無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律

平成十一年法律第百四十七号
略称 : 団体規制法  オウム新法 
分類 法律
カテゴリ   刑事
@ 施行日 : 令和四年六月十七日 ( 2022年 6月17日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第六十八号による改正
最終編集日 : 2022年 12月24日 14時36分

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  • 第一章 総則

  • 第二章 規制措置

  • 第三章 規制措置の手続

  • 第四章 調査

  • 第五章 雑則

  • 第六章 罰則

第一章 総則

1項

この法律は、団体の活動として役職員(代表者、主幹者 その他いかなる名称であるかを問わず当該団体の事務に従事する者をいう。以下同じ。) 又は構成員が、例えばサリンを使用するなどして、 無差別大量殺人行為を行った団体につき、その活動状況を明らかにし又は当該行為の再発を防止するために必要な規制措置を定め、もって国民の生活の平穏を含む 公共の安全の確保に寄与することを目的とする。

1項

この法律は、国民の基本的人権に重大な関係を有するものであるから、公共の安全の確保のために必要な最小限度においてのみ 適用すべきであって、いやしくも これを拡張して解釈するようなことがあってはならない。

1項

この法律による規制 及び規制のための調査は、第一条に規定する目的を達成するために必要な最小限度においてのみ行うべきであって、いやしくも権限を逸脱して、思想、信教、集会、結社、表現 及び学問の自由 並びに勤労者の団結し、及び団体行動をする権利 その他 日本国憲法の保障する国民の自由と権利を、不当に制限するようなことがあってはならない。

2項

この法律による規制 及び規制のための調査については、いやしくも これを濫用し、労働組合 その他の団体の正当な活動を制限し、又は これに介入するようなことがあってはならない。

1項

この法律において「無差別大量殺人行為」とは、破壊活動防止法昭和二十七年法律第二百四十号第四条第一項第二号ヘに掲げる暴力主義的破壊活動であって、不特定かつ多数の者を殺害し、又は その実行に着手してこれを遂げないもの(この法律の施行の日から起算して十年以前にその行為が終わったものを除く)をいう。

2項

この法律において「団体」とは、特定の共同目的を達成するための多数人の継続的結合体 又は その連合体をいう。


ただし、ある団体の支部、分会 その他の下部組織も、この要件に該当する場合には、これに対して、この法律による規制を行うことができるものとする。

第二章 規制措置

1項

公安審査委員会は、その団体の役職員 又は構成員が当該団体の活動として無差別大量殺人行為を行った団体が、次の各号に掲げる事項のいずれかに該当し、その活動状況を継続して明らかにする必要があると認められる場合には、当該団体に対し、三年を超えない期間を定めて、公安調査庁長官の観察に付する処分を行うことができる。

一 号

当該無差別大量殺人行為の首謀者が当該団体の活動に影響力を有していること。

二 号

当該無差別大量殺人行為に関与した者の全部 又は一部が当該団体の役職員 又は構成員であること。

三 号

当該無差別大量殺人行為が行われた時に当該団体の役員(団体の意思決定に関与し得る者であって、当該団体の事務に従事するものをいう。以下同じ。)であった者の全部 又は一部が当該団体の役員であること。

四 号

当該団体が殺人を明示的に 又は暗示的に勧める綱領を保持していること。

五 号

前各号に掲げるもののほか、当該団体に無差別大量殺人行為に及ぶ危険性があると認めるに足りる事実があること。

2項

前項の処分を受けた団体は、政令で定めるところにより、当該処分が効力を生じた日から起算して三十日以内に、次に掲げる事項を公安調査庁長官に報告しなければならない。

一 号

当該処分が効力を生じた日における当該団体の役職員の氏名、住所 及び役職名 並びに構成員の氏名 及び住所

二 号

当該処分が効力を生じた日における当該団体の活動の用に供されている土地の所在、地積 及び用途

三 号

当該処分が効力を生じた日における当該団体の活動の用に供されている建物の所在、規模 及び用途

四 号

当該処分が効力を生じた日における当該団体の資産 及び負債のうち政令で定めるもの

五 号

その他前項の処分に際し公安審査委員会が特に必要と認める事項

3項

第一項の処分を受けた団体は、政令で定めるところにより、当該処分が効力を生じた日から その効力を失う日の前日までの期間を三月ごとに区分した各期間(最後に三月未満の区分した期間が生じた場合には、その期間とする。以下 この項において同じ。)ごとに、当該各期間の経過後十五日以内に、次に掲げる事項を、公安調査庁長官に報告しなければならない。

一 号

当該各期間の末日における当該団体の役職員の氏名、住所 及び役職名 並びに構成員の氏名 及び住所

二 号

当該各期間の末日における当該団体の活動の用に供されている土地の所在、地積 及び用途

三 号

当該各期間の末日における当該団体の活動の用に供されている建物の所在、規模 及び用途

四 号

当該各期間の末日における当該団体の資産 及び負債のうち政令で定めるもの

五 号

当該各期間中における当該団体の活動に関する事項のうち政令で定めるもの

六 号

その他 第一項の処分に際し公安審査委員会が特に必要と認める事項

4項

公安審査委員会は、第一項の処分を受けた団体が同項各号に掲げる事項のいずれかに該当する場合であって、引き続き当該団体の活動状況を継続して明らかにする必要があると認められるときは、その期間を更新することができる。

5項

第三項の規定は、前項の規定により期間が更新された場合について準用する。


この場合において、

第三項
当該処分が効力を生じた日から」とあるのは、
「期間が更新された日から」と

読み替えるものとする。

6項

公安調査庁長官は、第二項の規定 又は第三項前項において準用する場合を含む。)の規定による報告を受けたときは、その内容を速やかに文書で警察庁長官に通報するものとする。

1項

公安審査委員会は、前条第一項 又は第四項の処分について、当該団体の活動状況を継続して明らかにする必要がなくなったと認められるときは、これを取り消さなければならない。

2項

前条第一項 又は第四項の処分を受けた団体は、公安審査委員会に対し、前項の規定による当該処分の取消しを促すことができる。

1項

公安調査庁長官は、第五条第一項 又は第四項の処分を受けている団体の活動状況を明らかにするため、公安調査官に必要な調査をさせることができる。

2項

公安調査庁長官は、第五条第一項 又は第四項の処分を受けている団体の活動状況を明らかにするために特に必要があると認められるときは、公安調査官に、同条第一項 又は第四項の処分を受けている団体が所有し又は管理する土地 又は建物に立ち入らせ、設備、帳簿書類 その他 必要な物件を検査させることができる。

3項

前項の規定により立入検査をする公安調査官は、その身分を示す証票を携帯し、関係者に提示しなければならない。

4項

第二項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

1項

公安審査委員会は、その団体の役職員 又は構成員が当該団体の活動として無差別大量殺人行為を行った団体が、第五条第一項各号いずれかに該当する場合であって、次の各号いずれかに該当するときは、当該団体に対し、六月を超えない期間を定めて、次項各号に掲げる処分の全部 又は一部を行うことができる。


同条第一項 又は第四項の処分を受けている団体について、同条第二項 若しくは第三項の規定による報告がされず、若しくは虚偽の報告がされた場合、又は前条第二項の規定による立入検査が拒まれ、妨げられ、若しくは忌避された場合であって、当該団体の無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度を把握することが困難であると認められるときも、同様とする。

一 号

当該団体の役職員 又は構成員が、団体の活動として、人を殺害し若しくは殺害しようとしているとき、人の身体を傷害し 若しくは傷害しようとしているとき 又は人に暴行を加え 若しくは加えようとしているとき。

二 号

当該団体の役職員 又は構成員が、団体の活動として、人を略取し若しくは略取しようとしているとき 又は人を誘拐し若しくは誘拐しようとしているとき。

三 号

当該団体の役職員 又は構成員が、団体の活動として、人を監禁し又は監禁しようとしているとき。

四 号

当該団体の役職員 又は構成員が、団体の活動として、爆発物、毒性物質 若しくは これらの原材料 若しくは銃砲 若しくは その部品を保有し若しくは保有しようとしているとき又は これらの製造に用いられる設備を保有し若しくは保有しようとしているとき。

五 号

当該団体の役職員 又は構成員が、団体の活動として、当該団体に加入することを強要し若しくは強要しようとしているとき 又は当該団体からの脱退を妨害し若しくは妨害しようとしているとき。

六 号

当該団体の役職員 又は構成員が、団体の活動として、殺人を明示的に又は暗示的に勧める綱領に従って役職員 又は構成員に対する指導を行い 又は行おうとしているとき。

七 号

当該団体の役職員 又は構成員が、団体の活動として、構成員の総数 又は土地、建物、設備 その他 資産を急激に増加させ 又は増加させようとしているとき。

八 号

前各号に掲げるもののほか、当該団体の無差別大量殺人行為に及ぶ 危険性の増大を防止する必要があるとき。

2項

前項の規定により行うことができる処分は、次に掲げるものとする。

一 号

いかなる名義をもってするかを問わず、土地 又は建物を新たに取得し又は借り受けることを、地域を特定して、 又は特定しないで禁止すること。

二 号

当該団体が所有し又は管理する特定の土地 又は建物専ら居住の用に供しているものを除く)の全部 又は一部の使用を禁止すること。

三 号

当該無差別大量殺人行為に関与した者 又は当該無差別大量殺人行為が行われた時に当該団体の役員であった者(以下「当該無差別大量殺人行為の関与者等」という。)に、当該団体の活動の用に供されている土地 又は建物において、当該団体の活動の全部 又は一部に参加させ 又は従事させることを禁止すること。

四 号

当該団体に加入することを強要し、若しくは勧誘し、又は当該団体からの脱退を妨害することを禁止すること。

五 号

金品 その他の財産上の利益の贈与を受けることを禁止し、又は制限すること。

1項

前条に規定する処分を受けている団体の役職員 又は構成員は、団体の活動として、当該処分に違反する行為をしてはならない。

2項

前条に規定する処分を受けている団体の役職員 又は構成員は、当該処分が効力を生じた後は、次の各号に掲げる行為をしてはならない。

一 号

当該団体が前条第二項第一号に掲げる処分を受けた場合にあっては、いかなる名義をもってするかを問わず、当該処分により取得し又は借り受けることが禁止された土地 又は建物を当該団体の用に供する目的で取得し又は借り受けること。

二 号

当該団体が前条第二項第二号に掲げる処分を受けた場合にあっては、当該団体の用に供する目的で当該処分により使用を禁止された土地 又は建物を使用すること。

三 号

当該団体が前条第二項第三号に掲げる処分を受けた場合にあっては、当該無差別大量殺人行為の関与者等に、当該処分により参加させ 又は従事させることを禁止された当該団体の活動に参加させ 又は従事させること。

四 号

当該団体が前条第二項第四号に掲げる処分を受けた場合にあっては、当該処分により禁止された団体への加入を強要すること若しくは勧誘すること又は当該団体から 脱退する行為を妨害すること。

五 号

当該団体が前条第二項第五号に掲げる処分を受けた場合にあっては、当該団体の利益を図る目的で、当該処分により贈与を受けることが禁止された金品 その他の財産上の利益を贈与の目的として受け取ること。

3項

当該団体が前条第二項第三号に掲げる処分を受けている場合にあっては、当該無差別大量殺人行為の関与者等は、当該処分が効力を生じた後は、当該処分により参加させ 又は従事させることを禁止された当該団体の活動に参加し又は従事してはならない。

1項

公安審査委員会は、第八条の規定による処分について、当該処分に基づく禁止 又は制限をする必要がなくなったと認められるときは、これを取り消さなければならない。

2項

第八条の規定による処分を受けた団体は、公安審査委員会に対し、前項の規定による当該処分の取消しを促すことができる。

1項

公安審査委員会は、第八条第二項第二号の規定により当該団体が所有し又は管理する特定の土地 又は建物の全部 又は一部の使用を禁止する処分をしたときは、当該土地の所在する場所 又は当該建物の出入口の見やすい場所に、当該団体が当該土地 又は建物について同号の処分を受けている旨を告知する公安審査委員会規則で定める標章を掲示するものとする。

2項

公安審査委員会は、前項の規定により標章を掲示した場合において、第八条第一項の規定に基づいて定められた期限が経過したとき又は前条の規定により当該処分を取り消したときは、当該標章を取り除かなければならない。

3項

何人も、第一項の規定により掲示した標章を損壊し、又は汚損してはならず、また、当該標章を掲示した土地 若しくは建物に係る第八条第一項の規定に基づいて定められた期限が経過した後又は前条の規定により当該処分が取り消された後でなければ、これを取り除いてはならない。

第三章 規制措置の手続

1項

第五条第一項 及び第八条の処分は、公安調査庁長官の請求があった場合にのみ行う。


第五条第四項の処分についても、同様とする。

2項

公安調査庁長官は、前項の処分を請求しようとするときは、あらかじめ、警察庁長官の意見を聴くものとする。

3項

警察庁長官は、必要があると認められるときは、公安調査庁長官に対し、第五条第一項 若しくは第四項 又は第八条の処分を請求することが必要である旨の意見を述べることができる。

1項

公安調査庁長官は、公安審査委員会規則で定めるところにより、第五条第一項 又は第四項の処分を請求するとき 又は その後において、当該処分に係る団体が所有し又は管理すると認める土地 又は建物について、これを特定するに足りる事項を記載した書面を公安審査委員会に提出しなければならない。

1項

警察庁長官は、第十二条第二項 又は第三項の規定に基づき第八条の処分の請求に関して意見を述べるために必要があると認められるときは、第五条第一項 又は第四項の処分を受けている団体について、相当と認める都道府県警察に必要な調査を行うことを指示することができる。

2項

前項の指示を受けた都道府県警察の警視総監 又は道府県警察本部長(以下「警察本部長」という。)は、同項の調査を行うために特に必要があると認められるときは、あらかじめ警察庁長官の承認を得て、当該都道府県警察の職員に、第五条第一項 又は第四項の処分を受けている団体が所有し又は管理する土地 又は建物に立ち入らせ、設備、帳簿書類 その他 必要な物件を検査させることができる。

3項

警察庁長官は、前項の承認をしようとするときは、あらかじめ公安調査庁長官に協議しなければならない。

4項

第二項の規定により立入検査をする都道府県警察の職員は、その身分を示す証票を携帯し、関係者に提示しなければならない。

5項

警察本部長は、第二項の規定による立入検査をさせたときは、その結果を速やかに文書で警察庁長官に報告しなければならない。

6項

警察庁長官は、前項の報告を受けたときは、その内容を速やかに文書で公安調査庁長官に通報するものとする。

7項

第二項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

1項

第十二条第一項前段の処分の請求は、次に掲げる事項 その他 公安審査委員会規則で定める事項を記載した請求書(以下「処分請求書」という。)を公安審査委員会に提出して行わなければならない。

一 号

請求に係る処分の内容 及び根拠となる法令の条項

二 号
請求の原因となる事実
2項

処分請求書には、請求の原因となる事実を証すべき証拠書類 又は証拠物(以下「証拠書類等」という。)を添付しなければならない。

1項

公安審査委員会は、第十二条第一項前段の処分の請求があったときは、公開による意見聴取を行わなければならない。


ただし、個人の秘密の保護のためやむを得ないと認めるときは、これを公開しないことができる。

1項

公安審査委員会は、前条の意見聴取を行うに当たっては、あらかじめ、 意見聴取を行う期日 及び場所を定め、その期日の七日前までに、当該団体に対し、次に掲げる事項を通知しなければならない。

一 号

公安調査庁長官の請求に係る処分の内容及び根拠となる法令の条項

二 号
請求の原因となる事実
三 号
意見聴取の期日 及び場所
2項

前項の通知は、官報で公示して行う。


この場合においては、公示した日から七日を経過した時に、当該通知が当該団体に到達したものとみなす。

3項

当該団体の代表者 又は主幹者の住所 又は居所が知れているときは、前項の規定による公示のほか、これに通知書を送付しなければならない。

1項

前条第一項の通知を受けた団体(同条第二項後段の規定により当該通知が到達したものとみなされる団体を含む。)は、代理人を選任することができる。

2項

代理人は、各自、当該団体のために、意見聴取に関する一切の行為をすることができる。

1項

意見聴取は、公安審査委員会が指名する公安審査委員会の委員長 又は委員(以下「指名委員等」という。)が指揮する。

2項

指名委員等は、意見聴取の期日の冒頭において、 公安調査庁の職員に、請求に係る処分の内容 及び根拠となる法令の条項 並びに請求の原因となる事実を意見聴取の期日に出頭した者に対し説明させなければならない。

3項

指名委員等は、意見聴取の手続を妨げる行為をした者に退去を命ずることができる。

1項

当該団体の役職員、構成員 及び代理人は、五人以内に限り意見聴取の期日に出頭して、当該処分を行うことについて意見を述べ、証拠書類等を提出することができる。

2項

当該団体の役職員、構成員 及び代理人は、指名委員等の許可を得て公安調査庁の職員に対し質問を発することができる。

3項

当該団体の役職員、構成員 及び代理人は、意見聴取の期日への出頭に代えて、公安審査委員会に対し、意見聴取の期日までに陳述書 及び証拠書類等を提出することができる。

1項

指名委員等は、当該団体の役職員、構成員 及び代理人の全部 又は一部が正当な理由なく意見聴取の期日に出頭せず、かつ、前条第三項に規定する 陳述書 又は証拠書類等を提出しない場合には、これらの者に対し改めて意見を述べ、及び証拠書類等を提出する機会を与えることなく、意見聴取を終結することができる。

2項

指名委員等は、前項に規定する場合のほか、当該団体の役職員、構成員 及び代理人の全部 又は一部が意見聴取の期日に出頭せず、かつ、前条第三項に規定する陳述書 又は証拠書類等を提出しない場合において、これらの者の意見聴取の期日への出頭が相当期間引き続き見込めないときは、これらの者に対し、期限を定めて陳述書 及び証拠書類等の提出を求め、当該期限が到来したときに意見聴取を終結することができる。

1項

公安審査委員会は、公安調査庁長官が提出した処分請求書 及び証拠書類等並びに当該団体の意見 及び当該団体が提出した証拠書類等につき審査を遂げた上、次の区分に従い決定をしなければならない。

一 号

処分の請求が不適法であるときは、これを却下する決定

二 号

処分の請求が理由がないときは、これを棄却する決定

三 号

処分の請求が理由があるときは、その処分を行う決定

2項

公安審査委員会は、第十七条第二項の規定による公示があった日から三十日以内に、処分の請求に係る事件につき決定をするように努めなければならない。

1項

前条第一項の決定は、文書をもって行い、かつ、理由を付して、委員長 及び決定に関与した委員がこれに署名押印をしなければならない。

1項

第二十二条第一項の決定は、公安調査庁長官 及び当該団体に通知しなければならない。

2項

前項の通知は、公安調査庁長官 及び当該団体に決定書の謄本を送付して行う。


ただし、当該団体に代理人がある場合には、当該団体に代えて代理人に決定書の謄本を送付することができる。

3項

第二十二条第一項の決定は、官報で公示しなければならない。

4項

公安調査庁長官は、第一項の通知を受けたときは、その内容を速やかに文書で警察庁長官に通報するものとする。

1項

第二十二条第一項の決定は、次の各号に掲げる決定の区分に応じ、当該各号に定める時に、それぞれ その効力を生ずる。

一 号

処分の請求を却下し、又は棄却する決定

決定書の謄本が公安調査庁長官に送付された時

二 号

処分を行う決定

前条第三項の規定により官報で公示した時

1項

公安調査庁長官は、第十二条第一項後段の処分の請求をするときは、更新の理由となる事実 その他公安審査委員会規則で定める事項を記載した請求書(以下この条において「更新請求書」という。)を公安審査委員会に提出して行わなければならない。

2項

更新請求書には、更新の理由となる事実を証すべき証拠書類等を添付しなければならない。

3項

公安審査委員会は、第一項の請求があったときは、当該団体に対し、意見陳述の機会を付与しなければならない。


この場合において、意見陳述は、陳述書 及び証拠書類等を提出して行うものとする。

4項

公安審査委員会は、前項の陳述書の提出期限の七日前までに、当該団体に対し、次に掲げる事項を通知しなければならない。

一 号

更新が予定される処分の内容及び更新の根拠となる法令の条項

二 号
更新の理由となる事実
三 号

陳述書の提出先 及び提出期限

5項

第十七条第二項 及び第三項 並びに第十八条の規定は、期間の更新に対する意見陳述について準用する。


この場合において、

第十七条第二項
前項」とあり、
及び第十八条第一項
前条第一項」とあるのは
第二十六条第四項」と、

同項
同条第二項後段」とあるのは
第二十六条第五項において準用する第十七条第二項後段」と

読み替えるものとする。

6項

第二十二条第一項 及び第二十三条から 前条までの規定は、公安審査委員会が行う期間の更新の決定について準用する。


この場合において、

第二十三条
前条第一項の決定」とあり、
並びに第二十四条第一項 及び第三項 並びに第二十五条
第二十二条第一項の決定」とあるのは、
第二十六条第六項において準用する第二十二条第一項の決定」と

読み替えるものとする。

1項

第二十三条 及び第二十四条の規定は、処分の取消しの決定について準用する。


この場合において、

第二十三条
前条第一項の決定」とあり、
並びに第二十四条第一項 及び第三項
第二十二条第一項の決定」とあるのは、
「処分の取消しの決定」と

読み替えるものとする。

2項

処分の取消しの決定は、前項において準用する第二十四条第三項の規定により、官報で公示した時に効力を生じる。

1項

この章に規定するものを除くほか、公安審査委員会における手続に関する細則は、公安審査委員会規則で定める。

第四章 調査

1項

公安調査官は、この法律による規制に関し、第三条に規定する基準の範囲内において、必要な調査(第七条第一項の規定による調査を含む。次条において同じ。)をすることができる。

1項

この法律に規定する団体規制に関する公安調査官の調査については、前条に規定するもののほか破壊活動防止法第二十八条から 第三十四条までの規定を準用する。

第五章 雑則

1項

政府は、毎年一回、国会に対し、この法律の施行状況を報告しなければならない。

1項

公安調査庁長官は、関係都道府県 又は関係市町村(特別区を含む。)の長から請求があったときは、当該請求を行った者に対して、個人の秘密 又は公共の安全を害するおそれがあると認める事項を除き第五条の処分に基づく 調査の結果を提供することができる。

1項

公安審査委員会がこの法律の規定に基づいてする処分については、行政手続法平成五年法律第八十八号第三章 及び第四章の二の規定は、適用しない

1項

公安審査委員会がこの法律の規定に基づいてした処分については、審査請求をすることができない

1項

法人でない社団 又は財団で第二十二条第一項第三号第二十六条第六項において準用する場合を含む。)の決定を受けたものは、その名において処分の取消しを求める訴訟を提起することができる。

1項

第五条第一項 又は第八条の処分を行う公安審査委員会の決定の全部 又は一部が裁判所で取り消されたとき(第五条第四項の規定による期間の更新の決定が取り消された場合を含む。)は、公安調査庁長官は、その裁判を官報で公示しなければならない。

1項

この法律に特別の規定があるものを除くほか、この法律の実施の手続 その他 その執行について必要な細則は、法務省令で定める。

2項

第十二条第二項 及び第三項並びに第十四条第一項第二項 及び第五項の規定により警察庁長官の権限に属する事務を実施するため必要な事項は、国家公安委員会規則で定める。

第六章 罰則

1項

第九条の規定に違反した者は、二年以下の懲役 又は百万円以下の罰金に処する。

1項

第七条第二項 又は第十四条第二項の規定による立入り又は検査を拒み、 妨げ、又は忌避した者は、一年以下の懲役 又は五十万円以下の罰金に処する。

1項

第十一条第三項の規定に違反した者は、五十万円以下の罰金に処する。

1項

第十九条第三項の規定による命令に違反した者は、三十万円以下の罰金に処する。

1項

公安調査官がこの法律に定める職権を濫用して、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害したときは、三年以下の懲役 又は禁錮に処する。

1項

警察職員がこの法律に定める職権を濫用して、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害したときは、三年以下の懲役 又は禁錮に処する。