日本銀行法
制定に関する表明
日本銀行法(昭和十七年法律第六十七号)の全部を改正する。
第一章 総則
日本銀行は、前項に規定するもののほか、銀行 その他の金融機関の間で行われる資金決済の円滑の確保を図り、もって信用秩序の維持に資することを目的とする。
日本銀行は、本店を東京都に置く。
財務大臣は、前二項の認可の申請があった場合において、当該申請に係る認可をしなかったときは、速やかに、その旨 及びその理由を当該申請の内容とともに公表しなければならない。
日本銀行の資本金は、政府 及び政府以外の者からの出資による一億円とする。
前項の日本銀行の資本金のうち政府からの出資の額は、五千五百万円を下回ってはならない。
日本銀行は、前条第一項の出資に対し、出資証券を発行する。
前項の出資証券 その他出資に関し必要な事項は、政令で定める。
日本銀行は、定款をもって、次の事項を規定しなければならない。
第七条第四項の規定は、前項の認可について準用する。
日本銀行は、政令で定めるところにより、登記をしなければならない。
前項の規定により登記をしなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもって第三者に対抗することができない。
第二章 政策委員会
日本銀行に、政策委員会(以下この章 及び次章において「委員会」という。)を置く。
第三十三条第一項第一号の手形の割引に係る基準となるべき割引率 その他の割引率 並びに当該割引に係る手形の種類 及び条件の決定 又は変更
第三十三条第一項第二号の貸付けに係る基準となるべき貸付利率 その他の貸付利率 並びに当該貸付けに係る担保の種類、条件 及び価額の決定 又は変更
準備預金制度に関する法律(昭和三十二年法律第百三十五号)第四条第一項に規定する準備率 及び基準日等の設定、変更 又は廃止
第三十三条第一項第三号に規定する手形、債券 又は電子記録債権(電子記録債権法(平成十九年法律第百二号)第二条第一項に規定する電子記録債権をいう。以下この号 及び第三十三条第一項において同じ。)の売買 その他の方法による金融市場調節(金融市場を通じて行う通貨 及び金融の調節(公開市場操作を含む。)をいう。)の方針 並びに当該金融市場調節に係る手形、債券 又は電子記録債権の種類 及び条件 その他の事項の決定 又は変更
前各号に掲げる事項の基礎となる経済 及び金融の情勢に関する基本的見解 その他通貨 及び金融の調節に関する日本銀行としての見解の決定 又は変更
前項の規定により委員会の議決によるものとされる事項のほか、次に掲げる事項は、委員会の議決を経なければならない。
第三十七条第一項の規定による貸付けの実施 及び第三十八条第二項の規定による業務の実施
第三十九条第一項の規定による認可の申請 及び当該認可に係る業務に関する重要事項
第四十条第三項に規定する国際金融面での協力に該当するものとして財務大臣が定めるもののため行う外国為替の売買の実施、第四十一条に規定する業務に係る各外国中央銀行等(同条に規定する外国中央銀行等をいう。)との取引の開始 及び第四十二条の規定による取引の実施
第四十三条第一項ただし書の規定による認可の申請 及び当該認可に係る業務に関する重要事項
第四十四条第一項に規定する考査に関する契約の内容 及び毎事業年度の考査の実施に関する重要事項
組織 及び定員に関する重要事項(前号に掲げるものを除く。)
第三十一条第一項に規定する給与等の支給の基準 及び第三十二条に規定する服務に関する準則の作成 又は変更
経費の予算(第五十一条第一項に規定する経費の予算をいう。)の作成 又は変更、財産目録、貸借対照表、損益計算書 及び決算報告書の作成、剰余金の処分 その他の会計に関する重要事項
第五十四条第一項に規定する報告書の作成 及び第五十五条に規定する業務概況書の作成
第五十九条に規定する規程の作成 又は変更
前各号に掲げるもののほか、委員会が特に必要と認める事項
委員会は、日本銀行の役員(監事 及び参与を除く。)の職務の執行を監督する。
委員会は、委員九人で組織する。
委員は、審議委員六人のほか、日本銀行の総裁 及び副総裁二人をもってこれに充てる。
この場合において、日本銀行の総裁 及び副総裁は、第二十二条第一項 及び第二項の規定にかかわらず、それぞれ独立して委員の職務を執行する。
委員会は、あらかじめ、委員のうちから、議長に事故がある場合に議長の職務を代理する者を定めておかなければならない。
委員会の会議は、議長(議長に事故があるときは、前条第五項に規定する議長の職務を代理する者。以下この条、次条 及び第二十条において同じ。)が招集する。
議長は、委員会の会議のうち第十五条第一項各号に掲げる事項(以下この章において「金融調節事項」という。)を議事とする会議については、政令で定めるところにより、これを定期的に招集しなければならない。
前項の規定は、議長が必要と認める場合 又は現に在任する委員の総数の三分の一以上が必要と認めて議長に対し その招集を求めた場合において金融調節事項を議事とする会議を招集することを妨げるものと解してはならない。
委員会は、議長が出席し、かつ、現に在任する委員の総数の三分の二以上の出席がなければ、会議を開き、議決をすることができない。
委員会の議事は、出席した委員の過半数をもって決する。
可否同数のときは、議長が決する。
財務大臣 又は内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第十九条第二項に規定する経済財政政策担当大臣(経済財政政策担当大臣が置かれていないときは、内閣総理大臣。次項において「経済財政政策担当大臣」という。)は、必要に応じ、金融調節事項を議事とする会議に出席して意見を述べ、又はそれぞれの指名するその職員を当該会議に出席させて意見を述べさせることができる。
前項の規定による議決の延期の求めがあったときは、委員会は、議事の議決の例により、その求めについての採否を決定しなければならない。
議長は、金融調節事項を議事とする会議の終了後、速やかに、委員会の定めるところにより、当該会議の議事の概要を記載した書類を作成し、当該書類について金融調節事項を議事とする会議において委員会の承認を得て、これを公表しなければならない。
議長は、委員会の定めるところにより、金融調節事項を議事とする会議の議事録を作成し、委員会が適当と認めて定める相当期間経過後に、これを公表しなければならない。
第三章 役員及び職員
日本銀行に、役員として、審議委員六人のほか、総裁一人、副総裁二人、監事三人以内、理事六人以内 及び参与若干人を置く。
総裁 又は副総裁の代表権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
日本銀行と総裁 又は副総裁との利益が相反する事項については、総裁 又は副総裁は、代表権を有しない。
この場合においては、裁判所は、利害関係人 又は検察官の請求により、特別代理人を選任しなければならない。
総裁、副総裁 又は審議委員の任期が満了し、又は欠員が生じた場合において、国会の閉会 又は衆議院の解散のために両議院の同意を得ることができないときは、内閣は、第一項 及び第二項の規定にかかわらず、総裁、副総裁 又は審議委員を任命することができる。
前項の場合においては、任命後最初の国会において両議院の事後の承認を得なければならない。
この場合において、両議院の事後の承認が得られないときは、内閣は、直ちにその総裁、副総裁 又は審議委員を解任しなければならない。
総裁、副総裁 及び審議委員の任期は五年、監事 及び理事の任期は四年、参与の任期は二年とする。
ただし、総裁、副総裁 又は審議委員が欠員となった場合における補欠の総裁、副総裁 又は審議委員の任期は、前任者の残任期間とする。
総裁、副総裁、審議委員、監事、理事 及び参与は、再任されることができる。
日本銀行の役員(理事を除く。)は、第二十三条第六項後段に規定する場合 又は次の各号のいずれかに該当する場合を除くほか、在任中、その意に反して解任されることがない。
禁錮以上の刑に処せられたとき。
心身の故障のため職務を執行することができないと委員会(監事にあっては、委員会 及び内閣)により認められたとき。
内閣 又は財務大臣は、日本銀行の役員が前項各号に掲げる場合のいずれかに該当する場合には、当該役員を解任しなければならない。
前項の規定によるほか、理事については、財務大臣は、委員会からその解任の求めがあったときは、当該求めがあった理事を解任することができる。
日本銀行の役員(参与を除く。以下この条、第三十一条 及び第三十二条において同じ。)は、在任中、次に掲げる行為をしてはならない。
報酬のある他の職務(役員としての職務の適切な執行に支障がない職務の基準として第三十二条に規定する服務に関する準則で定めたものを満たすものと委員会において認めたものを除く。)に従事すること。
日本銀行の役員 及び職員は、その職務上知ることができた秘密を漏らし、又は盗用してはならない。
これらの者がその職を退いた後も、同様とする。
日本銀行は、その役員 及び職員の報酬(賞与 その他の金銭の給付を含む。)、給与(賞与 その他の金銭の給付を含む。)及び退職手当(次項において「給与等」という。)の支給の基準を社会一般の情勢に適合したものとなるよう定め、これを財務大臣に届け出るとともに、公表しなければならない。
これを変更したときも、同様とする。
前項に規定する給与等の支給の基準のうち役員に係るものは、特別職の職員の給与に関する法律(昭和二十四年法律第二百五十二号)の適用を受ける国家公務員の給与 及び退職手当 その他の事情を勘案して定められなければならない。
日本銀行は、その業務の公共性にかんがみ、その役員 及び職員の職務の適切な執行を確保するため、役員 及び職員の職務に専念する義務、私企業からの隔離 その他の服務に関する準則を定め、これを財務大臣に届け出るとともに、公表しなければならない。
これを変更したときも、同様とする。
第四章 業務
日本銀行は、第一条の目的を達成するため、次に掲げる業務を行うことができる。
商業手形 その他の手形(日本銀行の振出しに係るものを含む。)、国債 その他の債券 又は電子記録債権の売買
地金銀の売買 その他前各号の業務に付随する業務
前項第五号の「預り金」とは、預金契約に基づいて行う預金の受入れをいう。
日本銀行は、我が国の中央銀行として、前条第一項に規定する業務のほか、国との間で次に掲げる業務を行うことができる。
財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第五条ただし書の規定による国会の議決を経た金額の範囲内において担保を徴求することなく行う貸付け
財政法 その他の国の会計に関する法律の規定により国がすることが認められる一時借入金について担保を徴求することなく行う貸付け
財政法第五条ただし書の規定による国会の議決を経た金額の範囲内において行う国債の応募 又は引受け
日本銀行は、前項の規定により国庫金を取り扱う場合には、第三十三条第一項に規定する業務のほか、その取扱いに必要な業務を行うことができる。
日本銀行は、前項の規定により国の事務を取り扱う場合には、第三十三条第一項に規定する業務のほか、その取扱いに必要な業務を行うことができる。
第一項の国の事務の取扱いに要する経費は、法令で定めるところにより、日本銀行の負担とすることができる。
日本銀行は、金融機関(銀行 その他の預金等(預金保険法(昭和四十六年法律第三十四号)第二条第二項に規定する預金等 及び貯金をいう。)の受入れ及び為替取引を業として行う者をいう。以下同じ。)その他の金融業を営む者であって政令で定めるもの(以下「金融機関等」という。)において電子情報処理組織の故障 その他の偶発的な事由により予見し難い支払資金の一時的な不足が生じた場合であって、その不足する支払資金が直ちに確保されなければ当該金融機関等の業務の遂行に著しい支障が生じるおそれがある場合において、金融機関の間における資金決済の円滑の確保を図るために必要があると認めるときは、第三十三条第一項の規定にかかわらず、当該金融機関等に対し、政令で定める期間を限度として、担保を徴求することなく その不足する支払資金に相当する金額の資金の貸付けを行うことができる。
日本銀行は、前項の規定による貸付けを行ったときは、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣 及び財務大臣に届け出なければならない。
内閣総理大臣 及び財務大臣は、銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第五十七条の五の規定 その他の法令の規定による協議に基づき信用秩序の維持に重大な支障が生じるおそれがあると認めるとき、その他の信用秩序の維持のため特に必要があると認めるときは、日本銀行に対し、当該協議に係る金融機関への資金の貸付け その他の信用秩序の維持のために必要と認められる業務を行うことを要請することができる。
日本銀行は、前項の規定による内閣総理大臣 及び財務大臣の要請があったときは、第三十三条第一項に規定する業務のほか、当該要請に応じて特別の条件による資金の貸付け その他の信用秩序の維持のために必要と認められる業務を行うことができる。
日本銀行は、第三十三条から前条までに規定する業務のほか、内閣総理大臣 及び財務大臣の認可を受けて、第三十三条第一項第五号から第七号までに掲げる業務 又は第三十五条第二項 若しくは第三十六条第二項に規定する業務と一体的に行うことによって金融機関の間における資金決済の円滑に資すると認められる業務を行うことができる。
第七条第四項の規定は、前項の認可について準用する。
日本銀行は、必要に応じ自ら、又は第三十六条第一項の規定により国の事務の取扱いをする者として、外国為替の売買を行うほか、我が国の中央銀行としての外国中央銀行等(外国の中央銀行 又はこれに準ずる者をいう。以下同じ。)又は国際機関(我が国が加盟している国際機関をいい、国際決済銀行を含む。以下同じ。)との協力を図るため、これらの者による外国為替の売買の事務の取扱いをする者として、外国為替の売買を行うことができる。
日本銀行は、その行う外国為替の売買であって本邦通貨の外国為替相場の安定を目的とするものについては、第三十六条第一項の規定により国の事務の取扱いをする者として行うものとする。
日本銀行は、第一項の規定により我が国の中央銀行としての外国中央銀行等 又は国際機関との協力を図るため、自ら、又はこれらの者の事務の取扱いをする者として行う外国為替の売買のうち、国際金融面での協力に該当するものとして財務大臣が定めるもののため行う外国為替の売買については、財務大臣からの要請に基づき、又はあらかじめその承認を得て、行うものとする。
本邦通貨をもって表示される預金に係る預り金(第三十三条第二項に規定する預り金をいう。)
前号の業務により受け入れた預金を対価として行う国債の売却 及びその買取り
日本銀行は、前条の規定による業務のほか、我が国の中央銀行としての外国中央銀行等 又は国際機関との協力であって国際金融支援 その他の国際金融面での協力を図るため、次に掲げる取引 その他の当該協力のために必要な取引を、財務大臣からの要請に基づき、又はあらかじめその承認を得て、行うことができる。
日本銀行は、この法律の規定により日本銀行の業務とされた業務以外の業務を行ってはならない。
ただし、この法律に規定する日本銀行の目的達成上必要がある場合において、財務大臣 及び内閣総理大臣の認可を受けたときは、この限りでない。
第七条第四項の規定は、前項の認可について準用する。
日本銀行は、第三十七条から第三十九条までに規定する業務を適切に行い、及びこれらの業務の適切な実施に備えるためのものとして、これらの業務の相手方となる金融機関等(以下この条において「取引先金融機関等」という。)との間で、考査(取引先金融機関等の業務 及び財産の状況について、日本銀行が当該取引先金融機関等へ立ち入って行う調査をいう。以下この条において同じ。)に関する契約(考査を行うときはあらかじめ取引先金融機関等に対し連絡し その承諾を得なければならないものであること その他の政令で定める要件を備えたものに限る。)を締結することができる。
日本銀行は、考査を行う場合には、当該考査に伴う取引先金融機関等の事務負担に配慮しなければならない。
日本銀行は、金融庁長官から要請があったときは、その行った考査の結果を記載した書類 その他の考査に関する資料を金融庁長官に対し提出し、又はその職員に閲覧させることができる。
日本銀行は、業務方法書を定め、これを財務大臣 及び内閣総理大臣に届け出なければならない。
これを変更したときも、同様とする。
前項の業務方法書には、資金の貸付けに関する事項 その他の政令で定める事項を記載しなければならない。
第五章 日本銀行券
前項の規定により日本銀行が発行する銀行券(以下「日本銀行券」という。)は、法貨として無制限に通用する。
日本銀行は、日本銀行券の製造 及び消却の手続を定め、財務大臣の承認を受けなければならない。
これを変更しようとするときも、同様とする。
第七条第四項の規定は、前項の承認について準用する。
第六章 会計
日本銀行の事業年度は、毎年四月一日から翌年三月三十一日までとする。
日本銀行は、毎事業年度、経費(通貨 及び金融の調節に支障を生じさせないものとして政令で定める経費に限る。)に関する予算(以下「経費の予算」という。)を作成し、当該事業年度開始前に、財務大臣に提出して、その認可を受けなければならない。
これを変更しようとするときも、同様とする。
財務大臣は、前項の規定により提出された経費の予算を認可することが適当でないと認めるときは、速やかに、その旨 及びその理由を日本銀行に通知するとともに、当該提出に係る経費の予算の詳細 及び当該理由を公表しなければならない。
日本銀行は、前項の規定による通知があったときは、財務大臣に対し意見を述べ、又は必要に応じ当該意見を公表することができる。
日本銀行は、財産目録 及び貸借対照表については四月から九月まで及び十月から翌年三月までの半期ごとに、損益計算書についてはこれらの半期 及び事業年度ごとに作成し、これらの書類(以下「財務諸表」という。)に関する監事の意見書を添付して、当該半期 又は当該事業年度経過後二月以内に、これを財務大臣に提出し、その承認を受けなければならない。
日本銀行は、前項の規定により事業年度に係る財務諸表を財務大臣に提出するときは、これに当該事業年度の決算報告書 及び当該決算報告書に関する監事の意見書を添付しなければならない。
日本銀行は、第一項の規定による財務大臣の承認を受けたときは、遅滞なく、財務諸表、前項の決算報告書 及び前二項の監事の意見書を、本店 及び支店に備え置き、政策委員会が適当と認めて定める相当期間、一般の閲覧に供しなければならない。
日本銀行は、各事業年度の損益計算上剰余金を生じたときは、当該剰余金の額の百分の五に相当する金額を、準備金として積み立てなければならない。
日本銀行は、特に必要があると認めるときは、前項の規定にかかわらず、財務大臣の認可を受けて、同項の剰余金の額のうち同項の規定により積み立てなければならないとされる額を超える金額を、同項の準備金として積み立てることができる。
前二項の規定により積み立てられた準備金は、日本銀行において生じた損失の補てん 又は次項の規定による配当に充てる場合を除いては、取り崩してはならない。
日本銀行は、財務大臣の認可を受けて、その出資者に対し、各事業年度の損益計算上の剰余金の配当をすることができる。
ただし、払込出資金額に対する当該剰余金の配当の率は、年百分の五の割合を超えてはならない。
日本銀行は、各事業年度の損益計算上の剰余金の額から、第一項 又は第二項の規定により積み立てた金額 及び前項の規定による配当の金額の合計額を控除した残額を、当該各事業年度終了後二月以内に、国庫に納付しなければならない。
政府は、前項の規定による各事業年度に係る国庫納付金の一部を、政令で定めるところにより、当該各事業年度中において概算で納付させることができる。
第五項の規定による納付金の額は、法人税法(昭和四十年法律第三十四号)の規定による所得 及び地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の規定による事業税に係る所得の金額の計算上、損金の額に算入する。
前三項に定めるもののほか、第五項の規定による納付金に関し必要な事項は、政令で定める。
第七条第四項の規定は、第二項 及び第四項の認可について準用する。
第七章 国会に対する報告等
日本銀行は、おおむね六月に一回、政策委員会が議決した第十五条第一項各号に掲げる事項の内容 及びそれに基づき日本銀行が行った業務の状況を記載した報告書を作成し、財務大臣を経由して国会に提出しなければならない。
日本銀行は、前項の報告書について、国会に対し説明をするよう努めなければならない。
日本銀行の総裁 若しくは政策委員会の議長 又はそれらの指定する代理者は、日本銀行の業務 及び財産の状況について各議院 又はその委員会から説明のため出席することを求められたときは、当該各議院 又は委員会に出席しなければならない。
日本銀行は、各事業年度に係る財務諸表について第五十二条第一項の承認を受けたときは、遅滞なく、当該事業年度に係る業務概況書を作成し、これを当該財務諸表 及び当該事業年度の決算報告書とともに公表しなければならない。
第八章 違法行為等の是正等
日本銀行は、前項の規定による財務大臣 又は内閣総理大臣の求めがあったときは、速やかに当該行為の是正 その他の政策委員会が必要と認める措置を講ずるとともに、当該措置の内容を財務大臣 又は内閣総理大臣に報告しなければならない。
日本銀行の監事は、前項の規定による財務大臣 又は内閣総理大臣の求めがあったときは、速やかに当該求めがあった事項について監査し、その結果を財務大臣 又は内閣総理大臣に報告するとともに、政策委員会に報告しなければならない。
第九章 雑則
日本銀行は、この法律で別に定めるものを除くほか、組織 その他に関する規程を作成したときは、遅滞なく、これを財務大臣に届け出なければならない。
これを変更したときも、同様とする。
特別代理人の選任に関する事件は、日本銀行の本店の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。
一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)第四条 及び第七十八条の規定は、日本銀行について準用する。
内閣総理大臣は、この法律(第十九条を除く。)による権限(政令で定めるものを除く。)を金融庁長官に委任する。
この法律に規定するもののほか、この法律を実施するため必要な事項は、政令で定める。
第十章 罰則
第二十九条の規定に違反して秘密を漏らし、又は盗用した者は、一年以下の懲役 又は五十万円以下の罰金に処する。
第五十七条第二項の規定による監査をせず、又は同項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をした者は、五十万円以下の罰金に処する。
次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした日本銀行の役員 又は職員は、五十万円以下の過料に処する。
この法律の規定(第四十三条第一項の規定を除く。)により財務大臣 若しくは財務大臣 及び内閣総理大臣の認可 又は財務大臣の承認を受けなければならない場合において、その認可 又は承認を受けなかったとき。
この法律の規定により財務大臣 又は財務大臣 及び内閣総理大臣に届出をしなければならない場合において、その届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。
この法律の規定により公表をしなければならない場合において、その公表をせず、又は虚偽の公表をしたとき。
第十二条第一項の規定による政令に違反して登記することを怠ったとき。
第二十六条第一項の規定に違反して報酬のある他の職務に従事し、又は営利事業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行ったとき。
第四十三条第一項の規定に違反して日本銀行の業務とされた業務以外の業務を行ったとき。
第四十八条の規定に違反したとき。
第五十二条第三項の規定に違反して財務諸表、決算報告書 若しくは監事の意見書を備え置かず、又は閲覧に供しなかったとき。
第五十三条第一項の規定に違反して準備金を積み立てなかったとき。
第五十三条第三項の規定に違反して準備金を取り崩したとき。
第五十三条第四項ただし書の規定に違反して配当をしたとき。
第五十六条第二項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。
第五十八条の規定による報告 若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告 若しくは資料の提出をしたとき。
第十三条の規定に違反した者は、五十万円以下の過料に処する。