拒絶をすべき旨の査定を受けた者は、その査定に不服があるときは、その査定の謄本の送達があつた日から三月以内に拒絶査定不服審判を請求することができる。
特許法
第六章 審判
拒絶査定不服審判を請求する者がその責めに帰することができない理由により前項に規定する期間内にその請求をすることができないときは、同項の規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から十四日(在外者にあつては、二月)以内でその期間の経過後六月以内にその請求をすることができる。
特許が次の各号のいずれかに該当するときは、その特許を無効にすることについて特許無効審判を請求することができる。
この場合において、二以上の請求項に係るものについては、請求項ごとに請求することができる。
その特許が第十七条の二第三項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願(外国語書面出願を除く。)に対してされたとき。
その特許が第二十五条、第二十九条、第二十九条の二、第三十二条、第三十八条 又は第三十九条第一項から第四項までの規定に違反してされたとき(その特許が第三十八条の規定に違反してされた場合にあつては、第七十四条第一項の規定による請求に基づき、その特許に係る特許権の移転の登録があつたときを除く。)。
その特許が条約に違反してされたとき。
その特許が第三十六条第四項第一号 又は第六項(第四号を除く。)に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたとき。
外国語書面出願に係る特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲 又は図面に記載した事項が外国語書面に記載した事項の範囲内にないとき。
その特許がその発明について特許を受ける権利を有しない者の特許出願に対してされたとき(第七十四条第一項の規定による請求に基づき、その特許に係る特許権の移転の登録があつたときを除く。)。
特許がされた後において、その特許権者が第二十五条の規定により特許権を享有することができない者になつたとき、又はその特許が条約に違反することとなつたとき。
その特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲 又は図面の訂正が第百二十六条第一項ただし書 若しくは第五項から第七項まで(第百二十条の五第九項 又は第百三十四条の二第九項において準用する場合を含む。)、第百二十条の五第二項ただし書 又は第百三十四条の二第一項ただし書の規定に違反してされたとき。
特許無効審判は、利害関係人(前項第二号(特許が第三十八条の規定に違反してされたときに限る。)又は同項第六号に該当することを理由として特許無効審判を請求する場合にあつては、特許を受ける権利を有する者)に限り請求することができる。
特許無効審判は、特許権の消滅後においても、請求することができる。
審判長は、特許無効審判の請求があつたときは、その旨を当該特許権についての専用実施権者 その他その特許に関し登録した権利を有する者に通知しなければならない。
特許を無効にすべき旨の審決が確定したときは、特許権は、初めから存在しなかつたものとみなす。
ただし、特許が第百二十三条第一項第七号に該当する場合において、その特許を無効にすべき旨の審決が確定したときは、特許権は、その特許が同号に該当するに至つた時から存在しなかつたものとみなす。
第六十七条の三第三項の延長登録が次の各号のいずれかに該当するときは、その延長登録を無効にすることについて延長登録無効審判を請求することができる。
その延長登録が基準日以後にされていない場合の出願に対してされたとき。
その延長登録により延長された期間がその特許権の存続期間に係る延長可能期間を超えているとき。
その延長登録が当該特許権者でない者の出願に対してされたとき。
その延長登録が第六十七条の二第四項に規定する要件を満たしていない出願に対してされたとき。
前項の延長登録無効審判は、利害関係人に限り請求することができる。
第百二十三条第三項 及び第四項の規定は、第一項の規定による延長登録無効審判の請求について準用する。
第六十七条の三第三項の延長登録を無効にすべき旨の審決が確定したときは、その延長登録による特許権の存続期間の延長は、初めからされなかつたものとみなす。
ただし、延長登録が第一項第二号に該当する場合において、その特許権の存続期間に係る延長可能期間を超える期間の延長登録を無効にすべき旨の審決が確定したときは、当該超える期間について、その延長がされなかつたものとみなす。
前項本文の規定により初めからされなかつたものとみなされた延長登録による特許権の存続期間の延長に係る当該延長の期間 又は同項ただし書の規定により延長がされなかつたものとみなされた期間内にされた第六十七条第四項の延長登録の出願が特許庁に係属しているときは、当該出願は、取り下げられたものとみなす。
第四項本文の規定により初めからされなかつたものとみなされた延長登録による特許権の存続期間の延長に係る当該延長の期間 又は同項ただし書の規定により延長がされなかつたものとみなされた期間内にされた第六十七条第四項の延長登録の出願に係る第六十七条の七第三項の延長登録がされているときは、当該延長登録による特許権の存続期間の延長は、初めからされなかつたものとみなす。
第六十七条の七第三項の延長登録が次の各号のいずれかに該当するときは、その延長登録を無効にすることについて延長登録無効審判を請求することができる。
その延長登録がその特許発明の実施に第六十七条第四項の政令で定める処分を受けることが必要であつたとは認められない場合の出願に対してされたとき。
その延長登録が、その特許権者 又はその特許権についての専用実施権 若しくは通常実施権を有する者が第六十七条第四項の政令で定める処分を受けていない場合の出願に対してされたとき。
その延長登録により延長された期間がその特許発明の実施をすることができなかつた期間を超えているとき。
その延長登録が当該特許権者でない者の出願に対してされたとき。
その延長登録が第六十七条の五第四項において準用する第六十七条の二第四項に規定する要件を満たしていない出願に対してされたとき。
前条第二項 及び第三項の規定は、前項の規定による延長登録無効審判の請求について準用する。
第六十七条の七第三項の延長登録を無効にすべき旨の審決が確定したときは、その延長登録による特許権の存続期間の延長は、初めからされなかつたものとみなす。
ただし、延長登録が第一項第三号に該当する場合において、その特許発明の実施をすることができなかつた期間を超える期間の延長登録を無効にすべき旨の審決が確定したときは、当該超える期間について、その延長がされなかつたものとみなす。
特許権者は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲 又は図面の訂正をすることについて訂正審判を請求することができる。
ただし、その訂正は、次に掲げる事項を目的とするものに限る。
他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること。
訂正審判は、特許異議の申立て又は特許無効審判が特許庁に係属した時からその決定 又は審決(請求項ごとに申立て又は請求がされた場合にあつては、その全ての決定 又は審決)が確定するまでの間は、請求することができない。
二以上の請求項に係る願書に添付した特許請求の範囲の訂正をする場合には、請求項ごとに第一項の規定による請求をすることができる。
この場合において、当該請求項の中に一群の請求項があるときは、当該一群の請求項ごとに当該請求をしなければならない。
願書に添付した明細書 又は図面の訂正をする場合であつて、請求項ごとに第一項の規定による請求をしようとするときは、当該明細書 又は図面の訂正に係る請求項の全て(前項後段の規定により一群の請求項ごとに第一項の規定による請求をする場合にあつては、当該明細書 又は図面の訂正に係る請求項を含む一群の請求項の全て)について行わなければならない。
第一項の明細書、特許請求の範囲 又は図面の訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲 又は図面(同項ただし書第二号に掲げる事項を目的とする訂正の場合にあつては、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲 又は図面(外国語書面出願に係る特許にあつては、外国語書面))に記載した事項の範囲内においてしなければならない。
第一項の明細書、特許請求の範囲 又は図面の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであつてはならない。
第一項ただし書第一号 又は第二号に掲げる事項を目的とする訂正は、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならない。
訂正審判は、特許権の消滅後においても、請求することができる。
ただし、特許が取消決定により取り消され、又は特許無効審判により無効にされた後は、この限りでない。
特許権者は、専用実施権者 又は質権者があるときは、これらの者の承諾を得た場合に限り、訂正審判を請求することができる。
願書に添付した明細書、特許請求の範囲 又は図面の訂正をすべき旨の審決が確定したときは、その訂正後における明細書、特許請求の範囲 又は図面により特許出願、出願公開、特許をすべき旨の査定 又は審決 及び特許権の設定の登録がされたものとみなす。
審判を請求する者は、次に掲げる事項を記載した請求書を特許庁長官に提出しなければならない。
当事者 及び代理人の氏名 又は名称 及び住所 又は居所
請求の趣旨 及びその理由
特許無効審判を請求する場合における前項第三号に掲げる請求の理由は、特許を無効にする根拠となる事実を具体的に特定し、かつ、立証を要する事実ごとに証拠との関係を記載したものでなければならない。
訂正審判を請求する場合における第一項第三号に掲げる請求の趣旨 及びその理由は、経済産業省令で定めるところにより記載したものでなければならない。
訂正審判を請求するときは、請求書に訂正した明細書、特許請求の範囲 又は図面を添付しなければならない。
前条第一項の規定により提出した請求書の補正は、その要旨を変更するものであつてはならない。
ただし、当該補正が次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。
特許無効審判以外の審判を請求する場合における前条第一項第三号に掲げる請求の理由についてされるとき。
次項の規定による審判長の許可があつたものであるとき。
第百三十三条第一項(第百二十条の五第九項 及び第百三十四条の二第九項において準用する場合を含む。)の規定により、当該請求書について補正をすべきことを命じられた場合において、当該命じられた事項についてされるとき。
審判長は、特許無効審判を請求する場合における前条第一項第三号に掲げる請求の理由の補正がその要旨を変更するものである場合において、当該補正が審理を不当に遅延させるおそれがないことが明らかなものであり、かつ、次の各号のいずれかに該当する事由があると認めるときは、決定をもつて、当該補正を許可することができる。
当該特許無効審判において第百三十四条の二第一項の訂正の請求があり、その訂正の請求により請求の理由を補正する必要が生じたこと。
前号に掲げるもののほか当該補正に係る請求の理由を審判請求時の請求書に記載しなかつたことにつき合理的な理由があり、被請求人が当該補正に同意したこと。
前項の補正の許可は、その補正に係る手続補正書が第百三十四条第一項の規定による請求書の副本の送達の前に提出されたときは、これをすることができない。
第二項の決定 又はその不作為に対しては、不服を申し立てることができない。
同一の特許権について特許無効審判 又は延長登録無効審判を請求する者が二人以上あるときは、これらの者は、共同して審判を請求することができる。
共有に係る特許権について特許権者に対し審判を請求するときは、共有者の全員を被請求人として請求しなければならない。
特許権 又は特許を受ける権利の共有者がその共有に係る権利について審判を請求するときは、共有者の全員が共同して請求しなければならない。
第一項 若しくは前項の規定により審判を請求した者 又は第二項の規定により審判を請求された者の一人について、審判手続の中断 又は中止の原因があるときは、その中断 又は中止は、全員についてその効力を生ずる。
審判長は、請求書が第百三十一条の規定に違反しているときは、請求人に対し、相当の期間を指定して、請求書について補正をすべきことを命じなければならない。
審判長は、前項に規定する場合を除き、審判事件に係る手続について、次の各号の一に該当するときは、相当の期間を指定して、その補正をすべきことを命ずることができる。
手続が第七条第一項から第三項まで 又は第九条の規定に違反しているとき。
手続がこの法律 又はこの法律に基づく命令で定める方式に違反しているとき。
手続について第百九十五条第一項 又は第二項の規定により納付すべき手数料を納付しないとき。
審判長は、前二項の規定により、審判事件に係る手続について、その補正をすべきことを命じた者がこれらの規定により指定した期間内にその補正をしないとき、又はその補正が第百三十一条の二第一項の規定に違反するときは、決定をもつてその手続を却下することができる。
前項の決定は、文書をもつて行い、かつ、理由を付さなければならない。
審判長は、審判事件に係る手続(審判の請求を除く。)において、不適法な手続であつてその補正をすることができないものについては、決定をもつてその手続を却下することができる。
前項の規定により却下しようとするときは、手続をした者に対し、その理由を通知し、相当の期間を指定して、弁明書を提出する機会を与えなければならない。
第一項の決定は、文書をもつて行い、かつ、理由を付さなければならない。
審判長は、審判の請求があつたときは、請求書の副本を被請求人に送達し、相当の期間を指定して、答弁書を提出する機会を与えなければならない。
審判長は、第百三十一条の二第二項の規定により請求書の補正を許可するときは、その補正に係る手続補正書の副本を被請求人に送達し、相当の期間を指定して、答弁書を提出する機会を与えなければならない。
ただし、被請求人に答弁書を提出する機会を与える必要がないと認められる特別の事情があるときは、この限りでない。
審判長は、第一項 又は前項本文の答弁書を受理したときは、その副本を請求人に送達しなければならない。
審判長は、審判に関し、当事者 及び参加人を審尋することができる。
特許無効審判の被請求人は、前条第一項 若しくは第二項、次条、第百五十三条第二項 又は第百六十四条の二第二項の規定により指定された期間内に限り、願書に添付した明細書、特許請求の範囲 又は図面の訂正を請求することができる。
ただし、その訂正は、次に掲げる事項を目的とするものに限る。
他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること。
二以上の請求項に係る願書に添付した特許請求の範囲の訂正をする場合には、請求項ごとに前項の訂正の請求をすることができる。
ただし、特許無効審判が請求項ごとに請求された場合にあつては、請求項ごとに同項の訂正の請求をしなければならない。
前項の場合において、当該請求項の中に一群の請求項があるときは、当該一群の請求項ごとに当該請求をしなければならない。
審判長は、第一項の訂正の請求書 及びこれに添付された訂正した明細書、特許請求の範囲 又は図面を受理したときは、これらの副本を請求人に送達しなければならない。
審判官は、第一項の訂正の請求が同項ただし書各号に掲げる事項を目的とせず、又は第九項において読み替えて準用する第百二十六条第五項から第七項までの規定に適合しないことについて、当事者 又は参加人が申し立てない理由についても、審理することができる。
この場合において、当該理由により訂正の請求を認めないときは、審判長は、審理の結果を当事者 及び参加人に通知し、相当の期間を指定して、意見を申し立てる機会を与えなければならない。
第一項の訂正の請求がされた場合において、その審判事件において先にした訂正の請求があるときは、当該先の請求は、取り下げられたものとみなす。
第一項の訂正の請求は、同項の訂正の請求書に添付された訂正した明細書、特許請求の範囲 又は図面について第十七条の五第二項の補正をすることができる期間内に限り、取り下げることができる。
この場合において、第一項の訂正の請求を第二項 又は第三項の規定により請求項ごとに又は一群の請求項ごとにしたときは、その全ての請求を取り下げなければならない。
第百五十五条第三項の規定により特許無効審判の請求が請求項ごとに取り下げられたときは、第一項の訂正の請求は、当該請求項ごとに取り下げられたものとみなし、特許無効審判の審判事件に係る全ての請求が取り下げられたときは、当該審判事件に係る同項の訂正の請求は、全て取り下げられたものとみなす。
第百二十六条第四項から第八項まで、第百二十七条、第百二十八条、第百三十一条第一項、第三項 及び第四項、第百三十一条の二第一項、第百三十二条第三項 及び第四項 並びに第百三十三条第一項、第三項 及び第四項の規定は、第一項の場合に準用する。
この場合において、
第百二十六条第七項中
「第一項ただし書第一号 又は第二号」とあるのは、
「特許無効審判の請求がされていない請求項に係る第一項ただし書第一号 又は第二号」と
読み替えるものとする。
審判長は、特許無効審判の審決(審判の請求に理由がないとするものに限る。)に対する第百八十一条第一項の規定による取消しの判決が確定し、同条第二項の規定により審理を開始するときは、その判決の確定の日から一週間以内に被請求人から申立てがあつた場合に限り、被請求人に対し、願書に添付した明細書、特許請求の範囲 又は図面の訂正を請求するための相当の期間を指定することができる。
不適法な審判の請求であつて、その補正をすることができないものについては、被請求人に答弁書を提出する機会を与えないで、審決をもつてこれを却下することができる。
審判は、三人 又は五人の審判官の合議体が行う。
前項の合議体の合議は、過半数により決する。
審判官の資格は、政令で定める。
特許庁長官は、各審判事件(第百六十二条の規定により審査官がその請求を審査する審判事件にあつては、第百六十四条第三項の規定による報告があつたものに限る。)について前条第一項の合議体を構成すべき審判官を指定しなければならない。
特許庁長官は、前項の規定により指定した審判官のうち審判に関与することに故障がある者があるときは、その指定を解いて他の審判官をもつてこれを補充しなければならない。
特許庁長官は、前条第一項の規定により指定した審判官のうち一人を審判長として指定しなければならない。
審判長は、その審判事件に関する事務を総理する。
審判官は、次の各号のいずれかに該当するときは、その職務の執行から除斥される。
審判官 又はその配偶者 若しくは配偶者であつた者が事件の当事者、参加人 若しくは特許異議申立人であるとき、又はあつたとき。
審判官が事件の当事者、参加人 若しくは特許異議申立人の四親等内の血族、三親等内の姻族 若しくは同居の親族であるとき、又はあつたとき。
審判官が事件の当事者、参加人 又は特許異議申立人の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人 又は補助監督人であるとき。
審判官が事件について証人 又は鑑定人となつたとき。
審判官が事件について当事者、参加人 若しくは特許異議申立人の代理人であるとき、又はあつたとき。
審判官が事件について不服を申し立てられた査定に審査官として関与したとき。
審判官が第六十七条第二項の延長登録の出願に係る事件についてその特許権に係特許出願の審査においてその査定に審査官として関与したとき。
審判官が事件について直接の利害関係を有するとき。
前条に規定する除斥の原因があるときは、当事者 又は参加人は、除斥の申立をすることができる。
審判官について審判の公正を妨げるべき事情があるときは、当事者 又は参加人は、これを忌避することができる。
当事者 又は参加人は、事件について審判官に対し書面 又は口頭をもつて陳述をした後は、審判官を忌避することができない。
ただし、忌避の原因があることを知らなかつたとき、又は忌避の原因がその後に生じたときは、この限りでない。
除斥 又は忌避の申立をする者は、その原因を記載した書面を特許庁長官に提出しなければならない。
ただし、口頭審理においては、口頭をもつてすることができる。
除斥 又は忌避の原因は、前項の申立をした日から三日以内に疎明しなければならない。
前条第二項ただし書の事実も、同様とする。
除斥 又は忌避の申立があつたときは、その申立に係る審判官以外の審判官が審判により決定をする。
ただし、その申立に係る審判官は、意見を述べることができる。
前項の決定は、文書をもつて行い、かつ、理由を附さなければならない。
第一項の決定 又はその不作為に対しては、不服を申し立てることができない。
除斥 又は忌避の申立があつたときは、その申立についての決定があるまで審判手続を中止しなければならない。
ただし、急速を要する行為については、この限りでない。
特許庁長官は、各審判事件(第百六十二条の規定により審査官がその請求を審査する審判事件にあつては、第百六十四条第三項の規定による報告があつたものに限る。)について審判書記官を指定しなければならない。
審判書記官の資格は、政令で定める。
特許庁長官は、第一項の規定により指定した審判書記官が審判に関与することに故障があるときは、その指定を解いて他の審判書記官を指定しなければならない。
審判書記官は、審判事件に関し、調書の作成 及び送達に関する事務を行うほか、審判長の命を受けて、その他の事務を行う。
第百三十九条(第六号 及び第七号を除く。)及び第百四十条から前条までの規定は、審判書記官について準用する。
この場合において、除斥 又は忌避の申立てに係る審判書記官は、除斥 又は忌避についての審判に関与することができない。
特許無効審判 及び延長登録無効審判は、口頭審理による。
ただし、審判長は、当事者 若しくは参加人の申立てにより又は職権で、書面審理によるものとすることができる。
前項に規定する審判以外の審判は、書面審理による。
ただし、審判長は、当事者の申立により又は職権で、口頭審理によるものとすることができる。
審判長は、第一項 又は前項ただし書の規定により口頭審理による審判をするときは、その期日 及び場所を定め、当事者 及び参加人に対し、期日の呼出しを行わなければならない。
民事訴訟法第九十四条(期日の呼出し)の規定は、前項の期日の呼出しに準用する。
第一項 又は第二項ただし書の規定による口頭審理は、公開して行う。
ただし、公の秩序 又は善良の風俗を害するおそれがあるときは、この限りでない。
審判長は、当事者 若しくは参加人の申立てにより又は職権で、経済産業省令で定めるところにより、審判官 及び審判書記官 並びに当事者 及び参加人が映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によつて、第三項の期日における手続を行うことができる。
第三項の期日に出頭しないで前項の手続に関与した当事者 及び参加人は、その期日に出頭したものとみなす。
民事訴訟法第百五十四条(通訳人の立会い等)の規定は、審判に準用する。
第百四十五条第一項 又は第二項ただし書の規定による口頭審理による審判については、審判書記官は、期日ごとに審理の要旨 その他必要な事項を記載した調書を作成しなければならない。
審判書記官は、前項の調書の作成 又は変更に関して審判長の命令を受けた場合において、その作成 又は変更を正当でないと認めるときは、自己の意見を書き添えることができる。
民事訴訟法第百六十条第二項 及び第三項(口頭弁論調書)の規定は、第一項の調書に準用する。
第百三十二条第一項の規定により審判を請求することができる者は、審理の終結に至るまでは、請求人としてその審判に参加することができる。
前項の規定による参加人は、被参加人がその審判の請求を取り下げた後においても、審判手続を続行することができる。
審判の結果について利害関係を有する者は、審理の終結に至るまでは、当事者の一方を補助するためその審判に参加することができる。
前項の規定による参加人は、一切の審判手続をすることができる。
第一項 又は第三項の規定による参加人について審判手続の中断 又は中止の原因があるときは、その中断 又は中止は、被参加人についても、その効力を生ずる。
参加を申請する者は、参加申請書を審判長に提出しなければならない。
審判長は、参加の申請があつたときは、参加申請書の副本を当事者 及び参加人に送達し、相当の期間を指定して、意見を述べる機会を与えなければならない。
参加の申請があつたときは、その申請をした者が参加しようとする審判の審判官が審判により決定をする。
前項の決定は、文書をもつて行い、かつ、理由を附さなければならない。
第三項の決定 又はその不作為に対しては、不服を申し立てることができない。
審判に関しては、当事者 若しくは参加人の申立により又は職権で、証拠調をすることができる。
審判に関しては、審判請求前は利害関係人の申立により、審判の係属中は当事者 若しくは参加人の申立により又は職権で、証拠保全をすることができる。
前項の規定による審判請求前の申立は、特許庁長官に対してしなければならない。
特許庁長官は、第二項の規定による審判請求前の申立てがあつたときは、証拠保全に関与すべき審判官 及び審判書記官を指定する。
審判長は、第一項 又は第二項の規定により職権で証拠調 又は証拠保全をしたときは、その結果を当事者 及び参加人に通知し、相当の期間を指定して、意見を申し立てる機会を与えなければならない。
第一項 又は第二項の証拠調 又は証拠保全は、当該事務を取り扱うべき地の地方裁判所 又は簡易裁判所に嘱託することができる。
第百四十五条第六項 及び第七項 並びに第百四十七条 並びに民事訴訟法第九十三条第一項(期日の指定)、第九十四条(期日の呼出し)、第百七十九条から第百八十一条まで、第百八十三条から第百八十六条まで、第百八十八条、第百九十条、第百九十一条、第百九十五条から第百九十八条まで、第百九十九条第一項、第二百一条から第二百四条まで、第二百六条、第二百七条、第二百十条から第二百十三条まで、第二百十四条第一項から第三項まで、第二百十五条から第二百二十二条まで、第二百二十三条第一項から第六項まで、第二百二十六条から第二百二十八条まで、第二百二十九条第一項から第三項まで、第二百三十一条、第二百三十二条第一項、第二百三十三条、第二百三十四条、第二百三十六条から第二百三十八条まで、第二百四十条から第二百四十二条まで(証拠)及び第二百七十八条(尋問等に代わる書面の提出)の規定は、前条の規定による証拠調べ 又は証拠保全に準用する。
この場合において、
同法第百七十九条中
「裁判所において当事者が自白した事実 及び顕著な事実」とあるのは
「顕著な事実」と、
同法第二百四条 及び第二百十五条の三中
「最高裁判所規則」とあるのは
「経済産業省令」と
読み替えるものとする。
審判長は、当事者 又は参加人が法定 若しくは指定の期間内に手続をせず、又は第百四十五条第三項の規定により定めるところに従つて出頭しないときであつても、審判手続を進行することができる。
審判においては、当事者 又は参加人が申し立てない理由についても、審理することができる。
審判長は、前項の規定により当事者 又は参加人が申し立てない理由について審理したときは、その審理の結果を当事者 及び参加人に通知し、相当の期間を指定して、意見を申し立てる機会を与えなければならない。
審判においては、請求人が申し立てない請求の趣旨については、審理することができない。
当事者の双方 又は一方が同一である二以上の審判については、その審理の併合をすることができる。
前項の規定により審理の併合をしたときは、さらにその審理の分離をすることができる。
審判の請求は、審決が確定するまでは、取り下げることができる。
審判の請求は、第百三十四条第一項の答弁書の提出があつた後は、相手方の承諾を得なければ、取り下げることができない。
二以上の請求項に係る特許の二以上の請求項について特許無効審判を請求したときは、その請求は、請求項ごとに取り下げることができる。
請求項ごとに又は一群の請求項ごとに訂正審判を請求したときは、その請求の取下げは、その全ての請求について行わなければならない。
審判長は、特許無効審判以外の審判においては、事件が審決をするのに熟したときは、審理の終結を当事者 及び参加人に通知しなければならない。
審判長は、特許無効審判においては、事件が審決をするのに熟した場合であつて第百六十四条の二第一項の審決の予告をしないとき、又は同項の審決の予告をした場合であつて同条第二項の規定により指定した期間内に被請求人が第百三十四条の二第一項の訂正の請求 若しくは第十七条の五第二項の補正をしないときは、審理の終結を当事者 及び参加人に通知しなければならない。
審判長は、必要があるときは、前二項の規定による通知をした後であつても、当事者 若しくは参加人の申立てにより又は職権で、審理の再開をすることができる。
審決は、第一項 又は第二項の規定による通知を発した日から二十日以内にしなければならない。
ただし、事件が複雑であるとき、その他やむを得ない理由があるときは、この限りでない。
審決があつたときは、審判は、終了する。
審決は、次に掲げる事項を記載した文書をもつて行わなければならない。
当事者 及び参加人 並びに代理人の氏名 又は名称 及び住所 又は居所
特許庁長官は、審決があつたときは、審決の謄本を当事者、参加人 及び審判に参加を申請してその申請を拒否された者に送達しなければならない。
審査においてした手続は、拒絶査定不服審判においても、その効力を有する。
第五十三条の規定は、拒絶査定不服審判に準用する。
この場合において、
第五十三条第一項中
「第十七条の二第一項第一号 又は第三号」とあるのは
「第十七条の二第一項第一号、第三号 又は第四号」と、
「補正が」とあるのは
「補正(同項第一号 又は第三号に掲げる場合にあつては、拒絶査定不服審判の請求前にしたものを除く。)が」と
読み替えるものとする。
第五十条 及び第五十条の二の規定は、拒絶査定不服審判において査定の理由と異なる拒絶の理由を発見した場合に準用する。
この場合において、
第五十条ただし書中
「第十七条の二第一項第一号 又は第三号に掲げる場合(同項第一号に掲げる場合にあつては、拒絶の理由の通知と併せて次条の規定による通知をした場合に限る。)」とあるのは、
「第十七条の二第一項第一号(拒絶の理由の通知と併せて次条の規定による通知をした場合に限るものとし、拒絶査定不服審判の請求前に補正をしたときを除く。)、第三号(拒絶査定不服審判の請求前に補正をしたときを除く。)又は第四号に掲げる場合」と
読み替えるものとする。
第五十一条、第六十七条の三第二項から第四項まで 及び第六十七条の七第二項から第四項までの規定は、拒絶査定不服審判の請求を理由があるとする場合における当該審判について準用する。
拒絶査定不服審判において査定を取り消すときは、さらに審査に付すべき旨の審決をすることができる。
前項の審決があつた場合における判断は、その事件について審査官を拘束する。
第一項の審決をするときは、前条第三項の規定は、適用しない。
第百三十四条第一項から第三項まで、第百三十四条の二、第百三十四条の三、第百四十八条 及び第百四十九条の規定は、拒絶査定不服審判には、適用しない。
特許庁長官は、拒絶査定不服審判の請求があつた場合において、その請求と同時にその請求に係る特許出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲 又は図面について補正があつたときは、審査官にその請求を審査させなければならない。
第四十八条、第五十三条 及び第五十四条の規定は、前条の規定による審査に準用する。
この場合において、
第五十三条第一項中
「第十七条の二第一項第一号 又は第三号」とあるのは
「第十七条の二第一項第一号、第三号 又は第四号」と、
「補正が」とあるのは
「補正(同項第一号 又は第三号に掲げる場合にあつては、拒絶査定不服審判の請求前にしたものを除く。)が」と
読み替えるものとする。
第五十条 及び第五十条の二の規定は、前条の規定による審査において審判の請求に係る査定の理由と異なる拒絶の理由を発見した場合に準用する。
この場合において、
第五十条ただし書中
「第十七条の二第一項第一号 又は第三号に掲げる場合(同項第一号に掲げる場合にあつては、拒絶の理由の通知と併せて次条の規定による通知をした場合に限る。)」とあるのは、
「第十七条の二第一項第一号(拒絶の理由の通知と併せて次条の規定による通知をした場合に限るものとし、拒絶査定不服審判の請求前に補正をしたときを除く。)、第三号(拒絶査定不服審判の請求前に補正をしたときを除く。)又は第四号に掲げる場合」と
読み替えるものとする。
第五十一条 及び第五十二条の規定は、前条の規定による審査において審判の請求を理由があるとする場合に準用する。
審査官は、第百六十二条の規定による審査において特許をすべき旨の査定をするときは、審判の請求に係る拒絶をすべき旨の査定を取り消さなければならない。
審査官は、前項に規定する場合を除き、前条第一項において準用する第五十三条第一項の規定による却下の決定をしてはならない。
審査官は、第一項に規定する場合を除き、当該審判の請求について査定をすることなく その審査の結果を特許庁長官に報告しなければならない。
審判長は、特許無効審判の事件が審決をするのに熟した場合において、審判の請求に理由があると認めるときその他の経済産業省令で定めるときは、審決の予告を当事者 及び参加人にしなければならない。
審判長は、前項の審決の予告をするときは、被請求人に対し、願書に添付した明細書、特許請求の範囲 又は図面の訂正を請求するための相当の期間を指定しなければならない。
第百五十七条第二項の規定は、第一項の審決の予告に準用する。
審判長は、訂正審判の請求が第百二十六条第一項ただし書各号に掲げる事項を目的とせず、又は同条第五項から第七項までの規定に適合しないときは、請求人にその理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。
第百三十四条第一項から第三項まで、第百三十四条の二、第百三十四条の三、第百四十八条 及び第百四十九条の規定は、訂正審判には、適用しない。
特許無効審判 又は延長登録無効審判の審決が確定したときは、当事者 及び参加人は、同一の事実 及び同一の証拠に基づいてその審判を請求することができない。
審決は、審判事件ごとに確定する。
ただし、次の各号に掲げる場合には、それぞれ当該各号に定めるところにより確定する。
請求項ごとに特許無効審判の請求がされた場合であつて、一群の請求項ごとに第百三十四条の二第一項の訂正の請求がされた場合
当該一群の請求項ごと
一群の請求項ごとに訂正審判の請求がされた場合
当該一群の請求項ごと
請求項ごとに審判の請求がされた場合であつて、第一号に掲げる場合以外の場合
当該請求項ごと
審判において必要があると認めるときは、特許異議の申立てについての決定 若しくは他の審判の審決が確定し、又は訴訟手続が完結するまでその手続を中止することができる。
訴えの提起 又は仮差押命令 若しくは仮処分命令の申立てがあつた場合において、必要があると認めるときは、裁判所は、審決が確定するまでその訴訟手続を中止することができる。
裁判所は、特許権 又は専用実施権の侵害に関する訴えの提起があつたときは、その旨を特許庁長官に通知するものとする。
その訴訟手続が完結したときも、また同様とする。
特許庁長官は、前項に規定する通知を受けたときは、その特許権についての審判の請求の有無を裁判所に通知するものとする。
その審判の請求書の却下の決定、審決 又は請求の取下げがあつたときも、また同様とする。
裁判所は、前項の規定によりその特許権についての審判の請求があつた旨の通知を受けた場合において、当該訴訟において第百四条の三第一項の規定による攻撃 又は防御の方法を記載した書面がその通知前に既に提出され、又はその通知後に最初に提出されたときは、その旨を特許庁長官に通知するものとする。
特許庁長官は、前項に規定する通知を受けたときは、裁判所に対し、当該訴訟の訴訟記録のうちその審判において審判官が必要と認める書面の写しの送付を求めることができる。
特許無効審判 及び延長登録無効審判に関する費用の負担は、審判が審決により終了するときはその審決をもつて、審判が審決によらないで終了するときは審判による決定をもつて、職権で、定めなければならない。
民事訴訟法第六十一条から第六十六条まで、第六十九条第一項 及び第二項、第七十条 並びに第七十一条第二項(訴訟費用の負担)の規定は、前項に規定する審判に関する費用に準用する。
この場合において、
同法第七十一条第二項中
「最高裁判所規則」とあるのは、
「経済産業省令」と
読み替えるものとする。
拒絶査定不服審判 及び訂正審判に関する費用は、請求人の負担とする。
民事訴訟法第六十五条(共同訴訟の場合の負担)の規定は、前項の規定により請求人が負担する費用に準用する。
審判に関する費用の額は、請求により、審決 又は決定が確定した後に特許庁長官が決定をする。
審判に関する費用の範囲、額 及び納付 並びに審判における手続上の行為をするために必要な給付については、その性質に反しない限り、民事訴訟費用等に関する法律中これらに関する規定(第二章第一節 及び第三節に定める部分を除く。)の例による。
審判に関する費用の額についての確定した決定は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。