労働委員会は、使用者を代表する者(以下「使用者委員」という。)、労働者を代表する者(以下「労働者委員」という。)及び公益を代表する者(以下「公益委員」という。)各同数をもつて組織する。
労働組合法
第四章 労働委員会
第一節 設置、任務及び所掌事務並びに組織等
労働委員会は、中央労働委員会 及び都道府県労働委員会とする。
労働委員会に関する事項は、この法律に定めるもののほか、政令で定める。
国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項の規定に基づいて、厚生労働大臣の所轄の下に、中央労働委員会を置く。
中央労働委員会は、労働者が団結することを擁護し、及び労働関係の公正な調整を図ることを任務とする。
中央労働委員会は、前項の任務を達成するため、第五条、第十一条、第十八条 及び第二十六条の規定による事務、不当労働行為事件の審査等(第七条、次節 及び第三節の規定による事件の処理をいう。以下同じ。)に関する事務、労働争議のあつせん、調停 及び仲裁に関する事務 並びに労働関係調整法第三十五条の二 及び第三十五条の三の規定による事務 その他法律(法律に基づく命令を含む。)に基づき中央労働委員会に属させられた事務をつかさどる。
中央労働委員会は、使用者委員、労働者委員 及び公益委員 各十五人をもつて組織する。
使用者委員は使用者団体の推薦(使用者委員のうち四人については、行政執行法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第四項に規定する行政執行法人をいう。以下この項、次条第二項第二号 及び第十九条の十第一項において同じ。)の推薦)に基づいて、労働者委員は労働組合の推薦(労働者委員のうち四人については、行政執行法人の労働関係に関する法律(昭和二十三年法律第二百五十七号)第二条第二号に規定する職員(以下この章において「行政執行法人職員」という。)が結成し、又は加入する労働組合の推薦)に基づいて、公益委員は厚生労働大臣が使用者委員 及び労働者委員の同意を得て作成した委員候補者名簿に記載されている者のうちから両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。
公益委員の任期が満了し、又は欠員を生じた場合において、国会の閉会 又は衆議院の解散のために両議院の同意を得ることができないときは、内閣総理大臣は、前項の規定にかかわらず、厚生労働大臣が使用者委員 及び労働者委員の同意を得て作成した委員候補者名簿に記載されている者のうちから、公益委員を任命することができる。
前項の場合においては、任命後最初の国会で両議院の事後の承認を求めなければならない。
この場合において、両議院の事後の承認が得られないときは、内閣総理大臣は、直ちにその公益委員を罷免しなければならない。
公益委員の任命については、そのうち七人以上が同一の政党に属することとなつてはならない。
中央労働委員会の委員(次条から第十九条の九までにおいて単に「委員」という。)は、非常勤とする。
ただし、公益委員のうち二人以内は、常勤とすることができる。
禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで、又は執行を受けることがなくなるまでの者は、委員となることができない。
次の各号のいずれかに該当する者は、公益委員となることができない。
行政執行法人の役員、行政執行法人職員 又は行政執行法人職員が結成し、若しくは加入する労働組合の組合員 若しくは役員
委員の任期は、二年とする。
ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
委員の任期が満了したときは、当該委員は、後任者が任命されるまで引き続き在任するものとする。
常勤の公益委員は、在任中、次の各号のいずれかに該当する行為をしてはならない。
政党 その他の政治的団体の役員となり、又は積極的に政治運動をすること。
内閣総理大臣の許可のある場合を除くほか、報酬を得て他の職務に従事し、又は営利事業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行うこと。
非常勤の公益委員は、在任中、前項第一号に該当する行為をしてはならない。
委員は、第十九条の四第一項に規定する者に該当するに至つた場合には、その職を失う。
公益委員が同条第二項各号のいずれかに該当するに至つた場合も、同様とする。
内閣総理大臣は、委員が心身の故障のために職務の執行ができないと認める場合 又は委員に職務上の義務違反 その他委員たるに適しない非行があると認める場合には、使用者委員 及び労働者委員にあつては中央労働委員会の同意を得て、公益委員にあつては両議院の同意を得て、その委員を罷免することができる。
前項の規定により、内閣総理大臣が中央労働委員会に対して、使用者委員 又は労働者委員の罷免の同意を求めた場合には、当該委員は、その議事に参与することができない。
内閣総理大臣は、公益委員のうち六人が既に属している政党に新たに属するに至つた公益委員を直ちに罷免するものとする。
内閣総理大臣は、公益委員のうち七人以上が同一の政党に属することとなつた場合(前項の規定に該当する場合を除く。)には、同一の政党に属する者が六人になるように、両議院の同意を得て、公益委員を罷免するものとする。
ただし、政党所属関係に異動のなかつた委員を罷免することはできないものとする。
委員は、別に法律の定めるところにより俸給、手当 その他の給与を受け、及び政令の定めるところによりその職務を行うために要する費用の弁償を受けるものとする。
会長は、中央労働委員会の会務を総理し、中央労働委員会を代表する。
中央労働委員会は、あらかじめ公益委員のうちから委員の選挙により、会長に故障がある場合において会長を代理する委員を定めておかなければならない。
中央労働委員会に、行政執行法人と その行政執行法人職員との間に発生した紛争 その他の事件で地方において中央労働委員会が処理すべきものとして政令で定めるものに係るあつせん 若しくは調停又は第二十四条の二第五項の規定による手続に参与させるため、使用者、労働者 及び公益をそれぞれ代表する地方調整委員を置く。
地方調整委員は、中央労働委員会の同意を得て、政令で定める区域ごとに厚生労働大臣が任命する。
第十九条の五第一項本文 及び第二項、第十九条の七第二項 並びに第十九条の八の規定は、地方調整委員について準用する。
この場合において、
第十九条の七第二項中
「内閣総理大臣」とあるのは
「厚生労働大臣」と、
「使用者委員 及び労働者委員にあつては中央労働委員会の同意を得て、公益委員にあつては両議院」とあるのは
「中央労働委員会」と
読み替えるものとする。
中央労働委員会にその事務を整理させるために事務局を置き、事務局に会長の同意を得て厚生労働大臣が任命する事務局長 及び必要な職員を置く。
事務局に、地方における事務を分掌させるため、地方事務所を置く。
地方事務所の位置、名称 及び管轄区域は、政令で定める。
都道府県知事の所轄の下に、都道府県労働委員会を置く。
都道府県労働委員会は、使用者委員、労働者委員 及び公益委員各十三人、各十一人、各九人、各七人 又は各五人のうち政令で定める数のものをもつて組織する。
ただし、条例で定めるところにより、当該政令で定める数に使用者委員、労働者委員 及び公益委員各二人を加えた数のものをもつて組織することができる。
使用者委員は使用者団体の推薦に基づいて、労働者委員は労働組合の推薦に基づいて、公益委員は使用者委員 及び労働者委員の同意を得て、都道府県知事が任命する。
公益委員の任命については、都道府県労働委員会における別表の上欄に掲げる公益委員の数(第二項ただし書の規定により公益委員の数を同項の政令で定める数に二人を加えた数とする都道府県労働委員会にあつては当該二人を加えた数)に応じ、それぞれ同表の下欄に定める数以上の公益委員が同一の政党に属することとなつてはならない。
公益委員は、自己の行為によつて前項の規定に抵触するに至つたときは、当然退職するものとする。
第十九条の三第六項、第十九条の四第一項、第十九条の五、第十九条の七第一項前段、第二項 及び第三項、第十九条の八、第十九条の九 並びに前条第一項の規定は、都道府県労働委員会について準用する。
この場合において、
第十九条の三第六項ただし書中
「、常勤」とあるのは
「、条例で定めるところにより、常勤」と、
第十九条の七第二項中
「内閣総理大臣」とあるのは
「都道府県知事」と、
「使用者委員 及び労働者委員にあつては中央労働委員会の同意を得て、公益委員にあつては両議院」とあるのは
「都道府県労働委員会」と、
同条第三項中
「内閣総理大臣」とあるのは
「都道府県知事」と、
「使用者委員 又は労働者委員」とあるのは
「都道府県労働委員会の委員」と、
前条第一項中
「厚生労働大臣」とあるのは
「都道府県知事」と
読み替えるものとする。
労働委員会は、第五条、第十一条 及び第十八条の規定によるもののほか、不当労働行為事件の審査等 並びに労働争議のあつせん、調停 及び仲裁をする権限を有する。
労働委員会は、公益上必要があると認めたときは、その会議を公開することができる。
労働委員会の会議は、会長が招集する。
労働委員会は、使用者委員、労働者委員 及び公益委員各一人以上が出席しなければ、会議を開き、議決することができない。
議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、会長の決するところによる。
労働委員会は、その事務を行うために必要があると認めたときは、使用者 又はその団体、労働組合 その他の関係者に対して、出頭、報告の提出 若しくは必要な帳簿書類の提出を求め、又は委員 若しくは労働委員会の職員(以下単に「職員」という。)に関係工場事業場に臨検し、業務の状況 若しくは帳簿書類 その他の物件を検査させることができる。
労働委員会は、前項の臨検 又は検査をさせる場合においては、委員 又は職員にその身分を証明する証票を携帯させ、関係人にこれを呈示させなければならない。
労働委員会の委員 若しくは委員であつた者 又は職員 若しくは職員であつた者は、その職務に関して知得した秘密を漏らしてはならない。
中央労働委員会の地方調整委員 又は地方調整委員であつた者も、同様とする。
第五条 及び第十一条の規定による事件の処理 並びに不当労働行為事件の審査等(次条において「審査等」という。)並びに労働関係調整法第四十二条の規定による事件の処理には、労働委員会の公益委員のみが参与する。
ただし、使用者委員 及び労働者委員は、第二十七条第一項(第二十七条の十七の規定により準用する場合を含む。)の規定により調査(公益委員の求めがあつた場合に限る。)及び審問を行う手続 並びに第二十七条の十四第一項(第二十七条の十七の規定により準用する場合を含む。)の規定により和解を勧める手続に参与し、又は第二十七条の七第四項 及び第二十七条の十二第二項(第二十七条の十七の規定により準用する場合を含む。)の規定による行為をすることができる。
中央労働委員会は、常勤の公益委員に、中央労働委員会に係属している事件に関するもののほか、行政執行法人職員の労働関係の状況 その他中央労働委員会の事務を処理するために必要と認める事項の調査を行わせることができる。
中央労働委員会は、会長が指名する公益委員五人をもつて構成する合議体で、審査等を行う。
前項の規定にかかわらず、次の各号のいずれかに該当する場合においては、公益委員の全員をもつて構成する合議体で、審査等を行う。
前項の合議体が、法令の解釈適用について、その意見が前に中央労働委員会のした第五条第一項 若しくは第十一条第一項 又は第二十七条の十二第一項(第二十七条の十七の規定により準用する場合を含む。)の規定による処分に反すると認めた場合
前項の合議体を構成する者の意見が分かれたため、その合議体としての意見が定まらない場合
前項の合議体が、公益委員の全員をもつて構成する合議体で審査等を行うことを相当と認めた場合
第二十七条の十第三項(第二十七条の十七の規定により準用する場合を含む。)の規定による異議の申立てを審理する場合
都道府県労働委員会は、公益委員の全員をもつて構成する合議体で、審査等を行う。
ただし、条例で定めるところにより、会長が指名する公益委員五人又は七人をもつて構成する合議体で、審査等を行うことができる。
この場合において、前項(第一号及び第四号を除く。)の規定は、都道府県労働委員会について準用する。
労働委員会は、前三項の規定により審査等を行うときは、一人 又は数人の公益委員に審査等の手続(第五条第一項、第十一条第一項、第二十七条の四第一項(第二十七条の十七の規定により準用する場合を含む。 )、第二十七条の七第一項( 当事者 若しくは証人に陳述させ、又は提出された物件を留め置く部分を除き、第二十七条の十七の規定により準用する場合を含む。 )、第二十七条の十第二項 並びに同条第四項 及び第二十七条の十二第一項(第二十七条の十七の規定により準用する場合を含む。 )の規定による処分 並びに第二十七条の二十の申立てを除く。次項において同じ。)の全部 又は一部を行わせることができる。
中央労働委員会は、公益を代表する地方調整委員に、中央労働委員会が行う審査等の手続のうち、第二十七条第一項(第二十七条の十七の規定により準用する場合を含む。)の規定により調査 及び審問を行う手続 並びに第二十七条の十四第一項(第二十七条の十七の規定により準用する場合を含む。)の規定により和解を勧める手続の全部 又は一部を行わせることができる。
この場合において、使用者を代表する地方調整委員 及び労働者を代表する地方調整委員は、これらの手続(調査を行う手続にあつては公益を代表する地方調整委員の求めがあつた場合に限る。)に参与することができる。
中央労働委員会は、行政執行法人職員の労働関係に係る事件のあつせん、調停、仲裁 及び処分(行政執行法人職員が結成し、又は加入する労働組合に関する第五条第一項 及び第十一条第一項の規定による処分については、政令で定めるものに限る。)について、専属的に管轄するほか、二以上の都道府県にわたり、又は全国的に重要な問題に係る事件のあつせん、調停、仲裁 及び処分について、優先して管轄する。
中央労働委員会は、第五条第一項、第十一条第一項 及び第二十七条の十二第一項の規定による都道府県労働委員会の処分を取り消し、承認し、若しくは変更する完全な権限をもつて再審査し、又はその処分に対する再審査の申立てを却下することができる。
この再審査は、都道府県労働委員会の処分の当事者のいずれか一方の申立てに基づいて、又は職権で、行うものとする。
中央労働委員会は、その行う手続 及び都道府県労働委員会が行う手続に関する規則を定めることができる。
都道府県労働委員会は、前項の規則に違反しない限りにおいて、その会議の招集に関する事項 その他の政令で定める事項に関する規則を定めることができる。
第二節 不当労働行為事件の審査の手続
労働委員会は、使用者が第七条の規定に違反した旨の申立てを受けたときは、遅滞なく調査を行い、必要があると認めたときは、当該申立てが理由があるかどうかについて審問を行わなければならない。
この場合において、審問の手続においては、当該使用者 及び申立人に対し、証拠を提出し、証人に反対尋問をする充分な機会が与えられなければならない。
労働委員会は、前項の申立てが、行為の日(継続する行為にあつてはその終了した日)から一年を経過した事件に係るものであるときは、これを受けることができない。
公益委員は、次の各号のいずれかに該当するときは、審査に係る職務の執行から除斥される。
公益委員 又はその配偶者 若しくは配偶者であつた者が事件の当事者 又は法人である当事者の代表者であり、又はあつたとき。
公益委員が事件の当事者の四親等以内の血族、三親等以内の姻族 又は同居の親族であり、又はあつたとき。
公益委員が事件の当事者の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人 又は補助監督人であるとき。
公益委員が事件について証人となつたとき。
公益委員が事件について当事者の代理人であり、又はあつたとき。
前項に規定する除斥の原因があるときは、当事者は、除斥の申立てをすることができる。
公益委員について審査の公正を妨げるべき事情があるときは、当事者は、これを忌避することができる。
当事者は、事件について労働委員会に対し書面 又は口頭をもつて陳述した後は、公益委員を忌避することができない。
ただし、忌避の原因があることを知らなかつたとき、又は忌避の原因がその後に生じたときは、この限りでない。
除斥 又は忌避の申立てについては、労働委員会が決定する。
除斥 又は忌避の申立てに係る公益委員は、前項の規定による決定に関与することができない。
ただし、意見を述べることができる。
第一項の規定による決定は、書面によるものとし、かつ、理由を付さなければならない。
労働委員会は、除斥 又は忌避の申立てがあつたときは、その申立てについての決定があるまで審査の手続を中止しなければならない。
ただし、急速を要する行為についてはこの限りでない。
労働委員会は、審問開始前に、当事者双方の意見を聴いて、審査の計画を定めなければならない。
前項の審査の計画においては、次に掲げる事項を定めなければならない。
調査を行う手続において整理された争点 及び証拠(その後 の審査の手続における取調べが必要な証拠として整理されたものを含む。)
審問を行う期間 及び回数 並びに尋問する証人の数
第二十七条の十二第一項の命令の交付の予定時期
労働委員会は、審査の現状 その他の事情を考慮して必要があると認めるときは、当事者双方の意見を聴いて、審査の計画を変更することができる。
労働委員会 及び当事者は、適正かつ迅速な審査の実現のため、審査の計画に基づいて審査が行われるよう努めなければならない。
労働委員会は、当事者の申立てにより 又は職権で、調査を行う手続においては第二号に掲げる方法により、審問を行う手続においては次の各号に掲げる方法により証拠調べをすることができる。
事実の認定に必要な限度において、当事者 又は証人に出頭を命じて陳述させること。
事件に関係のある帳簿書類 その他の物件であつて、当該物件によらなければ当該物件により認定すべき事実を認定することが困難となるおそれがあると認めるもの(以下「物件」という。)の所持者に対し、当該物件の提出を命じ、又は提出された物件を留め置くこと。
労働委員会は、前項第二号の規定により物件の提出を命ずる処分(以下「物件提出命令」という。)をするかどうかを決定するに当たつては、個人の秘密 及び事業者の事業上の秘密の保護に配慮しなければならない。
労働委員会は、物件提出命令をする場合において、物件に提出を命ずる必要がないと認める部分 又は前項の規定により配慮した結果提出を命ずることが適当でないと認める部分があるときは、その部分を除いて、提出を命ずることができる。
調査 又は審問を行う手続に参与する使用者委員 及び労働者委員は、労働委員会が第一項第一号の規定により当事者 若しくは証人に出頭を命ずる処分(以下「証人等出頭命令」という。)又は物件提出命令をしようとする場合には、意見を述べることができる。
労働委員会は、職権で証拠調べをしたときは、その結果について、当事者の意見を聴かなければならない。
物件提出命令の申立ては、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。
労働委員会は、物件提出命令をしようとする場合には、物件の所持者を審尋しなければならない。
労働委員会は、物件提出命令をする場合には、第六項各号(第三号を除く。)に掲げる事項を明らかにしなければならない。
労働委員会が証人に陳述させるときは、その証人に宣誓をさせなければならない。
労働委員会が当事者に陳述させるときは、その当事者に宣誓をさせることができる。
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第百九十六条、第百九十七条 及び第二百一条第二項から第四項までの規定は、労働委員会が証人に陳述させる手続に、同法第二百十条の規定において準用する同法第二百一条第二項の規定は、労働委員会が当事者に陳述させる手続について準用する。
都道府県労働委員会の証人等出頭命令 又は物件提出命令(以下この条において「証人等出頭命令等」という。)を受けた者は、証人等出頭命令等について不服があるときは、証人等出頭命令等を受けた日から一週間以内(天災 その他この期間内に審査の申立てをしなかつたことについてやむを得ない理由があるときは、その理由がやんだ日の翌日から起算して一週間以内)に、その理由を記載した書面により、中央労働委員会に審査を申し立てることができる。
中央労働委員会は、前項の規定による審査の申立てを理由があると認めるときは、証人等出頭命令等の全部 又は一部を取り消す。
中央労働委員会の証人等出頭命令等を受けた者は、証人等出頭命令等について不服があるときは、証人等出頭命令等を受けた日から一週間以内(天災 その他この期間内に異議の申立てをしなかつたことについてやむを得ない理由があるときは、その理由がやんだ日の翌日から起算して一週間以内)に、その理由を記載した書面により、中央労働委員会に異議を申し立てることができる。
中央労働委員会は、前項の規定による異議の申立てを理由があると認めるときは、証人等出頭命令等の全部 若しくは一部を取り消し、又はこれを変更する。
審査の申立て又は異議の申立ての審理は、書面による。
中央労働委員会は、職権で審査申立人 又は異議申立人を審尋することができる。
労働委員会は、審問を妨げる者に対し退廷を命じ、その他審問廷の秩序を維持するために必要な措置を執ることができる。
労働委員会は、事件が命令を発するのに熟したときは、事実の認定をし、この認定に基づいて、申立人の請求に係る救済の全部 若しくは一部を認容し、又は申立てを棄却する命令(以下「救済命令等」という。)を発しなければならない。
調査 又は審問を行う手続に参与する使用者委員 及び労働者委員は、労働委員会が救済命令等を発しようとする場合は、意見を述べることができる。
第一項の事実の認定 及び救済命令等は、書面によるものとし、その写しを使用者 及び申立人に交付しなければならない。
救済命令等は、交付の日から効力を生ずる。
使用者が救済命令等について第二十七条の十九第一項の期間内に同項の取消しの訴えを提起しないときは、救済命令等は、確定する。
使用者が確定した救済命令等に従わないときは、労働委員会は、使用者の住所地の地方裁判所にその旨を通知しなければならない。
この通知は、労働組合 及び労働者もすることができる。
労働委員会は、審査の途中において、いつでも、当事者に和解を勧めることができる。
救済命令等が確定するまでの間に当事者間で和解が成立し、当事者双方の申立てがあつた場合において、労働委員会が当該和解の内容が当事者間の労働関係の正常な秩序を維持させ、又は確立させるため適当と認めるときは、審査の手続は終了する。
前項に規定する場合において、和解(前項の規定により労働委員会が適当と認めたものに限る。次項において同じ。)に係る事件について既に発せられている救済命令等は、その効力を失う。
労働委員会は、和解に金銭の一定額の支払 又はその他の代替物 若しくは有価証券の一定の数量の給付を内容とする合意が含まれる場合は、当事者双方の申立てにより、当該合意について和解調書を作成することができる。
前項の和解調書は、強制執行に関しては、民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第二十二条第五号に掲げる債務名義とみなす。
前項の規定による債務名義についての執行文の付与は、
労働委員会の会長が行う。
民事執行法第二十九条後段の執行文 及び文書の謄本の送達も、同様とする。
前項の規定による執行文付与に関する異議についての裁判は、労働委員会の所在地を管轄する地方裁判所においてする。
第四項の和解調書 並びに第六項後段の執行文 及び文書の謄本の送達に関して必要な事項は、政令で定める。
使用者は、都道府県労働委員会の救済命令等の交付を受けたときは、十五日以内(天災 その他この期間内に再審査の申立てをしなかつたことについてやむを得ない理由があるときは、その理由がやんだ日の翌日から起算して一週間以内)に中央労働委員会に再審査の申立てをすることができる。
ただし、この申立ては、救済命令等の効力を停止せず、救済命令等は、中央労働委員会が第二十五条第二項の規定による再審査の結果、これを取り消し、又は変更したときは、その効力を失う。
前項の規定は、労働組合 又は労働者が中央労働委員会に対して行う再審査の申立てについて準用する。
中央労働委員会は、第二十七条の十九第一項の訴えに基づく確定判決によつて都道府県労働委員会の救済命令等の全部 又は一部が支持されたときは、当該救済命令等について、再審査することができない。
第二十七条第一項、第二十七条の二から第二十七条の九まで、第二十七条の十第三項から第六項まで 及び第二十七条の十一から第二十七条の十四までの規定は、中央労働委員会の再審査の手続について準用する。
この場合において、
第二十七条の二第一項第四号中
「とき」とあるのは
「とき 又は事件について既に発せられている都道府県労働委員会の救済命令等に関与したとき」と
読み替えるものとする。
労働委員会は、迅速な審査を行うため、審査の期間の目標を定めるとともに、目標の達成状況 その他の審査の実施状況を公表するものとする。
第三節 訴訟
使用者が都道府県労働委員会の救済命令等について中央労働委員会に再審査の申立てをしないとき、又は中央労働委員会が救済命令等を発したときは、使用者は、救済命令等の交付の日から三十日以内に、救済命令等の取消しの訴えを提起することができる。
この期間は、不変期間とする。
使用者は、第二十七条の十五第一項の規定により中央労働委員会に再審査の申立てをしたときは、その申立てに対する中央労働委員会の救済命令等に対してのみ、取消しの訴えを提起することができる。
この訴えについては、行政事件訴訟法(昭和三十七年法律第百三十九号)第十二条第三項から第五項までの規定は、適用しない。
前項の規定は、労働組合 又は労働者が行政事件訴訟法の定めるところにより提起する取消しの訴えについて準用する。
前条第一項の規定により使用者が裁判所に訴えを提起した場合において、受訴裁判所は、救済命令等を発した労働委員会の申立てにより、決定をもつて、使用者に対し判決の確定に至るまで救済命令等の全部 又は一部に従うべき旨を命じ、又は当事者の申立てにより、若しくは職権でこの決定を取り消し、若しくは変更することができる。
労働委員会が物件提出命令をしたにもかかわらず物件を提出しなかつた者(審査の手続において当事者でなかつた者を除く。)は、裁判所に対し、当該物件提出命令に係る物件により認定すべき事実を証明するためには、当該物件に係る証拠の申出をすることができない。
ただし、物件を提出しなかつたことについて正当な理由があると認められる場合は、この限りでない。
第四節 雑則
中央労働委員会は、都道府県労働委員会に対し、この法律の規定により都道府県労働委員会が処理する事務について、報告を求め、又は法令の適用 その他当該事務の処理に関して必要な勧告、助言 若しくはその委員 若しくは事務局職員の研修 その他の援助を行うことができる。
都道府県労働委員会は、その処分(行政事件訴訟法第三条第二項に規定する処分をいい、第二十四条の二第四項の規定により公益委員がした処分 及び同条第五項の規定により公益を代表する地方調整委員がした処分を含む。次項において同じ。)に係る行政事件訴訟法第十一条第一項(同法第三十八条第一項において準用する場合を含む。次項において同じ。)の規定による都道府県を被告とする訴訟について、当該都道府県を代表する。
都道府県労働委員会は、公益委員、事務局長 又は事務局の職員でその指定するものに都道府県労働委員会の処分に係る行政事件訴訟法第十一条第一項の規定による都道府県を被告とする訴訟 又は都道府県労働委員会を当事者とする訴訟を行わせることができる。
第二十二条第一項の規定により出頭を求められた者 又は第二十七条の七第一項第一号(第二十七条の十七の規定により準用する場合を含む。)の証人は、政令の定めるところにより、費用の弁償を受けることができる。
労働委員会がする処分(第二十四条の二第四項の規定により公益委員がする処分 及び同条第五項の規定により公益を代表する地方調整委員がする処分を含む。)については、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第二章 及び第三章の規定は、適用しない。
労働委員会がする処分(第二十四条の二第四項の規定により公益委員がする処分 及び同条第五項の規定により公益を代表する地方調整委員がする処分を含む。)又はその不作為については、審査請求をすることができない。