この章において「漁業権」とは、定置漁業権、区画漁業権 及び共同漁業権をいう。
漁業法
第四章 漁業権及び沿岸漁場管理
第一節 総則
この章において「定置漁業権」とは、定置漁業を営む権利をいい、「区画漁業権」とは、区画漁業を営む権利をいい、「共同漁業権」とは、共同漁業を営む権利をいう。
この章において「定置漁業」とは、漁具を定置して営む漁業であつて次に掲げるものをいう。
身網の設置される場所の最深部が最高潮時において水深二十七メートル(沖縄県にあつては、十五メートル)以上であるもの(瀬戸内海(第百五十二条第二項に規定する瀬戸内海をいう。)におけるます網漁業 並びに陸奥湾(陸奥湾の海面として農林水産大臣の指定するものをいう。)における落とし網漁業 及びます網漁業を除く。)
北海道においてさけを主たる漁獲物とするもの
この章において「区画漁業」とは、次に掲げる漁業をいう。
第一種区画漁業
一定の区域内において石、瓦、竹、木 その他の物を敷設して営む養殖業
第二種区画漁業
土、石、竹、木 その他の物によつて囲まれた一定の区域内において営む養殖業
第三種区画漁業
一定の区域内において営む養殖業であつて前二号に掲げるもの以外のもの
この章において「共同漁業」とは、次に掲げる漁業であつて一定の水面を共同に利用して営むものをいう。
第一種共同漁業
藻類、貝類 又は農林水産大臣の指定する定着性の水産動物を目的とする漁業
第二種共同漁業
海面(海面に準ずる湖沼として農林水産大臣が定めて告示する水面を含む。以下同じ。)のうち農林水産大臣が定めて告示する湖沼に準ずる海面以外の水面(次号 及び第四号において「特定海面」という。)において網漁具(えりやな類を含む。)を移動しないように敷設して営む漁業であつて定置漁業以外のもの
第三種共同漁業
特定海面において営む 地びき網漁業、地こぎ網漁業、船びき網漁業(動力漁船を使用するものを除く。)、飼付漁業 又はつきいそ漁業(第一号に掲げるものを除く。)
第四種共同漁業
特定海面において営む寄魚漁業 又は鳥付こぎ釣漁業
第五種共同漁業
内水面(海面以外の水面をいう。以下同じ。)又は第二号の湖沼に準ずる海面において営む漁業であつて第一号に掲げるもの以外のもの
この章において「動力漁船」とは、推進機関を備える船舶であつて次の各号のいずれかに該当するものをいう。
漁業に従事する船舶であつて漁獲物の保蔵 又は製造の設備を有するもの
専ら漁場から漁獲物 又はその製品を運搬する船舶
専ら漁業に関する試験、調査、指導 若しくは練習に従事する船舶 又は漁業の取締りに従事する船舶であつて漁ろう設備を有するもの
この章において「入漁権」とは、設定行為に基づき、他人の区画漁業権(その内容たる漁業を自ら営まない漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会が免許を受けるものに限る。)又は共同漁業権(以下この章において「団体漁業権」と総称する。)に属する漁場において当該団体漁業権の内容たる漁業の全部 又は一部を営む権利をいう。
この章において「保全活動」とは、水産動植物の生育環境の保全 又は改善 その他沿岸漁場の保全のための活動であつて農林水産省令で定めるものをいう。
この章において「保全沿岸漁場」とは、漁業生産力の発展を図るため保全活動の円滑かつ計画的な実施を確保する必要がある沿岸漁場として都道府県知事が定めるものをいう。
都道府県は、その管轄に属する水面における漁業生産力を発展させるため、水面の総合的な利用を推進するとともに、水産動植物の生育環境の保全 及び改善に努めなければならない。
第二節 海区漁場計画及び内水面漁場計画
⤏ 第一款 海区漁場計画
都道府県知事は、その管轄に属する海面について、五年ごとに、海区漁場計画を定めるものとする。
ただし、管轄に属する海面を有しない都道府県知事にあつては、この限りでない。
海区漁場計画においては、海区(第百三十六条第一項に規定する海区をいう。以下この款において同じ。)ごとに、次に掲げる事項を定めるものとする。
当該海区に設定する漁業権について、次に掲げる事項
存続期間(第七十五条第一項の期間より短い期間を定める場合に限る。)
区画漁業権については、個別漁業権(団体漁業権以外の漁業権をいう。次節において同じ。)又は団体漁業権の別
団体漁業権については、その関係地区(自然的 及び社会経済的条件により漁業権に係る漁場が属すると認められる地区をいう。第七十二条 及び第百六条第四項において同じ。)
イからヘまでに掲げるもののほか、漁業権の設定に関し必要な事項
当該海区に設定する保全沿岸漁場について、次に掲げる事項
イ 及びロに掲げるもののほか、保全沿岸漁場の設定に関し必要な事項
海区漁場計画は、次に掲げる要件に該当するものでなければならない。
それぞれの漁業権が、海区に係る海面の総合的な利用を推進するとともに、漁業調整 その他公益に支障を及ぼさないように設定されていること。
海区漁場計画の作成の時において適切かつ有効に活用されている漁業権(次号において「活用漁業権」という。)があるときは、前条第二項第一号イからハまでに掲げる事項が当該漁業権とおおむね等しいと認められる漁業権(次号において「類似漁業権」という。)が設定されていること。
前号の場合において活用漁業権が団体漁業権であるときは、類似漁業権が団体漁業権として設定されていること。
前号の場合のほか、漁場の活用の現況 及び次条第二項の検討の結果に照らし、団体漁業権として区画漁業権を設定することが、当該区画漁業権に係る漁場における漁業生産力の発展に最も資すると認められる場合には、団体漁業権として区画漁業権が設定されていること。
前条第二項第一号ニについて、第七十五条第一項の期間より短い期間を定めるに当たつては、漁業調整のため必要な範囲内であること。
それぞれの保全沿岸漁場が、海区に設定される漁業権の内容たる漁業に係る漁場の使用と調和しつつ、水産動植物の生育環境の保全 及び改善が適切に実施されるように設定されていること。
都道府県知事は、海区漁場計画の作成に当たつては、海区に係る海面全体を最大限に活用するため、漁業権が存しない海面をその漁場の区域とする新たな漁業権を設定するよう努めるものとする。
都道府県知事は、海区漁場計画の案を作成しようとするときは、農林水産省令で定めるところにより、当該海区において漁業を営む者、漁業を営もうとする者 その他の利害関係人の意見を聴かなければならない。
都道府県知事は、前項の規定により聴いた意見について検討を加え、その結果を公表しなければならない。
都道府県知事は、前項の検討の結果を踏まえて海区漁場計画の案を作成しなければならない。
都道府県知事は、海区漁場計画の案を作成したときは、海区漁業調整委員会の意見を聴かなければならない。
海区漁業調整委員会は、前項の意見を述べようとするときは、あらかじめ、期日 及び場所を公示して公聴会を開き、農林水産省令で定めるところにより、当該海区において漁業を営む者、漁業を営もうとする者 その他の利害関係人の意見を聴かなければならない。
都道府県知事は、海区漁場計画を作成したときは、当該海区漁場計画の内容 その他農林水産省令で定める事項を公表するとともに、漁業の免許予定日 及び第百九条の沿岸漁場管理団体の指定予定日 並びにこれらの申請期間を公示しなければならない。
前項の免許予定日 及び指定予定日は、同項の規定による公示の日から起算して三月を経過した日以後の日としなければならない。
前各項の規定は、海区漁場計画の変更について準用する。
農林水産大臣は、前条第二項の検討の結果を踏まえて、都道府県の区域を超えた広域的な見地から、我が国の漁業生産力の発展を図るために必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、海区漁場計画の案を修正すべき旨の助言 その他海区漁場計画に関して必要な助言をすることができる。
農林水産大臣は、次の各号のいずれかに該当するときは、都道府県知事に対し、海区漁場計画を変更すべき旨の指示その他海区漁場計画に関して必要な指示をすることができる。
前条の規定により助言をした事項について、我が国の漁業生産力の発展を図るため特に必要があると認めるとき。
都道府県の区域を超えた広域的な見地から、漁業調整のため特に必要があると認めるとき。
⤏ 第二款 内水面漁場計画
都道府県知事は、その管轄する内水面について、五年ごとに、内水面漁場計画を定めるものとする。
第六十二条第二項(第一号に係る部分に限る。)、第六十三条第一項(第六号を除く。)及び第二項並びに第六十四条から前条までの規定は、内水面漁場計画について準用する。
この場合において、
第六十二条第二項中
「海区(第百三十六条第一項に規定する海区をいう。以下この款において同じ。)ごとに、次に」とあるのは
「次に」と、
第六十四条第六項中
「免許予定日 及び第百九条の沿岸漁場管理団体の指定予定日 並びにこれらの」とあるのは
「免許予定日 及び」と、
同条第七項中
「免許予定日 及び指定予定日」とあるのは
「免許予定日」と
読み替えるものとする。
第三節 漁業権
⤏ 第一款 漁業の免許
定置漁業 及び区画漁業は、漁業権 又は入漁権に基づくものでなければ、営んではならない。
漁業権の内容たる漁業の免許を受けようとする者は、農林水産省令で定めるところにより、都道府県知事に申請しなければならない。
前項の免許を受けた者は、当該漁業権を取得する。
前条第一項の申請があつたときは、都道府県知事は、海区漁業調整委員会の意見を聴かなければならない。
次の各号のいずれかに該当する場合は、都道府県知事は、漁業の免許をしてはならない。
申請者が次条に規定する適格性を有する者でないとき。
海区漁場計画 又は内水面漁場計画の内容と 異なる申請があつたとき。
その申請に係る漁業と同種の漁業を内容とする漁業権の不当な集中に至るおそれがあるとき。
免許を受けようとする漁場の敷地が他人の所有に属する場合又は水面が他人の占有に係る場合において、その所有者 又は占有者の同意がないとき。
前項第四号の場合において同号の所有者 又は占有者の住所 又は居所が明らかでないため同意が得られないときは、最高裁判所の定める手続により、裁判所の許可をもつてその者の同意に代えることができる。
前項の許可に対する裁判に関しては、最高裁判所の定める手続により、上訴することができる。
第一項第四号の所有者 又は占有者は、正当な事由がなければ、同意を拒むことができない。
海区漁業調整委員会は、都道府県知事に対し、当該申請が第一項各号のいずれかに該当する旨の意見を述べようとするときは、あらかじめ、当該申請者に同項各号のいずれかに該当する理由を文書をもつて通知し、公開による意見の聴取を行わなければならない。
前項の意見の聴取に際しては、当該申請者 又はその代理人は、当該事案について弁明し、かつ、証拠を提出することができる。
個別漁業権の内容たる漁業の免許について適格性を有する者は、次の各号のいずれにも該当しない者とする。
漁業 又は労働に関する法令を遵守せず、かつ、引き続き遵守することが見込まれない者であること。
法人であつて、その役員 又は政令で定める使用人のうちに前二号のいずれかに該当する者があるものであること。
暴力団員等がその事業活動を支配する者であること。
団体漁業権の内容たる漁業の免許について適格性を有する者は、当該団体漁業権の関係地区の全部 又は一部をその地区内に含む漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会であつて、次の各号に掲げる団体漁業権の種類に応じ、当該各号に定めるものとする。
現に存する区画漁業権の存続期間の満了に際し、漁場の位置 及び区域 並びに漁業の種類が当該現に存する区画漁業権とおおむね等しいと認められるものとして設定される団体漁業権 その組合員(漁業協同組合連合会の場合には、その会員たる漁業協同組合の組合員)のうち関係地区内に住所を有し当該漁業を営む者の属する世帯の数が、関係地区内に住所を有し当該漁業を営む者の属する世帯の数の三分の二以上であるもの
団体漁業権(前号に掲げるものを除く。) その組合員(漁業協同組合連合会の場合には、その会員たる漁業協同組合の組合員)のうち関係地区内に住所を有し一年に九十日以上沿岸漁業(海面における漁業のうち総トン数二十トン以上の動力漁船を使用して行う漁業以外の漁業をいう。以下この条 及び第百六条第四項において同じ。)を営む者(河川以外の内水面における漁業を内容とする漁業権にあつては当該内水面において一年に三十日以上漁業を営む者、河川における漁業を内容とする漁業権にあつては当該河川において一年に三十日以上水産動植物の採捕 又は養殖をする者。以下この号 及び第五項において同じ。)の属する世帯の数が、関係地区内に住所を有し一年に九十日以上沿岸漁業を営む者の属する世帯の数の三分の二以上であるもの
前項の規定により世帯の数を計算する場合において、当該漁業を営む者が法人であるときは、当該法人(株式会社にあつては、公開会社(会社法(平成十七年法律第八十六号)第二条第五号に規定する公開会社をいう。)でないものに限る。以下この項において同じ。)の組合員、社員 若しくは株主 又は当該法人の組合員、社員 若しくは株主である法人の組合員、社員 若しくは株主のうち当該漁業の漁業従事者である者の属する世帯の数により計算するものとする。
第二項の規定は、二以上の漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会が共同してした申請について準用する。
この場合において、
同項中
「その組合員」とあるのは
「それらの組合員」と、
「その会員」とあるのは
「それらの会員」と
読み替えるものとする。
第二項第一号に掲げる団体漁業権の関係地区内に住所を有し当該団体漁業権の内容たる漁業を営む者を組合員とする漁業協同組合 若しくはその漁業協同組合を会員とする漁業協同組合連合会が同号に定める漁業協同組合 若しくは漁業協同組合連合会に対して当該漁業の免許を共同して申請することを申し出た場合 又は同項第二号に掲げる団体漁業権の関係地区内に住所を有し一年に九十日以上沿岸漁業を営む者を組合員とする漁業協同組合 若しくはその漁業協同組合を会員とする漁業協同組合連合会が同号に定める漁業協同組合 若しくは漁業協同組合連合会に対して当該漁業の免許を共同して申請することを申し出た場合には、申出を受けた漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会は、正当な事由がなければ、これを拒むことができない。
第二項(第四項において準用する場合を含む。)の規定により適格性を有する漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会が団体漁業権の内容たる漁業の免許を受けた場合には、その免許の際に当該団体漁業権の関係地区内に住所を有し当該漁業を営む者であつた者を組合員とする漁業協同組合 又はその漁業協同組合を会員とする漁業協同組合連合会は、都道府県知事の認可を受けて、当該免許を受けた漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会に対し当該団体漁業権を共有すべきことを請求することができる。
この場合には、第七十九条第一項の規定は、適用しない。
前項の認可の申請があつたときは、都道府県知事は、海区漁業調整委員会の意見を聴かなければならない。
漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会が第一種共同漁業 又は第五種共同漁業を内容とする共同漁業権を取得した場合においては、海区漁業調整委員会は、当該漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会と関係地区内に住所を有する漁業者(個人に限る。)又は漁業従事者であつてその組合員(漁業協同組合連合会の場合には、その会員たる漁業協同組合の組合員)でないものとの関係において当該共同漁業権の行使を適切にするため、第百二十条第一項の規定に従い、必要な指示をするものとする。
都道府県知事は、第六十四条第六項の申請期間内に漁業の免許を申請した者に対しては、第七十一条第一項各号のいずれかに該当する場合を除き、免許をしなければならない。
前項の場合において、同一の漁業権について免許の申請が複数あるときは、都道府県知事は、次の各号に掲げる場合に応じ、当該各号に定める者に対して免許をするものとする。
漁業権の存続期間の満了に際し、漁場の位置 及び区域 並びに漁業の種類が当該満了する漁業権(以下この号において「満了漁業権」という。)とおおむね等しいと認められるものとして設定される漁業権について当該満了漁業権を有する者による申請がある場合であつて、その者が当該満了漁業権に係る漁場を適切かつ有効に活用していると認められる場合
当該者
前号に掲げる場合以外の場合
免許の内容たる漁業による漁業生産の増大 並びにこれを通じた漁業所得の向上及び就業機会の確保 その他の地域の水産業の発展に最も寄与すると認められる者
⤏ 第二款 漁業権の性質等
漁業権を有する者(以下この節 及び第百七十条第七項において「漁業権者」という。)は、当該漁業権に係る漁場を適切かつ有効に活用するよう努めるものとする。
団体漁業権を有する漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会は、当該団体漁業権に係る漁場における漁業生産力を発展させるため、農林水産省令で定めるところにより、組合員(漁業協同組合連合会にあつては、その会員たる漁業協同組合の組合員。以下この項において同じ。)が相互に協力して行う生産の合理化、組合員による生産活動のための法人の設立 その他の方法による経営の高度化の促進に関する計画を作成し、定期的に点検を行うとともに、その実現に努めるものとする。
漁業権の存続期間は、免許の日から起算して、区画漁業権(真珠養殖業を内容とするものその他の農林水産省令で定めるものに限る。) 及び共同漁業権にあつては十年、その他の漁業権にあつては五年とする。
都道府県知事が海区漁場計画 又は内水面漁場計画において前項の期間より短い期間を定めた漁業権の存続期間は、同項の規定にかかわらず、当該都道府県知事が定めた期間とする。
漁業権を分割し、又は変更しようとする者は、都道府県知事に申請して、その免許を受けなければならない。
都道府県知事は、海区漁場計画 又は内水面漁場計画に適合するものでなければ、前項の免許をしてはならない。
第一項の場合においては、第七十条 及び第七十一条の規定を準用する。
漁業権は、物権とみなし、土地に関する規定を準用する。
民法(明治二十九年法律第八十九号)第二編第九章の規定は個別漁業権に、同編第八章から第十章までの規定は団体漁業権に、いずれも適用しない。
個別漁業権について抵当権を設定した場合において、その漁場に定着した工作物は、民法第三百七十条の規定の準用に関しては、漁業権に付加してこれと一体を成す物とみなす。
個別漁業権が先取特権の目的である場合も、同様とする。
個別漁業権を目的とする抵当権の設定は、都道府県知事の認可を受けなければ、その効力を生じない。
前項の規定により認可をしようとするときは、都道府県知事は、海区漁業調整委員会の意見を聴かなければならない。
漁業権は、相続 又は法人の合併 若しくは分割による場合を除き、移転の目的とすることができない。
ただし、個別漁業権については、滞納処分による場合、先取特権者 若しくは抵当権者がその権利を実行する場合 又は次条第二項の通知を受けた者が譲渡する場合において、都道府県知事の認可を受けたときは、この限りでない。
都道府県知事は、第七十二条第一項 又は第二項(同条第四項において準用する場合を含む。)に規定する適格性を有する者に移転する場合でなければ、前項の認可をしてはならない。
第一項の規定により認可をしようとするときは、都道府県知事は、海区漁業調整委員会の意見を聴かなければならない。
相続 又は法人の合併 若しくは分割によつて個別漁業権を取得した者は、取得の日から二月以内にその旨を都道府県知事に届け出なければならない。
都道府県知事は、海区漁業調整委員会の意見を聴き、前項の者が第七十二条第一項に規定する適格性を有する者でないと認めるときは、一定期間内に譲渡しなければその漁業権を取り消すべき旨をその者に通知しなければならない。
漁業権者が有する水面使用に関する権利義務(当該漁業権者が当該漁業に関し行政庁の許可、認可 その他の処分に基づいて有する権利義務を含む。)は、漁業権の処分に従う。
漁業権は、貸付けの目的とすることができない。
漁業権は、第百十七条第一項の規定により登録した先取特権 若しくは抵当権を有する者(以下「登録先取特権者等」という。)又は同項の規定により登録した入漁権を有する者の同意を得なければ、分割し、変更し、又は放棄することができない。
第七十一条第二項から第四項までの規定は、前項の同意について準用する。
漁業権の各共有者は、他の共有者の三分の二以上の同意を得なければ、その持分を処分することができない。
第七十一条第二項から第四項までの規定は、前項の同意について準用する。
漁業権の各共有者がその共有に属する漁業権を変更するために他の共有者の同意を得ようとする場合においては、第七十一条第二項から第四項までの規定を準用する。
都道府県知事は、漁業調整 その他公益上必要があると認めるときは、漁業権に条件を付けることができる。
前項の条件を付けようとするときは、都道府県知事は、海区漁業調整委員会の意見を聴かなければならない。
農林水産大臣は、都道府県の区域を超えた広域的な見地から、漁業調整のため特に必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、第一項の規定により漁業権に条件を付けるべきことを指示することができる。
免許後に第一項の条件を付けようとする場合における第二項の海区漁業調整委員会の意見については、第八十九条第四項から第七項までの規定を準用する。
この場合において、
同条第四項中
「前項の場合において、漁業権を取り消すべき旨」とあるのは、
「第八十六条第一項の規定により漁業権に条件を付けるべき旨」と
読み替えるものとする。
個別漁業権を有する者が当該個別漁業権の内容たる漁業を一漁業時期以上にわたつて休業しようとするときは、休業期間を定め、あらかじめ都道府県知事に届け出なければならない。
前条の休業中においては、第七十二条第一項に規定する適格性を有する者は、第六十八条の規定にかかわらず、都道府県知事の許可を受けて当該休業中の個別漁業権の内容たる漁業を営むことができる。
前項の許可の申請があつたときは、都道府県知事は、海区漁業調整委員会の意見を聴かなければならない。
都道府県知事は、漁業調整 その他公益に支障を及ぼすと認める場合は、第一項の許可をしてはならない。
第一項の許可については、第七十一条第五項 及び第六項、第八十六条、前条 並びに次条から第九十四条までの規定を準用する。
この場合において、
第七十一条第五項中
「第一項各号のいずれか」とあり、
及び
「同項各号のいずれか」とあるのは
「第八十八条第三項に規定する場合」と、
第九十二条第一項中
「第七十二条第一項 又は第二項(同条第四項において準用する場合を含む。)」とあるのは
「第七十二条第一項」と
読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
前各項の規定は、第九十二条第二項の規定に基づく処分により個別漁業権の行使を停止された期間中他の者が当該個別漁業権の内容たる漁業を営もうとする場合について準用する。
都道府県知事は、漁業権者がその有する漁業権の内容たる漁業の免許の日 又は移転に係る認可の日から一年間 又は引き続き二年間休業したときは、当該漁業権を取り消すことができる。
漁業権者の責めに帰すべき事由による場合を除き、第九十三条第一項の規定により漁業権の行使を停止された期間 及び第百十九条第一項 若しくは第二項の規定に基づく命令、第百二十条第一項の規定による指示、同条第十一項の規定による命令、第百二十一条第一項の規定による指示 又は同条第四項において読み替えて準用する第百二十条第十一項の規定による命令により漁業権の内容たる漁業を禁止された期間は、前項の期間に算入しない。
第一項の規定により漁業権を取り消そうとするときは、都道府県知事は、海区漁業調整委員会の意見を聴かなければならない。
海区漁業調整委員会は、前項の場合において、漁業権を取り消すべき旨の意見を述べようとするときは、あらかじめ、当該漁業権者にその理由を文書をもつて通知し、公開による意見の聴取を行わなければならない。
前項の意見の聴取に際しては、当該漁業権者 又はその代理人は、当該事案について弁明し、かつ、証拠を提出することができる。
当該漁業権者 又はその代理人は、第四項の規定による通知があつた時から意見の聴取が終結する時までの間、都道府県知事に対し、当該事案についてした調査の結果に係る調書 その他の当該申請の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることができる。
この場合において、都道府県知事は、第三者の利益を害するおそれがあるとき その他正当な理由があるときでなければ、その閲覧を拒むことができない。
前三項に定めるもののほか、海区漁業調整委員会が行う第四項の意見の聴取に関し必要な事項は、政令で定める。
漁業権者は、農林水産省令で定めるところにより、その有する漁業権の内容たる漁業における資源管理の状況、漁場の活用の状況 その他の農林水産省令で定める事項を都道府県知事に報告しなければならない。
ただし、第二十六条第一項 又は第三十条第一項の規定により都道府県知事に報告した事項については、この限りでない。
都道府県知事は、農林水産省令で定めるところにより、海区漁業調整委員会に対し、前項の規定により報告を受けた事項について必要な報告をするものとする。
都道府県知事は、漁業権者が次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、当該漁業権者に対して、漁場の適切かつ有効な活用を図るために必要な措置を講ずべきことを指導するものとする。
漁場を適切に利用しないことにより、他の漁業者が営む 漁業の生産活動に支障を及ぼし、又は海洋環境の悪化を引き起こしているとき。
合理的な理由がないにもかかわらず 漁場の一部を利用していないとき。
都道府県知事は、前項の規定により指導した者が、その指導に従つていないと認めるときは、その者に対して、当該指導に係る措置を講ずべきことを勧告するものとする。
前二項の規定により指導し、又は勧告しようとするときは、都道府県知事は、海区漁業調整委員会の意見を聴かなければならない。
漁業の免許を受けた後に漁業権者が第七十二条第一項 又は第二項(同条第四項において準用する場合を含む。)に規定する適格性を有する者でなくなつたときは、都道府県知事は、その漁業権を取り消さなければならない。
都道府県知事は、漁業権者が次の各号のいずれかに該当することとなつたときは、その漁業権を取り消し、又はその行使の停止を命ずることができる。
漁業に関する法令の規定に違反したとき。
前条第二項の規定による勧告に従わないとき。
前二項の場合には、第八十九条第三項から第七項までの規定を準用する。
漁業調整、船舶の航行、停泊 又は係留、水底電線の敷設 その他公益上必要があると認めるときは、都道府県知事は、漁業権を変更し、取り消し、又はその行使の停止を命ずることができる。
都道府県知事は、前項の規定により漁業権を変更するときは、併せて、海区漁場計画 又は内水面漁場計画を変更しなければならない。
第一項の場合には、第八十九条第三項から第七項までの規定を準用する。
農林水産大臣は、都道府県の区域を超えた広域的な見地から、漁業調整、船舶の航行、停泊 又は係留、水底電線の敷設 その他公益上特に必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、第一項の規定により漁業権を変更し、取り消し、又はその行使の停止を命ずべきことを指示することができる。
錯誤により免許をした場合においてこれを取り消そうとするときは、都道府県知事は、海区漁業調整委員会の意見を聴かなければならない。
漁業権を取り消したときは、都道府県知事は、直ちに、登録先取特権者等にその旨を通知しなければならない。
登録先取特権者等は、前項の通知を受けた日から三十日以内に漁業権の競売を請求することができる。
ただし、第九十三条第一項の規定による取消し 又は錯誤によつてした免許の取消しの場合は、この限りでない。
漁業権は、前項の期間内 又は競売の手続完結の日まで、競売の目的の範囲内においては、なお存続するものとみなす。
競売による売却代金は、競売の費用 及び登録先取特権者等に対する債務の弁済に充て、その残金は国庫に帰属する。
買受人が代金を納付したときは、漁業権の取消しは、その効力を生じなかつたものとみなす。
漁場に定着する工作物を設置して漁業権の価値を増大させた漁業権者は、その漁業権が消滅したときは、その消滅後に当該工作物の利用によつて利益を受ける漁業の免許を受けた者に対し、時価で当該工作物を買い取るべきことを請求することができる。
⤏ 第三款 入漁権
漁業協同組合 及び漁業協同組合連合会以外の者は、入漁権を取得することができない。
入漁権は、譲渡 又は法人の合併 若しくは分割による取得の目的となるほか、権利の目的となることができない。
入漁権は、漁業権者の同意を得なければ、譲渡することができない。
入漁権については、書面により次に掲げる事項を明らかにしなければならない。
入漁すべき漁業の種類 及び漁獲物の種類 並びに漁業時期
存続期間の定めがあるときはその期間
入漁料の定めがあるときはその事項
漁業の方法について定めがあるときはその事項
漁船、漁具 又は漁業者の数について定めがあるときはその事項
入漁者の資格について定めがあるときはその事項
その他入漁の内容
入漁権の設定を求めた場合において漁業権者が不当にその設定を拒み、又は入漁権の内容が適正でないと認めてその変更 若しくは消滅を求めた場合において相手方が不当にその変更 若しくは消滅を拒んだときは、入漁権の設定、変更 又は消滅を拒まれた者は、海区漁業調整委員会に対して、入漁権の設定、変更 又は消滅に関する裁定を申請することができる。
前項の規定による裁定の申請があつたときは、海区漁業調整委員会は、相手方にその旨を通知し、かつ、農林水産省令の定めるところにより、これを公示しなければならない。
第一項の規定による裁定の申請の相手方は、前項の公示の日から二週間以内に海区漁業調整委員会に意見書を提出することができる。
海区漁業調整委員会は、前項の期間を経過した後に審議を開始しなければならない。
裁定は、その申請の範囲を超えることができない。
裁定においては、次に掲げる事項を定めなければならない。
入漁権の設定に関する裁定の申請の場合にあつては、設定するかどうか、設定する場合はその内容 及び設定の時期
入漁権の変更に関する裁定の申請の場合にあつては、変更するかどうか、変更する場合はその内容 及び変更の時期
入漁権の消滅に関する裁定の申請の場合にあつては、消滅させるかどうか、消滅させる場合は消滅の時期
海区漁業調整委員会は、裁定をしたときは、遅滞なく、その旨を裁定の申請の相手方に通知し、かつ、農林水産省令の定めるところにより、これを公示しなければならない。
前項の公示があつたときは、その時に、裁定の定めるところにより当事者間に協議が調つたものとみなす。
存続期間について別段の定めがない入漁権は、その目的たる漁業権の存続期間中存続するものとみなす。
ただし、入漁権を有する者(第百三条において「入漁権者」という。)は、いつでもその権利を放棄することができる。
第八十四条 及び第八十五条の規定は、入漁権を共有する場合について準用する。
入漁権者が入漁料の支払を怠つたときは、漁業権者は、その入漁を拒むことができる。
入漁権者が引き続き二年以上入漁料の支払を怠り、又は破産手続開始の決定を受けたときは、漁業権者は、入漁権の消滅を請求することができる。
入漁料は、入漁しないときは、支払わなくてもよい。
⤏ 第四款 漁業権行使規則等
団体漁業権 若しくは入漁権を有する漁業協同組合の組合員 又は団体漁業権 若しくは入漁権を有する漁業協同組合連合会の会員たる漁業協同組合の組合員(いずれも漁業者 又は漁業従事者であるものに限る。)であつて、当該団体漁業権 又は入漁権に係る漁業権行使規則 又は入漁権行使規則で規定する資格に該当するものは、当該漁業権行使規則 又は入漁権行使規則に基づいて当該団体漁業権 又は入漁権の範囲内において漁業を営む権利(以下「組合員行使権」という。)を有する。
漁業権行使規則は、団体漁業権を有する漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会において、団体漁業権ごとに制定するものとする。
入漁権行使規則は、入漁権を有する漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会において、入漁権ごとに制定するものとする。
漁業権行使規則 及び入漁権行使規則(以下この条において「行使規則」という。)には、次に掲げる事項を規定するものとする。
組合員行使権を有する者(以下この項において「組合員行使権者」という。)の資格
漁業権 又は入漁権の内容たる漁業につき、漁業を営むべき区域 又は期間、当該漁業の方法 その他組合員行使権者が当該漁業を営む場合において遵守すべき事項
組合員行使権者がその有する組合員行使権に基づいて漁業を営む場合において、当該漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会が当該組合員行使権者に金銭を賦課するときは、その額
区画漁業 又は第一種共同漁業を内容とする団体漁業権を有する漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会は、その有する団体漁業権について漁業権行使規則を定めようとするときは、水産業協同組合法(昭和二十三年法律第二百四十二号)の規定による総会(総会の部会 及び総代会を含む。)の決議前に、その組合員(漁業協同組合連合会の場合には、その会員たる漁業協同組合の組合員)のうち、当該漁業権に係る漁業の免許の際において当該漁業権の内容たる漁業を営む者(第七十二条第二項第二号の要件に該当することにより同項(同条第四項において準用する場合を含む。)の規定により適格性を有するとされた者に係る団体漁業権にあつては、当該沿岸漁業を営む者(河川以外の内水面における漁業を内容とする団体漁業権にあつては当該内水面において漁業を営む者、河川における漁業を内容とする団体漁業権にあつては当該河川において水産動植物の採捕 又は養殖をする者))であつて当該漁業権の関係地区の区域内に住所を有するものの三分の二以上の書面による同意を得なければならない。
前項の場合において、水産業協同組合法第二十一条第三項(同法第八十九条第三項において準用する場合を含む。)の規定により電磁的方法(同法第十一条の三第四項に規定する電磁的方法をいう。)により議決権を行うことが定款で定められているときは、当該書面による同意に代えて、当該漁業権行使規則についての同意を当該電磁的方法により得ることができる。
この場合において、当該漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会は、当該書面による同意を得たものとみなす。
前項前段の電磁的方法(水産業協同組合法第十一条の三第五項の農林水産省令で定める方法を除く。)により得られた当該漁業権行使規則についての同意は、漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会の使用に係る電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に当該漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会に到達したものとみなす。
行使規則は、都道府県知事の認可を受けなければ、その効力を生じない。
都道府県知事は、申請に係る行使規則が不当に差別的であると認めるときは、これを認可してはならない。
第四項から第六項までの規定は漁業権行使規則の変更 又は廃止について、第七項の規定は行使規則の変更 又は廃止について、前項の規定は行使規則の変更について準用する。
この場合において、
第四項中
「当該漁業権に係る漁業の免許の際において当該漁業権の内容たる漁業を営む者」とあるのは、
「当該漁業権の内容たる漁業を営む者」と
読み替えるものとする。
行使規則は、当該行使規則を制定した漁業協同組合の組合員又は漁業協同組合連合会の会員たる漁業協同組合の組合員以外の者に対しては、効力を有しない。
団体漁業権を有する漁業協同組合が当該団体漁業権に係る総会の部会(水産業協同組合法第五十一条の二第一項に規定する総会の部会をいう。)を設けている場合においては、当該総会の部会は、当該団体漁業権の存続期間の満了に際し、漁場の位置 及び区域 並びに漁業の種類が当該満了する団体漁業権とおおむね等しいと認められるものとして設定される団体漁業権の取得について、総会の権限を行うことができる。
第百六条第四項から第六項までの規定は、漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会がその有する団体漁業権を分割し、変更し、又は放棄しようとする場合について準用する。
この場合において、
同条第四項中
「当該漁業権に係る漁業の免許の際において当該漁業権の内容たる漁業を営む者」とあるのは、
「当該漁業権の内容たる漁業を営む者」と
読み替えるものとする。
第四節 沿岸漁場管理
都道府県知事は、海区漁場計画に基づき、当該海区漁場計画で設定した保全沿岸漁場ごとに、漁業協同組合 若しくは漁業協同組合連合会 又は一般社団法人 若しくは一般財団法人であつて、次に掲げる基準に適合すると認められるものを、その申請により、沿岸漁場管理団体として指定することができる。
次条に規定する適格性を有する者であること。
役員 又は職員の構成が、保全活動の実施に支障を及ぼすおそれがないものであること。
保全活動以外の業務を行つている場合には、その業務を行うことによつて保全活動の適正かつ確実な実施に支障を及ぼすおそれがないこと。
都道府県知事は、保全活動の適切な実施を確保するために必要があると認めるときは、前項の規定による指定をするに当たり、条件を付けることができる。
都道府県知事は、第一項の規定により沿岸漁場管理団体を指定しようとするときは、海区漁業調整委員会の意見を聴かなければならない。
沿岸漁場管理団体の適格性を有する者は、次の各号のいずれにも該当しない者とする。
その役員 又は政令で定める職員のうちに暴力団員等がある者であること。
暴力団員等がその事業活動を支配する者であること。
適確な経理 その他保全活動を適切に実施するために必要な能力を有すると認められないこと。
沿岸漁場管理団体は、沿岸漁場管理規程を定め、都道府県知事の認可を受けなければならない。
沿岸漁場管理規程には、次に掲げる事項を規定するものとする。
水産動植物の生育環境の保全 又は改善の目標
保全活動の実施に関し 遵守すべき事項
保全活動に従事する者(第八号において「活動従事者」という。)のうち保全沿岸漁場において漁業を営む者 及びその他の者の役割分担 その他保全活動の円滑な実施の確保に関する事項
保全活動により保全沿岸漁場において漁業を営む者その他の者が受けると見込まれる利益の内容 及び程度
前号の利益を受けることが見込まれる者の範囲
保全活動に要する費用の見込みに関する事項(当該費用の一部の負担について前号の者(活動従事者を除く。以下この節において「受益者」という。)に協力を求めようとするときは、その額 及び算定の根拠 並びに使途を含む。)
前各号に掲げるもののほか、保全活動に関する事項であつて農林水産省令で定めるもの
沿岸漁場管理団体は、沿岸漁場管理規程を変更しようとするときは、都道府県知事の認可を受けなければならない。
第一項 又は前項の認可の申請があつたときは、都道府県知事は、海区漁業調整委員会の意見を聴かなければならない。
都道府県知事は、沿岸漁場管理規程の内容が次の各号のいずれにも該当するときは、認可をしなければならない。
保全活動を効果的かつ効率的に行う上で的確であると認められるものであること。
受益者に第二項第八号の協力(第百十三条 及び第百十四条において単に「協力」という。)を求めようとするときは、その額が利益の内容 及び程度に照らして妥当なものであること。
都道府県知事は、第一項 又は第三項の認可をしたときは、沿岸漁場管理団体の名称 その他の農林水産省令で定める事項を公示しなければならない。
沿岸漁場管理団体は、沿岸漁場管理規程に基づいて保全活動を行うものとする。
沿岸漁場管理団体は、農林水産省令で定めるところにより、保全活動の実施状況、収支状況 その他の農林水産省令で定める事項を都道府県知事に報告しなければならない。
都道府県知事は、保全活動の実施状況、収支状況 その他の農林水産省令で定める事項を海区漁業調整委員会に報告するとともに、公表するものとする。
沿岸漁場管理団体は、保全活動の実施に当たり、受益者の協力が得られないときは、都道府県知事に対し、当該協力を得るために必要なあつせんをすべきことを求めることができる。
都道府県知事は、前項の規定によりあつせんを求められた場合において、当該受益者の協力が特に必要であると認めるときは、あつせんをするものとする。
前条第二項のあつせんを受けたにもかかわらず、なお受益者の協力が得られないことにより沿岸漁場管理団体が保全活動を実施する上で支障が生じている場合において、第六十四条第一項(同条第八項において準用する場合を含む。)の規定により沿岸漁場管理団体がその支障の除去に関する意見を述べたときは、都道府県知事は、海区漁場計画を定め、又は変更するに当たり、当該意見を尊重するものとする。
都道府県知事は、前条第二項のあつせんをしたにもかかわらず、なお受益者(保全沿岸漁場において漁業を営む者に限る。)の協力が得られないことにより沿岸漁場管理団体が保全活動を実施する上で支障が生じていると認めるときは、第五十八条において準用する第四十四条第一項 若しくは第二項の規定 又は第八十六条第一項、第九十三条第一項 若しくは第百十九条第一項 若しくは第二項の規定により必要な措置を講ずるものとする。
沿岸漁場管理団体は、都道府県知事の認可を受けなければ、沿岸漁場管理規程に基づく保全活動の全部 又は一部を休止し、又は廃止してはならない。
都道府県知事が前項の規定により保全活動の全部の廃止を認可したときは、当該沿岸漁場管理団体の指定は、その効力を失う。
都道府県知事は、第一項の認可をしたときは、その旨を公示しなければならない。
都道府県知事は、沿岸漁場管理団体が保全活動を適切に行つておらず、又は第百九条第二項の規定により付けた条件を遵守していないと認めるときは、当該沿岸漁場管理団体に対して、保全活動を適切に行うべき旨 又は当該条件を遵守すべき旨を勧告するものとする。
都道府県知事は、沿岸漁場管理団体が第百十条に規定する適格性を有する者でなくなつたときは、その指定を取り消さなければならない。
都道府県知事は、第一項の規定による勧告を受けた沿岸漁場管理団体がその勧告に従わないときは、その指定を取り消すことができる。
前二項の場合には、第八十九条第三項から第七項までの規定を準用する。
第五節 補則
漁業権 並びにこれを目的とする先取特権、抵当権 及び入漁権の設定、取得、保存、移転、変更、消滅 及び処分の制限 並びに第九十二条第二項 又は第九十三条第一項の規定による漁業権の行使の停止 及びその解除は、免許漁業原簿に登録する。
前項の規定による登録は、登記に代わるものとする。
第二十条第二項から第四項までの規定は、免許漁業原簿について準用する。
前三項に規定するもののほか、第一項の規定による登録に関して必要な事項は、政令で定める。
裁判所の土地の管轄が不動産所在地によつて定まる場合には、漁場に最も近い沿岸の属する市町村を不動産所在地とみなす。