公共用地の取得に関する特別措置法

昭和三十六年法律第百五十号
分類 法律
カテゴリ   土地
@ 施行日 : 令和四年四月一日 ( 2022年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和二年法律第四十九号による改正
最終編集日 : 2024年 03月31日 13時40分

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  • 第一章 総則

  • 第二章 特定公共事業の認定

  • 第三章 土地の収用又は使用に関する特則

    • 第一節 事業の認定
    • 第二節 裁決及び損失の補償
    • 第三節 裁決の代行
    • 第四節 土地収用法による事業の認定を受けている事業及び都市計画事業
  • 第四章 雑則

第一章 総則

1項

この法律は、土地等を収用し、又は使用することができる事業のうち、公共の利害に特に重大な関係があり、かつ、緊急に施行することを要する事業に必要な土地等の取得に関し、土地収用法昭和二十六年法律第二百十九号)の特例等について規定し、これらの事業の円滑な遂行と土地等の取得に伴う損失の適正な補償の確保を図ることを目的とする。

1項

この法律において「特定公共事業」とは、土地収用法第三条各号いずれかに該当するものに関する事業 若しくは都市計画法昭和四十三年法律第百号)の規定により土地を収用し、若しくは使用することができる都市計画事業のうち、次の各号いずれかに該当するものに関する事業 又は当該事業に係る土地収用法第十六条に規定する関連事業で、起業者が第七条第四十五条において準用する場合を含む。)の規定による国土交通大臣の認定を受けたものをいう。

一 号
高速自動車国道 又は一般国道
二 号

鉄道事業法(昭和六十一年法律第九十二号)による鉄道事業者 又は独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が設置する幹線鉄道のうち政令で定める主要な区間

三 号

空港法昭和三十一年法律第八十号)第四条第一項第一号から第四号までに掲げる空港

四 号

都の特別区の存する区域 又は人口五十万以上の市の区域における交通の混雑を緩和するため整備することを要する道路、駅前広場、鉄道 又は軌道で政令で定める主要なもの

五 号

電気通信役務に対する需要の急激な増加に対応するため整備することを要する電話施設のうち、都の特別区の存する区域 若しくは人口五十万以上の市の区域に設置する政令で定める主要な施設 又は政令で定める主要な市外通話幹線路の中継施設

六 号
一級河川 若しくは政令で定める二級河川 若しくはそれらの河川に設置する政令で定める主要な治水施設 又は広域的な用水対策を緊急に講ずる必要のある地域に給水するため設置する政令で定める大規模な利水施設
七 号

電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)による一般送配電事業、送電事業、配電事業、特定送配電事業 又は発電事業の用に供する発電施設 又は送電変電施設で政令で定める主要なもの

八 号

前各号に掲げるもののほか前各号に掲げるものと同程度に公共の利害に重大な関係があり、かつ、その整備の緊急性があるもので政令で定めるもの

九 号

前各号いずれかに掲げるものに関する事業のために欠くことができない通路、橋、鉄道、軌道、索道、電線路、水路、池井、土石の捨場、材料の置場、職務上常駐を必要とする職員の詰所 又は宿舎 その他の施設

第二章 特定公共事業の認定

1項

起業者は、特定公共事業の認定を受けようとするときは、あらかじめ、事業の目的 及び内容 並びに事業を緊急に施行することを要する理由について、事業を施行しようとする土地が所在する都道府県の知事 及び市町村(都の特別区の存する区域にあつては、特別区)の長 並びにその土地 及びその附近地の住民に説明し、これらの者から意見を聴取する等の措置を講ずることにより、事業の施行についてこれらの者の協力が得られるよう努めなければならない。


この場合において、住民に対する説明 及びその意見の聴取については、少なくとも国土交通省令で定める程度の措置を講じなければならない。

2項

都道府県知事 及び市町村長(都の特別区の存する区域にあつては、特別区長)は、前項の起業者に対し、事業の用に供する土地の取得について協力しなければならない。

1項

起業者は、特定公共事業の認定を受けようとするときは、国土交通省令で定める様式に従い、次に掲げる事項を記載した特定公共事業認定申請書を国土交通大臣に提出しなければならない。

一 号
起業者の名称
二 号
事業の種類
三 号
収用 又は使用の別を明らかにした起業地
四 号
特定公共事業の認定を申請する理由
2項

前項の申請書には、国土交通省令で定める様式に従い、次に掲げる書類を添附しなければならない。

一 号
事業計画書
二 号
起業地 及び事業計画を表示する図面
三 号

事業が土地収用法第十六条に規定する関連事業に係るものであるときは、起業者が当該関連事業を施行する必要を生じたことを証する書面

四 号

起業地内に土地収用法第四条に規定する土地があるときは、その土地に関する調書、図面 及び当該土地の管理者の意見書

五 号
起業地内にある土地の利用について法令の規定による制限があるときは、当該法令の施行について権限を有する行政機関の意見書
六 号
事業の施行に関して行政機関の免許、許可 又は認可等の処分を必要とする場合においては、これらの処分があつたことを証明する書類 又は当該行政機関の意見書
七 号

前条第一項の規定により講じた措置の経過説明書

3項

前項第四号から第六号までに掲げる意見書は、起業者が意見を求めた日から三週間を経過してもこれを得ることができなかつたときは、添附することを要しない。


この場合においては、意見書を得ることができなかつた事情を疎明する書面を添附しなければならない。

4項

第一項第三号 及び第二項第二号に規定する起業地の表示は、土地所有者 及び関係人が自己の権利に係る土地が起業地の範囲に含まれることを容易に判断できるものでなければならない。

5項

国土交通大臣は、第一項の規定による特定公共事業認定申請書を受理した日から三月以内に、特定公共事業の認定に関する処分を行なうように努めなければならない。

1項

前条第一項の規定によつて特定公共事業の認定を申請する者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を納めなければならない。


ただし、これらの者が国 又は都道府県であるときは、この限りでない。

1項

第四条の規定による特定公共事業認定申請書 及びその添附書類が同条 又は同条に基づく国土交通省令に規定する方式を欠くときは、国土交通大臣は、相当な期間を定めて、その欠陥を補正させなければならない。


前条の規定による手数料を納めないときも、同様とする。

2項

起業者が前項の規定により欠陥の補正を命ぜられたにかかわらず、その定められた期間内に欠陥の補正をしないときは、国土交通大臣は、特定公共事業認定申請書を却下しなければならない。

1項

国土交通大臣は、申請に係る事業が次の各号のすべてに該当するときは、社会資本整備審議会の議を経て、特定公共事業の認定をすることができる。

一 号

事業が土地収用法第三条各号の一に該当するものに関する事業 若しくは都市計画法の規定により土地を収用し、若しくは使用することができる都市計画事業のうち、第二条各号の一に該当するものに関するもの又は当該事業に係る土地収用法第十六条に規定する関連事業であること。

二 号
起業者が当該事業を遂行する充分な意思と能力を有する者であること。
三 号
事業計画が土地の適正かつ合理的な利用に寄与するものであること。
四 号
事業が公共の利害に特に重大な関係があり、かつ、緊急に施行することを要するものであること。
1項

土地収用法第二十一条から第二十五条までの規定は、特定公共事業の認定を行なう場合に準用する。


この場合において、

同法第二十一条第一項
第十八条第三項」とあるのは
公共用地の取得に関する特別措置法第四条第三項」と、

同法第二十四条第一項
第二十条」とあるのは
公共用地の取得に関する特別措置法第七条」と

読み替えるものとする。

1項

国土交通大臣は、第七条の規定によつて特定公共事業の認定をしたときは、遅滞なく、その旨を起業者に文書で通知するとともに、起業者の名称、事業の種類、起業地 及び特定公共事業の認定をした理由 並びに土地収用法第二十六条の二の規定による図面の縦覧場所を官報で告示しなければならない。

2項

国土交通大臣は、前項の規定による告示をしたときは、直ちに、関係都道府県知事にその旨を通知しなければならない。

3項

特定公共事業の認定は、第一項の規定による告示があつた日から、その効力を生ずる。

1項
国土交通大臣は、特定公共事業の認定を拒否したときは、遅滞なく、その旨を起業者に文書で通知しなければならない。

第三章 土地の収用又は使用に関する特則

第一節 事業の認定

1項

特定公共事業の用に供する土地の収用 又は使用については、特定公共事業の認定 又は第十条第一項の規定による告示があつたときは、それぞれ、土地収用法第二十条の規定による国土交通大臣の事業の認定 又は同法第二十六条第一項の規定による国土交通大臣の事業の認定の告示があつたものとみなす。

2項

前項の規定によりあつたものとみなされた土地収用法第二十条の規定による事業の認定が、同法第二十九条 又は第三十条第四項の規定によりその効力を失つたときは、特定公共事業の認定も、将来に向かつて、その効力を失う。

3項

特定公共事業については、土地収用法第三章第二節の規定は、適用しない

1項

特定公共事業については、

土地収用法第二十九条第二項
四年」とあるのは、
一年六月」と

する。

第二節 裁決及び損失の補償

1項

特定公共事業については、

土地収用法第四十七条第二号
第十八条第二項第一号」とあるのは
公共用地の取得に関する特別措置法第四条第二項第一号」と、

事業認定申請書」とあるのは
「特定公共事業認定申請書」と

する。

1項

収用委員会は、特定公共事業に係る明渡裁決が遅延することによつて事業の施行に支障を及ぼすおそれがある場合において、起業者の申立てがあつたときは、土地収用法第四十八条第一項各号 及び第四十九条第一項各号に掲げる事項のうち、損失の補償に関するものでまだ審理を尽くしていないものがある場合においても、まだ権利取得裁決がされていないときは権利取得裁決 及び明渡裁決を、すでに権利取得裁決がされているときは明渡裁決をすることができる。

2項

前項の規定による申立ては、国土交通省令で定める様式に従い、書面でしなければならない。

3項

第一項の規定による申立てがあつたときは、収用委員会は、その旨を土地所有者 及び関係人に通知しなければならない。

4項

第一項の規定による申立てがあつたときは、収用委員会は、その申立てがあつた日(土地収用法第四十二条第二項の規定による縦覧期間の末日以前に申立てがあつたときは、当該期間の満了の日の翌日)から二月以内裁決をしなければならない。

5項

収用委員会は、前項に規定する期間内に裁決をすることができなかつたときは、すみやかに、その旨を国土交通大臣に通知しなければならない。

1項

前条第一項の裁決(以下「緊急裁決」という。)においては、土地収用法第四十八条第一項各号 及び第四十九条第一項各号に掲げる事項のうち、損失の補償に関するものについては、裁決の時までに収用委員会の審理に現われた意見書、鑑定の結果 その他の資料に基づいて判断することができる程度において裁決すれば足りるものとする。


ただし、損失の補償をすべきものと認められるにかかわらず、補償の方法 又は金額について審理を尽くしていないものについては、概算見積りによる仮補償金(概算見積りによる同法第九十条の三第一項第三号に掲げる加算金 及び同法第九十条の四の規定による過怠金を含む。以下同じ。)を定めなければならない。

2項

前項ただし書に規定するもののほか、なお審理を要すると認める事項については、裁決書の理由において、その旨を記載しなければならない。

1項

第二十条第一項の規定による申立てに係る土地にある物件の所有者は、その物件の収用を請求することができる。

1項

第二十条第一項の規定による申立てに係る土地に現に居住の用に供している建物がある場合において、その建物の居住者が仮住居を必要とするときは、仮住居に要する費用に充てるべき補償金に代えて、起業者が仮住居を提供することを収用委員会に要求することができる。

2項

収用委員会は、前項の規定による要求が相当であると認めるときは、仮住居の位置、構造、規模、提供期間 その他必要な事項を定めて裁決することができる。

1項

収用委員会は、前二条の規定により請求 又は要求をすることができる者に対し第二十条第三項の規定による通知をするときは、あわせて土地収用法第六十五条第一項第一号の規定に基づき、それらの請求 又は要求について一定の期限までに意見書を提出すべき旨を命じなければならない。


この場合において、その期限は、通知の到達した日から一週間を経過した日以後でなければならない。

1項

収用委員会は、緊急裁決をしようとするときは、あらかじめ、収用後 又は使用後においても補償金額を適正に算定することができるように、土地 及び物件の状況について必要な調査をしておかなければならない。


ただし、土地所有者、関係人 その他の者が正当な理由がないのにその調査を拒み、又は妨げたときは、この限りでない。

1項

収用委員会は、緊急裁決をする場合において、損失の補償の義務の履行を確保するため必要があると認めるときは、起業者が担保を提供しなければならない旨の裁決をすることができる。

2項

土地収用法第八十三条第四項から第七項までの規定は、前項の場合に準用する。


この場合において、

同条第五項 及び第六項
工事を完了」とあるのは
「損失の補償の義務を履行」と、

同条第五項
耕地の造成による損失の補償の義務」とあるのは
「損失の補償の義務」と

読み替えるものとする。

1項

第二十一条第一項ただし書の規定による仮補償金は、土地収用法第九十五条第一項第二項第四号除く)及び第四項第九十六条第一項第四項第五項 及び第七項第九十七条第百条第百条の二第百二条の二第三項 及び第四項 並びに第百四条の規定の適用については、権利取得裁決に係る同法第九十五条第一項に規定する補償金等 又は明渡裁決に係る補償金とみなす。

1項

緊急裁決があつた場合においては、

土地収用法第九十八条
第八十四条第三項」とあるのは、
第八十四条第三項 及び公共用地の取得に関する特別措置法第二十六条第二項」と

する。

1項

起業者は、第二十三条第二項の規定に基づく仮住居の提供を裁決で定められた提供期間の始期までにしなければならない。

2項

起業者は、第二十三条第二項の規定に基づく仮住居の提供を受けるべき者が仮住居への入居を拒んだときは、国土交通省令で定めるところにより、その仮住居が裁決で定められた条件に適合し、かつ、相当なものであることについて収用委員会の確認を受けなければならない。

3項

起業者から裁決で定められた提供期間の始期までに仮住居の提供を受けなかつた者 又は仮住居への入居を拒んだ者が居住の用に供している建物については、それぞれ、その提供を受けるまで 又は前項の確認があるまでは、土地収用法第百二条の規定は、適用しない

1項

収用委員会は、損失の補償に関する事項で緊急裁決の時までに審理を尽くさなかつたものについては、なお引続き審理し、遅滞なく裁決しなければならない。

2項

前項の規定による裁決(以下「補償裁決」という。)に関しては、この法律に特別の定めのあるものを除き土地収用法中権利取得裁決 又は明渡裁決に関する規定の適用があるものとする。


ただし同法第七章の規定は、補償裁決のうち、その裁決で認められた同法第七十六条第一項 又は第八十一条第一項の規定による請求に基づく収用に係る部分に関してのみ適用があるものとする。

1項

補償裁決において土地収用法第七十六条第一項 又は第八十一条第一項の規定による請求を認める場合における損失の補償については、

同法第七十一条第七十六条第三項 及び第九十条の二
権利取得裁決」とあり、
並びに同法第七十三条
明渡裁決」とあるのは、
「補償裁決」と

する。

1項

土地所有者 又は関係人は、土地収用法第九十五条第四項後段の規定により仮補償金が供託された場合 又は仮補償金に対し同法第百四条の規定による権利を有する者がある場合においては、関係権利者の同意を得て、国土交通省令で定めるところによりその旨を収用委員会に届け出なければ、補償金の全部 又は一部に代えて替地の提供、工事の代行 その他の給付をすべき旨の要求をすることができない

1項

補償裁決で定められた補償金額(土地収用法第九十条の三第一項第三号に掲げる加算金の額 及び同法第九十条の四に規定する過怠金の額を含む。以下同じ。)と緊急裁決で定められた仮補償金の額とに差額があるとき、及び補償裁決により補償金の全部 又は一部に代えて替地の提供、工事の代行 その他の給付をすべき旨が定められたときは、起業者 及び土地所有者 又は関係人は、金銭をもつて清算しなければならない。

2項

起業者 又は土地所有者 若しくは関係人は、補償裁決で定められた補償金額と緊急裁決で定められた仮補償金の額との差額につき、緊急裁決で定められた権利取得の時期 又は明渡しの期限から前項の規定による清算金の支払の期限(その差額のうち、補償金の全部 又は一部に代えて、替地が提供されるべき部分についてはその提供の期限、替地以外の給付がされるべき部分については補償裁決の時)までの期間について、法定利率による利息を支払わなければならない。

3項

土地収用法第九十五条第四項後段 及び第九十六条の規定は、起業者が土地所有者 又は関係人に支払うべき第一項の規定による清算金 及び その清算金に対する前項の規定による利息についても、適用があるものとする。

1項

補償裁決においては、第三十条第二項ただし書に規定するものを除き前条の規定による清算金 及び利息の額 並びに裁決に基づく起業者、土地所有者 又は関係人の義務を履行すべき期限を定めなければならない。

2項
補償裁決においては、起業者が裁決に基づく義務の履行を怠つた場合に支払うべき過怠金を定めることができる。
1項

先取特権、質権 又は抵当権の目的物が収用され、又は使用された場合において、補償裁決で定められた補償金額が緊急裁決で定められた仮補償金の額をこえるときは、これらの権利は、第三十三条第一項の規定による清算金に対しても行なうことができる。


ただし、その払渡し前に差押えをしなければならない。

1項

起業者が補償金の全部 又は一部に代えて替地の提供、工事の代行 その他の給付をすべき場合において、土地所有者 又は関係人が第三十三条の規定により支払うべき清算金 及び利息があるときは、起業者 又は土地所有者 若しくは関係人は、相手方がその義務を履行するまでは、自己の義務の履行を拒むことができる。

1項

補償裁決に対する土地収用法第百三十三条第二項 及び第三項の規定による訴えの提起がなかつたときは、その裁決は、第三十三条の規定による清算金 及び利息 又は第三十四条第二項の規定による過怠金を請求する権利の強制執行に関しては、民事執行法昭和五十四年法律第四号第二十二条第五号に掲げる債務名義とみなす。

2項

土地収用法第九十四条第十一項 及び第十二項の規定は、前項の場合に準用する。

1項

特定公共事業の用に供する土地にある建物の所有者は、その建物が収用される場合において、土地収用法第八十二条第一項の規定による要求をするときは、その建物に対する補償金の全部 又は一部に代えて、その要求に基づいて提供される土地にある建物をもつて、損失を補償することを収用委員会に要求することができる。

2項

特定公共事業の用に供する土地にある建物の賃借人(一時使用のため建物を賃借りした者を除く)又は配偶者居住権を有する者は、その建物が収用されるときは、その建物の賃借権 又は配偶者居住権に対する補償金の全部 又は一部に代えて建物の賃借権をもつて、損失を補償することを収用委員会に要求することができる。

3項

前二項の規定による要求 及びその要求に基づいて提供される建物 又は建物の賃借権に関しては、土地収用法第八十二条第一項の規定による要求 及びその要求に基づいて提供される同項に規定する替地の例による。

第三節 裁決の代行

1項

収用委員会が第二十条第四項に規定する期間内に裁決をしない場合において、起業者の申立てがあつたときは、収用委員会は、土地収用法第三十九条第一項の規定による申請に係る事件を国土交通大臣に送らなければならない。

2項

前項の規定による申立ては、国土交通省令で定める様式に従い、書面でしなければならない。

3項

第一項の規定は、収用委員会が同項の規定による申立てがあつた日から一月以内において裁決を行うべき期日を定め、これを起業者に通知した場合においては、収用委員会において当該事件について引き続き審理し、裁決をすることを妨げるものではない。

4項

収用委員会は、第一項の規定により事件を国土交通大臣に送るときは、国土交通省令で定める書類を国土交通大臣に送付しなければならない。

5項

収用委員会は、第一項の規定により事件を国土交通大臣に送つたときは、起業者、土地所有者 及び関係人にその旨を通知するとともに、国土交通省令で定めるところにより公告しなければならない。

6項

起業者は、第一項の規定による申立てをしたときは、第二十条第一項の規定による申立てに係る不作為についての審査請求をすることができない

1項

国土交通大臣は、前条第一項の規定により事件が送られたときは、収用委員会に代わつて、みずから当該事件に係る裁決を行なうものとする。

2項
前項の規定により国土交通大臣が裁決を行なう場合においては、社会資本整備審議会の議を経なければならない。
1項

国土交通大臣は、前条第一項の規定により行なう裁決(以下「代行裁決」という。)の審理 又は調査に関する事務の一部をその指名する職員(以下「指名職員」という。)に行なわせることができる。

2項

土地収用法第六十二条から第六十五条の二までの規定 並びに同法第六十五条の規定に係る同法第百四十一条 及び第百四十四条から第百四十六条までの規定は、代行裁決の審理 又は調査について準用する。


この場合において、

同法第六十二条から第六十五条の二までの規定中
収用委員会」とあるのは
「国土交通大臣」と、

同法第六十四条
会長 又は指名委員」とあるのは
「国土交通大臣 又は指名職員」と、

同法第六十五条第三項
第六十条の二」とあるのは
公共用地の取得に関する特別措置法第三十八条の四第一項」と

読み替えるものとする。

3項

代行裁決は、文書によつて行なう。


裁決書には、その理由 及び成立の日を附記しなければならない。

4項

裁決書の正本は、これを起業者、土地所有者 及び関係人に送達しなければならない。

1項

国土交通大臣は、第三十八条の三第一項の規定により緊急裁決をしたときは、当該事件を収用委員会に送らなければならない。

2項

国土交通大臣は、前項の規定により事件を収用委員会に送るときは、国土交通省令で定める書類を収用委員会に送付しなければならない。

3項

第三十八条の二第五項の規定は、第一項の規定により国土交通大臣が事件を収用委員会に送つた場合に準用する。

4項

国土交通大臣は、代行裁決をしたときは、第一項に規定する場合を除き、その裁決に係る事項を収用委員会に通知しなければならない。

1項

国土交通大臣が代行裁決を行なう場合における第二十一条第二十三条から第二十六条まで及び第二十九条の規定 並びに土地収用法第六章第一節第九十五条第九十六条 及び第百三十六条第三項の規定の適用については、

これらの規定中
収用委員会」とあるのは、
「国土交通大臣」と

する。

2項

国土交通大臣が代行裁決を行なう場合においては、起業者、土地所有者 又は関係人がこの法律 又は土地収用法の規定により当該事件に関して収用委員会に対してした手続 その他の行為は、国土交通大臣に対してしたものとみなす。

3項

前条第一項の規定により送られた事件につき、収用委員会が第三十条の規定により補償裁決を行なう場合においては、起業者、土地所有者 又は関係人がこの法律 又は土地収用法の規定により当該事件に関して国土交通大臣に対してした手続 その他の行為は、収用委員会に対してしたものとみなす。

第四節 土地収用法による事業の認定を受けている事業及び都市計画事業

1項

土地収用法第二十条の規定による事業の認定を受けている事業 又は都市計画法の規定により土地を収用し、若しくは使用することができる都市計画事業に係る特定公共事業の認定については、第四条第二項第四号から第六号まで 及び第三項第八条 並びに第十二条第一項 及び第二項の規定は、適用しない

2項

土地収用法第二十条の規定による事業の認定を受けている事業で特定公共事業の認定を受けたものについては、第十三条の規定にかかわらず

同法第二十九条第二項
第二十六条第一項の規定による事業の認定の告示があつた日から四年」とあるのは、
公共用地の取得に関する特別措置法第十条第一項の規定による特定公共事業の認定の告示があつた日から一年六月」と

する。

3項

前項に規定する事業については、土地収用法第二十条の規定による事業の認定が同法第二十九条 又は第三十条第四項の規定によりその効力を失つたときは、特定公共事業の認定も、将来に向かつて、その効力を失う。

4項

都市計画法の規定により土地を収用し、又は使用することができる都市計画事業についてした特定公共事業の認定は、起業者が第十条第一項の規定による特定公共事業の認定の告示があつた日から一年以内土地収用法第三十九条第一項の規定による申請をせず、又はその告示があつた日から一年六月以内同法第四十七条の二第三項の規定による明渡裁決の申立てがないときは、期間満了の日の翌日から将来に向かつて、その効力を失う。

1項

土地収用法第二十条の規定による事業の認定を受けている事業 又は都市計画法の規定により土地を収用し、若しくは使用することができる都市計画事業で、起業地の全部 又は一部について収用 又は使用の手続が保留されているものについて特定公共事業の認定があつたときは、収用 又は使用の手続が開始されるものとする。


この場合においては、国土交通大臣は、第十条第一項の規定による告示の際、あわせて収用 又は使用の手続が開始される旨を告示するとともに、その土地が所在する市町村の長に対して、その旨を通知しなければならない。

2項

市町村長は、前項後段の規定による通知を受けたときは、直ちに、国土交通省令で定めるところにより、土地収用法第二十六条の二第二項の規定により公衆の縦覧に供している図面に、収用 又は使用の手続が開始された旨を表示しなければならない。

第四章 雑則

1項

特定公共事業については、土地収用法第百二十三条の規定は、適用しない

1項

この法律の規定により収用委員会がする処分 及び国土交通大臣がする代行裁決に係る処分(第三十八条の四第二項において読み替えて準用する土地収用法第六十四条の規定により国土交通大臣 又は指名職員がする処分を含む。)については、行政手続法平成五年法律第八十八号第二章 及び第三章の規定は、適用しない

1項

土地収用法第百三十条第一項第百三十一条第二項 及び第百三十一条の二の規定は、特定公共事業の認定に関する審査請求について準用する。

2項

土地収用法第百三十条第二項第百三十一条第二項第百三十一条の二 及び第百三十二条第二項の規定は、国土交通大臣が行う代行裁決に関する審査請求について、同法第百三十三条 及び第百三十四条の規定は、国土交通大臣が行う代行裁決に関する訴えの提起について準用する。

3項

国土交通大臣は、特定公共事業の認定 又は代行裁決に関する審査請求に対する裁決で、当該認定 又は当該代行裁決の全部 若しくは一部を取り消し、又はこれらを変更しようとするときは、社会資本整備審議会の議を経なければならない。

4項

緊急裁決のうち、仮補償金 及び第二十一条第二項の規定により裁決書に記載された事項については、損失の補償に関する訴を提起することができない

1項

土地収用法第百三十五条の規定は、この法律 又はこの法律に基づく命令の規定による期間の計算方法 及び通知の方法について準用する。

1項

土地収用法第九条第十条第百二十七条 並びに第百三十六条第一項 及び第二項の規定は、この法律 又はこの法律に基づく命令の規定による起業者 並びに土地所有者 及び関係人の権利義務 及び手続 その他の行為について準用する。

1項

第二章第三章第三十一条除く)、第四十一条から第四十二条まで 及び前条の規定は、土地収用法第五条に掲げる権利 若しくは同法第六条に掲げる立木、建物 その他土地に定着する物件を収用し、若しくは使用する場合 又は同法第七条に規定する土石砂れきを収用する場合に準用する。


この場合において必要な技術的読替えは、政令で定める。

1項

特定公共事業に必要な土地等を提供する者がその対償として土地 又は建物の提供、耕地 又は宅地の造成 その他金銭以外の方法による給付を要求した場合において、その要求が相当であると認められるときは、特定公共事業を施行する者は、事情の許す限り、その要求に応ずるよう努めなければならない。

1項

特定公共事業に必要な土地等を提供することによつて生活の基礎を失うこととなる者は、前条の規定による要求をする場合において必要があるとき、又はその受ける対償と相まつて実施されることを必要とする場合においては、生活再建 又は環境整備のための措置で次の各号に掲げるものの実施のあつせんを都道府県知事に申し出ることができる。

一 号
宅地、開発して農地とすることが適当な土地 その他の土地の取得に関すること。
二 号
住宅、店舗 その他の建物の取得に関すること。
三 号
職業の紹介、指導 又は訓練に関すること。
四 号
他に適当な土地がなかつたため環境が著しく不良な土地に住居を移した場合における環境の整備に関すること。
2項

前項の規定による申出は、政令で定めるところにより、書面でしなければならない。

3項

都道府県知事は、第一項の規定による申出があつた場合において、その申出が相当であると認めるときは、関係行政機関、関係市町村長(都の特別区の存する区域にあつては、関係特別区長)、その申出をした者 又はその代表者 及び特定公共事業を施行する者と協議して、生活再建計画を作成するものとする。

4項

特定公共事業を施行する者は、生活再建計画のうち、特定公共事業に必要な土地等を提供する者に対する対償となる事項を実施しなければならない。

5項
国 及び地方公共団体は、法令 及び予算の範囲内において、事情の許す限り、生活再建計画の実施に努めなければならない。
1項

この法律の規定により地方公共団体が処理することとされている事務のうち、次の各号に掲げるものは、地方自治法昭和二十二年法律第六十七号第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。

一 号

都道府県が第八条において準用する土地収用法第二十四条第四項 及び第五項 並びに同法第二十五条第二項この法律第二十条第一項第三項 及び第五項第二十一条第一項第二十三条第二項第二十四条第二十五条第二十六条第一項第二十六条第二項において準用する土地収用法第八十三条第四項から第六項までこの法律第二十九条第二項第三十条第一項第三十四条第三十七条第二項において準用する土地収用法第九十四条第十一項 並びにこの法律第三十八条の二の規定(第四十五条においてこれらの規定を準用する場合を含む。)により処理することとされている事務

二 号

市町村が第八条において準用する土地収用法第二十四条第二項 及び この法律第四十条第二項の規定(第四十五条においてこれらの規定を準用する場合を含む。)により処理することとされている事務

1項
この法律に規定するもののほか、この法律の実施に関し必要な事項は、政令で定める。