属する事業年度の追徴金の支払 及び保険金の額の削減に関しては、その義務を免れることができない。

1項

組合員は、各々一個の議決権を有する。

1項

組合員は、定款で定めるところにより、第三十七条第三項の規定によりあらかじめ通知のあつた事項につき、書面 又は代理人をもつて議決権を行うことができる。

2項

組合員は、定款で定めるところにより、前項の規定による書面をもつてする議決権の行使に代えて、議決権を電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法 その他の情報通信の技術を利用する方法であつて農林水産省令で定めるものをいう。以下同じ。)により行うことができる。

3項

前二項の規定により議決権を行う者は、出席者とみなす。

4項

代理人は、代理権を証する書面を組合に提出しなければならない。


この場合において、電磁的方法により議決権を行うことが定款で定められているときは、当該書面の提出に代えて、代理権を当該電磁的方法により証明することができる。

1項

組合と特定の組合員との関係について議決をする場合には、その組合員は、議決権を有しない。

第四節 管理

1項

組合に、役員として理事 及び監事を置く。

2項

理事の定数は、五人以上とし、監事の定数は、二人以上とする。

3項

役員は、定款で定めるところにより、総会において選任する。


ただし、設立当時の役員は、創立総会において選任する。

4項

組合の理事の定数の少なくとも五分の三は、組合員でなければならない。


ただし、設立当時の理事の定数の少なくとも五分の三は、設立の同意を申し出た者でなければならない。

1項

組合と役員との関係は、委任に関する規定に従う。

1項

役員の任期は、三年以内において定款で定める。


ただし、定款によつて、その任期を任期中の最終の事業年度に関する通常総会の終結の時まで伸長することを妨げない。

2項

設立当時の役員の任期は、前項の規定にかかわらず一年以内の期間で創立総会において定める。


ただし、創立総会の議決によつて、その任期を任期中の最終の事業年度に関する通常総会の終結の時まで伸長することを妨げない。

3項

合併による設立の場合における前項の規定の適用については、

同項
「創立総会において」とあるのは
「設立委員が」と、

同項ただし書中
「創立総会の議決によつて、その」とあるのは
「設立委員が当該役員の」と

する。

4項

任期満了によつて退任した理事は、後任の理事(第三十二条の六の仮理事を含む。)が就任するまでは、なおその職務を行う。

1項

役員は、法令、法令に基づいてする行政庁の処分、定款、保険約款 及び総会の決議を遵守し、組合のため忠実にその職務を遂行しなければならない。

2項

役員がその任務を怠つたときは、その役員は、組合に対し連帯して損害賠償の責めに任ずる。

3項

役員がその職務を行うにつき悪意 又は重大な過失があつたときは、その役員は、第三者に対し連帯して損害賠償の責めに任ずる。


重要な事項につき、第三十九条第一項に掲げる書類に虚偽の記載をし、又は虚偽の登記 若しくは公告をしたときも、同様とする。

1項

理事は、監事 又は組合の職員と、監事は、理事 又は組合の職員と兼ねてはならない。

1項

組合の業務は、定款に特別の定めがないときは、理事の過半数によつて決する。

1項

理事は、組合の全ての業務について、組合を代表する。


ただし、定款の定めに反することはできず、また、総会の決議に従わなければならない。

1項

理事の代表権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。

1項

理事は、定款 又は総会の決議によつて禁止されていないときに限り、特定の行為の代理を他人に委任することができる。

1項

理事が欠けた場合において、業務が遅滞することにより損害を生ずるおそれがあるときは、農林水産大臣は、利害関係人 又は検察官の請求により、仮理事を選任しなければならない。

1項

組合が理事と契約するときは、監事が、組合を代表する。組合と理事との訴訟についても、同様とする。

1項
監事の職務は、次のとおりとする。
一 号
組合の財産の状況を監査すること。
二 号
理事の業務の執行の状況を監査すること。
三 号
財産の状況 又は業務の執行について、法令 若しくは定款に違反し、又は著しく不当な事項があると認めるときは、総会 又は農林水産大臣に報告をすること。
四 号

前号の報告をするため必要があるときは、総会を招集すること。

1項

理事は、毎事業年度一回通常総会を招集しなければならない。

2項

理事は、必要があると認めるときは、いつでも臨時総会を招集することができる。

1項

組合員が、総組合員の五分の一以上の同意を得て、会議の目的たる事項 及び招集の理由を記載した書面を理事に提出して総会の招集を請求したときは、理事は、その請求のあつた日から二十日以内に、臨時総会を招集しなければならない。

2項

前項の場合において、電磁的方法により議決権を行うことが定款で定められているときは、当該書面の提出に代えて、当該書面に記載すべき事項 及び理由を当該電磁的方法により提供することができる。この場合において、当該組合員は、当該書面を提出したものとみなす。

3項

前項前段の電磁的方法(農林水産省令で定める方法を除く)により行われた当該書面に記載すべき事項 及び理由の提供は、理事の使用に係る電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に当該理事に到達したものとみなす。

1項

理事の職務を行う者がないとき、又は前条第一項の請求があつた場合において理事が正当な理由がないのに総会の招集の手続をしないときは、監事は、総会を招集しなければならない。

1項

組合が組合員に対してする通知 又は催告は、組合員名簿に記載したその者の住所(その者が別に通知 又は催告を受ける場所を組合に通知したときはその場所)に宛てればよい。

2項

前項の通知 又は催告は、通常到達すべきであつた時に到達したものとみなす。

3項

総会の招集の通知は、その会日の十日前までに、その会議の目的たる事項を示してしなければならない。

1項

理事は、定款 及び保険約款を各事務所に備えて置き、かつ、農林水産省令で定めるところにより、組合員名簿を主たる事務所に備えて置かなければならない。

2項

理事は、総会の議事録を十年間主たる事務所に、その謄本を五年間従たる事務所に備えて置かなければならない。

3項

組合員 及び組合の債権者は、前二項に掲げる書類の閲覧を求めることができる。

1項

理事は、通常総会の会日の七日前までに、事業報告書、財産目録、貸借対照表、損益計算書 及び剰余金処分案 又は不足金処理案を監事に提出し、かつ、これらを主たる事務所に備えて置かなければならない。

2項

組合員 及び組合の債権者は、前項に掲げる書類の閲覧を求めることができる。

3項

第一項に掲げる書類を通常総会に提出するときは、監事の意見書を添付しなければならない。

4項

前項の監事の意見書については、これに記載すべき事項を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式 その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして農林水産省令で定めるものをいう。第百四十五条第九号において同じ。)の添付をもつて、当該監事の意見書の添付に代えることができる。


この場合において、理事は、当該監事の意見書を添付したものとみなす。

1項

組合員は、総組合員の五分の一以上の連署をもつて、その代表者から役員の解職を請求することができる。

2項

前項の規定による解職の請求は、理事の全員 又は監事の全員について、同時にしなければならない。


ただし、法令、法令に基づいてする行政庁の処分 又は定款 若しくは保険約款の違反を理由として解職を請求する場合は、この限りでない。

3項

第一項の規定による解職の請求は、解職の理由を記載した書面を組合に提出しなければならない。

4項

第一項の規定による解職の請求があつたときは、理事は、これを総会の議に付さなければならない。


この場合には、第三十五条第一項 及び第三十六条の規定を準用する。

5項

第三項の規定による書面の提出があつたときは、組合は、総会の会日の七日前までに、当該請求に係る役員にその書面 又はその写しを送付し、かつ、総会において弁明する機会を与えなければならない。

1項

理事については、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律平成十八年法律第四十八号第七十八条の規定を準用する。

1項
次の事項は、総会の議決を経なければならない。
一 号
定款の変更
二 号
保険約款の変更
三 号
毎事業年度の事業計画の作成 及び変更
四 号
毎事業年度内における借入金の限度額
五 号
事業報告書、財産目録、貸借対照表、損益計算書 及び剰余金処分案 又は不足金処理案
1項

総会の議事は、この法律 又は定款に特別の定めがある場合を除いて、出席者の議決権の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

2項
議長は、総会において選任する。
3項

議長は、組合員として総会の議決に加わることができない。

4項

総会においては、第三十七条第三項の規定によりあらかじめ通知のあつた事項についてのみ、議決をすることができる。


ただし、定款に特別の定めがあるときは、この限りでない。

1項

定款変更の議決は、総組合員の過半数が出席し、その議決権の三分の二以上の多数によらなければならない。

2項

定款の変更は、農林水産大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

3項

前項の認可については、第十六条の規定を準用する。

1項

保険約款の変更は、農林水産大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

2項

前項の認可については、第十六条の規定を準用する。

3項

農林水産大臣は、漁船保険、漁船船主責任保険、漁船乗組船主保険 又は漁船積荷保険(いずれも特約により特定事故(戦争、変乱 その他政令で定めるこれらに準ずるものによつて生じた事故(漁船船主責任保険にあつては、漁船の運航に伴つて生ずる不慮の費用 又は損害であつて、漁船の所有者 又は使用者が負担し、又は賠償するもののうち、当該保険に係るもの。以下同じ。)をいう。以下同じ。)により支払われる保険金に係る部分(以下「特定特約部分」という。)に限る)の保険料率についての保険約款の変更を命ずることができる。

4項

前項の規定による保険約款変更の命令があつた場合には、第四十二条 並びに第一項 及び第二項の規定にかかわらず、その命令により、保険約款変更の効力を生ずるものとする。

1項

総会においてその延期 又は続行について決議があつた場合には、第三十七条第三項の規定は、適用しない

1項

総会の議事については、農林水産省令で定めるところにより、議事録を作成しなければならない。

1項

組合は、定款で定めるところにより、総会に代わるべき総代会を設けることができる。

2項
総代は、組合員でなければならない。
3項

総代の定数は、総組合員の四分の一以上でなければならない。


ただし、総組合員が四百人を超える組合にあつては、百人以上であることをもつて足りる。

4項

総代は、定款で定めるところにより選挙する。


ただし、設立当時の総代は、創立総会において選挙する。

5項

総代の選挙は、無記名投票によつて行う。


ただし、定款で定めるところにより、総代候補者が選挙すべき総代の定数以内であるときは、投票を省略することができる。

6項

投票は、一人につき一票とする。

7項

組合が第四項の規定により定款で総代の選挙についての選挙区 及び当該選挙区において選挙すべき総代の数等を定めたときは、総代選挙のために組合が組合員に対してする通知は、第三十七条第一項の規定にかかわらず、当該組合の区域にその区域の全部 又は一部が含まれる市町村(特別区を含むものとし、地方自治法昭和二十二年法律第六十七号第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあつては、区 又は総合区。以下同じ。)ごとに定款で定める場所に、選挙の期日、選挙の方法 その他選挙につき必要な事項を記載した書面を掲示すればよい。

8項

前項の掲示は、選挙の期日の少なくとも十日前までにしなければならない。

9項

総代については、第三十一条第一項本文、第二項本文、第三項 及び第四項 並びに第四十条の規定を準用する。

10項

総代会については、総会に関する規定を準用する。


ただし、総代会においては、解散の議決をすることができない。

1項

組合は、参事 及び会計主任を選任し、その主たる事務所 又は従たる事務所において、その業務を行わせることができる。

2項

参事 及び会計主任の選任 及び解職は、理事の過半数によつて決する。

3項

参事については、会社法平成十七年法律第八十六号第十一条第一項 及び第三項第十二条 並びに第十三条の規定を準用する。

1項

組合員 又は総代は、総組合員 又は総総代の五分の一以上の同意を得て、理事に対し、参事 又は会計主任の解職を請求することができる。

2項

前項の規定による請求は、解職の理由を記載した書面を理事に提出してしなければならない。

3項

第一項の規定による請求があつたときは、理事は、当該参事 又は会計主任の解職の可否を決しなければならない。

4項

理事は、前項の可否を決する日の七日前までに、当該参事 又は会計主任に対して第二項の書面 又はその写しを送付し、かつ、弁明する機会を与えなければならない。

1項

組合は、その常勤する有給の役員 又は職員の退職手当について、定款で必要な定めをしなければならない。

第五節 解散及び清算

1項
組合は、次の事由によつて解散する。
一 号
定款に定める存立の期間の満了 又は解散事由の発生
二 号
総会の決議
三 号
組合の合併
四 号
破産手続開始の決定
五 号

第八十六条第三項の規定による解散の命令

2項

解散の決議については、第四十四条第一項の規定を準用する。

3項

解散の決議は、農林水産大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

4項

組合は、第一項の事由によるほか、組合員が五人未満になつたことによつて解散する。

5項

組合は、前項の規定により解散したときは、遅滞なく その旨を農林水産大臣に届け出なければならない。

1項

組合が解散したときは、合併の場合を除いては、当該組合と組合員との間に成立している漁船保険、漁船船主責任保険、漁船乗組船主保険 及び漁船積荷保険(以下「漁船保険等」という。)の保険関係は、全て、終了する。

2項

前項の場合には、組合は、漁船保険等(満期保険を除く)にあつては、まだ経過しない期間に対する保険料を、満期保険にあつては、第百十三条の十一第一項の積立保険料のうちの純保険料 及びまだ経過しない期間に対する付加保険料 並びに同項の損害保険料のうちまだ経過しない期間に対するものを払い戻さなければならない。

1項

組合が合併しようとするときは、総会において合併を議決しなければならない。


この場合には、第四十四条第一項の規定を準用する。

2項

合併は、農林水産大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

3項

前項の場合には、第十六条の規定を準用する。

1項

組合が合併の議決をしたときは、その議決の日から二週間以内に財産目録 及び貸借対照表を作らなければならない。

1項

組合は、前条の期間内に債権者に対して、異議があれば一定の期間内にこれを述べるべき旨を公告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。

2項

前項の一定の期間は、一月を下つてはならない。

3項

債権者が第一項の一定の期間内に異議を述べなかつたときは、合併を承認したものとみなす。

4項

債権者が異議を述べたときは、組合は、弁済をし、若しくは相当の担保を供し、又はその債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社 若しくは信託業務を営む金融機関に相当の財産を信託しなければならない。


ただし、合併をしてもその債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。

1項

合併によつて組合を設立するには、各組合の総会において組合員の中から選任した設立委員が共同して、定款 及び保険約款を作成し、役員を選任し、その他設立に必要な行為をしなければならない。

2項

前項の規定による役員の選任は、合併をしようとする組合の組合員の中からしなければならない。


ただし、特別の事由があるときは、組合員以外の者から選任することができる。


この場合には、第三十条第四項本文の規定を準用する。

3項

第一項の規定による設立委員の選任については、第四十四条第一項の規定を準用する。

1項

組合の合併は、合併後存続する組合 又は合併によつて設立する組合が、その主たる事務所の所在地において、第六十八条に規定する登記をすることによつてその効力を生ずる。

1項

合併後存続する組合 又は合併によつて設立した組合は、合併によつて消滅した組合の権利義務(当該組合がその行う事業に関し、行政庁の許可、認可 その他の処分に基づいて有する権利義務を含む。)を承継する。

1項

解散した組合は、清算の目的の範囲内において、その清算の結了に至るまではなお存続するものとみなす。

1項

組合が解散したときは、合併 及び破産手続開始の決定による解散の場合を除いては、理事が、その清算人となる。


ただし、総会において他人を選任したときは、この限りでない。

1項

前条の規定により清算人となる者がないとき、又は清算人が欠けたため損害を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、利害関係人 若しくは検察官の請求により 又は職権で、清算人を選任することができる。

1項

重要な事由があるときは、裁判所は、利害関係人 若しくは検察官の請求により 又は職権で、清算人を解任することができる。

1項

清算人の職務は、次のとおりとする。

一 号
現務の結了
二 号

債権の取立て 及び債務の弁済

三 号
残余財産の引渡し
2項

清算人は、前項各号に掲げる職務を行うために必要な一切の行為をすることができる。

1項

清算人は、就職の後遅滞なく、組合の財産の状況を調査し、財産目録 及び貸借対照表を作り、財産処分の方法を定め、これを総会に提出し、又は提供し、その承認を求めなければならない。

1項

清算人は、その就職の日から二月以内に、少なくとも三回の公告をもつて、債権者に対し、一定の期間内にその債権の申出をすべき旨の催告をしなければならない。


この場合において、その期間は、二月を下ることができない。

2項

前項の公告には、債権者がその期間内に申出をしないときは清算から除斥されるべき旨を付記しなければならない。


ただし、清算人は、知れている債権者を除斥することができない。

3項

清算人は、知れている債権者には、各別にその申出の催告をしなければならない。

4項

第一項の公告は、官報に掲載してする。

1項

前条第一項の期間の経過後に申出をした債権者は、組合の債務が完済された後まだ権利の帰属すべき者に引き渡されていない財産に対してのみ、請求をすることができる。

1項

清算中に組合の財産がその債務を完済するのに足りないことが明らかになつたときは、清算人は、直ちに破産手続開始の申立てをし、その旨を公告しなければならない。

2項

清算人は、清算中の組合が破産手続開始の決定を受けた場合において、破産管財人にその事務を引き継いだときは、その任務を終了したものとする。

3項

前項に規定する場合において、清算中の組合が既に債権者に支払い、又は権利の帰属すべき者に引き渡したものがあるときは、破産管財人は、これを取り戻すことができる。

4項

第一項の規定による公告は、官報に掲載してする。

1項

解散した組合の残余財産は、合併 及び破産手続開始の決定による解散の場合を除くほか、第六十二条の規定による農林水産大臣に対する清算結了の届出の時において、定款で定めるところにより、その帰属すべき者に帰属する。

2項

前項の規定により処分されない財産は、国庫に帰属する。

1項

組合の解散 及び清算は、裁判所の監督に属する。

2項

裁判所は、職権で、いつでも前項の監督に必要な検査をすることができる。

3項

組合の解散 及び清算を監督する裁判所は、農林水産大臣に対し、意見を求め、又は調査を嘱託することができる。

4項

農林水産大臣は、組合の解散 及び清算を監督する裁判所に対し、意見を述べることができる。

1項

清算事務が終わつたときは、清算人は、遅滞なく、農林水産省令で定めるところにより、決算報告を作り、これを総会に提出し、又は提供し、その承認を求めなければならない。

1項

清算が結了したときは、清算人は、その旨を農林水産大臣に届け出なければならない。

1項

組合の解散 及び清算の監督 並びに清算人に関する事件は、その主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。

1項

清算人の選任の裁判に対しては、不服を申し立てることができない。

1項

裁判所は、第五十八条の二の規定により清算人を選任した場合には、組合が当該清算人に対して支払う報酬の額を定めることができる。


この場合において、裁判所は、当該清算人 及び監事の陳述を聴かなければならない。

1項

裁判所は、組合の解散 及び清算の監督に必要な調査をさせるため、検査役を選任することができる。

2項

前二条の規定は、前項の規定により裁判所が検査役を選任した場合について準用する。


この場合において、

前条
「清算人 及び監事」とあるのは、
「組合 及び検査役」と

読み替えるものとする。

第六節 登記

1項

組合は、設立の認可があつた日から二週間以内に、主たる事務所の所在地において、設立の登記をしなければならない。

2項

設立の登記においては、次に掲げる事項を登記しなければならない。

一 号

第十九条第一項第一号から第三号まで第五号第十一号 及び第十二号に掲げる事項

二 号
事務所の所在場所
三 号
代表権を有する者の氏名、住所 及び資格
1項

組合において前条第二項各号に掲げる事項に変更が生じたときは、二週間以内に、その主たる事務所の所在地において、変更の登記をしなければならない。

1項

組合がその主たる事務所を他の登記所の管轄区域内に移転したときは、二週間以内に、旧所在地においては移転の登記をし、新所在地においては第六十三条第二項各号に掲げる事項を登記しなければならない。

1項

代表権を有する者の職務の執行を停止し、若しくはその職務を代行する者を選任する仮処分命令 又はその仮処分命令を変更し、若しくは取り消す決定がされたときは、主たる事務所の所在地において、その登記をしなければならない。

1項

組合が参事を選任したときは、二週間以内に、その主たる事務所の所在地において、参事の氏名 及び住所 並びに参事を置いた事務所を登記しなければならない。


その登記した事項の変更 及び参事の代理権の消滅についても、同様とする。

1項

組合が合併をするときは、第五十二条第二項の認可があつた日から二週間以内に、その主たる事務所の所在地において、合併によつて消滅する組合については解散の登記をし、合併後存続する組合については変更の登記をし、合併によつて設立する組合については設立の登記をしなければならない。

1項

第五十条第一項の規定により組合が解散したとき(同項第三号 又は第四号の事由によつて解散したときを除く)は、二週間以内に、その主たる事務所の所在地において、解散の登記をしなければならない。

1項

組合の清算が結了したときは、第六十一条の承認の日から二週間以内に、その主たる事務所の所在地において、清算結了の登記をしなければならない。

1項

各登記所に、漁船保険組合登記簿を備える。

1項

設立の登記は、組合を代表すべき者の申請によつてする。

2項

設立の登記の申請書には、定款 及び組合を代表すべき者の資格を証する書面を添付しなければならない。

1項

第六十三条第二項各号に掲げる事項の変更の登記の申請書には、当該事項の変更を証する書面を添付しなければならない。

1項

合併による変更の登記の申請書には、次に掲げる書面を添付しなければならない。

一 号

第五十四条第一項の規定による公告 及び催告をしたこと 並びに異議を述べた債権者があるときは、その債権者に対し弁済し、若しくは相当の担保を提供し、若しくはその債権者に弁済を受けさせることを目的として相当の財産を信託したこと 又は当該合併をしてもその債権者を害するおそれがないことを証する書面

二 号

合併によつて消滅する組合(当該登記所の管轄区域内に主たる事務所があるものを除く)の登記事項証明書

1項

合併による設立の登記の申請書には、定款 及び組合を代表すべき者の資格を証する書面のほか、前条各号に掲げる書面を添付しなければならない。

1項

第六十九条の規定による解散の登記の申請書には、解散の事由の発生を証する書面を添付しなければならない。

2項

農林水産大臣が組合の解散を命じた場合における解散の登記は、その嘱託によつてする。

1項

組合の清算結了の登記の申請書には、清算人が第六十一条の規定により決算報告の承認を得たことを証する書面を添付しなければならない。

1項

登記すべき事項で農林水産大臣の認可を要するものは、その認可書が到達した時から登記の期間を起算する。

1項

組合の登記については、商業登記法昭和三十八年法律第百二十五号第一条の三から第五条まで第七条から第十五条まで第十七条から第十九条の三まで第二十一条から第二十三条の二まで第二十四条第十四号 及び第十五号除く)、第二十五条から第二十七条まで第四十五条第五十一条から第五十三条まで第七十一条第一項 及び第三項第七十九条第八十二条第八十三条第百三十二条から第百三十七条まで 並びに第百三十九条から第百四十八条までの規定を準用する。


この場合において、

同法第二十五条
「訴え」とあるのは
「行政庁に対する請求」と、

同条第三項
「その本店の所在地を管轄する地方裁判所」とあるのは
「行政庁」と、

同法第七十一条第三項ただし書中
「会社法第四百七十八条第一項第一号の規定により清算株式会社の清算人となつたもの(同法第四百八十三条第四項に規定する場合にあつては、同項の規定により清算株式会社の代表清算人となつたもの)」とあるのは
漁船損害等補償法第五十八条本文の規定により清算人となつたもの」と、

同法第百四十六条の二
「商業登記法(」とあるのは
漁船損害等補償法昭和二十七年法律第二十八号第八十三条において準用する商業登記法(」と、

「商業登記法第百四十五条」とあるのは
漁船損害等補償法第八十三条において準用する商業登記法第百四十五条」と

読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

第七節 監督

1項

農林水産大臣は、組合の業務 又は財産の状況に関して監督上必要があると認めるときは、組合からその業務 又は財産の状況に関し報告を徴することができる。

1項

組合員 又は総代が、総組合員 又は総総代の十分の一以上の同意を得て、組合の業務 又は会計が法令、法令に基づいてする行政庁の処分 又は定款 若しくは保険約款に違反する疑いがあることを理由として検査を請求したときは、農林水産大臣は、その組合の業務 又は会計の状況を検査しなければならない。

2項
農林水産大臣は、組合の業務 又は会計が法令、法令に基づいてする行政庁の処分 若しくは定款 若しくは保険約款に違反する疑いがあると認めるとき、又はその業務 若しくは財産の状況により監督上必要があると認めるときは、いつでも、その組合の業務 又は会計の状況を検査することができる。
3項

農林水産大臣は、組合の業務 又は会計の状況につき、毎年一回を常例として検査しなければならない。

1項

農林水産大臣は、組合の財産の状況に照らして、組合の事業の健全かつ適切な運営を確保するため必要があると認めるときは、その組合に対して、措置を講ずべき事項 及び期限を示して、事業の健全性を確保するための改善計画の提出を求め、又は提出された改善計画の変更を命じ、その他監督上必要な措置を命ずることができる。

2項

農林水産大臣は、第八十四条の規定により報告を徴した場合 又は前条の規定により検査を行つた場合において、組合の業務 又は会計が法令、法令に基づいてする行政庁の処分 又は定款 若しくは保険約款に違反すると認めるときは、その組合に対して、役員の解職、事業の停止、定款 又は保険約款の変更 その他必要な措置を命ずることができる。

3項

組合が前二項の規定による命令に違反したときは、農林水産大臣は、その組合の解散を命ずることができる。

1項

組合員 又は総代が、総組合員 又は総総代の十分の一以上の同意を得て、総会 又は総代会の招集手続、議決の方法 又は選挙が法令、法令に基づいてする行政庁の処分 又は定款に違反することを理由として、その議決 又は選挙 若しくは当選決定の日から一月以内に、その議決 又は選挙 若しくは当選の取消しを請求した場合において、農林水産大臣はその違反の事実があると認めるときは、当該議決 又は選挙 若しくは当選を取り消すことができる。

2項

前項の規定による処分については、行政手続法平成五年法律第八十八号第三章第十二条 及び第十四条除く)の規定は、適用しない