薬剤師法

昭和三十五年法律第百四十六号
分類 法律
カテゴリ   厚生
@ 施行日 : 令和五年一月一日 ( 2023年 1月1日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第四十七号による改正
最終編集日 : 2023年 04月07日 12時22分

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  • 第一章 総則

  • 第二章 免許

  • 第三章 試験

  • 第四章 業務

  • 第五章 罰則

第一章 総則

1項

薬剤師は、調剤、医薬品の供給 その他薬事衛生をつかさどることによつて、公衆衛生の向上 及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする。

第二章 免許

1項

薬剤師になろうとする者は、厚生労働大臣の免許を受けなければならない。

1項

薬剤師の免許(以下「免許」という。)は、薬剤師国家試験(以下「試験」という。)に合格した者に対して与える。

1項

未成年者には、免許を与えない。

1項

次の各号いずれかに該当する者には、免許を与えないことがある。

一 号

心身の障害により薬剤師の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの

二 号

麻薬、大麻 又はあへんの中毒者

三 号

罰金以上の刑に処せられた者

四 号

前号に該当する者を除くほか、薬事に関し犯罪 又は不正の行為があつた者

1項

厚生労働省に薬剤師名簿を備え、登録年月日、第八条第一項の規定による処分に関する事項 その他の免許に関する事項を登録する。

1項

免許は、試験に合格した者の申請により、薬剤師名簿に登録することによつて行う。

2項

厚生労働大臣は、免許を与えたときは、薬剤師免許証を交付する。

1項

厚生労働大臣は、免許を申請した者について、第五条第一号に掲げる者に該当すると認め、同条の規定により免許を与えないこととするときは、あらかじめ、当該申請者にその旨を通知し、その求めがあつたときは、厚生労働大臣の指定する職員にその意見を聴取させなければならない。

1項

薬剤師が、第五条各号いずれかに該当し、又は薬剤師としての品位を損するような行為のあつたときは、厚生労働大臣は、次に掲げる処分をすることができる。

一 号
戒告
二 号

三年以内の業務の停止

三 号
免許の取消し
2項

都道府県知事は、薬剤師について前項の処分が行われる必要があると認めるときは、その旨を厚生労働大臣に具申しなければならない。

3項

第一項の規定により免許を取り消された者(第五条第三号 若しくは第四号に該当し、又は薬剤師としての品位を損するような行為のあつた者として第一項の規定により免許を取り消された者にあつては、その取消しの日から起算して五年を経過しない者を除く)であつても、その者がその取消しの理由となつた事項に該当しなくなつたときその他その後の事情により再び免許を与えるのが適当であると認められるに至つたときは、再免許を与えることができる。


この場合においては、第七条の規定を準用する。

4項

厚生労働大臣は、第一項 及び前項に規定する処分をするに当たつては、あらかじめ医道審議会の意見を聴かなければならない。

5項

厚生労働大臣は、第一項の規定による免許の取消処分をしようとするときは、都道府県知事に対し、当該処分に係る者に対する意見の聴取を行うことを求め、当該意見の聴取をもつて、厚生労働大臣による聴聞に代えることができる。

6項

行政手続法平成五年法律第八十八号第三章第二節第二十五条第二十六条 及び第二十八条除く)の規定は、都道府県知事が前項の規定により意見の聴取を行う場合について準用する。


この場合において、

同節
聴聞」とあるのは
「意見の聴取」と、

同法第十五条第一項
行政庁」とあるのは
「都道府県知事」と、

同条第三項同法第二十二条第三項において準用する場合を含む。)中
行政庁は」とあるのは
「都道府県知事は」と、

当該行政庁が」とあるのは
「当該都道府県知事が」と、

当該行政庁の」とあるのは
「当該都道府県の」と、

同法第十六条第四項 並びに第十八条第一項 及び第三項
行政庁」とあるのは
「都道府県知事」と、

同法第十九条第一項
行政庁が指名する職員 その他政令で定める者」とあるのは
「都道府県知事が指名する職員」と、

同法第二十条第一項第二項 及び第四項
行政庁」とあるのは
「都道府県」と、

同条第六項 及び同法第二十四条第三項
行政庁」とあるのは
「都道府県知事」と

読み替えるものとする。

7項

厚生労働大臣は、都道府県知事から当該処分の原因となる事実を証する書類 その他意見の聴取を行う上で必要となる書類を求められた場合には、速やかにそれらを当該都道府県知事あて送付しなければならない。

8項

都道府県知事は、第五項の規定により意見の聴取を行う場合において、第六項において読み替えて準用する行政手続法第二十四条第三項の規定により同条第一項の調書 及び同条第三項の報告書の提出を受けたときは、これらを保存するとともに、当該調書 及び報告書の写しを厚生労働大臣に提出しなければならない。


この場合において、当該処分の決定についての意見があるときは、当該写しのほか当該意見を記載した意見書を提出しなければならない。

9項

厚生労働大臣は、意見の聴取の終結後に生じた事情に鑑み必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、前項前段の規定により提出された調書 及び報告書の写し並びに同項後段の規定により提出された意見書を返戻して主宰者に意見の聴取の再開を命ずるよう求めることができる。


行政手続法第二十二条第二項本文 及び第三項の規定は、この場合について準用する。

10項

厚生労働大臣は、当該処分の決定をするときは、第八項の規定により提出された意見書 並びに調書 及び報告書の写しの内容を十分参酌してこれをしなければならない。

11項

厚生労働大臣は、第一項の規定による業務の停止の命令をしようとするときは、都道府県知事に対し、当該処分に係る者に対する弁明の聴取を行うことを求め、当該弁明の聴取をもつて、厚生労働大臣による弁明の機会の付与に代えることができる。

12項

前項の規定により弁明の聴取を行う場合において、都道府県知事は、弁明の聴取を行うべき日時までに相当な期間をおいて、当該処分に係る者に対し、次に掲げる事項を書面により通知しなければならない。

一 号

第一項の規定を根拠として当該処分をしようとする旨 及び その内容

二 号
当該処分の原因となる事実
三 号

弁明の聴取の日時 及び場所

13項

厚生労働大臣は、第十一項に規定する場合のほか、厚生労働大臣による弁明の機会の付与に代えて、医道審議会の委員に、当該処分に係る者に対する弁明の聴取を行わせることができる。


この場合においては、

前項
前項」とあるのは
次項」と、

都道府県知事」とあるのは
「厚生労働大臣」と

読み替えて、同項の規定を適用する。

14項

第十二項前項後段の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の通知を受けた者は、代理人を出頭させ、かつ、証拠書類 又は証拠物を提出することができる。

15項

都道府県知事 又は医道審議会の委員は、第十一項 又は第十三項前段の規定により弁明の聴取を行つたときは、聴取書を作り、これを保存するとともに、報告書を作成し、厚生労働大臣に提出しなければならない。


この場合において、当該処分の決定についての意見があるときは、当該意見を報告書に記載しなければならない。

16項

厚生労働大臣は、第五項 又は第十一項の規定により都道府県知事が意見の聴取 又は弁明の聴取を行う場合においては、都道府県知事に対し、あらかじめ、次に掲げる事項を通知しなければならない。

一 号

当該処分に係る者の氏名 及び住所

二 号

当該処分の内容 及び根拠となる条項

三 号
当該処分の原因となる事実
17項

第五項の規定により意見の聴取を行う場合における第六項において読み替えて準用する行政手続法第十五条第一項の通知 又は第十一項の規定により弁明の聴取を行う場合における第十二項の通知は、それぞれ、前項の規定により通知された内容に基づいたものでなければならない。

18項

第五項 若しくは第十一項の規定により都道府県知事が意見の聴取 若しくは弁明の聴取を行う場合 —又は第十三項前段の規定により医道審議会の委員が弁明の聴取を行う場合における当該処分については、行政手続法第三章第十二条 及び第十四条除く)の規定は、適用しない

1項

厚生労働大臣は、前条第一項第一号 若しくは第二号に掲げる処分を受けた薬剤師 又は同条第三項の規定により再免許を受けようとする者に対し、薬剤師としての倫理の保持 又は薬剤師として必要な知識 及び技能に関する研修として厚生労働省令で定めるもの(以下「再教育研修」という。)を受けるよう命ずることができる。

2項

厚生労働大臣は、前項の規定による再教育研修を修了した者について、その申請により、再教育研修を修了した旨を薬剤師名簿に登録する。

3項

厚生労働大臣は、前項の登録をしたときは、再教育研修修了登録証を交付する。

4項

第二項の登録を受けようとする者及び再教育研修修了登録証の書換交付 又は再交付を受けようとする者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を納めなければならない。

5項

前条第十一項から第十八項まで第十三項除く)の規定は、第一項の規定による命令をしようとする場合について準用する。


この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。

1項

厚生労働大臣は、薬剤師について第八条第一項の規定による処分をすべきか否かを調査する必要があると認めるときは、当該事案に関係する者 若しくは参考人から意見 若しくは報告を徴し、調剤録 その他の物件の所有者に対し、当該物件の提出を命じ、又は当該職員をして当該事案に関係のある薬局 その他の場所に立ち入り、調剤録 その他の物件を検査させることができる。

2項

前項の規定により立入検査をしようとする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。

3項

第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと 解してはならない。

1項

薬剤師は、厚生労働省令で定める二年ごとの年の十二月三十一日現在における氏名、住所 その他厚生労働省令で定める事項を、当該年の翌年一月十五日までに、その住所地の都道府県知事を経由して厚生労働大臣に届け出なければならない。


ただし情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律平成十四年法律第百五十一号第六条第一項の規定により当該届出を同項に規定する電子情報処理組織を使用して行うときは、都道府県知事を経由することを要しない。

1項

この章に規定するもののほか、免許の申請、薬剤師名簿の登録、訂正 及び消除 並びに免許証の交付、書換交付、再交付 及び返納に関し必要な事項は政令で、第八条第一項の処分、第八条の二第一項の再教育研修の実施、同条第二項の薬剤師名簿の登録 並びに同条第三項の再教育研修修了登録証の交付、書換交付 及び再交付に関して必要な事項は厚生労働省令で定める。

第三章 試験

1項

試験は、薬剤師として必要な知識 及び技能について行なう。

1項

試験は、毎年少なくとも一回、厚生労働大臣が行なう。

2項

厚生労働大臣は、試験の科目 又は実施 若しくは合格者の決定の方法を定めようとするときは、あらかじめ、医道審議会の意見を聴かなければならない。

1項

試験に関する事務をつかさどらせるため、厚生労働省に薬剤師試験委員を置く。

2項

薬剤師試験委員に関し必要な事項は、政令で定める。

1項

薬剤師試験委員 その他試験に関する事務をつかさどる者は、その事務の施行に当たつて厳正を保持し、不正の行為がないようにしなければならない。

1項

試験は、次の各号いずれかに該当する者でなければ、受けることができない

一 号

学校教育法昭和二十二年法律第二十六号)に基づく大学において、薬学の正規の課程(同法第八十七条第二項に規定するものに限る)を修めて卒業した者

二 号

外国の薬学校を卒業し、又は外国の薬剤師免許を受けた者で、厚生労働大臣が前号に掲げる者と 同等以上の学力 及び技能を有すると認定したもの

1項

試験を受けようとする者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を納めなければならない。

2項

前項の規定により納めた手数料は、試験を受けなかつた場合においても、返還しない。

1項

試験に関して不正の行為があつた場合には、その不正行為に関係のある者について、その受験を停止させ、又はその試験を無効とすることができる。


この場合においては、なお、その者について、期間を定めて試験を受けることを許さないことができる。

1項

この章に規定するもののほか、試験の科目、受験手続 その他試験に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。

第四章 業務

1項

薬剤師でない者は、販売 又は授与の目的で調剤してはならない。


ただし、医師 若しくは歯科医師が 次に掲げる場合において 自己の処方箋により自ら調剤するとき、又は獣医師が自己の処方箋により自ら調剤するときは、この限りでない。

一 号

患者 又は現にその看護に当たつている者が特にその医師 又は歯科医師から薬剤の交付を受けることを希望する旨を申し出た場合

二 号

医師法昭和二十三年法律第二百一号第二十二条第一項各号の場合 又は歯科医師法昭和二十三年法律第二百二号)第二十一条第一項各号の場合

1項

薬剤師でなければ、薬剤師 又はこれにまぎらわしい名称を用いてはならない

1項

調剤に従事する薬剤師は、調剤の求めがあつた場合には、正当な理由がなければ、これを拒んではならない。

1項

薬剤師は、医療を受ける者の居宅等(居宅 その他の厚生労働省令で定める場所をいう。)において医師 又は歯科医師が交付した処方せんにより、当該居宅等において調剤の業務のうち厚生労働省令で定めるものを行う場合を除き薬局以外の場所で、販売 又は授与の目的で調剤してはならない。


ただし、病院 若しくは診療所 又は飼育動物診療施設(獣医療法(平成四年法律第四十六号)第二条第二項に規定する診療施設をいい、往診のみによつて獣医師に飼育動物の診療業務を行わせる者の住所を含む。以下この条において同じ。)の調剤所において、その病院 若しくは診療所 又は飼育動物診療施設で診療に従事する医師 若しくは歯科医師 又は獣医師の処方せんによつて調剤する場合 及び災害 その他特殊の事由により薬剤師が薬局において調剤することができない場合 その他の厚生労働省令で定める特別の事情がある場合は、この限りでない。

1項

薬剤師は、医師、歯科医師 又は獣医師の処方せんによらなければ、販売 又は授与の目的で調剤してはならない。

2項

薬剤師は、処方せんに記載された医薬品につき、その処方せんを交付した医師、歯科医師 又は獣医師の同意を得た場合を除くほか、これを変更して調剤してはならない。

1項

薬剤師は、処方せん中に疑わしい点があるときは、その処方せんを交付した医師、歯科医師 又は獣医師に問い合わせて、その疑わしい点を確かめた後でなければ、これによつて調剤してはならない。

1項

薬剤師は、販売 又は授与の目的で調剤した薬剤の容器 又は被包に、処方せんに記載された患者の氏名、用法、用量 その他厚生労働省令で定める事項を記載しなければならない。

1項

薬剤師は、調剤した薬剤の適正な使用のため、販売 又は授与の目的で調剤したときは、患者 又は現にその看護に当たつている者に対し、必要な情報を提供し、及び必要な薬学的知見に基づく指導を行わなければならない。

2項

薬剤師は、前項に定める場合のほか、調剤した薬剤の適正な使用のため必要があると認める場合には、患者の当該薬剤の使用の状況を継続的かつ的確に把握するとともに、患者 又は現にその看護に当たつている者に対し、必要な情報を提供し、及び必要な薬学的知見に基づく 指導を行わなければならない。

1項

薬剤師は、調剤したときは、その処方せんに、調剤済みの旨(その調剤によつて、当該処方せんが調剤済みとならなかつたときは、調剤量)、調剤年月日 その他厚生労働省令で定める事項を記入し、かつ、記名押印し、又は署名しなければならない。

1項

薬局開設者は、当該薬局で調剤済みとなつた処方せんを、調剤済みとなつた日から三年間保存しなければならない。

1項

薬局開設者は、薬局に調剤録を備えなければならない。

2項

薬剤師は、薬局で調剤したときは、厚生労働省令で定めるところにより、調剤録に厚生労働省令で定める事項を記入しなければならない。

3項

薬局開設者は、第一項の調剤録を、最終の記入の日から三年間保存しなければならない。

1項

厚生労働大臣は、医療を受ける者 その他国民による薬剤師の資格の確認 及び医療に関する適切な選択に資するよう、薬剤師の氏名 その他の政令で定める事項を公表するものとする。

1項

第八条第五項 及び第九項前段、同条第十一項 及び第十二項これらの規定を第八条の二第五項において準用する場合を含む。)、第八条第六項において準用する行政手続法第十五条第一項 及び第三項同法第二十二条第三項において準用する場合を含む。)、第十六条第四項第十八条第一項 及び第三項第十九条第一項第二十条第六項 並びに第二十四条第三項第八条第九項後段において準用する同法第二十二条第三項において準用する同法第十五条第三項 並びに第九条の規定により都道府県が処理することとされている事務は、地方自治法昭和二十二年法律第六十七号第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。

第五章 罰則

1項

第十九条の規定に違反した者(医師、歯科医師 及び獣医師を除く)は、三年以下の懲役 若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

1項

次の各号いずれかに該当する者は、一年以下の懲役 若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

一 号

第八条第一項の規定により業務の停止を命ぜられた者で、当該停止を命ぜられた期間中に、業務を行つたもの

二 号

第二十二条第二十三条 又は第二十五条の規定に違反した者

1項

第十四条の規定に違反して故意 若しくは重大な過失により事前に試験問題を漏らし、又は故意に不正の採点をした者は、一年以下の懲役 又は五十万円以下の罰金に処する。

1項

次の各号いずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。

一 号

第八条の二第一項の規定による命令に違反して再教育研修を受けなかつた者

二 号

第八条の三第一項の規定による陳述をせず、報告をせず、若しくは虚偽の陳述 若しくは報告をし、物件を提出せず、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者

三 号

第九条の規定に違反した者

四 号

第十九条の規定に違反した医師、歯科医師 又は獣医師

五 号

第二十条の規定に違反した者

六 号

第二十四条 又は第二十六条から第二十八条までの規定に違反した者

1項

法人の代表者又は法人 若しくは人の代理人、使用人 その他の従業者が、その法人 又は人の業務に関して、前条第二号 又は第六号第二十七条 又は第二十八条第一項 若しくは第三項に係る部分に限る)の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人 又は人に対しても、前条の罰金刑を科する。