検察官 又は被告人は、上訴をすることができる。
刑事訴訟法
第三編 上訴
第一章 通則
第二百六十六条第二号の規定により裁判所の審判に付された事件と他の事件とが併合して審判され、一個の裁判があつた場合には、第二百六十八条第二項の規定により検察官の職務を行う弁護士 及び当該他の事件の検察官は、その裁判に対し各々独立して上訴をすることができる。
検察官 又は被告人以外の者で決定を受けたものは、抗告をすることができる。
被告人の法定代理人 又は保佐人は、被告人のため上訴をすることができる。
勾留に対しては、勾留の理由の開示があつたときは、その開示の請求をした者も、被告人のため上訴をすることができる。
その上訴を棄却する決定に対しても、同様である。
原審における代理人 又は弁護人は、被告人のため上訴をすることができる。
前三条の上訴は、被告人の明示した意思に反してこれをすることができない。
上訴は、裁判の一部に対してこれをすることができる。
部分を限らないで上訴をしたときは、裁判の全部に対してしたものとみなす。
上訴の提起期間は、裁判が告知された日から進行する。
検察官、被告人 又は第三百五十二条に規定する者は、上訴の放棄 又は取下をすることができる。
第三百五十三条 又は第三百五十四条に規定する者は、書面による被告人の同意を得て、上訴の放棄 又は取下をすることができる。
死刑 又は無期の懲役 若しくは禁錮に処する判決に対する上訴は、前二条の規定にかかわらず、これを放棄することができない。
上訴放棄の申立は、書面でこれをしなければならない。
上訴の放棄 又は取下をした者は、その事件について更に上訴をすることができない。
上訴の放棄 又は取下に同意をした被告人も、同様である。
第三百五十一条乃至第三百五十五条の規定により上訴をすることができる者は、自己 又は代人の責に帰することができない事由によつて上訴の提起期間内に上訴をすることができなかつたときは、原裁判所に上訴権回復の請求をすることができる。
上訴権回復の請求は、事由が止んだ日から上訴の提起期間に相当する期間内にこれをしなければならない。
上訴権回復の請求をする者は、その請求と同時に上訴の申立をしなければならない。
上訴権回復の請求についてした決定に対しては、即時抗告をすることができる。
上訴権回復の請求があつたときは、原裁判所は、前条の決定をするまで裁判の執行を停止する決定をすることができる。
この場合には、被告人に対し勾留状を発することができる。
刑事施設にいる被告人が上訴の提起期間内に上訴の申立書を刑事施設の長 又はその代理者に差し出したときは、上訴の提起期間内に上訴をしたものとみなす。
被告人が自ら申立書を作ることができないときは、刑事施設の長 又はその代理者は、これを代書し、又は所属の職員にこれをさせなければならない。
前条の規定は、刑事施設にいる被告人が上訴の放棄 若しくは取下げ 又は上訴権回復の請求をする場合にこれを準用する。
第二章 控訴
控訴は、地方裁判所 又は簡易裁判所がした第一審の判決に対してこれをすることができる。
控訴の提起期間は、十四日とする。
控訴をするには、申立書を第一審裁判所に差し出さなければならない。
控訴の申立が明らかに控訴権の消滅後にされたものであるときは、第一審裁判所は、決定でこれを棄却しなければならない。
この決定に対しては、即時抗告をすることができる。
控訴申立人は、裁判所の規則で定める期間内に控訴趣意書を控訴裁判所に差し出さなければならない。
控訴趣意書には、この法律 又は裁判所の規則の定めるところにより、必要な疎明資料 又は検察官 若しくは弁護人の保証書を添附しなければならない。
左の事由があることを理由として控訴の申立をした場合には、控訴趣意書に、その事由があることの充分な証明をすることができる旨の検察官 又は弁護人の保証書を添附しなければならない。
法律に従つて判決裁判所を構成しなかつたこと。
法令により判決に関与することができない裁判官が判決に関与したこと。
審判の公開に関する規定に違反したこと。
左の事由があることを理由として控訴の申立をした場合には、控訴趣意書に、訴訟記録 及び原裁判所において取り調べた証拠に現われている事実であつてその事由があることを信ずるに足りるものを援用しなければならない。
不法に管轄 又は管轄違を認めたこと。
不法に、公訴を受理し、又はこれを棄却したこと。
審判の請求を受けた事件について判決をせず、又は審判の請求を受けない事件について判決をしたこと。
判決に理由を附せず、又は理由にくいちがいがあること。
前二条の場合を除いて、訴訟手続に法令の違反があつてその違反が判決に影響を及ぼすことが明らかであることを理由として控訴の申立をした場合には、控訴趣意書に、訴訟記録 及び原裁判所において取り調べた証拠に現われている事実であつて明らかに判決に影響を及ぼすべき法令の違反があることを信ずるに足りるものを援用しなければならない。
法令の適用に誤があつてその誤が判決に影響を及ぼすことが明らかであることを理由として控訴の申立をした場合には、控訴趣意書に、その誤 及びその誤が明らかに判決に影響を及ぼすべきことを示さなければならない。
刑の量定が不当であることを理由として控訴の申立をした場合には、控訴趣意書に、訴訟記録 及び原裁判所において取り調べた証拠に現われている事実であつて刑の量定が不当であることを信ずるに足りるものを援用しなければならない。
事実の誤認があつてその誤認が判決に影響を及ぼすことが明らかであることを理由として控訴の申立をした場合には、控訴趣意書に、訴訟記録 及び原裁判所において取り調べた証拠に現われている事実であつて明らかに判決に影響を及ぼすべき誤認があることを信ずるに足りるものを援用しなければならない。
やむを得ない事由によつて第一審の弁論終結前に取調を請求することができなかつた証拠によつて証明することのできる事実であつて前二条に規定する控訴申立の理由があることを信ずるに足りるものは、訴訟記録 及び原裁判所において取り調べた証拠に現われている事実以外の事実であつても、控訴趣意書にこれを援用することができる。
第一審の弁論終結後判決前に生じた事実であつて前二条に規定する控訴申立の理由があることを信ずるに足りるものについても、前項と同様である。
前二項の場合には、控訴趣意書に、その事実を疎明する資料を添附しなければならない。
第一項の場合には、やむを得ない事由によつてその証拠の取調を請求することができなかつた旨を疎明する資料をも添附しなければならない。
左の事由があることを理由として控訴の申立をした場合には、控訴趣意書に、その事由があることを疎明する資料を添附しなければならない。
再審の請求をすることができる場合にあたる事由があること。
判決があつた後に刑の廃止 若しくは変更 又は大赦があつたこと。
控訴の申立は、第三百七十七条乃至第三百八十二条 及び前条に規定する事由があることを理由とするときに限り、これをすることができる。
控訴の申立が法令上の方式に違反し、又は控訴権の消滅後にされたものであることが明らかなときは、控訴裁判所は、決定でこれを棄却しなければならない。
前項の決定に対しては、第四百二十八条第二項の異議の申立をすることができる。
この場合には、即時抗告に関する規定をも準用する。
左の場合には、控訴裁判所は、決定で控訴を棄却しなければならない。
第三百七十六条第一項に定める期間内に控訴趣意書を差し出さないとき。
控訴趣意書がこの法律 若しくは裁判所の規則で定める方式に違反しているとき、又は控訴趣意書にこの法律 若しくは裁判所の規則の定めるところに従い必要な疎明資料若しくは保証書を添附しないとき。
控訴趣意書に記載された控訴の申立の理由が、明らかに第三百七十七条乃至第三百八十二条 及び第三百八十三条に規定する事由に該当しないとき。
前条第二項の規定は、前項の決定についてこれを準用する。
控訴審では、弁護士以外の者を弁護人に選任することはできない。
控訴審では、被告人のためにする弁論は、弁護人でなければ、これをすることができない。
公判期日には、検察官 及び弁護人は、控訴趣意書に基いて弁論をしなければならない。
控訴審においては、被告人は、公判期日に出頭することを要しない。
ただし、裁判所は、五十万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律 及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、五万円)以下の罰金 又は科料に当たる事件以外の事件について、被告人の出頭がその権利の保護のため重要であると認めるときは、被告人の出頭を命ずることができる。
前条の規定にかかわらず、控訴裁判所は、拘禁刑以上の刑に当たる罪で起訴されている被告人であつて、保釈 又は勾留の執行停止をされているものについては、判決を宣告する公判期日への出頭を命じなければならない。
ただし、重い疾病 又は傷害 その他やむを得ない事由により被告人が当該公判期日に出頭することが困難であると認めるときは、この限りでない。
弁護人が出頭しないとき、又は弁護人の選任がないときは、この法律により弁護人を要する場合 又は決定で弁護人を附した場合を除いては、検察官の陳述を聴いて判決をすることができる。
控訴裁判所は、控訴趣意書に包含された事項は、これを調査しなければならない。
控訴裁判所は、控訴趣意書に包含されない事項であつても、第三百七十七条乃至第三百八十二条 及び第三百八十三条に規定する事由に関しては、職権で調査をすることができる。
控訴裁判所は、前条の調査をするについて必要があるときは、検察官、被告人 若しくは弁護人の請求により又は職権で事実の取調をすることができる。
但し、第三百八十二条の二の疎明があつたものについては、刑の量定の不当 又は判決に影響を及ぼすべき事実の誤認を証明するために欠くことのできない場合に限り、これを取り調べなければならない。
控訴裁判所は、必要があると認めるときは、職権で、第一審判決後の刑の量定に影響を及ぼすべき情状につき取調をすることができる。
前二項の取調は、合議体の構成員にこれをさせ、又は地方裁判所、家庭裁判所 若しくは簡易裁判所の裁判官にこれを嘱託することができる。
この場合には、受命裁判官 及び受託裁判官は、裁判所 又は裁判長と同一の権限を有する。
第一項 又は第二項の規定による取調をしたときは、検察官 及び弁護人は、その結果に基いて弁論をすることができる。
第一審において証拠とすることができた証拠は、控訴審においても、これを証拠とすることができる。
控訴の申立が法令上の方式に違反し、又は控訴権の消滅後にされたものであるときは、判決で控訴を棄却しなければならない。
第三百七十七条乃至第三百八十二条 及び第三百八十三条に規定する事由がないときは、判決で控訴を棄却しなければならない。
第三百七十七条乃至第三百八十二条 及び第三百八十三条に規定する事由があるときは、判決で原判決を破棄しなければならない。
第三百九十三条第二項の規定による取調の結果、原判決を破棄しなければ明らかに正義に反すると認めるときは、判決で原判決を破棄することができる。
不法に、管轄違を言い渡し、又は公訴を棄却したことを理由として原判決を破棄するときは、判決で事件を原裁判所に差し戻さなければならない。
不法に管轄を認めたことを理由として原判決を破棄するときは、判決で事件を管轄第一審裁判所に移送しなければならない。
但し、控訴裁判所は、その事件について第一審の管轄権を有するときは、第一審として審判をしなければならない。
前二条に規定する理由以外の理由によつて原判決を破棄するときは、判決で、事件を原裁判所に差し戻し、又は原裁判所と同等の他の裁判所に移送しなければならない。
但し、控訴裁判所は、訴訟記録 並びに原裁判所 及び控訴裁判所において取り調べた証拠によつて、直ちに判決をすることができるものと認めるときは、被告事件について更に判決をすることができる。
被告人の利益のため原判決を破棄する場合において、破棄の理由が控訴をした共同被告人に共通であるときは、その共同被告人のためにも原判決を破棄しなければならない。
被告人が控訴をし、又は被告人のため控訴をした事件については、原判決の刑より重い刑を言い渡すことはできない。
控訴裁判所は、拘禁刑以上の刑に当たる罪で起訴されている被告人であつて、保釈 又は勾留の執行停止をされているものが判決を宣告する公判期日に出頭しないときは、次に掲げる判決以外の判決を宣告することができない。
ただし、第三百九十条の二ただし書に規定する場合であつて、刑の執行のため その者を収容するのに困難を生ずるおそれがないと認めるときは、この限りでない。
拘禁刑以上の刑に当たる罪で起訴されている被告人であつて、保釈 又は勾留の執行停止を取り消されたものが勾留されていないときも、前項本文と同様とする。
ただし、被告人が逃亡していることにより勾留することが困難であると見込まれる場合において、次に掲げる判決について、速やかに宣告する必要があると認めるときは、この限りでない。
公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)第二百五十三条の二第一項に規定する刑事事件について、有罪の言渡し(刑の免除の言渡しを除く。以下 この号において同じ。)をする判決 又は有罪の言渡しをした原判決に対する控訴を棄却する判決
組織的犯罪処罰法第十三条第三項の規定による犯罪被害財産の没収 若しくは組織的犯罪処罰法第十六条第二項の規定による犯罪被害財産の価額の追徴の言渡しをする判決 又はこれらの言渡しをした原判決に対する控訴を棄却する判決
原裁判所が不法に公訴棄却の決定をしなかつたときは、決定で公訴を棄却しなければならない。
第三百八十五条第二項の規定は、前項の決定についてこれを準用する。
即決裁判手続においてされた判決に対する控訴の申立ては、第三百八十四条の規定にかかわらず、当該判決の言渡しにおいて示された罪となるべき事実について第三百八十二条に規定する事由があることを理由としては、これをすることができない。
原裁判所が即決裁判手続によつて判決をした事件については、第三百九十七条第一項の規定にかかわらず、控訴裁判所は、当該判決の言渡しにおいて示された罪となるべき事実について第三百八十二条に規定する事由があることを理由としては、原判決を破棄することができない。
第二編中公判に関する規定は、この法律に特別の定のある場合を除いては、控訴の審判についてこれを準用する。
第三章 上告
高等裁判所がした第一審 又は第二審の判決に対しては、左の事由があることを理由として上告の申立をすることができる。
憲法の違反があること 又は憲法の解釈に誤があること。
最高裁判所の判例と相反する判断をしたこと。
最高裁判所の判例がない場合に、大審院 若しくは上告裁判所たる高等裁判所の判例 又はこの法律施行後の控訴裁判所たる高等裁判所の判例と相反する判断をしたこと。
最高裁判所は、前条の規定により上告をすることができる場合以外の場合であつても、法令の解釈に関する重要な事項を含むものと認められる事件については、その判決確定前に限り、裁判所の規則の定めるところにより、自ら上告審としてその事件を受理することができる。
上告趣意書には、裁判所の規則の定めるところにより、上告の申立の理由を明示しなければならない。
上告裁判所は、上告趣意書 その他の書類によつて、上告の申立の理由がないことが明らかであると認めるときは、弁論を経ないで、判決で上告を棄却することができる。
上告審においては、公判期日に被告人を召喚することを要しない。
上告裁判所は、第四百五条各号に規定する事由があるときは、判決で原判決を破棄しなければならない。
但し、判決に影響を及ぼさないことが明らかな場合は、この限りでない。
第四百五条第二号 又は第三号に規定する事由のみがある場合において、上告裁判所がその判例を変更して原判決を維持するのを相当とするときは、前項の規定は、これを適用しない。
上告裁判所は、第四百五条各号に規定する事由がない場合であつても、左の事由があつて原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認めるときは、判決で原判決を破棄することができる。
判決に影響を及ぼすべき法令の違反があること。
刑の量定が甚しく不当であること。
判決に影響を及ぼすべき重大な事実の誤認があること。
再審の請求をすることができる場合にあたる事由があること。
判決があつた後に刑の廃止 若しくは変更 又は大赦があつたこと。
不法に管轄を認めたことを理由として原判決を破棄するときは、判決で事件を管轄控訴裁判所 又は管轄第一審裁判所に移送しなければならない。
前条に規定する理由以外の理由によつて原判決を破棄するときは、判決で、事件を原裁判所 若しくは第一審裁判所に差し戻し、又はこれらと同等の他の裁判所に移送しなければならない。
但し、上告裁判所は、訴訟記録 並びに原裁判所 及び第一審裁判所において取り調べた証拠によつて、直ちに判決をすることができるものと認めるときは、被告事件について更に判決をすることができる。
第一審裁判所が即決裁判手続によつて判決をした事件については、第四百十一条の規定にかかわらず、上告裁判所は、当該判決の言渡しにおいて示された罪となるべき事実について同条第三号に規定する事由があることを理由としては、原判決を破棄することができない。
前章の規定は、この法律に特別の定のある場合を除いては、上告の審判についてこれを準用する。
上告裁判所は、その判決の内容に誤のあることを発見したときは、検察官、被告人 又は弁護人の申立により、判決でこれを訂正することができる。
前項の申立は、判決の宣告があつた日から十日以内にこれをしなければならない。
上告裁判所は、適当と認めるときは、第一項に規定する者の申立により、前項の期間を延長することができる。
訂正の判決は、弁論を経ないでもこれをすることができる。
上告裁判所は、訂正の判決をしないときは、速やかに決定で申立を棄却しなければならない。
訂正の判決に対しては、第四百十五条第一項の申立をすることはできない。
上告裁判所の判決は、宣告があつた日から第四百十五条の期間を経過したとき、又はその期間内に同条第一項の申立があつた場合には訂正の判決 若しくは申立を棄却する決定があつたときに、確定する。
第四章 抗告
抗告は、特に即時抗告をすることができる旨の規定がある場合の外、裁判所のした決定に対してこれをすることができる。
但し、この法律に特別の定のある場合は、この限りでない。
裁判所の管轄 又は訴訟手続に関し判決前にした決定に対しては、この法律に特に即時抗告をすることができる旨の規定がある場合を除いては、抗告をすることはできない。
前項の規定は、勾留、保釈、押収 又は押収物の還付に関する決定 及び鑑定のためにする留置に関する決定については、これを適用しない。
勾留に対しては、前項の規定にかかわらず、犯罪の嫌疑がないことを理由として抗告をすることはできない。
抗告は、即時抗告を除いては、何時でも これをすることができる。
但し、原決定を取り消しても実益がないようになつたときは、この限りでない。
即時抗告の提起期間は、三日とする。
抗告をするには、申立書を原裁判所に差し出さなければならない。
原裁判所は、抗告を理由があるものと認めるときは、決定を更正しなければならない。
抗告の全部 又は一部を理由がないと認めるときは、申立書を受け取つた日から三日以内に意見書を添えて、これを抗告裁判所に送付しなければならない。
抗告は、即時抗告を除いては、裁判の執行を停止する効力を有しない。
但し、原裁判所は、決定で、抗告の裁判があるまで執行を停止することができる。
抗告裁判所は、決定で裁判の執行を停止することができる。
即時抗告の提起期間内 及びその申立があつたときは、裁判の執行は、停止される。
抗告の手続がその規定に違反したとき、又は抗告が理由のないときは、決定で抗告を棄却しなければならない。
抗告が理由のあるときは、決定で原決定を取り消し、必要がある場合には、更に裁判をしなければならない。
抗告裁判所の決定に対しては、抗告をすることはできない。
高等裁判所の決定に対しては、抗告をすることはできない。
即時抗告をすることができる旨の規定がある決定 並びに第四百十九条 及び第四百二十条の規定により抗告をすることができる決定で高等裁判所がしたものに対しては、その高等裁判所に異議の申立をすることができる。
前項の異議の申立に関しては、抗告に関する規定を準用する。
即時抗告をすることができる旨の規定がある決定に対する異議の申立に関しては、即時抗告に関する規定をも準用する。
裁判官が 次に掲げる裁判をした場合において、不服がある者は、簡易裁判所の裁判官がした裁判に対しては管轄地方裁判所に、その他の裁判官がした裁判に対してはその裁判官所属の裁判所にその裁判の取消し 又は変更を請求することができる。
勾留、保釈、押収 又は押収物の還付に関する裁判
証人、鑑定人、通訳人 又は翻訳人に対して過料 又は費用の賠償を命ずる裁判
身体の検査を受ける者に対して過料 又は費用の賠償を命ずる裁判
第四百二十条第三項の規定は、前項の請求についてこれを準用する。
第二百七条の二第二項(第二百二十四条第三項において読み替えて準用する場合を含む。)の規定による措置に関する裁判に対しては、当該措置に係る者が第二百一条の二第一項第一号 又は第二号に掲げる者に該当しないことを理由として第一項の請求をすることができない。
第一項の請求を受けた地方裁判所 又は家庭裁判所は、合議体で決定をしなければならない。
第一項第四号 又は第五号の裁判の取消し 又は変更の請求は、その裁判のあつた日から三日以内にしなければならない。
前項の請求期間内 及びその請求があつたときは、裁判の執行は、停止される。
検察官 又は検察事務官のした第三十九条第三項の処分 又は押収 若しくは押収物の還付に関する処分に不服がある者は、その検察官 又は検察事務官が所属する検察庁の対応する裁判所にその処分の取消 又は変更を請求することができる。
司法警察職員のした前項の処分に不服がある者は、司法警察職員の職務執行地を管轄する地方裁判所 又は簡易裁判所にその処分の取消 又は変更を請求することができる。
前二項の請求については、行政事件訴訟に関する法令の規定は、これを適用しない。
前二条の請求をするには、請求書を管轄裁判所に差し出さなければならない。
第四百二十四条、第四百二十六条 及び第四百二十七条の規定は、第四百二十九条 及び第四百三十条の請求があつた場合にこれを準用する。
この法律により不服を申し立てることができない決定 又は命令に対しては、第四百五条に規定する事由があることを理由とする場合に限り、最高裁判所に特に抗告をすることができる。
前項の抗告の提起期間は、五日とする。
第四百二十三条、第四百二十四条 及び第四百二十六条の規定は、この法律に特別の定のある場合を除いては、前条第一項の抗告についてこれを準用する。