この法律は、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第二条に規定する一般職に属する職員(未帰還者留守家族等援護法(昭和二十八年法律第百六十一号)第十七条第一項に規定する未帰還者である職員を除く。以下「職員」という。)の公務上の災害(負傷、疾病、障害 又は死亡をいう。以下同じ。)又は通勤による災害に対する補償(以下「補償」という。)を迅速かつ公正に行い、あわせて公務上の災害 又は通勤による災害を受けた職員(以下「被災職員」という。)の社会復帰の促進 並びに被災職員 及び その遺族の援護を図るために必要な事業を行い、もつて被災職員 及び その遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。
国家公務員災害補償法
第一章 総則
この法律の規定が国家公務員法の規定とてい触する場合には、国家公務員法の規定が優先する。
この法律において「通勤」とは、職員が、勤務のため、次に掲げる移動を、合理的な経路 及び方法により行うことをいい、公務の性質を有するものを除くものとする。
一の勤務場所から 他の勤務場所への移動 その他の人事院規則で定める就業の場所から 勤務場所への移動(国家公務員法第百三条第一項の規定に違反して同項に規定する営利企業を営むことを目的とする団体の役員、顧問 又は評議員の職を兼ねている場合 その他の人事院規則で定める職員に関する法令の規定に違反して就業している場合における当該就業の場所から 勤務場所への移動を除く。)
第一号に掲げる往復に先行し、又は後続する住居間の移動(人事院規則で定める要件に該当するものに限る。)
職員が、前項各号に掲げる移動の経路を逸脱し、又は同項各号に掲げる移動を中断した場合においては、当該逸脱 又は中断の間 及び その後の同項各号に掲げる移動は、同項の通勤としない。
ただし、当該逸脱 又は中断が、日常生活上必要な行為であつて人事院規則で定めるものをやむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合は、当該逸脱 又は中断の間を除き、この限りでない。
人事院は、 この法律の実施に関し、次に掲げる 権限 及び責務を有する。
この法律の完全な実施の責に任ずること。
この法律の実施 及び解釈に関し必要な人事院規則を制定し、及び人事院指令を発すること。
次条の実施機関が行う 補償の実施についての総合調整を行うこと。
次条の実施機関が行う 補償の実施について調査し、並びに資料の収集作成 及び報告の提出を求めること。
第二十二条第一項に規定する福祉事業の実施について調査し、報告を求め、 及び総合調整を行うこと。
第二十四条の規定による審査の申立てを受理し、審査し、 及び判定を行うこと。
第二十五条の規定による措置の申立てを受理し、審査し、 及び判定を行うこと。
その他 この法律に定める 権限 及び責務
人事院 及び実施機関(人事院が指定する国の機関 及び独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第四項に規定する行政執行法人(以下「行政執行法人」という。)をいう。以下同じ。)は、この法律 及び人事院規則で定めるところにより、この法律に定める補償の実施の責めに任ずる。
前項の規定は、人事院にこの法律の実施に関する責任を免かれさせるものではない。
実施機関は、この法律 及び人事院が定める方針、基準、手続、規則 及び計画に従つて補償の実施を行わなければならない。
実施機関が第一項の規定により行うべき責務を怠り、又は この法律、人事院規則 及び人事院指令に違反して補償の実施を行つた場合には、人事院は、その是正のため必要な指示を行うことができる。
この法律で「平均給与額」とは、負傷 若しくは死亡の原因である事故の発生の日 又は診断によつて疾病の発生が確定した日(第四項において単に「事故発生日」という。)の属する月の前月の末日から起算して過去三月間(その期間内に採用された職員については、その採用された日までの間)にその職員に対して支払われた給与の総額を、その期間の総日数で除して得た金額をいう。
ただし、その金額は、次の各号のいずれかによつて計算した金額を下らないものとする。
給与の全部が、勤務した日 若しくは時間によつて算定され、又は出来高払制によつて 定められた場合においては、その期間中に支払われた給与の総額をその勤務した日数で 除して得た金額の百分の六十
給与の一部が、勤務した日 若しくは時間によつて算定され、又は出来高払制によつて 定められた場合においては、その部分の給与の総額について前号の方法により計算した金額と、その他の部分の給与の総額をその期間の総日数で除して得た 金額との合算額
前項の給与は、一般職の職員の給与に関する法律(昭和二十五年法律第九十五号)の適用を受ける職員(同法第二十二条第一項 及び第二項の職員を除く。)にあつては、俸給、俸給の特別調整額、本府省業務調整手当、初任給調整手当、専門スタッフ職調整手当、扶養手当、地域手当、広域異動手当、研究員調整手当、住居手当、通勤手当、単身赴任手当、特殊勤務手当(人事院規則で定めるものを除く。)、特地勤務手当(同法第十四条の規定による手当を含む。)、超過勤務手当、休日給、夜勤手当、宿日直手当 及び管理職員特別勤務手当とし(ただし、人事院規則で定めるところにより、寒冷地手当 及び国際平和協力手当を加えることができる。)、その他の職員にあつては、人事院規則で定める給与とする。
第一項に規定する期間中に、次の各号のいずれかに該当する日がある場合においては、その日数 及び その間の給与は、同項の期間 及び給与の総額から控除して計算する。
ただし、控除しないで計算した平均給与額が控除して計算した平均給与額より多い場合は、この限りでない。
負傷し、又は疾病にかかり療養のために勤務することができなかつた日
産前産後の職員が、出産の予定日の六週間(多胎妊娠の場合にあつては、十四週間)前から 出産後八週間以内において勤務しなかつた日
育児休業の承認を受けて勤務しなかつた日、承認を受けて育児短時間勤務をした日 及び育児時間の承認を受けて育児のため一日の勤務時間の一部について勤務しなかつた日
介護休暇の承認を受けて勤務しなかつた日 及び介護時間の承認を受けて介護のため一日の勤務時間の一部について勤務しなかつた日
国(職員が行政執行法人に在職していた期間にあつては、当該行政執行法人)の責めに帰すべき事由によつて勤務することができなかつた日
職員団体の業務に専ら従事するための許可を受けて勤務しなかつた日
前三項の規定により平均給与額を計算することができない場合 及び事故発生日から 補償を支給すべき事由が生じた日(以下「補償事由発生日」という。)までの間に職員の給与の改定が行われた場合 その他の前三項の規定によつて計算した平均給与額が公正を欠くと認められる場合における平均給与額の計算については、人事院規則で定める。
前四項の規定によつて計算した平均給与額に一円未満の端数を生じたときは、これを一円に切り上げた額を平均給与額とする。
傷病補償年金、障害補償年金 又は遺族補償年金(以下「年金たる補償」という。)で、その補償事由発生日の属する年度(四月一日から 翌年三月三十一日までをいう。以下同じ。)の翌々年度以後の分として支給するものの額の算定の基礎として用いる平均給与額は、前条の規定により平均給与額として計算した額に、当該年金たる補償を支給すべき月の属する年度の前年度の四月一日における職員の給与水準を当該年金たる補償の補償事由発生日の属する年度の四月一日における職員の給与水準で除して得た率を基準として人事院が定める率を乗じて得た額とする。
前条第五項の規定は、前項の平均給与額について準用する。
休業補償の補償事由発生日が当該休業補償に係る療養の開始後一年六月を経過した日以後の日である場合における休業補償(以下 この項において「長期療養者の休業補償」という。)について第四条の規定により平均給与額として計算した額が、長期療養者の休業補償を受けるべき職員の休業補償の補償事由発生日の属する年度の四月一日における年齢に応じ人事院が最低限度額として定める額に満たないとき 又は最高限度額として定める額を超えるときは、同条の規定にかかわらず、それぞれ その定める額を長期療養者の休業補償に係る平均給与額とする。
前項の人事院が定める額は、労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号) 第八条の二第二項各号の規定により厚生労働大臣が年齢階層ごとに定める額を考慮して定めるものとする。
年金たる補償について第四条 又は第四条の二の規定により平均給与額として計算した額が、年金たる補償を受けるべき職員の年金たる補償を支給すべき月の属する年度の四月一日(以下 この項において「基準日」という。)における年齢(遺族補償年金を支給すべき場合にあつては、職員の死亡がなかつたものとして計算した場合に得られる当該職員の基準日における年齢)に応じ人事院が最低限度額として定める額に満たないとき 又は最高限度額として定める額を超えるときは、第四条 又は第四条の二の規定にかかわらず、それぞれ その定める額を年金たる補償に係る平均給与額とする。
前項の人事院が定める額は、労働者災害補償保険法第八条の三第二項において準用する同法第八条の二第二項各号の規定により厚生労働大臣が年齢階層ごとに定める額を考慮して定めるものとする。
国(職員が行政執行法人に在職中に公務上の災害 又は通勤による災害を受けた場合にあつては、当該行政執行法人。以下同じ。)が国家賠償法(昭和二十二年法律第百二十五号)、民法(明治二十九年法律第八十九号)その他の法律による損害賠償の責めに任ずる場合において、この法律による補償を行つたときは、同一の事由については、国は、その価額の限度においてその損害賠償の責めを免れる。
前項の場合において、補償を受けるべき者が、同一の事由につき国家賠償法、民法 その他の法律による損害賠償を受けたときは、国は、その価額の限度において補償の義務を免れる。
国は、補償の原因である災害が第三者の行為によつて生じた場合に補償を行つたときは、その価額の限度において、補償を受けた者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。
前項の場合において、 補償を受けるべき者が、当該第三者から 同一の事由につき損害賠償を受けたときは、国は、その価額の限度において補償の義務を免かれる。
職員が離職した場合においても、補償を受ける権利は、影響を受けない。
職員が公務上の災害 又は通勤による災害を受けた場合においては、実施機関は、 補償を受けるべき者に対して、その者がこの法律によつて 権利を有する旨をすみやかに通知しなければならない。
第二章 補償及び福祉事業
補償の種類は、次に掲げるものとする。
職員が公務上負傷し、 若しくは疾病にかかり、又は通勤により負傷し、 若しくは疾病にかかつた場合においては、国は、療養補償として、 必要な療養を行ない、又は必要な療養の費用を支給する。
前条の規定による療養の範囲は、次に掲げるものであつて、療養上 相当と認められるものとする。
居宅における療養上の管理及び その療養に伴う世話 その他の看護
病院 又は診療所への入院 及び その療養に伴う世話その他の看護
職員が公務上負傷し、若しくは疾病にかかり、又は通勤により負傷し、若しくは疾病にかかり、療養のため勤務することができない場合において、給与を受けないときは、国は、休業補償として、その勤務することができない期間につき、平均給与額の百分の六十に相当する金額を支給する。
ただし、次に掲げる場合(人事院規則で定める場合に限る。)には、その拘禁され、又は収容されている期間については、休業補償の支給は、行わない。
刑事施設、労役場 その他 これらに準ずる施設に拘禁されている場合
少年院 その他これに準ずる施設に収容されている場合
職員が公務上負傷し、 若しくは疾病にかかり、又は通勤により負傷し、 若しくは疾病にかかり、当該負傷 又は疾病に係る療養の開始後一年六月を経過した日において次の各号のいずれにも 該当する場合又は同日後次の各号のいずれにも 該当することとなつた場合には、国は、 その状態が継続している期間、傷病補償年金を支給する。
当該負傷 又は疾病が治つていないこと。
当該負傷 又は疾病による障害の程度が、次条第二項に規定する第一級から 第三級までの各障害等級に相当するものとして人事院規則で定める第一級、第二級 又は第三級の傷病等級に該当すること。
傷病補償年金の額は、当該負傷 又は疾病による障害の程度が次の各号に掲げる 傷病等級(前項第二号の傷病等級をいう。第四項において同じ。)のいずれに該当するかに応じ、一年につき当該各号に定める額とする。
第一級
平均給与額に三百十三を乗じて得た額
第二級
平均給与額に二百七十七を乗じて得た額
第三級
平均給与額に二百四十五を乗じて得た額
傷病補償年金を受ける者には、休業補償は、行わない。
傷病補償年金を受ける者の当該障害の程度に変更があつたため、新たに第二項各号に掲げる 他の傷病等級に該当するに至つた場合には、国は、 人事院規則で定めるところにより、新たに該当するに至つた傷病等級に応ずる 傷病補償年金を支給するものとし、その後は、 従前の傷病補償年金は、支給しない。
職員が公務上負傷し、 若しくは疾病にかかり、又は通勤により負傷し、 若しくは疾病にかかり、治つたとき次項に規定する障害等級に該当する程度の障害が存する場合においては、国は、障害補償として、同項に規定する第一級から 第七級までの障害等級に該当する障害がある場合には、当該障害が存する期間、 障害補償年金を毎年支給し、同項に規定する第八級から 第十四級までの障害等級に該当する障害がある場合には、障害補償一時金を支給する。
障害等級は、その障害の程度に応じて重度のものから 順に、第一級から 第十四級までに区分するものとする。
この場合において、各障害等級に該当する障害は、人事院規則で定める。
障害補償年金の額は、一年につき、次の各号に掲げる 障害等級(前項に規定する障害等級をいう。以下同じ。)に応じ、平均給与額に当該各号に定める日数を乗じて得た額とする。
第一級
三百十三日
第二級
二百七十七日
第三級
二百四十五日
第四級
二百十三日
第五級
百八十四日
第六級
百五十六日
第七級
百三十一日
障害補償一時金の額は、次の各号に掲げる障害等級に応じ、平均給与額に当該各号に定める日数を乗じて得た額とする。
第八級
五百三日
第九級
三百九十一日
第十級
三百二日
第十一級
二百二十三日
第十二級
百五十六日
第十三級
百一日
第十四級
五十六日
障害等級に該当する程度の障害が二以上ある場合の障害等級は、重い障害に応ずる障害等級による。
次に掲げる場合の障害等級は、次の各号のうち職員に最も有利なものによる。
第十三級以上に該当する障害が二以上ある場合には、前項の規定による障害等級の一級上位の障害等級
第八級以上に該当する障害が二以上ある場合には、前項の規定による障害等級の二級上位の障害等級
第五級以上に該当する障害が二以上ある場合には、前項の規定による障害等級の三級上位の障害等級
前項第一号の規定による障害補償の金額は、それぞれの障害に応ずる障害等級による障害補償の金額を合算した金額を超えてはならない。
ただし、同号の規定による障害等級が第七級以上になる場合は、この限りでない。
既に障害のある者が、公務上の負傷 若しくは疾病又は通勤による負傷 若しくは疾病によつて同一部位について障害の程度を加重した場合には、人事院規則で定めるところにより、 その障害補償の金額から、従前の障害に応ずる障害補償の金額を差し引いた金額の障害補償を行う。
障害補償年金を受ける者の当該障害の程度に変更があつたため、新たに他の障害等級に該当するに至つた場合は、国は、人事院規則で定めるところにより、新たに該当するに至つた障害等級に応ずる障害補償を行うものとし、その後は、従前の障害補償は、行わない。
職員が、故意の犯罪行為 若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、公務上の負傷 若しくは疾病 若しくは通勤による負傷 若しくは疾病 若しくは これらの原因となつた事故を生じさせ、又は公務上の負傷、疾病 若しくは障害 若しくは通勤による負傷、疾病 若しくは障害の程度を増進させ、若しくは その回復を妨げたときは、国は、人事院規則で定めるところにより、休業補償、傷病補償年金 又は障害補償の全部 又は一部の支給を行わないことができる。
傷病補償年金 又は障害補償年金を受ける権利を有する者が、当該傷病補償年金 又は障害補償年金を支給すべき事由となつた障害であつて人事院規則で定める程度のものにより、常時 又は随時介護を要する状態にあり、かつ、常時 又は随時介護を受けている場合においては、国は、当該介護を受けている期間、介護補償を支給する。
ただし、次に掲げる場合には、その入院し、又は入所している期間については、介護補償の支給は、行わない。
病院 又は診療所に入院している場合
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成十七年法律第百二十三号)第五条第十一項に規定する障害者支援施設(次号において「障害者支援施設」という。)に入所している場合(同条第七項に規定する生活介護(次号において「生活介護」という。)を受けている場合に限る。)
障害者支援施設(生活介護を行うものに限る。)に準ずる施設として人事院が定めるものに入所している場合
介護補償は、月を単位として支給するものとし、その月額は、常時 又は随時 介護を受ける場合に通常要する費用を考慮して人事院規則で定める額とする。
職員が公務上 死亡し、又は通勤により死亡した場合においては、国は、遺族補償として、 職員の遺族に対して、遺族補償年金 又は遺族補償一時金を支給する。
遺族補償年金を受けることができる遺族は、職員の配偶者(婚姻の届出をしていないが、職員の死亡の当時事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者を含む。以下同じ。)、子、父母、孫、祖父母 及び兄弟姉妹であつて、職員の死亡の当時 その収入によつて生計を維持していたものとする。
ただし、妻(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者を含む。以下同じ。)以外の者にあつては、職員の死亡の当時次に掲げる要件に該当した場合に限るものとする。
夫(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者を含む。以下同じ。)、父母 又は祖父母については、六十歳以上であること。
子 又は孫については、十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にあること。
兄弟姉妹については、十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にあること又は六十歳以上であること。
前三号の要件に該当しない夫、子、父母、孫、祖父母 又は兄弟姉妹については、人事院規則で定める障害の状態にあること。
職員の死亡の当時胎児であつた子が出生したときは、前項の規定の適用については、将来に向かつて、その子は、職員の死亡の当時 その収入によつて生計を維持していた子とみなす。
遺族補償年金を受けるべき遺族の順位は、配偶者、子、父母、孫、祖父母 及び兄弟姉妹の順序とし、父母については、養父母を先にし、実父母を後にする。
遺族補償年金の額は、一年につき、次の各号に掲げる 遺族補償年金を受ける権利を有する遺族及び その者と生計を同じくしている 遺族補償年金を受けることができる 遺族の人数の区分に応じ、当該各号に定める額とする。
一人
平均給与額に百五十三を乗じて得た額。
二人
平均給与額に二百一を乗じて得た額
三人
平均給与額に二百二十三を乗じて得た額
四人以上
平均給与額に二百四十五を乗じて得た額
遺族補償年金を受ける権利を有する者が二人以上あるときは、遺族補償年金の額は、前項の規定にかかわらず、同項に規定する額をその人数で除して得た額とする。
遺族補償年金の額の算定の基礎となる遺族の数に増減を生じたときは、その増減を生じた月の翌月から、 遺族補償年金の額を改定する。
遺族補償年金を受ける 権利を有する遺族が妻であり、かつ、当該妻と生計を同じくしている 遺族補償年金を受けることができる遺族がない場合において、当該妻が次の各号の一に該当するに至つたときは、その該当するに至つた月の翌月から、 遺族補償年金の額を改定する。
五十五歳に達したとき(第一項第一号の人事院規則で定める障害の状態にあるときを除く。)。
第一項第一号の人事院規則で定める障害の状態になり、又は その事情がなくなつたとき(五十五歳以上であるときを除く。)。
遺族補償年金を受ける権利は、その権利を有する遺族が次の各号の一に該当するに至つたときは、消滅する。
この場合において、同順位者がなくて後順位者があるときは、次順位者に遺族補償年金を支給する。
婚姻(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含む。)をしたとき。
直系血族 又は直系姻族以外の者の養子(届出をしていないが、事実上養子縁組関係と同様の事情にある者を含む。)と なつたとき。
離縁によつて、死亡した職員との親族関係が終了したとき。
- 子、
- 孫
又は兄弟姉妹については、十八歳に達した日以後の最初の三月三十一日が終了したとき(職員の死亡の時から 引き続き第十六条第一項第四号の人事院規則で定める障害の状態にあるときを除く。)。
第十六条第一項第四号の人事院規則で定める障害の状態にある夫、子、父母、孫、祖父母 又は兄弟姉妹については、その事情がなくなつたとき(夫、父母 又は祖父母については、職員の死亡の当時六十歳以上であつたとき、子 又は孫については、十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にあるとき、兄弟姉妹については、十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にあるか 又は職員の死亡の当時六十歳以上であつたときを除く。)。
遺族補償年金を受けることができる遺族が前項各号の一に該当するに至つたときは、その者は、遺族補償年金を受けることができる遺族でなくなる。
遺族補償年金を受ける権利を有する者の所在が一年以上明らかでない場合には、当該遺族補償年金は、同順位者があるときは同順位者の、同順位者がないときは次順位者の申請によつて、その所在が明らかでない間、その支給を停止する。
この場合において、同順位者がないときは、その間、次順位者を先順位者とする。
前項の規定により遺族補償年金の支給を停止された遺族は、いつでも、その支給の停止の解除を申請することができる。
第十七条第三項の規定は、第一項の規定により遺族補償年金の支給が停止され、又は前項の規定によりその停止が解除された場合に準用する。
この場合において、
同条第三項中
「増減を生じた月」とあるのは、
「支給が停止され、又は その停止が解除された月」と
読み替えるものとする。
遺族補償一時金は、次の場合に支給する。
職員の死亡の当時遺族補償年金を受けることができる遺族がないとき。
遺族補償年金を受ける権利を有する者の権利が消滅した場合において、他に当該遺族補償年金を受けることができる遺族がなく、かつ、当該職員の死亡に関し既に支給された遺族補償年金の額の次項に規定する合計額が当該権利が消滅した日において前号の場合に該当することとしたときに支給されることとなる遺族補償一時金の額に満たないとき。
前項第二号に規定する遺族補償年金の額の合計額は、次に掲げる額を合算した額とする。
前項第二号に規定する権利が消滅した日の属する年度(次号において「権利消滅年度」という。)の分として支給された遺族補償年金の額
権利消滅年度の前年度以前の各年度の分として支給された 遺族補償年金の額に権利消滅年度の前年度の四月一日における職員の給与水準を当該各年度の前年度の四月一日における職員の給与水準で除して得た率を基準として人事院が定める率を乗じて得た額の合算額
遺族補償一時金を受けることができる遺族は、職員の死亡の当時において次の各号の一に該当する者とする。
職員の収入によつて生計を維持していた子、父母、孫、祖父母 及び兄弟姉妹
前二号に掲げる者以外の者で主として職員の収入によつて 生計を維持していたもの
第二号に該当しない子、父母、孫、祖父母 及び兄弟姉妹
遺族補償一時金を受けるべき 遺族の順位は、前項各号の順序とし、同項第二号 及び第四号に掲げる者のうちにあつては、それぞれ当該各号に掲げる順序とし、父母については、養父母を先にし、 実父母を後にする。
職員が遺言 又は その者の属する実施機関の長に対する予告で、第一項第三号 及び第四号に掲げる者のうち特に指定した者があるときは、その指定された者は、同項第三号 及び第四号に掲げる 他の者に優先して遺族補償一時金を受けるものとする。
遺族補償一時金の額は、業務上の死亡 又は通勤による死亡に係る他の法令による給付との均衡を考慮して人事院規則で定める額(第十七条の四第一項第二号の場合にあつては、その額から 同号に規定する合計額を控除した額)とする。
第十七条第二項の規定は、遺族補償一時金の額について準用する。
職員を故意に死亡させた者は、遺族補償を受けることができる遺族としない。
職員の死亡前に、当該職員の死亡によつて 遺族補償年金を受けることができる先順位又は同順位の遺族となるべき者を故意に死亡させた者は、遺族補償年金を受けることができる遺族としない。
職員の死亡前又は遺族補償年金を受けることができる遺族の当該遺族補償年金を受ける権利の消滅前に、当該職員の死亡 又は当該権利の消滅によつて遺族補償一時金を受けることができる 先順位 又は同順位の遺族となるべき者を故意に死亡させた者は、遺族補償一時金を受けることができる遺族としない。
遺族補償年金を受けることができる遺族を故意に死亡させた者は、遺族補償一時金を受けることができる遺族としない。
職員の死亡前に、当該職員の死亡によつて遺族補償年金を受けることができる遺族となるべき者を故意に死亡させた者も、同様とする。
遺族補償年金を受けることができる遺族が、遺族補償年金を受けることができる先順位 又は同順位の他の遺族を故意に死亡させたときは、その者は、遺族補償年金を受けることができる遺族でなくなる。
この場合において、その者が遺族補償年金を受ける権利を有する者であるときは、その権利は、消滅する。
第十七条の二第一項後段の規定は、前項後段の場合に準用する。
年金たる補償の額に五十円未満の端数があるときは、これを切り捨て、五十円以上 百円未満の端数があるときは、これを百円に切り上げるものとする。
年金たる補償の支給は、支給すべき事由が生じた 月の翌月から始め、支給を受ける権利が消滅した月で終わるものとする。
年金たる補償は、その支給を停止すべき事由が生じたときは、その事由が生じた月の翌月から その事由が消滅した月までの間は、支給しない。
年金たる補償は、毎年二月、四月、六月、八月、十月 及び十二月の六期に、それぞれ その前月分までを支払う。
ただし、支給を受ける権利が消滅した場合におけるその期の年金たる補償は、支払期月でない月であつても、支払うものとする。
年金たる補償の支給を停止すべき事由が生じたにもかかわらず、その停止すべき期間の分として年金たる補償が支払われたときは、その支払われた年金たる補償は、その後に支払うべき年金たる補償の内払とみなすことができる。
年金たる補償を減額して改定すべき事由が生じたにもかかわらず、その事由が生じた月の翌月以後の分として減額しない額の年金たる補償が支払われた場合における当該年金たる補償の当該減額すべきであつた部分についても、同様とする。
同一の公務上の負傷 若しくは疾病 又は通勤による負傷 若しくは疾病(次項において「同一の傷病」という。)に関し、傷病補償年金を受ける権利を有する者が休業補償 又は障害補償を受ける権利を有することとなつた場合において、当該傷病補償年金を受ける権利が消滅した月の翌月以後の分として傷病補償年金が支払われたときは、その支払われた傷病補償年金は、当該休業補償 又は障害補償の内払とみなす。
同一の傷病に関し、 休業補償を受けている者が傷病補償年金 又は障害補償を受ける権利を有することとなり、かつ、当該休業補償を行わないこととなつた場合において、その後も休業補償が支払われたときは、その支払われた休業補償は、当該傷病補償年金 又は障害補償の内払とみなす。
年金たる補償を受ける権利を有する者が死亡したためその支給を受ける権利が消滅したにもかかわらず、その死亡の日の属する月の翌月以後の分として当該年金たる補償の過誤払が行われた場合において、当該過誤払による返還金に係る債権(以下この条において「返還金債権」という。)に係る債務の弁済をすべき者に支払うべき補償があるときは、人事院規則で定めるところにより、当該補償の支払金の金額を当該過誤払による返還金債権の金額に充当することができる。
年金たる補償の額については、国民の生活水準、物価 その他の諸事情に著しい変動が生じた場合においては、変動後の諸事情を総合勘案して、速やかに改定の措置を講ずるものとする。
職員が公務上 死亡し、又は通勤により死亡した場合においては、国は、葬祭を行なう者に対して、葬祭補償として、通常葬祭に要する費用を考慮して人事院規則で定める金額を支給する。
船舶が沈没し、転覆し、滅失し、若しくは行方不明となつた際 現にその船舶に乗つていた職員 若しくは船舶に乗つていて その船舶の航行中に行方不明となつた職員の生死が三箇月間わからない場合 又は これらの職員の死亡が三箇月以内に明らかとなり、かつ、その死亡の時期がわからない場合には、遺族補償 及び葬祭補償の支給に関する規定の適用については、その船舶が沈没し、転覆し、滅失し、若しくは行方不明となつた日 又は職員が行方不明となつた日に、当該職員は、死亡したものと推定する。
航空機が墜落し、滅失し、若しくは行方不明となつた際 現にその航空機に乗つていた職員 若しくは航空機に乗つていて その航空機の航行中に行方不明となつた職員の生死が三箇月間わからない場合 又は これらの職員の死亡が三箇月以内に明らかとなり、かつ、その死亡の時期がわからない場合にも、同様とする。
補償を受ける権利を有する者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき補償でまだ その者に支給しなかつたものがあるときは、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母 又は兄弟姉妹であつて、その者の死亡の当時 その者と生計を同じくしていたもの(遺族補償年金については、当該遺族補償年金を受けることができる 他の遺族)に、これを支給する。
前項の規定による補償を受けるべき者の順位は、同項に規定する順序(遺族補償年金については、第十六条第三項に規定する順序)とする。
第一項の規定による補償を受けるべき同順位者が二人以上あるときは、その全額をその一人に支給することができるものとし、この場合において、 その一人にした支給は、全員に対してしたものとみなす。
警察官、海上保安官 その他 職務内容の特殊な職員で人事院規則で定めるものが、その生命 又は身体に対する高度の危険が予測される状況の下において、犯罪の捜査、被疑者の逮捕、犯罪の制止、天災時における人命の救助 その他の人事院規則で定める職務に従事し、そのため公務上の災害を受けた場合における当該災害に係る傷病補償年金、障害補償 又は遺族補償については、第十二条の二第二項の規定による額、第十三条第三項 若しくは第四項の規定による額、第十七条第一項の規定による額 又は第十七条の六第一項の人事院規則で定める額は、それぞれ当該額に百分の五十を超えない範囲内で人事院規則で定める率を乗じて得た額を加算した額とする。
在外公館に勤務する職員、公務で外国旅行中の職員 又は船員法(昭和二十二年法律第百号)第一条に規定する船員である職員に係る補償につき特例を設ける必要のあるものについては、人事院規則で特例を定めることができる。
ただし、その特例は、この法律の規定の趣旨に適合するものでなければならない。
人事院 及び実施機関は、被災職員 及び その遺族の福祉に関して必要な福祉事業として次の事業をするように努めなければならない。
外科後処置に関する事業、補装具に関する事業、リハビリテーションに関する事業 その他の被災職員の円滑な社会復帰を促進するために必要な事業
被災職員の療養生活の援護、被災職員が受ける介護の援護、その遺族の就学の援護 その他の被災職員 及び その遺族の援護を図るために必要な資金の支給 その他の事業
人事院 及び実施機関は、職員が公務上負傷し、若しくは疾病にかかり、又は通勤により負傷し、若しくは疾病にかかり、障害等級に該当する程度の障害が存する場合においては、前項第一号の補装具に関する事業として、当該職員に義肢、義眼、補聴器等の補装具を支給することができる。
第一項に規定する福祉事業については、業務上の災害又は通勤による災害を受けた 民間事業の従業員及び その遺族に対する福祉に関する給付その他の事業の実態を考慮してその実施を図るものとする。
この法律に定める補償の実施については、これに相当する労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)、労働者災害補償保険法、船員法 及び船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)による業務上の災害に対する補償 又は通勤による災害に対する保険給付の実施との間における均衡を失わないように十分考慮しなければならない。
第三章 審査等
実施機関の行なう公務上の災害 又は通勤による災害の認定、療養の方法、補償金額の決定 その他補償の実施について不服がある者は、人事院規則に定める手続に従い、人事院に対し、審査を申し立てることができる。
前項の申立てがあつたときは、人事院は、すみやかにこれを審査して判定を行い、これを本人 及び その者に係る実施機関に通知しなければならない。
第一項の規定による審査の申立ては、時効の完成猶予 及び更新については、裁判上の請求とみなす。
実施機関の実施している第二十二条第一項に規定する福祉事業の運営に関し不服のある者は、人事院規則に定める手続に従い、 人事院に対し、実施機関により適当な措置が講ぜられることを申し立てることができる。
前条第二項の規定は、前項の措置の申立てについて準用する。
第四章 雑則
人事院 又は実施機関は、第二十四条の規定による審査 又は補償の実施のため必要があると認めるときは、補償を受け 若しくは受けようとする者 又は その他の関係人に対して、報告をさせ、 文書 その他の物件を提出させ、出頭を命じ、医師の診断を行い、 又は検案を受けさせることができる。
前項の規定により出頭した者は、国家公務員等の旅費に関する法律(昭和二十五年法律第百十四号)による旅費(実施機関である行政執行法人が出頭を命じた場合にあつては、当該行政執行法人が支給する旅費)を受けることができる。
人事院 又は実施機関は、第二十四条の規定による審査 又は補償の実施のため必要があると認めるときは、その職員に、被災職員の勤務する場所、災害のあつた場所 又は病院 若しくは診療所に立ち入らせ、帳簿書類 その他必要な物件を検査させ、又は補償を受け 若しくは受けようとする者 その他の関係人に対して質問させることができる。
前項の規定により人事院 又は実施機関の職員が、 その職権を行う場合には、その身分を示す証票を携帯し、関係人の請求によりこれを呈示しなければならない。
第一項の権限は、犯罪捜査のために認められたものと 解してはならない。
補償を受ける権利を有する者が、正当な理由がなくて、第二十六条第一項の規定による報告をせず、文書 その他の物件を提出せず、出頭をせず、 若しくは医師の診断を拒み、又は前条第一項の規定による質問に対して答弁をしなかつたときは、人事院 又は実施機関は、補償の支払を一時差し止めることができる。
補償を受ける権利は、これを行使することができる時から 二年間(傷病補償年金、障害補償 及び遺族補償については、五年間)行使しないときは、時効によつて消滅する。
ただし、補償を受けるべき者が、この期間経過後 その補償を請求した場合において、実施機関が第八条の規定により、補償を受けるべき者に通知をしたこと 又は自己の責めに帰すべき事由以外の事由によつて通知をすることができなかつたことを立証できない場合には、この限りでない。
この法律 又は この法律に基く 人事院規則に規定する期間の計算については、民法の期間の計算に関する規定を準用する。
この法律により支給を受けた金品を標準として、租税 その他の公課を課してはならない。
補償に関する書類には、印紙税を課さない。
市町村長(特別区の区長を含むものとし、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあつては、区長 又は総合区長とする。)は、実施機関の長 又は補償を受けようとする者に対して、当該市(特別区を含む。)町村の条例で定めるところにより、補償を受けようとする者 又は遺族の戸籍に関し、無料で証明を行うことができる。
通勤による負傷 又は疾病に係る療養補償を受ける職員(人事院規則で定める職員を除く。)は、一部負担金として、二百円をこえない範囲内で人事院規則で定める金額を国に納付しなければならない。
この法律により前項の職員に支払うべき補償金がある場合 又は当該補償金がない場合において当該職員に支払うべき給与があるときは、実施機関 又は職員の給与支給機関は、それぞれ、その支払うべき補償金 又は給与から 前項の金額に相当する金額を控除して、これを当該職員に代わつて国に納付することができる。
補償 及び第二十二条第一項に規定する福祉事業に要する経費は、公務上の災害 又は通勤による災害に関する人事院の統計的研究の結果に基づいて、予算に計上されなければならない。
次の各号の一に該当する者は、六月以下の懲役 又は二十万円以下の罰金に処する。
第二十六条第一項の規定による報告をせず、 若しくは虚偽の報告をし、文書 その他の物件を提出せず、 出頭をせず、又は医師の診断を拒んだ者
第二十七条第一項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して陳述をせず、 若しくは虚偽の陳述をした者