裁判所法

# 昭和二十二年法律第五十九号 #

第四編 裁判所の職員及び司法修習生

分類 法律
カテゴリ   司法
@ 施行日 : 令和五年六月十四日 ( 2023年 6月14日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第五十三号による改正
最終編集日 : 2023年 07月11日 10時38分


第一章 裁判官

1項

最高裁判所長官は、内閣の指名に基いて、天皇がこれを任命する。

○2項

最高裁判所判事は、内閣でこれを任命する。

○3項

最高裁判所判事の任免は、天皇がこれを認証する。

○4項

最高裁判所長官 及び最高裁判所判事の任命は、国民の審査に関する法律の定めるところにより国民の審査に付される。

1項

高等裁判所長官、判事、判事補 及び簡易裁判所判事は、最高裁判所の指名した者の名簿によつて、内閣でこれを任命する。

○2項

高等裁判所長官の任免は、天皇がこれを認証する。

○3項

第一項の裁判官は、その官に任命された日から十年を経過したときは、その任期を終えるものとし、再任されることができる。

1項

最高裁判所の裁判官は、識見の高い、法律の素養のある年齢四十年以上の者の中からこれを任命し、そのうち少くとも十人は、十年以上第一号 及び第二号に掲げる職の一 若しくは二に在つた者 又は左の各号に掲げる職の一 若しくは二以上に在つてその年数を通算して二十年以上になる者でなければならない。

一 号
高等裁判所長官
二 号
判事
三 号
簡易裁判所判事
四 号
検察官
五 号
弁護士
六 号

別に法律で定める大学の法律学の教授 又は准教授

○2項

五年以上前項第一号 及び第二号に掲げる職の一 若しくは二に在つた者 又は十年以上同項第一号から第六号までに掲げる職の若しくは二以上に在つた者が判事補、裁判所調査官、最高裁判所事務総長、裁判所事務官、司法研修所教官、裁判所職員総合研修所教官、法務省の事務次官、法務事務官 又は法務教官の職に在つたときは、その在職は、同項の規定の適用については、これを同項第三号から第六号までに掲げる職の在職とみなす。

○3項

前二項の規定の適用については、第一項第三号乃至第五号 及び前項に掲げる職に在つた年数は、司法修習生の修習を終えた後の年数に限り、これを当該職に在つた年数とする。

○4項

三年以上第一項第六号の大学の法律学の教授 又は准教授の職に在つた者が簡易裁判所判事、検察官 又は弁護士の職に就いた場合においては、その簡易裁判所判事、検察官(副検事を除く)又は弁護士の職に在つた年数については、前項の規定は、これを適用しない

1項

高等裁判所長官 及び判事は、次の各号に掲げる職の一 又は二以上に在つてその年数を通算して十年以上になる者の中からこれを任命する。

一 号
判事補
二 号
簡易裁判所判事
三 号
検察官
四 号
弁護士
五 号

裁判所調査官、司法研修所教官 又は裁判所職員総合研修所教官

六 号

前条第一項第六号の大学の法律学の教授 又は准教授

○2項

前項の規定の適用については、三年以上同項各号に掲げる職の一 又は二以上に在つた者が裁判所事務官、法務事務官 又は法務教官の職に在つたときは、その在職は、これを同項各号に掲げる職の在職とみなす。

○3項

前二項の規定の適用については、第一項第二号乃至第五号 及び前項に掲げる職に在つた年数は、司法修習生の修習を終えた後の年数に限り、これを当該職に在つた年数とする。

○4項

三年以上前条第一項第六号の大学の法律学の教授 又は准教授の職に在つた者が簡易裁判所判事、検察官 又は弁護士の職に就いた場合においては、その簡易裁判所判事、検察官(副検事を除く)又は弁護士の職に在つた年数については、前項の規定は、これを適用しない


司法修習生の修習を終えないで簡易裁判所判事 又は検察官に任命された者の第六十六条の試験に合格した後の簡易裁判所判事、検察官(副検事を除く)又は弁護士の職に在つた年数についても、同様とする。

1項

判事補は、司法修習生の修習を終えた者の中からこれを任命する。

1項

簡易裁判所判事は、高等裁判所長官 若しくは判事の職に在つた者 又は次の各号に掲げる職の 若しくは二以上に在つてその年数を通算して三年以上になる者の中からこれを任命する。

一 号
判事補
二 号
検察官
三 号
弁護士
四 号

裁判所調査官、裁判所事務官、司法研修所教官、裁判所職員総合研修所教官、法務事務官 又は法務教官

五 号

第四十一条第一項第六号の大学の法律学の教授 又は准教授

○2項

前項の規定の適用については、同項第二号乃至第四号に掲げる職に在つた年数は、司法修習生の修習を終えた後の年数に限り、これを当該職に在つた年数とする。

○3項

司法修習生の修習を終えないで検察官に任命された者の第六十六条の試験に合格した後の検察官(副検事を除く)又は弁護士の職に在つた年数については、前項の規定は、これを適用しない

1項

多年 司法事務にたずさわり、その他簡易裁判所判事の職務に必要な学識経験のある者は、前条第一項に掲げる者に該当しないときでも、簡易裁判所判事選考委員会の選考を経て、簡易裁判所判事に任命されることができる。

○2項

簡易裁判所判事選考委員会に関する規程は、最高裁判所がこれを定める。

1項

他の法律の定めるところにより一般の官吏に任命されることができない者の外、左の各号のに該当する者は、これを裁判官に任命することができない

一 号

禁錮以上の刑に処せられた者

二 号

弾劾裁判所の罷免の裁判を受けた者

1項

下級裁判所の裁判官の職は、最高裁判所がこれを補する。

1項

裁判官は、公の弾劾 又は国民の審査に関する法律による場合 及び別に法律で定めるところにより心身の故障のために職務を執ることができないと裁判された場合を除いては、その意思に反して、免官、転官、転所、職務の停止 又は報酬の減額をされることはない。

1項

裁判官は、職務上の義務に違反し、若しくは職務を怠り、又は品位を辱める行状があつたときは、別に法律で定めるところにより裁判によつて懲戒される。

1項

最高裁判所の裁判官は、年齢七十年、高等裁判所、地方裁判所 又は家庭裁判所の裁判官は、年齢六十五年、簡易裁判所の裁判官は、年齢七十年に達した時に退官する。

1項

裁判官の受ける報酬については、別に法律でこれを定める。

1項

裁判官は、在任中、左の行為をすることができない

一 号

国会 若しくは地方公共団体の議会の議員となり、又は積極的に政治運動をすること。

二 号

最高裁判所の許可のある場合を除いて、報酬のある他の職務に従事すること。

三 号

商業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行うこと。

第二章 裁判官以外の裁判所の職員

1項

最高裁判所に最高裁判所事務総長一人を置く。

○2項

最高裁判所事務総長は、最高裁判所長官の監督を受けて、最高裁判所の事務総局の事務を掌理し、事務総局の職員を指揮監督する。

1項

最高裁判所に最高裁判所長官秘書官一人 及び最高裁判所判事秘書官十四人を置く。

○2項

最高裁判所長官秘書官は、最高裁判所長官の、最高裁判所判事秘書官は、最高裁判所判事の命を受けて、機密に関する事務を掌る。

1項
最高裁判所に司法研修所教官を置く。
○2項

司法研修所教官は、上司の指揮を受けて、司法研修所における裁判官の研究 及び修養 並びに司法修習生の修習の指導をつかさどる。

1項

最高裁判所に司法研修所長を置き、司法研修所教官の中から、最高裁判所が、これを補する。

○2項

司法研修所長は、最高裁判所長官の監督を受けて、司法研修所の事務を掌理し、司法研修所の職員を指揮監督する。

1項

最高裁判所に裁判所職員総合研修所教官を置く。

○2項

裁判所職員総合研修所教官は、上司の指揮を受けて、裁判所職員総合研修所における裁判所書記官、家庭裁判所調査官 その他の裁判官以外の裁判所の職員の研究 及び修養の指導をつかさどる。

1項

最高裁判所に裁判所職員総合研修所長を置き、裁判所職員総合研修所教官の中から、最高裁判所が、これを補する。

○2項

裁判所職員総合研修所長は、最高裁判所長官の監督を受けて、裁判所職員総合研修所の事務を掌理し、裁判所職員総合研修所の職員を指揮監督する。

1項

最高裁判所に最高裁判所図書館長一人を置き、裁判所の職員の中からこれを命ずる。

○2項

最高裁判所図書館長は、最高裁判所長官の監督を受けて最高裁判所図書館の事務を掌理し、最高裁判所図書館の職員を指揮監督する。

○3項

前二項の規定は、国立国会図書館法の規定の適用を妨げない。

1項

各高等裁判所に高等裁判所長官秘書官各一人を置く。

○2項

高等裁判所長官秘書官は、高等裁判所長官の命を受けて、機密に関する事務をつかさどる。

1項

最高裁判所、各高等裁判所 及び各地方裁判所に裁判所調査官を置く。

○2項

裁判所調査官は、裁判官の命を受けて、事件(地方裁判所においては、知的財産 又は租税に関する事件に限る)の審理 及び裁判に関して必要な調査 その他他の法律において定める事務をつかさどる。

1項
各裁判所に裁判所事務官を置く。
○2項

裁判所事務官は、上司の命を受けて、裁判所の事務を掌る。

1項

各高等裁判所、各地方裁判所 及び各家庭裁判所に事務局長を置き、裁判所事務官の中から、最高裁判所が、これを補する。

○2項

各高等裁判所の事務局長は、各高等裁判所長官の、各地方裁判所の事務局長は、各地方裁判所長の、各家庭裁判所の事務局長は、各家庭裁判所長の監督を受けて、事務局の事務を掌理し、事務局の職員を指揮監督する。

1項
各裁判所に裁判所書記官を置く。
○2項

裁判所書記官は、裁判所の事件に関する記録 その他の書類の作成 及び保管 その他他の法律において定める事務を掌る。

○3項

裁判所書記官は、前項の事務を掌る外、裁判所の事件に関し、裁判官の命を受けて、裁判官の行なう法令 及び判例の調査 その他必要な事項の調査を補助する。

○4項

裁判所書記官は、その職務を行うについては、裁判官の命令に従う。

○5項

裁判所書記官は、口述の書取 その他書類の作成 又は変更に関して裁判官の命令を受けた場合において、その作成 又は変更を正当でないと認めるときは、自己の意見を書き添えることができる。

1項
各裁判所に裁判所速記官を置く。
○2項

裁判所速記官は、裁判所の事件に関する速記 及びこれに関する事務を掌る。

○3項

裁判所速記官は、その職務を行うについては、裁判官の命令に従う。

1項
各裁判所に裁判所技官を置く。
○2項

裁判所技官は、上司の命を受けて、技術を掌る。

1項

各家庭裁判所 及び各高等裁判所に家庭裁判所調査官を置く。

○2項

家庭裁判所調査官は、各家庭裁判所においては、第三十一条の三第一項第一号の審判 及び調停、同項第二号の裁判(人事訴訟法第三十二条第一項の附帯処分についての裁判 及び同条第三項の親権者の指定についての裁判(以下 この項において「附帯処分等の裁判」という。)に限る)並びに第三十一条の三第一項第三号の審判に必要な調査 その他他の法律において定める事務を掌り、各高等裁判所においては、同項第一号の審判に係る抗告審の審理 及び附帯処分等の裁判に係る控訴審の審理に必要な調査 その他他の法律において定める事務を掌る。

○3項

最高裁判所は、家庭裁判所調査官の中から、首席家庭裁判所調査官を命じ、調査事務の監督、関係行政機関 その他の機関との連絡調整等の事務を掌らせることができる。

○4項

家庭裁判所調査官は、その職務を行うについては、裁判官の命令に従う。

1項

各家庭裁判所に家庭裁判所調査官補を置く。

○2項

家庭裁判所調査官補は、上司の命を受けて、家庭裁判所調査官の事務を補助する。

1項
各地方裁判所に執行官を置く。
○2項

執行官に任命されるのに必要な資格に関する事項は、最高裁判所がこれを定める。

○3項

執行官は、他の法律の定めるところにより裁判の執行、裁判所の発する文書の送達 その他の事務を行う。

○4項

執行官は、手数料を受けるものとし、その手数料が一定の額に達しないときは、国庫から補助金を受ける。

1項
各裁判所に廷吏を置く。
○2項

廷吏は、法廷において裁判官の命ずる事務 その他最高裁判所の定める事務を取り扱う。

○3項

各裁判所は、執行官を用いることができないときは、その裁判所の所在地で書類を送達するために、廷吏を用いることができる。

1項

裁判官以外の裁判所の職員の任免は、最高裁判所の定めるところにより最高裁判所、各高等裁判所、各地方裁判所 又は各家庭裁判所がこれを行う。

1項

裁判所調査官、裁判所事務官(事務局長たるものを除く)、裁判所書記官、裁判所速記官、家庭裁判所調査官、家庭裁判所調査官補、執行官 及び裁判所技官の勤務する裁判所は、最高裁判所の定めるところにより最高裁判所、各高等裁判所、各地方裁判所 又は各家庭裁判所がこれを定める。

1項

裁判官以外の裁判所の職員に関する事項については、この法律に定めるものの外、別に法律でこれを定める。

第三章 司法修習生

1項

司法修習生は、司法試験に合格した者(司法試験法昭和二十四年法律第百四十号第四条第二項の規定により司法試験を受け、これに合格した者にあつては、その合格の発表の日の属する年の四月一日以降に法科大学院(学校教育法昭和二十二年法律第二十六号第九十九条第二項に規定する専門職大学院であつて、法曹に必要な学識 及び能力を培うことを目的とするものをいう。)の課程を修了したものに限る)の中から、最高裁判所がこれを命ずる。

○2項

前項の試験に関する事項は、別に法律でこれを定める。

1項

司法修習生は、少なくとも一年間修習をした後 試験に合格したときは、司法修習生の修習を終える。

○2項

司法修習生は、その修習期間中、最高裁判所の定めるところにより、その修習に専念しなければならない。

○3項

前項に定めるもののほか第一項の修習 及び試験に関する事項は、最高裁判所がこれを定める。

1項

司法修習生には、その修習のため通常必要な期間として最高裁判所が定める期間、修習給付金を支給する。

○2項

修習給付金の種類は、基本給付金、住居給付金 及び移転給付金とする。

○3項

基本給付金の額は、司法修習生がその修習期間中の生活を維持するために必要な費用であつて、その修習に専念しなければならないこと その他の司法修習生の置かれている状況を勘案して最高裁判所が定める額とする。

○4項

住居給付金は、司法修習生が自ら居住するため住宅(貸間を含む。以下 この項において同じ。)を借り受け、家賃(使用料を含む。以下この項において同じ。)を支払つている場合(配偶者が当該住宅を所有する場合 その他の最高裁判所が定める場合を除く)に支給することとし、その額は、家賃として通常必要な費用の範囲内において最高裁判所が定める額とする。

○5項

移転給付金は、司法修習生がその修習に伴い住所 又は居所を移転することが必要と認められる場合にその移転について支給することとし、その額は、路程に応じて最高裁判所が定める額とする。

○6項

前各項に定めるもののほか、修習給付金の支給に関し必要な事項は、最高裁判所がこれを定める。

1項

最高裁判所は、司法修習生の修習のため通常必要な期間として最高裁判所が定める期間、司法修習生に対し、その申請により、無利息で、修習専念資金司法修習生がその修習に専念することを確保するための資金であつて、修習給付金の支給を受けてもなお必要なものをいう。以下この条において同じ。)を貸与するものとする。

○2項

修習専念資金の額 及び返還の期限は、最高裁判所の定めるところによる。

○3項

最高裁判所は、修習専念資金の貸与を受けた者が災害、傷病 その他やむを得ない理由により修習専念資金を返還することが困難となつたとき、又は修習専念資金の貸与を受けた者について修習専念資金を返還することが経済的に困難である事由として最高裁判所の定める事由があるときは、その返還の期限を猶予することができる。


この場合においては、国の債権の管理等に関する法律昭和三十一年法律第百十四号第二十六条の規定は、適用しない

○4項

最高裁判所は、修習専念資金の貸与を受けた者が死亡 又は精神 若しくは身体の障害により修習専念資金を返還することができなくなつたときは、その修習専念資金の全部 又は一部の返還を免除することができる。

○5項

前各項に定めるもののほか、修習専念資金の貸与 及び返還に関し必要な事項は、最高裁判所がこれを定める。

1項

最高裁判所は、司法修習生に成績不良、心身の故障 その他のその修習を継続することが困難である事由として最高裁判所の定める事由があると認めるときは、最高裁判所の定めるところにより、その司法修習生を罷免することができる。

○2項

最高裁判所は、司法修習生に品位を辱める行状 その他の司法修習生たるに適しない非行に当たる事由として最高裁判所の定める事由があると認めるときは、最高裁判所の定めるところにより、その司法修習生を罷免し、その修習の停止を命じ、又は戒告することができる。