この法律は、森林 及び林業に関する施策について、基本理念 及びその実現を図るのに基本となる事項を定め、並びに国 及び地方公共団体の責務等を明らかにすることにより、森林 及び林業に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もつて国民生活の安定向上 及び国民経済の健全な発展を図ることを目的とする。
森林・林業基本法
第一章 総則
森林については、その有する国土の保全、水源のかん養、自然環境の保全、公衆の保健、地球温暖化の防止、林産物の供給等の多面にわたる機能(以下「森林の有する多面的機能」という。)が持続的に発揮されることが国民生活 及び国民経済の安定に欠くことのできないものであることにかんがみ、将来にわたつて、その適正な整備 及び保全が図られなければならない。
国は、前二条に定める森林 及び林業に関する施策についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのつとり、森林 及び林業に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。
国 及び地方公共団体は、森林 及び林業に関する施策を講ずるに当たつては、林業従事者、森林 及び林業に関する団体 並びに木材産業 その他の林産物の流通 及び加工の事業(以下「木材産業等」という。)の事業者がする自主的な努力を支援することを旨とするものとする。
森林の所有者 又は森林を使用収益する権原を有する者(以下「森林所有者等」という。)は、基本理念にのつとり、森林の有する多面的機能が確保されることを旨として、その森林の整備 及び保全が図られるように努めなければならない。
政府は、毎年、国会に、森林 及び林業の動向 並びに政府が森林 及び林業に関して講じた施策に関する報告を提出しなければならない。
政府は、毎年、前項の報告に係る森林 及び林業の動向を考慮して講じようとする施策を明らかにした文書を作成し、これを国会に提出しなければならない。
政府は、前項の講じようとする施策を明らかにした文書を作成するには、林政審議会の意見を聴かなければならない。
第二章 森林・林業基本計画
政府は、森林 及び林業に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、森林・林業基本計画(以下「基本計画」という。)を定めなければならない。
前三号に掲げるもののほか、森林 及び林業に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
前項第二号に掲げる森林の有する多面的機能の発揮 並びに林産物の供給 及び利用に関する目標は、森林の整備 及び保全 並びに林業 及び木材産業等の事業活動 並びに林産物の消費に関する指針として、森林所有者等 その他の関係者が取り組むべき課題を明らかにして定めるものとする。
政府は、第一項の規定により基本計画を定めようとするときは、林政審議会の意見を聴かなければならない。
政府は、第一項の規定により基本計画を定めたときは、遅滞なく、これを国会に報告するとともに、公表しなければならない。
政府は、森林 及び林業をめぐる情勢の変化を勘案し、並びに森林 及び林業に関する施策の効果に関する評価を踏まえ、おおむね五年ごとに、基本計画を変更するものとする。
第五項 及び第六項の規定は、基本計画の変更について準用する。
第三章 森林の有する多面的機能の発揮に関する施策
前項に定めるもののほか、国は、森林所有者等による計画的かつ一体的な森林の施業の実施が特に重要であることにかんがみ、その実施に不可欠な森林の現況の調査 その他の地域における活動を確保するための支援を行うものとする。
国は、森林の適正な保全を図るため、土地の形質の変更 その他の森林の保全に著しい支障を及ぼすおそれがある行為に関し、その支障を防止するために必要な規制、災害による土砂の崩壊の防止 及びその復旧のための森林土木事業の推進、森林病害虫の駆除 及びそのまん延の防止 その他必要な施策を講ずるものとする。
第四章 林業の持続的かつ健全な発展に関する施策
第五章 林産物の供給及び利用の確保に関する施策
第六章 行政機関及び団体
第七章 林政審議会
農林水産省に、林政審議会(以下「審議会」という。)を置く。
審議会は、前項に規定する事項に関し農林水産大臣 又は関係各大臣に意見を述べることができる。
審議会は、前二項に規定するもののほか、森林病害虫等防除法(昭和二十五年法律第五十三号)、国有林野の管理経営に関する法律(昭和二十六年法律第二百四十六号)、森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)、保安林整備臨時措置法(昭和二十九年法律第八十四号)、宅地造成及び特定盛土等規制法(昭和三十六年法律第百九十一号)、林業経営基盤の強化等の促進のための資金の融通等に関する暫定措置法(昭和五十四年法律第五十一号)、森林の保健機能の増進に関する特別措置法(平成元年法律第七十一号)、林業労働力の確保の促進に関する法律(平成八年法律第四十五号)及び中小企業者と農林漁業者との連携による事業活動の促進に関する法律(平成二十年法律第三十八号)の規定によりその権限に属させられた事項を処理する。
審議会は、委員三十人以内で組織する。
委員は、前条第一項に規定する事項に関し学識経験のある者のうちから、農林水産大臣が任命する。
第二項に定めるもののほか、審議会の職員で政令で定めるものは、農林水産大臣が任命する。
この法律に定めるもののほか、審議会の組織、所掌事務 及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。