採石法

# 昭和二十五年法律第二百九十一号 #

第二章 採石権

分類 法律
カテゴリ   鉱業
@ 施行日 : 令和四年六月十七日 ( 2022年 6月17日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第六十八号による改正
最終編集日 : 2023年 02月18日 18時13分


1項

採石権者は、設定行為をもつて定めるところに従い、他人の土地において岩石 及び砂利(砂 及び玉石を含む。以下同じ。)を採取する権利を有する。

2項

採石権は、その内容が地上権 又は永小作権による土地の利用を妨げないものに限り、これらの権利の目的となつている土地にも、設定することができる。


但し、地上権者 又は永小作権者の承諾を得なければならない。

3項

採石権は、物権とし、地上権に関する規定(民法明治二十九年法律第八十九号第二百六十九条の二地下 又は空間を目的とする地上権)の規定を除く)を準用する。

1項
採石権の存続期間は、設定行為をもつて定めることを要する。
2項

前項の存続期間は、二十年以内とする。


若し二十年より長い期間をもつて採石権を設定したときは、その存続期間は、二十年に短縮する。

1項

前条の期間は、更新することができる。


但し、更新の時から二十年をこえることができない

1項

採石料が岩石 若しくは砂利の価格の変動 又は土地に対する租税 その他の公課の増減によつて著しく不相当となつたときは、当事者は、将来に向つてその増減を請求することができる。

1項

採石権者は、採石権が消滅したときは、その土地を原状に回復し、又は原状に回復しないことによつて生ずる損失を補償して、土地を返還しなければならない。

2項

民法第六百八条第二項有益費の償還)の規定は、前項の場合に準用する。

1項

採石権の設定を受けようとする者 又は採石権を譲り受けようとする者は、採石権の設定 又は譲受について、経済産業省令で定める手続に従い、経済産業局長の許可を受けて、土地の所有者 及び土地に関して第三者に対抗することができる権利を有する者(以下「権利者」という。)又は採石権者に対し協議することができる。

2項

採石権の消滅後一年以内は、採石権者であつた者は、その採石権が設定されていた土地について前項許可を申請することができない

1項

経済産業局長は、次に掲げる場合においては、前条第一項の許可をしてはならない。

一 号

その土地が鉄道、軌道、道路、水道、運河、港湾、河川、湖、沼、池、橋、堤防、ダム、かんがい排水施設、公園、墓地、学校、病院、図書館 若しくは その他の公共の用に供する施設の敷地 若しくは用地 又は建物の敷地であるとき。

二 号

砂利の採取を目的とする場合においては、その土地が海浜地 又は農地法昭和二十七年法律第二百二十九号)第二条第一項に規定する農地(同法第四十三条第一項の規定により農作物の栽培を耕作に該当するものとみなして適用する同法第二条第一項に規定する農地を含む。)若しくは採草放牧地であるとき。

三 号

他にその土地において岩石の採取(当該岩石の採取を行う場所で当該岩石の採取に付随して行う岩石の破砕 及び破砕した岩石の洗浄を含む。以下同じ。)の事業(以下「採石業」という。)又は砂利採取業(砂利採取法(昭和四十三年法律第七十四号)第二条に規定するものをいう。以下同じ。)を行つている者があるとき。

2項

経済産業局長は、前条第一項の許可をする場合においてその土地が河川法昭和三十九年法律第百六十七号)第五十四条、第五十六条、第五十八条の三 若しくは第五十八条の五(同法第百条においてこれらの規定を準用する場合を含む。)の規定により指定された河川保全区域内の土地、河川予定地、河川保全立体区域内の土地 若しくは河川予定立体区域内の土地、砂防法明治三十年法律第二十九号)第二条の規定により指定された土地 又は森林法昭和二十六年法律第二百四十九号第二十五条 若しくは第二十五条の二の規定に基づき保安林として指定された森林、同法第三十条 若しくは第三十条の二の規定に基づき保安林予定森林として告示された森林、同法第四十一条の規定に基づき保安施設地区として指定された土地 若しくは同法第四十四条において準用する同法第三十条の規定に基づき保安施設地区に予定された地区として告示された土地であるときは、あらかじめ関係都道府県知事(当該河川保全区域、河川予定地、河川保全立体区域 若しくは河川予定立体区域を管理する河川管理者が都道府県知事以外の者であるときは、その者)に協議しなければならない。

1項

経済産業局長は、第九条第一項の許可をしたときは、直ちにその旨を土地の所有者 及び権利者 その他土地に関して権利を有する者 又は採石権者に通知しなければならない。

1項

採石権の設定を受けようとする者 又は採石権を譲り受けようとする者は、第九条第一項の規定による協議をすることができず、又は協議がととのわないときは、経済産業省令で定める手続に従い、経済産業局長の決定を申請することができる。

1項

経済産業局長は、前条の規定による決定の申請を受理したときは、その申請書の副本を土地の所有者 及び権利者 又は採石権者に交付し、且つ、申請の要旨を土地に関して権利を有する者で権利者以外の者に通知しなければならない。

2項

経済産業局長は、前項の規定により申請書の副本を交付したときは、直ちに次条第一項 又は第二項の規定による処分の制限の登記を嘱託しなければならない。

1項

土地の所有者は、前条第一項の規定による申請書の副本の交付を受けた後は、第十二条の規定による申請を拒否する旨の決定があるまで、第二十六条第一項の規定により第十二条 若しくは次条第一項の決定 若しくは第三十九条第一項の裁定がその効力を失うまで、又は第十二条 若しくは次条第一項の決定に基く採石権の設定 若しくは土地の所有権の移転の登記の申請があるまでは、経済産業局長の許可を受けなければ、その土地に新たな権利を設定することができない

2項

採石権者は、前条第一項の規定による申請書の副本の交付を受けた後は、第十二条の規定による申請を拒否する旨の決定があるまで、第二十六条第一項の規定により第十二条の決定がその効力を失うまで、又は同条の決定に基く採石権の移転の登記の申請があるまでは、経済産業局長の許可を受けなければ、採石権を変更し、又は消滅させることができない

3項

第十二条の規定による決定の申請をした者は、前条第一項の規定による申請書の副本の交付があつた後において事業を廃止し、又は変更したときは、その事業の廃止 又は変更によつて土地の所有者 又は採石権者が受けた損失を補償しなければならない。

1項

土地の所有者は、採石権が設定されることによつてその土地を従来用いていた目的に供することができなくなるときは、経済産業局長に対し、採石権を設定すべき旨を定める決定をする場合においては、これに代えてその土地を買い取るべき旨を定める決定をすべきことを申請することができる。


土地の一部を買い取ることによつて残地を従来用いていた目的に供することができなくなる場合において、その残地についても、同様とする。

2項

権利者は、権利が変更されることによつて変更後の権利を従来用いていた目的に供することができなくなるときは、経済産業局長に対し、決定において権利を変更すべき旨を定める場合においては、これとともにその変更後の権利を買い取るべき旨を定めるべきことを申請することができる。

3項

経済産業局長は、前二項の規定による申請があつたときは、その旨を採石権の設定を受けようとする者に通知しなければならない。

1項

経済産業局長は、左に掲げる場合においては、採石権を設定し、又は権利者の権利を変更し、若しくは消滅させるべき旨を定める決定をしてはならない。

一 号

第十条第一項各号に掲げる場合

二 号

その土地における岩石 若しくは砂利の採取が他人に危害を及ぼし、公共の用に供する施設を損傷し、又は農業、林業 若しくは その他の産業の利益を損じ、公共の福祉に反するとき。

三 号
その土地における岩石 又は砂利の採取が経済的に価値がないとき。
四 号

その土地における岩石 又は砂利の採取が他人の採石業 又は砂利採取業を妨害するとき。

2項

経済産業局長は、採石権を設定すべき旨を定める決定をしようとする場合において、前条第一項の規定による申請があり、且つ、その土地を従来用いていた目的に供することができなくなると認めるときは、その土地を買い取るべき旨を定める決定をしなければならない。

3項

経済産業局長は、決定において権利者の権利を変更すべき旨を定めようとする場合において、前条第二項の規定による申請があり、且つ、変更後の権利を従来用いていた目的に供することができなくなると認めるときは、決定においてその変更後の権利を買い取るべき旨を定めなければならない。

4項
経済産業局長は、左に掲げる場合でなければ、採石権を譲り渡すべき旨を定める決定をしてはならない。
一 号

採石権者が天災 その他避けることができない事由がないのに引き続き二年以上採石業 又は砂利採取業を休止しているとき。

二 号

採石権者が現に採石業 又は砂利採取業を行つておらず、且つ、六箇月以内に採石業 又は砂利採取業に着手する見込がないとき

1項

経済産業局長は、第十二条 又は第十五条第一項の決定をしようとするときは、あらかじめ採石権の設定を受けようとする者 又は採石権を譲り受けようとする者 並びに土地の所有者 及び権利者 その他土地に関して権利を有する者 又は採石権者の出頭を求めて、公開による意見の聴取を行わなければならない。

2項

経済産業局長は、前項の意見の聴取をしようとするときは、その期日の一週間前までに、事案の要旨 並びに意見の聴取の期日 及び場所を当事者に通知し、かつ、これを公示しなければならない。

3項

第一項の意見の聴取に際しては、当事者に対して、当該事案について、証拠を提示し、意見を述べる機会を与えなければならない。

1項

経済産業局長は、第十二条 又は第十五条第一項の決定をしようとするときは、あらかじめ公害等調整委員会の承認を得なければならない。

1項

経済産業局長は、左に掲げる事項を定めて、採石権を設定し、又は権利者の権利を変更し、若しくは消滅させるべき旨を定める決定をしなければならない。

一 号
採石権を設定すべき土地の区域
二 号
採石権の設定の時期
三 号
採石権の存続期間
四 号
採石料 並びにその支払の時期 及び方法
五 号
変更し、又は消滅させるべき権利者の権利 及び変更すべき権利者の権利については、その範囲
六 号

変更後の権利を買い取るべき旨を定めるときは、その買い取るべき変更後の権利、買取の時期、対価 並びにその支払の時期 及び方法

七 号

土地の所有者 及び権利者 その他土地に関して権利を有する者に支払うべき補償金 並びにその支払の時期 及び方法

2項

経済産業局長は、左に掲げる事項を定めて、土地を買い取るべき旨を定める決定をしなければならない。

一 号
買い取るべき土地の区域
二 号
土地の買取の時期
三 号

対価 及び権利者 その他土地に関して権利を有する者に支払うべき補償金 並びにその支払の時期 及び方法

四 号

前項第五号 及び第六号に掲げる事項

3項

経済産業局長は、左に掲げる事項を定めて、採石権を譲り渡すべき旨を定める決定をしなければならない。

一 号
譲り渡すべき採石権の目的となつている土地の所在地 及び その範囲
二 号
採石権の譲渡の時期
三 号
対価 並びにその支払の時期 及び方法
1項

第十二条 又は第十五条第一項の決定は、文書をもつて行い、且つ、理由を附さなければならない。

2項

経済産業局長は、第十二条 又は第十五条第一項の決定をしたときは、決定書の謄本を採石権の設定を受けようとする者 又は採石権を譲り受けようとする者 並びに土地の所有者 及び権利者 その他土地に関して権利を有する者 又は採石権者に交付しなければならない。

1項

第十二条 又は第十五条第一項の決定があつたときは、決定の定めるところに従い、採石権の設定を受けようとする者と土地の所有者 及び権利者 その他土地に関して権利を有する者との間に採石権の設定、土地の買取 又は権利者の権利の変更、消滅 若しくは買取について、採石権を譲り受けようとする者と採石権者との間に採石権の譲受について、それぞれ協議がととのつたものとみなす。

1項

第九条第一項の規定による協議をすることができず、又は協議がととのわない場合において、同項の許可の後六箇月以内第十二条の規定による決定の申請がなかつたときは、許可は、その効力を失う。

1項

第十九条第一項第七号 又は第二項第三号の補償金の額は、左に掲げる損失 又は費用に相当するものでなければならない。

一 号

採石権が設定されることによつて土地の所有者が通常受けるべき損失(採石料として支払われる分を除く

二 号

権利者の権利が変更され、又は消滅させられることによつて権利者が通常受けるべき損失

三 号
採石権が設定され、又は土地が買い取られることによつて権利者 その他土地に関して権利を有する者が通常受けるべき損失
四 号

採石権が設定され、土地が買い取られ、又は権利者の権利が変更されることによつて残地 又は変更後の権利の価格が減少し、その他残地 又は変更後の権利に関して生ずべき損失

五 号

採石権が設定され、土地が買い取られ、又は権利者の権利が変更されることによつて必要となる通路、みぞ、さく その他の工作物の新築、改築、増築 又は修繕の費用

1項

第十二条の決定に基き採石権の設定を受けた者が定期に、又は分割して採石料を支払うべきときは、土地の所有者は、採石権者となつた者に対し、採石料について相当の担保を提供すべきことを請求することができる。


この場合においては、採石権者となつた者は、正当な事由がなければ、その承諾を拒むことができない

2項

土地の所有者は、前項の承諾を得ることができないときは、経済産業局長の決定を申請することができる。

3項

前項の決定があつたときは、採石権者となつた者の承諾があつたものとみなす。

4項

第十三条第一項第十七条 及び第二十条の規定は、第二項の決定に準用する。

1項

第十二条 又は第十五条第一項の決定において権利者の権利を変更し、又は消滅させるべき旨を定めた場合において、その権利について先取特権、質権 又は抵当権が存するときは、補償金を支払うべき者は、その補償金を供託しなければならない。


但し、先取特権者、質権者 又は抵当権者の承諾を得たときは、この限りでない。

2項

前項の場合においては、先取特権者、質権者 又は抵当権者は、供託金に対しても、その権利を行うことができる。

1項

採石権の設定を受けようとする者 又は採石権を譲り受けようとする者が支払の時期までに採石料(採石料を定期に、又は分割して支払うべきときは、その最初に支払うべき分)、補償金 又は対価の支払をしないときは、第九条第一項の許可 及び同項の規定による協議、第十二条 若しくは第十五条第一項の決定 又は第三十九条第一項の裁定は、その効力を失う

2項

前項の規定は、土地の所有者 若しくは権利者 その他土地に関して権利を有する者 又は採石権者が損害賠償の請求をすることを妨げるものではない。

1項

経済産業局長は、第十二条の規定による申請を拒否する旨の決定をしたとき、前条第一項の規定により第十二条 若しくは第十五条第一項の決定 若しくは第三十九条第一項の裁定がその効力を失つた場合において、土地の所有者 若しくは採石権者の申請があつたとき、又は第十九条第一項第二号の採石権の設定の時期、同条第二項第二号の土地の買取の時期 若しくは同条第三項第二号の採石権の譲渡の時期が到来したときは、第十三条第二項の処分の制限の登記のまつ消を嘱託しなければならない。

1項

採石権者は、土地の所有者と採石権の存続期間の更新に関して協議することができず、又は協議がととのわないときは、経済産業省令で定める手続に従い、存続期間の満了前三箇月以上 六箇月以内に、経済産業局長の決定を申請することができる。

1項

経済産業局長は、左に掲げる場合においては、採石権の存続期間を更新すべき旨を定める決定をしてはならない。

一 号

採石権者が採石料を支払うべき場合において、その支払を怠つているとき。

二 号

採石権者が引き続き二年以上採石業 又は砂利採取業を休止したとき。

三 号

第十六条第一項各号に掲げる場合

2項

経済産業局長は、採石権の存続期間を更新すべき旨を定める決定においては、更新後の存続期間を定めなければならない。

1項

第十三条第一項第十五条第一項 及び第三項第十六条第二項第十七条第十八条第十九条第二項第二十条第二十一条第二十四条 並びに第二十六条の規定は、第二十八条の決定に準用する。

1項

第十二条の決定による採石権の設定 若しくは移転、第十五条第一項の決定による土地の所有権の移転、第十二条 若しくは第十五条第一項の決定による土地に関する所有権以外の権利の移転 又は第二十八条の決定による採石権の存続期間の更新の登記は、登記権利者だけで申請することができる。

2項

第十二条 又は第十五条第一項の決定において、土地に関する所有権以外の権利を変更し、又は消滅させるべき旨を定めたときは、当該権利の変更の登記 又は当該権利に関する登記のまつ消は、採石権の設定を受けた者 又は土地を買い取つた者からも、申請することができる。

3項

前二項の規定による申請をするには、その申請情報と併せて補償金 又は対価(採石権の設定の登記については、補償金 及び最初に支払うべき採石料)の受取りを証する情報 又は供託の受領を証する情報を提供しなければならない。


ただし、採石権の存続期間の更新の登記の申請については、この限りでない。

4項

第二項の変更の登記は、不動産登記法平成十六年法律第百二十三号第六十六条の規定にかかわらず付記登記によつてすることができる。

5項

不動産登記法第六十八条利害関係人の承諾)の規定は、第二項の登記の抹消については、適用しない