刑事訴訟法

# 昭和二十三年法律第百三十一号 #
略称 : 刑訴法 

第一節 公判準備及び公判手続

分類 法律
カテゴリ   刑事
@ 施行日 : 令和六年二月十五日 ( 2024年 2月15日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第六十六号による改正
最終編集日 : 2024年 03月12日 02時50分


1項

裁判所は、公訴の提起があつたときは、遅滞なく起訴状の謄本を被告人に送達しなければならない。

○2項

公訴の提起があつた日から二箇月以内に起訴状の謄本が送達されないときは、公訴の提起は、さかのぼつてその効力を失う。

1項

検察官は、起訴状に記載された次に掲げる者の個人特定事項について、必要と認めるときは、裁判所に対し、前条第一項の規定による起訴状の謄本の送達により当該個人特定事項が被告人に知られないようにするための措置をとることを求めることができる。

一 号
次に掲げる事件の被害者

刑法第百七十六条第百七十七条第百七十九条第百八十一条 若しくは第百八十二条の罪、同法第二百二十五条 若しくは第二百二十六条の二第三項の罪(わいせつ 又は結婚の目的に係る部分に限る。以下 このにおいて同じ。)、同法第二百二十七条第一項同法第二百二十五条 又は第二百二十六条の二第三項の罪を犯した者を幇助する目的に係る部分に限る)若しくは第三項わいせつの目的に係る部分に限る)の罪 若しくは同法第二百四十一条第一項 若しくは第三項の罪 又はこれらの罪の未遂罪に係る事件

児童福祉法第六十条第一項の罪 若しくは同法第三十四条第一項第九号に係る同法第六十条第二項の罪、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律第四条から第八条までの罪 又は性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律第二条から第六条までの罪に係る事件

及びに掲げる事件のほか、犯行の態様、被害の状況 その他の事情により、被害者の個人特定事項が被告人に知られることにより次に掲げるおそれがあると認められる事件

(1)
被害者等の名誉 又は社会生活の平穏が著しく害されるおそれ
(2)

(1)に掲げるもののほか、被害者 若しくはその親族の身体 若しくは財産に害を加え 又はこれらの者を畏怖させ 若しくは困惑させる行為がなされるおそれ

二 号

前号に掲げる者のほか、個人特定事項が被告人に知られることにより次に掲げるおそれがあると認められる者

その者の名誉 又は社会生活の平穏が著しく害されるおそれ

に掲げるもののほか、その者 若しくはその親族の身体 若しくは財産に害を加え 又はこれらの者を畏怖させ 若しくは困惑させる行為がなされるおそれ

2項

前項の規定による求めは、公訴の提起において、裁判所に対し、起訴状とともに、被告人に送達するものとして、当該求めに係る個人特定事項の記載がない起訴状の抄本 その他の起訴状の謄本に代わるもの(以下「起訴状抄本等」という。)を提出して行わなければならない。

3項

前項の場合には、起訴状抄本等については、その公訴事実を第二百五十六条第三項に規定する公訴事実とみなして、同項の規定を適用する。


この場合において、

同項
できる限り日時、場所 及び方法を以て罪となるべき事実」とあるのは、
「罪となるべき事実」と

する。

4項

裁判所は、第二項の規定による起訴状抄本等の提出があつたときは、前条第一項の規定にかかわらず、遅滞なく起訴状抄本等を被告人に送達しなければならない。


この場合において、

第二百五十五条 及び前条第二項
起訴状の謄本」とあるのは、
起訴状抄本等」と

する。

1項

検察官は、前条第二項の規定により起訴状抄本等を提出する場合において、被告人に弁護人があるときは、裁判所に対し、弁護人に送達するものとして、起訴状の謄本を提出しなければならない。

2項

裁判所は、前項の規定による起訴状の謄本の提出があつたときは、遅滞なく、弁護人に対し、起訴状に記載された個人特定事項のうち起訴状抄本等に記載がないものを被告人に知らせてはならない旨の条件を付して起訴状の謄本を送達しなければならない。

3項

検察官は、第一項に規定する場合において、前項の規定による措置によつては、前条第一項第一号ハ(1)若しくは第二号イに規定する名誉 若しくは社会生活の平穏が著しく害されること 又は同項第一号ハ(2)若しくは第二号ロに規定する行為を防止できないおそれがあると認めるときは、裁判所に対し、起訴状の謄本に代えて弁護人に送達するものとして、起訴状抄本等を提出することができる。

4項

裁判所は、前項の規定による起訴状抄本等の提出があつたときは、遅滞なく、弁護人に対し、起訴状抄本等を送達しなければならない。

1項

裁判所は、第二百七十一条の二第二項の規定による起訴状抄本等の提出があつた後に弁護人が選任されたときは、速やかに、検察官に その旨を通知しなければならない。

2項

検察官は、前項の規定による通知を受けたときは、速やかに、裁判所に対し、弁護人に送達するものとして、起訴状の謄本を提出しなければならない。

3項

裁判所は、前項の規定による起訴状の謄本の提出があつたときは、遅滞なく、弁護人に対し、起訴状に記載された個人特定事項のうち起訴状抄本等に記載がないものを被告人に知らせてはならない旨の条件を付して起訴状の謄本を送達しなければならない。

4項

検察官は、第二項に規定する場合において、前項の規定による措置によつては、第二百七十一条の二第一項第一号ハ(1)若しくは第二号イに規定する名誉 若しくは社会生活の平穏が著しく害されること 又は同項第一号ハ(2)若しくは第二号ロに規定する行為を防止できないおそれがあると認めるときは、裁判所に対し、起訴状の謄本に代えて弁護人に送達するものとして、起訴状抄本等を提出することができる。

5項

裁判所は、前項の規定による起訴状抄本等の提出があつたときは、遅滞なく、弁護人に対し、起訴状抄本等を送達しなければならない。

1項

裁判所は、第二百七十一条の二第四項の規定による措置をとつた場合において、次の各号いずれかに該当すると認めるときは、被告人 又は弁護人の請求により、当該措置に係る個人特定事項の全部 又は一部を被告人に通知する旨の決定をしなければならない。

一 号

又はに掲げる個人特定事項の区分に応じ、当該 又はに定める場合であるとき。

被害者の個人特定事項 当該措置に係る事件に係る罪が第二百七十一条の二第一項第一号イ 及びに規定するものに該当せず、かつ、当該措置に係る事件が同号ハに掲げるものに該当しないとき。

被害者以外の者の個人特定事項 当該措置に係る者が第二百七十一条の二第一項第二号に掲げる者に該当しないとき。

二 号
当該措置により被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるとき。
2項

裁判所は、第二百七十一条の三第四項 又は前条第五項の規定による措置をとつた場合において、次の各号いずれかに該当すると認めるときは、被告人 又は弁護人の請求により、弁護人に対し、当該措置に係る個人特定事項を被告人に知らせてはならない旨の条件を付して当該個人特定事項の全部 又は一部を通知する旨の決定をしなければならない。

一 号

第二百七十一条の三第二項 又は前条第三項の規定による措置によつて、第二百七十一条の二第一項第一号ハ(1)及び第二号イに規定する名誉 又は社会生活の平穏が著しく害されること 並びに同項第一号ハ(2)及び第二号ロに規定する行為を防止できるとき。

二 号
当該措置により被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるとき。
3項

裁判所は、前二項の請求について決定をするときは、検察官の意見を聴かなければならない。

4項

第一項 又は第二項の決定に係る通知は、裁判所が、当該決定により通知することとした個人特定事項を記載した書面によりするものとする。

5項

第一項 又は第二項の請求についてした決定に対しては、即時抗告をすることができる。

1項

裁判所は、第二百七十一条の三第一項 又は第二百七十一条の四第二項の規定による起訴状の謄本の提出があつた事件について、起訴状に記載された個人特定事項のうち起訴状抄本等に記載がないもの(前条第一項の決定により通知することとされたものを除く。以下 この条 及び第二百七十一条の八第一項において同じ。)が第二百七十一条の二第一項第一号 又は第二号に掲げる者のものに該当すると認める場合において、検察官 及び弁護人の意見を聴き、相当と認めるときは、弁護人が第四十条第一項の規定により訴訟に関する書類 又は証拠物を閲覧し 又は謄写するに当たり、これらに記載され 又は記録されている当該個人特定事項を被告人に知らせてはならない旨の条件を付し、又は被告人に知らせる時期 若しくは方法を指定することができる。


ただし、当該個人特定事項に係る者の供述の証明力の判断に資するような被告人 その他の関係者との利害関係の有無を確かめることができなくなるとき その他の被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるときは、この限りでない。

2項

裁判所は、第二百七十一条の三第三項 又は第二百七十一条の四第四項の規定による起訴状抄本等の提出があつた事件について、起訴状に記載された個人特定事項のうち起訴状抄本等に記載がないものが第二百七十一条の二第一項第一号 又は第二号に掲げる者のものに該当すると認める場合において、検察官 及び弁護人の意見を聴き、相当と認めるときは、弁護人が第四十条第一項の規定により訴訟に関する書類 又は証拠物を閲覧し 又は謄写するについて、これらのうち当該個人特定事項が記載され 若しくは記録されている部分の閲覧 若しくは謄写を禁じ、又は当該個人特定事項を被告人に知らせてはならない旨の条件を付し、若しくは被告人に知らせる時期 若しくは方法を指定することができる。


ただし、当該個人特定事項に係る者の供述の証明力の判断に資するような被告人 その他の関係者との利害関係の有無を確かめることができなくなるとき その他の被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるときは、この限りでない。

3項

裁判所は、第一項本文に規定する事件について、起訴状に記載された個人特定事項のうち起訴状抄本等に記載がないものが第二百七十一条の二第一項第一号 又は第二号に掲げる者のものに該当すると認める場合において、弁護人から第四十六条の規定による請求があつた場合であつて、検察官 及び弁護人の意見を聴き、相当と認めるときは、弁護人に裁判書 又は裁判を記載した調書の謄本 又は抄本を交付するに当たり、これらに記載されている当該個人特定事項を被告人に知らせてはならない旨の条件を付し、又は被告人に知らせる時期 若しくは方法を指定することができる。


ただし、当該個人特定事項に係る者の供述の証明力の判断に資するような被告人 その他の関係者との利害関係の有無を確かめることができなくなるとき その他の被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるときは、この限りでない。

4項

裁判所は、第二項本文に規定する事件について、起訴状に記載された個人特定事項のうち起訴状抄本等に記載がないものが第二百七十一条の二第一項第一号 又は第二号に掲げる者のものに該当すると認める場合において、弁護人から第四十六条の規定による請求があつた場合であつて、検察官 及び弁護人の意見を聴き、相当と認めるときは、裁判書 若しくは裁判を記載した調書の抄本であつて当該個人特定事項の記載がないものを交付し、又は弁護人に裁判書 若しくは裁判を記載した調書の謄本 若しくは抄本を交付するに当たり、当該個人特定事項を被告人に知らせてはならない旨の条件を付し、若しくは被告人に知らせる時期 若しくは方法を指定することができる。


ただし、当該個人特定事項に係る者の供述の証明力の判断に資するような被告人 その他の関係者との利害関係の有無を確かめることができなくなるとき その他の被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるときは、この限りでない。

5項

裁判所は、第二百七十一条の二第二項の規定による起訴状抄本等の提出があつた事件について、起訴状に記載された個人特定事項のうち起訴状抄本等に記載がないものが同条第一項第一号 又は第二号に掲げる者のものに該当すると認める場合において、被告人 その他訴訟関係人(検察官 及び弁護人を除く)から第四十六条の規定による請求があつた場合であつて、検察官 及び当該請求をした被告人 その他訴訟関係人の意見を聴き、相当と認めるときは、裁判書 又は裁判を記載した調書の抄本であつて当該個人特定事項の記載がないものを交付することができる。


ただし、当該個人特定事項に係る者の供述の証明力の判断に資するような被告人 その他の関係者との利害関係の有無を確かめることができなくなるとき その他の被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるときは、この限りでない。

6項

裁判所は、前項本文に規定する事件について、起訴状に記載された個人特定事項のうち起訴状抄本等に記載がないものが第二百七十一条の二第一項第一号 又は第二号に掲げる者のものに該当すると認める場合において、検察官 及び被告人の意見を聴き、相当と認めるときは、被告人が第四十九条の規定により公判調書を閲覧し 又はその朗読を求めるについて、このうち当該個人特定事項が記載され 若しくは記録されている部分の閲覧を禁じ、又は当該部分の朗読の求めを拒むことができる。


ただし、当該個人特定事項に係る者の供述の証明力の判断に資するような被告人 その他の関係者との利害関係の有無を確かめることができなくなるとき その他の被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるときは、この限りでない。

1項

裁判所は、第二百七十一条の三第二項第二百七十一条の四第三項第二百七十一条の五第二項 若しくは前条第一項から第四項までの規定により付した条件に弁護人が違反したとき、又は同条第一項から第四項までの規定による時期 若しくは方法の指定に弁護人が従わなかつたときは、弁護士である弁護人については当該弁護士の所属する弁護士会 又は日本弁護士連合会に通知し、適当な処置をとるべきことを請求することができる。

2項

前項の規定による請求を受けた者は、そのとつた処置を その請求をした裁判所に通知しなければならない。

1項

裁判所(第一号 及び第四号にあつては裁判長 及び合議体の構成員を、第二号 及び第三号にあつては第六十六条第四項の裁判官 並びに裁判長 及び合議体の構成員を含み、第五号にあつては裁判官とする。)は、第二百七十一条の二第二項の規定による起訴状抄本等の提出があつた事件について、起訴状に記載された個人特定事項のうち 起訴状抄本等に記載がないものが同条第一項第一号 又は第二号に掲げる者のものに該当すると認める場合において、相当と認めるときは、次に掲げる措置をとることができる。

一 号

当該個人特定事項を明らかにしない方法により第六十一条の規定による被告事件の告知をすること。

二 号

勾引状 又は勾留状を発する場合において、これと同時に、被告人に示すものとして、当該個人特定事項を明らかにしない方法により公訴事実の要旨を記載した勾引状の抄本 その他の勾引状に代わるもの 又は勾留状の抄本 その他の勾留状に代わるものを交付すること。

三 号

当該個人特定事項を明らかにしない方法により第七十六条第一項の規定による公訴事実の要旨の告知をし、又はこれをさせること。

四 号

当該個人特定事項を明らかにしない方法により第七十七条第三項の規定による公訴事実の要旨の告知をし、又はこれをさせること。

五 号

当該個人特定事項を明らかにしない方法により第二百八十条第二項の規定による被告事件の告知をすること。

2項

前項第二号に係る部分に限る)の規定による勾引状に代わるものの交付があつた場合における第七十三条第一項 及び第三項の規定の適用については、

同条第一項前段中
これ」とあり、
同条第三項
勾引状 又は勾留状」とあり、
及び同項ただし書中
令状」とあるのは
第二百七十一条の八第一項第二号の勾引状に代わるもの」と、

同項
公訴事実の要旨 及び」とあるのは
「勾引状に記載された個人特定事項のうち第二百七十一条の八第一項第二号の勾引状に代わるものに記載がないものを明らかにしない方法により公訴事実の要旨を告げるとともに、」と

する。

3項

第一項第二号に係る部分に限る)の規定による勾留状に代わるものの交付があつた場合における第七十三条第二項 及び第三項の規定の適用については、

同条第二項
これ」とあり、
同条第三項
勾引状 又は勾留状」とあり、
及び同項ただし書中
令状」とあるのは
第二百七十一条の八第一項第二号の勾留状に代わるもの」と、

同項
公訴事実の要旨 及び」とあるのは
「勾留状に記載された個人特定事項のうち第二百七十一条の八第一項第二号の勾留状に代わるものに記載がないものを明らかにしない方法により公訴事実の要旨を告げるとともに、」と

する。

4項

裁判長 又は合議体の構成員は、第一項第二号に係る部分に限る)の規定による勾留状に代わるものの交付があつた場合 又は第二百七条の二第二項の規定による勾留状に代わるものの交付があつた場合において、勾留状に記載された個人特定事項のうちこれらの勾留状に代わるものに記載がないもの(第二百七十一条の五第一項の決定 又は第二百七条の三第一項の裁判により通知することとされたものを除く)が第二百七十一条の二第一項第一号 又は第二号に掲げる者のものに該当すると認める場合であつて、検察官 及び弁護人の意見を聴き、相当と認めるときは、勾留の理由の開示をするに当たり、当該個人特定事項を明らかにしない方法により被告事件を告げることができる。

5項

第一項第二号に係る部分に限る)の規定による勾留状に代わるものの交付があつた場合 又は第二百七条の二第二項の規定による勾留状に代わるものの交付があつた場合における第九十八条の規定の適用については、

同条第一項
勾留状の謄本」とあるのは、
第二百七十一条の八第一項第二号の勾留状に代わるもの 又は第二百七条の二第二項本文の勾留状に代わるもの」と

する。

6項

前項の規定は、第一項第二号に係る部分に限る)の規定による勾留状に代わるものの交付があつた場合 又は第二百七条の二第二項の規定による勾留状に代わるものの交付があつた場合であつて、第百六十七条の二第二項に規定するときにおける同項において準用する第九十八条の規定の適用について準用する。

1項

裁判所は、公訴の提起があつたときは、遅滞なく被告人に対し、弁護人を選任することができる旨 及び貧困 その他の事由により弁護人を選任することができないときは弁護人の選任を請求することができる旨を知らせなければならない。


但し、被告人に弁護人があるときは、この限りでない。

○2項

裁判所は、この法律により弁護人を要する場合を除いて前項の規定により弁護人の選任を請求することができる旨を知らせるに当たつては、弁護人の選任を請求するには資力申告書を提出しなければならない旨 及びその資力が基準額以上であるときは、あらかじめ弁護士会第三十六条の三第一項の規定により第三十一条の二第一項の申出をすべき弁護士会をいう。)に弁護人の選任の申出をしていなければならない旨を教示しなければならない。

1項

裁判長は、公判期日を定めなければならない。

○2項

公判期日には、被告人を召喚しなければならない。

○3項

公判期日は、これを検察官、弁護人 及び補佐人に通知しなければならない。

1項

裁判所の構内にいる被告人に対し公判期日を通知したときは、召喚状の送達があつた場合と同一の効力を有する。

1項

第一回の公判期日と被告人に対する召喚状の送達との間には、裁判所の規則で定める猶予期間を置かなければならない。

1項

裁判所は、検察官、被告人 若しくは弁護人の請求により又は職権で、公判期日を変更することができる。

○2項

公判期日を変更するには、裁判所の規則の定めるところにより、あらかじめ、検察官 及び被告人 又は弁護人の意見を聴かなければならない。


但し、急速を要する場合は、この限りでない。

○3項

前項但書の場合には、変更後の公判期日において、まず、検察官 及び被告人 又は弁護人に対し、異議を申し立てる機会を与えなければならない。

1項

裁判所がその権限を濫用して公判期日を変更したときは、訴訟関係人は、最高裁判所の規則 又は訓令の定めるところにより、司法行政監督上の措置を求めることができる。

1項

公判期日に召喚を受けた者が病気 その他の事由によつて出頭することができないときは、裁判所の規則の定めるところにより、医師の診断書 その他の資料を提出しなければならない。

1項

保釈 又は勾留の執行停止をされた被告人が、召喚を受け正当な理由がなく公判期日に出頭しないときは、二年以下の拘禁刑に処する。

1項

裁判所は、必要と認めるときは、検察官 又は弁護人に対し、公判準備 又は公判期日に出頭し、かつ、これらの手続が行われている間在席し 又は在廷することを命ずることができる。

○2項

裁判長は、急速を要する場合には、前項に規定する命令をし、又は合議体の構成員にこれをさせることができる。

○3項

前二項の規定による命令を受けた検察官 又は弁護人が正当な理由がなく これに従わないときは、決定で、十万円以下の過料に処し、かつ、その命令に従わないために生じた費用の賠償を命ずることができる。

○4項

前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。

○5項

裁判所は、第三項の決定をしたときは、検察官については当該検察官を指揮監督する権限を有する者に、弁護士である弁護人については当該弁護士の所属する弁護士会 又は日本弁護士連合会に通知し、適当な処置をとるべきことを請求しなければならない。

○6項

前項の規定による請求を受けた者は、そのとつた処置を裁判所に通知しなければならない。

1項

裁判所は、検察官、被告人 若しくは弁護人の請求により又は職権で、公務所 又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。

1項

公訴の提起があつた後 第一回の公判期日までは、勾留に関する処分は、裁判官がこれを行う。

○2項

第百九十九条 若しくは第二百十条の規定により逮捕され、又は現行犯人として逮捕された被疑者でまだ勾留されていないものについて第二百四条 又は第二百五条の時間の制限内に公訴の提起があつた場合には、裁判官は、速やかに、被告事件を告げ、これに関する陳述を聴き、勾留状を発しないときは、直ちにその釈放を命じなければならない。

○3項

前二項の裁判官は、その処分に関し、裁判所 又は裁判長と同一の権限を有する。

1項

証人については、裁判所は、第百五十八条に掲げる事項を考慮した上、検察官 及び被告人 又は弁護人の意見を聴き必要と認めるときに限り、公判期日外においてこれを尋問することができる。

1項

裁判所は、公判期日外における証人尋問に被告人が立ち会つた場合において、証人が被告人の面前(第百五十七条の五第一項に規定する措置を採る場合 並びに第百五十七条の六第一項 及び第二項に規定する方法による場合を含む。)においては圧迫を受け充分な供述をすることができないと認めるときは、弁護人が立ち会つている場合に限り、検察官 及び弁護人の意見を聴き、その証人の供述中 被告人を退席させることができる。


この場合には、供述終了後 被告人に証言の要旨を告知し、その証人を尋問する機会を与えなければならない。

1項

弁護人は、検察官において被告事件の審理の準備のために閲覧 又は謄写の機会を与えた証拠に係る複製等複製 その他証拠の全部 又は一部をそのまま記録した物 及び書面をいう。以下同じ。)を適正に管理し、その保管をみだりに他人にゆだねてはならない。

1項

被告人 若しくは弁護人(第四百四十条に規定する弁護人を含む。)又はこれらであつた者は、検察官において被告事件の審理の準備のために閲覧 又は謄写の機会を与えた証拠に係る複製等を、次に掲げる手続 又はその準備に使用する目的以外の目的で、人に交付し、又は提示し、若しくは電気通信回線を通じて提供してはならない。

一 号

当該被告事件の審理 その他の当該被告事件に係る裁判のための審理

二 号
当該被告事件に関する次に掲げる手続

第一編第十六章の規定による費用の補償の手続

第三百四十九条第一項の請求があつた場合の手続

第三百五十条の請求があつた場合の手続

上訴権回復の請求の手続
再審の請求の手続
非常上告の手続

第五百条第一項の申立ての手続

第五百二条の申立ての手続

刑事補償法の規定による補償の請求の手続

○2項

前項の規定に違反した場合の措置については、被告人の防御権を踏まえ、複製等の内容、行為の目的 及び態様、関係人の名誉、その私生活 又は業務の平穏を害されているかどうか、当該複製等に係る証拠が公判期日において取り調べられたものであるかどうか、その取調べの方法 その他の事情を考慮するものとする。

1項

被告人 又は被告人であつた者が、検察官において被告事件の審理の準備のために閲覧 又は謄写の機会を与えた証拠に係る複製等を、前条第一項各号に掲げる手続 又はその準備に使用する目的以外の目的で、人に交付し、又は提示し、若しくは電気通信回線を通じて提供したときは、一年以下の懲役 又は五十万円以下の罰金に処する。

○2項

弁護人(第四百四十条に規定する弁護人を含む。以下 この項において同じ。)又は弁護人であつた者が、検察官において被告事件の審理の準備のために閲覧 又は謄写の機会を与えた証拠に係る複製等を、対価として財産上の利益 その他の利益を得る目的で、人に交付し、又は提示し、若しくは電気通信回線を通じて提供したときも、前項と同様とする。

1項

裁判所は、審理に二日以上を要する事件については、できる限り、連日開廷し、継続して審理を行わなければならない。

○2項

訴訟関係人は、期日を厳守し、審理に支障を来さないようにしなければならない。

1項

公判期日における取調は、公判廷でこれを行う。

○2項

公判廷は、裁判官 及び裁判所書記が列席し、且つ検察官が出席してこれを開く。

1項

被告人が法人である場合には、代理人を出頭させることができる。

1項

五十万円刑法暴力行為等処罰に関する法律 及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、五万円以下の罰金 又は科料に当たる事件については、被告人は、公判期日に出頭することを要しない。


ただし、被告人は、代理人を出頭させることができる。

1項

拘留にあたる事件の被告人は、判決の宣告をする場合には、公判期日に出頭しなければならない。


その他の場合には、裁判所は、被告人の出頭がその権利の保護のため重要でないと認めるときは、被告人に対し公判期日に出頭しないことを許すことができる。

○2項

長期三年以下の懲役 若しくは禁錮 又は五十万円(刑法暴力行為等処罰に関する法律 及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、五万円)を超える罰金に当たる事件の被告人は、第二百九十一条の手続をする場合 及び判決の宣告をする場合には、公判期日に出頭しなければならない。


その他の場合には、前項後段の例による。

1項

前三条に規定する場合の外、被告人が公判期日に出頭しないときは、開廷することはできない。

1項

被告人が出頭しなければ開廷することができない場合において、勾留されている被告人が、公判期日に召喚を受け、正当な理由がなく出頭を拒否し、刑事施設職員による引致を著しく困難にしたときは、裁判所は、被告人が出頭しないでも、その期日の公判手続を行うことができる。

1項

公判廷においては、被告人の身体を拘束してはならない。


但し、被告人が暴力を振い又は逃亡を企てた場合は、この限りでない。

○2項

被告人の身体を拘束しない場合にも、これに看守者を附することができる。

1項

被告人は、裁判長の許可がなければ、退廷することができない

○2項

裁判長は、被告人を在廷させるため、又は法廷の秩序を維持するため相当な処分をすることができる。

1項

死刑 又は無期 若しくは長期三年を超える懲役 若しくは禁錮にあたる事件を審理する場合には、弁護人がなければ開廷することはできない

○2項

弁護人がなければ開廷することができない場合において、弁護人が出頭しないとき若しくは在廷しなくなつたとき、又は弁護人がないときは、裁判長は、職権で弁護人を付さなければならない。

○3項

弁護人がなければ開廷することができない場合において、弁護人が出頭しないおそれがあるときは、裁判所は、職権で弁護人を付することができる。

1項

第三十七条各号の場合に弁護人が出頭しないときは、裁判所は、職権で弁護人を附することができる。

1項

裁判所は、次に掲げる事件を取り扱う場合において、当該事件の被害者等 若しくは当該被害者の 法定代理人 又はこれらの者から委託を受けた弁護士から申出があるときは、被告人 又は弁護人の意見を聴き、相当と認めるときは、被害者特定事項(氏名 及び住所 その他の当該事件の被害者を特定させることとなる事項をいう。以下同じ。)を公開の法廷で明らかにしない旨の決定をすることができる。

一 号

刑法第百七十六条第百七十七条第百七十九条第百八十一条 若しくは第百八十二条の罪、同法第二百二十五条 若しくは第二百二十六条の二第三項の罪(わいせつ 又は結婚の目的に係る部分に限る。以下 この号において同じ。)、同法第二百二十七条第一項同法第二百二十五条 又は第二百二十六条の二第三項の罪を犯した者を幇助する目的に係る部分に限る)若しくは第三項わいせつの目的に係る部分に限る)の罪 若しくは同法第二百四十一条第一項 若しくは第三項の罪 又はこれらの罪の未遂罪に係る事件

二 号

児童福祉法第六十条第一項の罪 若しくは同法第三十四条第一項第九号に係る同法第六十条第二項の罪、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律第四条から第八条までの罪 又は性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律第二条から第六条までの罪に係る事件

三 号

前二号に掲げる事件のほか、犯行の態様、被害の状況 その他の事情により、被害者特定事項が公開の法廷で明らかにされることにより被害者等の名誉 又は社会生活の平穏が著しく害されるおそれがあると認められる事件

○2項

前項の申出は、あらかじめ検察官にしなければならない。


この場合において、検察官は、意見を付して、これを裁判所に通知するものとする。

○3項

裁判所は、第一項に定めるもののほか、犯行の態様、被害の状況 その他の事情により、被害者特定事項が公開の法廷で明らかにされることにより被害者 若しくはその親族の身体 若しくは財産に害を加え 又はこれらの者を畏怖させ 若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあると認められる事件を取り扱う場合において、検察官 及び被告人 又は弁護人の意見を聴き、相当と認めるときは、被害者特定事項を公開の法廷で明らかにしない旨の決定をすることができる。

○4項

裁判所は、第一項 又は前項の決定をした事件について、被害者特定事項を公開の法廷で明らかにしないことが相当でないと認めるに至つたとき、第三百十二条の規定により罰条が撤回 若しくは変更されたため第一項第一号 若しくは第二号に掲げる事件に該当しなくなつたとき又は同項第三号に掲げる事件 若しくは前項に規定する事件に該当しないと認めるに至つたときは、決定で、第一項 又は前項の決定を取り消さなければならない。

1項

裁判所は、次に掲げる場合において、証人、鑑定人、通訳人、翻訳人 又は供述録取書等供述書、供述を録取した書面で供述者の署名 若しくは押印のあるもの又は映像 若しくは音声を記録することができる記録媒体であつて供述を記録したものをいう。以下同じ。)の供述者(以下 この項において「証人等」という。)から申出があるときは、検察官 及び被告人 又は弁護人の意見を聴き、相当と認めるときは、証人等特定事項氏名 及び住所 その他の当該証人等を特定させることとなる事項をいう。以下同じ。)を公開の法廷で明らかにしない旨の決定をすることができる。

一 号

証人等特定事項が公開の法廷で明らかにされることにより証人等 若しくはその親族の身体 若しくは財産に害を加え 又はこれらの者を畏怖させ 若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあると認めるとき。

二 号

前号に掲げる場合のほか、証人等特定事項が公開の法廷で明らかにされることにより証人等の名誉 又は社会生活の平穏が著しく害されるおそれがあると認めるとき。

○2項

裁判所は、前項の決定をした事件について、証人等特定事項を公開の法廷で明らかにしないことが相当でないと認めるに至つたときは、決定で、同項の決定を取り消さなければならない。

1項

検察官は、まず、起訴状を朗読しなければならない。

○2項

第二百九十条の二第一項 又は第三項の決定があつたときは、前項の起訴状の朗読は、被害者特定事項を明らかにしない方法でこれを行うものとする。


この場合においては、検察官は、被告人に起訴状を示さなければならない。

○3項

前条第一項の決定があつた場合における第一項の起訴状の朗読についても、前項同様とする。


この場合において、

同項
被害者特定事項」とあるのは、
「証人等特定事項」と

する。

○4項

第二百七十一条の二第四項の規定による措置がとられた場合においては、第二項後段(前項前段の規定により第二項後段と同様とすることとされる場合を含む。以下 この項において同じ。)の規定は、当該措置に係る個人特定事項の全部 又は一部について第二百七十一条の五第一項の決定があつた場合に限り、適用する。


この場合において、

第二項後段中
起訴状」とあるのは、
第二百七十一条の二第四項の規定による措置に係る個人特定事項の全部について第二百七十一条の五第一項の決定があつた場合にあつては起訴状を、第二百七十一条の二第四項の規定による措置に係る個人特定事項の一部について当該決定があつた場合にあつては起訴状抄本等 及び第二百七十一条の五第四項に規定する書面」と

する。

5項

裁判長は、第一項の起訴状の朗読が終わつた後、被告人に対し、終始沈黙し、又は個々の質問に対し陳述を拒むことができる旨 その他裁判所の規則で定める被告人の権利を保護するため必要な事項を告げた上、被告人 及び弁護人に対し、被告事件について陳述する機会を与えなければならない。

1項

被告人が、前条第五項の手続に際し、起訴状に記載された訴因について有罪である旨を陳述したときは、裁判所は、検察官、被告人 及び弁護人の意見を聴き、有罪である旨の陳述のあつた訴因に限り、簡易公判手続によつて審判をする旨の決定をすることができる。


ただし、死刑 又は無期 若しくは短期一年以上の懲役 若しくは禁錮に当たる事件については、この限りでない。

1項

裁判所は、前条の決定があつた事件が簡易公判手続によることができないものであり、又はこれによることが相当でないものであると認めるときは、その決定を取り消さなければならない。

1項

証拠調べは、第二百九十一条の手続が終つた後、これを行う。


ただし次節第一款に定める公判前整理手続において争点 及び証拠の整理のために行う手続については、この限りでない。

1項

裁判所は、被害者等 又は当該被害者の法定代理人から、被害に関する心情 その他の被告事件に関する意見の陳述の申出があるときは、公判期日において、その意見を陳述させるものとする。

○2項

前項の規定による意見の陳述の申出は、あらかじめ、検察官にしなければならない。


この場合において、検察官は、意見を付して、これを裁判所に通知するものとする。

○3項

裁判長 又は陪席の裁判官は、被害者等 又は当該被害者の法定代理人が意見を陳述した後、その趣旨を明確にするため、これらの者に質問することができる。

○4項

訴訟関係人は、被害者等 又は当該被害者の法定代理人が意見を陳述した後、その趣旨を明確にするため、裁判長に告げて、これらの者に質問することができる。

○5項

裁判長は、被害者等 若しくは当該被害者の法定代理人の意見の陳述 又は訴訟関係人の被害者等 若しくは当該被害者の法定代理人に対する質問が既にした陳述 若しくは質問と重複するとき、又は事件に関係のない事項にわたるときその他相当でないときは、これを制限することができる。

○6項

第百五十七条の四第百五十七条の五並びに第百五十七条の六第一項 及び第二項の規定は、第一項の規定による意見の陳述について準用する。

○7項

裁判所は、審理の状況 その他の事情を考慮して、相当でないと認めるときは、意見の陳述に代え意見を記載した書面を提出させ、又は意見の陳述をさせないことができる。

○8項

前項の規定により書面が提出された場合には、裁判長は、公判期日において、その旨を明らかにしなければならない。


この場合において、裁判長は、相当と認めるときは、その書面を朗読し、又はその要旨を告げることができる。

○9項

第一項の規定による陳述 又は第七項の規定による書面は、犯罪事実の認定のための証拠とすることができない

1項

証拠調が終つた後、検察官は、事実 及び法律の適用について意見を陳述しなければならない。

○2項

被告人 及び弁護人は、意見を陳述することができる。

1項

公判期日における訴訟の指揮は、裁判長がこれを行う。

1項

裁判長は、訴訟関係人のする尋問 又は陳述が既にした尋問 若しくは陳述と重複するとき、又は事件に関係のない事項にわたるときその他相当でないときは、訴訟関係人の本質的な権利を害しない限り、これを制限することができる。


訴訟関係人の被告人に対する供述を求める行為についても同様である。

○2項

裁判長は、証人、鑑定人、通訳人 又は翻訳人を尋問する場合において、証人、鑑定人、通訳人 若しくは翻訳人 若しくはこれらの親族の身体 若しくは財産に害を加え 又はこれらの者を畏怖させ 若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあり、これらの者の住居、勤務先 その他その通常所在する場所が特定される事項が明らかにされたならば証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人が十分な供述をすることができないと認めるときは、当該事項についての尋問を制限することができる。


ただし、検察官のする尋問を制限することにより犯罪の証明に重大な支障を生ずるおそれがあるとき、又は被告人 若しくは弁護人のする尋問を制限することにより被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるときは、この限りでない。

○3項

裁判長は、第二百九十条の二第一項 又は第三項の決定があつた場合において、訴訟関係人のする尋問 又は陳述が被害者特定事項にわたるときは、これを制限することにより、犯罪の証明に重大な支障を生ずるおそれがある場合 又は被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがある場合を除き、当該尋問 又は陳述を制限することができる。


訴訟関係人の被告人に対する供述を求める行為についても、同様とする。

○4項

第二百九十条の三第一項の決定があつた場合における訴訟関係人のする尋問 若しくは陳述 又は訴訟関係人の被告人に対する供述を求める行為についても、前項同様とする。


この場合において、

同項中
被害者特定事項」とあるのは、
「証人等特定事項」と

する。

○5項

裁判所は、前各項の規定による命令を受けた検察官 又は弁護士である弁護人がこれに従わなかつた場合には、検察官については当該検察官を指揮監督する権限を有する者に、弁護士である弁護人については当該弁護士の所属する弁護士会 又は日本弁護士連合会に通知し、適当な処置をとるべきことを請求することができる。

○6項

前項の規定による請求を受けた者は、そのとつた処置を裁判所に通知しなければならない。

1項

証拠調のはじめに、検察官は、証拠により証明すべき事実を明らかにしなければならない。


但し、証拠とすることができず、又は証拠としてその取調を請求する意思のない資料に基いて、裁判所に事件について偏見 又は予断を生ぜしめる虞のある事項を述べることはできない

1項

裁判所は、検察官 及び被告人 又は弁護人の意見を聴き、証拠調の範囲、順序 及び方法を定めることができる。

○2項

前項の手続は、合議体の構成員にこれをさせることができる。

○3項

裁判所は、適当と認めるときは、何時でも、検察官 及び被告人 又は弁護人の意見を聴き、第一項の規定により定めた証拠調の範囲、順序 又は方法を変更することができる。

1項

検察官、被告人 又は弁護人は、証拠調を請求することができる。

○2項

裁判所は、必要と認めるときは、職権で証拠調をすることができる。

1項

検察官、被告人 又は弁護人が証人、鑑定人、通訳人 又は翻訳人の尋問を請求するについては、あらかじめ、相手方に対し、その氏名 及び住居を知る機会を与えなければならない。


証拠書類 又は証拠物の取調を請求するについては、あらかじめ、相手方にこれを閲覧する機会を与えなければならない。


但し、相手方に異議のないときは、この限りでない。

○2項

裁判所が職権で証拠調の決定をするについては、検察官 及び被告人 又は弁護人の意見を聴かなければならない。

1項

検察官 又は弁護人は、前条第一項の規定により証人、鑑定人、通訳人 若しくは翻訳人の氏名 及び住居を知る機会を与え 又は証拠書類 若しくは証拠物を閲覧する機会を与えるに当たり、証人、鑑定人、通訳人 若しくは翻訳人 若しくは証拠書類 若しくは証拠物にその氏名が記載され 若しくは記録されている者 若しくはこれらの親族の身体 若しくは財産に害を加え 又はこれらの者を畏怖させ 若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあると認めるときは、相手方に対し、その旨を告げ、これらの者の住居、勤務先 その他その通常所在する場所が特定される事項が、犯罪の証明 若しくは犯罪の捜査 又は被告人の防御に関し必要がある場合を除き、関係者(被告人を含む。)に知られないようにすること その他これらの者の安全が脅かされることがないように配慮することを求めることができる。

1項

検察官は、第二百九十九条第一項の規定により証人の氏名 及び住居を知る機会を与え 又は証拠書類 若しくは証拠物を閲覧する機会を与えるに当たり、被害者特定事項が明らかにされることにより、被害者等の名誉 若しくは社会生活の平穏が著しく害されるおそれがあると認めるとき、又は被害者 若しくはその親族の身体 若しくは財産に害を加え 若しくはこれらの者を畏怖させ 若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあると認めるときは、弁護人に対し、その旨を告げ、被害者特定事項が、被告人の防御に関し必要がある場合を除き、被告人 その他の者に知られないようにすることを求めることができる。


ただし第二百七十一条の二第二項の規定により起訴状抄本等を提出した場合を除き、被告人に知られないようにすることを求めることについては、被害者特定事項のうち 起訴状に記載された事項以外のものに限る

1項

検察官は、第二百九十九条第一項の規定により証人、鑑定人、通訳人 又は翻訳人の氏名 及び住居を知る機会を与えるべき場合において、その者 若しくはその親族の身体 若しくは財産に害を加え 又はこれらの者を畏怖させ 若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあると認めるときは、弁護人に対し、当該氏名 及び住居を知る機会を与えた上で、当該氏名 又は住居を被告人に知らせてはならない旨の条件を付し、又は被告人に知らせる時期 若しくは方法を指定することができる。


ただし、その証人、鑑定人、通訳人 又は翻訳人の供述の証明力の判断に資するような被告人 その他の関係者との利害関係の有無を確かめることができなくなるときその他の被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるときは、この限りでない。

○2項

第二百九十九条第一項の規定により証人の氏名 及び住居を知る機会を与えるべき場合において、第二百七十一条の二第二項の規定により起訴状抄本等を提出した場合 又は第三百十二条の二第二項の規定により訴因変更等請求書面抄本等(同項に規定する訴因変更等請求書面抄本等をいう。以下 この条 及び次条第二項第一号において同じ。)を提出した場合(第三百十二条第一項の請求を却下する決定があつた場合を除く第七項において同じ。)であつて、当該氏名 又は住居が起訴状に記載された個人特定事項のうち起訴状抄本等に記載がないもの 又は訴因変更等請求書面(第三百十二条第四項に規定する訴因変更等請求書面をいう。以下 この条 及び同号において同じ。)に記載された個人特定事項のうち 訴因変更等請求書面抄本等に記載がないもの(いずれも第二百七十一条の五第一項第三百十二条の二第四項において 読み替えて準用する場合を含む。)の決定により通知することとされたものを除く第七項 及び同号において同じ。)に該当し、かつ、第二百七十一条の二第一項第一号 又は第二号に掲げる者のものに該当すると認めるときも、前項と同様とする。


この場合において、

同項ただし書中
証人、鑑定人、通訳人 又は翻訳人」とあるのは、
「証人」と

する。

○3項

検察官は、第一項本文の場合において、同項本文の規定による措置によつては同項本文に規定する行為を防止できないおそれがあると認めるとき(被告人に弁護人がないときを含む。)は、その証人、鑑定人、通訳人 又は翻訳人の供述の証明力の判断に資するような被告人 その他の関係者との利害関係の有無を確かめることができなくなる場合 その他の被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがある場合を除き、被告人 及び弁護人に対し、その証人、鑑定人、通訳人 又は翻訳人の氏名 又は住居を知る機会を与えないことができる。


この場合において、被告人 又は弁護人に対し、氏名にあつてはこれに代わる呼称を、住居にあつてはこれに代わる連絡先を知る機会を与えなければならない。

○4項

第二百九十九条第一項の規定により証人の氏名 及び住居を知る機会を与えるべき場合において、第二百七十一条の三第三項 又は第二百七十一条の四第四項これらの規定を第三百十二条の二第四項において準用する場合を含む。第九項において同じ。)の規定により起訴状抄本等 又は訴因変更等請求書面抄本等を提出した場合(第三百十二条第一項の請求を却下する決定があつた場合を除く第九項において同じ。)であつて、当該氏名 又は住居が起訴状に記載された個人特定事項のうち起訴状抄本等に記載がないもの 又は訴因変更等請求書面に記載された個人特定事項のうち 訴因変更等請求書面抄本等に記載がないもの(いずれも第二百七十一条の五第一項 又は第二項これらの規定を第三百十二条の二第四項において準用する場合を含む。)の決定により通知することとされたものを除く第九項において同じ。)に該当し、かつ、第二百七十一条の二第一項第一号 又は第二号に掲げる者のものに該当すると認めるときも、前項と同様とする。


この場合において、

同項
証人、鑑定人、通訳人 又は翻訳人の供述」とあるのは
「証人の供述」と、

その証人、鑑定人、通訳人 又は翻訳人の氏名」とあるのは
「当該氏名」と

する。

○5項

第二項前段に規定する場合において、被告人に弁護人がないときも、第三項と同様とする。


この場合において、

同項
証人、鑑定人、通訳人 又は翻訳人の供述」とあるのは
「証人の供述」と、

その証人、鑑定人、通訳人 又は翻訳人の氏名」とあるのは
「当該氏名」と

する。

6項

検察官は、第二百九十九条第一項の規定により証拠書類 又は証拠物を閲覧する機会を与えるべき場合において、証拠書類 若しくは証拠物に氏名 若しくは住居が記載され 若しくは記録されている者であつて検察官が証人、鑑定人、通訳人 若しくは翻訳人として尋問を請求するもの 若しくは供述録取書等の供述者(以下 この項 及び第八項において「検察官請求証人等」という。)若しくは検察官請求証人等の親族の身体 若しくは財産に害を加え 又はこれらの者を畏怖させ 若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあると認めるときは、弁護人に対し、証拠書類 又は証拠物を閲覧する機会を与えた上で、その検察官請求証人等の氏名 又は住居を被告人に知らせてはならない旨の条件を付し、又は被告人に知らせる時期 若しくは方法を指定することができる。


ただし、その検察官請求証人等の供述の証明力の判断に資するような被告人 その他の関係者との利害関係の有無を確かめることができなくなるとき その他の被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるときは、この限りでない。

7項

第二百九十九条第一項の規定により証拠書類 又は証拠物を閲覧する機会を与えるべき場合において、第二百七十一条の二第二項の規定により起訴状抄本等を提出した場合 又は第三百十二条の二第二項の規定により訴因変更等請求書面抄本等を提出した場合であつて、起訴状に記載された個人特定事項のうち 起訴状抄本等に記載がないもの 又は訴因変更等請求書面に記載された個人特定事項のうち訴因変更等請求書面抄本等に記載がないものが第二百七十一条の二第一項第一号 又は第二号に掲げる者のものに該当すると認めるときも、前項と同様とする。


この場合において、

同項
その検察官請求証人等の氏名 又は住居」とあるのは
「これらに記載され 又は記録されているこれらの個人特定事項」と、

同項ただし書中
その検察官請求証人等」とあるのは
「これらの個人特定事項に係る証人」と

する。

8項

検察官は、第六項本文の場合において、同項本文の規定による措置によつては同項本文に規定する行為を防止できないおそれがあると認めるとき(被告人に弁護人がないときを含む。)は、その検察官請求証人等の供述の証明力の判断に資するような被告人 その他の関係者との利害関係の有無を確かめることができなくなる場合 その他の被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがある場合を除き、被告人 及び弁護人に対し、証拠書類 又は証拠物のうち その検察官請求証人等の氏名 又は住居が記載され 又は記録されている部分について閲覧する機会を与えないことができる。


この場合において、被告人 又は弁護人に対し、氏名にあつてはこれに代わる呼称を、住居にあつてはこれに代わる連絡先を知る機会を与えなければならない。

9項

第二百九十九条第一項の規定により証拠書類 又は証拠物を閲覧する機会を与えるべき場合において、第二百七十一条の三第三項 又は第二百七十一条の四第四項の規定により起訴状抄本等 又は訴因変更等請求書面抄本等を提出した場合であつて、起訴状に記載された個人特定事項のうち起訴状抄本等に記載がないもの 又は訴因変更等請求書面に記載された個人特定事項のうち訴因変更等請求書面抄本等に記載がないものが第二百七十一条の二第一項第一号 又は第二号に掲げる者のものに該当すると認めるときも、前項と同様とする。


この場合において、

同項
その検察官請求証人等の供述」とあるのは
「これらの個人特定事項に係る証人の供述」と、

その検察官請求証人等の氏名 又は住居」とあるのは
「これらの個人特定事項」と

する。

10項

第七項前段に規定する場合において、被告人に弁護人がないときも、第八項と同様とする。


この場合において、

同項
その検察官請求証人等の供述」とあるのは
「これらの個人特定事項に係る証人の供述」と、

その検察官請求証人等の氏名 又は住居」とあるのは
「これらの個人特定事項」と

する。

11項

検察官は、前各項の規定による措置をとつたときは、速やかに、裁判所に その旨を通知しなければならない。

1項

裁判所は、検察官が前条第一項第三項第六項 又は第八項の規定による措置をとつた場合において、次の各号いずれかに該当すると認めるときは、被告人 又は弁護人の請求により、決定で、当該措置の全部 又は一部を取り消さなければならない。

一 号

当該措置に係る者 若しくはその親族の身体 若しくは財産に害を加え 又はこれらの者を畏怖させ 若しくは困惑させる行為がなされるおそれがないとき。

二 号

当該措置により、当該措置に係る者の供述の証明力の判断に資するような被告人 その他の関係者との利害関係の有無を確かめることができなくなるとき その他の被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるとき。

三 号

検察官のとつた措置が前条第三項 又は第八項の規定によるものである場合において、同条第一項本文 又は第六項本文の規定による措置によつて第一号に規定する行為を防止できるとき。

○2項

検察官が前条第二項第四項第五項第七項第九項 又は第十項の規定による措置をとつた場合において、次の各号いずれかに該当すると認めるときも、前項と同様とする。

一 号

当該措置に係る氏名 若しくは住居 又は個人特定事項が起訴状に記載された個人特定事項のうち起訴状抄本等に記載がないもの 又は訴因変更等請求書面に記載された個人特定事項のうち訴因変更等請求書面抄本等に記載がないもの(第三百十二条第一項の請求を却下する決定があつた場合における当該請求に係るものを除く)に該当しないとき。

二 号

又はに掲げる個人特定事項の区分に応じ、当該 又はに定める場合であるとき。

被害者の個人特定事項

当該措置に係る事件に係る罪が第二百七十一条の二第一項第一号イ 及びに規定するものに該当せず、かつ、当該措置に係る事件が同号ハに掲げるものに該当しないとき。

被害者以外の者の個人特定事項

当該措置に係る者が第二百七十一条の二第一項第二号に掲げる者に該当しないとき。

三 号

検察官のとつた措置が前条第四項第五項第九項 又は第十項の規定によるものである場合において、当該措置に係る個人特定事項が第二百七十一条の五第二項第三百十二条の二第四項において準用する場合を含む。)の決定により通知することとされたものに該当するとき。

四 号
当該措置により、当該措置に係る者の供述の証明力の判断に資するような被告人 その他の関係者との利害関係の有無を確かめることができなくなるとき その他の被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるとき。
五 号

検察官のとつた措置が前条第四項第五項第九項 又は第十項の規定によるものである場合において、同条第二項 又は第七項の規定による措置によつて第二百七十一条の二第一項第一号ハ(1)及び第二号イに規定する名誉 又は社会生活の平穏が著しく害されること 並びに同項第一号ハ(2)及び第二号ロに規定する行為を防止できるとき。

○3項

裁判所は、第一項第二号 又は第三号に該当すると認めて検察官がとつた措置の全部 又は一部を取り消す場合において、同項第一号に規定する行為がなされるおそれがあると認めるときは、弁護人に対し、当該措置に係る者の氏名 又は住居を被告人に知らせてはならない旨の条件を付し、又は被告人に知らせる時期 若しくは方法を指定することができる。


ただし、当該条件を付し、又は当該時期 若しくは方法の指定をすることにより、当該措置に係る者の供述の証明力の判断に資するような被告人 その他の関係者との利害関係の有無を確かめることができなくなるとき その他の被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるときは、この限りでない。

○4項

第二項第三号から第五号までに該当すると認めて検察官がとつた措置の全部 又は一部を取り消す場合において、第二百七十一条の二第一項第一号ハ(1)若しくは第二号イに規定する名誉 若しくは社会生活の平穏が著しく害されるおそれ 又は同項第一号ハ(2)若しくは第二号ロに規定する行為がなされるおそれがあると認めるときも、前項と同様とする。


この場合において、

同項
者の氏名 又は住居」とあるのは、
「個人特定事項」と

する。

5項

裁判所は、第一項 又は第二項の請求について決定をするときは、検察官の意見を聴かなければならない。

6項

第一項 又は第二項の請求についてした決定(第三項 又は第四項の規定により条件を付し、又は時期 若しくは方法を指定する裁判を含む。)に対しては、即時抗告をすることができる。

1項

裁判所は、検察官がとつた第二百九十九条の四第一項 若しくは第六項の規定による措置に係る者 若しくは裁判所がとつた前条第三項の規定による措置に係る者 若しくはこれらの親族の身体 若しくは財産に害を加え 又はこれらの者を畏怖させ 若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあると認める場合において、検察官 及び弁護人の意見を聴き、相当と認めるときは、弁護人が第四十条第一項の規定により訴訟に関する書類 又は証拠物を閲覧し 又は謄写するに当たり、これらに記載され 又は記録されている当該措置に係る者の氏名 又は住居を被告人に知らせてはならない旨の条件を付し、又は被告人に知らせる時期 若しくは方法を指定することができる。


ただし、当該措置に係る者の供述の証明力の判断に資するような被告人 その他の関係者との利害関係の有無を確かめることができなくなるとき その他の被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるときは、この限りでない。

○2項

裁判所は、検察官がとつた第二百九十九条の四第三項 若しくは第八項の規定による措置に係る者 若しくはその親族の身体 若しくは財産に害を加え 又はこれらの者を畏怖させ 若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあると認める場合において、検察官 及び弁護人の意見を聴き、相当と認めるときは、弁護人が第四十条第一項の規定により訴訟に関する書類 又は証拠物を閲覧し 又は謄写するについて、これらのうち当該措置に係る者の氏名 若しくは住居が記載され 若しくは記録されている部分の閲覧 若しくは謄写を禁じ、又は当該氏名 若しくは住居を被告人に知らせてはならない旨の条件を付し、若しくは被告人に知らせる時期 若しくは方法を指定することができる。


ただし、当該措置に係る者の供述の証明力の判断に資するような被告人 その他の関係者との利害関係の有無を確かめることができなくなるとき その他の被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるときは、この限りでない。

○3項

裁判所は、検察官がとつた 第二百九十九条の四第一項 若しくは第六項の規定による措置に係る者 若しくは裁判所がとつた前条第三項の規定による措置に係る者 若しくはこれらの親族の身体 若しくは財産に害を加え 又は これらの者を畏怖させ 若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあると認める場合において、弁護人から第四十六条の規定による請求があつた場合であつて、検察官 及び弁護人の意見を聴き、相当と認めるときは、弁護人に裁判書 又は裁判を記載した調書の謄本 又は抄本を交付するに当たり、これらに記載されている当該措置に係る者の氏名 又は住居を被告人に知らせてはならない旨の条件を付し、又は被告人に知らせる時期 若しくは方法を指定することができる。


ただし、当該措置に係る者の供述の証明力の判断に資するような被告人 その他の関係者との利害関係の有無を確かめることができなくなるとき その他の被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるときは、この限りでない。

4項

裁判所は、検察官がとつた第二百九十九条の四第三項 若しくは第八項の規定による措置に係る者 若しくはその親族の身体 若しくは財産に害を加え 又はこれらの者を畏怖させ 若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあると認める場合において、弁護人から第四十六条の規定による請求があつた場合であつて、検察官 及び弁護人の意見を聴き、相当と認めるときは、裁判書 若しくは裁判を記載した調書の抄本であつて当該措置に係る者の氏名 若しくは住居の記載がないものを交付し、又は弁護人に裁判書 若しくは裁判を記載した調書の謄本 若しくは抄本を交付するに当たり、当該氏名 若しくは住居を被告人に知らせてはならない旨の条件を付し、若しくは被告人に知らせる時期 若しくは方法を指定することができる。


ただし、当該措置に係る者の供述の証明力の判断に資するような被告人 その他の関係者との利害関係の有無を確かめることができなくなるとき その他の被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるときは、この限りでない。

5項

裁判所は、検察官がとつた 第二百九十九条の四第一項第三項第六項 若しくは第八項の規定による措置に係る者 若しくは裁判所がとつた前条第三項の規定による措置に係る者 若しくはこれらの親族の身体 若しくは財産に害を加え 又はこれらの者を畏怖させ 若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあると認める場合において、被告人 その他訴訟関係人(検察官 及び弁護人を除く)から第四十六条の規定による請求があつた場合であつて、検察官 及び当該請求をした被告人 その他訴訟関係人の意見を聴き、相当と認めるときは、裁判書 又は裁判を記載した調書の抄本であつて当該措置に係る者の氏名 又は住居の記載がないものを交付することができる。


ただし、当該措置に係る者の供述の証明力の判断に資するような被告人 その他の関係者との利害関係の有無を確かめることができなくなるとき その他の被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるときは、この限りでない。

6項

裁判所は、検察官がとつた第二百九十九条の四第一項第三項第六項 若しくは第八項の規定による措置に係る者 若しくは裁判所がとつた前条第三項の規定による措置に係る者 若しくはこれらの親族の身体 若しくは財産に害を加え 又はこれらの者を畏怖させ 若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあると認める場合において、検察官 及び被告人の意見を聴き、相当と認めるときは、被告人が第四十九条の規定により公判調書を閲覧し 又はその朗読を求めるについて、このうち当該措置に係る者の氏名 若しくは住居が記載され 若しくは記録されている部分の閲覧を禁じ、又は当該部分の朗読の求めを拒むことができる。


ただし、当該措置に係る者の供述の証明力の判断に資するような被告人 その他の関係者との利害関係の有無を確かめることができなくなるとき その他の被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるときは、この限りでない。

1項

検察官は、第二百九十九条の四第一項第二項第六項 若しくは第七項の規定により付した条件に弁護人が違反したとき、又はこれらの規定による時期 若しくは方法の指定に弁護人が従わなかつたときは、弁護士である弁護人については当該弁護士の所属する弁護士会 又は日本弁護士連合会に通知し、適当な処置をとるべきことを請求することができる。

○2項

裁判所は、第二百九十九条の五第三項 若しくは第四項 若しくは前条第一項から第四項までの規定により付した条件に弁護人が違反したとき、又はこれらの規定による時期 若しくは方法の指定に弁護人が従わなかつたときは、弁護士である弁護人については当該弁護士の所属する弁護士会 又は日本弁護士連合会に通知し、適当な処置をとるべきことを請求することができる。

○3項

前二項の規定による請求を受けた者は、そのとつた処置をその請求をした検察官 又は裁判所に通知しなければならない。

1項

第三百二十一条第一項第二号後段の規定により証拠とすることができる書面については、検察官は、必ずその取調を請求しなければならない。

1項

第三百二十二条 及び第三百二十四条第一項の規定により証拠とすることができる被告人の供述が自白である場合には、犯罪事実に関する他の証拠が取り調べられた後でなければ、その取調を請求することはできない

1項

次に掲げる事件については、検察官は、第三百二十二条第一項の規定により証拠とすることができる書面であつて、当該事件についての第百九十八条第一項の規定による取調べ(逮捕 又は勾留されている被疑者の取調べに限る第三項において同じ。)又は第二百三条第一項第二百四条第一項 若しくは第二百五条第一項第二百十一条 及び第二百十六条においてこれらの規定を準用する場合を含む。第三項において同じ。)の弁解の機会に際して作成され、かつ、被告人に不利益な事実の承認を内容とするものの取調べを請求した場合において、被告人 又は弁護人が、その取調べの請求に関し、その承認が任意にされたものでない疑いがあることを理由として異議を述べたときは、その承認が任意にされたものであることを証明するため、当該書面が作成された取調べ 又は弁解の機会の開始から終了に至るまでの間における被告人の供述 及びその状況を第四項の規定により記録した記録媒体の取調べを請求しなければならない。


ただし同項各号のいずれかに該当することにより同項の規定による記録が行われなかつたこと その他やむを得ない事情によつて当該記録媒体が存在しないときは、この限りでない。

一 号

死刑 又は無期の懲役 若しくは禁錮に当たる罪に係る事件

二 号

短期一年以上の有期の懲役 又は禁錮に当たる罪であつて故意の犯罪行為により被害者を死亡させたものに係る事件

三 号

司法警察員が送致し 又は送付した事件以外の事件(前二号に掲げるものを除く

○2項

検察官が前項の規定に違反して同項に規定する記録媒体の取調べを請求しないときは、裁判所は、決定で、同項に規定する書面の取調べの請求を却下しなければならない。

○3項

前二項の規定は、第一項各号に掲げる事件について、第三百二十四条第一項において準用する第三百二十二条第一項の規定により証拠とすることができる被告人以外の者の供述であつて、当該事件についての第百九十八条第一項の規定による取調べ 又は第二百三条第一項第二百四条第一項 若しくは第二百五条第一項の弁解の機会に際してされた被告人の供述(被告人に不利益な事実の承認を内容とするものに限る)をその内容とするものを証拠とすることに関し、被告人 又は弁護人が、その承認が任意にされたものでない疑いがあることを理由として異議を述べた場合にこれを準用する。

○4項

検察官 又は検察事務官は、第一項各号に掲げる事件(同項第三号に掲げる事件のうち、関連する事件が送致され 又は送付されているものであつて、司法警察員が現に捜査していること その他の事情に照らして司法警察員が送致し又は送付することが見込まれるものを除く)について、逮捕 若しくは勾留されている被疑者を第百九十八条第一項の規定により取り調べるとき 又は被疑者に対し第二百四条第一項 若しくは第二百五条第一項第二百十一条 及び第二百十六条においてこれらの規定を準用する場合を含む。)の規定により弁解の機会を与えるときは、次の各号いずれかに該当する場合を除き、被疑者の供述 及びその状況を録音 及び録画を同時に行う方法により記録媒体に記録しておかなければならない。


司法警察職員が、第一項第一号 又は第二号に掲げる事件について、逮捕 若しくは勾留されている被疑者を第百九十八条第一項の規定により取り調べるとき 又は被疑者に対し第二百三条第一項第二百十一条 及び第二百十六条において準用する場合を含む。)の規定により弁解の機会を与えるときも、同様とする。

一 号

記録に必要な機器の故障 その他のやむを得ない事情により、記録をすることができないとき。

二 号

被疑者が記録を拒んだこと その他の被疑者の言動により、記録をしたならば被疑者が十分な供述をすることができないと認めるとき。

三 号

当該事件が暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律平成三年法律第七十七号第三条の規定により都道府県公安委員会の指定を受けた暴力団の構成員による犯罪に係るものであると認めるとき。

四 号

前二号に掲げるもののほか、犯罪の性質、関係者の言動、被疑者がその構成員である団体の性格 その他の事情に照らし、被疑者の供述 及びその状況が明らかにされた場合には被疑者 若しくはその親族の身体 若しくは財産に害を加え 又はこれらの者を畏怖させ 若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあることにより、記録をしたならば被疑者が十分な供述をすることができないと認めるとき。

1項

第三百二十一条乃至第三百二十三条 又は第三百二十六条の規定により証拠とすることができる書面が捜査記録の一部であるときは、検察官は、できる限り他の部分と分離してその取調を請求しなければならない。

1項

公判準備においてした証人 その他の者の尋問、検証、押収 及び捜索の結果を記載した書面 並びに押収した物については、裁判所は、公判期日において証拠書類 又は証拠物としてこれを取り調べなければならない。

1項

証人、鑑定人、通訳人 又は翻訳人は、裁判長 又は陪席の裁判官が、まず、これを尋問する。

○2項

検察官、被告人 又は弁護人は、前項の尋問が終つた後、裁判長に告げて、その証人、鑑定人、通訳人 又は翻訳人を尋問することができる。


この場合において、その証人、鑑定人、通訳人 又は翻訳人の取調が、検察官、被告人 又は弁護人の請求にかかるものであるときは、請求をした者が、先に尋問する。

○3項

裁判所は、適当と認めるときは、検察官 及び被告人 又は弁護人の意見を聴き、前二項の尋問の順序を変更することができる。

1項

裁判所は、証人を尋問する場合において、証人が被告人の面前(第百五十七条の五第一項に規定する措置を採る場合 並びに第百五十七条の六第一項 及び第二項に規定する方法による場合を含む。)においては圧迫を受け充分な供述をすることができないと認めるときは、弁護人が出頭している場合に限り、検察官 及び弁護人の意見を聴き、その証人の供述中被告人を退廷させることができる。


この場合には、供述終了後 被告人を入廷させ、これに証言の要旨を告知し、その証人を尋問する機会を与えなければならない。

1項

検察官、被告人 又は弁護人の請求により、証拠書類の取調べをするについては、裁判長は、その取調べを請求した者にこれを朗読させなければならない。


ただし、裁判長は、自らこれを朗読し、又は陪席の裁判官 若しくは裁判所書記官にこれを朗読させることができる。

○2項

裁判所が職権で証拠書類の取調べをするについては、裁判長は、自らその書類を朗読し、又は陪席の裁判官 若しくは裁判所書記官にこれを朗読させなければならない。

○3項

第二百九十条の二第一項 又は第三項の決定があつたときは、前二項の規定による証拠書類の朗読は、被害者特定事項を明らかにしない方法でこれを行うものとする。

○4項

第二百九十条の三第一項の決定があつた場合における第一項 又は第二項の規定による証拠書類の朗読についても、前項同様とする。


この場合において、

同項中
被害者特定事項」とあるのは、
「証人等特定事項」と

する。

○5項

第百五十七条の六第四項の規定により記録媒体がその一部とされた調書の取調べについては、第一項 又は第二項の規定による朗読に代えて、当該記録媒体を再生するものとする。


ただし、裁判長は、検察官 及び被告人 又は弁護人の意見を聴き、相当と認めるときは、当該記録媒体の再生に代えて、当該調書の取調べを請求した者、陪席の裁判官 若しくは裁判所書記官に当該調書に記録された供述の内容を告げさせ、又は自らこれを告げることができる。

○6項

裁判所は、前項の規定により第百五十七条の六第四項に規定する記録媒体を再生する場合において、必要と認めるときは、検察官 及び被告人 又は弁護人の意見を聴き、第百五十七条の五に規定する措置を採ることができる。

1項

検察官、被告人 又は弁護人の請求により、証拠物の取調をするについては、裁判長は、請求をした者をしてこれを示させなければならない。


但し、裁判長は、自らこれを示し、又は陪席の裁判官 若しくは裁判所書記にこれを示させることができる。

○2項

裁判所が職権で証拠物の取調をするについては、裁判長は、自らこれを訴訟関係人に示し、又は陪席の裁判官 若しくは裁判所書記にこれを示させなければならない。

1項

証拠物中書面の意義が証拠となるものの取調をするについては、前条の規定による外、第三百五条の規定による。

1項

第二百九十一条の二の決定があつた事件については、第二百九十六条第二百九十七条第三百条乃至第三百二条及び第三百四条乃至前条の規定は、これを適用せず、証拠調は、公判期日において、適当と認める方法でこれを行うことができる。

1項

裁判所は、検察官 及び被告人 又は弁護人に対し、証拠の証明力を争うために必要とする適当な機会を与えなければならない。

1項

検察官、被告人 又は弁護人は、証拠調に関し異議を申し立てることができる。

○2項

検察官、被告人 又は弁護人は、前項に規定する場合の外、裁判長の処分に対して異議を申し立てることができる。

○3項

裁判所は、前二項の申立について決定をしなければならない。

1項

証拠調を終つた証拠書類 又は証拠物は、遅滞なくこれを裁判所に提出しなければならない。


但し、裁判所の許可を得たときは、原本に代え、その謄本を提出することができる。

1項

被告人は、終始沈黙し、又は個々の質問に対し、供述を拒むことができる。

○2項

被告人が任意に供述をする場合には、裁判長は、何時でも必要とする事項につき被告人の供述を求めることができる。

○3項

陪席の裁判官、検察官、弁護人、共同被告人 又はその弁護人は、裁判長に告げて、前項の供述を求めることができる。

1項

裁判所は、検察官の請求があるときは、公訴事実の同一性を害しない限度において、起訴状に記載された訴因 又は罰条の追加、撤回 又は変更を許さなければならない。

○2項

裁判所は、審理の経過に鑑み適当と認めるときは、訴因 又は罰条を追加 又は変更すべきことを命ずることができる。

○3項

第一項の請求は、書面を提出してしなければならない。

○4項

検察官は、第一項の請求と同時に、被告人に送達するものとして、前項の書面(以下「訴因変更等請求書面」という。)の謄本を裁判所に提出しなければならない。

5項

裁判所は、前項の規定による訴因変更等請求書面の謄本の提出があつたときは、遅滞なくこれを被告人に送達しなければならない。

6項

第三項の規定にかかわらず、被告人が在廷する公判廷においては、第一項の請求は、口頭ですることができる。


この場合においては、第四項の規定は、適用しない

7項

裁判所は、訴因 又は罰条の追加 又は変更により被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあると認めるときは、被告人 又は弁護人の請求により、決定で、被告人に十分な防御の準備をさせるため必要な期間公判手続を停止しなければならない。

1項

検察官は、訴因変更等請求書面に記載された 第二百七十一条の二第一項第一号 又は第二号に掲げる者の個人特定事項について、必要と認めるときは、裁判所に対し、前条第五項の規定による訴因変更等請求書面の謄本の送達により当該個人特定事項が被告人に知られないようにするための措置をとることを求めることができる。

2項

前項の規定による求めは、裁判所に対し、訴因変更等請求書面とともに、被告人に送達するものとして、当該求めに係る個人特定事項の記載がない訴因変更等請求書面の抄本 その他の訴因変更等請求書面の謄本に代わるもの(以下この条において「訴因変更等請求書面抄本等」という。)を提出して行わなければならない。

3項

裁判所は、前項の規定による訴因変更等請求書面抄本等の提出があつたときは、前条第五項の規定にかかわらず、遅滞なく訴因変更等請求書面抄本等を被告人に送達しなければならない。

4項

第二百七十一条の三から第二百七十一条の八までの規定は、第二項の規定による訴因変更等請求書面抄本等の提出がある場合について準用する。


この場合において、

第二百七十一条の三第三項
前条第一項第一号ハ(1)」とあるのは
第二百七十一条の二第一項第一号ハ(1)」と、

第二百七十一条の五第一項
第二百七十一条の二第四項」とあるのは
第三百十二条の二第三項」と、

第二百七十一条の六第五項 及び第二百七十一条の八第一項
同条第一項第一号」とあるのは
第二百七十一条の二第一項第一号」と

読み替えるものとする。

1項

裁判所は、適当と認めるときは、検察官、被告人 若しくは弁護人の請求により又は職権で、決定を以て、弁論を分離し若しくは併合し、又は終結した弁論を再開することができる。

○2項

裁判所は、被告人の権利を保護するため必要があるときは、裁判所の規則の定めるところにより、決定を以て弁論を分離しなければならない。

1項

この法律の規定に基づいて裁判所 若しくは裁判長 又は裁判官が付した弁護人の選任は、弁論が併合された事件についても その効力を有する。


ただし、裁判所がこれと異なる決定をしたときは、この限りでない。

○2項

前項ただし書の決定をするには、あらかじめ、検察官 及び被告人 又は弁護人の意見を聴かなければならない。

1項

被告人が心神喪失の状態に在るときは、検察官 及び弁護人の意見を聴き、決定で、その状態の続いている間公判手続を停止しなければならない。


但し、無罪、免訴、刑の免除又は公訴棄却の裁判をすべきことが明らかな場合には、被告人の出頭を待たないで、直ちにその裁判をすることができる。

○2項

被告人が病気のため出頭することができないときは、検察官 及び弁護人の意見を聴き、決定で、出頭することができるまで公判手続を停止しなければならない。


但し第二百八十四条 及び第二百八十五条の規定により代理人を出頭させた場合は、この限りでない。

○3項

犯罪事実の存否の証明に欠くことのできない証人が病気のため公判期日に出頭することができないときは、公判期日外においてその取調をするのを適当と認める場合の外、決定で、出頭することができるまで公判手続を停止しなければならない。

○4項

前三項の規定により公判手続を停止するには、医師の意見を聴かなければならない。

1項

開廷後裁判官がかわつたときは、公判手続を更新しなければならない。


但し、判決の宣告をする場合は、この限りでない。

1項

第二百九十一条の二の決定が取り消されたときは、公判手続を更新しなければならない。


但し、検察官 及び被告人 又は弁護人に異議がないときは、この限りでない。

1項

地方裁判所において一人の裁判官のした訴訟手続は、被告事件が合議体で審判すべきものであつた場合にも、その効力を失わない。