アルコール事業法

平成十二年法律第三十六号
分類 法律
カテゴリ   事業
@ 施行日 : 令和四年六月十七日 ( 2022年 6月17日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第六十八号による改正
最終編集日 : 2024年 05月16日 19時28分

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  • 第一章 総則

  • 第二章 事業等の許可

    • 第一節 アルコールの製造の事業
    • 第二節 アルコールの輸入の事業
    • 第三節 アルコールの販売の事業
    • 第四節 アルコールの使用
  • 第三章 特定アルコールの譲渡

  • 第四章 雑則

  • 第五章 罰則

第一章 総則

1項

この法律は、アルコールが広く工業用に使用され、国民生活 及び産業活動に不可欠であり、かつ、酒類(酒税法(昭和二十八年法律第六号)第二条第一項に規定する酒類をいう。以下同じ。)と同一の特性を有していることにかんがみ、アルコールの酒類の原料への不正な使用の防止に配慮しつつ、アルコールの製造、輸入 及び販売の事業の運営等を適正なものとすることにより、我が国のアルコール事業の健全な発展 及びアルコールの安定的かつ円滑な供給の確保を図り、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

1項

この法律において「アルコール」とは、アルコール分(温度十五度の時において原容量百分中に含有するエチルアルコールの容量をいう。第三十五条において同じ。)が九十度以上のアルコールをいう。

2項

この法律において「酒母」とは、酵母で含糖質物を発酵させることができるもの 及び酵母を培養したもので含糖質物を発酵させることができるものであって、アルコールの製造の用に供することができるものをいう。

3項

この法律において「もろみ」とは、アルコールの原料となる物品に発酵させる手段を講じたもの(アルコールの製造の用に供することができるものに限る)で蒸留する前のものをいう。

4項

この法律において「特定アルコール」とは、アルコールが酒類の原料に不正に使用されることを防止するために必要な額として経済産業省令で定めるところにより計算した額(以下「加算額」という。)を含む価格で次条第一項 又は第十六条第一項の許可を受けた者が譲渡するアルコールをいう。

第二章 事業等の許可

第一節 アルコールの製造の事業

1項

アルコールの製造(精製(アルコールの利用価値を高めるため蒸留 その他の方法によりアルコールの不純物を除去することをいう。以下同じ。)を含む。第十五条除き、以下同じ。)を業として行おうとする者は、経済産業大臣の許可を受けなければならない。

2項

前項の許可を受けようとする者は、経済産業省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を経済産業大臣に提出しなければならない。

一 号
商号、名称 又は氏名 及び住所
二 号
法人である場合においては、その代表者の氏名 及び住所
三 号

未成年者(営業に関し成年者と同一の行為能力を有する者を除く。以下同じ。)である場合においては、その法定代理人(アルコールの製造に係る事業に関し代理権を有する者に限る)の氏名、商号 又は名称 及び住所

四 号

前号に規定する法定代理人が法人である場合においては、その代表者の氏名 及び住所

五 号
主たる事務所の所在地 並びに製造場 及び貯蔵所の所在地
六 号
製造場 及び貯蔵所ごとの設備の能力 及び構造
七 号
事業開始の予定年月日
八 号
その他経済産業省令で定める事項
1項

前条第一項の許可を受けた者(以下「製造事業者」という。)でなければ、アルコールを製造してはならない。


ただし次の各号いずれかに該当するときは、この限りでない。

一 号

第二十六条第一項の許可を受けた者(以下「許可使用者」という。)が当該許可に係るアルコールの使用の過程においてそのアルコールを精製するとき。

二 号
特定アルコールを使用する者がその使用の過程においてその特定アルコールを精製するとき。
三 号
アルコールの製造の方法を試験し、又は研究するためにアルコールを製造する場合において、経済産業省令で定めるところにより、経済産業大臣の承認を受けたとき。
1項

次の各号いずれかに該当する者は、第三条第一項の許可を受けることができない

一 号

この法律 若しくは酒税法の規定により罰金の刑に処せられ、又は酒税法の規定に違反して国税通則法昭和三十七年法律第六十六号)の規定により通告処分を受け、それぞれ、その刑の執行を終わり、若しくは執行を受けることがなくなった日 又はその通告の旨を履行した日から三年を経過しない者

二 号

第十二条第一号第二号第四号 若しくは第五号これらの規定を第二十条第二十五条 及び第三十条において準用する場合を含む。)の規定により許可を取り消され、又は酒税法第十二条第一号 若しくは第二号(これらの規定を同法第十三条において準用する場合を含む。)、第五号 若しくは第六号 若しくは同法第十四条第一号、第二号 若しくは第四号の規定により免許を取り消され、それぞれ、その取消しの日から三年を経過しない者

三 号

第三条第一項第十六条第一項第二十一条第一項 若しくは第二十六条第一項の許可を受けた法人が第十二条第一号第二号第四号 若しくは第五号これらの規定を第二十条第二十五条 及び第三十条において準用する場合を含む。)の規定により許可を取り消された場合(第十二条第二号第二十条第二十五条 及び第三十条において準用する場合を含む。)の規定により許可を取り消された場合については、当該法人が第一号(第二十条第二十五条 及び第三十条において準用する場合を含む。)に規定する者に該当することとなったことによる場合に限る)又は酒税法第七条第一項 若しくは同法第九条第一項の免許を受けた法人が同法第十二条第一号、第二号 若しくは第五号 若しくは同法第十四条第一号 若しくは第二号の規定により免許を取り消された場合(同法第十二条第二号 又は同法第十四条第二号の規定により免許を取り消された場合については、当該法人が同法第十条第七号(この法律 若しくは酒税法の規定により罰金の刑に処せられ、又は同法の規定に違反して国税通則法の規定により通告処分を受けたことによる場合に限る)に規定する者に該当することとなったことによる場合に限る)において、その取消しの原因となった事実があった日以前一年内に当該法人の業務を行う役員であった者で、それぞれ、その取消しの日から三年を経過しない者

四 号

禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から三年を経過しない者

五 号

法人であって、その業務を行う役員のうちに前各号いずれかに該当する者があるもの

六 号

未成年者であって、その法定代理人(アルコールの製造に係る事業に関し代理権を有する者に限る)が前各号いずれかに該当するもの

1項

経済産業大臣は、第三条第一項の許可の申請が次の各号いずれにも適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。

一 号
その事業を適確に遂行するに足りる経理的基礎 及び技術的能力を有すること。
二 号
アルコールの数量の管理のための措置が経済産業省令で定める基準に適合するものであること。
三 号
その他アルコールの適正な流通の確保に支障を及ぼすおそれがないこと。
1項

製造事業者がその事業の全部を譲り渡し、又は製造事業者について相続、合併 若しくは分割(その事業の全部を承継させるものに限る)があったときは、その事業の全部を譲り受けた者 又は相続人(相続人が二人以上ある場合において、その全員の同意により事業を承継すべき相続人を選定したときは、その者。以下同じ。)、合併後存続する法人 若しくは合併により設立された法人 若しくは分割によりその事業の全部を承継した法人は、その製造事業者の地位を承継する。


ただし、当該事業の全部を譲り受けた者 又は当該相続人、合併後存続する法人 若しくは合併により設立された法人 若しくは分割により当該事業の全部を承継した法人が第五条各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。

2項

前項の規定により製造事業者の地位を承継した者は、遅滞なく、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。

1項

製造事業者は、第三条第二項第六号に掲げる事項を変更しようとするときは、経済産業大臣の許可を受けなければならない。


ただし、経済産業省令で定める軽微な変更をしようとするときは、この限りでない。

2項

製造事業者は、第三条第二項第一号から第四号まで 若しくは第八号に掲げる事項に変更があったとき 又は前項ただし書の経済産業省令で定める軽微な変更をしたときは遅滞なく、同条第二項第五号 又は第七号に掲げる事項を変更しようとするときはあらかじめ、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。

3項

第六条の規定は、第一項の許可に準用する。

1項

製造事業者は、経済産業省令で定めるところにより、帳簿を備え、その業務に関し経済産業省令で定める事項を記載し、これを保存しなければならない。

2項

製造事業者は、毎年、経済産業省令で定めるところにより、その業務に関し経済産業省令で定める事項を経済産業大臣に報告しなければならない。

3項

製造事業者は、前項に定めるもののほか、その業務に係るアルコール、酒母 又はもろみを亡失し、又は盗み取られたときは、経済産業省令で定めるところにより、直ちに、その旨を経済産業大臣に報告し、その検査を受けなければならない。

1項
経済産業大臣は、製造事業者の業務の運営に関しアルコールの適正な流通を確保するために改善が必要であると認めるときは、当該製造事業者に対し、その改善に必要な措置を命ずることができる。
1項

製造事業者は、その事業を廃止したときは、遅滞なく、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。

2項
製造事業者がその事業を廃止したときは、その許可は効力を失う。
1項

経済産業大臣は、製造事業者が次の各号いずれかに該当するときは、その許可を取り消し、又は六月以内の期間を定めてその事業の停止を命ずることができる。

一 号
この法律 若しくはこの法律に基づく命令 若しくはこれらに基づく処分 又は許可に付された条件に違反したとき。
二 号

第五条第一号 又は第四号から第六号までに掲げる者に該当することとなったとき。

三 号

正当な理由がないのに、二年以内にその事業を開始せず、又は二年を超えて引き続きその事業を休止したとき。

四 号

不正の手段により第三条第一項 又は第八条第一項の許可を受けたとき。

五 号

第八条第一項の規定により許可を受けなければならない事項を同項の許可を受けないで変更したとき。

1項

製造事業者の相続人につき第七条第一項ただし書の規定の適用がある場合、第十一条第二項の規定により製造事業者の許可が効力を失った場合 又は前条の規定により製造事業者の許可が取り消された場合において、当該製造場 又は貯蔵所にその業務に係る半製品 又はアルコールが現存するときは、経済産業大臣は、当該相続人、当該効力を失った許可を受けていた者 又は当該取り消された許可を受けていた者の申請により、期間を指定し、そのアルコールの製造 又は譲渡を継続させることができる。

2項

前項の場合においては、同項の規定により経済産業大臣が指定した期間は、同項に規定する者を製造事業者とみなして、この法律の規定を適用する。

1項

経済産業大臣は、製造事業者に関する第三条第二項第一号第二号 及び第五号に掲げる事項 その他経済産業省令で定める事項を記載した製造事業者名簿を備えなければならない。

2項

経済産業大臣は、製造事業者名簿を一般の閲覧に供しなければならない。

1項

製造事業者は、アルコールの製造に係る酒母 又はもろみを譲渡し、アルコールの製造以外の用途に使用し、又は経済産業大臣の承認を受けないで製造場から移出してはならない。

第二節 アルコールの輸入の事業

1項
アルコールの輸入を業として行おうとする者は、経済産業大臣の許可を受けなければならない。
2項

前項の許可を受けようとする者は、経済産業省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を経済産業大臣に提出しなければならない。

一 号
商号、名称 又は氏名 及び住所
二 号
法人である場合においては、その代表者の氏名 及び住所
三 号

未成年者である場合においては、その法定代理人(アルコールの輸入に係る事業に関し代理権を有する者に限る)の氏名、商号 又は名称 及び住所

四 号

前号に規定する法定代理人が法人である場合においては、その代表者の氏名 及び住所

五 号
主たる事務所の所在地 及び貯蔵所の所在地
六 号
貯蔵所ごとの設備の能力 及び構造
七 号
事業開始の予定年月日
八 号
その他経済産業省令で定める事項
1項

前条第一項の許可を受けた者(以下「輸入事業者」という。)でなければ、アルコールを輸入してはならない。


ただし、試験、研究 又は分析のために使用する目的でアルコールを輸入しようとする場合において、経済産業省令で定めるところにより、経済産業大臣の承認を受けたときは、この限りでない。

1項

経済産業大臣は、第十六条第一項の許可の申請が次の各号いずれにも適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。

一 号
その事業を適確に遂行するに足りる経理的基礎を有すること。
二 号
アルコールの数量の管理のための措置が経済産業省令で定める基準に適合するものであること。
三 号
その他アルコールの適正な流通の確保に支障を及ぼすおそれがないこと。
1項

輸入事業者の相続人につき次条において準用する第七条第一項ただし書の規定の適用がある場合、次条において準用する第十一条第二項の規定により輸入事業者の許可が効力を失った場合 又は次条において準用する第十二条の規定により輸入事業者の許可が取り消された場合において、当該貯蔵所にその業務に係るアルコールが現存するときは、経済産業大臣は、当該相続人、当該効力を失った許可を受けていた者 又は当該取り消された許可を受けていた者の申請により、期間を指定し、そのアルコールの譲渡を継続させることができる。

2項

前項の場合においては、同項の規定により経済産業大臣が指定した期間は、同項に規定する者を輸入事業者とみなして、この法律の規定を適用する。

1項

第五条の規定は第十六条第一項の許可に、第七条から第十二条まで 及び第十四条の規定は輸入事業者に準用する。


この場合において、

第七条第一項
第五条各号」とあるのは
第二十条において準用する第五条各号」と、

第八条第一項
第三条第二項第六号」とあるのは
第十六条第二項第六号」と、

同条第二項
第三条第二項第一号から第四号まで 若しくは第八号」とあるのは
第十六条第二項第一号から第四号まで 若しくは第八号」と、

同条第三項
第六条」とあるのは
第十八条」と、

第九条第三項
アルコール、酒母 又はもろみ」とあるのは
「アルコール」と、

第十二条第二号
第五条第一号 又は第四号から第六号まで」とあるのは
第二十条において準用する第五条第一号 又は第四号から第六号まで」と、

同条第四号
第三条第一項」とあるのは
第十六条第一項」と、

同号 及び同条第五号
第八条第一項」とあるのは
第二十条において準用する第八条第一項」と、

第十四条
製造事業者名簿」とあるのは
「輸入事業者名簿」と、

同条第一項
第三条第二項第一号、第二号 及び第五号」とあるのは
第十六条第二項第一号第二号 及び第五号」と

読み替えるものとする。

第三節 アルコールの販売の事業

1項

アルコール(特定アルコールを除く。以下この条 及び次条において同じ。)の販売を業として行おうとする者は、経済産業大臣の許可を受けなければならない。


ただし、製造事業者 又は輸入事業者が、その製造し、又は輸入したアルコールを販売する場合は、この限りでない。

2項

前項の許可を受けようとする者は、経済産業省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を経済産業大臣に提出しなければならない。

一 号
商号、名称 又は氏名 及び住所
二 号
法人である場合においては、その代表者の氏名 及び住所
三 号

未成年者である場合においては、その法定代理人(アルコールの販売に係る事業に関し代理権を有する者に限る)の氏名、商号 又は名称 及び住所

四 号

前号に規定する法定代理人が法人である場合においては、その代表者の氏名 及び住所

五 号
主たる事務所の所在地 並びに営業所 及び貯蔵所の所在地
六 号
貯蔵所ごとの設備の能力 及び構造
七 号
事業開始の予定年月日
八 号
その他経済産業省令で定める事項
1項

前条第一項の許可を受けた者(以下「販売事業者」という。)、製造事業者 又は輸入事業者でなければ、アルコールを譲渡してはならない。


ただし、許可使用者が経済産業大臣の承認を受けて、アルコールを譲渡する場合は、この限りでない。

2項

販売事業者は、製造事業者等(製造事業者、販売事業者、許可使用者 及び第四条第三号の規定により経済産業大臣の承認を受けた者をいう。以下同じ。以外の者にアルコールを譲渡してはならない。


ただし、輸出する場合は、この限りでない。

3項

製造事業者は、その製造したアルコールを製造事業者等以外の者に譲渡してはならない。


ただし、輸出する場合は、この限りでない。

4項

輸入事業者は、その輸入したアルコールを製造事業者等以外の者に譲渡してはならない。


ただし、輸出する場合は、この限りでない。

1項

経済産業大臣は、第二十一条第一項の許可の申請が次の各号いずれにも適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。

一 号
その事業を適確に遂行するに足りる経理的基礎を有すること。
二 号
アルコールの数量の管理のための措置が経済産業省令で定める基準に適合するものであること。
三 号
その他アルコールの適正な流通の確保に支障を及ぼすおそれがないこと。
1項

販売事業者の相続人につき次条において準用する第七条第一項ただし書の規定の適用がある場合、次条において準用する第十一条第二項の規定により販売事業者の許可が効力を失った場合 又は次条において準用する第十二条の規定により販売事業者の許可が取り消された場合において、当該貯蔵所にその業務に係るアルコールが現存するときは、経済産業大臣は、当該相続人、当該効力を失った許可を受けていた者 又は当該取り消された許可を受けていた者の申請により、期間を指定し、そのアルコールの譲渡を継続させることができる。

2項

前項の場合においては、同項の規定により経済産業大臣が指定した期間は、同項に規定する者を販売事業者とみなして、この法律の規定を適用する。

1項

第五条の規定は第二十一条第一項の許可に、第七条から第十二条まで 及び第十四条の規定は販売事業者に準用する。


この場合において、

第七条第一項
第五条各号」とあるのは
第二十五条において準用する第五条各号」と、

第八条第一項
第三条第二項第六号」とあるのは
第二十一条第二項第六号」と、

同条第二項
第三条第二項第一号から第四号まで 若しくは第八号」とあるのは
第二十一条第二項第一号から第四号まで 若しくは第八号」と、

同条第三項
第六条」とあるのは
第二十三条」と、

第九条第三項
アルコール、酒母 又はもろみ」とあるのは
「アルコール」と、

第十二条第二号
第五条第一号 又は第四号から第六号まで」とあるのは
第二十五条において準用する第五条第一号 又は第四号から第六号まで」と、

同条第四号
第三条第一項」とあるのは
第二十一条第一項」と、

同号 及び同条第五号
第八条第一項」とあるのは
第二十五条において準用する第八条第一項」と、

第十四条
製造事業者名簿」とあるのは
「販売事業者名簿」と、

同条第一項
第三条第二項第一号、第二号 及び第五号」とあるのは
第二十一条第二項第一号第二号 及び第五号」と

読み替えるものとする。

第四節 アルコールの使用

1項

アルコール(特定アルコールを除く。以下この条 及び次条において同じ。)を工業用に使用しようとする者は、経済産業大臣の許可を受けなければならない。

2項

前項の許可を受けようとする者は、経済産業省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を経済産業大臣に提出しなければならない。

一 号
商号、名称 又は氏名 及び住所
二 号
法人である場合においては、その代表者の氏名 及び住所
三 号

未成年者である場合においては、その法定代理人(アルコールの使用に関し代理権を有する者に限る)の氏名、商号 又は名称 及び住所

四 号

前号に規定する法定代理人が法人である場合においては、その代表者の氏名 及び住所

五 号
主たる事務所の所在地 並びにアルコールの使用施設 及び貯蔵設備の所在地
六 号
使用施設ごとのアルコールの用途 及び使用方法 並びに使用設備の能力 及び構造 並びに貯蔵設備ごとの能力 及び構造
七 号
使用の時期
八 号
その他経済産業省令で定める事項
1項

許可使用者でなければ、アルコールを使用してはならない。


ただし第十七条ただし書の規定により経済産業大臣の承認を受けて輸入したアルコールを試験、研究 又は分析のために使用するときは、この限りでない。

2項

許可使用者は、当該許可に係る用途にアルコールを使用し、かつ当該許可に係る使用方法によりアルコールを使用しなければならない。

1項

経済産業大臣は、第二十六条第一項の許可の申請が次の各号いずれにも適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。

一 号
使用方法がアルコールの数量を適確に管理できるものと認められること。
二 号
アルコールの数量の管理のための措置が経済産業省令で定める基準に適合するものであること。
三 号
その他アルコールの適正な流通の確保に支障を及ぼすおそれがないこと。
1項

許可使用者の相続人につき次条において準用する第七条第一項ただし書の規定の適用がある場合、次条において準用する第十一条第二項の規定により許可使用者の許可が効力を失った場合 又は次条において準用する第十二条の規定により許可使用者の許可が取り消された場合において、当該使用施設 又は貯蔵設備にアルコールが現存するときは、経済産業大臣は、当該相続人、当該効力を失った許可を受けていた者 又は当該取り消された許可を受けていた者の申請により、期間を指定し、そのアルコールの使用を継続させることができる。

2項

前項の場合においては、同項の規定により経済産業大臣が指定した期間は、同項に規定する者を許可使用者とみなして、この法律の規定を適用する。

1項

第五条の規定は第二十六条第一項の許可に、第七条から第十二条まで 及び第十四条の規定は許可使用者に準用する。


この場合において、

第七条第一項
第五条各号」とあるのは
第三十条において準用する第五条各号」と、

第八条第一項
第三条第二項第六号」とあるのは
第二十六条第二項第六号」と、

同条第二項
第三条第二項第一号から第四号まで 若しくは第八号」とあるのは
第二十六条第二項第一号から第四号まで 若しくは第八号」と、

同条第三項
第六条」とあるのは
第二十八条」と、

第九条第三項
アルコール、酒母 又はもろみ」とあるのは
「アルコール」と、

第十一条 及び第十二条
事業」とあるのは
「使用」と、

同条第二号
第五条第一号 又は第四号から第六号まで」とあるのは
第三十条において準用する第五条第一号 又は第四号から第六号まで」と、

同条第四号
第三条第一項」とあるのは
第二十六条第一項」と、

同号 及び同条第五号
第八条第一項」とあるのは
第三十条において準用する第八条第一項」と、

第十四条
製造事業者名簿」とあるのは
「許可使用者名簿」と、

同条第一項
第三条第二項第一号、第二号 及び第五号」とあるのは
第二十六条第二項第一号第二号 及び第五号」と

読み替えるものとする。

第三章 特定アルコールの譲渡

1項

製造事業者 又は輸入事業者は、特定アルコールとしてアルコールを譲渡したときは、当該譲渡した特定アルコールの数量に当該特定アルコールに係る加算額を乗じて得た額を国庫に納付しなければならない。

2項

前項の規定による納付金の納付の手続については、政令で定める。

1項

経済産業大臣は、前条第一項の規定による納付金の納付の義務の履行を確保するため必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、製造事業者 又は輸入事業者に対し、金額 及び期間を指定し、納付金につき担保の提供を命ずることができる。

2項

経済産業大臣は、必要があると認めるときは、前項の金額 又は期間を変更することができる。

3項

経済産業大臣は、第一項の規定により担保の提供を命じた場合において、必要があると認めるときは、製造事業者 又は輸入事業者が担保を提供するまで、当該製造事業者 又は当該輸入事業者が保有するアルコールの処分 又は譲渡を禁止することができる。

第四章 雑則

1項

製造事業者、輸入事業者、販売事業者 及び許可使用者は、許可使用者がその使用の過程において薄める場合 その他経済産業省令で定める場合のほか、アルコール(特定アルコールを除く)を薄めてアルコール分を九十度未満にしてはならない。

1項

経済産業大臣は、次の各号に掲げる者に対し、それぞれ当該各号に掲げるアルコールの数量にそのアルコールに係る加算額を乗じて得た額に相当する額の納付金を国庫に納付することを命じなければならない。

一 号

製造事業者等以外の者にアルコール(特定アルコールを除く。以下この条において同じ。)を譲渡した製造事業者(アルコールを輸出した者を除く

当該譲渡されたアルコールの数量

二 号

製造事業者等以外の者にアルコールを譲渡した輸入事業者(アルコールを輸出した者を除く

当該譲渡されたアルコールの数量

三 号

製造事業者等以外の者にアルコールを譲渡した販売事業者(アルコールを輸出した者を除く

当該譲渡されたアルコールの数量

四 号

アルコールを譲渡した許可使用者(第二十二条第一項ただし書の規定による承認を受けてアルコールを譲渡した場合を除く

当該譲渡されたアルコールの数量

五 号

アルコールを使用した製造事業者

当該使用されたアルコールの数量

六 号

アルコールを使用した輸入事業者

当該使用されたアルコールの数量

七 号

アルコールを使用した販売事業者

当該使用されたアルコールの数量

八 号

第二十六条第一項の許可に係る用途以外の用途にアルコールを使用した許可使用者

当該使用されたアルコールの数量

2項

前項の規定による命令を受けた者は、同項に規定する納付金を国庫に納付しなければならない。

3項

第四十七条第二項の規定により没収されたアルコールには、第一項に規定する納付金を課さない

1項

経済産業大臣は、第三十一条第一項の規定による納付金 又は前条第一項に規定する納付金を納期限までに納付しない者があるときは、督促状によって納付すべき期限を指定して督促しなければならない。

2項

経済産業大臣は、前項の規定による督促をしたときは、同項の納付金の額につき年十四・五パーセントの割合で、納期限の翌日からその納付の日までの日数により計算した延滞金を徴収することができる。

3項

前項の場合において、納付金の額の一部につき納付があったときは、その納付の日以降の期間に係る延滞金の額の計算の基礎となる納付金の額は、その納付のあった納付金の額を控除した額とする。

4項

第一項の規定による督促を受けた者がその指定する期限までにその納付すべき金額を納付しない場合においては、経済産業大臣は、国税滞納処分の例により、第一項 及び第二項に規定する納付金 及び延滞金を徴収することができる。


この場合における納付金 及び延滞金の先取特権の順位は、国税 及び地方税に次ぐものとする。

5項
延滞金は、納付金に先立つものとする。
1項

何人も、法令に基づく場合のほか、第四条の規定に違反して製造されたアルコール 又は第十七条の規定に違反して輸入されたアルコールを所持し、譲り渡し、又は譲り受けてはならない。

1項
許可 又は承認には、条件を付し、及びこれを変更することができる。
2項

前項の条件は、許可 又は承認に係る事項の確実な実施を図るため必要な最小限度のものに限り、かつ、当該許可 又は承認を受ける者に不当な義務を課することとなるものであってはならない。

1項

経済産業大臣は、この法律で別に定めるもののほか、この法律の施行に必要な限度において、製造事業者、輸入事業者、販売事業者、許可使用者、第四条第三号の規定により経済産業大臣の承認を受けた者(次項において「承認試験研究製造者」という。)又は第十七条ただし書の規定により経済産業大臣の承認を受けた者(次項において「承認輸入者」という。)に対し、その業務に関し報告をさせることができる。

2項

経済産業大臣は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、製造事業者、輸入事業者、販売事業者、許可使用者、承認試験研究製造者 又は承認輸入者の事務所 その他の事業場に立ち入り、アルコール、酒母、もろみ、機械、器具、帳簿、書類 その他の物件を検査させ、関係者に質問させ、又は分析のため必要最小限度の分量に限りアルコール その他の必要な試料を収去させることができる。

3項

前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。

4項

第二項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

1項

経済産業大臣は、緊急時(アルコールの供給が大幅に不足し、又は不足するおそれがある場合において、アルコールの供給を緊急に増加する必要があると経済産業大臣が認めるときをいう。以下この条において同じ。)においては、経済産業省令で定めるところにより、製造事業者、輸入事業者、販売事業者 又は許可使用者に対し、緊急時であることを示してアルコールの製造予定数量 その他の必要な情報の報告をさせ、当該報告に基づき、製造事業者 又は輸入事業者に対し、アルコールの製造予定数量 又はアルコールの輸入予定数量の増加 その他の必要な措置をとるべきことを勧告することができる。

2項

経済産業大臣は、前項の規定による勧告をした場合において、当該勧告を受けた者が、正当な理由がなく、その勧告に従わなかったときは、その旨を公表することができる。

3項
経済産業大臣は、緊急時においては、国民経済の健全な発展に寄与するため、アルコールの製造、輸入、流通 又は在庫の状況に関し、必要な情報を国民に提供するものとする。
1項

この法律の規定は、酒税法第七条第一項の規定により酒類の製造免許を受けた者が酒類の原料としてその免許を受けた製造場において製造するアルコールについては、適用しない

1項
この法律の規定により経済産業大臣の権限に属する事項は、政令で定めるところにより、経済産業局長に行わせることができる。
1項

この法律の規定は、第三十六条第三十七条 及び次章の規定を除き、国に適用があるものとする。


この場合において、

許可」とあるのは、
「承認」と

読み替えるものとする。

1項

この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定 又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。

第五章 罰則

1項

次の各号いずれかに該当する者は、三年以下の懲役 若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

一 号

第四条 又は第十七条の規定に違反した者

二 号

第十二条第二十条において準用する場合を含む。)の規定による命令に違反した者

2項

前項第一号の未遂罪は、罰する。

3項

第一項第一号 及び前項の犯罪に係るアルコール、酒母、もろみ 及びその容器 並びにアルコールの製造用の機械 及び器具は、没収する。


ただし、犯罪の後犯人以外の者が情を知らないでそのアルコール、酒母、もろみ 若しくはその容器 又はアルコールの製造用の機械 若しくは器具を取得したと認められる場合においては、この限りでない。

4項

前項の場合において、そのアルコール、酒母 又はもろみの全部 又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。

1項

次の各号いずれかに該当する者は、一年以下の懲役 若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

一 号

第二十二条の規定に違反した者

二 号

第二十五条 又は第三十条において準用する第十二条の規定による命令に違反した者

三 号

第二十七条第一項の規定に違反した者

四 号

第三十条において準用する第八条第一項の規定に違反して、第二十六条第二項第六号に掲げる使用施設ごとのアルコールの用途を変更した者

五 号

第三十一条第一項の規定に違反した者

六 号

第三十八条の規定に違反した者

2項

前項第二号 及び第五号除く)の犯罪に係るアルコール 及びその容器は、没収する。


ただし、犯罪の後犯人以外の者が情を知らないでそのアルコール 又はその容器を取得したと認められる場合においては、この限りでない。

1項

次の各号いずれかに該当する者は、二百万円以下の罰金に処する。

一 号

第八条第一項の規定に違反して、第三条第二項第六号に掲げる事項を変更した者

二 号

第二十条において準用する第八条第一項の規定に違反して、第十六条第二項第六号に掲げる事項を変更した者

三 号

第二十五条において準用する第八条第一項の規定に違反して、第二十一条第二項第六号に掲げる事項を変更した者

四 号

第三十条において準用する第八条第一項の規定に違反して、第二十六条第二項第六号に掲げる事項を変更した者(前条第一項第四号の規定に該当する者を除く

五 号

第三十五条の規定に違反した者

1項

第十条第二十条第二十五条 及び第三十条において準用する場合を含む。)の規定による命令に違反した者は、百万円以下の罰金に処する。

1項

第三十九条第一項の条件に違反した者は、三十万円以下の罰金に処する。

1項

次の各号いずれかに該当する者は、二十万円以下の罰金に処する。

一 号

第九条第一項第二十条第二十五条 及び第三十条において準用する場合を含む。)の規定に違反して、同項に規定する事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかった者

二 号

第九条第二項第二十条第二十五条 及び第三十条において準用する場合を含む。)、第四十条第一項 又は第四十一条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者

三 号

第九条第三項第二十条第二十五条 及び第三十条において準用する場合を含む。)の規定に違反した者

四 号

第十五条の規定に違反した者

五 号

第三十二条第三項の規定による禁止に違反して、アルコールを処分し 又は譲渡した者

六 号

第四十条第二項の規定による検査 若しくは収去を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした者

2項

前項第四号の犯罪に係る酒母、もろみ 及びその容器は、没収する。


ただし、犯罪の後犯人以外の者が情を知らないでその酒母、もろみ 又はその容器を取得したと認められる場合においては、この限りでない。

3項

前項の場合において、その酒母 又はもろみの全部 又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。

1項

法人の代表者 又は法人 若しくは人の代理人、使用人 その他の従業者が、その法人 又は人の業務に関し、第四十六条から前条までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人 又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。

1項

第七条第二項第八条第二項 又は第十一条第一項これらの規定を第二十条第二十五条 及び第三十条において準用する場合を含む。)の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、十万円以下の過料に処する。