離島振興法

昭和二十八年法律第七十二号
分類 法律
カテゴリ   国土開発
@ 施行日 : 平成二十八年四月一日
@ 最終更新 : 平成二十七年法律第四十六号による改正
最終編集日 : 2022年 11月24日 06時33分

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1項

この法律は、我が国の領域、排他的経済水域等の保全、海洋資源の利用、 多様な文化の継承、自然環境の保全、自然との触れ合いの場 及び機会の提供、食料の安定的な供給等我が国 及び国民の利益の保護 及び増進に重要な役割を担つている離島が、 四方を海等に囲まれ、人口の減少が長期にわたり継続し、 かつ、高齢化が急速に進展する等、他の地域に比較して厳しい自然的社会的条件の下にあることに鑑み、離島について、人の往来 及び生活に必要な物資等の輸送に要する費用が他の地域に比較して多額である状況を改善するとともに、産業基盤 及び生活環境等に関する地域格差の是正を図り、 並びにその地理的 及び自然的特性を生かした振興を図るため、 離島の振興に関し、基本理念を定め、及び国の責務を明らかにし、地域における創意工夫を生かしつつ、 その基礎条件の改善 及び産業振興等に関する対策を樹立し、 これに基づく事業を迅速かつ強力に実施する等離島の振興のための特別の措置を講ずることによつて、離島の自立的発展を促進し、 島民の生活の安定 及び福祉の向上を図るとともに、地域間の交流を促進し、もつて居住する者のない離島の増加 及び離島における人口の著しい減少の防止 並びに離島における定住の促進を図り、あわせて国民経済の発展 及び国民の利益の増進に寄与することを目的とする。

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1項

離島の振興のための施策は、 離島が我が国の領域、排他的経済水域等の保全、海洋資源の利用、 多様な文化の継承、自然環境の保全、自然との触れ合いの場 及び機会の提供、 食料の安定的な供給等我が国 及び国民の利益の保護 及び増進に重要な役割を担つていることに鑑み、その役割が十分に発揮されるよう、厳しい自然的社会的条件を改善し、 地域間の交流の促進、居住する者のない離島の増加 及び離島における人口の著しい減少の防止 並びに離島における定住の促進が図られることを旨として講ぜられなければならない。

2項

国は、前項の基本理念にのつとり、 離島の振興のため必要な施策を総合的かつ積極的に策定し、及び実施する責務を有する。

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1項

主務大臣は、国土審議会の意見を聴いて、第一条の目的を達成するために必要と認める離島の地域の全部 又は一部を、 離島振興対策実施地域として指定する。

2項

主務大臣は、前項の指定をした場合においては、 その旨を公示しなければならない。

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1項

主務大臣は、離島振興対策実施地域の振興を図るため、 離島振興基本方針を定めるものとする。

2項

離島振興基本方針は、 次に掲げる事項について定めるものとする。

一 号
離島の振興の意義 及び方向に関する事項
二 号

本土と離島 及び離島と離島 並びに離島内の交通通信を確保するための航路、航空路、港湾、空港、道路等の交通施設 及び通信施設の整備、 人の往来 及び物資の流通(廃棄物の運搬を含む。以下同じ。)に要する費用の低廉化その他の必要な措置に関する基本的な事項

三 号

農林水産業、商工業等の産業の振興 及び資源開発を促進するための漁港、 林道、農地、電力施設等の整備その他の必要な措置に関する基本的な事項

四 号

雇用機会の拡充、職業能力の開発 その他の就業の促進に関する基本的な事項

五 号

生活環境の整備(廃棄物の減量 その他 その適正な処理を含む。以下同じ。)に関する基本的な事項

六 号

医療の確保等(妊婦が健康診査を受診し、及び出産に必要な医療を受ける機会を確保するための支援を含む。以下同じ。)に関する基本的な事項

七 号
介護サービスの確保等に関する基本的な事項
八 号
高齢者の福祉 その他の福祉の増進に関する基本的な事項
九 号

教育 及び文化の振興(子どもの修学の機会を確保するための支援を含む。以下同じ。)に関する基本的な事項

十 号
観光の開発に関する基本的な事項
十一 号
国内 及び国外の地域との交流の促進に関する基本的な事項
十二 号
自然環境の保全 及び再生に関する基本的な事項
十三 号

再生可能エネルギーの利用 その他のエネルギー対策に関する基本的な事項

十四 号

水害、風害、地震災害(地震に伴い発生する津波等により生ずる被害を含む。以下同じ。) その他の災害を防除するために必要な国土保全施設等の整備 その他の防災対策に関する基本的な事項

十五 号
離島の振興に寄与する人材の確保 及び育成に関する基本的な事項
十六 号

前各号に掲げるもののほか、 離島の振興に関する基本的な事項

3項

主務大臣は、離島振興基本方針を定めようとするときは、関係行政機関の長に協議するとともに、 国土審議会の意見を聴かなければならない。

4項

主務大臣は、離島振興基本方針を定めたときは、 遅滞なく、これを公表しなければならない。

5項

前二項の規定は、 離島振興基本方針の変更について準用する。

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1項

第二条第一項の規定により離島振興対策実施地域の指定があつた場合においては、 関係都道府県は、離島振興基本方針に基づき、当該地域について離島振興計画を定めるよう努めるものとする。

2項

離島振興計画は、おおむね次に掲げる事項について定めるものとする。

一 号
離島の振興の基本的方針に関する事項
二 号

本土と離島 及び離島と離島 並びに離島内の交通通信を確保するための航路、航空路、港湾、空港、道路等の交通施設 及び通信施設の整備、人の往来 及び物資の流通に要する費用の低廉化 その他の必要な措置に関する事項

三 号

農林水産業、商工業等の産業の振興 及び資源開発を促進するための漁港、林道、農地、電力施設等の整備 その他の必要な措置に関する事項

四 号

雇用機会の拡充、職業能力の開発 その他の就業の促進に関する事項

五 号
生活環境の整備に関する事項
六 号
医療の確保等に関する事項
七 号
介護サービスの確保等に関する事項
八 号

高齢者の福祉 その他の福祉の増進に関する事項

九 号
教育 及び文化の振興に関する事項
十 号
観光の開発に関する事項
十一 号
国内 及び国外の地域との交流の促進に関する事項
十二 号
自然環境の保全 及び再生に関する事項
十三 号

再生可能エネルギーの利用 その他のエネルギー対策に関する事項

十四 号

水害、風害、地震災害 その他の災害を防除するために必要な国土保全施設等の整備 その他の防災対策に関する事項

十五 号
離島の振興に寄与する人材の確保 及び育成に関する事項
十六 号

前各号に掲げるもののほか、 離島振興対策実施地域の振興に関し必要な事項

3項

都道府県は、離島振興対策実施地域について離島振興計画を定めようとするときは、あらかじめ、その全部 又は一部の区域が当該地域である市町村(次項の規定による要請があつた場合における当該要請をした市町村を除く。以下 この項において同じ。)に対し、当該市町村に係る離島振興計画の案を作成し、当該都道府県に提出するよう求めなければならない。


この場合において、の離島振興対策実施地域が二以上の市町村の区域にわたるときは、当該市町村は、共同して、離島振興計画の案を作成し、及び提出することができる。

4項

その全部 又は一部の区域が一の離島振興対策実施地域である市町村は、当該地域に係る離島振興計画が定められていない場合には、単独で 又は共同して、都道府県に対し、当該地域について離島振興計画を定めることを要請することができる。


この場合においては、当該市町村に係る離島振興計画の案を添えなければならない。

5項

前項の規定による要請があつたときは、都道府県は、速やかに、当該要請に係る離島振興対策実施地域について離島振興計画を定めなければならない。

6項

市町村は、第三項 又は第四項の案を作成しようとするときは、あらかじめ、その離島振興対策実施地域の住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。

7項

第三項 又は第四項の案の提出を受けた都道府県は、 離島振興計画を定めるに当たつては、当該案の内容をできる限り反映させるよう努めるものとする。

8項

都道府県は、離島振興計画を定めたときは、直ちに、これを主務大臣に提出するとともに、 その内容を関係市町村に通知しなければならない。

9項

主務大臣は、前項の規定により離島振興計画の提出があつた場合においては、直ちに、その内容を関係行政機関の長に通知しなければならない。


この場合において、関係行政機関の長は、当該離島振興計画についてその意見を主務大臣に申し出ることができる。

10項

主務大臣は、第八項の規定により提出された離島振興計画が離島振興基本方針に適合していないと認めるときは、当該都道府県に対し、これを変更すべきことを求めることができる。

11項

主務大臣は、第八項の規定により提出された離島振興計画について前項の規定による措置を執る必要がないと認めるときは、その旨を当該都道府県に通知しなければならない。

12項

第三項第四項 及び第六項から 前項までの規定は、 離島振興計画の変更について準用する。

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1項

離島振興計画に基づく事業は、この法律に定めるもののほか、当該事業に関する法律(これに基づく命令を含む。)の規定に従い、 国、地方公共団体 その他の者が実施するものとする。

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1項

国は、第一条の二第一項に定める基本理念にのつとり、 毎年度、予算で定めるところにより、離島振興計画の円滑な実施 その他の離島振興対策実施地域の振興に必要な財政上の措置 その他の措置を講ずるものとする。

2項

国は、離島振興計画に基づく公共事業の実施に要する経費について予算に計上するに当たつては、離島振興計画の実施に係る予算の明確化について特別の配慮をしなければならない。

3項

地方公共団体は、離島振興計画に基づく公共事業の実施に要する経費について予算に計上するに当たつては、離島振興計画の実施に係る予算の明確化について特別の配慮をするよう努めなければならない。

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1項

離島振興計画に基づく事業のうち別表に掲げるものに要する費用について国が負担し 又は補助する割合は、当該事業に関する法令の規定にかかわらず同表に掲げる割合とする。

2項

国は、離島振興計画に基づく事業のうち、別表に掲げるものに要する経費に充てるため政令で定める交付金を交付する場合においては、政令で定めるところにより、当該経費について前項の規定を適用したとするならば国が負担し、 又は補助することとなる割合を参酌して、当該交付金の額を算定するものとする。

3項

第一項の場合において、地方交付税法昭和二十五年法律第二百十一号)第十条に規定する普通交付税の交付を受けない地方公共団体については、別表で定める国庫の負担割合 及び補助割合を減ずることができる。


ただし同表に掲げる法律に規定する国庫の負担割合 又は補助割合を下ることはできない。

4項

離島振興対策実施地域における災害復旧事業については、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法昭和二十六年法律第九十七号)第三条の規定により地方公共団体に対して国がその費用の一部を負担する場合における当該災害復旧事業費に対する国の負担率は、同法第四条の規定によつて算定した率が五分の四に満たない場合においては、 同条の規定にかかわらず五分の四とし、公立学校施設災害復旧費国庫負担法昭和二十八年法律第二百四十七号)第三条の規定により国がその経費の一部を負担する場合における当該公立学校の施設の災害復旧に要する経費に対する国の負担率は、同条の規定にかかわらず、五分の四とする。

5項

国は、離島振興計画に基づき簡易水道の用に供する水道施設の新設 又は増設をする地方公共団体に対し、予算の範囲内において、政令の定めるところにより、 その新設 又は増設に要する費用の二分の一以内を補助することができる。

6項

政府は、別表に掲げる費用以外の費用についても、 これに対し国が補助する割合 及び対象を定める政令がある場合においては、第一項の規定に準じ当該政令の特例を設けるものとする。

7項

国は、義務教育諸学校等の施設費の国庫負担等に関する法律昭和三十三年法律第八十一号)第十二条第一項の規定により地方公共団体に対して交付金を交付する場合において、当該地方公共団体が同条第二項の規定により作成した施設整備計画に記載された改築等事業(同法第十一条第一項に規定する「改築等事業」をいう。)として、離島振興計画に基づく次に掲げる事業がある場合においては、当該事業に要する費用の十分の五・五を下回らない額の交付金が充当されるように算定するものとする。

一 号

公立の小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校の前期課程又は公立の特別支援学校(視覚障害者 又は聴覚障害者である児童 又は生徒に対する教育を主として行うものに限る別表)において同じ。)の小学部 若しくは中学部に勤務する教員 又は職員のための住宅の建築(買収 その他これに準ずる方法による取得を含む。)をすること。

二 号

体育、音楽等の学校教育 及び社会教育の用に供するための施設を公立の小学校、中学校 若しくは義務教育学校 又は中等教育学校の前期課程に設けること。

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1項

都道府県は、離島振興計画に基づく事業 又は事務(以下「事業等」という。)のうち、離島振興対策実施地域の活性化に資する事業等(その全部 又は一部の区域が離島振興対策実施地域である市町村 その他の者(以下「離島関係市町村等」という。)が実施する離島振興対策実施地域の活性化に資する事業等を含む。)を実施するための計画(以下「離島活性化交付金等事業計画」という。)を作成することができる。

2項

離島活性化交付金等事業計画には、 次に掲げる事項を記載するものとする。

一 号

離島振興対策実施地域の活性化に資する事業等で 政令で定めるものに関する事項

二 号
計画期間
3項

離島活性化交付金等事業計画には、前項に掲げる事項のほか、 次に掲げる事項を記載するよう努めるものとする。

一 号
離島活性化交付金等事業計画の目標
二 号
その他主務省令で定める事項
4項

都道府県は、離島活性化交付金等事業計画を作成しようとするときは、あらかじめ、離島関係市町村等の意見を聴くよう努めるものとする。

5項

都道府県は、離島活性化交付金等事業計画に離島関係市町村等が実施する事業等に係る事項を記載しようとするときは、当該事項について、あらかじめ、 当該離島関係市町村等の同意を得なければならない。

6項

前二項の規定は、 離島活性化交付金等事業計画の変更について準用する。

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1項

都道府県 又は離島関係市町村等が次項の交付金等を充てて離島活性化交付金等事業計画に基づく事業等の実施をしようとするときは、当該都道府県は、当該離島活性化交付金等事業計画をそれぞれの事業等を所管する大臣(以下「事業等所管大臣」という。)に提出しなければならない。

2項

国は、前項の都道府県 又は離島関係市町村等に対し、同項の規定により提出された離島活性化交付金等事業計画に基づく事業等の実施に要する経費に充てるため、予算の範囲内で、それぞれの事業等ごとに、交付金 又は補助金(以下「交付金等」という。)の交付を行うことができる。

3項

前二項に定めるもののほか、 交付金等の交付に関し必要な事項は、主務省令で定める。

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1項

国は、毎年度、 離島活性化交付金等事業計画に記載された事業等及び その他の離島振興対策実施地域の活性化に資する事業等として政令で定めるもので当該年度に実施するものについて、その内容を取りまとめ、公表するものとする。

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1項

地方公共団体が離島振興計画を達成するために行う 事業に要する経費に充てるために起こす地方債については、法令の範囲内において、資金事情 及び当該地方公共団体の財政状況が許す限り、 特別の配慮をするものとする。

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1項

国 及び地方公共団体は、 離島振興計画の達成に資すると認められる事業を営む者に対し、必要な資金の確保 その他の援助に努めなければならない。

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1項

都道府県は、離島振興対策実施地域における医療を確保するため、離島振興計画に基づいて、無医地区に関し 次に掲げる事業を実施しなければならない。

一 号
診療所の設置
二 号

患者輸送車(患者輸送艇を含む。)の整備

三 号
定期的な巡回診療
四 号
保健師による保健指導等の活動
五 号

医療機関の協力体制(救急医療用の機器を装備したヘリコプター等により患者を輸送し、かつ、患者の輸送中に医療を行う体制を含む。以下同じ。)の整備

六 号

その他 無医地区の医療の確保に必要な事業

2項

都道府県は、前項に規定する事業を実施する場合において特に必要があると認めるときは、病院 又は診療所の開設者 又は管理者に対し、 次に掲げる事業につき、協力を要請することができる。

一 号
医師 又は歯科医師の派遣
二 号

巡回診療車(巡回診療船を含む。)による巡回診療

3項

国 及び都道府県は、離島振興対策実施地域内の無医地区における診療に従事する医師 若しくは歯科医師 又はこれを補助する看護師(以下「医師等」という。)の確保 その他 当該無医地区における医療の確保(当該診療に従事する医師 又は歯科医師を派遣する病院に対する助成を含む。)に努めなければならない。

4項

都道府県は、第一項 及び第二項に規定する事業の実施に要する費用を負担する。

5項

国は、前項の費用のうち第一項第一号から 第三号までに掲げる事業 及び第二項に規定する事業に係るものについて、政令の定めるところにより、その二分の一を補助するものとする。

6項

国 及び都道府県は、 離島振興対策実施地域における医療を確保するため、市町村が離島振興計画に基づいて第一項各号に掲げる事業を実施しようとするときは、当該事業が円滑に実施されるよう適切な配慮をするものとする。

7項

国 及び地方公共団体は、離島振興対策実施地域に居住する妊婦が健康診査を受診し、及び出産に必要な医療を受ける機会を確保するため、妊婦が居住する離島に妊婦の健康診査 又は出産に係る保健医療サービスを提供する病院、診療所等が設置されていないことにより当該離島の区域外の病院、診療所等に健康診査の受診 又は出産のために必要な通院 又は入院をしなければならない場合における当該通院 又は入院に対する支援について適切な配慮をするものとする。

8項

都道府県は、医療法昭和二十三年法律第二百五号第三十条の四第一項に規定する医療計画を作成するに当たつては、離島振興対策実施地域における医療の特殊事情に鑑み、 当該地域において医師等の確保、病床の確保等により必要な医療が確保されるよう適切な配慮をするものとする。

9項

前各項に定めるもののほか、国 及び地方公共団体は、 離島振興対策実施地域において、必要な医師等の確保、定期的な巡回診療、医療機関の協力体制の整備等により医療の充実が図られるよう適切な配慮をするものとする。

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1項

国 及び地方公共団体は、離島振興対策実施地域における介護サービスの確保 及び充実を図るため、老人福祉法昭和三十八年法律第百三十三号)第五条の二第一項に規定する老人居宅生活支援事業に係る介護サービスの提供、介護サービスに従事する者の確保、介護施設の整備、提供される介護サービスの内容の充実等について適切な配慮をするものとする。

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1項

国 及び地方公共団体は、 離島振興対策実施地域における高齢者の福祉の増進を図るため、高齢者の居住の用に供するための施設の整備等について適切な配慮をするものとする。

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1項

国 及び地方公共団体は、離島振興対策実施地域における保健医療サービス、介護サービス、高齢者福祉サービス 及び保育サービスを受けるための条件の他の地域との格差の是正を図るため、離島振興対策実施地域の住民がこれらのサービスを受けるための住民負担の軽減について適切な配慮をするものとする。

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1項

国 及び地方公共団体は、離島振興対策実施地域における人の往来 及び物資の流通に関する条件の他の地域との格差の是正、 島民の生活の利便性の向上、産業の振興等を図るため、離島振興対策実施地域に係る海上、航空 及び陸上の交通について、 総合的かつ安定的な確保 及び その充実並びに人の往来 及び物資の流通に要する費用の低廉化に資するための施策の充実に特別の配慮をするものとする。

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1項

国 及び地方公共団体は、離島振興対策実施地域における情報通信技術の利用の機会の他の地域との格差の是正、島民の生活の利便性の向上、産業の振興、医療 及び教育の充実等を図るため、情報の流通の円滑化 及び高度情報通信ネットワーク その他の通信体系の充実について適切な配慮をするものとする。

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1項

国 及び地方公共団体は、 離島振興対策実施地域の特性に即した農林水産業の振興を図るため、生産基盤の強化、地域特産物の開発 並びに流通 及び消費の増進 並びに観光業との連携の推進について適切な配慮をするものとする。

2項

国 及び地方公共団体は、離島における水産業の重要性に鑑み、離島振興対策実施地域の漁業者がその周辺の海域の漁場において安定的に水産業を営むことができるよう、水産動植物の生育環境の保全 及び改善について適切な配慮をするものとする。

3項

前二項に規定するもののほか、国 及び地方公共団体は、離島振興対策実施地域の特性に即した産業の振興を図るため、生産性の向上、産業の振興に寄与する人材の育成 及び確保、起業を志望する者に対する支援、先端的な技術の導入 並びに他の産業との連携の推進について適切な配慮をするものとする。

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1項

国 及び地方公共団体は、離島振興対策実施地域の住民 及び離島振興対策実施地域へ移住しようとする者の離島振興対策実施地域における就業の促進を図るため、良好な雇用機会の拡充 並びに実践的な職業能力の開発 及び向上のための施策の充実について適切な配慮をするものとする。

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1項

国 及び地方公共団体は、 離島振興対策実施地域における定住の促進に資するため、住宅 及び水の確保、汚水 及び廃棄物の処理 その他の快適な生活環境の確保を図るための施策の充実について適切な配慮をするものとする。

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1項

国 及び地方公共団体は、離島振興対策実施地域における教育の特殊事情に鑑み、子どもの修学の機会の確保に資するため、離島の区域(当該離島の区域が二以上の市町村の区域にわたる場合にあつては、当該離島のうち一の市町村の区域に属する区域。以下 この項において同じ。)内に高等学校、中等教育学校の後期課程 その他 これらに準ずる教育施設(以下「高等学校等」という。)が設置されていないことにより当該離島の区域内から当該離島の区域外に所在する高等学校等へ通学する場合 又は当該離島の区域外に居住して当該高等学校等へ通学する場合における当該通学 又は居住に対する支援について適切な配慮をするものとする。

2項

国 及び地方公共団体は、 離島振興対策実施地域における教育の特殊事情に鑑み、公立高等学校の適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律(昭和三十六年法律第百八十八号)の規定による公立高等学校等を設置する地方公共団体ごとの教員 及び職員の定員の算定並びに離島振興対策実施地域に所在する公立の高等学校等に勤務する教員 及び職員の定員の決定について特別の配慮をするものとする。

3項

前二項に定めるもののほか、国 及び地方公共団体は、 離島振興対策実施地域において、その教育の特殊事情に鑑み、学校教育 及び社会教育の充実に努めるとともに、地域社会の特性に応じた生涯学習の振興に資するための施策の充実について適切な配慮をするものとする。

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1項

国 及び地方公共団体は、離島振興対策実施地域において伝承されてきた多様な文化的所産の保存 及び活用 並びに担い手の育成について適切な措置が講ぜられるよう努めるとともに、地域における文化の振興について適切な配慮をするものとする。

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1項

国 及び地方公共団体は、離島には優れた自然の風景地が存すること、 国外の地域と近接していること等の特性があることに鑑み、国民の離島に対する理解と関心を深め、 離島と他の地域との間の交流を拡大するとともに、離島振興対策実施地域の活性化に資するため、 離島振興対策実施地域における観光の振興 並びに離島振興対策実施地域と国内 及び国外の地域との交流の促進について適切な配慮をするものとする。

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1項

国 及び地方公共団体は、離島振興対策実施地域 及び その周辺の海域における自然環境の保全 及び再生に資するため、海岸漂着物等の処理 並びに生態系に係る被害を及ぼすおそれのある外来生物 及び伝染病の防除 及び防疫その他の生態系の維持 又は回復について適切な配慮をするものとする。

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1項

国 及び地方公共団体は、離島振興対策実施地域において、その自然的特性を生かしたエネルギーを利用することが、 その経済的社会的環境に応じたエネルギーの安定的かつ適切な供給の確保 及びエネルギーの供給に係る環境への負荷の低減を図る上で重要であることに鑑み、再生可能エネルギーの利用の推進について適切な配慮をするものとする。

2項

前項に規定するもののほか、国 及び地方公共団体は、離島振興対策実施地域におけるエネルギーの利用に関する条件の他の地域との格差の是正、島民の生活の利便性の向上、産業の振興等を図るため、離島振興対策実施地域における石油製品の価格の低廉化 その他のエネルギーに関する対策の推進について適切な配慮をするものとする。

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1項

国 及び地方公共団体は、 離島が四方を海等に囲まれている等厳しい自然条件の下にあることを踏まえ、災害を防除し、及び災害が発生した場合において島民が孤立することを防止するため、離島振興対策実施地域において、

  • 国土保全施設、
  • 避難施設、
  • 備蓄倉庫、
  • 防災行政無線設備、
  • 人工衛星を利用した通信設備 その他の施設 及び設備の整備、
  • 防災のための住居の集団的移転の促進、
  • 防災上必要な教育 及び訓練の実施、
  • 被災者の救難、救助

その他の保護を迅速かつ的確に実施するための体制の整備 及び関係行政機関の連携の強化 その他の防災対策の推進について適切な配慮をするものとする。

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1項

国の行政機関の長 又は都道府県は、離島振興対策実施地域における農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)、自然公園法(昭和三十二年法律第百六十一号)その他の法律の規定の運用に当たつては、離島振興計画に基づく事業の円滑な実施が図られるよう適切な配慮をするものとする。

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1項

政府は、地域における創意工夫を生かした離島の振興を図るため、 その全部 又は一部の区域が離島振興対策実施地域である地方公共団体の申出により当該離島振興対策実施地域内に区域を限つて規制の特例措置 その他の特別措置を適用する制度の創設について総合的に検討を加え、必要な措置を講ずるものとする。

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1項

国は、離島について、人の往来 及び生活に必要な物資等の輸送に要する費用が他の地域に比較して多額である状況を改善するとともに、 産業基盤 及び生活環境等に関する地域格差の是正を図り、並びにその地理的 及び自然的特性を生かした振興を図るため、 離島の振興のための特別の措置を講ずることによつて、 離島の自立的発展を促進し、島民の生活の安定 及び福祉の向上を図るとともに、地域間の交流を促進し、もつて居住する者のない離島の増加 及び離島における人口の著しい減少の防止 並びに離島における定住の促進を図ること等としている第一条の目的の達成に資するため、租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)等の定めるところにより、 離島振興対策実施地域の振興に必要な税制上の措置 その他の措置を講ずるものとする。

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1項

地方税法昭和二十五年法律第二百二十六号)第六条の規定により、地方公共団体が、離島振興対策実施地域内において製造の事業、旅館業(下宿営業を除く)、情報サービス業 その他総務省令で定める事業の用に供する設備を新設し、若しくは増設した者について、その事業に対する事業税、その事業に係る建物 若しくは その敷地である土地の取得に対する不動産取得税 若しくは その事業に係る機械 及び装置 若しくは その事業に係る建物 若しくは その敷地である土地に対する固定資産税を課さなかつた場合 若しくは離島振興対策実施地域内において畜産業、水産業 若しくは薪炭製造業を行う個人について、その事業に対する事業税を課さなかつた場合 又は これらの者について、これらの地方税に係る不均一の課税をした場合において、これらの措置が総務省令で定める場合に該当するものと認められるときは、地方交付税法第十四条の規定による当該地方公共団体の各年度における基準財政収入額は、同条の規定にかかわらず、当該地方公共団体の当該各年度分の減収額(事業税 又は固定資産税に関するこれらの措置による減収額にあつては、これらの措置がされた最初の年度以降三箇年度個人の行う畜産業、水産業 及び薪炭製造業に対するものにあつては、総務省令で定める期間に係る年度)におけるものに限る)のうち総務省令で定めるところにより算定した額を同条の規定による当該地方公共団体の当該各年度(これらの措置が総務省令で定める日以後において行われたときは、当該減収額について当該各年度の翌年度)における基準財政収入額となるべき額から控除した額とする。

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1項

国土審議会は、 離島振興に関する重要事項を調査審議する。

2項

国土審議会は、前項に規定する事項につき、 関係行政機関の長に対し意見を申し出ることができる。

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1項

主務大臣は、毎年、離島の振興に関して講じた施策について、 国土審議会に報告するものとする。

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1項

第二条 及び前条における主務大臣は、 国土交通大臣、総務大臣 及び農林水産大臣とする。

2項

第三条第一項第三項 及び第四項同条第五項において準用する場合を含む。)における主務大臣は、離島振興基本方針のうち、同条第二項第三号 及び第十五号に掲げる事項に係る部分については 国土交通大臣、総務大臣、農林水産大臣 及び経済産業大臣、同項第四号 及び第六号から 第八号までに掲げる事項に係る部分については 国土交通大臣、総務大臣、農林水産大臣 及び厚生労働大臣、同項第五号 及び第十二号に掲げる事項に係る部分については 国土交通大臣、総務大臣、農林水産大臣 及び環境大臣、同項第九号に掲げる事項に係る部分については 国土交通大臣、総務大臣、農林水産大臣 及び文部科学大臣、同項第十三号に掲げる事項に係る部分については 国土交通大臣、総務大臣、農林水産大臣、経済産業大臣 及び環境大臣とし、その他の部分については 国土交通大臣、総務大臣 及び農林水産大臣とする。

3項

第四条第八項から 第十一項まで同条第十二項において準用する場合を含む。)における主務大臣は、国土交通大臣、総務大臣、農林水産大臣、文部科学大臣、厚生労働大臣、経済産業大臣 及び環境大臣とする。

4項

第七条の二第三項第二号における主務省令は、前項に規定する主務大臣の共同で発する命令とする。

5項

第七条の三第三項における主務省令は、 事業等所管大臣の発する命令とする。

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1項

この法律の実施のための手続 その他必要な事項は、政令で定める。

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