裁判所において当事者が自白した事実 及び顕著な事実は、証明することを要しない。
民事訴訟法
第四章 証拠
第一節 総則
証拠の申出は、証明すべき事実を特定してしなければならない。
証拠の申出は、期日前においてもすることができる。
裁判所は、当事者が申し出た証拠で必要でないと認めるものは、取り調べることを要しない。
証拠調べについて不定期間の障害があるときは、裁判所は、証拠調べをしないことができる。
証人 及び当事者本人の尋問は、できる限り、争点 及び証拠の整理が終了した後に集中して行わなければならない。
証拠調べは、当事者が期日に出頭しない場合においても、することができる。
外国においてすべき証拠調べは、その国の管轄官庁 又はその国に駐在する日本の大使、公使 若しくは領事に嘱託してしなければならない。
外国においてした証拠調べは、その国の法律に違反する場合であっても、この法律に違反しないときは、その効力を有する。
裁判所は、相当と認めるときは、裁判所外において証拠調べをすることができる。
この場合においては、合議体の構成員に命じ、又は地方裁判所 若しくは簡易裁判所に嘱託して証拠調べをさせることができる。
前項に規定する嘱託により職務を行う受託裁判官は、他の地方裁判所 又は簡易裁判所において証拠調べをすることを相当と認めるときは、更に証拠調べの嘱託をすることができる。
裁判所は、必要な調査を官庁 若しくは公署、外国の官庁 若しくは公署 又は学校、商工会議所、取引所その他の団体に嘱託することができる。
裁判所は、決定で完結すべき事件について、参考人 又は当事者本人を審尋することができる。
ただし、参考人については、当事者が申し出た者に限る。
前項の規定による審尋は、相手方がある事件については、当事者双方が立ち会うことができる審尋の期日においてしなければならない。
疎明は、即時に取り調べることができる証拠によってしなければならない。
この章の規定による過料の裁判は、検察官の命令で執行する。
この命令は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。
過料の裁判の執行は、民事執行法(昭和五十四年法律第四号)その他強制執行の手続に関する法令の規定に従ってする。
ただし、執行をする前に裁判の送達をすることを要しない。
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第七編第二章(第五百十一条 及び第五百十三条第六項から第八項までを除く。)の規定は、過料の裁判の執行について準用する。
この場合において、
同条第一項中
「者 若しくは裁判の執行の対象となるもの」とあるのは
「者」と、
「裁判の執行の対象となるもの 若しくは裁判」とあるのは
「裁判」と
読み替えるものとする。
過料の裁判の執行があった後に当該裁判(以下 この項において「原裁判」という。)に対して即時抗告があった場合において、抗告裁判所が当該即時抗告を理由があると認めて原裁判を取り消して更に過料の裁判をしたときは、その金額の限度において当該過料の裁判の執行があったものとみなす。
この場合において、原裁判の執行によって得た金額が当該過料の金額を超えるときは、その超過額は、これを還付しなければならない。
第二節 証人尋問
裁判所は、特別の定めがある場合を除き、何人でも証人として尋問することができる。
公務員 又は公務員であった者を証人として職務上の秘密について尋問する場合には、裁判所は、当該監督官庁(衆議院 若しくは参議院の議員 又はその職にあった者についてはその院、内閣総理大臣 その他の国務大臣 又はその職にあった者については内閣)の承認を得なければならない。
前項の承認は、公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがある場合を除き、拒むことができない。
証人が正当な理由なく出頭しないときは、裁判所は、決定で、これによって生じた訴訟費用の負担を命じ、かつ、十万円以下の過料に処する。
前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
証人が正当な理由なく出頭しないときは、十万円以下の罰金 又は拘留に処する。
前項の罪を犯した者には、情状により、罰金 及び拘留を併科することができる。
裁判所は、正当な理由なく出頭しない証人の勾引を命ずることができる。
刑事訴訟法中 勾引に関する規定は、前項の勾引について準用する。
裁判所は、次に掲げる場合に限り、受命裁判官 又は受託裁判官に裁判所外で証人の尋問をさせることができる。
証人が受訴裁判所に出頭する義務がないとき、又は正当な理由により出頭することができないとき。
証人が受訴裁判所に出頭するについて不相当な費用 又は時間を要するとき。
現場において証人を尋問することが事実を発見するために必要であるとき。
証言が証人 又は証人と次に掲げる関係を有する者が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受けるおそれがある事項に関するときは、証人は、証言を拒むことができる。
証言がこれらの者の名誉を害すべき事項に関するときも、同様とする。
配偶者、四親等内の血族 若しくは三親等内の姻族の関係にあり、又はあったこと。
後見人と被後見人の関係にあること。
次に掲げる場合には、証人は、証言を拒むことができる。
第百九十一条第一項の場合
医師、歯科医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、弁理士、弁護人、公証人、宗教、祈祷 若しくは祭祀の職にある者 又はこれらの職にあった者が職務上知り得た事実で黙秘すべきものについて尋問を受ける場合
技術 又は職業の秘密に関する事項について尋問を受ける場合
前項の規定は、証人が黙秘の義務を免除された場合には、適用しない。
証言拒絶の理由は、疎明しなければならない。
第百九十七条第一項第一号の場合を除き、証言拒絶の当否については、受訴裁判所が、当事者を審尋して、決定で、裁判をする。
前項の裁判に対しては、当事者 及び証人は、即時抗告をすることができる。
第百九十二条 及び第百九十三条の規定は、証言拒絶を理由がないとする裁判が確定した後に証人が正当な理由なく証言を拒む場合について準用する。
証人には、特別の定めがある場合を除き、宣誓をさせなければならない。
十六歳未満の者 又は宣誓の趣旨を理解することができない者を証人として尋問する場合には、宣誓をさせることができない。
第百九十六条の規定に該当する証人で証言拒絶の権利を行使しないものを尋問する場合には、宣誓をさせないことができる。
証人は、自己 又は自己と第百九十六条各号に掲げる関係を有する者に著しい利害関係のある事項について尋問を受けるときは、宣誓を拒むことができる。
第百九十八条 及び第百九十九条の規定は証人が宣誓を拒む場合について、第百九十二条 及び第百九十三条の規定は宣誓拒絶を理由がないとする裁判が確定した後に証人が正当な理由なく宣誓を拒む場合について準用する。
証人の尋問は、その尋問の申出をした当事者、他の当事者、裁判長の順序でする。
裁判長は、適当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、前項の順序を変更することができる。
当事者が前項の規定による変更について異議を述べたときは、裁判所は、決定で、その異議について裁判をする。
証人は、書類に基づいて陳述することができない。
ただし、裁判長の許可を受けたときは、この限りでない。
裁判長は、証人の年齢 又は心身の状態 その他の事情を考慮し、証人が尋問を受ける場合に著しく不安 又は緊張を覚えるおそれがあると認めるときは、その不安 又は緊張を緩和するのに適当であり、かつ、裁判長 若しくは当事者の尋問 若しくは証人の陳述を妨げ、又はその陳述の内容に不当な影響を与えるおそれがないと認める者を、その証人の陳述中、証人に付き添わせることができる。
前項の規定により証人に付き添うこととされた者は、その証人の陳述中、裁判長 若しくは当事者の尋問 若しくは証人の陳述を妨げ、又はその陳述の内容に不当な影響を与えるような言動をしてはならない。
当事者が、第一項の規定による裁判長の処置に対し、異議を述べたときは、裁判所は、決定で、その異議について裁判をする。
裁判長は、事案の性質、証人の年齢 又は心身の状態、証人と当事者本人 又はその法定代理人との関係(証人がこれらの者が行った犯罪により害を被った者であることを含む。次条第二号において同じ。)その他の事情により、証人が当事者本人 又はその法定代理人の面前(同条に規定する方法による場合を含む。)において陳述するときは圧迫を受け 精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認める場合であって、相当と認めるときは、その当事者本人 又は法定代理人と その証人との間で、一方から 又は相互に相手の状態を認識することができないようにするための措置をとることができる。
裁判長は、事案の性質、証人が犯罪により害を被った者であること、証人の年齢、心身の状態 又は名誉に対する影響 その他の事情を考慮し、相当と認めるときは、傍聴人と その証人との間で、相互に相手の状態を認識することができないようにするための措置をとることができる。
前条第三項の規定は、前二項の規定による裁判長の処置について準用する。
裁判所は、次に掲げる場合には、最高裁判所規則で定めるところにより、映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によって、証人の尋問をすることができる。
事案の性質、証人の年齢 又は心身の状態、証人と当事者本人 又はその法定代理人との関係 その他の事情により、証人が裁判長 及び当事者が証人を尋問するために在席する場所において陳述するときは圧迫を受け精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認める場合であって、相当と認めるとき。
裁判所は、相当と認める場合において、当事者に異議がないときは、証人の尋問に代え、書面の提出をさせることができる。
受命裁判官 又は受託裁判官が証人尋問をする場合には、裁判所 及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。
ただし、第二百二条第三項の規定による異議についての裁判は、受訴裁判所がする。
第三節 当事者尋問
裁判所は、申立てにより 又は職権で、当事者本人を尋問することができる。
この場合においては、その当事者に宣誓をさせることができる。
証人 及び当事者本人の尋問を行うときは、まず証人の尋問をする。
ただし、適当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、まず当事者本人の尋問をすることができる。
当事者本人を尋問する場合において、その当事者が、正当な理由なく、出頭せず、又は宣誓 若しくは陳述を拒んだときは、裁判所は、尋問事項に関する相手方の主張を真実と認めることができる。
宣誓した当事者が虚偽の陳述をしたときは、裁判所は、決定で、十万円以下の過料に処する。
前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
第一項の場合において、虚偽の陳述をした当事者が訴訟の係属中その陳述が虚偽であることを認めたときは、裁判所は、事情により、同項の決定を取り消すことができる。
第百九十五条、第二百一条第二項、第二百二条から第二百四条まで 及び第二百六条の規定は、当事者本人の尋問について準用する。
この法律中当事者本人の尋問に関する規定は、訴訟において当事者を代表する法定代理人について準用する。
ただし、当事者本人を尋問することを妨げない。
第四節 鑑定
鑑定に必要な学識経験を有する者は、鑑定をする義務を負う。
第百九十六条 又は第二百一条第四項の規定により証言 又は宣誓を拒むことができる者と同一の地位にある者 及び同条第二項に規定する者は、鑑定人となることができない。
鑑定人は、受訴裁判所、受命裁判官 又は受託裁判官が指定する。
鑑定人について誠実に鑑定をすることを妨げるべき事情があるときは、当事者は、その鑑定人が鑑定事項について陳述をする前に、これを忌避することができる。
鑑定人が陳述をした場合であっても、その後に、忌避の原因が生じ、又は当事者がその原因があることを知ったときは、同様とする。
忌避の申立ては、受訴裁判所、受命裁判官 又は受託裁判官にしなければならない。
忌避を理由があるとする決定に対しては、不服を申し立てることができない。
忌避を理由がないとする決定に対しては、即時抗告をすることができる。
裁判長は、鑑定人に、書面 又は口頭で、意見を述べさせることができる。
裁判所は、鑑定人に意見を述べさせた場合において、当該意見の内容を明瞭にし、又はその根拠を確認するため必要があると認めるときは、申立てにより 又は職権で、鑑定人に更に意見を述べさせることができる。
裁判所は、鑑定人に口頭で意見を述べさせる場合には、鑑定人が意見の陳述をした後に、鑑定人に対し質問をすることができる。
前項の質問は、裁判長、その鑑定の申出をした当事者、他の当事者の順序でする。
裁判長は、適当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、前項の順序を変更することができる。
当事者が前項の規定による変更について異議を述べたときは、裁判所は、決定で、その異議について裁判をする。
裁判所は、鑑定人に口頭で意見を述べさせる場合において、鑑定人が遠隔の地に居住しているとき その他相当と認めるときは、最高裁判所規則で定めるところにより、隔地者が映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によって、意見を述べさせることができる。
受命裁判官 又は受託裁判官が鑑定人に意見を述べさせる場合には、裁判所 及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。
ただし、第二百十五条の二第四項の規定による異議についての裁判は、受訴裁判所がする。
第百九十一条の規定は公務員 又は公務員であった者に鑑定人として職務上の秘密について意見を述べさせる場合について、第百九十七条から第百九十九条までの規定は鑑定人が鑑定を拒む場合について、第二百一条第一項の規定は鑑定人に宣誓をさせる場合について、第百九十二条 及び第百九十三条の規定は鑑定人が正当な理由なく出頭しない場合、鑑定人が宣誓を拒む場合 及び鑑定拒絶を理由がないとする裁判が確定した後に鑑定人が正当な理由なく鑑定を拒む場合について準用する。
特別の学識経験により知り得た事実に関する尋問については、証人尋問に関する規定による。
裁判所は、必要があると認めるときは、官庁 若しくは公署、外国の官庁 若しくは公署 又は相当の設備を有する法人に鑑定を嘱託することができる。
この場合においては、宣誓に関する規定を除き、この節の規定を準用する。
前項の場合において、裁判所は、必要があると認めるときは、官庁、公署 又は法人の指定した者に鑑定書の説明をさせることができる。
第五節 書証
書証の申出は、文書を提出し、又は文書の所持者にその提出を命ずることを申し立ててしなければならない。
次に掲げる場合には、文書の所持者は、その提出を拒むことができない。
当事者が訴訟において引用した文書を自ら所持するとき。
挙証者が文書の所持者に対しその引渡し又は閲覧を求めることができるとき。
文書が挙証者の利益のために作成され、又は挙証者と文書の所持者との間の法律関係について作成されたとき。
前三号に掲げる場合のほか、文書が次に掲げるもののいずれにも該当しないとき。
文書の所持者 又は文書の所持者と第百九十六条各号に掲げる関係を有する者についての同条に規定する事項が記載されている文書
公務員の職務上の秘密に関する文書でその提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの
第百九十七条第一項第二号に規定する事実 又は同項第三号に規定する事項で、黙秘の義務が免除されていないものが記載されている文書
専ら文書の所持者の利用に供するための文書(国 又は地方公共団体が所持する文書にあっては、公務員が組織的に用いるものを除く。)
刑事事件に係る訴訟に関する書類 若しくは少年の保護事件の記録 又はこれらの事件において押収されている文書
文書提出命令の申立ては、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。
前条第四号に掲げる場合であることを文書の提出義務の原因とする文書提出命令の申立ては、書証の申出を文書提出命令の申立てによってする必要がある場合でなければ、することができない。
文書提出命令の申立てをする場合において、前条第一項第一号 又は第二号に掲げる事項を明らかにすることが著しく困難であるときは、その申立ての時においては、これらの事項に代えて、文書の所持者がその申立てに係る文書を識別することができる事項を明らかにすれば足りる。
この場合においては、裁判所に対し、文書の所持者に当該文書についての同項第一号 又は第二号に掲げる事項を明らかにすることを求めるよう申し出なければならない。
前項の規定による申出があったときは、裁判所は、文書提出命令の申立てに理由がないことが明らかな場合を除き、文書の所持者に対し、同項後段の事項を明らかにすることを求めることができる。
裁判所は、文書提出命令の申立てを理由があると認めるときは、決定で、文書の所持者に対し、その提出を命ずる。
この場合において、文書に取り調べる必要がないと認める部分 又は提出の義務があると認めることができない部分があるときは、その部分を除いて、提出を命ずることができる。
裁判所は、第三者に対して文書の提出を命じようとする場合には、その第三者を審尋しなければならない。
裁判所は、公務員の職務上の秘密に関する文書について第二百二十条第四号に掲げる場合であることを文書の提出義務の原因とする文書提出命令の申立てがあった場合には、その申立てに理由がないことが明らかなときを除き、当該文書が同号ロに掲げる文書に該当するかどうかについて、当該監督官庁(衆議院 又は参議院の議員の職務上の秘密に関する文書についてはその院、内閣総理大臣 その他の国務大臣の職務上の秘密に関する文書については内閣。以下この条において同じ。)の意見を聴かなければならない。
この場合において、当該監督官庁は、当該文書が同号ロに掲げる文書に該当する旨の意見を述べるときは、その理由を示さなければならない。
前項の場合において、当該監督官庁が当該文書の提出により次に掲げるおそれがあることを理由として当該文書が第二百二十条第四号ロに掲げる文書に該当する旨の意見を述べたときは、裁判所は、その意見について相当の理由があると認めるに足りない場合に限り、文書の所持者に対し、その提出を命ずることができる。
国の安全が害されるおそれ、他国 若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ 又は他国 若しくは国際機関との交渉上 不利益を被るおそれ
犯罪の予防、鎮圧 又は捜査、公訴の維持、刑の執行 その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれ
第三項前段の場合において、当該監督官庁は、当該文書の所持者以外の第三者の技術 又は職業の秘密に関する事項に係る記載がされている文書について意見を述べようとするときは、第二百二十条第四号ロに掲げる文書に該当する旨の意見を述べようとするときを除き、あらかじめ、当該第三者の意見を聴くものとする。
裁判所は、文書提出命令の申立てに係る文書が第二百二十条第四号イからニまでに掲げる文書のいずれかに該当するかどうかの判断をするため必要があると認めるときは、文書の所持者にその提示をさせることができる。
この場合においては、何人も、その提示された文書の開示を求めることができない。
文書提出命令の申立てについての決定に対しては、即時抗告をすることができる。
当事者が文書提出命令に従わないときは、裁判所は、当該文書の記載に関する相手方の主張を真実と認めることができる。
当事者が相手方の使用を妨げる目的で提出の義務がある文書を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたときも、前項と同様とする。
前二項に規定する場合において、相手方が、当該文書の記載に関して具体的な主張をすること 及び当該文書により証明すべき事実を他の証拠により証明することが著しく困難であるときは、裁判所は、その事実に関する相手方の主張を真実と認めることができる。
第三者が文書提出命令に従わないときは、裁判所は、決定で、二十万円以下の過料に処する。
前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
書証の申出は、第二百十九条の規定にかかわらず、文書の所持者にその文書の送付を嘱託することを申し立ててすることができる。
ただし、当事者が法令により文書の正本 又は謄本の交付を求めることができる場合は、この限りでない。
裁判所は、必要があると認めるときは、提出 又は送付に係る文書を留め置くことができる。
文書は、その成立が真正であることを証明しなければならない。
文書は、その方式 及び趣旨により公務員が職務上 作成したものと認めるべきときは、真正に成立した公文書と推定する。
公文書の成立の真否について疑いがあるときは、裁判所は、職権で、当該官庁 又は公署に照会をすることができる。
私文書は、本人 又はその代理人の署名 又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。
第二項 及び第三項の規定は、外国の官庁 又は公署の作成に係るものと認めるべき文書について準用する。
文書の成立の真否は、筆跡 又は印影の対照によっても、証明することができる。
第二百十九条、第二百二十三条、第二百二十四条第一項 及び第二項、第二百二十六条 並びに第二百二十七条の規定は、対照の用に供すべき筆跡 又は印影を備える文書 その他の物件の提出 又は送付について準用する。
対照をするのに適当な相手方の筆跡がないときは、裁判所は、対照の用に供すべき文字の筆記を相手方に命ずることができる。
相手方が正当な理由なく前項の規定による決定に従わないときは、裁判所は、文書の成立の真否に関する挙証者の主張を真実と認めることができる。
書体を変えて筆記したときも、同様とする。
第三者が正当な理由なく第二項において準用する第二百二十三条第一項の規定による提出の命令に従わないときは、裁判所は、決定で、十万円以下の過料に処する。
前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
当事者 又はその代理人が故意 又は重大な過失により真実に反して文書の成立の真正を争ったときは、裁判所は、決定で、十万円以下の過料に処する。
前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
第一項の場合において、文書の成立の真正を争った当事者 又は代理人が訴訟の係属中その文書の成立が真正であることを認めたときは、裁判所は、事情により、同項の決定を取り消すことができる。
この節の規定は、図面、写真、録音テープ、ビデオテープ その他の情報を表すために作成された物件で文書でないものについて準用する。
第六節 検証
第二百十九条、第二百二十三条、第二百二十四条、第二百二十六条 及び第二百二十七条の規定は、検証の目的の提示 又は送付について準用する。
第三者が正当な理由なく前項において準用する第二百二十三条第一項の規定による提示の命令に従わないときは、裁判所は、決定で、二十万円以下の過料に処する。
前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
裁判所 又は受命裁判官 若しくは受託裁判官は、検証をするに当たり、必要があると認めるときは、鑑定を命ずることができる。
第七節 証拠保全
裁判所は、あらかじめ証拠調べをしておかなければその証拠を使用することが困難となる事情があると認めるときは、申立てにより、この章の規定に従い、証拠調べをすることができる。
訴えの提起後における証拠保全の申立ては、その証拠を使用すべき審級の裁判所にしなければならない。
ただし、最初の口頭弁論の期日が指定され、又は事件が弁論準備手続 若しくは書面による準備手続に付された後 口頭弁論の終結に至るまでの間は、受訴裁判所にしなければならない。
訴えの提起前における証拠保全の申立ては、尋問を受けるべき者 若しくは文書を所持する者の居所 又は検証物の所在地を管轄する地方裁判所 又は簡易裁判所にしなければならない。
急迫の事情がある場合には、訴えの提起後であっても、前項の地方裁判所 又は簡易裁判所に証拠保全の申立てをすることができる。
証拠保全の申立ては、相手方を指定することができない場合においても、することができる。
この場合においては、裁判所は、相手方となるべき者のために特別代理人を選任することができる。
裁判所は、必要があると認めるときは、訴訟の係属中、職権で、証拠保全の決定をすることができる。
証拠保全の決定に対しては、不服を申し立てることができない。
第二百三十五条第一項ただし書の場合には、裁判所は、受命裁判官に証拠調べをさせることができる。
証拠調べの期日には、申立人 及び相手方を呼び出さなければならない。
ただし、急速を要する場合は、この限りでない。
証拠保全に関する費用は、訴訟費用の一部とする。
証拠保全の手続において尋問をした証人について、当事者が口頭弁論における尋問の申出をしたときは、裁判所は、その尋問をしなければならない。