刑事訴訟法

# 昭和二十三年法律第百三十一号 #
略称 : 刑訴法 

第七編 裁判の執行

分類 法律
カテゴリ   刑事
@ 施行日 : 令和六年二月十五日 ( 2024年 2月15日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第六十六号による改正
最終編集日 : 2024年 04月28日 03時04分


第一章 裁判の執行の手続

1項

裁判は、この法律に特別の定のある場合を除いては、確定した後これを執行する。

1項

裁判の執行は、その裁判をした裁判所に対応する検察庁の検察官がこれを指揮する。


但し第七十条第一項但書の場合、第百八条第一項但書の場合 その他その性質上 裁判所 又は裁判官が指揮すべき場合は、この限りでない。

○2項

上訴の裁判 又は上訴の取下により下級の裁判所の裁判を執行する場合には、上訴裁判所に対応する検察庁の検察官がこれを指揮する。


但し、訴訟記録が下級の裁判所 又はその裁判所に対応する検察庁に在るときは、その裁判所に対応する検察庁の検察官が、これを指揮する。

1項

裁判の執行の指揮は、書面でこれをし、これに裁判書 又は裁判を記載した調書の謄本 又は抄本を添えなければならない。


但し、刑の執行を指揮する場合を除いては、裁判書の原本、謄本 若しくは抄本 又は裁判を記載した調書の謄本 若しくは抄本に認印して、これをすることができる。

1項

二以上の主刑の執行は、罰金 及び科料を除いては、その重いものを先にする。


但し、検察官は、重い刑の執行を停止して、他の刑の執行をさせることができる。

1項
死刑の執行は、法務大臣の命令による。
○2項

前項の命令は、判決確定の日から六箇月以内にこれをしなければならない。


但し、上訴権回復 若しくは再審の請求、非常上告 又は恩赦の出願 若しくは申出がされその手続が終了するまでの期間 及び共同被告人であつた者に対する判決が確定するまでの期間は、これをその期間に算入しない。

1項

法務大臣が死刑の執行を命じたときは、五日以内にその執行をしなければならない。

1項

死刑は、検察官、検察事務官 及び刑事施設の長 又はその代理者の立会いの上、これを執行しなければならない。

○2項

検察官 又は刑事施設の長の許可を受けた者でなければ、刑場に入ることはできない

1項

死刑の執行に立ち会つた検察事務官は、執行始末書を作り、検察官 及び刑事施設の長 又はその代理者とともに、これに署名押印しなければならない。

1項

死刑の言渡を受けた者が心神喪失の状態に在るときは、法務大臣の命令によつて執行を停止する。

○2項

死刑の言渡を受けた女子が懐胎しているときは、法務大臣の命令によつて執行を停止する。

○3項

前二項の規定により死刑の執行を停止した場合には、心神喪失の状態が回復した後 又は出産の後に法務大臣の命令がなければ、執行することはできない

○4項

第四百七十五条第二項の規定は、前項の命令についてこれを準用する。


この場合において、判決確定の日とあるのは、心神喪失の状態が回復した日 又は出産の日と読み替えるものとする。

1項

懲役、禁錮 又は拘留の言渡を受けた者が心神喪失の状態に在るときは、刑の言渡をした裁判所に対応する検察庁の検察官 又は刑の言渡を受けた者の現在地を管轄する地方検察庁の検察官の指揮によつて、その状態が回復するまで執行を停止する。

1項

前条の規定により刑の執行を停止した場合には、検察官は、刑の言渡を受けた者を監護義務者 又は地方公共団体の長に引き渡し、病院 その他の適当な場所に入れさせなければならない。

○2項

刑の執行を停止された者は、前項の処分があるまでこれを刑事施設に留置し、その期間を刑期に算入する。

1項

懲役、禁錮 又は拘留の言渡を受けた者について左の事由があるときは、刑の言渡をした裁判所に対応する検察庁の検察官 又は刑の言渡を受けた者の現在地を管轄する地方検察庁の検察官の指揮によつて執行を停止することができる。

一 号

刑の執行によつて、著しく健康を害するとき、又は生命を保つことのできない虞があるとき。

二 号

年齢七十年以上であるとき。

三 号

受胎後百五十日以上であるとき。

四 号

出産後六十日を経過しないとき

五 号

刑の執行によつて回復することのできない不利益を生ずる虞があるとき。

六 号

祖父母 又は父母が年齢七十年以上 又は重病 若しくは不具で、他にこれを保護する親族がないとき。

七 号

子 又は孫が幼年で、他にこれを保護する親族がないとき。

八 号

その他重大な事由があるとき。

1項

第五百条に規定する申立の期間内 及びその申立があつたときは、訴訟費用の負担を命ずる裁判の執行は、その申立についての裁判が確定するまで停止される。

1項

死刑、懲役、禁錮 又は拘留の言渡しを受けた者が拘禁されていないときは、検察官は、執行のためこれを呼び出さなければならない。


呼出しに応じないときは、収容状を発しなければならない。

1項

前条前段の規定による呼出しを受けた者が、正当な理由がなく、指定された日時 及び場所に出頭しないときは、二年以下の拘禁刑に処する。

1項

死刑、懲役、禁錮 又は拘留の言渡しを受けた者が逃亡したとき、又は逃亡するおそれがあるときは、検察官は、直ちに収容状を発し、又は司法警察員にこれを発せしめることができる。

1項

死刑、懲役、禁錮 又は拘留の言渡しを受けた者の現在地が分からないときは、検察官は、検事長にその者の刑事施設への収容を請求することができる。

○2項

請求を受けた検事長は、その管内の検察官に収容状を発せしめなければならない。

1項

収容状には、刑の言渡しを受けた者の氏名、住居、年齢、刑名、刑期 その他収容に必要な事項を記載し、検察官 又は司法警察員が、これに記名押印しなければならない。

1項

収容状は、勾引状と同一の効力を有する。

1項

収容状の執行については、勾引状の執行に関する規定を準用する。

1項

罰金、科料、没収、追徴、過料、没取、訴訟費用、費用賠償 又は仮納付の裁判は、検察官の命令によつてこれを執行する。


この命令は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。

○2項

前項の裁判の執行は、民事執行法昭和五十四年法律第四号)その他強制執行の手続に関する法令の規定に従つてする。


ただし、執行前に裁判の送達をすることを要しない。

1項

没収 又は租税 その他の公課 若しくは専売に関する法令の規定により言い渡した罰金 若しくは追徴は、刑の言渡を受けた者が判決の確定した後死亡した場合には、相続財産についてこれを執行することができる。

1項

法人に対して罰金、科料、没収 又は追徴を言い渡した場合に、その法人が判決の確定した後合併によつて消滅したときは、合併の後存続する法人 又は合併によつて設立された法人に対して執行することができる。

1項

第一審と第二審とにおいて、仮納付の裁判があつた場合に、第一審の仮納付の裁判について既に執行があつたときは、その執行は、これを第二審の仮納付の裁判で納付を命ぜられた金額の限度において、第二審の仮納付の裁判についての執行とみなす。

○2項

前項の場合において、第一審の仮納付の裁判の執行によつて得た金額が第二審の仮納付の裁判で納付を命ぜられた金額を超えるときは、その超過額は、これを還付しなければならない。

1項

仮納付の裁判の執行があつた後に、罰金、科料 又は追徴の裁判が確定したときは、その金額の限度において刑の執行があつたものとみなす。

○2項

前項の場合において、仮納付の裁判の執行によつて得た金額が罰金、科料 又は追徴の金額を超えるときは、その超過額は、これを還付しなければならない。

1項

上訴の提起期間中の未決勾留の日数は、上訴申立後の未決勾留の日数を除き、全部これを本刑に通算する。

○2項

上訴申立後の未決勾留の日数は、左の場合には、全部これを本刑に通算する。

一 号

検察官が上訴を申し立てたとき。

二 号

検察官以外の者が上訴を申し立てた場合においてその上訴審において原判決が破棄されたとき。

○3項

前二項の規定による通算については、未決勾留の一日を刑期の一日 又は金額の四千円に折算する。

○4項

上訴裁判所が原判決を破棄した後の未決勾留は、上訴中の未決勾留日数に準じて、これを通算する。

1項

没収物は、検察官がこれを処分しなければならない。

1項

没収を執行した後 三箇月以内に、権利を有する者が没収物の交付を請求したときは、検察官は、破壊し、又は廃棄すべき物を除いては、これを交付しなければならない。

○2項

没収物を処分した後 前項の請求があつた場合には、検察官は、公売によつて得た代価を交付しなければならない。

1項

偽造し、又は変造された物を返還する場合には、偽造 又は変造の部分をその物に表示しなければならない。

○2項

偽造し、又は変造された物が押収されていないときは、これを提出させて、前項に規定する手続をしなければならない。


但し、その物が公務所に属するときは、偽造 又は変造の部分を公務所に通知して相当な処分をさせなければならない。

1項

不正に作られた電磁的記録 又は没収された電磁的記録に係る記録媒体を返還し、又は交付する場合には、当該電磁的記録を消去し、又は当該電磁的記録が不正に利用されないようにする処分をしなければならない。

○2項

不正に作られた電磁的記録に係る記録媒体が公務所に属する場合において、当該電磁的記録に係る記録媒体が押収されていないときは、不正に作られた部分を公務所に通知して相当な処分をさせなければならない。

1項

押収物の還付を受けるべき者の所在が判らないため、又はその他の事由によつて、その物を還付することができない場合には、検察官は、その旨を政令で定める方法によつて公告しなければならない。

○2項

第二百二十二条第一項において準用する第百二十三条第一項 若しくは第百二十四条第一項の規定 又は第二百二十条第二項の規定により押収物を還付しようとするときも、前項と同様とする。


この場合において、

同項中
検察官」とあるのは、
「検察官 又は司法警察員」と

する。

○3項

前二項の規定による公告をした日から六箇月以内に還付の請求がないときは、その物は、国庫に帰属する。

○4項

前項の期間内でも、価値のない物は、これを廃棄し、保管に不便な物は、これを公売してその代価を保管することができる。

1項

前条第一項の規定は第百二十三条第三項の規定による交付 又は複写について、前条第二項の規定は第二百二十条第二項 及び第二百二十二条第一項において準用する第百二十三条第三項の規定による交付 又は複写について、それぞれ準用する。

○2項

前項において準用する前条第一項 又は第二項の規定による公告をした日から六箇月以内前項の交付 又は複写の請求がないときは、その交付をし、又は複写をさせることを要しない。

1項

訴訟費用の負担を命ぜられた者は、貧困のためこれを完納することができないときは、裁判所の規則の定めるところにより、訴訟費用の全部 又は一部について、その裁判の執行の免除の申立をすることができる。

○2項

前項の申立は、訴訟費用の負担を命ずる裁判が確定した後 二十日以内に これをしなければならない。

1項
被告人 又は被疑者は、検察官に訴訟費用の概算額の予納をすることができる。
1項

検察官は、訴訟費用の裁判を執行する場合において、前条の規定による予納がされた金額があるときは、その予納がされた金額から当該訴訟費用の額に相当する金額を控除し、当該金額を当該訴訟費用の納付に充てる。

○2項

前項の規定により予納がされた金額から訴訟費用の額に相当する金額を控除して残余があるときは、その残余の額は、その予納をした者の請求により返還する。

1項

次の各号いずれかに該当する場合には、第五百条の二の規定による予納がされた金額は、その予納をした者の請求により返還する。

一 号

第三十八条の二の規定により弁護人の選任が効力を失つたとき。

二 号

訴訟手続が終了する場合において、被告人に訴訟費用の負担を命ずる裁判がなされなかつたとき

三 号

訴訟費用の負担を命ぜられた者が、訴訟費用の全部について、その裁判の執行の免除を受けたとき。

1項

刑の言渡を受けた者は、裁判の解釈について疑があるときは、言渡をした裁判所に裁判の解釈を求める申立をすることができる。

1項

裁判の執行を受ける者 又はその法定代理人 若しくは保佐人は、執行に関し検察官のした処分(次章の規定によるものを除く)を不当とするときは、言渡しをした裁判所に異議の申立てをすることができる。

1項

第五百条 及び前二条の申立ては、決定があるまでこれを取り下げることができる。

○2項

第三百六十六条の規定は、第五百条 及び前二条の申立て 及びその取下げについてこれを準用する。

1項

第五百条第五百一条 及び 第五百二条の申立てについてした決定に対しては、即時抗告をすることができる。

1項

罰金 又は科料を完納することができない場合における労役場留置の執行については、刑の執行に関する規定を準用する。

1項

第四百九十条第一項の裁判の執行の費用は、執行を受ける者の負担とし、民事執行法 その他強制執行の手続に関する法令の規定に従い、執行と同時にこれを取り立てなければならない。

第二章 裁判の執行に関する調査

1項
検察官 及び検察事務官は、裁判の執行に関する調査のため必要があるときは、管轄区域外で職務を行うことができる。
1項

検察官 又は裁判所 若しくは裁判官は、裁判の執行に関して、その目的を達するため必要な調査をすることができる。


ただし、強制の処分は、この法律に特別の定めがある場合でなければ、これをすることができない。

2項
検察官 又は裁判所 若しくは裁判官は、裁判の執行に関しては、公務所 又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。
1項

検察官は、裁判の執行に関して必要があると認めるときは、裁判官の発する令状により、差押え、記録命令付差押え、捜索 又は検証をすることができる。


この場合において、身体の検査は、身体検査令状によらなければならない。

2項

差し押さえるべき物が電子計算機であるときは、当該電子計算機に電気通信回線で接続している記録媒体であつて、当該電子計算機で作成 若しくは変更をした電磁的記録 又は当該電子計算機で変更 若しくは消去をすることができることとされている電磁的記録を保管するために使用されていると認めるに足りる状況にあるものから、その電磁的記録を当該電子計算機 又は他の記録媒体に複写した上、当該電子計算機 又は当該他の記録媒体を差し押さえることができる。

3項

第一項の令状は、検察官の請求により、これを発する。

4項

検察官は、第一項の身体検査令状の請求をするには、身体の検査を必要とする理由 及び身体の検査を受ける者の性別、健康状態 その他裁判所の規則で定める事項を示さなければならない。

5項
裁判官は、身体の検査に関し、適当と認める条件を付することができる。
1項

前条第一項の令状には、裁判の執行を受ける者の氏名、差し押さえるべき物、記録させ 若しくは印刷させるべき電磁的記録 及びこれを記録させ 若しくは印刷させるべき者、捜索すべき場所、身体 若しくは物、検証すべき場所 若しくは物 又は検査すべき身体 及び身体の検査に関する条件、有効期間 及びその期間経過後は差押え、記録命令付差押え、捜索 又は検証に着手することができず令状はこれを返還しなければならない旨 並びに発付の年月日 その他裁判所の規則で定める事項を記載し、裁判官が、これに記名押印しなければならない。

2項

前条第二項の場合には、同条第一項の令状に、前項に規定する事項のほか、差し押さえるべき電子計算機に電気通信回線で接続している記録媒体であつて、その電磁的記録を複写すべきものの範囲を記載しなければならない。

3項

第六十四条第二項の規定は、前条第一項の令状について準用する。


この場合において、

第六十四条第二項
被告人の」とあるのは
「裁判の執行を受ける者の」と、

被告人を」とあるのは
「その者を」と

読み替えるものとする。

1項

裁判所 又は裁判官は、裁判の執行に関して必要があると認めるときは、令状を発して、差押え、記録命令付差押え、捜索 又は検証をすることができる。


この場合において、身体の検査は、身体検査令状によらなければならない。

2項

差し押さえるべき物が電子計算機であるときは、当該電子計算機に電気通信回線で接続している記録媒体であつて、当該電子計算機で作成 若しくは変更をした電磁的記録 又は当該電子計算機で変更 若しくは消去をすることができることとされている電磁的記録を保管するために使用されていると認めるに足りる状況にあるものから、その電磁的記録を当該電子計算機 又は他の記録媒体に複写した上、当該電子計算機 又は当該他の記録媒体を差し押さえることができる。

3項

前条の規定は、第一項の令状について準用する。


この場合において、

同条第一項
裁判官」とあるのは
「裁判長 又は裁判官」と、

同条第二項
前条第二項」とあるのは
次条第二項」と

読み替えるものとする。

1項

検察官 又は裁判所 若しくは裁判官は、裁判の執行を受ける者 その他の者が遺留した物 又は所有者、所持者 若しくは保管者が任意に提出した物は、これを領置することができる。

1項

第九十九条第一項第百条第百二条から第百五条まで第百十条第百十条の二前段、第百十一条第一項前段 及び第二項第百十一条の二前段、第百十二条第百十四条第百十五条第百十八条から第百二十条まで第百二十一条第一項 及び第二項第百二十三条第一項から第三項まで 並びに第二百二十二条第六項の規定は、検察官が第五百九条 及び前条の規定によつてする押収 又は捜索について、第百十条第百十一条の二前段、第百十二条第百十四条第百十八条第百二十九条第百三十一条第百三十七条から第百四十条まで 及び第二百二十二条第四項から第七項までの規定は、検察官が第五百九条の規定によつてする検証について、それぞれ準用する。


この場合において、

第九十九条第一項
証拠物 又は没収すべき物」とあり、
及び第百十九条
証拠物 又は没収すべきもの」とあるのは
「裁判の執行を受ける者 若しくは裁判の執行の対象となるものの所在 若しくは状況に関する資料、裁判の執行を受ける者の資産に関する資料、裁判の執行の対象となるもの 若しくは裁判の執行を受ける者の財産を管理するために使用されている物 又は第四百九十条第二項の規定によりその規定に従うこととされる民事執行法 その他強制執行の手続に関する法令の規定により金銭の支払を目的とする債権についての強制執行の目的となる物 若しくはそれ以外の物であつて当該強制執行の手続において 執行官による取上げの対象となるべきもの」と、

第百条第一項第百二条第百五条ただし書 及び第百三十七条第一項
被告人」とあり、
並びに第二百二十二条第六項
被疑者」とあるのは
「裁判の執行を受ける者」と、

第百条第二項 並びに第百二十三条第一項 及び第三項
被告事件」とあり、
並びに第百条第三項ただし書中
審理」とあるのは
「裁判の執行」と、

第二百二十二条第七項
第一項」とあるのは
第五百十三条第一項において読み替えて準用する第百三十七条第一項」と

読み替えるものとする。

2項

第百十六条 及び第百十七条の規定は、検察官が第五百九条の規定によつてする差押え、記録命令付差押え 又は捜索について準用する。

3項

検察官は、第四百九十条第二項の規定によりその規定に従うこととされる民事執行法 その他強制執行の手続に関する法令の規定による手続において必要があると認めるときは、執行官に押収物を提出することができる。

4項

前項の規定による提出をしたときは、押収を解く処分があつたものとする。


この場合において、当該押収物は、還付することを要しない。

5項

前二項の規定は、民事訴訟の手続に従い、利害関係人がその権利を主張することを妨げない。

6項

第九十九条第一項第百条第百二条から第百五条まで第百八条第一項から第三項まで第百九条第百十条第百十条の二前段、第百十一条第一項前段 及び第二項第百十一条の二前段、第百十二条第百十三条第三項第百十四条第百十五条第百十八条から第百二十一条まで第百二十三条第一項から第三項まで 並びに第百二十五条の規定は、裁判所 又は裁判官が前二条の規定によつてする押収 又は捜索について、第百八条第一項から第三項まで第百九条第百十条第百十一条の二前段、第百十二条第百十三条第三項第百十四条第百十八条第百二十五条第一項から第三項まで 及び第四項本文、第百二十九条第百三十一条第百三十七条から第百四十条まで 並びに第二百二十二条第四項 及び第五項の規定は、裁判所 又は裁判官が第五百十一条の規定によつてする検証について、それぞれ準用する。


この場合において、

第九十九条第一項
証拠物 又は没収すべき物」とあり、
及び第百十九条
証拠物 又は没収すべきもの」とあるのは
「裁判の執行を受ける者 若しくは裁判の執行の対象となるものの所在 若しくは状況に関する資料 又は裁判の執行の対象となるものを管理するために使用されている物」と、

第百条第一項第百二条第百五条ただし書、第百八条第一項ただし書、第百十三条第三項 及び第百三十七条第一項
被告人」とあるのは
「裁判の執行を受ける者」と、

第百条第二項 並びに第百二十三条第一項 及び第三項
被告事件」とあり、
並びに第百条第三項ただし書中
審理」とあるのは
「裁判の執行」と、

第百二十五条第四項ただし書中
裁判所」とあるのは
「裁判所 又は第五百十三条第六項において準用する第一項の規定による嘱託をした裁判官」と、

第二百二十二条第四項
検察官、検察事務官 又は司法警察職員」とあるのは
「検証状を執行する者」と

読み替えるものとする。

7項

第百十六条 及び第百十七条の規定は、裁判所 又は裁判官が第五百十一条の規定によつてする差押え、記録命令付差押え 又は捜索について準用する。

8項

第七十一条の規定は、第五百十一条第一項の令状の執行について準用する。

9項

第四百九十九条第一項第三項 及び第四項の規定は、第一項 及び第六項において読み替えて準用する第百二十三条第一項の規定による押収物の還付について準用する。


この場合において、

第四百九十九条第三項
前二項」とあるのは、
第五百十三条第九項において準用する第一項」と

読み替えるものとする。

10項

第四百九十九条第一項の規定は、第一項 及び第六項において読み替えて準用する第百二十三条第三項の規定による交付 又は複写について準用する。

11項

前項において準用する第四百九十九条第一項の規定による公告をした日から六箇月以内前項の交付 又は複写の請求がないときは、その交付をし、又は複写をさせることを要しない。

1項
検察官 又は裁判所 若しくは裁判官は、裁判の執行に関して必要があると認めるときは、裁判の執行を受ける者 その他の者の出頭を求め、質問をし、又は裁判の執行を受ける者以外の者に鑑定、通訳 若しくは翻訳を嘱託することができる。
1項

前条の規定による鑑定の嘱託を受けた者は、裁判官の許可を受けて、第百六十八条第一項に規定する処分をすることができる。

2項

検察官が前条の規定による鑑定の嘱託をした場合においては、前項の許可の請求は、検察官からこれをしなければならない。

3項

裁判官は、前項の請求を相当と認めるとき、又は裁判所 若しくは裁判官が鑑定を嘱託した場合において第一項の許可をするときは、許可状を発しなければならない。

4項

第百三十一条第百三十七条第百三十八条第百四十条 及び第百六十八条第二項から第四項までの規定は、第一項の許可 及び前項の許可状について準用する。


この場合において、

第百三十七条第一項
被告人」とあるのは
「裁判の執行を受ける者」と、

第百六十八条第二項
被告人の氏名、罪名」とあるのは
「裁判の執行を受ける者の氏名」と

読み替えるものとする。

1項

検察官は、検察事務官に第五百八条第一項本文の調査 又は同条第二項第五百九条第五百十二条 若しくは第五百十四条の処分をさせることができる。