家事事件手続法

# 平成二十三年法律第五十二号 #

第一編 総則

分類 法律
カテゴリ   民事
@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第百二号による改正
最終編集日 : 2024年 04月27日 10時48分


第一章 通則

1項

家事審判 及び家事調停に関する事件(以下「家事事件」という。)の手続については、他の法令に定めるもののほか、この法律の定めるところによる。

1項

裁判所は、家事事件の手続が公正かつ迅速に行われるように努め、当事者は、信義に従い誠実に家事事件の手続を追行しなければならない。

1項

この法律に定めるもののほか、家事事件の手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。

第一章の二 日本の裁判所の管轄権

1項

裁判所は、不在者の財産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の五十五の項の事項についての審判事件をいう。第百四十五条において同じ。)について、不在者の財産が日本国内にあるときは、管轄権を有する。

1項

裁判所は、失踪の宣告の取消しの審判事件(別表第一の五十七の項の事項についての審判事件をいう。第百四十九条第一項 及び第二項において同じ。)について、次の各号いずれかに該当するときは、管轄権を有する。

一 号

日本において失踪の宣告の審判があったとき。

二 号

失踪者の住所が日本国内にあるとき 又は失踪者が日本の国籍を有するとき。

三 号

失踪者が生存していたと認められる最後の時点において、失踪者が日本国内に住所を有していたとき 又は日本の国籍を有していたとき。

1項

裁判所は、嫡出否認の訴えについて日本の裁判所が管轄権を有するときは、嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件(別表第一の五十九の項の事項についての審判事件をいう。第百五十九条第一項 及び第二項において同じ。)について、管轄権を有する。

1項

裁判所は、養子縁組をするについての許可の審判事件(別表第一の六十一の項の事項についての審判事件をいう。第百六十一条第一項 及び第二項において同じ。)及び特別養子縁組の成立の審判事件(同表の六十三の項の事項についての審判事件をいう。第百六十四条において同じ。)(特別養子適格の確認の審判事件(同条第二項に規定する特別養子適格の確認についての審判事件をいう。第百六十四条の二第二項 及び第四項において同じ。)を含む。)について、養親となるべき者 又は養子となるべき者の住所(住所がない場合 又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるときは、管轄権を有する。

1項

裁判所は、死後離縁をするについての許可の審判事件(別表第一の六十二の項の事項についての審判事件をいう。第百六十二条第一項 及び第二項において同じ。)について、次の各号いずれかに該当するときは、管轄権を有する。

一 号

養親 又は養子の住所(住所がない場合 又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。

二 号

養親 又は養子がその死亡の時に日本国内に住所を有していたとき。

三 号

養親 又は養子の一方が日本の国籍を有する場合であって、他の一方がその死亡の時に日本の国籍を有していたとき。

1項

裁判所は、特別養子縁組の離縁の審判事件(別表第一の六十四の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)について、次の各号いずれかに該当するときは、管轄権を有する。

一 号

養親の住所(住所がない場合 又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。

二 号

養子の実父母 又は検察官からの申立てであって、養子の住所(住所がない場合 又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。

三 号

養親 及び養子が日本の国籍を有するとき。

四 号

日本国内に住所がある養子からの申立てであって、養親 及び養子が最後の共通の住所を日本国内に有していたとき。

五 号

日本国内に住所がある養子からの申立てであって、養親が行方不明であるとき、養親の住所がある国においてされた離縁に係る確定した裁判が日本国で効力を有しないとき その他の日本の裁判所が審理 及び裁判をすることが養親と養子との間の衡平を図り、又は適正かつ迅速な審理の実現を確保することとなる特別の事情があると認められるとき。

1項

裁判所は、親権に関する審判事件(別表第一の六十五の項から六十九の項まで 並びに別表第二の七の項 及び八の項の事項についての審判事件をいう。第百六十七条において同じ。)、子の監護に関する処分の審判事件(同表の三の項の事項についての審判事件をいう。第百五十条第四号 及び第百五十一条第二号において同じ。)(子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判事件を除く)及び親権を行う者につき破産手続が開始された場合における管理権喪失の審判事件(別表第一の百三十二の項の事項についての審判事件をいう。第二百四十二条第一項第二号 及び第三項において同じ。)について、子の住所(住所がない場合 又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるときは、管轄権を有する。

1項

裁判所は、養子の離縁後に未成年後見人となるべき者の選任の審判事件(別表第一の七十の項の事項についての審判事件をいう。第百七十六条 及び第百七十七条第一号において同じ。)又は未成年後見人の選任の審判事件(同表の七十一の項の事項についての審判事件をいう。同条第二号において同じ。)について、未成年被後見人となるべき者 若しくは未成年被後見人(以下この条において「未成年被後見人となるべき者等」という。)の住所 若しくは居所が日本国内にあるとき 又は未成年被後見人となるべき者等が日本の国籍を有するときは、管轄権を有する。

1項

裁判所は、夫婦、親子 その他の親族関係から生ずる扶養の義務に関する審判事件(別表第一の八十四の項 及び八十五の項 並びに別表第二の一の項から三の項まで、九の項 及び十の項の事項についての審判事件(同表の三の項の事項についての審判事件にあっては、子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判事件に限る)をいう。)について、扶養義務者(別表第一の八十四の項の事項についての審判事件にあっては、扶養義務者となるべき者)であって申立人でないもの又は扶養権利者(子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判事件にあっては、子の監護者 又は子)の住所(住所がない場合 又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるときは、管轄権を有する。

1項

裁判所は、相続に関する審判事件(別表第一の八十六の項から百十の項まで 及び百三十三の項 並びに別表第二の十一の項から十五の項までの事項についての審判事件をいう。)について、相続開始の時における被相続人の住所が日本国内にあるとき、住所がない場合 又は住所が知れない場合には相続開始の時における被相続人の居所が日本国内にあるとき、居所がない場合 又は居所が知れない場合には被相続人が相続開始の前に日本国内に住所を有していたとき(日本国内に最後に住所を有していた後に外国に住所を有していたときを除く)は、管轄権を有する。

2項

相続開始の前に推定相続人の廃除の審判事件(別表第一の八十六の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)、推定相続人の廃除の審判の取消しの審判事件(同表の八十七の項の事項についての審判事件をいう。第百八十八条第一項 及び第百八十九条第一項において同じ。)、遺言の確認の審判事件(同表の百二の項の事項についての審判事件をいう。第二百九条第二項において同じ。)又は遺留分の放棄についての許可の審判事件(同表の百十の項の事項についての審判事件をいう。第二百十六条第一項第二号において同じ。)の申立てがあった場合における前項の規定の適用については、

同項
相続開始の時における被相続人」とあるのは
「被相続人」と、

相続開始の前」とあるのは
「申立て前」と

する。

3項

裁判所は、第一項に規定する場合のほか、推定相続人の廃除の審判 又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の八十八の項の事項についての審判事件をいう。第百八十九条第一項 及び第二項において同じ。)、相続財産の保存に関する処分の審判事件(同表の八十九の項の事項についての審判事件をいう。第百九十条の二において同じ。)、限定承認を受理した場合における相続財産の清算人の選任の審判事件(同表の九十四の項の事項についての審判事件をいう。)、財産分離の請求後の相続財産の管理に関する処分の審判事件(同表の九十七の項の事項についての審判事件をいう。第二百二条第一項第二号 及び第三項において同じ。)及び相続人の不存在の場合における相続財産の清算に関する処分の審判事件(同表の九十九の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)について、相続財産に属する財産が日本国内にあるときは、管轄権を有する。

4項

当事者は、合意により、いずれの国の裁判所に遺産の分割に関する審判事件(別表第二の十二の項から十四の項までの事項についての審判事件をいう。第三条の十四 及び第百九十一条第一項において同じ。) 及び特別の寄与に関する処分の審判事件(同表の十五の項の事項についての審判事件をいう。第三条の十四 及び第二百十六条の二において同じ。)の申立てをすることができるかについて定めることができる。

5項

民事訴訟法平成八年法律第百九号第三条の七第二項から第四項までの規定は、前項の合意について準用する。

1項

裁判所は、財産の分与に関する処分の審判事件(別表第二の四の項の事項についての審判事件をいう。第百五十条第五号において同じ。)について、次の各号いずれかに該当するときは、管轄権を有する。

一 号

夫 又は妻であった者の一方からの申立てであって、他の一方の住所(住所がない場合 又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。

二 号

夫であった者 及び妻であった者の双方が日本の国籍を有するとき。

三 号

日本国内に住所がある夫 又は妻であった者の一方からの申立てであって、夫であった者 及び妻であった者が最後の共通の住所を日本国内に有していたとき。

四 号

日本国内に住所がある夫 又は妻であった者の一方からの申立てであって、他の一方が行方不明であるとき、他の一方の住所がある国においてされた財産の分与に関する処分に係る確定した裁判が日本国で効力を有しないとき その他の日本の裁判所が審理 及び裁判をすることが当事者間の衡平を図り、又は適正かつ迅速な審理の実現を確保することとなる特別の事情があると認められるとき。

1項

裁判所は、家事調停事件について、次の各号いずれかに該当するときは、管轄権を有する。

一 号

当該調停を求める事項についての訴訟事件 又は家事審判事件について日本の裁判所が管轄権を有するとき。

二 号

相手方の住所(住所がない場合 又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。

三 号

当事者が日本の裁判所に家事調停の申立てをすることができる旨の合意をしたとき。

2項

民事訴訟法第三条の七第二項 及び第三項の規定は、前項第三号の合意について準用する。

3項

人事訴訟法平成十五年法律第百九号第二条に規定する人事に関する訴え(離婚 及び離縁の訴えを除く)を提起することができる事項についての調停事件については、第一項第二号 及び第三号に係る部分に限る)の規定は、適用しない

1項

裁判所は第三条の二から前条までに規定する事件について日本の裁判所が管轄権を有することとなる場合(遺産の分割に関する審判事件 又は特別の寄与に関する処分の審判事件について、日本の裁判所にのみ申立てをすることができる旨の合意に基づき申立てがされた場合を除く)においても、事案の性質、申立人以外の事件の関係人の負担の程度、証拠の所在地、未成年者である子の利益 その他の事情を考慮して、日本の裁判所が審理 及び裁判をすることが適正かつ迅速な審理の実現を妨げ、又は相手方がある事件について申立人と相手方との間の衡平を害することとなる特別の事情があると認めるときは、その申立ての全部 又は一部を却下することができる。

1項

日本の裁判所の管轄権は、家事審判 若しくは家事調停の申立てがあった時 又は裁判所が職権で家事事件の手続を開始した時を標準として定める。

第二章 管轄

1項

家事事件は、管轄が人の住所地により定まる場合において、日本国内に住所がないとき 又は住所が知れないときはその居所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属し、日本国内に居所がないとき 又は居所が知れないときはその最後の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。

1項

この法律の他の規定により二以上の家庭裁判所が管轄権を有するときは、家事事件は、先に申立てを受け、又は職権で手続を開始した家庭裁判所が管轄する。

1項

管轄裁判所が法律上 又は事実上 裁判権を行うことができないときは、その裁判所の直近上級の裁判所は、申立てにより 又は職権で、管轄裁判所を定める。

2項

裁判所の管轄区域が明確でないため管轄裁判所が定まらないときは、関係のある裁判所に共通する直近上級の裁判所は、申立てにより 又は職権で、管轄裁判所を定める。

3項

前二項の規定により管轄裁判所を定める裁判に対しては、不服を申し立てることができない

1項

この法律の他の規定により家事事件の管轄が定まらないときは、その家事事件は、審判 又は調停を求める事項に係る財産の所在地 又は最高裁判所規則で定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。

1項

裁判所の管轄は、家事審判 若しくは家事調停の申立てがあった時 又は裁判所が職権で家事事件の手続を開始した時を標準として定める。

1項

裁判所は、家事事件の全部 又は一部がその管轄に属しないと認めるときは、申立てにより 又は職権で、これを管轄裁判所に移送する。


ただし、家庭裁判所は、事件を処理するために特に必要があると認めるときは、職権で、家事事件の全部 又は一部を管轄権を有する家庭裁判所以外の家庭裁判所に移送し、又は自ら処理することができる。

2項

家庭裁判所は、家事事件がその管轄に属する場合においても、次の各号に掲げる事由があるときは、職権で、家事事件の全部 又は一部を当該各号に定める家庭裁判所に移送することができる。

一 号

家事事件の手続が遅滞することを避けるため必要があると認めるとき その他相当と認めるとき

第五条の規定により管轄権を有しないこととされた家庭裁判所

二 号

事件を処理するために特に必要があると認めるとき

前号の家庭裁判所以外の家庭裁判所

3項

前二項の規定による移送の裁判 及び第一項の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。

4項

前項の規定による移送の裁判に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。

5項

民事訴訟法第二十二条の規定は、家事事件の移送の裁判について準用する。

第三章 裁判所職員の除斥及び忌避

1項

裁判官は、次に掲げる場合には、その職務の執行から除斥される。


ただし第六号に掲げる場合にあっては、他の裁判所の嘱託により受託裁判官としてその職務を行うことを妨げない。

一 号

裁判官 又はその配偶者 若しくは配偶者であった者が、事件の当事者 若しくはその他の審判を受ける者となるべき者(審判(申立てを却下する審判を除く)がされた場合において、その審判を受ける者となる者をいう。以下同じ。)であるとき、又は事件についてこれらの者と共同権利者、共同義務者 若しくは償還義務者の関係にあるとき。

二 号

裁判官が当事者 又はその他の審判を受ける者となるべき者の四親等内の血族、三親等内の姻族 若しくは同居の親族であるとき、又はあったとき。

三 号

裁判官が当事者 又はその他の審判を受ける者となるべき者の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人 又は補助監督人であるとき。

四 号

裁判官が事件について証人 若しくは鑑定人となったとき、又は審問を受けることとなったとき。

五 号

裁判官が事件について当事者 若しくはその他の審判を受ける者となるべき者の代理人 若しくは補佐人であるとき、又はあったとき。

六 号

裁判官が事件について仲裁判断に関与し、又は不服を申し立てられた前審の裁判に関与したとき。

2項

前項に規定する除斥の原因があるときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、除斥の裁判をする。

1項

裁判官について裁判 又は調停の公正を妨げる事情があるときは、当事者は、その裁判官を忌避することができる。

2項

当事者は、裁判官の面前において事件について陳述をしたときは、その裁判官を忌避することができない


ただし、忌避の原因があることを知らなかったとき、又は忌避の原因がその後に生じたときは、この限りでない。

1項

合議体の構成員である裁判官 及び家庭裁判所の一人の裁判官の除斥 又は忌避についてはその裁判官の所属する裁判所が、受託裁判官として職務を行う簡易裁判所の裁判官の除斥 又は忌避についてはその裁判所の所在地を管轄する地方裁判所が、裁判をする。

2項

家庭裁判所 及び地方裁判所における前項の裁判は、合議体でする。

3項

裁判官は、その除斥 又は忌避についての裁判に関与することができない

4項

除斥 又は忌避の申立てがあったときは、その申立てについての裁判が確定するまで家事事件の手続を停止しなければならない。


ただし、急速を要する行為については、この限りでない。

5項

次に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判をするときは、第三項の規定は、適用しない

一 号

家事事件の手続を遅滞させる目的のみでされたことが明らかなとき。

二 号

前条第二項の規定に違反するとき。

三 号

最高裁判所規則で定める手続に違反するとき。

6項

前項の裁判は、第一項 及び第二項の規定にかかわらず、忌避された受命裁判官等(受命裁判官、受託裁判官、調停委員会を組織する裁判官 又は家事事件を取り扱う家庭裁判所の一人の裁判官をいう。次条第三項ただし書において同じ。)がすることができる。

7項

第五項の裁判をした場合には、第四項本文の規定にかかわらず、家事事件の手続は停止しない。

8項

除斥 又は忌避を理由があるとする裁判に対しては、不服を申し立てることができない

9項

除斥 又は忌避の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。

1項

裁判所書記官の除斥 及び忌避については、第十条第十一条 並びに前条第三項第五項第八項 及び第九項の規定を準用する。

2項

裁判所書記官について除斥 又は忌避の申立てがあったときは、その裁判所書記官は、その申立てについての裁判が確定するまでその申立てがあった家事事件に関与することができない


ただし前項において準用する前条第五項各号に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判があったときは、この限りでない。

3項

裁判所書記官の除斥 又は忌避についての裁判は、裁判所書記官の所属する裁判所がする。


ただし前項ただし書の裁判は、受命裁判官等(受命裁判官 又は受託裁判官にあっては、当該裁判官の手続に立ち会う裁判所書記官が忌避の申立てを受けたときに限る)がすることができる。

1項

参与員の除斥 及び忌避については、第十条第十一条 並びに第十二条第二項第八項 及び第九項の規定を準用する。

2項

参与員について除斥 又は忌避の申立てがあったときは、その参与員は、その申立てについての裁判が確定するまでその申立てがあった家事事件に関与することができない


ただし第十二条第五項各号に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判があったときは、この限りでない。

3項

参与員の除斥 又は忌避についての裁判は、参与員の所属する家庭裁判所がする。


ただし前項ただし書の裁判は、受命裁判官(受命裁判官の手続に立ち会う参与員が忌避の申立てを受けたときに限る)又は家事事件を取り扱う家庭裁判所の一人の裁判官がすることができる。

1項

家事調停官の除斥 及び忌避については、第十条第十一条 並びに第十二条第二項から第四項まで第八項 及び第九項の規定を準用する。

2項

第十二条第五項各号に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判があったときは、前項において準用する同条第四項本文の規定にかかわらず、家事事件の手続は停止しない。

3項

家事調停官の除斥 又は忌避についての裁判は、家事調停官の所属する家庭裁判所がする。


ただし前項の裁判は、忌避された家事調停官がすることができる。

1項

家庭裁判所調査官 及び家事調停委員の除斥については、第十条 並びに第十二条第二項第八項 及び第九項の規定(忌避に関する部分を除く)を準用する。

2項

家庭裁判所調査官 又は家事調停委員について除斥の申立てがあったときは、その家庭裁判所調査官 又は家事調停委員は、その申立てについての裁判が確定するまでその申立てがあった家事事件に関与することができない

3項

家庭裁判所調査官 又は家事調停委員の除斥についての裁判は、家庭裁判所調査官 又は家事調停委員の所属する裁判所がする。

第四章 当事者能力及び手続行為能力

1項

当事者能力、家事事件の手続における手続上の行為(以下「手続行為」という。)をすることができる能力(以下 この項において「手続行為能力」という。)、手続行為能力を欠く者の法定代理 及び手続行為をするのに必要な授権については、民事訴訟法第二十八条第二十九条第三十一条第三十三条 並びに第三十四条第一項 及び第二項の規定を準用する。

2項

被保佐人、被補助人(手続行為をすることにつきその補助人の同意を得ることを要するものに限る次項において同じ。)又は後見人 その他の法定代理人が他の者がした家事審判 又は家事調停の申立て又は抗告について手続行為をするには、保佐人 若しくは保佐監督人、補助人 若しくは補助監督人 又は後見監督人の同意 その他の授権を要しない。


職権により手続が開始された場合についても、同様とする。

3項

被保佐人、被補助人 又は後見人 その他の法定代理人が次に掲げる手続行為をするには、特別の授権がなければならない。


ただし、家事調停の申立てその他家事調停の手続の追行について同意 その他の授権を得ている場合において、第二号に掲げる手続行為をするときは、この限りでない。

一 号

家事審判 又は家事調停の申立ての取下げ

二 号

第二百六十八条第一項 若しくは第二百七十七条第一項第一号の合意、第二百七十条第一項に規定する調停条項案の受諾 又は第二百八十六条第八項の共同の申出

三 号

審判に対する即時抗告、第九十四条第一項第二百八十八条において準用する場合を含む。)の抗告 若しくは第九十七条第二項第二百八十八条において準用する場合を含む。)の申立ての取下げ又は第二百七十九条第一項 若しくは第二百八十六条第一項の異議の取下げ

1項

親権を行う者 又は後見人は、第百十八条この法律の他の規定において準用する場合を含む。)又は第二百五十二条第一項の規定により未成年者 又は成年被後見人が法定代理人によらずに自ら手続行為をすることができる場合であっても、未成年者 又は成年被後見人を代理して手続行為をすることができる。


ただし、家事審判 及び家事調停の申立ては、民法明治二十九年法律第八十九号)その他の法令の規定により親権を行う者 又は後見人が申立てをすることができる場合(人事訴訟法第二条に規定する人事に関する訴え(離婚 及び離縁の訴えを除く)を提起することができる事項についての家事調停の申立てにあっては、同法 その他の法令の規定によりその訴えを提起することができる場合を含む。)に限る

1項

裁判長は、未成年者 又は成年被後見人について、法定代理人がない場合 又は法定代理人が代理権を行うことができない場合において、家事事件の手続が遅滞することにより損害が生ずるおそれがあるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、特別代理人を選任することができる。

2項

特別代理人の選任の裁判は、疎明に基づいてする。

3項

裁判所は、いつでも特別代理人を改任することができる。

4項

特別代理人が手続行為をするには、後見人と同一の授権がなければならない。

5項

第一項の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。

1項

別表第二に掲げる事項についての審判事件においては、法定代理権の消滅は、本人 又は代理人から他方の当事者に通知しなければ、その効力を生じない。


家事調停事件においても、同様とする。

1項

法人の代表者 及び法人でない社団 又は財団で当事者能力を有するものの代表者 又は管理人については、この法律中 法定代理 及び法定代理人に関する規定を準用する。

第五章 手続代理人及び補佐人

1項

法令により裁判上の行為をすることができる代理人のほか、弁護士でなければ手続代理人となることができない。


ただし、家庭裁判所においては、その許可を得て、弁護士でない者を手続代理人とすることができる。

2項

前項ただし書の許可は、いつでも取り消すことができる。

1項

手続行為につき行為能力の制限を受けた者が第百十八条この法律の他の規定において準用する場合を含む。)又は第二百五十二条第一項の規定により手続行為をしようとする場合において、必要があると認めるときは、裁判長は、申立てにより、弁護士を手続代理人に選任することができる。

2項

手続行為につき行為能力の制限を受けた者が前項の申立てをしない場合においても、裁判長は、弁護士を手続代理人に選任すべき旨を命じ、又は職権で弁護士を手続代理人に選任することができる。

3項

前二項の規定により裁判長が手続代理人に選任した弁護士に対し 手続行為につき行為能力の制限を受けた者が支払うべき報酬の額は、裁判所が相当と認める額とする。

1項

手続代理人は、委任を受けた事件について、参加、強制執行 及び保全処分に関する行為をし、かつ、弁済を受領することができる。

2項

手続代理人は、次に掲げる事項については、特別の委任を受けなければならない。


ただし、家事調停の申立てその他家事調停の手続の追行について委任を受けている場合において、第二号に掲げる手続行為をするときは、この限りでない。

一 号

家事審判 又は家事調停の申立ての取下げ

二 号

第二百六十八条第一項 若しくは第二百七十七条第一項第一号の合意、第二百七十条第一項に規定する調停条項案の受諾 又は第二百八十六条第八項の共同の申出

三 号

審判に対する即時抗告、第九十四条第一項第二百八十八条において準用する場合を含む。)の抗告、第九十七条第二項第二百八十八条において準用する場合を含む。)の申立て又は第二百七十九条第一項 若しくは第二百八十六条第一項の異議

四 号

前号の抗告(即時抗告を含む。)、申立て又は異議の取下げ

五 号
代理人の選任
3項

手続代理人の代理権は、制限することができない


ただし、弁護士でない手続代理人については、この限りでない。

4項

前三項の規定は、法令により裁判上の行為をすることができる代理人の権限を妨げない。

1項

手続代理人の代理権の消滅は、家事審判事件(別表第二に掲げる事項についてのものに限る)及び家事調停事件においては本人 又は代理人から他方の当事者に、その他の家事事件においては本人 又は代理人から裁判所に通知しなければ、その効力を生じない。

1項

民事訴訟法第三十四条第三項除く)及び第五十六条から第五十八条まで同条第三項除く)の規定は、手続代理人 及びその代理権について準用する。

1項

家事事件の手続における補佐人については、民事訴訟法第六十条の規定を準用する。

第六章 手続費用

第一節 手続費用の負担

1項

手続費用(家事審判に関する手続の費用(以下「審判費用」という。)及び家事調停に関する手続の費用(以下「調停費用」という。)をいう。以下同じ。)は、各自の負担とする。

2項

裁判所は、事情により、前項の規定によれば当事者 及び利害関係参加人(第四十二条第七項に規定する利害関係参加人をいう。第一号において同じ。)がそれぞれ負担すべき手続費用の全部 又は一部を、その負担すべき者以外の者であって次に掲げるものに負担させることができる。

一 号
当事者 又は利害関係参加人
二 号

前号に掲げる者以外の審判を受ける者となるべき者

三 号

前号に掲げる者に準ずる者であって、その裁判により直接に利益を受けるもの

3項

前二項の規定によれば検察官が負担すべき手続費用は、国庫の負担とする。

1項

裁判所は、事件を完結する裁判において、職権で、その審級における審判費用(調停手続を経ている場合にあっては、調停費用を含む。)の全部について、その負担の裁判をしなければならない。


ただし、事情により、事件の一部 又は中間の争いに関する裁判において、その費用についての負担の裁判をすることができる。

2項

上級の裁判所が本案の裁判を変更する場合には、手続の総費用(調停手続を経ている場合にあっては、調停費用を含む。)について、その負担の裁判をしなければならない。


事件の差戻し 又は移送を受けた裁判所がその事件を完結する裁判をする場合も、同様とする。

3項

調停が成立した場合において、調停費用(審判手続を経ている場合にあっては、審判費用を含む。)の負担について特別の定めをしなかったときは、その費用は、各自が負担する。

4項

第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件についての訴訟が係属する裁判所が第二百五十七条第二項 又は第二百七十四条第一項の規定により事件を調停に付した場合において、調停が成立し、その訴訟についての訴訟費用の負担について特別の定めをしなかったときは、その費用は、各自が負担する。

1項

事実の調査、証拠調べ、呼出し、告知 その他の家事事件の手続に必要な行為に要する費用は、国庫において立て替えることができる。

1項

民事訴訟法第六十九条から第七十四条までの規定(裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについての決定に対する即時抗告に関する部分を除く)は、手続費用の負担について準用する。


この場合において、

同法第七十二条
当事者が裁判所において和解をした場合」とあるのは
「調停が成立した場合」と、

和解の費用 又は訴訟費用」とあるのは
家事事件手続法平成二十三年法律第五十二号第二十九条第三項の調停費用 又は同条第四項の訴訟費用」と、

同法第七十三条第一項
裁判 及び和解」とあるのは
「裁判 及び調停の成立」と、

補助参加の申出の取下げ 又は補助参加についての異議の取下げ」とあるのは
家事事件手続法第四十一条第一項 若しくは第四十二条第一項の規定による参加の申出の取下げ 又は同条第二項の規定による参加の許可の申立ての取下げ」と、

同条第二項
第六十一条から第六十六条まで及び」とあるのは
家事事件手続法第三十一条第一項において準用する」と

読み替えるものとする。

2項

前項において準用する民事訴訟法第六十九条第三項の規定による即時抗告 並びに同法第七十一条第四項前項において準用する同法第七十二条後段において準用する場合を含む。)、第七十三条第二項 及び第七十四条第二項の異議の申立てについての裁判に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。

第二節 手続上の救助

1項

家事事件の手続の準備 及び追行に必要な費用を支払う資力がない者 又はその支払により生活に著しい支障を生ずる者に対しては、裁判所は、申立てにより、手続上の救助の裁判をすることができる。


ただし、救助を求める者が不当な目的で家事審判 又は家事調停の申立てその他の手続行為をしていることが明らかなときは、この限りでない。

2項

民事訴訟法第八十二条第二項 及び第八十三条から第八十六条まで同法第八十三条第一項第三号除く)の規定は、手続上の救助について準用する。


この場合において、

同法第八十四条
第八十二条第一項本文」とあるのは、
家事事件手続法第三十二条第一項本文」と

読み替えるものとする。

第七章 家事事件の審理等

1項

家事事件の手続は、公開しない。


ただし、裁判所は、相当と認める者の傍聴を許すことができる。

1項

家事事件の手続の期日は、職権で、裁判長が指定する。

2項

家事事件の手続の期日は、やむを得ない場合に限り、日曜日 その他の一般の休日に指定することができる。

3項

家事事件の手続の期日の変更は、顕著な事由がある場合に限り、することができる。

4項

民事訴訟法第九十四条から第九十七条までの規定は、家事事件の手続の期日 及び期間について準用する。

1項

裁判所は、家事事件の手続を併合し、又は分離することができる。

2項

裁判所は、前項の規定による裁判を取り消すことができる。

3項

裁判所は、当事者を異にする家事事件について手続の併合を命じた場合において、その前に尋問をした証人について、尋問の機会がなかった当事者が尋問の申出をしたときは、その尋問をしなければならない。

1項

送達 及び家事事件の手続の中止については、民事訴訟法第一編第五章第四節 及び第百三十条から第百三十二条まで同条第一項除く)の規定を準用する。


この場合において、

同法第百十三条
その訴訟の目的である請求 又は防御の方法」とあるのは、
「裁判 又は調停を求める事項」と

読み替えるものとする。

1項

裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、その裁判所書記官の所属する裁判所が裁判をする。

2項

前項の裁判に対しては、即時抗告をすることができる。

第八章 電子情報処理組織による申立て等

1項

家事事件の手続における申立てその他の申述(次項 及び次条において「申立て等」という。)については、民事訴訟法第百三十二条の十第一項から第五項までの規定(支払督促に関する部分を除く)を準用する。

2項

前項において準用する民事訴訟法第百三十二条の十第一項本文の規定によりされた申立て等に係るこの法律の他の規定による家事事件の記録の閲覧 若しくは謄写 又はその正本、謄本 若しくは抄本の交付は、同条第五項の書面をもってするものとする。


当該申立て等に係る書類の送達 又は送付も、同様とする。

第九章 当事者に対する住所、氏名等の秘匿

1項

家事事件の手続における申立て等については、民事訴訟法第百三十三条第百三十三条の二第一項 並びに第百三十三条の四第一項から第三項まで第四項第一号に係る部分に限る)及び第五項から第七項までの規定を準用する。


この場合において、

同法第百三十三条第一項
当事者」とあるのは
「当事者 若しくは利害関係参加人(家事事件手続法第四十二条第七項同法第二百五十八条第一項において準用する場合を含む。)に規定する利害関係参加人をいう。第百三十三条の四第一項第二項 及び第七項において同じ。)又はこれらの者以外の審判を受ける者となるべき者(同法第十条第一項第一号に規定する審判を受ける者となるべき者をいう。)」と、

同法第百三十三条の四第一項
秘匿決定、第百三十三条の二第二項の決定 又は前条の決定(次項 及び第七項において「秘匿決定等」という。)に係る者以外の者は、訴訟記録等」とあるのは
「秘匿決定(家事事件手続法第二百七十七条第一項に規定する事項以外の事項についての家事調停の手続に係るもの 並びに同法第二百八十九条第一項同条第七項において準用する場合を含む。)の規定による調査 及び勧告の事件の手続に係るものを除く次項第四項第一号 及び第七項において同じ。)に係る者以外の当事者 又は利害関係参加人は、当該秘匿決定に係る事件の記録」と、

同条第二項
秘匿決定等に係る者以外の当事者は、秘匿決定等」とあるのは
「秘匿決定に係る者以外の当事者 又は利害関係参加人は、秘匿決定」と、

訴訟記録等」とあるのは
前項の事件の記録」と、

同条第四項第一号
秘匿決定 又は第百三十三条の二第二項の決定」とあるのは
「秘匿決定」と、

同条第七項
当事者」とあるのは
「当事者 若しくは利害関係参加人」と、

秘匿決定等」とあるのは
「秘匿決定」と

読み替えるものとする。