刑事訴訟法

# 昭和二十三年法律第百三十一号 #
略称 : 刑訴法 

第八章 被告人の召喚、勾引及び勾留

分類 法律
カテゴリ   刑事
@ 施行日 : 令和六年二月十五日 ( 2024年 2月15日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第六十六号による改正
最終編集日 : 2024年 03月12日 02時50分


1項

裁判所は、裁判所の規則で定める相当の猶予期間を置いて、被告人を召喚することができる。

1項

裁判所は、次の場合には、被告人を勾引することができる。

一 号
被告人が定まつた住居を有しないとき。
二 号

被告人が、正当な理由がなく、召喚に応じないとき、又は応じないおそれがあるとき。

1項

勾引した被告人は、裁判所に引致した時から二十四時間以内にこれを釈放しなければならない。


但し、その時間内に勾留状が発せられたときは、この限りでない。

1項

裁判所は、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、左の各号の一にあたるときは、これを勾留することができる。

一 号

被告人が定まつた住居を有しないとき。

二 号

被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。

三 号

被告人が逃亡し 又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。

○2項

勾留の期間は、公訴の提起があつた日から二箇月とする。


特に継続の必要がある場合においては、具体的にその理由を附した決定で、一箇月ごとにこれを更新することができる。


但し第八十九条第一号第三号第四号 又は第六号にあたる場合を除いては、更新は、一回に限るものとする。

○3項

三十万円刑法暴力行為等処罰に関する法律大正十五年法律第六十号)及び経済関係罰則の整備に関する法律昭和十九年法律第四号)の罪以外の罪については、当分の間、二万円以下の罰金、拘留 又は科料に当たる事件については、被告人が定まつた住居を有しない場合に限り、第一項の規定を適用する。

1項

被告人の勾留は、被告人に対し被告事件を告げ これに関する陳述を聴いた後でなければ、これをすることができない。


但し、被告人が逃亡した場合は、この限りでない。

1項

被告人の召喚、勾引 又は勾留は、召喚状、勾引状 又は勾留状を発してこれをしなければならない。

1項

召喚状には、被告人の氏名 及び住居、罪名、出頭すべき年月日時 及び場所 並びに正当な理由がなく出頭しないときは勾引状を発することがある旨 その他裁判所の規則で定める事項を記載し、裁判長 又は受命裁判官が、これに記名押印しなければならない。

1項

勾引状 又は勾留状には、被告人の氏名 及び住居、罪名、公訴事実の要旨、引致すべき場所 又は勾留すべき刑事施設、有効期間 及びその期間経過後は執行に着手することができず令状はこれを返還しなければならない旨 並びに発付の年月日 その他裁判所の規則で定める事項を記載し、裁判長 又は受命裁判官が、これに記名押印しなければならない。

○2項

被告人の氏名が明らかでないときは、人相、体格 その他被告人を特定するに足りる事項で被告人を指示することができる。

○3項

被告人の住居が明らかでないときは、これを記載することを要しない。

1項

召喚状は、これを送達する。

○2項

被告人から期日に出頭する旨を記載した書面を差し出し、又は出頭した被告人に対し口頭で次回の出頭を命じたときは、召喚状を送達した場合と同一の効力を有する。


口頭で出頭を命じた場合には、その旨を調書に記載しなければならない。

○3項

裁判所に近接する刑事施設にいる被告人に対しては、刑事施設職員刑事施設の長 又はその指名する刑事施設の職員をいう。以下同じ。)に通知してこれを召喚することができる。


この場合には、被告人が刑事施設職員から通知を受けた時に召喚状の送達があつたものとみなす。

1項

裁判所は、被告人の現在地の地方裁判所、家庭裁判所 又は簡易裁判所の裁判官に被告人の勾引を嘱託することができる。

○2項

受託裁判官は、受託の権限を有する他の地方裁判所、家庭裁判所 又は簡易裁判所の裁判官に転嘱することができる。

○3項

受託裁判官は、受託事項について権限を有しないときは、受託の権限を有する他の地方裁判所、家庭裁判所 又は簡易裁判所の裁判官に嘱託を移送することができる。

○4項

嘱託 又は移送を受けた裁判官は、勾引状を発しなければならない。

○5項

第六十四条の規定は、前項の勾引状についてこれを準用する。


この場合においては、勾引状に嘱託によつてこれを発する旨を記載しなければならない。

1項

前条の場合には、嘱託によつて勾引状を発した裁判官は、被告人を引致した時から二十四時間以内にその人違でないかどうかを取り調べなければならない。

○2項

被告人が人違でないときは、速やかに且つ直接これを指定された裁判所に送致しなければならない。


この場合には、嘱託によつて勾引状を発した裁判官は、被告人が指定された裁判所に到着すべき期間を定めなければならない。

○3項

前項の場合には、第五十九条の期間は、被告人が指定された裁判所に到着した時からこれを起算する。

1項

裁判所は、必要があるときは、指定の場所に被告人の出頭 又は同行を命ずることができる。


被告人が正当な理由がなくこれに応じないときは、その場所に勾引することができる。


この場合には、第五十九条の期間は、被告人をその場所に引致した時からこれを起算する。

1項

裁判長は、急速を要する場合には、第五十七条乃至第六十二条第六十五条第六十六条 及び前条に規定する処分をし、又は合議体の構成員にこれをさせることができる。

1項

勾引状 又は勾留状は、検察官の指揮によつて、検察事務官 又は司法警察職員がこれを執行する。


但し、急速を要する場合には、裁判長、受命裁判官 又は地方裁判所、家庭裁判所 若しくは簡易裁判所の裁判官は、その執行を指揮することができる。

○2項

刑事施設にいる被告人に対して発せられた勾留状は、検察官の指揮によつて、刑事施設職員がこれを執行する。

1項

検察事務官 又は司法警察職員は、必要があるときは、管轄区域外で、勾引状 若しくは勾留状を執行し、又はその地の検察事務官 若しくは司法警察職員にその執行を求めることができる。

1項

被告人の現在地が判らないときは、裁判長は、検事長にその捜査 及び勾引状 又は勾留状の執行を嘱託することができる。

○2項

嘱託を受けた検事長は、その管内の検察官に捜査 及び勾引状 又は勾留状の執行の手続をさせなければならない。

1項

勾引状を執行するには、これを被告人に示した上、できる限り速やかに且つ直接、指定された裁判所 その他の場所に引致しなければならない。


第六十六条第四項の勾引状については、これを発した裁判官に引致しなければならない。

○2項

勾留状を執行するには、これを被告人に示した上、できる限り速やかに、かつ、直接、指定された刑事施設に引致しなければならない。

○3項

勾引状 又は勾留状を所持しないためこれを示すことができない場合において、急速を要するときは、前二項の規定にかかわらず、被告人に対し公訴事実の要旨 及び令状が発せられている旨を告げて、その執行をすることができる。


但し、令状は、できる限り速やかにこれを示さなければならない。

1項

勾引状 又は勾留状の執行を受けた被告人を護送する場合において必要があるときは、仮に最寄りの刑事施設にこれを留置することができる。

1項

勾引状の執行を受けた被告人を引致した場合において必要があるときは、これを刑事施設に留置することができる。

1項

被告人を勾引したときは、直ちに被告人に対し、公訴事実の要旨 及び弁護人を選任することができる旨 並びに貧困 その他の事由により自ら弁護人を選任することができないときは弁護人の選任を請求することができる旨を告げなければならない。


ただし、被告人に弁護人があるときは、公訴事実の要旨を告げれば足りる。

○2項

前項の規定により弁護人を選任することができる旨を告げるに当たつては、弁護士、弁護士法人(弁護士・外国法事務弁護士共同法人を含む。以下同じ。) 又は弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出ることができる旨 及び その申出先を教示しなければならない。

○3項

第一項の告知 及び前項の教示は、合議体の構成員 又は裁判所書記官にこれをさせることができる。

○4項

第六十六条第四項の規定により勾引状を発した場合には、第一項の告知 及び第二項の教示は、その勾引状を発した裁判官がこれをしなければならない。


ただし、裁判所書記官にその告知 及び教示をさせることができる。

1項

被告人を勾留するには、被告人に対し、弁護人を選任することができる旨 及び貧困 その他の事由により自ら弁護人を選任することができないときは弁護人の選任を請求することができる旨を告げなければならない。


ただし、被告人に弁護人があるときは、この限りでない。

○2項

前項の規定により弁護人を選任することができる旨を告げるに当たつては、勾留された被告人は弁護士、弁護士法人 又は弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出ることができる旨 及びその申出先を教示しなければならない。

○3項

第六十一条ただし書の場合には、被告人を勾留した後直ちに、第一項に規定する事項 及び公訴事実の要旨を告げるとともに、前項に規定する事項を教示しなければならない。


ただし、被告人に弁護人があるときは、公訴事実の要旨を告げれば足りる。

○4項

前条第三項の規定は、第一項の告知、第二項の教示 並びに前項の告知 及び教示についてこれを準用する。

1項

勾引 又は勾留された被告人は、裁判所 又は刑事施設の長 若しくはその代理者に弁護士、弁護士法人 又は弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出ることができる。


ただし、被告人に弁護人があるときは、この限りでない。

○2項

前項の申出を受けた裁判所 又は刑事施設の長 若しくはその代理者は、直ちに被告人の指定した弁護士、弁護士法人 又は弁護士会にその旨を通知しなければならない。


被告人が二人以上の弁護士 又は二以上の弁護士法人 若しくは弁護士会を指定して前項の申出をしたときは、そのうちの一人の弁護士 又は一の弁護士法人 若しくは弁護士会にこれを通知すれば足りる。

1項

被告人を勾留したときは、直ちに弁護人にその旨を通知しなければならない。


被告人に弁護人がないときは、被告人の法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族 及び兄弟姉妹のうち被告人の指定する者一人にその旨を通知しなければならない。

1項

勾留されている被告人は、第三十九条第一項に規定する者以外の者と、法令の範囲内で、接見し、又は書類 若しくは物の授受をすることができる。


勾引状により刑事施設に留置されている被告人も、同様である。

1項

裁判所は、逃亡し 又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるときは、検察官の請求により 又は職権で、勾留されている被告人と第三十九条第一項に規定する者以外の者との接見を禁じ、又はこれと授受すべき書類 その他の物を検閲し、その授受を禁じ、若しくはこれを差し押えることができる。


但し、糧食の授受を禁じ、又はこれを差し押えることはできない

1項

勾留されている被告人は、裁判所に勾留の理由の開示を請求することができる。

○2項

勾留されている被告人の弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族、兄弟姉妹 その他利害関係人も、前項の請求をすることができる。

○3項

前二項の請求は、保釈、勾留の執行停止 若しくは勾留の取消があつたとき、又は勾留状の効力が消滅したときは、その効力を失う。

1項

勾留の理由の開示は、公開の法廷でこれをしなければならない。

○2項

法廷は、裁判官 及び裁判所書記が列席してこれを開く。

○3項

被告人 及び その弁護人が出頭しないときは、開廷することはできない


但し被告人の出頭については、被告人が病気 その他やむを得ない事由によつて出頭することができず且つ被告人に異議がないとき、弁護人の出頭については、被告人に異議がないときは、この限りでない。

1項

法廷においては、裁判長は、勾留の理由を告げなければならない。

○2項

検察官 又は被告人 及び弁護人 並びにこれらの者以外の請求者は、意見を述べることができる。


但し、裁判長は、相当と認めるときは、意見の陳述に代え意見を記載した書面を差し出すべきことを命ずることができる。

1項

勾留の理由の開示は、合議体の構成員にこれをさせることができる。

1項

同一の勾留について第八十二条の請求が二以上ある場合には、勾留の理由の開示は、最初の請求についてこれを行う。


その他の請求は、勾留の理由の開示が終つた後、決定でこれを却下しなければならない。

1項

勾留の理由 又は勾留の必要がなくなつたときは、裁判所は、検察官、勾留されている被告人 若しくはその弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族 若しくは兄弟姉妹の請求により、又は職権で、決定を以て勾留を取り消さなければならない。

○2項

第八十二条第三項の規定は、前項の請求についてこれを準用する。

1項

勾留されている被告人 又はその弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族 若しくは兄弟姉妹は、保釈の請求をすることができる。

○2項

第八十二条第三項の規定は、前項の請求についてこれを準用する。

1項

保釈の請求があつたときは、次の場合を除いては、これを許さなければならない。

一 号

被告人が死刑 又は無期 若しくは短期一年以上の懲役 若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。

二 号

被告人が前に死刑 又は無期 若しくは長期十年を超える懲役 若しくは禁錮に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。

三 号

被告人が常習として長期三年以上の懲役 又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。

四 号

被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。

五 号

被告人が、被害者 その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者 若しくはその親族の身体 若しくは財産に害を加え 又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。

六 号

被告人の氏名 又は住居が分からないとき。

1項

裁判所は、保釈された場合に被告人が逃亡し 又は罪証を隠滅するおそれの程度のほか、身体の拘束の継続により被告人が受ける健康上、経済上、社会生活上 又は防御の準備上の不利益の程度 その他の事情を考慮し、適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができる。

1項

勾留による拘禁が不当に長くなつたときは、裁判所は、第八十八条に規定する者の請求により、又は職権で、決定を以て勾留を取り消し、又は保釈を許さなければならない。

○2項

第八十二条第三項の規定は、前項の請求についてこれを準用する。

1項

裁判所は、保釈を許す決定 又は保釈の請求を却下する決定をするには、検察官の意見を聴かなければならない。

○2項

検察官の請求による場合を除いて、勾留を取り消す決定をするときも、前項同様である。


但し、急速を要する場合は、この限りでない。

1項

保釈を許す場合には、保証金額を定めなければならない。

○2項

保証金額は、犯罪の性質 及び情状、証拠の証明力 並びに被告人の性格 及び資産を考慮して、被告人の出頭を保証するに足りる相当な金額でなければならない。

○3項
保釈を許す場合には、被告人の住居を制限し、その他適当と認める条件を付することができる。
4項

裁判所は、前項の規定により被告人の住居を制限する場合において、必要と認めるときは、裁判所の許可を受けないでその指定する期間を超えて当該住居を離れてはならない旨の条件を付することができる。

5項

前項の期間は、被告人の生活の状況 その他の事情を考慮して指定する。

6項

第四項の許可をする場合には、同項の住居を離れることを必要とする理由 その他の事情を考慮して、当該住居を離れることができる期間を指定しなければならない。

7項

裁判所は、必要と認めるときは、前項の期間を延長することができる。

8項

裁判所は、第四項の許可を受けた被告人について、同項の住居を離れることができる期間として指定された期間の終期まで当該住居を離れる必要がなくなつたと認めるときは、当該期間を短縮することができる。

1項

保釈を許す決定は、保証金の納付があつた後でなければ、これを執行することができない

○2項

裁判所は、保釈請求者でない者に保証金を納めることを許すことができる。

○3項

裁判所は、有価証券 又は裁判所の適当と認める被告人以外の者の差し出した保証書を以て保証金に代えることを許すことができる。

1項

裁判所は、適当と認めるときは、決定で、勾留されている被告人を親族、保護団体 その他の者に委託し、又は被告人の住居を制限して、勾留の執行を停止することができる。


この場合においては、適当と認める条件を付することができる。

2項

前項前段の決定をする場合には、勾留の執行停止をする期間を指定することができる。

3項

前項の期間を指定するに当たつては、その終期を日時をもつて指定するとともに、当該日時に出頭すべき場所を指定しなければならない。

4項

裁判所は、必要と認めるときは、第二項の期間を延長することができる。


この場合においては、前項の規定を準用する。

5項

裁判所は、期間を指定されて勾留の執行停止をされた被告人について、当該期間の終期として指定された日時まで勾留の執行停止を継続する必要がなくなつたと認めるときは、当該期間を短縮することができる。


この場合においては、第三項の規定を準用する。

6項

第九十三条第四項から第八項までの規定は、第一項前段の規定により被告人の住居を制限する場合について準用する。

1項

期間を指定されて勾留の執行停止をされた被告人が、正当な理由がなく、当該期間の終期として指定された日時に、出頭すべき場所として指定された場所に出頭しないときは、二年以下の拘禁刑に処する。

1項

裁判所の許可を受けないで指定された期間を超えて制限された住居を離れてはならない旨の条件を付されて保釈 又は勾留の執行停止をされた被告人が、当該条件に係る住居を離れ、当該許可を受けないで、正当な理由がなく、当該期間を超えて当該住居に帰着しないときは、二年以下の拘禁刑に処する。

2項

前項の被告人が、裁判所の許可を受けて同項の住居を離れ、正当な理由がなく、当該住居を離れることができる期間として指定された期間を超えて当該住居に帰着しないときも、同項と同様とする。

1項

裁判所は、被告人の逃亡を防止し、又は公判期日への出頭を確保するため必要があると認めるときは、保釈を許す決定 又は第九十五条第一項前段の決定を受けた被告人に対し、その住居、労働 又は通学の状況、身分関係 その他のその変更が被告人が逃亡すると疑うに足りる相当な理由の有無の判断に影響を及ぼす生活上 又は身分上の事項として裁判所の定めるものについて、次に掲げるところに従つて報告をすることを命ずることができる。

一 号
裁判所の指定する時期に、当該時期における当該事項について報告をすること。
二 号
当該事項に変更が生じたときは、速やかに、その変更の内容について報告をすること。
2項

裁判所は、前項の場合において、必要と認めるときは、同項の被告人に対し、同項の規定による報告を裁判所の指定する日時 及び場所に出頭してすることを命ずることができる。

3項

裁判所は、第一項の規定による報告があつたときは その旨 及びその報告の内容を、同項第一号に係る部分に限る)の規定による報告がなかつたとき 又は同項第二号に係る部分に限る)の規定による報告がなかつたことを知つたときは その旨 及びその状況を、それぞれ速やかに検察官に通知しなければならない。

1項

裁判所は、次の各号いずれかに該当する場合には、検察官の請求により、又は職権で、決定で、保釈 又は勾留の執行停止を取り消すことができる。

一 号

被告人が、召喚を受け正当な理由がなく出頭しないとき

二 号

被告人が逃亡し 又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。

三 号

被告人が罪証を隠滅し 又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。

四 号

被告人が、被害者 その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者 若しくはその親族の身体 若しくは財産に害を加え 若しくは加えようとし、又はこれらの者を畏怖させる行為をしたとき。

五 号

被告人が、正当な理由がなく前条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。

六 号

被告人が住居の制限 その他裁判所の定めた条件に違反したとき。

○2項

前項の規定により保釈を取り消す場合には、裁判所は、決定で、保証金の全部 又は一部を没取することができる。

○3項

保釈を取り消された者が、第九十八条の二の規定による命令を受け正当な理由がなく出頭しないとき、又は逃亡したときも、前項と同様とする。

4項

拘禁刑以上の刑に処する判決(拘禁刑の全部の執行猶予の言渡しをしないものに限る。以下同じ。)の宣告を受けた後、保釈 又は勾留の執行停止をされている被告人が逃亡したときは、裁判所は、検察官の請求により、又は職権で、決定で、保釈 又は勾留の執行停止を取り消さなければならない。

5項

前項の規定により保釈を取り消す場合には、裁判所は、決定で、保証金の全部 又は一部を没取しなければならない。

6項

保釈を取り消された者が、第九十八条の二の規定による命令を受け正当な理由がなく出頭しない場合 又は逃亡した場合において、その者が拘禁刑以上の刑に処する判決の宣告を受けた者であるときは、裁判所は、決定で、保証金の全部 又は一部を没取しなければならない。


ただし第四項の規定により保釈を取り消された者が 逃亡したときは、
この限りでない。

7項

保釈された者が、拘禁刑以上の刑に処する判決 又は拘留に処する判決の宣告を受けた後、第三百四十三条の二第四百四条第四百十四条において準用する場合を含む。第九十八条の十七第一項第二号 及び第四号において同じ。)において準用する場合を含む。)の規定による命令を受け正当な理由がなく出頭しないとき 又は逃亡したとき(保釈されている場合 及び保釈を取り消された後、逃亡した場合を除く)は検察官の請求により 又は職権で、刑の執行のため呼出しを受け正当な理由がなく出頭しないときは検察官の請求により、決定で、保証金の全部 又は一部を没取しなければならない。

1項

上訴の提起期間内の事件でまだ上訴の提起がないものについて、勾留の期間を更新し、勾留を取り消し、又は保釈 若しくは勾留の執行停止をし、若しくはこれを取り消すべき場合には、原裁判所が、その決定をしなければならない。

○2項

上訴中の事件で訴訟記録が上訴裁判所に到達していないものについて前項の決定をすべき裁判所は、裁判所の規則の定めるところによる。

○3項

前二項の規定は、勾留の理由の開示をすべき場合にこれを準用する。

1項

保釈 若しくは勾留の執行停止を取り消す決定があつたとき、又は勾留の執行停止の期間が満了したときは、検察事務官、司法警察職員 又は刑事施設職員は、検察官の指揮により、勾留状の謄本 及び保釈 若しくは勾留の執行停止を取り消す決定の謄本 又は期間を指定した勾留の執行停止の決定の謄本を被告人に示してこれを刑事施設に収容しなければならない。

○2項

前項の書面を所持しないためこれを示すことができない場合において、急速を要するときは、同項の規定にかかわらず、検察官の指揮により、被告人に対し保釈 若しくは勾留の執行停止が取り消された旨 又は勾留の執行停止の期間が満了した旨を告げて、これを刑事施設に収容することができる。


ただし、その書面は、できる限り速やかにこれを示さなければならない。

○3項

第七十一条の規定は、前二項の規定による収容についてこれを準用する。

1項
検察官は、保釈 又は勾留の執行停止を取り消す決定があつた場合において、被告人が刑事施設に収容されていないときは、被告人に対し、指定する日時 及び場所に出頭することを命ずることができる。
1項

保釈 又は勾留の執行停止を取り消され、検察官から出頭を命ぜられた被告人が、正当な理由がなく、指定された日時 及び場所に出頭しないときは、二年以下の拘禁刑に処する。