防衛省が調達する装備品等の開発及び生産のための基盤の強化に関する法律
第一章 総則
この法律において「装備品等」とは、自衛隊が使用する装備品、船舶、航空機 及び食糧 その他の需品(これらの部品 及び構成品を含み、専ら自衛隊の用に供するものに限る。)をいう。
この法律において「製造等」とは、製造、研究開発 及び修理 並びにこれらに関する役務の提供をいう。
この法律において「装備品製造等事業者」とは、装備品等の製造等の事業を行う事業者をいう。
この法律において「装備移転」とは、装備品製造等事業者が我が国と防衛の分野において協力関係にある外国政府に対して行う装備品等と同種の物品の有償 又は無償による譲渡 及びこれに係る役務の提供をいう。
防衛大臣は、装備品等の開発 及び生産のための基盤の強化に関する基本的な方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。
第十五条第一項に規定する装備移転支援業務 及び第十八条第一項に規定する基金に関して第十五条第一項の指定装備移転支援法人が果たすべき役割に関する基本的な事項
第二十七条第一項に規定する装備品等契約における秘密の保全措置に関する基本的な事項
防衛大臣による第二十九条に規定する指定装備品製造施設等の取得 及びその管理の委託に関する基本的な事項
前各号に掲げるもののほか、装備品等の開発 及び生産のための基盤の強化に関し必要な事項
防衛大臣は、基本方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
これを変更したときも、同様とする。
第二章 装備品製造等事業者による特定取組及び装備移転仕様等調整等を促進するための措置
第一節 装備品安定製造等確保計画
防衛大臣が指定する自衛隊の任務遂行に不可欠な装備品等(当該装備品等の製造等を行う特定の装備品製造等事業者による当該装備品等の製造等が停止された場合において、防衛省による当該装備品等の適確な調達に支障が生ずるおそれがあるものに限る。以下「指定装備品等」という。)の製造等を行う装備品製造等事業者(第三号 及び第四号に掲げる取組にあっては、指定装備品等の製造等を行おうとする装備品製造等事業者を含む。)は、単独で 又は共同で、当該指定装備品等の安定的な製造等の確保のために行う次の各号に掲げる取組(以下 この条 及び第七条において「特定取組」という。)のいずれかに関する計画(以下 この節において「装備品安定製造等確保計画」という。)を作成し、防衛省令で定めるところにより、これを防衛大臣に提出して、その認定を受けることができる。
指定装備品等の製造等に必要な原材料、部品、設備、機器、装置 又はプログラム(以下 この条 及び第八条第一項において「原材料等」という。)であって、その供給が途絶するおそれが高いと認められるものの供給源の多様化 若しくは備蓄 又は当該指定装備品等の製造等における当該原材料等の使用量の減少に資する生産技術の導入、開発 若しくは改良をすること。
当該装備品製造等事業者におけるサイバーセキュリティ(サイバーセキュリティ基本法(平成二十六年法律第百四号)第二条に規定するサイバーセキュリティをいう。)を強化すること(防衛大臣が定める基準に適合するものに限る。)。
特定の指定装備品等の全部 又は大部分の製造等を行う他の装備品製造等事業者が当該指定装備品等の製造等に係る事業を停止する場合において、当該他の装備品製造等事業者から当該事業の全部 若しくは一部を譲り受けること 又は当該指定装備品等の製造等に係る事業を新たに開始すること。
装備品安定製造等確保計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
前各号に掲げるもののほか、防衛省令で定める事項
防衛大臣は、第一項の認定の申請があった場合において、次の各号のいずれにも該当すると認めるときは、その認定をするものとする。
防衛大臣は、装備品製造等事業者における指定装備品等の製造等 及び当該指定装備品等の製造等に必要な原材料等の調達 又は輸入の状況に照らし、当該指定装備品等の製造等に関し特定取組(第一項第四号に掲げる取組を除く。)が行われなければ当該指定装備品等の適確な調達に支障が生ずると認めるときは、当該指定装備品等の製造等を行う装備品製造等事業者に対し、同項の規定による装備品安定製造等確保計画の作成 及び提出を行うことを促すことができる。
防衛大臣は、前項の規定により装備品安定製造等確保計画の作成 及び提出を促そうとする場合において、民間の経済活力の向上 及び対外経済関係の円滑な発展を中心とする経済 及び産業の発展に関する施策との調整を図る必要があると認めるときは経済産業大臣に対し、造船に関する事業の発展に関する施策との調整を図る必要があると認めるときは国土交通大臣に対し、意見を求めることができる。
防衛大臣は、装備品安定製造等確保計画の認定をしたときは、速やかに、その旨を当該装備品安定製造等確保計画を提出した装備品製造等事業者に通知しなければならない。
第四条第一項の認定を受けた装備品製造等事業者(次条において「認定装備品安定製造等確保事業者」という。)は、当該認定を受けた装備品安定製造等確保計画を変更するときは、あらかじめ、防衛大臣の認定を受けなければならない。
ただし、防衛省令で定める軽微な変更については、この限りでない。
第四条第二項 及び第三項 並びに前条の規定は、前項の変更の認定について準用する。
政府は、防衛省と指定装備品等の調達に係る契約を締結している認定装備品安定製造等確保事業者(防衛省と当該契約を締結していない認定装備品安定製造等確保事業者であって、当該契約を締結している認定装備品安定製造等確保事業者に当該契約に係る指定装備品等の部品 若しくは構成品を直接 若しくは間接に供給し、又は当該契約に係る指定装備品等の製造等に関する役務を直接 若しくは間接に提供しているものを含む。)において、第四条第一項の認定を受けた装備品安定製造等確保計画(前条第一項の変更の認定があったときは、その変更後のもの)に係る特定取組(当該契約に係る指定装備品等の製造等に関するものに限る。)が着実に実施されるようにするため、予算の範囲内において、必要な財政上の措置を講ずるものとする。
防衛大臣は、第四条第四項の規定の施行に必要な限度において、指定装備品等の製造等を行う装備品製造等事業者に対し、当該指定装備品等の製造等 及び当該指定装備品等の製造等に必要な原材料等の調達 又は輸入に関し必要な報告 又は資料の提出を求めることができる。
前項の規定により報告 又は資料の提出の求めを受けた装備品製造等事業者は、その求めに応じるよう努めなければならない。
第二節 装備移転仕様等調整計画
装備品製造等事業者は、外国政府に対する装備移転が見込まれる場合において、当該装備移転の対象となる装備品等と同種の物品(以下 この項 及び次項第一号において「移転対象物品」という。)について、防衛大臣の求め(当該移転対象物品の仕様 及び性能を、我が国と当該外国政府との防衛の分野における協力の内容に応じて第二十七条第一項に規定する装備品等秘密の保全 その他の我が国の安全保障上の観点から適切なものとするために行うものに限る。)に応じてその仕様 及び性能の調整を行おうとするときは、単独で 又は共同で、その求めに応じて行う移転対象物品の仕様 及び性能の調整(以下「装備移転仕様等調整」という。)に関する計画(以下この節において「装備移転仕様等調整計画」という。)を作成し、防衛省令で定めるところにより、これを防衛大臣に提出して、その認定を受けることができる。
前各号に掲げるもののほか、防衛省令で定める事項
防衛大臣は、第一項の認定の申請があった場合において、次の各号のいずれにも該当すると認めるときは、その認定をするものとする。
防衛大臣は、装備移転仕様等調整計画の認定をしたときは、速やかに、その旨を当該装備移転仕様等調整計画を提出した装備品製造等事業者 及び第十五条第一項の指定装備移転支援法人に通知しなければならない。
第九条第一項の認定を受けた装備品製造等事業者(以下「認定装備移転事業者」という。)は、当該認定を受けた装備移転仕様等調整計画を変更するときは、あらかじめ、防衛大臣の認定を受けなければならない。
ただし、防衛省令で定める軽微な変更については、この限りでない。
第九条第二項 及び第三項 並びに前条の規定は、前項の変更の認定について準用する。
防衛大臣は、この節の規定の施行に必要な限度において、認定装備移転事業者に対し、第九条第一項の認定を受けた装備移転仕様等調整計画(前条第一項の変更の認定があったときは、その変更後のもの。以下「認定装備移転仕様等調整計画」という。)の実施状況 その他必要な事項に関し報告 又は資料の提出を求めることができる。
防衛大臣は、認定装備移転事業者が前条の規定による命令に違反したときは、第九条第一項の認定を取り消すことができる。
第十条の規定は、前項の規定による認定の取消しについて準用する。
第三節 指定装備移転支援法人
防衛大臣は、防衛省令で定めるところにより、一般社団法人 又は一般財団法人であって、第三項に規定する業務(以下この節において「装備移転支援業務」という。)に関し次の各号のいずれにも適合すると認められるものを、その申請により、全国を通じて一個に限り、指定装備移転支援法人として指定することができる。
装備移転支援業務以外の業務を行っている場合にあっては、その業務を行うことによって装備移転支援業務の適正かつ確実な実施に支障を及ぼすおそれがないものであること。
前二号に掲げるもののほか、装備移転支援業務を適正かつ確実に実施することができるものとして、防衛省令で定める基準に適合するものであること。
次の各号のいずれかに該当する者は、前項の規定による指定(以下この節において「指定」という。)を受けることができない。
この法律の規定に違反し、刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して二年を経過しない者
第二十五条第一項 又は第二項の規定により指定を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者
その役員のうちに、第一号に該当する者 又は自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第百十八条第一項(第一号に係る部分に限る。)若しくは第二項に規定する罪、日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法(昭和二十九年法律第百六十六号)に規定する罪 若しくは特定秘密の保護に関する法律(平成二十五年法律第百八号)に規定する罪を犯し、刑に処せられ、その執行を終わり、若しくは執行を受けることがなくなった日から起算して二年を経過しない者がある者
前二号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。
防衛大臣は、指定をするに当たっては、防衛省令で定めるところにより、当該指定装備移転支援法人が装備移転支援業務を実施する際に従うべき基準(以下この節において「装備移転支援実施基準」という。)を定めるものとする。
防衛大臣は、装備移転支援実施基準を定めるときは、あらかじめ、財務大臣に協議しなければならない。
防衛大臣は、装備移転支援実施基準を定めたときは、これを公表しなければならない。
前二項の規定は、装備移転支援実施基準の変更について準用する。
指定装備移転支援法人は、その名称、住所 又は装備移転支援業務を行う事務所の所在地を変更するときは、あらかじめ、その旨を防衛大臣に届け出なければならない。
防衛大臣は、前項の規定による届出があったときは、その旨を公示するものとする。
指定装備移転支援法人は、装備移転支援業務を行うときは、防衛省令で定めるところにより、当該装備移転支援業務の開始前に、装備移転支援業務に関する規程(以下この条において「装備移転支援業務規程」という。)を定め、防衛大臣の認可を受けなければならない。
これを変更しようとするときも、同様とする。
第十五条第三項第一号に掲げる業務に関する次に掲げる事項
イからハまでに掲げるもののほか、助成金の交付に関し必要な事項として防衛省令で定める事項
次条第一項に規定する基金の管理に関する事項
前二号に掲げるもののほか、装備移転支援業務に関し必要な事項として防衛省令で定める事項
防衛大臣は、第一項の認可の申請が基本方針 及び装備移転支援実施基準に適合するとともに、装備移転支援業務を適正かつ確実に実施するために十分なものであると認めるときは、その認可をするものとする。
防衛大臣は、第一項の認可をするときは、あらかじめ、財務大臣に協議しなければならない。
指定装備移転支援法人は、第一項の認可を受けたときは、遅滞なく、その装備移転支援業務規程を公表しなければならない。
指定装備移転支援法人は、装備移転支援業務であって次の各号のいずれにも該当するもの 及びこれに附帯する業務に要する費用に充てるための基金(以下「基金」という。)を設け、次項の規定により交付を受けた補助金をもってこれに充てるものとする。
指定装備移転支援法人は、次の方法による場合を除くほか、基金の運用に係る業務上の余裕金を運用してはならない。
信託業務を営む金融機関(金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和十八年法律第四十三号)第一条第一項の認可を受けた金融機関をいう。)への金銭信託で元本補塡の契約があるもの
防衛大臣は、前項第一号に規定する有価証券 又は同項第二号に規定する金融機関を定めるときは、あらかじめ、財務大臣に協議しなければならない。
これを変更するときも、同様とする。
防衛大臣は、第十一条第二項 又は第十四条第二項において準用する第十条の規定による通知をした場合において、必要があると認めるときは、当該通知を受けた指定装備移転支援法人に対し、第二項の規定により交付を受けた補助金の全部 又は一部に相当する金額を国庫に納付すべきことを命ずるものとする。
前項の規定による納付金の納付の手続 及びその帰属する会計 その他国庫納付金に関し必要な事項は、政令で定める。
指定装備移転支援法人は、毎事業年度、基金に係る業務に関する報告書を作成し、当該事業年度の終了後六月以内に防衛大臣に提出しなければならない。
防衛大臣は、前項に規定する報告書の提出を受けたときは、これに意見を付けて、国会に報告しなければならない。
指定装備移転支援法人は、防衛省令で定めるところにより、毎事業年度、装備移転支援業務に関し事業計画書 及び収支予算書を作成し、防衛大臣の認可を受けなければならない。
これを変更しようとするときも、同様とする。
指定装備移転支援法人は、前項の認可を受けたときは、遅滞なく、その事業計画書 及び収支予算書を公表しなければならない。
指定装備移転支援法人は、毎事業年度、防衛省令で定めるところにより、装備移転支援業務に関し事業報告書 及び収支決算書を作成し、当該事業年度の終了後三月以内に防衛大臣に提出するとともに、これを公表しなければならない。
指定装備移転支援法人は、防衛省令で定めるところにより、次に掲げる業務ごとに経理を区分して整理しなければならない。
装備移転支援業務(次号に掲げる業務を除く。)
指定装備移転支援法人は、装備移転支援業務について、防衛省令で定めるところにより、帳簿を備え、防衛省令で定める事項を記載し、これを保存しなければならない。
防衛大臣は、この節の規定の施行に必要な限度において、指定装備移転支援法人に対し、装備移転支援業務に関し必要な報告 若しくは資料の提出を求め、又はその職員に、指定装備移転支援法人の事務所 その他必要な場所に立ち入り、装備移転支援業務に関し質問させ、若しくは帳簿、書類 その他の物件を検査させることができる。
前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならない。
第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
防衛大臣は、この節の規定の施行に必要があると認めるときは、指定装備移転支援法人に対し、装備移転支援業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
防衛大臣は、指定装備移転支援法人が第十五条第二項第一号 又は第三号に該当するに至ったときは、その指定を取り消すものとする。
防衛大臣は、指定装備移転支援法人が次の各号のいずれかに該当するときは、その指定を取り消すことができる。
防衛大臣は、前二項の規定により指定を取り消したときは、その旨を公示するものとする。
第一項 又は第二項の規定により指定を取り消された場合における装備移転支援業務の引継ぎ その他の必要な事項は、防衛省令で定める。
第四節 資金の貸付け
株式会社日本政策金融公庫は、装備品製造等事業者による指定装備品等の製造等 又は装備移転が円滑に行われるよう、必要な資金の貸付けについて配慮をするものとする。
第三章 装備品等契約における秘密の保全措置
防衛大臣は、防衛省と装備品等の研究開発、調達、補給 若しくは管理 若しくは装備品等に関する役務の調達 又は自衛隊の使用する施設の整備に係る契約(装備移転仕様等調整の実施に係る契約を含む。以下この条において「装備品等契約」という。)を締結した事業者(以下この条において「契約事業者」という。)に対し、当該装備品等契約を履行させるため、装備品等 又は自衛隊の使用する施設に関する情報であって、公になっていないもの(自衛隊法第五十九条第一項の規定により同法第二条第五項に規定する隊員が漏らしてはならないこととされる秘密に該当する情報に限る。)のうち、その漏えいが我が国の防衛上支障を与えるおそれがあるため特に秘匿することが必要であるもの(日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法第一条第三項に規定する特別防衛秘密 及び特定秘密の保護に関する法律第三条第一項に規定する特定秘密に該当するものを除く。)を取り扱わせる必要があると認めたときは、これを装備品等秘密に指定し、その指定の有効期間を定めた上で、当該装備品等秘密を当該契約事業者に提供することができる。
防衛大臣は、契約事業者に対し装備品等秘密を提供するときは、これを記録する文書、図画、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式 その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録をいう。以下この項において同じ。)若しくは物件 又は当該装備品等秘密を化体する物件について、装備品等秘密であること 及び当該装備品等秘密としての指定の有効期間の表示(電磁的記録にあっては、当該表示の記録を含む。)を行わなければならない。
契約事業者は、装備品等契約に従い、当該契約事業者の従業者(代表者、代理人、使用人 その他の従業者をいう。以下この条において同じ。)のうちから、装備品等秘密を取り扱う業務を行わせる従業者を定め、当該従業者の氏名、役職 その他の防衛大臣が定める事項を防衛大臣に報告しなければならない。
この場合において、契約事業者は、あらかじめ当該従業者の同意を得るものとする。
契約事業者は、前項の規定により装備品等秘密の取扱いの業務を行わせるものとした従業者以外の者に装備品等秘密を取り扱わせてはならない。
前二項に規定するもののほか、契約事業者は、装備品等契約に従い、装備品等秘密の保護に関し必要な措置を講ずるものとする。
装備品等秘密の取扱いの業務に従事する従業者は、その業務に関して知り得た装備品等秘密を漏らしてはならない。
装備品等秘密の取扱いの業務に従事しなくなった後においても、同様とする。
前条に定めるもののほか、装備品等秘密の指定の手続 その他装備品等秘密に関し必要な事項は、政令で定める。
第四章 指定装備品製造施設等の取得及び管理の委託
防衛大臣は、指定装備品等の製造等を行う装備品製造等事業者に対する第二章の規定による措置では防衛省による当該指定装備品等の適確な調達を図ることができないと認める場合には、当該指定装備品等の製造等を行うことができる施設(当該施設に係る土地を含む。)又は設備(以下この章において「指定装備品製造施設等」という。)を取得することができる。
防衛大臣は、前条の規定により取得した指定装備品製造施設等について、当該指定装備品等の製造等を行わせるため、政令で定めるところにより、当該指定装備品製造施設等において当該指定装備品等の製造等を行っていた装備品製造等事業者 又は他の指定装備品製造施設等において当該指定装備品等の製造等を行っている装備品製造等事業者(当該指定装備品等と同種の装備品等の製造等を行っている装備品製造等事業者を含む。)に対し、その管理を委託するものとする。
前項の規定による委託を受けた装備品製造等事業者(以下この章において「施設委託管理者」という。)は、防衛省令で定めるところにより、当該委託を受けた管理の業務(以下 この条 及び第三十二条第一項において「施設委託管理業務」という。)の開始前に、施設委託管理業務に関する規程(第四項 及び第五項において「施設委託管理業務規程」という。)を定め、防衛大臣の認可を受けなければならない。
これを変更しようとするときも、同様とする。
防衛大臣は、前項の認可をするときは、あらかじめ、財務大臣に協議しなければならない。
防衛大臣は、第二項の認可をした施設委託管理業務規程が施設委託管理業務の適正かつ確実な実施上不適当となったと認めるときは、施設委託管理者に対し、これを変更すべきことを命ずることができる。
施設委託管理者は、毎事業年度、防衛省令で定めるところにより、施設委託管理業務に関し事業報告書 及び収支決算書を作成し、当該事業年度の終了後三月以内に防衛大臣に提出しなければならない。
施設委託管理者は、防衛省令で定めるところにより、施設委託管理業務に係る経理と その他の業務に係る経理とを区分して整理しなければならない。
防衛大臣は、この章の規定の施行に必要があると認めるときは、施設委託管理者に対し、施設委託管理業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
防衛大臣は、施設委託管理者が前項の命令に違反したとき その他施設委託管理業務を適正かつ確実に実施することができないと認めるときは、施設委託管理業務の委託を廃止し、又は期間を定めて施設委託管理業務の全部 若しくは一部の停止を命ずることができる。
施設委託管理者は、防衛省令で定めるところにより、防衛大臣の承認を得て、指定装備品等の製造等の目的を妨げない限度において、前条第一項の規定による委託を受けた指定装備品製造施設等を用いて、当該指定装備品等以外の製品の製造等を行うことができる。
防衛大臣は、この章の規定の施行に必要な限度において、施設委託管理者に対し、施設委託管理業務に関し必要な報告 若しくは資料の提出を求め、又はその職員に、施設委託管理者の営業所 若しくは事務所 その他必要な場所に立ち入り、施設委託管理業務に関し質問させ、若しくは帳簿、書類 その他の物件を検査させることができる。
第二十三条第二項 及び第三項の規定は、前項の規定による立入検査について準用する。
防衛大臣は、第二十九条の規定により取得した指定装備品製造施設等については、できるだけ早期に、当該指定装備品製造施設等を用いて指定装備品等の製造等を行うことができる装備品製造等事業者に譲渡するよう努めるものとする。
前項の場合において、防衛大臣は、施設委託管理者が指定装備品製造施設等において行う指定装備品等の円滑な製造等に支障が生ずることのないよう配慮しなければならない。
第五章 雑則
この法律の施行に当たっては、我が国が締結した条約 その他の国際約束の誠実な履行を妨げることがないよう留意しなければならない。
この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定 又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
第六章 罰則
第八条第一項の規定による報告 又は資料の提出の求めに係る事務に関して知り得た秘密を正当な理由がなく漏らし、又は盗用した者は、二年以下の拘禁刑 又は百万円以下の罰金に処する。
次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の拘禁刑 又は五十万円以下の罰金に処する。
第二十一条の規定に違反して秘密を漏らし、又は盗用した者
第二十七条第六項の規定に違反して装備品等秘密を漏らした者
前項第二号に掲げる行為を企て、教唆し、又は幇助をした者は、同項の刑に処する。
次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、三十万円以下の罰金に処する。
第十二条の規定による報告 若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告をし、若しくは虚偽の資料を提出したとき。
第二十二条の規定に違反して、帳簿を備えず、帳簿に記載せず、若しくは帳簿に虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかったとき。
第二十三条第一項 又は第三十二条第一項の規定による報告 若しくは資料の提出をせず、若しくは虚偽の報告をし、若しくは虚偽の資料を提出し、又は当該職員の質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。
法人の代表者 又は法人 若しくは人の代理人、使用人 その他の従業者が、その法人 又は人の業務に関して、前条各号の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人 又は人に対しても、同条の刑を科する。
第十八条第四項の規定に違反して基金を運用したときは、その違反行為をした指定装備移転支援法人の役員は、二十万円以下の過料に処する。