この法律は、国際刑事裁判所に関するローマ規程(以下「規程」という。)が定める集団殺害犯罪 その他の国際社会全体の関心事である最も重大な犯罪について、国際刑事裁判所の捜査、裁判 及び刑の執行等についての必要な協力に関する手続を定めるとともに、国際刑事裁判所の運営を害する行為についての罰則を定めること等により、規程の的確な実施を確保することを目的とする。
国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律
第一章 総則
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
国際刑事裁判所
規程第一条に規定する国際刑事裁判所をいう。
管轄刑事事件
規程第五条1 及び第七十条1の規定により国際刑事裁判所が管轄権を有する犯罪について国際刑事裁判所がその管轄権を行使する事件をいう。
重大犯罪
規程第五条1の規定により国際刑事裁判所が管轄権を有する国際社会全体の関心事である最も重大な犯罪として規程に定める犯罪をいう。
証拠の提供
規程第九十三条1の規定による国際刑事裁判所の請求により、国際刑事裁判所の捜査 又は裁判に係る手続(以下「国際刑事裁判所の手続」という。)に必要な証拠を国際刑事裁判所に提供することをいう。
裁判上の証拠調べ
規程第九十三条1の規定による国際刑事裁判所の請求により、規程第三十九条2に規定する上訴裁判部 又は第一審裁判部が行う証拠調べについての援助として日本国の裁判所が行う証拠調べをいう。
書類の送達
規程第九十三条1の規定による国際刑事裁判所の請求により、規程第三十九条2に規定する上訴裁判部、第一審裁判部 又は予審裁判部が行う書類の送達についての援助として日本国の裁判所が行う書類の送達をいう。
受刑者証人等移送
規程第九十三条1 及び7の規定による国際刑事裁判所の請求により、証人 その他の国際刑事裁判所の手続における関係人(国際刑事裁判所の捜査 又は裁判の対象とされる者を除く。)として出頭させることを可能とするため、国内受刑者(日本国において懲役刑 若しくは禁錮刑 又は国際受刑者移送法(平成十四年法律第六十六号)第二条第二号に定める共助刑の執行として拘禁されている者をいう。以下同じ。)を移送することをいう。
引渡犯罪人の引渡し
規程第八十九条1 又は第百十一条の規定による国際刑事裁判所の引渡しの請求により、その引渡しの対象とされた者(以下「引渡犯罪人」という。)の引渡しをすることをいう。
仮拘禁
規程第九十二条1の規定による国際刑事裁判所の仮逮捕の請求により、その仮逮捕の対象とされた者(以下「仮拘禁犯罪人」という。)を仮に拘禁することをいう。
執行協力
規程第七十五条5 若しくは第百九条1の規定により罰金刑(国際刑事裁判所が規程第七十条3 又は第七十七条2(a)の規定により命ずる罰金をいう。以下同じ。)、没収刑(国際刑事裁判所が規程第七十七条2(b)の規定により命ずる没収をいう。以下同じ。)若しくは被害回復命令(国際刑事裁判所が規程第七十五条2の規定により発する命令をいう。以下同じ。)の確定裁判の執行をすること 又は規程第七十五条4 若しくは第九十三条1の規定により没収刑 若しくは被害回復命令のための保全をすることをいう。
協力
証拠の提供、裁判上の証拠調べ、書類の送達、受刑者証人等移送、引渡犯罪人の引渡し、仮拘禁 及び執行協力をいう。
請求犯罪
協力(引渡犯罪人の引渡し及び仮拘禁を除く。)の請求において犯されたとされている犯罪をいう。
引渡犯罪
引渡犯罪人の引渡し又は仮拘禁に係る協力の請求において当該引渡犯罪人 又は仮拘禁犯罪人が犯したとされている犯罪をいう。
第二章 国際刑事裁判所に対する協力
第一節 通則
外務大臣は、国際刑事裁判所から協力の請求を受理したときは、請求の方式が規程に適合しないと認める場合を除き、国際刑事裁判所が発する協力請求書 又は外務大臣の作成した協力の請求があったことを証明する書面に関係書類を添付し、意見を付して、これを法務大臣に送付するものとする。
法務大臣は、国際刑事裁判所に対する協力に関し、国際刑事裁判所との協議が必要であると認めるときは、外務大臣に対し、前項の規定による協議をすることを求めるものとする。
第二節 証拠の提供等
⤏ 第一款 証拠の提供
法務大臣は、外務大臣から第四条の規定により証拠の提供に係る協力の請求に関する書面の送付を受けた場合において、次の各号のいずれにも該当しないときは、次項 又は第三項に規定する措置をとるものとする。
当該協力の請求が国際捜査共助等に関する法律(昭和五十五年法律第六十九号)第一条第一号に規定する共助(以下 この号 及び第三十九条第一項第二号において「捜査共助」という。)の要請と競合し、かつ、規程の定めるところによりその要請を優先させることができる場合において、当該捜査共助をすることが相当であると認めるとき。
当該協力の請求に応ずることにより、請求犯罪以外の罪に係る事件で日本国の検察官、検察事務官 若しくは司法警察職員によって捜査され 又は日本国の裁判所に係属しているものについて、その捜査 又は裁判を妨げるおそれがあり、直ちに当該請求に応ずることが相当でないと認めるとき。
前項の規定により法務大臣がとる措置は、次項に規定する場合を除き、次の各号のいずれかとする。
海上保安庁長官 その他の刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第百九十条に規定する司法警察職員として職務を行うべき者の置かれている国の機関の長に証拠の提供に係る協力の請求に関する書面を送付すること。
第一項に規定する協力の請求が裁判所、検察官 又は司法警察員の保管する訴訟に関する書類の提供に係るものであるときは、法務大臣は、その書類の保管者に協力の請求に関する書面を送付するものとする。
法務大臣は、前二項に規定する措置 その他の証拠の提供に係る協力に関する措置をとるため必要があると認めるときは、関係人の所在 その他必要な事項について調査を行うことができる。
国家公安委員会は、前条第二項第二号の書面の送付を受けたときは、相当と認める警察庁 又は都道府県警察に対し、証拠の提供に係る協力に必要な証拠の収集を指示するものとする。
この場合において、都道府県警察に対して指示を行うときは、当該都道府県警察に関係書類を送付するものとする。
国際捜査共助等に関する法律第七条、第八条、第十条、第十二条 及び第十三条の規定は、第六条第一項の請求による証拠の提供に係る協力について準用する。
この場合において、
同法第七条第一項中
「第五条第一項第一号」とあるのは
「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律(平成十九年法律第三十七号)第六条第二項第一号」と、
同条第二項 及び第三項中
「前条」とあるのは
「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第七条」と、
同条第四項中
「第五条第一項第三号」とあるのは
「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第六条第二項第三号」と、
同法第十三条中
「この法律に特別の定めがある」とあるのは
「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第八条において準用する第八条、第十条 及び前条に規定する」と
読み替えるものとする。
前条において準用する国際捜査共助等に関する法律第八条第三項の規定による証明書の提出を求められた者が、虚偽の証明書を提出したときは、一年以下の懲役 又は五十万円以下の罰金に処する。
前項の規定は、刑法(明治四十年法律第四十五号)又は第四章の罪に触れるときは、これを適用しない。
検事正は、証拠の提供に係る協力に必要な証拠の収集を終えたときは、速やかに、意見を付して、法務大臣に対し、収集した証拠を送付しなければならない。
第六条第二項第三号の国の機関の長が協力に必要な証拠の収集を終えたときも、同様とする。
都道府県公安委員会は、都道府県警察の警視総監 又は道府県警察本部長が協力に必要な証拠の収集を終えたときは、速やかに、意見を付して、国家公安委員会に対し、収集した証拠を送付しなければならない。
国家公安委員会は、警察庁長官が協力に必要な証拠の収集を終えたとき 又は前項の規定により証拠の送付を受けたときは、速やかに、意見を付して、法務大臣に対し、収集した証拠 又は送付を受けた証拠を送付するものとする。
第六条第三項の規定により証拠の提供に係る協力の請求に関する書面の送付を受けた訴訟に関する書類の保管者は、速やかに、意見を付して、法務大臣に対し、当該書類 又はその謄本を送付しなければならない。
ただし、直ちにこれを送付することに支障があると認めるときは、速やかに、法務大臣に対し、その旨を通知しなければならない。
法務大臣は、前条第一項、第三項 又は第四項の規定により送付を受けた証拠を国際刑事裁判所に提供する場合において、必要があると認めるときは、当該証拠の使用 又は返還に関する条件を定めるものとする。
法務大臣は、第六条第二項第二号 若しくは第三号 又は第三項の規定による措置をとった後において、同条第一項第一号から第四号までのいずれかに該当すると認めて、証拠の提供に係る協力をしないこととするときは、遅滞なく、その旨を証拠の提供に係る協力の請求に関する書面の送付を受けた者に通知するものとする。
法務大臣は、次の各号のいずれかに該当する場合には、あらかじめ、外務大臣と協議するものとする。
第六条第一項第一号から第三号までのいずれかに該当することを理由として、証拠の提供に係る協力をしないこととするとき。
第六条第一項第五号 又は第六号のいずれかに該当することを理由として、証拠の提供に係る協力をすることを留保するとき。
第十一条の条件を定めるとき。
国際捜査共助等に関する法律第十六条第二項の規定は、証拠の提供に係る協力の請求に関し法務大臣が第六条第二項各号の措置をとることとする場合について準用する。
⤏ 第二款 裁判上の証拠調べ及び書類の送達
法務大臣は、外務大臣から第四条の規定により裁判上の証拠調べ 又は書類の送達に係る協力の請求に関する書面の送付を受けた場合において、第六条第一項各号のいずれにも該当しないときは、相当と認める地方裁判所に対し、当該協力の請求に関する書面を送付するものとする。
外国裁判所ノ嘱託ニ因ル共助法(明治三十八年法律第六十三号)第一条第二項、第一条ノ二第一項(第一号、第五号 及び第六号を除く。)、第二条 及び第三条の規定は、裁判上の証拠調べ 又は書類の送達に係る協力について準用する。
前条の地方裁判所は、裁判上の証拠調べ 又は書類の送達を終えたときは、速やかに、法務大臣に対し、当該裁判上の証拠調べにより得られた証拠を送付し、又は書類の送達の結果を通知しなければならない。
第十二条 及び第十三条第一項(第三号を除く。)の規定は、法務大臣が第十四条の規定による裁判上の証拠調べ 又は書類の送達に係る協力に係る措置をとった場合について準用する。
この場合において、
第十二条中
「同条第一項第一号」とあるのは、
「第六条第一項第一号」と
読み替えるものとする。
⤏ 第三款 受刑者証人等移送
法務大臣は、外務大臣から第四条の規定により受刑者証人等移送に係る協力の請求に関する書面の送付を受けた場合において、第六条第一項第四号 及び次の各号のいずれにも該当せず、かつ、当該請求に応ずることが相当であると認めるときは、三十日を超えない範囲内で国内受刑者を移送する期間を定めて、当該受刑者証人等移送の決定をするものとする。
国内受刑者が二十歳に満たないとき。
法務大臣は、前項の決定をする場合において、必要があると認めるときは、受刑者証人等移送に関する条件を定めるものとする。
法務大臣は、第一項の請求に応ずることが相当でないと認めて受刑者証人等移送をしないこととするとき及び前項の条件を定めるときは、あらかじめ、外務大臣と協議するものとする。
国際捜査共助等に関する法律第十九条第三項の規定は、第一項の決定をした場合について準用する。
法務大臣は、前条第四項において準用する国際捜査共助等に関する法律第十九条第三項の規定による命令をしたときは、外務大臣に受領許可証を送付しなければならない。
外務大臣は、前項の規定による受領許可証の送付を受けたときは、直ちに、これを国際刑事裁判所に送付しなければならない。
第一項に規定する命令を受けた刑事施設の長 又は その指名する刑事施設の職員は、速やかに、国内受刑者を国際刑事裁判所の指定する場所に護送し、国際刑事裁判所の指定する者であって受領許可証を有するものに対し、当該国内受刑者を引き渡さなければならない。
国際捜査共助等に関する法律第二十一条 及び第二十二条の規定は、前項の規定による国際刑事裁判所の指定する者に対する引渡しに係る国内受刑者について準用する。
この場合において、
同法第二十一条中
「受刑者証人移送」とあるのは、
「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第二条第七号に規定する受刑者証人等移送」と
読み替えるものとする。
第三節 引渡犯罪人の引渡し等
⤏ 第一款 引渡犯罪人の引渡し
引渡犯罪人の引渡しは、引渡犯罪が重大犯罪である場合には、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、これを行うことができる。
引渡犯罪に係る事件が日本国の裁判所に係属するとき。
ただし、当該事件について、国際刑事裁判所において、規程第十七条1の規定により事件を受理する旨の決定をし、又は公判手続を開始しているときは、この限りでない。
引渡犯罪に係る事件について日本国の裁判所において確定判決を経たとき。
ただし、当該事件について、国際刑事裁判所において、規程第十七条1の規定により事件を受理する旨の決定をし、又は有罪の判決の言渡しをしているときは、この限りでない。
引渡犯罪について国際刑事裁判所において有罪の判決の言渡しがある場合を除き、引渡犯罪人が引渡犯罪を行っていないことが明らかに認められるとき。
引渡犯罪人の引渡しは、引渡犯罪が規程第七十条1に規定する犯罪である場合には、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、これを行うことができる。
引渡犯罪に係る行為が日本国内において行われたとした場合において、当該行為が日本国の法令により死刑 又は無期 若しくは長期三年以上の懲役 若しくは禁錮に処すべき罪に当たるものでないとき。
引渡犯罪について国際刑事裁判所において有罪の判決の言渡しがある場合を除き、引渡犯罪人がその引渡犯罪に係る行為を行ったことを疑うに足りる相当な理由がないとき。
引渡犯罪人の犯した引渡犯罪以外の罪に係る事件が日本国の裁判所に係属するとき、又は その事件について引渡犯罪人が日本国の裁判所において刑に処せられ、その執行を終わらず、若しくは執行を受けないこととなっていないとき。
法務大臣は、外務大臣から第四条の規定により引渡犯罪人の引渡しに係る協力の請求に関する書面の送付を受けたときは、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、東京高等検察庁検事長に対し、関係書類を送付して、引渡犯罪人を引き渡すことができる場合に該当するかどうかについて東京高等裁判所に審査の請求をすべき旨を命ずるものとする。
明らかに前条第一項各号 又は第二項各号のいずれかに該当すると認めるとき。
当該協力の請求が逃亡犯罪人引渡法(昭和二十八年法律第六十八号)第三条に規定する逃亡犯罪人の引渡しの請求 又は同法第二十三条第一項に規定する犯罪人を仮に拘禁することの請求と競合し、かつ、規程の定めるところによりこれらの請求を優先させることができる場合において、当該逃亡犯罪人の引渡し 又は犯罪人を仮に拘禁することが相当であると認めるとき。
当該協力の請求に応ずることにより、引渡犯罪以外の罪に係る事件で日本国の検察官、検察事務官 若しくは司法警察職員によって捜査されているもの 又は引渡犯罪以外の罪に係る事件(引渡犯罪人以外の者が犯したものに限る。)で日本国の裁判所に係属しているものについて、その捜査 又は裁判を妨げるおそれがあり、直ちに当該請求に応ずることが相当でないと認めるとき。
法務大臣は、前項の規定による命令 その他引渡犯罪人の引渡しに関する措置をとるため必要があると認めるときは、引渡犯罪人の所在 その他必要な事項について調査を行うことができる。
東京高等検察庁検事長は、前条第一項の規定による命令を受けたときは、引渡犯罪人が仮拘禁許可状により拘禁され、又は仮拘禁許可状による拘禁を停止されている場合を除き、東京高等検察庁の検察官をして、東京高等裁判所の裁判官があらかじめ発する拘禁許可状により、引渡犯罪人を拘禁させなければならない。
逃亡犯罪人引渡法第五条第二項 及び第三項、第六条 並びに第七条の規定は、前項の拘禁許可状による引渡犯罪人の拘禁について準用する。
この場合において、
同法第五条第三項中
「請求国の名称、有効期間」とあるのは、
「有効期間」と
読み替えるものとする。
東京高等検察庁の検察官は、第二十条第一項の規定による命令があったときは、引渡犯罪人の現在地が分からない場合を除き、速やかに、東京高等裁判所に対し、引渡犯罪人を引き渡すことができる場合に該当するかどうかについて審査の請求をしなければならない。
逃亡犯罪人引渡法第八条第一項後段、第二項 及び第三項の規定は、引渡犯罪人の引渡しに係る前項の審査の請求について準用する。
東京高等裁判所は、審査の結果に基づいて、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める決定をしなければならない。
前条第一項の審査の請求が不適法であるとき却下する決定
逃亡犯罪人引渡法第九条の規定は前条第一項の審査の請求に係る東京高等裁判所の審査について、同法第十条第二項 及び第三項の規定は前項の決定について、同法第十一条の規定は第二十条第一項の規定による命令の取消しについて、同法第十二条の規定は引渡犯罪人の釈放について、同法第十三条の規定は当該審査に係る裁判書の謄本について、それぞれ準用する。
この場合において、
同法第九条第三項ただし書中
「次条第一項第一号 又は第二号」とあるのは
「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律(平成十九年法律第三十七号)第二十三条第一項第一号 又は第三号」と、
同法第十一条第一項中
「第三条の」とあるのは
「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第四条の」と、
「請求国」とあるのは
「国際刑事裁判所」と、
「受け、又は第三条第二号に該当するに至つた」とあるのは
「受けた」と、
同条第二項中
「第四条第一項の」とあるのは
「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第二十条第一項の」と、
「第四条第一項各号」とあるのは
「同条第一項各号」と、
「第八条第三項」とあるのは
「同法第二十二条第二項において準用する第八条第三項」と、
同法第十二条中
「第十条第一項第一号 若しくは第二号」とあるのは
「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第二十三条第一項第一号 若しくは第三号」と
読み替えるものとする。
東京高等裁判所は、前条第二項において準用する逃亡犯罪人引渡法第九条の審査において、引渡犯罪人から、引渡犯罪に係る事件が外国の裁判所に係属すること 又は当該事件について外国の裁判所において確定判決を経たことを理由として、当該引渡犯罪人の引渡しが認められない旨の申立てがされた場合には、国際刑事裁判所において当該事件につき規程第十七条1の規定により事件を受理するかどうかが決定されるまでの間、決定をもって、審査の手続を停止することができる。
東京高等検察庁検事長は、前項の申立てがあったときは、速やかに、法務大臣に対し、その旨の報告をしなければならない。
法務大臣は、前項の報告を受けたときは、外務大臣に対し、第一項の申立てがあった旨の通知をするものとする。
外務大臣は、前項の通知を受けたときは、国際刑事裁判所に対し、第一項の申立てがあった旨の通報をするとともに、引渡犯罪につき規程第十七条1の規定による事件を受理するかどうかの決定に関し、国際刑事裁判所と協議するものとする。
東京高等検察庁の検察官は、第一項の規定により審査の手続が停止された場合において、必要と認めるときは、引渡犯罪人の拘禁の停止をすることができる。
この場合において、必要と認めるときは、当該引渡犯罪人を親族 その他の者に委託し、又は当該引渡犯罪人の住居を制限するものとする。
東京高等検察庁の検察官は、前項の規定による拘禁の停止がされている場合において、国際刑事裁判所において引渡犯罪につき規程第十七条1の規定により事件を受理する旨の決定があったときは、その拘禁の停止を取り消さなければならない。
逃亡犯罪人引渡法第二十二条第三項から第六項までの規定は、前項の規定により引渡犯罪人の拘禁の停止を取り消した場合について準用する。
第一項の規定により審査の手続が停止された場合における前条第二項において準用する逃亡犯罪人引渡法第九条第一項の規定の適用については、
同項中
「二箇月」とあるのは、
「二箇月(国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第二十四条第一項の規定により審査の手続が停止された期間を除く。)」と
する。
法務大臣は、第二十三条第一項第二号の決定があった場合において、第二十条第一項第二号から第五号までのいずれにも該当しないと認めるときは、東京高等検察庁検事長に対し引渡犯罪人の引渡しを命ずるとともに、引渡犯罪人にその旨を通知しなければならない。
この場合において、当該引渡犯罪人が拘禁許可状により拘禁されているときは、その引渡しの命令は、当該決定があった日から十日以内にしなければならない。
法務大臣は、前項に規定する決定があった場合において、第二十条第一項第二号 又は第三号のいずれかに該当すると認めるときは、直ちに東京高等検察庁検事長 及び引渡犯罪人にその旨を通知するとともに、東京高等検察庁検事長に対し拘禁許可状により拘禁されている引渡犯罪人の釈放を命じなければならない。
東京高等検察庁の検察官は、前項の規定による命令があったときは、直ちに、拘禁許可状により拘禁されている引渡犯罪人を釈放しなければならない。
法務大臣は、第一項に規定する決定があった場合において、第二十条第一項第四号 又は第五号のいずれかに該当すると認めるときは、東京高等検察庁検事長に対し、その旨を通知するとともに、拘禁許可状により拘禁されている引渡犯罪人の拘禁の停止をするよう命じなければならない。
東京高等検察庁の検察官は、前項の規定による拘禁の停止の命令があったときは、直ちに、拘禁許可状により拘禁されている引渡犯罪人の拘禁の停止をしなければならない。
この場合においては、前条第五項後段の規定を準用する。
法務大臣は、第四項の規定による拘禁の停止の命令をした後において、第二十条第一項第四号 及び第五号のいずれにも該当しないこととなったときは、第一項の規定による引渡しの命令をしなければならない。
東京高等検察庁の検察官は、前項の引渡しの命令があったときは、第五項の規定による拘禁の停止を取り消さなければならない。
逃亡犯罪人引渡法第二十二条第三項から第六項までの規定は、前項の規定により引渡犯罪人の拘禁の停止を取り消した場合について準用する。
法務大臣は、前条第一項に規定する場合(引渡犯罪が重大犯罪である場合に限る。)において、次の各号のいずれかに該当し、かつ、直ちに引渡犯罪人の引渡しをすることが相当でないと認めるときは、同項の規定にかかわらず、その引渡しの命令を延期することができる。
引渡犯罪人の犯した引渡犯罪以外の罪に係る事件が日本国の裁判所に係属するとき。
前号に規定する事件について、引渡犯罪人が日本国の裁判所において刑に処せられ、その執行を終わらず、又は執行を受けないこととなっていないとき。
法務大臣は、前項の規定により引渡犯罪人の引渡しの命令を延期するときは、東京高等検察庁検事長に対し、その旨を通知するとともに、拘禁許可状により拘禁されている引渡犯罪人の拘禁の停止をするよう命じなければならない。
東京高等検察庁の検察官は、前項の規定による命令があったときは、直ちに、拘禁許可状により拘禁されている引渡犯罪人の拘禁の停止をしなければならない。
この場合においては、第二十四条第五項後段の規定を準用する。
法務大臣は、第二項の規定による拘禁の停止の命令をした後において、第一項各号のいずれにも該当しないこととなったとき、又は当該引渡犯罪人を引き渡すことが相当でないと認める事由がなくなったときは、東京高等検察庁検事長に対し、前条第一項の規定による引渡しの命令をしなければならない。
東京高等検察庁の検察官は、前項の引渡しの命令があったときは、第三項の規定による拘禁の停止を取り消さなければならない。
逃亡犯罪人引渡法第二十二条第三項から第六項までの規定は、前項の規定により引渡犯罪人の拘禁の停止を取り消した場合について準用する。
東京高等検察庁検事長は、前項の申立てがあったとき 又は東京高等検察庁の検察官が職権で拘禁の停止をしようとするときは、法務大臣に対し、その旨の報告をしなければならない。
法務大臣は、前項の報告を受けたときは、外務大臣に対し、その旨の通知をするものとする。
外務大臣は、前項の通知を受けたときは、国際刑事裁判所に対し、引渡犯罪人の拘禁の停止に関する意見を求めるものとする。
東京高等検察庁の検察官は、第一項の規定により拘禁の停止をするかどうかの判断に当たっては、前項の意見を尊重するものとする。
ただし、急速を要し、当該意見を聴くいとまがないときは、これを待たないで当該拘禁の停止をすることができる。
第二十四条第五項後段の規定は、第一項の規定により拘禁の停止をする場合について準用する。
東京高等検察庁の検察官は、必要と認めるときは、いつでも、第一項の規定による拘禁の停止を取り消すことができる。
逃亡犯罪人引渡法第二十二条第三項から第六項までの規定は、前項の規定により引渡犯罪人の拘禁の停止を取り消した場合について準用する。
次の各号のいずれかに該当するときは、第二十四条第五項、第二十五条第五項、第二十六条第三項 又は前条第一項の規定により停止されている拘禁は、その効力を失う。
引渡犯罪人に対し、第二十三条第一項第一号 又は第三号の決定の裁判書の謄本が送達されたとき。
引渡犯罪人に対し、第二十三条第二項において準用する逃亡犯罪人引渡法第十一条第二項の規定による通知があったとき。
引渡犯罪人に対し、第二十五条第二項の規定により法務大臣から第二十条第一項第二号 又は第三号のいずれかに該当する旨の通知があったとき。
第二十五条第一項の規定による命令に基づく引渡犯罪人の引渡しは、当該命令の日(拘禁の停止がされているときは、当該拘禁の停止の取消しにより引渡犯罪人が拘禁された日)から三十日以内にしなければならない。
第二十五条第一項の規定による命令があった後に第二十七条第一項の規定により拘禁の停止がされた場合における前項の規定の適用については、当該拘禁の停止がされていた期間は、同項の期間に算入しないものとする。
法務大臣は、次の各号のいずれかに該当する場合には、あらかじめ、外務大臣と協議するものとする。
第二十条第一項第一号(第十九条第一項に係る部分に限る。)に該当することを理由として、第二十条第一項の規定による命令を留保するとき。
第二十条第一項第二号 又は第三号のいずれかに該当することを理由として、引渡犯罪人の引渡しに係る協力をしないこととするとき。
第二十条第一項第四号 又は第五号のいずれかに該当することを理由として、同項の規定による命令を留保し、又は第二十五条第四項の規定による措置をとるとき。
第二十六条第一項の規定により引渡犯罪人の引渡しの命令を延期するとき。
逃亡犯罪人引渡法第十六条第一項から第三項まで、第十七条第一項、第十八条 及び第十九条の規定は、第二十五条第一項の規定による引渡しの命令に係る引渡犯罪人の引渡しについて準用する。
この場合において、
同法第十八条中
「前条第五項 又は第二十二条第六項の規定による報告」とあるのは
「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第二十五条第八項、第二十六条第六項 又は第二十七条第八項において準用する第二十二条第六項の規定による報告(同法第二十七条第八項において準用する場合にあっては、同法第二十五条第一項の規定による引渡しの命令があった後に拘禁の停止の取消しがされた場合における報告に限る。)」と、
同法第十九条中
「請求国」とあるのは
「国際刑事裁判所」と
読み替えるものとする。
前項において準用する逃亡犯罪人引渡法第十六条第一項の引渡状 及び同条第三項の受領許可状には、引渡犯罪人の氏名、引渡犯罪名、引渡しの場所、引渡しの期限 及び発付の年月日 並びに国際刑事裁判所の言い渡した拘禁刑の執行中に逃亡した引渡犯罪人の引渡しにあっては国際刑事裁判所が引渡先として指定する外国の名称を記載し、法務大臣が記名押印しなければならない。
前条第一項において準用する逃亡犯罪人引渡法第十七条第一項の規定による指揮を受けた刑事施設の長 又は その指名する刑事施設の職員は、引渡犯罪人を、引渡状に記載された引渡しの場所に護送し、国際刑事裁判所の指定する者であって受領許可状を有するものに引き渡さなければならない。
前条の規定により引渡犯罪人の引渡しを日本国内において受けた者は、速やかに、当該引渡犯罪人を国際刑事裁判所 又は第三十一条第二項に規定する引渡先として指定された外国に護送するものとする。
⤏ 第二款 仮拘禁
法務大臣は、外務大臣から第四条の規定により仮拘禁に係る協力の請求に関する書面の送付を受けたときは、第二十条第一項各号(第一号については、第十九条第一項第三号に係る部分を除く。)のいずれかに該当すると認める場合を除き、東京高等検察庁検事長に対し、仮拘禁をすべき旨を命じなければならない。
逃亡犯罪人引渡法第五条第二項 及び第三項、第六条 並びに第七条の規定は前項の仮拘禁許可状による仮拘禁犯罪人の拘禁について、同法第二十六条の規定は仮拘禁許可状により拘禁されている仮拘禁犯罪人の釈放について、同法第二十七条の規定は仮拘禁許可状が発せられている仮拘禁犯罪人について第二十条第一項の規定による命令があった場合について、同法第二十八条の規定は前条に規定する書面の送付があった後に国際刑事裁判所から仮拘禁犯罪人の引渡しの請求をしない旨の通知があった場合について、同法第二十九条の規定は仮拘禁許可状により拘禁されている仮拘禁犯罪人について、それぞれ準用する。
この場合において、
同法第五条第三項中
「請求国の名称、有効期間」とあるのは
「有効期間」と、
同法第二十六条第一項中
「第三条の規定による引渡しの請求に関する」とあるのは
「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第二十条第一項に規定する」と、
「第四条第一項各号」とあるのは
「同項各号」と、
同法第二十七条第三項中
「第八条第一項」とあるのは
「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第二十二条第二項において準用する第八条第一項後段」と、
同法第二十九条中
「拘束された日から二箇月(引渡条約に二箇月より短い期間の定めがあるときは、その期間)」とあるのは
「拘束された日の翌日から六十日」と
読み替えるものとする。
第二十七条第二項から第七項まで 及び逃亡犯罪人引渡法第二十二条第三項から第五項までの規定は、前項の規定による仮拘禁犯罪人の拘禁の停止 及び当該拘禁の停止を取り消した場合について準用する。
第三項の規定により仮拘禁許可状による拘禁の停止があった場合において、仮拘禁犯罪人に対し第二項において準用する逃亡犯罪人引渡法第二十七条第一項の規定による告知がされたときは、当該仮拘禁許可状による拘禁の停止は、第二十七条第一項の規定による拘禁の停止とみなす。
第三項の規定により仮拘禁許可状による拘禁の停止があった場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、停止されている仮拘禁許可状による拘禁は、その効力を失う。
仮拘禁犯罪人に対し、第二項において準用する逃亡犯罪人引渡法第二十六条第一項 又は第二十八条第二項の規定による通知があったとき。
仮拘禁犯罪人が仮拘禁許可状により拘束された日の翌日から六十日以内に、当該仮拘禁犯罪人に対し、第二項において準用する逃亡犯罪人引渡法第二十七条第一項の規定による告知がないとき。
⤏ 第三款 雑則
前二款の規定に基づいて行う処分については、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第三章の規定は、適用しない。
前二款の規定に基づいて行う処分(行政事件訴訟法(昭和三十七年法律第百三十九号)第三条第二項に規定する処分をいう。)又は裁決(同条第三項に規定する裁決をいう。)に係る抗告訴訟(同条第一項に規定する抗告訴訟をいう。)については、同法第十二条第四項 及び第五項(これらの規定を同法第三十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定は、適用しない。
逃亡犯罪人引渡法第三十二条の規定は、前二款に定める東京高等裁判所 若しくは その裁判官 又は東京高等検察庁の検察官の職務の執行について準用する。
第四節 執行協力
執行協力は、請求犯罪が重大犯罪である場合には、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、これを行うことができる。
没収刑のための保全に係る執行協力については、請求犯罪に係る事件が日本国の裁判所に係属するとき。
ただし、当該事件について、国際刑事裁判所において、規程第十七条1の規定により事件を受理する旨の決定をし、又は公判手続を開始しているときは、この限りでない。
没収刑のための保全に係る執行協力については、請求犯罪に係る事件について日本国の裁判所において確定判決を経たとき。
ただし、当該事件について、国際刑事裁判所において、規程第十七条1の規定により事件を受理する旨の決定をし、又は有罪の判決の言渡しをしているときは、この限りでない。
没収刑のための保全に係る執行協力については、請求犯罪につき日本国において刑罰を科すとした場合において、日本国の法令によれば当該執行協力の請求に係る財産が没収保全をすることができる財産に当たるものでないとき(当該請求に係る財産が、請求犯罪に係る行為によりその被害を受けた者から得た財産である場合には、その者 又はその一般承継人に帰属することを理由として没収保全をすることができる財産に当たるものでないときを除く。)。
被害回復命令のための保全であってその内容 及び性質を考慮して日本国の法令によれば没収の保全に相当するものに係る執行協力については、請求犯罪につき日本国において刑罰を科すとした場合において、日本国の法令によれば当該執行協力の請求に係る財産が没収保全をすることができる財産に当たるものでないとき(当該請求に係る財産が、重大犯罪に係る行為によりその被害を受けた者から得た財産であって、被害回復命令によりその者 又はその一般承継人に返還すべきものである場合には、それらの者に帰属することを理由として没収保全をすることができる財産に当たるものでないときを除く。)。
被害回復命令のための保全であってその内容 及び性質を考慮して日本国の法令によれば追徴の保全に相当するものに係る執行協力については、請求犯罪につき日本国において刑罰を科すとした場合において、日本国の法令によれば当該執行協力の請求に係る財産が追徴保全をすることができる財産に当たるものでないとき。
執行協力は、請求犯罪が規程第七十条1に規定する犯罪である場合には、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、これを行うことができる。
請求犯罪に係る行為が日本国内において行われたとした場合において、日本国の法令によればこれについて刑罰を科すことができないと認められるとき。
請求犯罪に係る事件が日本国の裁判所に係属するとき、又はその事件について日本国の裁判所において確定判決を経たとき。
没収刑のための保全に係る執行協力については、請求犯罪につき日本国において刑罰を科すとした場合において、日本国の法令によれば当該執行協力の請求に係る財産が没収保全をすることができる財産に当たるものでないとき(当該請求に係る財産が、請求犯罪に係る行為によりその被害を受けた者から得た財産である場合には、その者 又は その一般承継人に帰属することを理由として没収保全をすることができる財産に当たるものでないときを除く。)。
法務大臣は、外務大臣から第四条の規定により執行協力の請求に関する書面の送付を受けたときは、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、相当と認める地方検察庁の検事正に対し、関係書類を送付して、執行協力に必要な措置をとるよう命ずるものとする。
前条第一項各号 又は第二項各号のいずれかに該当すると認めるとき。
執行協力の請求が組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号。以下「組織的犯罪処罰法」という。)第五十九条第一項の規定による共助、国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律(平成三年法律第九十四号)第二十一条の規定による共助 又は捜査共助の要請と競合し、かつ、規程の定めるところによりその要請を優先させることができる場合において、当該要請に係る措置をとることが相当であると認めるとき。
執行協力の請求に応ずることにより、請求犯罪以外の罪に係る事件で日本国の検察官、検察事務官 若しくは司法警察職員によって捜査され 又は日本国の裁判所に係属しているものについて、その捜査 又は裁判を妨げるおそれがあり、直ちに当該請求に応ずることが相当でないと認めるとき。
法務大臣は、次の各号のいずれかに該当する場合には、あらかじめ、外務大臣と協議するものとする。
前項第二号 又は第三号のいずれかに該当することを理由として、執行協力に係る協力をしないこととするとき。
前項第一号(前条第一項第一号 及び第二号に係る部分に限る。)、第四号 又は第五号のいずれかに該当することを理由として、前項の規定による命令を留保するとき。
第六条第四項の規定は、第一項の規定による命令 その他執行協力に関する措置をとる場合について準用する。
前条第一項の規定による命令を受けた検事正は、その庁の検察官に執行協力に必要な措置をとらせ、執行協力の実施に係る財産を保管しなければならない。
前項の検察官は、執行協力の請求が罰金刑、没収刑 又は被害回復命令の確定裁判の執行に係るものであるときは、裁判所に対し、執行協力をすることができる場合に該当するかどうかについて審査の請求をしなければならない。
この場合において、当該請求が被害回復命令の確定裁判の執行に係るものであるときは、当該被害回復命令の内容 及び性質を考慮し、これが日本国の法令によれば没収 又は追徴の確定裁判のいずれに相当するかについて、意見を付さなければならない。
裁判所は、審査の結果に基づいて、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める決定をしなければならない。
前条第二項の審査の請求が不適法であるとき却下する決定
裁判所は、被害回復命令の確定裁判に係る執行協力の請求について、前項第二号に定める決定をするときは、当該被害回復命令の内容 及び性質に応じ、当該確定裁判が日本国の法令によれば没収 又は追徴の確定裁判のいずれに相当するかを示さなければならない。
裁判所は、没収刑の確定裁判の執行に係る執行協力の請求について、第一項第二号に定める決定をするときは、滅失、毀損 その他の事由により当該確定裁判を執行することができない場合にこれに代えて当該確定裁判を受けた者から追徴すべき日本円の金額を同時に示さなければならない。
被害回復命令の確定裁判の執行に係る執行協力の請求について、同号に定める決定をする場合において、前項の規定により当該確定裁判が没収の確定裁判に相当する旨を示すべきときも、同様とする。
裁判所は、没収刑の確定裁判の執行に係る執行協力の請求について、第一項第二号に定める決定をする場合において、請求犯罪につき日本国において刑罰を科すとした場合において日本国の法令によれば 当該請求に係る財産が没収の裁判をすることができる財産に当たるものでないと認めるとき(当該請求に係る財産が、請求犯罪に係る行為によりその被害を受けた者から得た財産である場合には、その者 又は その一般承継人に帰属することを理由として没収の裁判をすることができる財産に当たるものでないと認めるときを除く。)は、その旨 及び当該確定裁判の執行に代えて当該確定裁判を受けた者から追徴すべき日本円の金額を同時に示さなければならない。
裁判所は、被害回復命令の確定裁判に係る執行協力の請求について、第一項第二号に定める決定をする場合(第二項の規定により当該確定裁判が没収の確定裁判に相当する旨を示すべきときに限る。)において、請求犯罪につき日本国において刑罰を科すとした場合において日本国の法令によれば 当該請求に係る財産が没収の裁判をすることができる財産に当たるものでないと認めるとき(当該請求に係る財産が、重大犯罪に係る行為によりその被害を受けた者から得た財産であって、被害回復命令によりその者 又は その一般承継人に返還すべきものである場合には、それらの者に帰属することを理由として没収の裁判をすることができる財産に当たるものでないと認めるときを除く。)は、その旨 及び当該確定裁判の執行に代えて当該確定裁判を受けた者から追徴すべき日本円の金額を同時に示さなければならない。
裁判所は、没収刑の確定裁判の執行に係る執行協力の請求について、第一項第二号に定める決定をする場合において、当該確定裁判に係る目的とされている財産を有し又は その財産の上に地上権、抵当権 その他の権利を有すると思料するに足りる相当な理由のある者が、自己の責めに帰することのできない理由により、当該確定裁判に係る手続において自己の権利を主張することができなかったと認めるときは、その旨 及び当該確定裁判の執行に代えて当該確定裁判を受けた者から追徴すべき日本円の金額を同時に示さなければならない。
被害回復命令の確定裁判の執行に係る執行協力の請求について、同号に定める決定をする場合(第二項の規定により当該確定裁判が没収の確定裁判に相当する旨を示すべきときに限る。)においても、同様とする。
前条第二項の規定による審査に関しては、没収刑の確定裁判の執行に係る執行協力の請求について、当該請求に係る財産を有し若しくは その財産の上に地上権、抵当権 その他の権利を有すると思料するに足りる相当な理由のある者 又は これらの財産 若しくは権利について没収刑のための保全がされる前に強制競売の開始決定、強制執行による差押え 若しくは仮差押えの執行がされている場合における差押債権者 若しくは仮差押債権者が、当該審査請求事件の手続への参加を許されていないときは、第一項第二号に定める決定をすることができない。
被害回復命令の確定裁判であってその内容 及び性質を考慮して日本国の法令によれば 没収の確定裁判に相当すると認めるものに係る同号に定める決定についても、同様とする。
組織的犯罪処罰法第五十九条第三項 及び第六十二条第三項の規定は没収刑の確定裁判の執行に係る執行協力の請求について第一項第二号に定める決定をする場合(被害回復命令の確定裁判の執行に係る執行協力の請求について、同号に定める決定をする場合において、第二項の規定により当該確定裁判が没収の確定裁判に相当する旨を示すべきときを含む。)について、同条第五項 及び第七項から第九項までの規定は執行協力の請求に係る前条第二項の規定による審査について、組織的犯罪処罰法第六十三条の規定は前条第二項の審査の請求に係る決定に対する抗告について、それぞれ準用する。
次の各号に掲げる確定裁判の執行に係る執行協力の請求について、前条第一項第二号に定める決定が確定したときは、当該確定裁判は、執行協力の実施に関しては、それぞれ、当該各号に定める日本国の裁判所が言い渡した確定裁判とみなす。
没収刑 及び前条第二項の規定により没収の確定裁判に相当する旨が示された被害回復命令の確定裁判(次号に掲げるものを除く。)没収の確定裁判
没収刑 又は前条第二項の規定により没収の確定裁判に相当する旨が示された被害回復命令であって、同条第四項から第六項までの規定により追徴すべき日本円の金額が示されたものの確定裁判 追徴の確定裁判
前条第二項の規定により追徴の確定裁判に相当する旨が示された被害回復命令の確定裁判 追徴の確定裁判
前項第二号に掲げる確定裁判についての執行協力を実施する場合において、その没収刑 又は被害回復命令の目的とされている財産について、滅失、毀損 その他の事由により当該確定裁判を執行することができないときは、同項の規定にかかわらず、当該確定裁判は、これを受けた者から前条第三項の規定により示された金額を追徴する旨の日本国の裁判所が言い渡した確定裁判とみなす。
検察官は、第一項第二号に掲げる確定裁判についての執行協力の実施に係る財産で、国際刑事裁判所への送付に適さないものについては、これを売却することができる。
この場合において、その代価は、当該確定裁判についての執行協力の実施に係る財産とみなす。
検事正は、罰金刑、没収刑 又は被害回復命令の確定裁判の執行に係る執行協力の実施を終えたときは、速やかに、その執行協力の実施に係る財産を法務大臣に引き渡さなければならない。
組織的犯罪処罰法第六十五条の規定は、第一項に規定する執行協力の請求に係る前条第一項第二号に定める決定の取消しについて準用する。
この場合において、
組織的犯罪処罰法第六十五条第二項中
「没収」とあるのは
「罰金、没収」と、
同条第三項中
「第六十三条」とあるのは
「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律(平成十九年法律第三十七号)第四十一条第八項において準用する第六十三条」と
読み替えるものとする。
検察官は、執行協力の請求が、没収刑のための保全に係るものであるとき、又は被害回復命令のための保全に係るものであってその内容 及び性質を考慮して日本国の法令によれば 没収の保全に相当するものであると認めるときは、裁判官に、没収保全命令を発して当該請求に係る財産についてその処分を禁止することを請求しなければならない。
この場合において、検察官は、必要と認めるときは、附帯保全命令を発して当該財産の上に存在する地上権、抵当権 その他の権利の処分を禁止することを請求することができる。
第四十条第二項の審査の請求があった後は、前項の没収刑 又は被害回復命令のための保全に関する処分は、その審査の請求を受けた裁判所が行う。
裁判所 又は裁判官は、前条第一項前段の規定による請求を受けた場合において、第三十八条第一項各号 及び第二項各号のいずれにも該当しないと認めるときは、没収保全命令を発して、当該請求に係る財産について、この節の定めるところにより、その処分を禁止するものとする。
裁判所 又は裁判官は、地上権、抵当権 その他の権利がその上に存在する財産について没収保全命令を発した場合 又は発しようとする場合において、当該権利が没収刑の執行によって消滅すると思料するに足りる相当な理由がある場合であってその執行のため必要があると認めるとき、又は当該権利が仮装のものであると思料するに足りる相当な理由があると認めるときは、検察官の請求により、附帯保全命令を別に発して、当該権利の処分を禁止することができる。
組織的犯罪処罰法第二十二条第三項、第四項 及び第六項 並びに第二十三条第六項の規定は、第一項の没収保全命令 又は前項の附帯保全命令について準用する。
この場合において、
組織的犯罪処罰法第二十二条第三項中
「被告人」とあるのは
「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第二条第十号に規定する没収刑 又は被害回復命令の裁判を受けるべき者」と、
「公訴事実」とあるのは
「同条第十二号に規定する請求犯罪」と、
同条第四項中
「第一項 若しくは第二項」とあるのは
「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第四十四条第一項 若しくは第二項」と、
組織的犯罪処罰法第二十三条第六項中
「第一項 又は第四項」とあるのは
「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第四十三条第一項」と
読み替えるものとする。
第一項の没収保全命令 又は第二項の附帯保全命令については、国際刑事裁判所において規程第六十一条1に規定する審理が行われる前であっても、これをすることができる。
組織的犯罪処罰法第二十三条第七項 及び第六十八条の規定は、前項の場合における没収保全命令について準用する。
この場合において、
組織的犯罪処罰法第二十三条第七項中
「公訴の提起があった」とあるのは
「国際刑事裁判所に関するローマ規程第六十一条1に規定する審理が開始された」と、
「被告人」とあるのは
「当該審理の対象とされる者」と、
組織的犯罪処罰法第六十八条第一項中
「没収 又は追徴のための保全の共助の要請が公訴の提起されていない」とあるのは
「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第二条第十号に規定する没収刑 又は被害回復命令のための保全に係る同号に規定する執行協力の請求が国際刑事裁判所に関するローマ規程第六十一条1に規定する審理が開始されていない」と、
「要請国」とあるのは
「国際刑事裁判所」と、
「公訴が提起された」とあるのは
「当該審理が開始された」と、
同条第二項中
「要請国」とあるのは
「国際刑事裁判所」と、
「公訴を提起できない」とあるのは
「国際刑事裁判所に関するローマ規程第六十一条1に規定する審理を行うことができない」と
読み替えるものとする。
前項において準用する組織的犯罪処罰法第六十八条第二項の規定による更新の裁判は、検察官に告知された時にその効力を生ずる。
検察官は、執行協力の請求が、被害回復命令のための保全に係るものであってその内容 及び性質を考慮して日本国の法令によれば 追徴の保全に相当するものであると認めるときは、裁判官に、追徴保全命令を発して被害回復命令の裁判を受けるべき者に対しその財産の処分を禁止することを請求しなければならない。
第四十三条第二項の規定は、前項の被害回復命令のための保全に関する処分について準用する。
裁判所 又は裁判官は、前条第一項の規定による請求を受けた場合において、第三十八条第一項各号 及び第二項各号のいずれにも該当しないと認めるときは、追徴保全命令を発して、被害回復命令の裁判を受けるべき者に対し、その財産の処分を禁止するものとする。
組織的犯罪処罰法第二十二条第四項、第二十三条第六項 及び第四十二条第二項から第四項までの規定は、前項の追徴保全命令について準用する。
この場合において、
組織的犯罪処罰法第二十二条第四項中
「第一項 若しくは第二項」とあるのは
「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第四十六条第一項」と、
組織的犯罪処罰法第二十三条第六項中
「第一項 又は第四項」とあるのは
「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第四十五条第一項」と、
組織的犯罪処罰法第四十二条第三項 及び第四項中
「被告人」とあるのは
「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第二条第十号に規定する被害回復命令の裁判を受けるべき者」と、
同項中
「公訴事実」とあるのは
「同条第十二号に規定する請求犯罪」と
読み替えるものとする。
この節に特別の定めがあるもののほか、裁判所 若しくは裁判官のする審査、処分 若しくは令状の発付、検察官 若しくは検察事務官のする処分 又は裁判所の審査への利害関係人の参加については組織的犯罪処罰法第三章、第四章(第二十二条、第二十三条、第三十二条、第三十三条、第四十二条、第四十三条、第四十七条 及び第四十八条を除く。)及び第六十九条から第七十二条まで、刑事訴訟法(第一編第二章 及び第五章から第十三章まで、第二編第一章、第三編第一章 及び第四章 並びに第七編に限る。)、刑事訴訟費用に関する法令 並びに刑事事件における第三者所有物の没収手続に関する応急措置法(昭和三十八年法律第百三十八号)の規定を、執行協力の請求を受理した場合における措置については逃亡犯罪人引渡法第八条第二項 並びに第十一条第一項 及び第二項の規定を、それぞれ その性質に反しない限り、準用する。
この節に定めるもののほか、没収保全命令による処分の禁止と滞納処分との手続の調整について必要な事項で、滞納処分に関するものは、政令で定める。
第五節 雑則
外務大臣は、国際刑事裁判所から通過護送(外国の官憲 又は国際刑事裁判所の指定する者(次条において「外国官憲等」という。)が規程第八十九条1の規定による引渡しの対象となる者(次条において「引渡対象者」という。)を日本国内を通過して護送することをいう。次条において同じ。)の承認の請求があったときは、請求の方式が規程に適合しないと認める場合を除き、これを承認するものとする。
警察官 又は入国警備官は、外国官憲等が護送(前条の規定による承認を受けた通過護送を除く。)中の引渡対象者が搭乗する航空機が天候 その他やむを得ない理由により日本国内に着陸した場合において、当該引渡対象者を発見したときは、外国官憲等に引き渡すため、これを拘束することができる。
入国警備官は、前項の規定により引渡対象者を拘束したときは、これを直ちに警察官に引き渡すものとする。
この場合において、警察官は、当該引渡対象者を引き続き拘束することができる。
前二項の規定による引渡対象者の拘束は、着陸の時から九十六時間を超えて行うことができない。
第一項の規定により引渡対象者を拘束した警察官 又は第二項の規定により引渡対象者の引渡しを受けた警察官は、外務大臣に対し、その旨を通知するものとする。
外務大臣は、前項の通知を受けたときは、国際刑事裁判所に対し、引渡対象者を拘束した旨を通報するものとする。
外務大臣は、国際刑事裁判所から前条の通過護送の承認の請求を受理したときは、第四項の警察官に対し、その旨を通知するものとする。
第三項に規定する期間内に前条の通過護送の承認の請求が受理された場合には、警察官は、同項の規定にかかわらず、引渡対象者の護送を行う外国官憲等に引渡対象者を引き渡すまでの間、当該引渡対象者を引き続き拘束することができる。
ただし、外務大臣から当該通過護送の承認をしない旨の通知を受けた場合には、その拘束を続けることができない。
警察官は、第三項 又は前項の規定により引渡対象者の拘束を続けることができなくなったときは、これを入国警備官に引き渡すものとする。
前各項に定めるもののほか、警察官による引渡対象者の拘束に関する手続について必要な事項は、国家公安委員会規則で定める。
この章に定めるもののほか、証拠の提供に関する令状の発付、証人尋問 及び不服申立てに関する手続、引渡犯罪人の引渡し及び仮拘禁に関する裁判所の審査 及び令状の発付に関する手続 並びに執行協力に関する手続について必要な事項は、最高裁判所規則で定める。
第三章 国際刑事警察機構に対する措置
国家公安委員会は、国際刑事裁判所から国際刑事警察機構を通じて管轄刑事事件の捜査に関する措置の請求を受けたときは、第六条第一項第四号に該当する場合を除き、次の各号のいずれかの措置をとることができる。
第六条第二項第三号の国の機関の長に当該措置の請求に関する書面を送付すること。
国際捜査共助等に関する法律第十八条第三項から第九項までの規定は、前項に規定する請求に係る措置について準用する。
この場合において、
同条第四項中
「同項第二号」とあり、
及び同条第八項中
「第一項第二号」とあるのは
「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第五十二条第一項第二号」と、
同条第六項 及び第七項中
「第一項第一号」とあるのは
「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第五十二条第一項第一号」と
読み替えるものとする。
第四章 国際刑事裁判所の運営を害する罪
他人の管轄刑事事件に関する証拠を隠滅し、偽造し、若しくは変造し、又は偽造 若しくは変造の証拠を使用した者は、三年以下の懲役 又は三十万円以下の罰金に処する。
犯人の親族が犯人の利益のために前項の罪を犯したときは、その刑を免除することができる。
自己 若しくは他人の管轄刑事事件の捜査 若しくは裁判に必要な知識を有すると認められる者 又はその親族に対し、その事件に関して、正当な理由がないのに面会を強請し、又は強談威迫の行為をした者は、二年以下の懲役 又は三十万円以下の罰金に処する。
自己 又は他人の管轄刑事事件に関し、証言をしないこと、若しくは虚偽の証言をすること、又は証拠を隠滅し、偽造し、若しくは変造すること、若しくは偽造 若しくは変造の証拠を使用することの報酬として、金銭 その他の利益を供与し、又は その申込み 若しくは約束をした者は、二年以下の懲役 又は三十万円以下の罰金に処する。
規程が定める罪に当たる行為が、団体(共同の目的を有する多数人の継続的結合体であって、その目的 又は意思を実現する行為の全部 又は一部が組織(指揮命令に基づき、あらかじめ定められた任務の分担に従って構成員が一体として行動する人の結合体をいう。以下この項において同じ。)により反復して行われるものをいう。次項において同じ。)の活動として、当該行為を実行するための組織により行われた場合において、その罪に係る管轄刑事事件について前三条(第五十三条第二項を除く。次項において同じ。)のいずれかに該当する行為をした者は、五年以下の懲役 又は五十万円以下の罰金に処する。
規程が定める罪が、団体に不正権益(団体の威力に基づく一定の地域 又は分野における支配力であって、当該団体の構成員による犯罪 その他の不正な行為により当該団体 又はその構成員が継続的に利益を得ることを容易にすべきものをいう。以下この項において同じ。)を得させ、又は団体の不正権益を維持し、若しくは拡大する目的で犯された場合において、その罪に係る管轄刑事事件について前三条のいずれかに該当する行為をした者も、前項と同様とする。
規程第六十九条1に定めるところに従って宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上 十年以下の懲役に処する。
前項の罪を犯した者が、その証言をした管轄刑事事件について、その裁判が確定する前に自白したときは、その刑を減軽し、又は免除することができる。
国際刑事裁判所における手続に従って宣誓した鑑定人、通訳人 又は翻訳人が虚偽の鑑定、通訳 又は翻訳をしたときは、前二項の例による。
国際刑事裁判所の裁判官、検察官 その他の職員(以下「国際刑事裁判所職員」という。)が、その職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求 若しくは約束をしたときは、五年以下の懲役に処する。
この場合において、請託を受けたときは、七年以下の懲役に処する。
国際刑事裁判所職員になろうとする者が、その担当すべき職務に関し、請託を受けて、賄賂を収受し、又はその要求 若しくは約束をしたときは、国際刑事裁判所職員となった場合において、五年以下の懲役に処する。
国際刑事裁判所職員が、その職務に関し、請託を受けて、第三者に賄賂を供与させ、又はその供与の要求 若しくは約束をしたときは、五年以下の懲役に処する。
国際刑事裁判所職員が前二条の罪を犯し、よって不正な行為をし、又は相当の行為をしなかったときは、一年以上の有期懲役に処する。
国際刑事裁判所職員が、その職務上不正な行為をしたこと 又は相当の行為をしなかったことに関し、賄賂を収受し、若しくは その要求 若しくは約束をし、又は第三者にこれを供与させ、若しくは その供与の要求 若しくは約束をしたときも、前項と同様とする。
国際刑事裁判所職員であった者が、その在職中に請託を受けて職務上不正な行為をしたこと 又は相当の行為をしなかったことに関し、賄賂を収受し、又は その要求 若しくは約束をしたときは、五年以下の懲役に処する。
国際刑事裁判所職員が請託を受け、他の国際刑事裁判所職員に職務上不正な行為をさせるように、又は相当の行為をさせないようにあっせんをすること 又はしたことの報酬として、賄賂を収受し、又は その要求 若しくは約束をしたときは、五年以下の懲役に処する。
犯人 又は情を知った第三者が収受した賄賂は、没収する。
その全部 又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。
第五十八条から第六十一条までに規定する賄賂を供与し、又は その申込み 若しくは約束をした者は、三年以下の懲役 又は二百五十万円以下の罰金に処する。
国際刑事裁判所職員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行 又は脅迫を加えた者は、三年以下の懲役 若しくは禁錮 又は五十万円以下の罰金に処する。
国際刑事裁判所職員に、ある処分をさせ、若しくはさせないため、又は その職を辞させるために、暴行 又は脅迫を加えた者も、前項と同様とする。
この章の罪は、刑法第三条の例に従う。