精神保健及び精神障害者福祉に関する法律

# 昭和二十五年法律第百二十三号 #
略称 : 精神保健福祉法 

第五章 医療及び保護

分類 法律
カテゴリ   厚生
@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第百四号による改正
最終編集日 : 2024年 05月02日 22時43分


第一節 任意入院

1項

精神科病院の管理者は、精神障害者を入院させる場合においては、本人の同意に基づいて入院が行われるように努めなければならない。

1項

精神障害者が自ら入院する場合においては、精神科病院の管理者は、その入院に際し、当該精神障害者に対して第三十八条の四の規定による退院等の請求に関すること その他厚生労働省令で定める事項を書面で知らせ、当該精神障害者から自ら入院する旨を記載した書面を受けなければならない。

2項

精神科病院の管理者は、自ら入院した精神障害者(以下「任意入院者」という。)から退院の申出があつた場合においては、その者を退院させなければならない。

3項

前項に規定する場合において、精神科病院の管理者は、指定医による診察の結果、当該任意入院者の医療 及び保護のため入院を継続する必要があると認めたときは、同項の規定にかかわらず七十二時間を限り、その者を退院させないことができる。

4項

前項に規定する場合において、精神科病院(厚生労働省令で定める基準に適合すると都道府県知事が認めるものに限る)の管理者は、緊急 その他やむを得ない理由があるときは、指定医に代えて指定医以外の医師(医師法昭和二十三年法律第二百一号第十六条の六第一項の規定による登録を受けていること その他厚生労働省令で定める基準に該当する者に限る。以下「特定医師」という。)に任意入院者の診察を行わせることができる。


この場合において、診察の結果、当該任意入院者の医療 及び保護のため入院を継続する必要があると認めたときは、前二項の規定にかかわらず十二時間を限り、その者を退院させないことができる。

5項

第十九条の四の二の規定は、前項の規定により診察を行つた場合について準用する。


この場合において、

同条
指定医は、前条第一項」とあるのは
第二十一条第四項に規定する特定医師は、同項」と、

当該指定医」とあるのは
「当該特定医師」と

読み替えるものとする。

6項

精神科病院の管理者は、第四項後段の規定による措置を採つたときは、遅滞なく、厚生労働省令で定めるところにより、当該措置に関する記録を作成し、これを保存しなければならない。

7項

精神科病院の管理者は、第三項 又は第四項後段の規定による措置を採る場合においては、当該任意入院者に対し、当該措置を採る旨 及びその理由、第三十八条の四の規定による退院等の請求に関すること その他厚生労働省令で定める事項を書面で知らせなければならない。

第二節 指定医の診察及び措置入院

1項

精神障害者 又はその疑いのある者を知つた者は、誰でも、その者について指定医の診察 及び必要な保護を都道府県知事に申請することができる。

2項

前項の申請をするには、次の事項を記載した申請書を最寄りの保健所長を経て都道府県知事に提出しなければならない。

一 号

申請者の住所、氏名 及び生年月日

二 号

本人の現在場所、居住地、氏名、性別 及び生年月日

三 号
症状の概要
四 号

現に本人の保護の任に当たつている者があるときはその者の住所 及び氏名

1項

警察官は、職務を執行するに当たり、異常な挙動 その他周囲の事情から判断して、精神障害のために自身を傷つけ 又は他人に害を及ぼすおそれがあると認められる者を発見したときは、直ちに、その旨を、最寄りの保健所長を経て都道府県知事に通報しなければならない。

1項

検察官は、精神障害者 又はその疑いのある被疑者 又は被告人について、不起訴処分をしたとき、又は裁判(懲役 若しくは禁錮の刑を言い渡し、その刑の全部の執行猶予の言渡しをせず、又は拘留の刑を言い渡す裁判を除く)が確定したときは、速やかに、その旨を都道府県知事に通報しなければならない。


ただし、当該不起訴処分をされ、又は裁判を受けた者について、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律平成十五年法律第百十号第三十三条第一項の申立てをしたときは、この限りでない。

2項

検察官は、前項本文に規定する場合のほか、精神障害者 若しくはその疑いのある被疑者 若しくは被告人 又は心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律の対象者(同法第二条第二項に規定する対象者をいう。第二十六条の三 及び第四十四条第一項において同じ。)について、特に必要があると認めたときは、速やかに、都道府県知事に通報しなければならない。

1項

保護観察所の長は、保護観察に付されている者が精神障害者 又はその疑いのある者であることを知つたときは、速やかに、その旨を都道府県知事に通報しなければならない。

1項

矯正施設(拘置所、刑務所、少年刑務所、少年院 及び少年鑑別所をいう。以下同じ。)の長は、精神障害者 又はその疑いのある収容者を釈放、退院 又は退所させようとするときは、あらかじめ、次の事項を本人の帰住地(帰住地がない場合は当該矯正施設の所在地)の都道府県知事に通報しなければならない。

一 号

本人の帰住地、氏名、性別 及び生年月日

二 号
症状の概要
三 号

釈放、退院 又は退所の年月日

四 号

引取人の住所 及び氏名

1項

精神科病院の管理者は、入院中の精神障害者であつて、第二十九条第一項の要件に該当すると認められるものから退院の申出があつたときは、直ちに、その旨を、最寄りの保健所長を経て都道府県知事に届け出なければならない。

1項

心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律第二条第五項に規定する指定通院医療機関の管理者 及び保護観察所の長は、同法の対象者であつて同条第四項に規定する指定入院医療機関に入院していないものがその精神障害のために自身を傷つけ 又は他人に害を及ぼすおそれがあると認めたときは、直ちに、その旨を、最寄りの保健所長を経て都道府県知事に通報しなければならない。

1項

都道府県知事は、第二十二条から前条までの規定による申請、通報 又は届出のあつた者について調査の上必要があると認めるときは、その指定する指定医をして診察をさせなければならない。

2項

都道府県知事は、入院させなければ精神障害のために自身を傷つけ 又は他人に害を及ぼすおそれがあることが明らかである者については、第二十二条から前条までの規定による申請、通報 又は届出がない場合においても、その指定する指定医をして診察をさせることができる。

3項

都道府県知事は、前二項の規定により診察をさせる場合には、当該職員を立ち会わせなければならない。

4項

指定医 及び前項の当該職員は、前三項の職務を行うに当たつて必要な限度においてその者の居住する場所へ立ち入ることができる。

5項

第十九条の六の十六第二項 及び第三項の規定は、前項の規定による立入りについて準用する。


この場合において、

同条第二項
前項」とあるのは
第二十七条第四項」と、

当該職員」とあるのは
「指定医 及び当該職員」と、

同条第三項
第一項」とあるのは
第二十七条第四項」と

読み替えるものとする。

1項

都道府県知事は、前条第一項の規定により診察をさせるに当つて現に本人の保護の任に当つている者がある場合には、あらかじめ、診察の日時 及び場所をその者に通知しなければならない。

2項

後見人 又は保佐人、親権を行う者、配偶者 その他現に本人の保護の任に当たつている者は、前条第一項の診察に立ち会うことができる。

1項

第二十七条第一項 又は第二項の規定により診察をした指定医は、厚生労働大臣の定める基準に従い、当該診察をした者が精神障害者であり、かつ、医療 及び保護のために入院させなければその精神障害のために自身を傷つけ 又は他人に害を及ぼすおそれがあるかどうかの判定を行わなければならない。

1項

都道府県知事は、第二十七条の規定による診察の結果、その診察を受けた者が精神障害者であり、かつ、医療 及び保護のために入院させなければその精神障害のために自身を傷つけ 又は他人に害を及ぼすおそれがあると認めたときは、その者を国等の設置した精神科病院 又は指定病院に入院させることができる。

2項

前項の場合において都道府県知事がその者を入院させるには、その指定する二人以上の指定医の診察を経て、その者が精神障害者であり、かつ、医療 及び保護のために入院させなければその精神障害のために自身を傷つけ 又は他人に害を及ぼすおそれがあると認めることについて、各指定医の診察の結果が一致した場合でなければならない。

3項

都道府県知事は、第一項の規定による入院措置を採る場合においては、当該精神障害者 及びその家族等であつて第二十八条第一項の規定による通知を受けたもの又は同条第二項の規定による立会いを行つたものに対し、当該入院措置を採る旨 及びその理由、第三十八条の四の規定による退院等の請求に関すること その他厚生労働省令で定める事項を書面で知らせなければならない。

4項

国等の設置した精神科病院 及び指定病院の管理者は、病床(病院の一部について第十九条の八の指定を受けている指定病院にあつてはその指定に係る病床)に既に第一項 又は次条第一項の規定により入院をさせた者がいるため余裕がない場合のほかは、第一項の精神障害者を入院させなければならない。

1項

都道府県知事は、前条第一項の要件に該当すると認められる精神障害者 又はその疑いのある者について、急速を要し、第二十七条第二十八条 及び前条の規定による手続を採ることができない場合において、その指定する指定医をして診察をさせた結果、その者が精神障害者であり、かつ、直ちに入院させなければその精神障害のために自身を傷つけ 又は他人を害するおそれが著しいと認めたときは、その者を前条第一項に規定する精神科病院 又は指定病院に入院させることができる。

2項
都道府県知事は、前項の規定による入院措置を採つたときは、速やかに、その者につき、前条第一項の規定による入院措置を採るかどうかを決定しなければならない。
3項

第一項の規定による入院の期間は、七十二時間超えることができない

4項

第二十七条第四項 及び第五項 並びに第二十八条の二の規定は第一項の規定による診察について、前条第三項の規定は第一項の規定による入院措置を採る場合について、同条第四項の規定は第一項の規定により入院する者の入院について準用する。

1項

都道府県知事は、第二十九条第一項 又は前条第一項の規定による入院措置を採ろうとする精神障害者を、当該入院措置に係る病院に移送しなければならない。

2項

都道府県知事は、前項の規定により移送を行う場合においては、当該精神障害者に対し、当該移送を行う旨 その他厚生労働省令で定める事項を書面で知らせなければならない。

3項

都道府県知事は、第一項の規定による移送を行うに当たつては、当該精神障害者を診察した指定医が必要と認めたときは、その者の医療 又は保護に欠くことのできない限度において、厚生労働大臣があらかじめ社会保障審議会の意見を聴いて定める行動の制限を行うことができる。

1項

第二十九条第一項に規定する精神科病院 又は指定病院の管理者は、第二十九条の二第一項の規定により入院した者について、都道府県知事から、第二十九条第一項の規定による入院措置を採らない旨の通知を受けたとき、又は第二十九条の二第三項の期間内に第二十九条第一項の規定による入院措置を採る旨の通知がないときは、直ちに、その者を退院させなければならない。

1項

都道府県知事は、第二十九条第一項の規定により入院した者(以下「措置入院者」という。)が、入院を継続しなくてもその精神障害のために自身を傷つけ 又は他人に害を及ぼすおそれがないと認められるに至つたときは、直ちに、その者を退院させなければならない。


この場合においては、都道府県知事は、あらかじめ、その者を入院させている同項に規定する精神科病院 又は指定病院の管理者の意見を聞くものとする。

2項

前項の場合において都道府県知事がその者を退院させるには、その者が入院を継続しなくてもその精神障害のために自身を傷つけ 又は他人に害を及ぼすおそれがないと認められることについて、その指定する指定医による診察の結果 又は次条の規定による診察の結果に基づく場合でなければならない。

1項

措置入院者を入院させている第二十九条第一項に規定する精神科病院 又は指定病院の管理者は、指定医による診察の結果、措置入院者が、入院を継続しなくてもその精神障害のために自身を傷つけ 又は他人に害を及ぼすおそれがないと認められるに至つたときは、直ちに、その旨、その者の症状 その他厚生労働省令で定める事項を最寄りの保健所長を経て都道府県知事に届け出なければならない。

1項

措置入院者を入院させている第二十九条第一項に規定する精神科病院 又は指定病院の管理者は、精神保健福祉士 その他厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、退院後生活環境相談員を選任し、その者に措置入院者の退院後の生活環境に関し、措置入院者 及びその家族等からの相談に応じさせ、及びこれらの者に対する必要な情報の提供、助言 その他の援助を行わせなければならない。

1項

措置入院者を入院させている第二十九条第一項に規定する精神科病院 又は指定病院の管理者は、措置入院者 又はその家族等から求めがあつた場合 その他措置入院者の退院による地域における生活への移行を促進するために必要があると認められる場合には、これらの者に対して、厚生労働省令で定めるところにより、次に掲げる者(第三十三条の五において「地域援助事業者」という。)を紹介しなければならない。

一 号

一般相談支援事業 又は障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第五条第十九項に規定する特定相談支援事業(第四十九条第一項において「特定相談支援事業」という。)を行う者

二 号

障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第七十七条第一項第三号 又は第三項各号に掲げる事業を行う者

三 号

介護保険法平成九年法律第百二十三号)第八条第二十四項に規定する居宅介護支援事業を行う者

四 号

前三号に掲げる者のほか、地域の精神障害者の保健 又は福祉に関する各般の問題につき精神障害者 又はその家族等からの相談に応じ必要な情報の提供、助言 その他の援助を行う事業を行うことができると認められる者として厚生労働省令で定めるもの

1項

第二十九条第一項 及び第二十九条の二第一項の規定により入院する者について国等の設置した精神科病院 又は指定病院が行う医療に関する診療方針 及びその医療に要する費用の額の算定方法は、健康保険の診療方針 及び療養に要する費用の額の算定方法の例による。

2項

前項に規定する診療方針 及び療養に要する費用の額の算定方法の例によることができないとき、及びこれによることを適当としないときの診療方針 及び医療に要する費用の額の算定方法は、厚生労働大臣の定めるところによる。

1項

都道府県は、第二十九条第一項 及び第二十九条の二第一項の規定により入院する者について国等の設置した精神科病院 又は指定病院が行つた医療が前条に規定する診療方針に適合するかどうかについての審査 及びその医療に要する費用の額の算定 並びに国等 又は指定病院の設置者に対する診療報酬の支払に関する事務を社会保険診療報酬支払基金に委託することができる。

1項

第二十九条第一項 及び第二十九条の二第一項の規定により都道府県知事が入院させた精神障害者の入院に要する費用は、都道府県が負担する。

2項

国は、都道府県が前項の規定により負担する費用を支弁したときは、政令の定めるところにより、その四分の三を負担する。

1項

前条第一項の規定により費用の負担を受ける精神障害者が、健康保険法(大正十一年法律第七十号)、国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)、船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)、労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)、国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号。他の法律において準用し、又は例による場合を含む。)、地方公務員等共済組合法(昭和三十七年法律第百五十二号)、高齢者の医療の確保に関する法律(昭和五十七年法律第八十号)又は介護保険法の規定により医療に関する給付を受けることができる者であるときは、都道府県は、その限度において、同項の規定による負担をすることを要しない。

1項

都道府県知事は、第二十九条第一項 及び第二十九条の二第一項の規定により入院させた精神障害者 又はその扶養義務者が入院に要する費用を負担することができると認めたときは、その費用の全部 又は一部を徴収することができる。

2項

都道府県知事は、前項の規定による費用の徴収に関し必要があると認めるときは、当該精神障害者 又はその扶養義務者の収入の状況につき、当該精神障害者 若しくはその扶養義務者に対し報告を求め、又は官公署に対し必要な書類の閲覧 若しくは資料の提供を求めることができる。

第三節 医療保護入院等

1項

精神科病院の管理者は、次に掲げる者について、その家族等のうちいずれかの者の同意があるときは、本人の同意がなくても、六月以内で厚生労働省令で定める期間の範囲内の期間を定め、その者を入院させることができる。

一 号

指定医による診察の結果、精神障害者であり、かつ、医療 及び保護のため入院の必要がある者であつて当該精神障害のために第二十条の規定による入院が行われる状態にないと判定されたもの

二 号

第三十四条第一項の規定により移送された者

2項

精神科病院の管理者は、前項第一号に掲げる者について、その家族等がない場合 又はその家族等の全員がその意思を表示することができず、若しくは同項の規定による同意 若しくは不同意の意思表示を行わない場合において、その者の居住地(居住地がないか、又は明らかでないときは、その者の現在地。第四十五条第一項除き、以下同じ。)を管轄する市町村長(特別区の長を含む。以下同じ。)の同意があるときは、本人の同意がなくても、六月以内で厚生労働省令で定める期間の範囲内の期間を定め、その者を入院させることができる。


第三十四条第二項の規定により移送された者について、その者の居住地を管轄する市町村長の同意があるときも、同様とする。

3項

前二項に規定する場合において、精神科病院(厚生労働省令で定める基準に適合すると都道府県知事が認めるものに限る)の管理者は、緊急 その他やむを得ない理由があるときは、指定医に代えて特定医師に診察を行わせることができる。


この場合において、診察の結果、精神障害者であり、かつ、医療 及び保護のため入院の必要がある者であつて当該精神障害のために第二十条の規定による入院が行われる状態にないと判定されたときは、前二項の規定にかかわらず、本人の同意がなくても、十二時間を限り、その者を入院させることができる。

4項

第十九条の四の二の規定は、前項の規定により診察を行つた場合について準用する。


この場合において、

同条
指定医は、前条第一項」とあるのは
第二十一条第四項に規定する特定医師は、第三十三条第三項」と、

当該指定医」とあるのは
「当該特定医師」と

読み替えるものとする。

5項

精神科病院の管理者は、第三項後段の規定による入院措置を採つたときは、遅滞なく、厚生労働省令で定めるところにより、当該入院措置に関する記録を作成し、これを保存しなければならない。

6項

精神科病院の管理者は、第一項 又は第二項の規定により入院した者(以下「医療保護入院者」という。)であつて次の各号いずれにも該当する者について、厚生労働省令で定めるところによりその家族等のうちいずれかの者(同項の場合にあつては、その者の居住地を管轄する市町村長)の同意があるときは、本人の同意がなくても、六月以内で厚生労働省令で定める期間の範囲内の期間を定め、これらの規定による入院の期間(この項の規定により入院の期間が更新されたときは、その更新後の入院の期間)を更新することができる。

一 号

指定医による診察の結果、なお第一項第一号に掲げる者に該当すること。

二 号

厚生労働省令で定める者により構成される委員会において当該医療保護入院者の退院による地域における生活への移行を促進するための措置について審議が行われたこと。

7項

第二項に規定する市町村長は、同項 又は前項の規定に基づく事務に関し、関係行政機関 又は関係地方公共団体に対し、必要な事項を照会することができる。

8項

精神科病院の管理者は、厚生労働省令で定めるところにより、医療保護入院者の家族等に第六項の規定によるその同意に関し必要な事項を通知しなければならない。


この場合において、厚生労働省令で定める日までにその家族等のいずれの者からも同項の規定による入院の期間の更新について不同意の意思表示を受けなかつたときは、同項の規定による家族等の同意を得たものとみなすことができる。


ただし、当該同意の趣旨に照らし適当でない場合として厚生労働省令で定める場合においては、この限りでない。

9項

精神科病院の管理者は、第一項第二項 若しくは第三項後段の規定による入院措置を採つたとき、又は第六項の規定による入院の期間の更新をしたときは、十日以内に、その者の症状 その他厚生労働省令で定める事項を当該入院 又は当該入院の期間の更新について同意をした者の同意書を添え(前項の規定により家族等の同意を得たものとみなした場合にあつては、その旨を示し)、最寄りの保健所長を経て都道府県知事に届け出なければならない。

1項

精神科病院の管理者は、医療保護入院者を退院させたときは、十日以内に、その旨 及び厚生労働省令で定める事項を最寄りの保健所長を経て都道府県知事に届け出なければならない。

1項

精神科病院の管理者は、第三十三条第一項第二項 若しくは第三項後段の規定による入院措置を採る場合 又は同条第六項の規定による入院の期間の更新をする場合においては、当該精神障害者 及びその家族等であつて同条第一項 又は第六項の規定による同意をしたものに対し、当該入院措置を採る旨 又は当該入院の期間の更新をする旨 及びその理由、第三十八条の四の規定による退院等の請求に関すること その他厚生労働省令で定める事項を書面で知らせなければならない。


ただし、当該精神障害者については、当該入院措置を採つた日 又は当該入院の期間の更新をした日から四週間を経過する日までの間であつて、その症状に照らし、その者の医療 及び保護を図る上で支障があると認められる間においては、この限りでない。

2項

精神科病院の管理者は、前項ただし書の規定により同項本文に規定する事項を書面で知らせなかつたときは、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働省令で定める事項を診療録に記載しなければならない。

1項

第二十九条の六 及び第二十九条の七の規定は、医療保護入院者を入院させている精神科病院の管理者について準用する。


この場合において、

これらの規定中
措置入院者」とあるのは、
「医療保護入院者」と

読み替えるものとする。

1項

精神科病院の管理者は、前条において準用する第二十九条の六 及び第二十九条の七に規定する措置のほか、厚生労働省令で定めるところにより、必要に応じて地域援助事業者と連携を図りながら、医療保護入院者の退院による地域における生活への移行を促進するために必要な体制の整備 その他の当該精神科病院における医療保護入院者の退院による地域における生活への移行を促進するための措置を講じなければならない。

1項

厚生労働大臣の定める基準に適合するものとして都道府県知事が指定する精神科病院の管理者は、医療 及び保護の依頼があつた者について、急速を要し、その家族等の同意を得ることができない場合において、その者が、次に該当する者であるときは、本人の同意がなくても、七十二時間を限り、その者を入院させることができる。

一 号

指定医の診察の結果、精神障害者であり、かつ、直ちに入院させなければその者の医療 及び保護を図る上で著しく支障がある者であつて当該精神障害のために第二十条の規定による入院が行われる状態にないと判定されたもの

二 号

第三十四条第三項の規定により移送された者

2項

前項に規定する場合において、同項に規定する精神科病院の管理者は、緊急 その他やむを得ない理由があるときは、指定医に代えて特定医師に同項の医療 及び保護の依頼があつた者の診察を行わせることができる。


この場合において、診察の結果、その者が、精神障害者であり、かつ、直ちに入院させなければその者の医療 及び保護を図る上で著しく支障がある者であつて当該精神障害のために第二十条の規定による入院が行われる状態にないと判定されたときは、同項の規定にかかわらず、本人の同意がなくても、十二時間を限り、その者を入院させることができる。

3項

第十九条の四の二の規定は、前項の規定により診察を行つた場合について準用する。


この場合において、

同条
指定医は、前条第一項」とあるのは
第二十一条第四項に規定する特定医師は、第三十三条の六第二項」と、

当該指定医」とあるのは
「当該特定医師」と

読み替えるものとする。

4項

第一項に規定する精神科病院の管理者は、第二項後段の規定による入院措置を採つたときは、遅滞なく、厚生労働省令で定めるところにより、当該入院措置に関する記録を作成し、これを保存しなければならない。

5項

第一項に規定する精神科病院の管理者は、同項 又は第二項後段の規定による入院措置を採つたときは、直ちに、当該入院措置を採つた理由 その他厚生労働省令で定める事項を最寄りの保健所長を経て都道府県知事に届け出なければならない。

6項

都道府県知事は、第一項の指定を受けた精神科病院が同項の基準に適合しなくなつたと認めたときは、その指定を取り消すことができる。

7項

厚生労働大臣は、前項に規定する都道府県知事の権限に属する事務について、第一項の指定を受けた精神科病院に入院中の者の処遇を確保する緊急の必要があると認めるときは、都道府県知事に対し前項の事務を行うことを指示することができる。

1項

第十九条の九第二項の規定は前条第六項の規定による処分をする場合について、第二十九条第三項の規定は精神科病院の管理者が前条第一項 又は第二項後段の規定による入院措置を採る場合について準用する。


この場合において、

第二十九条第三項
当該精神障害者 及びその家族等であつて第二十八条第一項の規定による通知を受けたもの又は同条第二項の規定による立会いを行つたもの」とあるのは、
「当該精神障害者」と

読み替えるものとする。

1項

都道府県知事は、その指定する指定医による診察の結果、精神障害者であり、かつ、直ちに入院させなければその者の医療 及び保護を図る上で著しく支障がある者であつて当該精神障害のために第二十条の規定による入院が行われる状態にないと判定されたものにつき、その家族等のうちいずれかの者の同意があるときは、本人の同意がなくてもその者を第三十三条第一項の規定による入院をさせるため第三十三条の六第一項に規定する精神科病院に移送することができる。

2項

都道府県知事は、前項に規定する精神障害者の家族等がない場合 又はその家族等の全員がその意思を表示することができず、若しくは同項の規定による同意 若しくは不同意の意思表示を行わない場合において、その者の居住地を管轄する市町村長の同意があるときは、本人の同意がなくてもその者を第三十三条第二項の規定による入院をさせるため第三十三条の六第一項に規定する精神科病院に移送することができる。

3項

都道府県知事は、急速を要し、その者の家族等の同意を得ることができない場合において、その指定する指定医の診察の結果、その者が精神障害者であり、かつ、直ちに入院させなければその者の医療 及び保護を図る上で著しく支障がある者であつて当該精神障害のために第二十条の規定による入院が行われる状態にないと判定されたときは、本人の同意がなくてもその者を第三十三条の六第一項の規定による入院をさせるため同項に規定する精神科病院に移送することができる。

4項

第二十九条の二の二第二項 及び第三項の規定は前三項の規定による移送を行う場合について、第三十三条第七項の規定は第二項の規定による移送を行う場合について準用する。


この場合において、

同条第七項中「第二項」とあるのは
第三十四条第二項」と、

同項 又は前項」とあるのは
「同項」と

読み替えるものとする。

第四節 入院者訪問支援事業

1項

都道府県は、精神科病院に入院している者のうち第三十三条第二項の規定により入院した者 その他の外部との交流を促進するための支援を要するものとして厚生労働省令で定める者に対し、入院者訪問支援員(都道府県知事が厚生労働省令で定めるところにより行う研修を修了した者のうちから都道府県知事が選任した者をいう。次項 及び次条において同じ。)が、その者の求めに応じ、訪問により、その者の話を誠実かつ熱心に聞くほか、入院中の生活に関する相談、必要な情報の提供 その他の厚生労働省令で定める支援を行う事業(第三項 及び次条において「入院者訪問支援事業」という。)を行うことができる。

2項
入院者訪問支援員は、その支援を受ける者が個人の尊厳を保持し、自立した生活を営むことができるよう、常にその者の立場に立つて、誠実にその職務を行わなければならない。
3項
入院者訪問支援事業に従事する者 又は従事していた者は、正当な理由がなく、その職務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。
1項
入院者訪問支援事業を行う都道府県は、精神科病院の協力を得て、精神科病院における入院者訪問支援員による支援の在り方 及び支援に関する課題を検討し、支援の体制の整備を図るよう努めなければならない。

第五節 精神科病院における処遇等

1項

精神科病院の管理者は、入院中の者につき、その医療 又は保護に欠くことのできない限度において、その行動について必要な制限を行うことができる。

2項

精神科病院の管理者は、前項の規定にかかわらず、信書の発受の制限、都道府県 その他の行政機関の職員との面会の制限 その他の行動の制限であつて、厚生労働大臣があらかじめ社会保障審議会の意見を聴いて定める行動の制限については、これを行うことができない。

3項

第一項の規定による行動の制限のうち、厚生労働大臣があらかじめ社会保障審議会の意見を聴いて定める患者の隔離 その他の行動の制限は、指定医が必要と認める場合でなければ行うことができない。

1項

厚生労働大臣は、前条に定めるもののほか、精神科病院に入院中の者の処遇について必要な基準を定めることができる。

2項

前項の基準が定められたときは、精神科病院の管理者は、その基準を遵守しなければならない。

3項

厚生労働大臣は、第一項の基準を定めようとするときは、あらかじめ、社会保障審議会の意見を聴かなければならない。

1項

指定医は、その勤務する精神科病院に入院中の者の処遇が第三十六条の規定に違反していると思料するとき 又は前条第一項の基準に適合していないと認めるとき その他精神科病院に入院中の者の処遇が著しく適当でないと認めるときは、当該精神科病院の管理者にその旨を報告すること等により、当該管理者において当該精神科病院に入院中の者の処遇の改善のために必要な措置が採られるよう努めなければならない。

1項

精神科病院 その他の精神障害の医療を提供する施設の管理者は、当該施設において医療を受ける精神障害者の社会復帰の促進を図るため、当該施設の医師、看護師 その他の医療従事者による有機的な連携の確保に配慮しつつ、その者の相談に応じ、必要に応じて一般相談支援事業を行う者と連携を図りながら、その者に必要な援助を行い、及びその家族等 その他の関係者との連絡調整を行うように努めなければならない。

1項

措置入院者を入院させている第二十九条第一項に規定する精神科病院 又は指定病院の管理者は、措置入院者の症状 その他厚生労働省令で定める事項(以下この項において「報告事項」という。)を、厚生労働省令で定めるところにより、定期に、最寄りの保健所長を経て都道府県知事に報告しなければならない。


この場合においては、報告事項のうち厚生労働省令で定める事項については、指定医による診察の結果に基づくものでなければならない。

2項

都道府県知事は、条例で定めるところにより、精神科病院の管理者(第三十八条の七第一項第二項 若しくは第四項 又は第四十条の六第一項 若しくは第三項の規定による命令を受けた者であつて、当該命令を受けた日から起算して厚生労働省令で定める期間を経過しないもの その他これに準ずる者として厚生労働省令で定めるものに限る)に対し、当該精神科病院に入院中の任意入院者(厚生労働省令で定める基準に該当する者に限る)の症状 その他厚生労働省令で定める事項について報告を求めることができる。

1項

都道府県知事は、第二十九条第一項の規定による入院措置を採つたとき、又は第三十三条第九項の規定による届出(同条第一項 若しくは第二項の規定による入院措置 又は同条第六項の規定による入院の期間の更新に係るものに限る)若しくは前条第一項の規定による報告があつたときは、当該入院措置 又は届出 若しくは報告に係る入院中の者の症状 その他厚生労働省令で定める事項を精神医療審査会に通知し、当該入院中の者についてその入院の必要があるかどうかに関し審査を求めなければならない。

2項

精神医療審査会は、前項の規定により審査を求められたときは、当該審査に係る入院中の者についてその入院の必要があるかどうかに関し審査を行い、その結果を都道府県知事に通知しなければならない。

3項

精神医療審査会は、前項の審査をするに当たつて必要があると認めるときは、当該審査に係る入院中の者に対して意見を求め、若しくはその者の同意を得て委員(指定医である者に限る第三十八条の五第四項において同じ。)に診察させ、又はその者が入院している精神科病院の管理者 その他関係者に対して報告 若しくは意見を求め、診療録 その他の帳簿書類の提出を命じ、若しくは出頭を命じて審問することができる。

4項

都道府県知事は、第二項の規定により通知された精神医療審査会の審査の結果に基づき、その入院が必要でないと認められた者を退院させ、又は精神科病院の管理者に対しその者を退院させることを命じなければならない。

5項

都道府県知事は、第一項に定めるもののほか前条第二項の規定による報告を受けたときは、当該報告に係る入院中の者の症状 その他厚生労働省令で定める事項を精神医療審査会に通知し、当該入院中の者についてその入院の必要があるかどうかに関し審査を求めることができる。

6項

第二項 及び第三項の規定は、前項の規定により都道府県知事が審査を求めた場合について準用する。

1項

精神科病院に入院中の者 又はその家族等(その家族等がない場合 又はその家族等の全員がその意思を表示することができない場合にあつてはその者の居住地を管轄する市町村長とし、その家族等の全員が第三十三条第一項 若しくは第六項 又は第三十四条第一項の規定による同意 又は不同意の意思表示を行わなかつた場合にあつてはその者の居住地を管轄する市町村長を含む。)は、厚生労働省令で定めるところにより、都道府県知事に対し、その者を退院させ、又は精神科病院の管理者に対し、その者を退院させることを命じ、若しくはその者の処遇の改善のために必要な措置を採ることを命じることを求めることができる。

1項

都道府県知事は、前条の規定による請求を受けたときは、当該請求の内容を精神医療審査会に通知し、当該請求に係る入院中の者について、その入院の必要があるかどうか、又はその処遇が適当であるかどうかに関し審査を求めなければならない。

2項

精神医療審査会は、前項の規定により審査を求められたときは、当該審査に係る者について、その入院の必要があるかどうか、又はその処遇が適当であるかどうかに関し審査を行い、その結果を都道府県知事に通知しなければならない。

3項

精神医療審査会は、前項の審査をするに当たつては、当該審査に係る前条の規定による請求をした者 及び当該審査に係る入院中の者が入院している精神科病院の管理者の意見を聴かなければならない。


ただし、精神医療審査会がこれらの者の意見を聴く必要がないと特に認めたときは、この限りでない。

4項

精神医療審査会は、前項に定めるもののほか第二項の審査をするに当たつて必要があると認めるときは、当該審査に係る入院中の者の同意を得て委員に診察させ、又はその者が入院している精神科病院の管理者 その他関係者に対して報告を求め、診療録 その他の帳簿書類の提出を命じ、若しくは出頭を命じて審問することができる。

5項

都道府県知事は、第二項の規定により通知された精神医療審査会の審査の結果に基づき、その入院が必要でないと認められた者を退院させ、又は当該精神科病院の管理者に対しその者を退院させることを命じ 若しくはその者の処遇の改善のために必要な措置を採ることを命じなければならない。

6項

都道府県知事は、前条の規定による請求をした者に対し、当該請求に係る精神医療審査会の審査の結果 及びこれに基づき採つた措置を通知しなければならない。

1項

厚生労働大臣 又は都道府県知事は、必要があると認めるときは、精神科病院の管理者に対し、当該精神科病院に入院中の者の症状 若しくは処遇に関し、報告を求め、若しくは診療録 その他の帳簿書類の提出 若しくは提示を命じ、当該職員 若しくはその指定する指定医に、精神科病院に立ち入り、これらの事項に関し、診療録 その他の帳簿書類(その作成 又は保存に代えて電磁的記録の作成 又は保存がされている場合における当該電磁的記録を含む。)を検査させ、若しくは当該精神科病院に入院中の者 その他の関係者に質問させ、又はその指定する指定医に、精神科病院に立ち入り、当該精神科病院に入院中の者を診察させることができる。

2項

厚生労働大臣 又は都道府県知事は、必要があると認めるときは、精神科病院の管理者、精神科病院に入院中の者 又は第三十三条第一項から第三項までの規定による入院 若しくは同条第六項の規定による入院の期間の更新について同意をした者に対し、について同意をした者に対し、この法律による入院に必要な手続に関し、報告を求め、又は帳簿書類の提出 若しくは提示を命じることができる。

3項

第十九条の六の十六第二項 及び第三項の規定は、第一項の規定による立入検査、質問 又は診察について準用する。


この場合において、

同条第二項
前項」とあるのは
第三十八条の六第一項」と、

当該職員」とあるのは
「当該職員 及び指定医」と、

同条第三項
第一項」とあるのは
第三十八条の六第一項」と

読み替えるものとする。

1項

厚生労働大臣 又は都道府県知事は、精神科病院に入院中の者の処遇が第三十六条の規定に違反していると認めるとき又は第三十七条第一項の基準に適合していないと認めるときその他精神科病院に入院中の者の処遇が著しく適当でないと認めるときは、当該精神科病院の管理者に対し、措置を講ずべき事項 及び期限を示して、処遇を確保するための改善計画の提出を求め、若しくは提出された改善計画の変更を命じ、又はその処遇の改善のために必要な措置を採ることを命ずることができる。

2項

厚生労働大臣 又は都道府県知事は、必要があると認めるときは、第二十一条第三項の規定により入院している者、医療保護入院者 又は第三十三条第三項 若しくは第三十三条の六第一項 若しくは第二項の規定により入院した者について、その指定する二人以上の指定医に診察させ、各指定医の診察の結果がその入院を継続する必要があることに一致しない場合 又はこれらの者の入院がこの法律 若しくはこの法律に基づく命令に違反して行われた場合には、これらの者が入院している精神科病院の管理者に対し、その者を退院させることを命ずることができる。

3項

都道府県知事は、前二項の規定による命令をした場合において、その命令を受けた精神科病院の管理者がこれに従わなかつたときは、その旨を公表することができる。

4項

厚生労働大臣 又は都道府県知事は、精神科病院の管理者が第一項 又は第二項の規定による命令に従わないときは、当該精神科病院の管理者に対し、期間を定めて第二十一条第一項第三十三条第一項から第三項まで 並びに第三十三条の六第一項 及び第二項の規定による精神障害者の入院に係る医療の提供の全部 又は一部を制限することを命ずることができる。

5項

都道府県知事は、前項の規定による命令をした場合においては、その旨を公示しなければならない。

1項

精神科病院の管理者は、入院中の者で自身を傷つけ 又は他人に害を及ぼすおそれのあるものが無断で退去し その行方が不明になつたときは、所轄の警察署長に次の事項を通知してその探索を求めなければならない。

一 号

退去者の住所、氏名、性別 及び生年月日

二 号
退去の年月日 及び時刻
三 号
症状の概要
四 号

退去者を発見するために参考となるべき人相、服装 その他の事項

五 号
入院年月日
六 号

退去者の家族等 又はこれに準ずる者の住所、氏名 その他厚生労働省令で定める事項

2項

警察官は、前項の探索を求められた者を発見したときは、直ちに、その旨を当該精神科病院の管理者に通知しなければならない。


この場合において、警察官は、当該精神科病院の管理者がその者を引き取るまでの間、二十四時間を限り、その者を、警察署、病院、救護施設等の精神障害者を保護するのに適当な場所に、保護することができる。

1項

第二十九条第一項に規定する精神科病院 又は指定病院の管理者は、指定医による診察の結果、措置入院者の症状に照らしその者を一時退院させて経過を見ることが適当であると認めるときは、都道府県知事の許可を得て、六月を超えない期間を限り仮に退院させることができる。

第六節 虐待の防止

1項

精神科病院の管理者は、当該精神科病院において医療を受ける精神障害者に対する虐待の防止に関する意識の向上のための措置、当該精神科病院において精神障害者の医療 及び保護に係る業務に従事する者(以下「業務従事者」という。)その他の関係者に対する精神障害者の虐待の防止のための研修の実施 及び普及啓発、当該精神科病院において医療を受ける精神障害者に対する虐待に関する相談に係る体制の整備 及びこれに対処するための措置 その他の当該精神科病院において医療を受ける精神障害者に対する虐待を防止するため必要な措置を講ずるものとする。

2項

指定医は、その勤務する精神科病院の管理者において、前項の規定による措置が円滑かつ確実に実施されるように協力しなければならない。

1項

精神科病院において業務従事者による障害者虐待(業務従事者が、当該精神科病院において医療を受ける精神障害者について行う次の各号いずれかに該当する行為をいう。以下同じ。)を受けたと思われる精神障害者を発見した者は、速やかに、これを都道府県に通報しなければならない。

一 号

障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律平成二十三年法律第七十九号。次号において「障害者虐待防止法」という。第二条第七項各号第四号除く)のいずれかに該当すること。

二 号

精神障害者を衰弱させるような著しい減食 又は長時間の放置、当該精神科病院において医療を受ける他の精神障害者による障害者虐待防止法第二条第七項第一号から第三号までに掲げる行為と同様の行為の放置 その他の業務従事者としての業務を著しく怠ること。

2項
業務従事者による障害者虐待を受けた精神障害者は、その旨を都道府県に届け出ることができる。
3項

刑法明治四十年法律第四十五号)の秘密漏示罪の規定 その他の守秘義務に関する法律の規定は、第一項の規定による通報(虚偽であるもの及び過失によるものを除く次項において同じ。)をすることを妨げるものと解釈してはならない。

4項

業務従事者は、第一項の規定による通報をしたことを理由として、解雇 その他不利益な取扱いを受けない。

1項

都道府県が前条第一項の規定による通報 又は同条第二項の規定による届出を受けた場合においては、当該通報 又は届出を受けた都道府県の職員は、その職務上知り得た事項であつて当該通報 又は届出をした者を特定させるものを漏らしてはならない。

1項

厚生労働大臣 又は都道府県知事は、必要があると認めるときは、第四十条の二第一項の措置 又は第四十条の三第一項の規定による通報 若しくは同条第二項の規定による届出に関し、精神科病院の管理者に対し、報告を求め、若しくは診療録 その他の帳簿書類の提出 若しくは提示を命じ、当該職員 若しくはその指定する指定医に、精神科病院に立ち入り、診療録 その他の帳簿書類(その作成 又は保存に代えて電磁的記録の作成 又は保存がされている場合における当該電磁的記録を含む。)を検査させ、若しくは当該精神科病院に入院中の者 その他の関係者に質問させ、又はその指定する指定医に、精神科病院に立ち入り、当該精神科病院に入院中の者を診察させることができる。

2項

第十九条の六の十六第二項 及び第三項の規定は、前項の規定による立入検査、質問 又は診察について準用する。


この場合において、

同条第二項
前項」とあるのは
第四十条の五第一項」と、

当該職員」とあるのは
「当該職員 及び指定医」と、

同条第三項
第一項」とあるのは
第四十条の五第一項」と

読み替えるものとする。

1項

厚生労働大臣 又は都道府県知事は、第四十条の二第一項の必要な措置が講じられていないと認めるとき、又は第四十条の三第一項の規定による通報 若しくは同条第二項の規定による届出に係る精神科病院において業務従事者による障害者虐待が行われたと認めるときは、当該精神科病院の管理者に対し、措置を講ずべき事項 及び期限を示して、改善計画の提出を求め、若しくは提出された改善計画の変更を命じ、又は必要な措置を採ることを命ずることができる。

2項

都道府県知事は、前項の規定による命令をした場合において、その命令を受けた精神科病院の管理者がこれに従わなかつたときは、その旨を公表することができる。

3項

厚生労働大臣 又は都道府県知事は、精神科病院の管理者が第一項の規定による命令に従わないときは、当該精神科病院の管理者に対し、期間を定めて第二十一条第一項第三十三条第一項から第三項まで 並びに第三十三条の六第一項 及び第二項の規定による精神障害者の入院に係る医療の提供の全部 又は一部を制限することを命ずることができる。

4項

都道府県知事は、前項の規定による命令をした場合においては、その旨を公示しなければならない。

1項

都道府県知事は、毎年度、業務従事者による障害者虐待の状況、業務従事者による障害者虐待があつた場合に採つた措置 その他厚生労働省令で定める事項を公表するものとする。

1項
国は、業務従事者による障害者虐待の事例の分析を行うとともに、業務従事者による障害者虐待の予防 及び早期発見のための方策 並びに業務従事者による障害者虐待があつた場合の適切な対応方法に資する事項についての調査 及び研究を行うものとする。

第七節 雑則

1項

厚生労働大臣は、精神障害者の障害の特性 その他の心身の状態に応じた良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針(以下この条において「指針」という。)を定めなければならない。

2項

指針に定める事項は、次のとおりとする。

一 号

精神病床(病院の病床のうち、精神疾患を有する者を入院させるためのものをいう。)の機能分化に関する事項

二 号

精神障害者の居宅等(居宅 その他の厚生労働省令で定める場所をいう。)における保健医療サービス 及び福祉サービスの提供に関する事項

三 号

精神障害者に対する医療の提供に当たつての医師、看護師 その他の医療従事者と精神保健福祉士 その他の精神障害者の保健 及び福祉に関する専門的知識を有する者との連携に関する事項

四 号

その他良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供の確保に関する重要事項

3項

厚生労働大臣は、指針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

1項

この章の規定は、精神障害者 又はその疑いのある者について、刑事事件 若しくは少年の保護事件の処理に関する法令の規定による手続を行い、又は刑 若しくは保護処分の執行のためこれらの者を矯正施設に収容することを妨げるものではない。

2項

第二十四条第二十六条 及び第二十七条の規定を除くほか、この章の規定は矯正施設に収容中の者には適用しない

1項

この章の規定は、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律の対象者について、同法 又は同法に基づく命令の規定による手続 又は処分をすることを妨げるものではない。

2項

前各節の規定は、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律第三十四条第一項前段 若しくは第六十条第一項前段の命令 若しくは第三十七条第五項前段 若しくは第六十二条第二項前段の決定により入院している者 又は同法第四十二条第一項第一号 若しくは第六十一条第一項第一号の決定により指定入院医療機関に入院している者については、適用しない