裁判員の参加する刑事裁判に関する法律

# 平成十六年法律第六十三号 #
略称 : 裁判員法 

第二章 裁判員

分類 法律
カテゴリ   司法
@ 施行日 : 令和六年二月十五日 ( 2024年 2月15日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第二十八号による改正
最終編集日 : 2024年 11月23日 19時25分


第一節 総則

1項

裁判員は、独立してその職権を行う。

1項

裁判員は、法令に従い公平誠実にその職務を行わなければならない。

2項

裁判員は、に規定する評議の秘密 その他の職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。

3項

裁判員は、裁判の公正さに対する信頼を損なうおそれのある行為をしてはならない。

4項

裁判員は、その品位を害するような行為をしてはならない。

1項

裁判所は、審判の期間 その他の事情を考慮して必要があると認めるときは、補充裁判員を置くことができる。


ただし補充裁判員の員数は、合議体を構成する裁判員の員数を超えることはできない。

2項

補充裁判員は、裁判員の関与する判断をするための審理に立ち会い、の合議体を構成する裁判員の員数に不足が生じた場合に、あらかじめ定める順序に従い、これに代わって、裁判員に選任される。

3項

補充裁判員は、訴訟に関する書類 及び証拠物を閲覧することができる。

4項

の規定は、補充裁判員について準用する。

1項

裁判員 及び補充裁判員には、最高裁判所規則で定めるところにより、旅費、日当 及び宿泊料を支給する。

1項

裁判所は、において準用する場合を含む。)、 及びにおいて準用する場合を含む。)、において準用する場合を含む。)、 及びにおいて準用する場合を含む。)の規定により選定された裁判員候補者 又は裁判員 若しくは補充裁判員について、裁判員 又は補充裁判員の選任 又は解任の判断のため必要があると認めるときは、公務所 又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。

2項

地方裁判所は、裁判員候補者について、裁判所の前項の判断に資するため必要があると認めるときは、公務所に照会して必要な事項の報告を求めることができる。

第二節 選任

1項

裁判員は、衆議院議員の選挙権を有する者の中から、の定めるところにより、選任するものとする。

1項

国家公務員法昭和二十二年法律第百二十号の規定に該当する場合のほか、次の各号いずれかに該当する者は、裁判員となることができない。

一 号

昭和二十二年法律第二十六号)に定める義務教育を終了しない者


ただし、義務教育を終了した者と同等以上の学識を有する者は、この限りでない。

二 号

禁錮以上の刑に処せられた者

三 号

心身の故障のため裁判員の職務の遂行に著しい支障がある者

1項

次の各号いずれかに該当する者は、裁判員の職務に就くことができない

一 号
国会議員
二 号
国務大臣
三 号

次のいずれかに該当する国の行政機関の職員

一般職の職員の給与に関する法律昭和二十五年法律第九十五号指定職俸給表の適用を受ける職員に掲げる者を除く

一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する法律平成十二年法律第百二十五号第一項に規定する俸給表の適用を受ける職員であって、七号俸の俸給月額以上の俸給を受けるもの

特別職の職員の給与に関する法律昭和二十四年法律第二百五十二号 及び適用を受ける職員

防衛省の職員の給与等に関する法律昭和二十七年法律第二百六十六号。以下「防衛省職員給与法」という。の規定により指定職俸給表の適用を受ける職員の規定により第一項の俸給表に定める額の俸給七号俸の俸給月額以上のものに限るを受ける職員 及びの規定の適用を受ける職員

四 号

裁判官 及び裁判官であった者

五 号

検察官 及び検察官であった者

六 号

弁護士(外国法事務弁護士を含む。以下この項において同じ。)及び弁護士であった者

七 号
弁理士
八 号
司法書士
九 号
公証人
十 号

司法警察職員としての職務を行う者

十一 号

裁判所の職員(非常勤の者除く

十二 号

法務省の職員(非常勤の者除く

十三 号

国家公安委員会委員 及び都道府県公安委員会委員 並びに警察職員(非常勤の者除く

十四 号

判事、判事補、検事 又は弁護士となる資格を有する者

十五 号

に定める大学の学部、専攻科 又は大学院の法律学の教授 又は准教授

十六 号
司法修習生
十七 号

都道府県知事 及び市町村(特別区を含む。以下同じ。)の

十八 号
自衛官
2項

次のいずれかに該当する者も、前項と同様とする。

一 号

禁錮以上の刑に当たる罪につき起訴され、その被告事件の終結に至らない者

二 号

逮捕 又は勾留されている者

1項

次の各号いずれかに該当する者は、裁判員となることについて辞退の申立てをすることができる。

一 号

年齢七十年以上の者

二 号

地方公共団体の議会の議員会期中の者に限る

三 号

又はの学校の学生 又は生徒常時通学を要する課程に在学する者に限る

四 号

過去五年以内に裁判員 又は補充裁判員の職にあった者

五 号

過去三年以内に選任予定裁判員であった者

六 号

過去一年以内裁判員候補者としてに規定する裁判員等選任手続の期日に出頭したことがある者において準用する場合を含む。)、 及びにおいて準用する場合を含む。において同じ。)の規定による不選任の決定があった者を除く

七 号

過去五年以内昭和二十三年法律第百四十七号)の規定による検察審査員 又は補充員の職にあった者

八 号

次に掲げる事由 その他政令で定めるやむを得ない事由があり、裁判員の職務を行うこと 又は裁判員候補者としてに規定する裁判員等選任手続の期日に出頭することが困難な者

重い疾病 又は傷害により裁判所に出頭することが困難であること。

介護 又は養育が行われなければ日常生活を営むのに支障がある同居の親族の介護 又は養育を行う必要があること。

その従事する事業における重要な用務であって自らがこれを処理しなければ当該事業に著しい損害が生じるおそれがあるものがあること。

父母の葬式への出席 その他の社会生活上の重要な用務であって他の期日に行うことができないものがあること。

重大な災害により生活基盤に著しい被害を受け、その生活の再建のための用務を行う必要があること。

1項

次の各号いずれかに該当する者は、当該事件について裁判員となることができない。

一 号

被告人 又は被害者

二 号

被告人 又は被害者の親族 又は親族であった者

三 号

被告人 又は被害者の法定代理人後見監督人保佐人保佐監督人補助人 又は補助監督人

四 号

被告人 又は被害者の同居人 又は被用者

五 号

事件について告発 又は請求をした者

六 号

事件について証人 又は鑑定人になった者

七 号

事件について被告人の代理人、弁護人 又は補佐人になった者

八 号

事件について検察官 又は司法警察職員として職務を行った者

九 号

事件について検察審査員 又は審査補助員として職務を行い、又は補充員として検察審査会議を傍聴した者

十 号

事件についての決定、略式命令、 若しくはの規定により差し戻し、若しくは移送された場合における原判決 又はこれらの裁判の基礎となった取調べに関与した者


ただし受託裁判官として関与した場合は、この限りでない。

1項

のほか、裁判所がこの法律の定めるところにより不公平な裁判をするおそれがあると認めた者は、当該事件について裁判員となることができない。

1項

の規定(裁判員の選任資格、欠格事由、就職禁止事由、辞退事由、事件に関連する不適格事由 及びその他の不適格事由)は、補充裁判員に準用する。

1項

地方裁判所は、最高裁判所規則で定めるところにより、毎年九月一日までに、次年に必要な裁判員候補者の員数をその管轄区域内の市町村に割り当て、これを市町村選挙管理委員会通知しなければならない。

2項

前項裁判員候補者の員数は、最高裁判所規則で定めるところにより、地方裁判所が対象事件の取扱状況 その他の事項を勘案して算定した数とする。

1項

市町村選挙管理委員会は、通知を受けたときは、選挙人名簿に登録されている者の中から裁判員候補者の予定者として当該通知に係る員数の者公職選挙法昭和二十五年法律第百号の規定により選挙人名簿に 若しくは 又は政治資金規正法昭和二十三年法律第百九十四号の規定により選挙権を有しなくなった旨の表示がなされている者を除く)をくじ選定しなければならない。

2項

市町村選挙管理委員会は、前項の規定により選定した者について、選挙人名簿に記載(の規定により磁気ディスクをもって調製する選挙人名簿にあっては、記録)をされている氏名、住所 及び生年月日の記載(次項の規定により磁気ディスクをもって調製する裁判員候補者予定者名簿にあっては、記録)をした裁判員候補者予定者名簿を調製しなければならない。

3項

裁判員候補者予定者名簿は、磁気ディスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録しておくことができる物を含む。以下同じ。)をもって調製することができる。

1項

市町村の選挙管理委員会は、の通知を受けた年の十月十五日までに裁判員候補者予定者名簿を当該通知をした地方裁判所送付しなければならない。

1項

地方裁判所は、の規定により裁判員候補者予定者名簿の送付を受けたときは、これに基づき、最高裁判所規則で定めるところにより、裁判員候補者の氏名、住所 及び生年月日の記載(次項の規定により磁気ディスクをもって調製する裁判員候補者名簿にあっては、記録。 及びにおいて同じ。)をした裁判員候補者名簿を調製しなければならない。

2項

裁判員候補者名簿は、磁気ディスクをもって調製することができる。

3項

地方裁判所は、裁判員候補者について、死亡したことを知ったとき、に規定する者に該当しないと認めたとき、の規定により裁判員となることができない者であると認めたとき 又はに掲げる者に該当すると認めたときは、最高裁判所規則で定めるところにより、裁判員候補者名簿から消除しなければならない。

4項

市町村の選挙管理委員会は、の規定により選定した裁判員候補者予定者について、死亡したこと 又は衆議院議員の選挙権を有しなくなったことを知ったときは、の規定により裁判員候補者予定者名簿を送付した地方裁判所にその旨を通知しなければならない。


ただし、当該裁判員候補者予定者名簿を送付した年の次年が経過したときは、この限りでない。

1項

地方裁判所は、の規定により通知をした年の次年において、その年に必要な裁判員候補者補充する必要があると認めたときは、最高裁判所規則で定めるところにより、速やかに、その補充する裁判員候補者の員数をその管轄区域内の市町村に割り当て、これを市町村の選挙管理委員会通知しなければならない。

2項

の規定は、前項の場合に準用する。


この場合において、


第二十条第一項の通知を受けた年の十月十五日までに」とあるのは
「速やかに」と、


した裁判員候補者名簿」とあるのは
「追加した裁判員候補者名簿」と、

ただし書中
送付した年の次年」とあるのは
「送付した年」と

読み替えるものとする。

1項

地方裁判所は、において読み替えて準用する場合を含む。)の規定による裁判員候補者名簿の調製をしたときは、当該裁判員候補者名簿に記載をされた者にその旨を通知しなければならない。

1項

対象事件につき第一回の公判期日が定まったときは、裁判所は、必要な員数の補充裁判員を置く決定 又は補充裁判員を置かない決定をしなければならない。

2項

裁判所は、前項決定をしたときは、審判に要すると見込まれる期間 その他の事情を考慮して、呼び出すべき裁判員候補者の員数を定めなければならない。

3項

地方裁判所は、裁判員候補者名簿に記載をされた裁判員候補者の中から前項の規定により定められた員数の呼び出すべき裁判員候補者くじ選定しなければならない。


ただし裁判所の呼出しに応じてに規定する裁判員等選任手続の期日に出頭した裁判員候補者の規定による不選任の決定があった者を除く)については、その年において再度選定することはできない

4項

地方裁判所は、検察官 及び弁護人に対し前項くじに立ち会う機会を与えなければならない。

1項

裁判所は、裁判員 及び補充裁判員の選任のための手続(以下「裁判員等選任手続」という。)を行う期日を定めて、の規定により選定された裁判員候補者を呼び出さなければならない。


ただし、裁判員等選任手続を行う期日から裁判員の職務が終了すると見込まれる日までの間(以下「職務従事予定期間」という。)において次の各号に掲げるいずれかの事由があると認められる裁判員候補者については、この限りでない。

一 号

に規定する者に該当しないこと。

二 号

の規定により裁判員となることができない者であること。

三 号

若しくは 又はに掲げる者に該当すること。

四 号

の規定により裁判員となることについて辞退の申立てがあった裁判員候補者についてに掲げる者に該当すること。

2項

前項の呼出しは、呼出状の送達によってする。

3項

呼出状には、出頭すべき日時、場所、呼出しに応じないときは過料に処せられることがある旨 その他最高裁判所規則で定める事項を記載しなければならない。

4項

裁判員等選任手続の期日と裁判員候補者に対する呼出状の送達との間には、最高裁判所規則で定める猶予期間を置かなければならない。

5項

裁判所は、第一項の規定による呼出し後その出頭すべき日時までの間に、職務従事予定期間において同項各号に掲げるいずれかの事由があると認められるに至った裁判員候補者については、直ちにその呼出しを取り消さなければならない。

6項

裁判所は、前項の規定により呼出しを取り消したときは、速やかに当該裁判員候補者にその旨を通知しなければならない。

1項

裁判所は、本文の規定にかかわらずの規定により選定された裁判員候補者のうち、著しく異常かつ激甚な非常災害により、郵便物の配達 若しくは取集が極めて困難である地域 又は交通が途絶し 若しくは遮断された地域に住所を有する者については、の規定による呼出しをしないことができる。

1項

裁判所は、裁判員等選任手続において裁判員 及び必要な員数の補充裁判員を選任するために必要があると認めるときは、追加して必要な員数の裁判員候補者を呼び出すことができる。

2項

及びただし書 及び 並びにの規定は、前項の場合に準用する。


この場合において、


前項の規定により定められた員数」とあるのは、
「裁判所が必要と認めた員数」と

読み替えるものとする。

1項

呼出しを受けた裁判員候補者は、裁判員等選任手続の期日に出頭しなければならない。

2項

裁判所の呼出しに応じて裁判員等選任手続の期日に出頭した裁判員候補者には、最高裁判所規則で定めるところにより、旅費、日当 及び宿泊料を支給する。

3項

地方裁判所は、裁判所の呼出しに応じて裁判員等選任手続の期日に出頭した裁判員候補者については、最高裁判所規則で定めるところにより、裁判員候補者名簿から消除しなければならない。


ただしの規定による不選任の決定があった裁判員候補者については、この限りでない。

1項

裁判所は、裁判員等選任手続に先立ち、において準用する場合を含む。)の規定により選定された裁判員候補者が、職務従事予定期間において、に規定する者に該当するかどうか、の規定により裁判員となることができない者でないかどうか、 若しくは 又はに掲げる者に該当しないかどうか 及びに掲げる者に該当するかどうか 並びに不公平な裁判をするおそれがないかどうかの判断に必要な質問をするため、質問票を用いることができる。

2項

裁判員候補者は、裁判員等選任手続の期日の日前に質問票の送付を受けたときは、裁判所の指定に従い、当該質問票を返送し 又は持参しなければならない。

3項

裁判員候補者は、質問票に虚偽の記載をしてはならない。

4項

前三項 及びに定めるもののほか、質問票の記載事項 その他の質問票に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。

1項

裁判長の決定があった場合は、裁判官。除き、以下において同じ。)は、裁判員等選任手続の期日の二日前までに、呼び出した裁判員候補者の氏名を記載した名簿を検察官 及び弁護人送付しなければならない。

2項

裁判長は、裁判員等選任手続の期日の日に、裁判員等選任手続に先立ち、裁判員候補者が提出した質問票の写しを検察官 及び弁護人に閲覧させなければならない。

1項

裁判員等選任手続は、裁判官 及び裁判所書記官が列席し、かつ、検察官 及び弁護人が出席して行うものとする。

2項

裁判所は、必要と認めるときは、裁判員等選任手続に被告人を出席させることができる。

1項

裁判員等選任手続は、公開しない。

2項

裁判員等選任手続の指揮は、裁判長が行う。

3項

裁判員等選任手続は、 及びの規定による不選任の決定の請求が裁判員候補者の面前において行われないようにすること その他裁判員候補者の心情に十分配慮して、これを行わなければならない。

4項

裁判所は、裁判員等選任手続の続行のため、新たな期日を定めることができる。


この場合において、裁判員等選任手続の期日に出頭した裁判員候補者に対し当該新たな期日を通知したときは、呼出状の送達があった場合と同一の効力を有する。

1項

裁判官検察官被告人 及び弁護人は、 又はの決定があった事件の裁判員等選任手続においては、裁判員候補者に対し、正当な理由がなく、被害者特定事項(に規定する被害者特定事項をいう。以下この条において同じ。)を明らかにしてはならない。

2項

裁判長は、前項に規定する裁判員等選任手続において裁判員候補者に対して被害者特定事項が明らかにされた場合には、当該裁判員候補者に対し、当該被害者特定事項をにしてはならない旨を告知するものとする。

3項

前項の規定による告知を受けた裁判員候補者 又は当該裁判員候補者であった者は、裁判員等選任手続において知った被害者特定事項をにしてはならない。

1項

裁判員等選任手続において、裁判長は、裁判員候補者が、職務従事予定期間において、に規定する者に該当するかどうか、の規定により裁判員となることができない者でないかどうか、 若しくは 若しくはに掲げる者に該当しないかどうか 若しくはの規定により裁判員となることについて辞退の申立てがある場合においてに掲げる者に該当するかどうか 又は不公平な裁判をするおそれがないかどうかの判断をするため、必要な質問をすることができる。

2項

陪席の裁判官検察官被告人 又は弁護人は、裁判長に対し、前項の判断をするために必要と思料する質問を裁判長裁判員候補者に対してすることを求めることができる。


この場合において、裁判長は、相当と認めるときは、裁判員候補者に対して、当該求めに係る質問をするものとする。

3項

裁判員候補者は、前二項の質問に対して正当な理由なく陳述を拒み、又は虚偽の陳述をしてはならない。

4項

裁判所は、裁判員候補者が、職務従事予定期間において、に規定する者に該当しないと認めたとき、の規定により裁判員となることができない者であると認めたとき 又は 若しくは 若しくはに掲げる者に該当すると認めたときは、検察官、被告人 若しくは弁護人の請求により又は職権で、当該裁判員候補者について不選任の決定をしなければならない。


裁判員候補者が不公平な裁判をするおそれがあると認めたときも、同様とする。

5項

弁護人は、前項後段の場合において同項の請求をするに当たっては、被告人の明示した意思に反することはできない

6項

第四項の請求を却下する決定には、理由を付さなければならない。

7項

裁判所は、の規定により裁判員となることについて辞退の申立てがあった裁判員候補者について、職務従事予定期間においてに掲げる者に該当すると認めたときは、当該裁判員候補者について不選任の決定をしなければならない。

1項

の請求を却下する決定に対しては、対象事件が係属する地方裁判所に異議の申立てをすることができる。

2項

前項の異議の申立ては、当該裁判員候補者について 又はの規定により裁判員 又は補充裁判員に選任する決定がされるまでに、原裁判所に対し、申立書を差し出し、又は裁判員等選任手続において口頭で申立ての趣旨 及び理由を明らかにすることによりしなければならない。

3項

第一項の異議の申立てを受けた地方裁判所は、合議体で決定をしなければならない。

4項

第一項の異議の申立てに関しては、即時抗告に関するの規定を準用する。


この場合において、


受け取つた日から三日」とあるのは、
「受け取り又は口頭による申立てがあつた時から二十四時間」と

読み替えるものとする。

1項

検察官 及び被告人は、裁判員候補者について、それぞれ、四人の決定があった場合は、三人)を限度として理由を示さずに不選任の決定の請求(以下「理由を示さない不選任の請求」という。)をすることができる。

2項

前項の規定にかかわらず補充裁判員を置くときは、検察官 及び被告人が理由を示さない不選任の請求をすることができる員数は、それぞれ、同項の員数にその選任すべき補充裁判員の員数が一人 又は二人のときは一人、三人 又は四人のときは二人、五人 又は六人のときは三人を加えた員数とする。

3項

理由を示さない不選任の請求があったときは、裁判所は、当該理由を示さない不選任の請求に係る裁判員候補者について不選任の決定をする。

4項

の規定は、理由を示さない不選任の請求について準用する。

1項

裁判所は、くじ その他の作為が加わらない方法として最高裁判所規則で定める方法に従い、裁判員等選任手続の期日に出頭した裁判員候補者で不選任の決定がされなかったものから、に規定する員数(当該裁判員候補者の員数がこれに満たないときは、その員数)の裁判員を選任する決定をしなければならない。

2項

裁判所は、補充裁判員を置くときは、前項の規定により裁判員を選任する決定をした後、同項に規定する方法に従い、その余の不選任の決定がされなかった裁判員候補者から、の規定により決定した員数(当該裁判員候補者の員数がこれに満たないときは、その員数)の補充裁判員裁判員に選任されるべき順序を定めて選任する決定をしなければならない。

3項

裁判所は、前二項の規定により裁判員 又は補充裁判員に選任された者以外の不選任の決定がされなかった裁判員候補者については、不選任の決定をするものとする。

1項

裁判所は、の規定により選任された裁判員の員数が選任すべき裁判員の員数に満たないときは、不足する員数の裁判員選任しなければならない。


この場合において、裁判所は、併せて必要と認める員数の補充裁判員を選任することができる。

2項

の規定は、前項の規定による裁判員 及び補充裁判員の選任について準用する。


この場合において、


四人(第二条第三項の決定があった場合は、三人)」とあるのは
「選任すべき裁判員の員数が一人 又は二人のときは一人、三人 又は四人のときは二人、五人 又は六人のときは三人」と、


第二条第二項に規定する員数」とあるのは
「選任すべき裁判員の員数」と

読み替えるものとする。

1項

裁判長は、裁判員 及び補充裁判員に対し、最高裁判所規則で定めるところにより、裁判員 及び補充裁判員の権限、義務 その他必要な事項を説明するものとする。

2項

裁判員 及び補充裁判員は、最高裁判所規則で定めるところにより、法令に従い公平誠実にその職務を行うことを誓う旨の宣誓をしなければならない。

1項

に定めるもののほか、裁判員等選任手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。

第三節 解任等

1項

検察官被告人 又は弁護人は、裁判所に対し、次の各号いずれかに該当することを理由として裁判員 又は補充裁判員の解任を請求することができる。


ただし第七号に該当することを理由とする請求は、当該裁判員 又は補充裁判員についてその選任の決定がされた後に知り、又は生じた原因を理由とするものに限る

一 号

裁判員 又は補充裁判員が、の宣誓をしないとき。

二 号

裁判員が、 若しくはに定める出頭義務 又はに定める評議に出席する義務に違反し、引き続きその職務を行わせることが適当でないとき。

三 号

補充裁判員が、に定める出頭義務に違反し、引き続きその職務を行わせることが適当でないとき。

四 号

裁判員が、 若しくはに定める義務 又はに定める意見を述べる義務に違反し、引き続きその職務を行わせることが適当でないとき。

五 号

補充裁判員が、において準用するに定める義務 又はに定める義務に違反し、引き続きその職務を行わせることが適当でないとき。

六 号

裁判員 又は補充裁判員が、において準用する場合を含む。)に規定する者に該当しないとき、において準用する場合を含む。)の規定により裁判員 若しくは補充裁判員となることができない者であるとき 又は 若しくは 若しくはこれらの規定をにおいて準用する場合を含む。)に掲げる者に該当するとき。

七 号

裁判員 又は補充裁判員が、不公平な裁判をするおそれがあるとき。

八 号

裁判員 又は補充裁判員が、裁判員候補者であったときに、質問票に虚偽の記載をし、又は裁判員等選任手続における質問に対して正当な理由なく陳述を拒み、若しくは虚偽の陳述をしていたことが明らかとなり、引き続きその職務を行わせることが適当でないとき。

九 号

裁判員 又は補充裁判員が、公判廷において、裁判長が命じた事項に従わず 又は暴言 その他の不穏当な言動をすることによって公判手続の進行を妨げたとき。

2項

裁判所は、前項請求を受けたときは、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に規定する決定をし、その余の場合には、構成裁判官の所属する地方裁判所に当該請求に係る事件を送付しなければならない。

一 号

請求に理由がないことが明らかなとき 又は請求が前項ただし書の規定に違反してされたものであるとき

当該請求を却下する決定

二 号

前項第一号から第三号まで第六号 又は第九号に該当すると認めるとき

当該裁判員 又は補充裁判員を解任する決定

3項

前項の規定により事件の送付を受けた地方裁判所は、第一項各号いずれかに該当すると認めるときは、当該裁判員 又は補充裁判員を解任する決定をする。

4項

前項地方裁判所による第一項の請求についての決定は、合議体でしなければならない。


ただし同項の請求を受けた裁判所構成裁判官は、その決定に関与することはできない

5項

第一項の請求についての決定をするには、最高裁判所規則で定めるところにより、あらかじめ検察官 及び被告人 又は弁護人の意見を聴かなければならない。

6項

第二項第二号 又は第三項の規定により裁判員 又は補充裁判員を解任する決定をするには、当該裁判員 又は補充裁判員に陳述の機会を与えなければならない。


ただし第一項第一号から第三号まで 又は第九号に該当することを理由として解任する決定をするときは、この限りでない。

7項

第一項の請求を却下する決定には、理由を付さなければならない。

1項

の請求を却下する決定に対しては、当該決定に関与した裁判官の所属する地方裁判所に異議の申立てをすることができる。

2項

前項の異議の申立てを受けた地方裁判所は、合議体で決定をしなければならない。


ただしの請求を受けた裁判所構成裁判官は、当該異議の申立てがあった決定に関与していない場合であっても、その決定に関与することはできない

3項

第一項の異議の申立てに関しては、即時抗告に関するの規定を準用する。


この場合において、

及び
三日」とあるのは、
一日」と

読み替えるものとする。

1項

裁判所は、 又は該当すると認めるときは、職権で、裁判員 又は補充裁判員を解任する決定をする。

2項

裁判所が、 又はに該当すると疑うに足りる相当な理由があると思料するときは、裁判長は、その所属する地方裁判所に対し、理由を付してその旨を通知するものとする。

3項

前項の規定による通知を受けた地方裁判所は、 又は該当すると認めるときは、当該裁判員 又は補充裁判員を解任する決定をする。

4項

前項の決定は合議体でしなければならない。


ただし第二項裁判所構成裁判官は、その決定に関与することはできない。

5項

第一項 及び第三項の規定による決定については、 及びの規定を準用する。

1項

裁判員 又は補充裁判員は、裁判所に対し、その選任の決定がされた後に生じたに規定する事由により裁判員 又は補充裁判員の職務を行うことが困難であることを理由として辞任の申立てをすることができる。

2項

裁判所は、前項の申立てを受けた場合において、その理由があると認めるときは、当該裁判員 又は補充裁判員を解任する決定をしなければならない。

1項

裁判所は、補充裁判員に引き続きその職務を行わせる必要がないと認めるときは、当該補充裁判員を解任する決定をすることができる。

1項

裁判所は、合議体を構成する裁判員の員数に不足が生じた場合において、補充裁判員があるときは、その補充裁判員の選任の決定において定められた順序に従い、補充裁判員裁判員に選任する決定をするものとする。

2項

前項の場合において、裁判員に選任すべき補充裁判員がないときは、裁判所は、不足する員数の裁判員を選任しなければならない。


この場合においては、の規定を準用する。

1項

裁判所は、補充裁判員を新たに置き、又は追加する必要があると認めるときは、必要と認める員数の補充裁判員を選任することができる。

2項

裁判員の選任に関する 及び除く)の規定 並びに 及びの規定は、前項の規定による補充裁判員の選任について準用する。


この場合において、


四人(第二条第三項の決定があった場合は、三人)」とあるのは、
「選任すべき補充裁判員の員数が一人 又は二人のときは一人、三人 又は四人のときは二人、五人 又は六人のときは三人」と

読み替えるものとする。

1項

裁判員 及び補充裁判員の任務は、次のいずれかに該当するときに終了する。

一 号
終局裁判を告知したとき。
二 号

又はただし書の決定により、合議体が取り扱っている事件 又は合議体で取り扱うべき事件の全てを一人裁判官 又は裁判官の合議体で取り扱うこととなったとき。