この法律は、地方公共団体の財政(以下地方財政という。)の運営、国の財政と地方財政との関係等に関する基本原則を定め、もつて地方財政の健全性を確保し、地方自治の発達に資することを目的とする。
地方財政法
地方公共団体は、その財政の健全な運営に努め、いやしくも国の政策に反し、又は国の財政 若しくは他の地方公共団体の財政に累を及ぼすような施策を行つてはならない。
国は、地方財政の自主的な且つ健全な運営を助長することに努め、いやしくもその自律性をそこない、又は地方公共団体に負担を転嫁するような施策を行つてはならない。
地方公共団体は、法令の定めるところに従い、且つ、合理的な基準によりその経費を算定し、これを予算に計上しなければならない。
地方公共団体は、あらゆる資料に基いて正確にその財源を捕そくし、且つ、経済の現実に即応してその収入を算定し、これを予算に計上しなければならない。
地方公共団体の経費は、その目的を達成するための必要且つ最少の限度をこえて、これを支出してはならない。
地方公共団体の収入は、適実且つ厳正に、これを確保しなければならない。
地方公共団体は、予算を編成し、若しくは執行し、又は支出の増加 若しくは収入の減少の原因となる行為をしようとする場合においては、当該年度のみならず、翌年度以降における財政の状況をも考慮して、その健全な運営をそこなうことがないようにしなければならない。
地方公共団体は、当該地方公共団体の当該年度における地方交付税の額と その算定に用いられた基準財政収入額との合算額が、当該地方交付税の算定に用いられた基準財政需要額を著しく超えることとなるとき、又は当該地方公共団体の当該年度における一般財源の額(普通税、地方揮発油譲与税、石油ガス譲与税、自動車重量譲与税、特別法人事業譲与税、特別とん譲与税、国有資産等所在市町村交付金、国有資産等所在都道府県交付金、国有提供施設等所在市町村助成交付金 及び地方交付税 又は特別区財政調整交付金の額の合算額をいう。以下同じ。)が当該地方公共団体の前年度における一般財源の額を超えることとなる場合において、当該超過額が新たに増加した当該地方公共団体の義務に属する経費に係る一般財源の額を著しく超えることとなるときは、その著しく超えることとなる額を、災害により生じた経費の財源 若しくは災害により生じた減収を埋めるための財源、前年度末までに生じた歳入欠陥を埋めるための財源 又は緊急に実施することが必要となつた大規模な土木 その他の建設事業の経費 その他必要やむを得ない理由により生じた経費の財源に充てる場合のほか、翌年度以降における財政の健全な運営に資するため、積み立て、長期にわたる財源の育成のためにする財産の取得等のための経費の財源に充て、又は償還期限を繰り上げて行う地方債の償還の財源に充てなければならない。
前項の規定により積み立てた金額(次項 及び次条において「積立金」という。)から生ずる収入は、全て積立金に繰り入れなければならない。
積立金は、銀行 その他の金融機関への預金、国債証券、地方債証券、政府保証債券(その元本の償還 及び利息の支払について政府が保証する債券をいう。)その他の証券の買入れ等の確実な方法により運用しなければならない。
積立金は、次の各号の一に掲げる場合に限り、これを処分することができる。
経済事情の著しい変動等により財源が著しく不足する場合において当該不足額をうめるための財源に充てるとき。
災害により生じた経費の財源 又は災害により生じた減収をうめるための財源に充てるとき。
緊急に実施することが必要となつた大規模な土木 その他の建設事業の経費 その他必要やむを得ない理由により生じた経費の財源に充てるとき。
長期にわたる財源の育成のためにする財産の取得等のための経費の財源に充てるとき。
償還期限を繰り上げて行なう地方債の償還の財源に充てるとき。
国(国の地方行政機関 及び裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)第二条に規定する下級裁判所を含む。)は地方公共団体 又はその住民に対し、地方公共団体は他の地方公共団体 又は住民に対し、直接であると間接であるとを問わず、寄附金(これに相当する物品等を含む。)を割り当てて強制的に徴収(これに相当する行為を含む。)するようなことをしてはならない。
地方公共団体の歳出は、地方債以外の歳入をもつて、その財源としなければならない。
ただし、次に掲げる場合においては、地方債をもつてその財源とすることができる。
交通事業、ガス事業、水道事業 その他地方公共団体の行う企業(以下「公営企業」という。)に要する経費の財源とする場合
出資金 及び貸付金の財源とする場合(出資 又は貸付けを目的として土地 又は物件を買収するために要する経費の財源とする場合を含む。)
地方債の借換えのために要する経費の財源とする場合
災害応急事業費、災害復旧事業費 及び災害救助事業費の財源とする場合
学校 その他の文教施設、保育所 その他の厚生施設、消防施設、道路、河川、港湾 その他の土木施設等の公共施設 又は公用施設の建設事業費(公共的団体 又は国 若しくは地方公共団体が出資している法人で政令で定めるものが設置する公共施設の建設事業に係る負担 又は助成に要する経費を含む。)及び公共用 若しくは公用に供する土地 又はその代替地としてあらかじめ取得する土地の購入費(当該土地に関する所有権以外の権利を取得するために要する経費を含む。)の財源とする場合
前条第五号の規定により起こす同号の建設事業費に係る地方債の償還年限は、当該地方債を財源として建設した公共施設 又は公用施設の耐用年数を超えないようにしなければならない。
当該地方債を借り換える場合においても、同様とする。
地方公共団体は、地方債を起こし、又は起こそうとし、若しくは起こした地方債の起債の方法、利率 若しくは償還の方法を変更しようとする場合には、政令で定めるところにより、総務大臣 又は都道府県知事に協議しなければならない。
ただし、軽微な場合 その他の総務省令で定める場合は、この限りでない。
前項の規定による協議は、地方債の起債の目的、限度額、起債の方法、資金、利率、償還の方法 その他政令で定める事項を明らかにして行うものとする。
実質公債費比率が政令で定める数値未満である地方公共団体(実質赤字額が政令で定める額を超えるもの、連結実質赤字比率が政令で定める数値を超えるもの 又は将来負担比率が地方公共団体の財政の健全化に関する法律(平成十九年法律第九十四号)第二条第五号の規定に基づく政令で定める数値以上のものを除く。第五項 及び第六項において「協議不要対象団体」という。)は、政令で定める公的資金(以下この条において「特定公的資金」という。)以外の資金をもつて地方債を起こし、又は特定公的資金以外の資金をもつて起こそうとし、若しくは起こした地方債の起債の方法、利率 若しくは償還の方法を変更しようとする場合(特定公的資金をもつて起こすことについて、第一項の規定による協議において同意を得、又は次条第一項 若しくは第三項から第五項まで 若しくは同法第十三条第一項に規定する許可を得た地方債の資金を変更し、第七項に規定する公的資金以外の資金をもつて地方債を起こそうとする場合を除く。)には、第一項の規定にかかわらず、同項の規定による協議をすることを要しない。
前項において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
実質公債費比率
政令で定める地方債に係る元利償還金(政令で定めるものを除く。以下 この号において「地方債の元利償還金」という。)の額と地方債の元利償還金に準ずるものとして政令で定めるもの(以下 この号において「準元利償還金」という。)の額との合算額から地方債の元利償還金 又は準元利償還金の財源に充当することのできる特定の歳入に相当する金額と地方交付税法(昭和二十五年法律第二百十一号)の定めるところにより地方債の元利償還金 及び準元利償還金に係る経費として普通交付税の額の算定に用いる基準財政需要額に算入される額として総務省令で定めるところにより算定した額(特別区にあつては、これに相当する額として総務大臣が定める額とする。以下 この号において「算入公債費等の額」という。)との合算額を控除した額を標準的な規模の収入の額として政令で定めるところにより算定した額から算入公債費等の額を控除した額で除して得た数値で当該年度前三年度内の各年度に係るものを合算したものの三分の一の数値
実質赤字額
当該年度の前年度の歳入(政令で定めるところにより算定した歳入をいう。以下この号において同じ。)が歳出(政令で定めるところにより算定した歳出をいう。以下この号において同じ。)に不足するため当該年度の歳入を繰り上げてこれに充てた額 並びに実質上当該年度の前年度の歳入が歳出に不足するため、当該年度の前年度に支払うべき債務でその支払を当該年度に繰り延べた額 及び当該年度の前年度に執行すべき事業に係る歳出に係る予算の額で当該年度に繰り越した額の合算額
連結実質赤字比率
地方公共団体の財政の健全化に関する法律第二条第二号に規定する連結実質赤字比率
将来負担比率
地方公共団体の財政の健全化に関する法律第二条第四号に規定する将来負担比率
次に掲げる公営企業を経営する協議不要対象団体は、特定公的資金以外の資金をもつて当該公営企業に要する経費の財源とする地方債を起こし、又は特定公的資金以外の資金をもつて起こそうとし、若しくは起こした当該公営企業に要する経費の財源とする地方債の起債の方法、利率 若しくは償還の方法を変更しようとする場合には、第三項の規定にかかわらず、第一項の規定による協議をしなければならない。
地方公営企業法(昭和二十七年法律第二百九十二号)第二条第一項に規定する地方公営企業 及び地方公営企業以外の企業で同条第二項 又は第三項の規定により同法の規定の全部 又は一部を適用するもので、政令で定めるところにより算定した当該年度の前年度の資金の不足額が政令で定めるところにより算定した額を超えるもの
前号に掲げるもののほか、第六条に規定する公営企業で政令で定めるもののうち政令で定めるところにより算定した当該年度の前年度の資金の不足額が政令で定めるところにより算定した額を超えるもの
協議不要対象団体は、特定公的資金以外の資金をもつて地方債を起こし、又は特定公的資金以外の資金をもつて起こそうとし、若しくは起こした地方債の起債の方法、利率 若しくは償還の方法を変更しようとする場合において第三項の規定により第一項の規定による協議をしないときは、政令で定めるところにより、あらかじめ、地方債の起債の目的、限度額、起債の方法、資金、利率、償還の方法 その他政令で定める事項を総務大臣 又は都道府県知事に届け出なければならない。
ただし、軽微な場合 その他の総務省令で定める場合は、この限りでない。
地方公共団体は、次の各号に掲げる地方債についてのみ、当該各号に定める公的資金(政令で定める公的資金をいう。以下この項において同じ。)を借り入れることができる。
第一項の規定による協議において総務大臣 又は都道府県知事の同意を得た地方債
当該同意に係る公的資金
前項の規定による届出がされた地方債のうち、総務大臣 又は都道府県知事が第一項の規定による協議を受けたならば同意をすることとなると認められる地方債
当該届出に係る特定公的資金以外の公的資金
前項各号に掲げる地方債に係る元利償還に要する経費は、地方交付税法第七条の定めるところにより、同条第二号の地方団体の歳出総額の見込額に算入されるものとする。
地方公共団体が、第一項の規定による協議の上、総務大臣 又は都道府県知事の同意を得ないで、地方債を起こし、又は起こそうとし、若しくは起こした地方債の起債の方法、利率 若しくは償還の方法を変更しようとする場合には、当該地方公共団体の長は、その旨をあらかじめ議会に報告しなければならない。
ただし、地方公共団体の長において特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認める場合 その他政令で定める場合には、当該地方公共団体が、当該同意を得ないで、地方債を起こし、又は起こそうとし、若しくは起こした地方債の起債の方法、利率 若しくは償還の方法を変更した後に、次の会議においてその旨を議会に報告することをもつて足りる。
総務大臣は、毎年度、政令で定めるところにより、総務大臣 又は都道府県知事が第一項の規定による協議における同意 並びに次条第一項 及び第三項から第五項まで 並びに地方公共団体の財政の健全化に関する法律第十三条第一項に規定する許可をするかどうかを判断するために必要とされる基準を定め、並びに第七項各号に掲げる地方債 並びに次条第一項 及び第三項から第五項まで 並びに同法第十三条第一項の規定により許可をする地方債の予定額の総額 その他政令で定める事項に関する書類を作成し、これらを公表するものとする。
総務大臣は、第一項の規定による協議における総務大臣の同意 並びに前項に規定する基準の作成 及び同項の書類の作成については、地方財政審議会の意見を聴かなければならない。
次に掲げる地方公共団体は、地方債を起こし、又は起こそうとし、若しくは起こした地方債の起債の方法、利率 若しくは償還の方法を変更しようとする場合には、政令で定めるところにより、総務大臣 又は都道府県知事の許可を受けなければならない。
この場合においては、前条第一項の規定による協議 又は同条第六項の規定による届出をすることを要しない。
前条第四項第二号に規定する実質赤字額が政令で定めるところにより算定した額以上である地方公共団体
前条第四項第一号に規定する実質公債費比率が政令で定める数値以上である地方公共団体
地方債の元利償還金の支払を遅延している地方公共団体
過去において地方債の元利償還金の支払を遅延したことがある地方公共団体のうち、将来において地方債の元利償還金の支払を遅延するおそれのあるものとして政令で定めるところにより総務大臣が指定したもの
前条第一項の規定による協議をせず、若しくは同条第六項の規定による届出をせず、又はこの項 及び第三項から第五項までの規定による許可を受けずに、地方債を起こし、又は起こそうとし、若しくは起こした地方債の起債の方法、利率 若しくは償還の方法を変更した地方公共団体のうち、政令で定めるところにより総務大臣が指定したもの
前条第一項の規定による協議をし、若しくは同条第六項の規定による届出をし、又はこの項 及び第三項から第五項までの規定による許可を受けるに当たつて、当該協議 若しくは届出 又は許可に関する書類に虚偽の記載をすること その他不正の行為をした地方公共団体のうち、政令で定めるところにより総務大臣が指定したもの
総務大臣は、前項第四号から第六号までの規定による指定の必要がなくなつたと認めるときは、政令で定めるところにより、当該指定を解除するものとする。
経営の状況が悪化した公営企業で次に掲げるものを経営する地方公共団体(第一項各号に掲げるものを除く。)は、当該公営企業に要する経費の財源とする地方債を起こし、又は起こそうとし、若しくは起こした地方債の起債の方法、利率 若しくは償還の方法を変更しようとする場合には、政令で定めるところにより、総務大臣 又は都道府県知事の許可を受けなければならない。
この場合においては、前条第一項の規定による協議 又は同条第六項の規定による届出をすることを要しない。
地方公営企業法第二条第一項に規定する地方公営企業のうち繰越欠損金があるもの並びに地方公営企業以外の企業で同条第二項 又は第三項の規定により同法の規定の全部 又は一部を適用するもののうち繰越欠損金があるもの 及び当該年度において新たに同法の規定の全部 又は一部を適用したもので、政令で定めるところにより算定した当該年度の前年度の資金の不足額が政令で定めるところにより算定した額以上であるもの
前号に掲げるもののほか、第六条に規定する公営企業で政令で定めるもののうち政令で定めるところにより算定した当該年度の前年度の資金の不足額が政令で定めるところにより算定した額以上であるもの
普通税(地方消費税、道府県たばこ税、市町村たばこ税、鉱区税、特別土地保有税 及び法定外普通税を除く。)の税率のいずれかが標準税率未満である地方公共団体(第一項各号に掲げるものを除く。)は、第五条第五号に規定する経費の財源とする地方債を起こし、又は起こそうとし、若しくは起こした地方債の起債の方法、利率 若しくは償還の方法を変更しようとする場合には、政令で定めるところにより、総務大臣 又は都道府県知事の許可を受けなければならない。
この場合においては、前条第一項の規定による協議 又は同条第六項の規定による届出をすることを要しない。
地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第五条第二項に掲げる税のうち同法第七百三十四条第一項 及び第二項(第二号に係る部分に限る。)の規定により都が課するもの(特別土地保有税を除く。)の税率のいずれかが標準税率未満である場合において、特別区(第一項各号に掲げるもの及び前項の規定により許可を受けなければならないものとされるものを除く。)は、第五条第五号に規定する経費の財源とする地方債を起こし、又は起こそうとし、若しくは起こした地方債の起債の方法、利率 若しくは償還の方法を変更しようとするときは、政令で定めるところにより、都知事の許可を受けなければならない。
この場合においては、前条第一項の規定による協議 又は同条第六項の規定による届出をすることを要しない。
前条第一項ただし書の規定は、第一項 及び第三項から前項までの規定により許可を受けなければならないものとされる場合について、同条第七項(第一号に係る部分に限る。)の規定は、第一項 及び第三項から前項までに規定する許可を得た地方債について、同条第八項の規定は、第一項 及び第三項から前項までに規定する許可を得た地方債に係る元利償還に要する経費について、それぞれ準用する。
総務大臣は、第一項、第三項 及び第四項の総務大臣の許可 並びに第一項第四号から第六号までの規定による指定 及び第二項の規定による指定の解除については、地方財政審議会の意見を聴かなければならない。
地方公共団体は、証券を発行する方法によつて地方債を起こす場合においては、政令の定めるところにより、募集、売出し又は交付の方法によることができる。
前項の証券は、割引の方法によつて発行することができる。
会社法(平成十七年法律第八十六号)第六百八十三条、第七百一条、第七百五条第一項から第三項まで 及び第七百九条の規定は、前条第一項の地方債について準用する。
この場合において、
これらの規定中
「会社」とあるのは
「地方公共団体」と、
「社債原簿管理人」とあるのは
「地方債原簿管理人」と、
「社債原簿」とあるのは
「地方債原簿」と、
「社債管理者」とあるのは
「地方債の募集 又は管理の委託を受けた者」と、
「社債権者」とあるのは
「地方債権者」と、
「社債券」とあるのは
「地方債証券」と
読み替えるものとする。
証券を発行する方法によつて地方債を起こす場合においては、二以上の地方公共団体は、議会の議決を経て共同して証券を発行することができる。
この場合においては、これらの地方公共団体は、連帯して当該地方債の償還 及び利息の支払の責めに任ずるものとする。
第五条から前条までに定めるもののほか、地方債の発行に関し必要な事項は、政令で定める。
公営企業で政令で定めるものについては、その経理は、特別会計を設けてこれを行い、その経費は、その性質上 当該公営企業の経営に伴う収入をもつて充てることが適当でない経費 及び当該公営企業の性質上能率的な経営を行なつても なお その経営に伴う収入のみをもつて充てることが客観的に困難であると認められる経費を除き、当該企業の経営に伴う収入(第五条の規定による地方債による収入を含む。)をもつてこれに充てなければならない。
但し、災害 その他特別の事由がある場合において議会の議決を経たときは、一般会計 又は他の特別会計からの繰入による収入をもつてこれに充てることができる。
地方公共団体は、各会計年度において歳入歳出の決算上剰余金を生じた場合においては、当該剰余金のうち二分の一を下らない金額は、これを剰余金を生じた翌翌年度までに、積み立て、又は償還期限を繰り上げて行なう地方債の償還の財源に充てなければならない。
第四条の三第二項 及び第三項 並びに第四条の四の規定は、前項の規定により積み立てた金額について準用する。
前条の公営企業について、歳入歳出の決算上剰余金を生じた場合においては、第一項の規定にかかわらず、議会の議決を経て、その全部 又は一部を一般会計 又は他の特別会計に繰り入れることができる。
第一項 及び前項の剰余金の計算については、政令でこれを定める。
地方公共団体の財産は、常に良好の状態においてこれを管理し、その所有の目的に応じて最も効率的に、これを運用しなければならない。
地方公共団体の事務(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十七の二第一項 及び第二百九十一条の二第二項の規定に基づき、都道府県が条例の定めるところにより、市町村の処理することとした事務 及び都道府県の加入しない同法第二百八十四条第一項の広域連合(第二十八条第二項 及び第三項において「広域連合」という。)の処理することとした事務を除く。)を行うために要する経費については、当該地方公共団体が全額これを負担する。
ただし、次条から第十条の四までに規定する事務を行うために要する経費については、この限りでない。
地方公共団体が法令に基づいて実施しなければならない事務であつて、国と地方公共団体相互の利害に関係がある事務のうち、その円滑な運営を期するためには、なお、国が進んで経費を負担する必要がある次に掲げるものについては、国が、その経費の全部 又は一部を負担する。
義務教育職員の給与(退職手当、退職年金 及び退職一時金 並びに旅費を除く。)に要する経費
義務教育諸学校の建物の建築に要する経費
臨時の予防接種 並びに予防接種を受けたことによる疾病、障害 及び死亡について行う給付に要する経費
精神保健 及び精神障害者の福祉に要する経費
麻薬、大麻 及びあへんの慢性中毒者の医療に要する経費
後期高齢者医療の療養の給付 並びに入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、特別療養費、移送費、高額療養費 及び高額介護合算療養費の支給 並びに財政安定化基金への繰入れに要する経費
介護保険の介護給付 及び予防給付 並びに財政安定化基金への繰入れに要する経費
児童一時保護所、未熟児、小児慢性特定疾病児童等、身体障害児 及び結核にかかつている児童の保護、児童福祉施設(地方公共団体の設置する保育所 及び幼保連携型認定こども園を除く。)並びに里親に要する経費
国民健康保険の療養の給付 並びに入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、特別療養費、移送費、高額療養費 及び高額介護合算療養費の支給、前期高齢者納付金 及び後期高齢者支援金 並びに介護納付金の納付、特定健康診査 及び特定保健指導 並びに財政安定化基金への繰入れに要する経費
原子爆弾の被爆者に対する介護手当の支給 及び介護手当に係る事務の処理に要する経費
重度障害児に対する障害児福祉手当 及び特別障害者に対する特別障害者手当の支給に要する経費
職業能力開発校 及び障害者職業能力開発校の施設 及び設備に要する経費
民有林の森林計画、保安林の整備 その他森林の保続培養に要する経費
国土交通大臣が定める特定計画 又は国土調査事業十箇年計画に基づく地籍調査に要する経費
特別支援学校への就学奨励に要する経費
消防庁長官の指示により出動した緊急消防援助隊の活動に要する経費
武力攻撃事態等における国民の保護のための措置 及び緊急対処事態における緊急対処保護措置に要する経費 並びにこれらに係る損失の補償 若しくは実費の弁償、損害の補償 又は損失の補てんに要する経費 並びに国の機関と共同して行う国民の保護のための措置 及び緊急対処保護措置についての訓練に要する経費
高等学校等就学支援金の支給に要する経費
新型インフルエンザ等緊急事態における埋葬 及び火葬に要する経費 並びに新型インフルエンザ等対策に係る臨時の医療施設における医療の提供、損失の補償 若しくは実費の弁償 又は損害の補償に要する経費
地域における医療 及び介護の総合的な確保の促進に関する基金への繰入れに要する経費
指定難病に係る特定医療費の支給に要する経費
子どものための教育・保育給付に要する経費(地方公共団体の設置する教育・保育施設に係るものを除く。) 及び子育てのための施設等利用給付に要する経費(地方公共団体 又は公立大学法人の設置する認定こども園、幼稚園 又は特別支援学校に係るものを除く。)
生活困窮者自立相談支援事業に要する経費 及び生活困窮者住居確保給付金の支給に要する経費
都道府県知事の確認を受けた専門学校(地方公共団体 又は地方独立行政法人が設置するものを除く。)に係る授業料等減免に要する経費
地方公共団体が国民経済に適合するように総合的に樹立された計画に従つて実施しなければならない法律 又は政令で定める土木 その他の建設事業に要する次に掲げる経費については、国が、その経費の全部 又は一部を負担する。
道路、河川、砂防、海岸、港湾等に係る重要な土木施設の新設 及び改良に要する経費
林地、林道、漁港等に係る重要な農林水産業施設の新設 及び改良に要する経費
地すべり防止工事 及びぼた山崩壊防止工事に要する経費
児童福祉施設 その他社会福祉施設の建設に要する経費
地方公共団体が実施しなければならない法律 又は政令で定める災害に係る事務で、地方税法 又は地方交付税法によつてはその財政需要に適合した財源を得ることが困難なものを行うために要する次に掲げる経費については、国が、その経費の一部を負担する。
災害弔慰金 及び災害障害見舞金に要する経費
道路、河川、砂防、海岸、港湾等に係る土木施設の災害復旧事業に要する経費
林地荒廃防止施設、林道、漁港等に係る農林水産業施設の災害復旧事業に要する経費
都市計画事業による施設の災害復旧に要する経費
社会福祉施設 及び保健衛生施設の災害復旧に要する経費
土地改良 及び開拓による施設 又は耕地の災害復旧に要する経費
専ら国の利害に関係のある事務を行うために要する次に掲げるような経費については、地方公共団体は、その経費を負担する義務を負わない。
国会議員の選挙、最高裁判所裁判官国民審査 及び国民投票に要する経費
国が専らその用に供することを目的として行う統計 及び調査に要する経費
あへんの取締に要する経費(第十条第八号に係るものを除く。)
国民年金、雇用保険 及び特別児童扶養手当に要する経費
第十条から第十条の三までに規定する経費の種目、算定基準 及び国と地方公共団体とが負担すべき割合は、法律 又は政令で定めなければならない。
第十条から第十条の三までに規定する経費のうち、地方公共団体が負担すべき部分(第十条第十二号に掲げる経費のうち地方公共団体が負担すべき部分にあつては後期高齢者医療の財政安定化基金拠出金をもつて充てるべき部分を、同条第十三号に掲げる経費のうち地方公共団体が負担すべき部分にあつては介護保険の財政安定化基金拠出金をもつて充てるべき部分を除く。)は、地方交付税法の定めるところにより地方公共団体に交付すべき地方交付税の額の算定に用いる財政需要額に算入するものとする。
ただし、第十条第十六号に掲げる経費(国民健康保険に関する特別会計への繰入れに要する経費のうち、国民健康保険の財政の安定化 及び調整を行うもの、高額医療費負担対象額に係るもの、所得の少ない者 又は六歳に達する日以後の最初の三月三十一日以前である被保険者 又は出産する予定の被保険者 若しくは出産した被保険者について行う保険料 又は国民健康保険税の減額に係るもの、所得の少ない者の数に応じて国民健康保険の財政の状況 その他の事情を勘案して行うもの 並びに特定健康診査 及び特定保健指導に要するもの 並びに財政安定化基金への繰入れに要する経費のうち都道府県の負担に係るものを除く。)、第十条の二第四号に掲げる経費 及び第十条の三第六号に掲げる経費については、この限りでない。
地方公共団体が処理する権限を有しない事務を行うために要する経費については、法律 又は政令で定めるものを除く外、国は、地方公共団体に対し、その経費を負担させるような措置をしてはならない。
前項の経費は、次に掲げるようなものとする。
国の機関の設置、維持 及び運営に要する経費
国の教育施設 及び研究施設に要する経費
地方公共団体 又はその経費を地方公共団体が負担する国の機関が法律 又は政令に基づいて新たな事務を行う義務を負う場合においては、国は、そのために要する財源について必要な措置を講じなければならない。
前項の財源措置について不服のある地方公共団体は、内閣を経由して国会に意見書を提出することができる。
内閣は、前項の意見書を受け取つたときは、その意見を添えて、遅滞なく、これを国会に提出しなければならない。
国は、その施策を行うため特別の必要があると認めるとき 又は地方公共団体の財政上 特別の必要があると認めるときに限り、当該地方公共団体に対して、補助金を交付することができる。
国は、第十条から第十条の四までに規定する事務で地方公共団体 又はその経費を地方公共団体が負担する国の機関が行うものについて第十条から第十条の四までの規定により国が負担する金額(以下「国の負担金」という。)を、当該地方公共団体に対して支出するものとする。
国が第十条の二 及び第十条の三に規定する事務を自ら行う場合において、地方公共団体が法律 又は政令の定めるところによりその経費の一部を負担するときは、当該地方公共団体は、その負担する金額(以下「地方公共団体の負担金」という。)を国に対して支出するものとする。
国の行う河川、道路、砂防、港湾等の土木事業で地方公共団体を利するものに対する当該地方公共団体の負担金の予定額は、当該工事の着手前にあらかじめ当該地方公共団体に通知しなければならない。
事業計画の変更等により負担金の予定額に著しい変更があつた場合も、同様とする。
地方公共団体は、前項の通知を受けた場合において負担金の予定額に不服があるときは、総務大臣を経由して、内閣に対し意見を申し出ることができる。
国の負担金、補助金等の地方公共団体に対する支出金(以下国の支出金という。)の額は、地方公共団体が当該国の支出金に係る事務を行うために必要で且つ充分な金額を基礎として、これを算定しなければならない。
国の支出金は、その支出金を財源とする経費の支出時期に遅れないように、これを支出しなければならない。
前項の規定は、地方公共団体の負担金等の国に対する支出金にこれを準用する。
前二条の規定は、国の工事をその委託を受けて地方公共団体が行う場合 及び地方公共団体の工事をその委託を受けて国が行う場合において、国 又は地方公共団体の負担に属する支出金に、これを準用する。
国の支出金 又は前条の国の負担に属する支出金の算定、支出時期、支出金の交付に当つて附された条件 その他支出金の交付に当つてされた指示 その他の行為について不服のある地方公共団体は、総務大臣を経由して内閣に対し意見を申し出、又は内閣を経由して国会に意見書を提出することができる。
第十三条第三項の規定は、前項の場合にこれを準用する。
内閣総理大臣 及び各省大臣は、その管理する事務で地方公共団体の負担を伴うものに関する法令案について、法律案 及び政令案にあつては閣議を求める前、命令案にあつては公布の前、あらかじめ総務大臣の意見を求めなければならない。
総務大臣は、前項に規定する法令案のうち重要なものについて意見を述べようとするときは、地方財政審議会の意見を聴かなければならない。
内閣総理大臣 及び各省大臣は、その所掌に属する歳入歳出 及び国庫債務負担行為の見積のうち地方公共団体の負担を伴う事務に関する部分については、財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第十七条第二項に規定する書類 及び同法第三十五条第二項に規定する調書を財務大臣に送付する際、総務大臣の意見を求めなければならない。
総務大臣は、前項に規定する書類 及び調書のうち重要なものについて意見を述べようとするときは、地方財政審議会の意見を聴かなければならない。
地方公共団体が管理する国の営造物で当該地方公共団体がその管理に要する経費を負担するものについては、当該地方公共団体は、条例の定めるところにより、当該営造物の使用について使用料を徴収することができる。
前項の使用料は、当該地方公共団体の収入とする。
国が地方公共団体の財産 又は公の施設を使用するときは、当該地方公共団体の定めるところにより、国においてその使用料を負担しなければならない。
但し、当該地方公共団体の議会の同意があつたときは、この限りでない。
国の負担金 及び補助金 並びに地方公共団体の負担金は、法令の定めるところに従い、これを使用しなければならない。
地方公共団体が前項の規定に従わなかつたときは、その部分については、国は、当該地方公共団体に対し、その負担金 又は補助金の全部 又は一部を交付せず 又はその返還を命ずることができる。
地方公共団体の負担金について、国が第一項の規定に従わなかつたときは、その部分については、当該地方公共団体は、国に対し当該負担金の全部 又は一部を支出せず 又はその返還を請求することができる。
地方公共団体が法令の規定に違背して著しく多額の経費を支出し、又は確保すべき収入の徴収等を怠つた場合においては、総務大臣は、当該地方公共団体に対して交付すべき地方交付税の額を減額し、又は既に交付した地方交付税の額の一部の返還を命ずることができる。
前項の規定により減額し、又は返還を命ずる地方交付税の額は、当該法令の規定に違背して支出し、又は徴収等を怠つた額をこえることができない。
総務大臣は、第一項の規定により地方交付税の額を減額し、又は地方交付税の額の一部の返還を命じようとするときは、地方財政審議会の意見を聴かなければならない。
都道府県の行う土木 その他の建設事業(高等学校の施設の建設事業を除く。)でその区域内の市町村を利するものについては、都道府県は、当該建設事業による受益の限度において、当該市町村に対し、当該建設事業に要する経費の一部を負担させることができる。
前項の経費について市町村が負担すべき金額は、当該市町村の意見を聞き、当該都道府県の議会の議決を経て、これを定めなければならない。
前項の規定による市町村が負担すべき金額について不服がある市町村は、当該金額の決定があつた日から二十一日以内に、総務大臣に対し、異議を申し出ることができる。
総務大臣は、前項の異議の申出を受けた場合において特別の必要があると認めるときは、当該市町村の負担すべき金額を更正することができる。
地方自治法第二百五十七条の規定は、前項の場合に、これを準用する。
総務大臣は、第四項の規定により市町村の負担すべき金額を更正しようとするときは、地方財政審議会の意見を聴かなければならない。
都道府県は、国 又は都道府県が実施し、国 及び都道府県がその経費を負担する道路、河川、砂防、港湾 及び海岸に係る土木施設についての大規模かつ広域にわたる事業で政令で定めるものに要する経費で都道府県が負担すべきものとされているものの全部 又は一部を市町村に負担させてはならない。
都道府県は、当該都道府県立の高等学校の施設の建設事業費について、住民に対し、直接であると間接であるとを問わず、その負担を転嫁してはならない。
市町村は、法令の規定に基づき当該市町村の負担に属するものとされている経費で政令で定めるものについて、住民に対し、直接であると間接であるとを問わず、その負担を転嫁してはならない。
都道府県がその事務を市町村が行うこととする場合においては、都道府県は、当該市町村に対し、その事務を執行するに要する経費の財源について必要な措置を講じなければならない。
前項の規定は、都道府県がその事務を都道府県の加入しない広域連合が行うこととする場合について準用する。
前二項の財源措置について不服のある市町村 又は都道府県の加入しない広域連合は、関係都道府県知事を経由して、総務大臣に意見書を提出することができる。
都道府県知事は、前項の意見書を受け取つたときは、その意見を添えて、遅滞なく、これを総務大臣に提出しなければならない。
前項の意見は、当該都道府県の議会の議決を経て、これを定めなければならない。
地方公共団体は、法令の規定に基づき経費の負担区分が定められている事務について、他の地方公共団体に対し、当該事務の処理に要する経費の負担を転嫁し、その他地方公共団体相互の間における経費の負担区分をみだすようなことをしてはならない。
都道府県は、法律 又は政令の定めるところによりその区域内の市町村の行う事務に要する経費について都道府県が負担する金額(以下都道府県の負担金という。)を、当該市町村に対して支出するものとする。
市町村は、第二十七条第一項の規定により都道府県に対して、負担する金額(以下市町村の負担金という。)を、当該都道府県に対して支出するものとする。
第十八条、第十九条 及び第二十五条の規定は、都道府県 及び市町村の負担金 並びに都道府県が市町村に対して交付する補助金等の支出金に、これを準用する。
内閣は、毎年度地方財政の状況を明らかにして、これを国会に報告しなければならない。
総務大臣は、前項に規定する地方財政の状況に関する報告の案を作成しようとするときは、地方財政審議会の意見を聴かなければならない。
都道府県が第五条の三第一項の規定により処理することとされている事務(都道府県が申出を受けた協議に係るものに限る。)、同条第六項の規定により処理することとされている事務(都道府県に対する届出に係るものに限る。)、同条第七項(第一号に係る部分に限る。)の規定により処理することとされている事務(都道府県の行う同意に係るものに限る。)、第五条の四第一項、第三項 及び第四項の規定により処理することとされている事務(都道府県の行う許可に係るものに限る。)並びに同条第五項の規定により処理することとされている事務は、地方自治法第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。