この規則は、警察官が犯罪の捜査を行うに当つて守るべき心構え、捜査の方法、手続 その他捜査に関し必要な事項を定めることを目的とする。
犯罪捜査規範
第1章 総則
第1節 捜査の心構え
捜査は、事案の真相を明らかにして事件を解決するとの強固な信念をもつて迅速適確に行わなければならない。
捜査を行うに当つては、個人の基本的人権を尊重し、かつ、公正誠実に捜査の権限を行使しなければならない。
捜査を行うに当たつては、警察法(昭和29年法律第162号)、刑事訴訟法(昭和23年法律第131号。以下「刑訴法」という。)その他の法令 及び規則を厳守し、個人の自由 及び権利を不当に侵害することのないように注意しなければならない。
捜査を行うに当たつては、証拠によつて事案を明らかにしなければならない。
捜査を行うに当たつては、先入観にとらわれず、根拠に基づかない推測を排除し、被疑者 その他の関係者の供述を過信することなく、基礎的捜査を徹底し、物的証拠を始めとするあらゆる証拠の発見収集に努めるとともに、鑑識施設 及び資料を十分に活用して、捜査を合理的に進めるようにしなければならない。
捜査を行うに当つては、すべての情報資料を総合して判断するとともに、広く知識技能を活用し、かつ、常に組織の力により、捜査を総合的に進めるようにしなければならない。
捜査は、安易に成果を求めることなく、犯罪の規模、方法 その他諸般の状況を冷静周密に判断し、着実に行わなければならない。
捜査は、それが刑事手続の一環であることにかんがみ、公訴の実行 及び公判の審理を念頭に置いて、行わなければならない。
特に、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(平成16年法律第63号)第2条第1項に規定する事件に該当する事件の捜査を行う場合は、国民の中から選任された裁判員に分かりやすい立証が可能となるよう、配慮しなければならない。
捜査を行うに当たつては、自己の能力を過信して独断に陥ることなく、上司から命ぜられた事項を忠実に実行し、常に警察規律を正しくし、協力一致して事案に臨まなければならない。
捜査を行うに当たつては、秘密を厳守し、捜査の遂行に支障を及ぼさないように注意するとともに、被疑者、被害者(犯罪により害を被つた者をいう。以下同じ。)その他事件の関係者の名誉を害することのないように注意しなければならない。
捜査を行うに当たつては、前項の規定により秘密を厳守するほか、告訴、告発、犯罪に関する申告 その他犯罪捜査の端緒 又は犯罪捜査の資料を提供した者 その他捜査の関係者(第11条(被害者等の保護等)第2項において「資料提供者等」という。)の名誉 又は信用を害することのないように注意しなければならない。
捜査を行うに当つては、常に言動を慎み、関係者の利便を考慮し、必要な限度をこえて迷惑を及ぼさないように注意しなければならない。
捜査を行うに当たつては、被害者 又はその親族(以下 この節において「被害者等」という。)の心情を理解し、その人格を尊重しなければならない。
捜査を行うに当たつては、被害者等の取調べにふさわしい場所の利用 その他の被害者等にできる限り不安 又は迷惑を覚えさせないようにするための措置を講じなければならない。
捜査を行うに当たつては、被害者等に対し、刑事手続の概要を説明するとともに、当該事件の捜査の経過 その他被害者等の救済 又は不安の解消に資すると認められる事項を通知しなければならない。
ただし、捜査 その他の警察の事務 若しくは公判に支障を及ぼし、又は関係者の名誉 その他の権利を不当に侵害するおそれのある場合は、この限りでない。
警察官は、犯罪の手口、動機 及び組織的背景、被疑者と被害者等との関係、被疑者の言動 その他の状況から被害者等に後難が及ぶおそれがあると認められるときは、被疑者 その他の関係者に、当該被害者等の氏名 又はこれらを推知させるような事項を告げないようにするほか、必要に応じ、当該被害者等の保護のための措置を講じなければならない。
前項の規定は、資料提供者等に後難が及ぶおそれがあると認められる場合について準用する。
警察官は、捜査専従員であると否とを問わず、常に捜査関係法令の研究 および捜査に関する知識技能の習得に努め、捜査方法の工夫改善に意を用いなければならない。
警察官は、捜査を行うに当り、当該事件の公判の審理に証人として出頭する場合を考慮し、および将来の捜査に資するため、その経過 その他参考となるべき事項を明細に記録しておかなければならない。
警察官は、被疑者、被害者 その他事件の関係者と親族 その他特別の関係にあるため、その捜査について疑念をいだかれるおそれのあるときは、上司の許可を得て、その捜査を回避しなければならない。
第2節 捜査の組織
捜査を行うに当つては、捜査に従事する者の団結と統制を図り、他の警察諸部門 および関係警察と緊密に連絡し、警察の組織的機能を最高度に発揮するように努めなければならない。
警察本部長(警視総監 または道府県警察本部長をいう。以下同じ。)は、捜査の合理的な運営と公正な実施を期するため、犯罪の捜査について、全般の指揮監督に当るとともに、職員の合理的配置、その指導教養の徹底、資材施設の整備等捜査態勢の確立を図り、もつてその責に任ずるものとする。
刑事部長、警備部長 その他犯罪の捜査を担当する部課長は、警察本部長を補佐し、その命を受け犯罪の捜査の指揮監督に当るものとする。
警察署長は、その警察署に関し、犯罪の捜査の指揮監督に当るとともに、捜査の合理的な運営と公正な実施について、警察本部長に対しその責に任ずるものとする。
前3条に規定する犯罪の捜査の指揮については、常にその責任を明らかにしておかなければならない。
警察本部長 または警察署長が直接指揮すべき事件 および事項 ならびに指揮の方法 その他事件指揮簿の様式等は、警察本部長の定めるところによる。
捜査主任官は、第16条から前条まで(警察本部長、捜査担当部課長、警察署長、捜査指揮)の規定により指揮を受け、当該事件の捜査につき、次に掲げる職務を行うものとする。
押収物 及びその換価代金の出納を承認し、これらの保管の状況を常に把握すること。
第3章第5節(捜査方針)の規定により捜査方針を立てること。
前号の報告、取調べ状況報告書の確認、被疑者の供述 及びその状況を記録した記録媒体の再生 その他の方法により、被疑者の取調べの状況を把握すること。
留置施設に留置されている被疑者(第136条の2(引き当たり捜査の際の注意)第1項において「留置被疑者」という。)に関し同項の計画を作成する場合において、留置主任官(被留置者の留置に関する規則(平成19年国家公安委員会規則第11号)第4条第1項に規定する留置主任官をいう。第136条の2第1項において同じ。)と協議すること。
被疑者の取調べ その他の捜査の適正な遂行 並びに被疑者の逃亡 及び自殺 その他の事故の防止について捜査員に対する指導教養を行うこと。
前各号に掲げるもののほか、法令の規定によりその権限に属させられ、又は警察本部長 若しくは警察署長から特に命ぜられた事項
警察本部長 又は警察署長は、第1項の規定により捜査主任官を指名する場合には、当該事件の内容 並びに所属の職員の捜査能力、知識経験 及び職務遂行の状況を勘案し、前項に規定する職務を的確に行うことができると認められる者を指名しなければならない。
捜査主任官が交代する場合には、関係書類、証拠物等の引継ぎを確実に行うとともに、捜査の状況 その他必要な事項を明らかにし、事後の捜査に支障を来すことのないようにしなければならない。
警察官以外の捜査関係職員が、警察官を助けて職務を行う場合には、この規則の規定に従わなければならない。
重要犯罪 その他事件の発生に際し、特に、捜査を統一的かつ強力に推進する必要があると認められるときは、捜査本部を設置するものとする。
捜査本部を設置した事件の捜査については、すべて捜査本部長の統制に従うものとし、他の警察署において当該事件に関する捜査資料を得たときは、速やかに捜査本部に連絡しなければならない。
警察官は、犯罪に関係があると認められる事項 その他捜査上参考となるべき事項を知つたときは、速やかに、上司に報告しなければならない。
警察署長は、その管轄区域において発生した事件 その他捜査上参考となるべき事項のうち重要なものについては、速やかに、警察本部長に報告しなければならない。
警察官は、検察官 または他の捜査機関との捜査に関する連絡 または協力については、あらかじめ順序を経て警察本部長 または警察署長に報告して、その指揮を受けなければならない。
捜査に関し、新聞 その他の報道機関等に発表を行うときは、警察本部長 若しくは警察署長(捜査本部を設置した場合においては捜査本部長)又はその指定する者がこれに当たらなければならない。
犯罪の捜査に関する指導教養は、幹部、専従員 および一般警察官の別に応じ、実務に即して行い、その実効を期さなければならない。
第3節 手配および共助
警察官は、別に定がある場合のほか、この節の規定するところに従い、捜査に関し、相互に協力しなければならない。
捜査のため必要があるときは、他の警察に対し、共助の依頼(被疑者の逮捕、呼出し 若しくは取調べ、盗品等(盗品 その他財産に対する罪に当たる行為によつて領得された物をいう。以下同じ。)その他の証拠物の手配、押収、捜索 若しくは検証、参考人の呼出し 若しくは取調べ、職員の派遣 その他の措置を依頼することをいう。以下同じ。)をすることができる。
他の警察から、共助の依頼を受けたときは、誠実かつ速やかにこれに当たらなければならない。
共助の依頼をするに当たつては、依頼の趣旨、内容 その他の必要な事項を明確にし、及び依頼を受けた警察の事務の遂行に支障を及ぼさないようにしなければならない。
犯罪の捜査につき、他の警察に対して緊急の措置を依頼する必要があるときは、直ちに、緊急事件手配書(別記様式第1号)により、緊急配備 その他の必要な措置を求めるものとする。
容疑者 および捜査資料 その他参考事項について通報を求める手配を、事件手配とする。
逮捕状の発せられている被疑者の逮捕を依頼し、逮捕後身柄の引渡しを要求する手配を、指名手配とする。
指名手配は、指名手配書(別記様式第2号)により行わなければならない。
急速を要し逮捕状の発付を受けるいとまのないときは、指名手配書による手配を行つた後、速やかに逮捕状の発付を得て、その有効期間を通報しなければならない。
第29条(緊急事件手配)の規定による緊急事件手配により、氏名等の明らかな被疑者の逮捕を依頼した場合には、当該緊急事件手配を指名手配とみなす。
この場合においては、逮捕状の発付を得た後、改めて第1項の規定による手続をとるものとする。
指名手配を行うに当つては、被疑者を逮捕した場合における身柄の処置につき、次のいずれであるかを明らかにしなければならない。
第1種手配(身柄の護送を求める場合の手配をいう。)
第2種手配(身柄を引取に行く場合の手配をいう。)
指名手配をした場合においては、常に逮捕状の有効期間に注意し、有効期間経過後もなお手配継続の必要があるものについては、逮捕状の再発付を受け、その有効期間を通報しなければならない。
被疑者が発見された場合に身柄の引渡を求めず、かつ、その事件の処理を当該警察にゆだねる旨の手配を、指名通報とする。
指名通報は、被疑者の氏名等が明らかであり、かつ、犯罪事実が確実なものについて、指名通報書(別記様式第2号)により行わなければならない。
指名通報のあつた事件については、あらかじめ、通報を発した警察に、逮捕状の有無、容疑事実の内容、関係書類 その他の捜査資料の有無等を照会して処理するものとする。
指名通報を行つた被疑者については、事件処理に必要な証拠資料、関係書類等を完全に整備しておき、被疑者を発見した警察から要求があつたときは、すみやかに、第78条(事件の移送および引継)第2項の規定による事件引継書とともに証拠資料、関係書類等を、その警察に送付しなければならない。
警察が、その捜査中の事件の盗品等につき、他の警察に対してその発見を求める手配を、盗品等手配とする。
盗品等手配を行うに当たつては、発見すべき盗品等の名称、銘柄、品種、特徴等を明らかにすることに努め、必要があるときは、写真を添付する等有効適切な措置を講じなければならない。
古物営業法(昭和24年法律第108号)第19条第1項 又は質屋営業法(昭和25年法律第158号)第20条第1項に規定する品触れ(以下「品触れ」という。)は、これを次の3種に区分するものとする。
特別重要品触れ(捜査本部に係る事件について発する品触れをいう。)
重要品触れ(前号の事件以外の重要な事件について発する品触れをいう。)
普通品触れ(その他の事件について発する品触れをいう。)
品触れは、前項の区分を明らかにして発しなければならない。
前条第2項の規定は、品触れについて準用する。
品触れを発したときは、品触原簿(別記様式第3号)及び品触取扱簿(別記様式第4号)により、それぞれ、その状況を明確にしておかなければならない。
第29条(緊急事件手配)、第30条(事件手配)、第31条(指名手配)、第34条(指名通報)及び第35条(盗品等手配)に規定する手配 又は通報については、その実効を期するため、犯罪の種別、軽重、緊急の度合い等に応じ、手配の範囲、種別 及び方法を合理的に定め、いやしくも、濫用にわたることのないように注意しなければならない。
第29条(緊急事件手配)、第30条(事件手配)、第31条(指名手配)、第34条(指名通報)及び第35条(盗品等手配)に規定する手配 又は通報に係る事件について、被疑者を逮捕し、又は事件を解決したときは、速やかに、かつ、確実に、その手配 又は通報の解除を行わなければならない。
逮捕状の有効期間が経過し、逮捕状の再発付を受けない場合も、また、前項と同様とする。
前2項のほか、共助の依頼をし、又は品触を発した場合において、その必要がなくなつたときは、第1項の規定に準じ、必要な手続をとらなければならない。
警察署長は、他の警察に関連する犯罪事件について、その被疑者、証拠物 その他捜査上参考となるべき事項を発見したときは、直ちに、適当な措置をとるとともに、その旨を当該警察に通報しなければならない。
警察署長は、前項の通報のほか、重要事件、他に波及するおそれのある事件 その他犯罪の捜査 または予防上参考となるべき事件について、関係警察に通報するものとする。
警察署長は、第29条(緊急事件手配)、第30条(事件手配)、第31条(指名手配)、第34条(指名通報)及び第35条(盗品等手配)の規定による手配 又は通報をする場合においては、原則として、あらかじめ警察本部長に報告した後、直接に、又は警察本部長を通じて行わなければならない。
指名手配のあつた被疑者を逮捕した警察(以下「逮捕警察」という。)は、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、被疑者の身柄をその指名手配をした警察(以下「手配警察」という。)に引渡さなければならない。
逮捕警察が、手配を受けた犯罪より法定刑が重い別の犯罪をその管轄区域において犯した被疑者を逮捕したとき。
逮捕警察が、手配被疑者に関連する犯罪で、既にその正犯 又は共同正犯である被疑者の一部を逮捕しているとき。
同一被疑者について、2以上の手配警察がある場合には、次の各号に定める手配警察にその身柄を引き渡さなければならない。
手配を受けた犯罪について、その法定刑に軽重があるとき(次号に規定する場合に該当する場合を除く。)は、重い犯罪を手配した警察
手配を受けた犯罪で、既にその正犯 又は共同正犯である被疑者の一部を逮捕している警察があるときはその警察
前2号に規定する場合のほかは、先に手配をした警察
前2項に規定する身柄引渡しの原則により難い事情があるときは、警察本部長の決するところによる。
指名手配により逮捕した被疑者の身柄を引き渡すに当たつては、被疑者引渡書(別記様式第5号)を作成しなければならない。
被疑者の護送 その他犯罪の捜査のため必要があるときは、他の警察に対し、被疑者の留置の依頼をすることができる。
警察官は、他の警察の管轄区域において犯罪の捜査を行うに当たつては、所轄警察に連絡するようにしなければならない。
第4節 検察官との関係
警察官は、捜査に関し、検察官と互に協力しなければならない。
警察本部長 または警察署長は、その捜査する事件について、公訴を実行するため、あらかじめ連絡しておく必要があると認めるときは、すみやかに、犯罪事実の概要 その他の参考となるべき事項を検察官に連絡しなければならない。
警察官は、司法警察職員捜査書類基本書式例 その他の刑訴法第193条第1項の規定に基づき検察官から示された一般的指示があるときは、これに従つて捜査を行わなければならない。
警察官は、他の司法警察職員との間において捜査の調整につき、刑訴法第193条第2項の規定による検察官の一般的指揮を必要とする特別の事情があるときは、すみやかに順を経て警察本部長に報告しなければならない。
警察本部長は、前項に規定する報告を受けた場合において、必要があると認められるときは、すみやかに、その旨を検察官に申し出なければならない。
刑訴法第193条第2項の規定に基き、検察官から一般的指揮が与えられたときは、警察官はこれに従つて捜査を行わなければならない。
刑訴法第193条第3項の規定により検察官が自ら捜査する犯罪について、その補助を求められたときは、警察官はすみやかに、これに従つて必要な捜査を行い、かつ、その結果を報告しなければならない。
第5節 特別司法警察職員等との関係
刑訴法第190条の規定により別に法律で定められた司法警察職員 またはこれに準ずる者(以下「特別司法警察職員等」という。)との共助に関しては、共助協定 その他の特別の定があるときはその規定するところによるほか、この節の規定によるものとする。
警察官は、特別司法警察職員等の職務の範囲に属する犯罪を特別司法警察職員等に先んじて知つた場合において、その捜査を特別司法警察職員等にゆだねることなく、自ら捜査することを適当と認めるときは、警察本部長 または警察署長に報告して、その指揮を受け、捜査するものとする。
この場合においては、当該特別司法警察職員等と連絡を密にし、その専門的知識による助言等を受けたときは、充分これを尊重して捜査を行うようにしなければならない。
警察官は、特別司法警察職員等の職務の範囲に属する犯罪を特別司法警察職員等に先んじて知つた場合において、その捜査を特別司法警察職員等にゆだねることを適当と認めるときは、自ら急速を要する処置を行つた後、警察本部長 または警察署長に報告して、その指揮を受け、すみやかに必要な捜査資料を添えて、これを特別司法警察職員等に移すものとする。
前項の規定により、捜査をゆだねた後においても、当該特別司法警察職員等から捜査のために協力を求められた場合においては、できる限り、これに応じて協力するものとする。
警察官は、特別司法警察職員等が、その職務の範囲に属する犯罪を捜査する場合において、その事件が職務の範囲に属しない犯罪事件と関連するため、またはその他の理由により、警察官にその捜査を引き継ぐべき旨の申出を受けたときは、警察本部長 または警察署長に報告して、その指揮を受け、自らもその捜査を行うものとする。
この場合において、必要があるときは、当該特別司法警察職員等に対し、証拠物の引渡 その他捜査のための協力を求めるとともに、事後の捜査の経過 および結果を連絡するものとする。
警察官は、特別司法警察職員等の職務の範囲に属する犯罪を捜査する場合において、その捜査が当該特別司法警察職員等の行う捜査と競合するときは、警察本部長 または警察署長に報告して、その指揮を受け、当該特別司法警察職員等とその捜査に関し、必要な事項を協議するものとする。
第6節 捜査書類
捜査を行うに当つては、司法警察職員捜査書類基本書式例による調書 その他必要な書類を明確に作成しなければならない。
書類の作成に当つては、事実をありのままに、かつ、簡潔明瞭に表現することを旨とし、推測、誇張等にわたつてはならない。
書類には、特別の定がある場合を除いては、年月日を記載して署名押印し、所属官公署を表示しなければならない。
書類(裁判所 又は裁判官に対する申立て、意見の陳述、通知 その他これらに類する訴訟行為に関する書類を除く。)には、毎葉に契印するものとする。
ただし、その謄本 又は抄本を作成する場合には、契印に代えて、これに準ずる措置をとることができる。
書類を作成するに当たつては、文字を改変してはならない。
文字を加え、又は削るときは、その範囲を明らかにして、訂正した部分に押印しなければならない。
ただし、削つた部分は、これを読むことができるように字体を残さなければならない。
本人が文盲である等やむを得ない理由で書類を代書した場合には、代書事項が本人の意思と相違がないことを確かめた上、代書の理由を記載して署名押印しなければならない。