権利に関する登記の登記事項は、次のとおりとする。
不動産登記法
第三節 権利に関する登記
⤏ 第一款 通則
登記の目的
申請の受付の年月日 及び受付番号
登記に係る権利の権利者の氏名 又は名称 及び住所 並びに登記名義人が二人以上であるときは当該権利の登記名義人ごとの持分
登記の目的である権利の消滅に関する定めがあるときは、その定め
共有物分割禁止の定め(共有物 若しくは所有権以外の財産権について民法(明治二十九年法律第八十九号)第二百五十六条第一項ただし書(同法第二百六十四条において準用する場合を含む。)若しくは第九百八条第二項の規定により分割をしない旨の契約をした場合 若しくは同条第一項の規定により被相続人が遺言で共有物 若しくは所有権以外の財産権について分割を禁止した場合における共有物 若しくは所有権以外の財産権の分割を禁止する定め 又は同条第四項の規定により家庭裁判所が遺産である共有物 若しくは所有権以外の財産権についてした分割を禁止する審判をいう。第六十五条において同じ。)があるときは、その定め
民法第四百二十三条 その他の法令の規定により他人に代わって登記を申請した者(以下「代位者」という。)があるときは、当該代位者の氏名 又は名称 及び住所 並びに代位原因
第二号に掲げるもののほか、権利の順位を明らかにするために必要な事項として法務省令で定めるもの
権利に関する登記の申請は、法令に別段の定めがある場合を除き、登記権利者 及び登記義務者が共同してしなければならない。
権利に関する登記を申請する場合には、申請人は、法令に別段の定めがある場合を除き、その申請情報と併せて登記原因を証する情報を提供しなければならない。
登記権利者、登記義務者 又は登記名義人が権利に関する登記の申請人となることができる場合において、当該登記権利者、登記義務者 又は登記名義人について相続 その他の一般承継があったときは、相続人 その他の一般承継人は、当該権利に関する登記を申請することができる。
第六十条、第六十五条 又は第八十九条第一項(同条第二項(第九十五条第二項において準用する場合を含む。)及び第九十五条第二項において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、これらの規定により申請を共同してしなければならない者の一方に登記手続をすべきことを命ずる確定判決による登記は、当該申請を共同してしなければならない者の他方が単独で申請することができる。
相続 又は法人の合併による権利の移転の登記は、登記権利者が単独で申請することができる。
遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)による所有権の移転の登記は、第六十条の規定にかかわらず、登記権利者が単独で申請することができる。
登記名義人の氏名 若しくは名称 又は住所についての変更の登記 又は更正の登記は、登記名義人が単独で申請することができる。
抵当証券が発行されている場合における債務者の氏名 若しくは名称 又は住所についての変更の登記 又は更正の登記は、債務者が単独で申請することができる。
共有物分割禁止の定めに係る権利の変更の登記の申請は、当該権利の共有者であるすべての登記名義人が共同してしなければならない。
権利の変更の登記 又は更正の登記は、登記上の利害関係を有する第三者(権利の変更の登記 又は更正の登記につき利害関係を有する抵当証券の所持人 又は裏書人を含む。以下この条において同じ。)の承諾がある場合 及び当該第三者がない場合に限り、付記登記によってすることができる。
登記官は、権利に関する登記に錯誤 又は遺漏があることを発見したときは、遅滞なく、その旨を登記権利者 及び登記義務者(登記権利者 及び登記義務者がない場合にあっては、登記名義人。第三項 及び第七十一条第一項において同じ。)に通知しなければならない。
ただし、登記権利者、登記義務者 又は登記名義人がそれぞれ二人以上あるときは、その一人に対し通知すれば足りる。
登記官は、前項の場合において、登記の錯誤 又は遺漏が登記官の過誤によるものであるときは、遅滞なく、当該登記官を監督する法務局 又は地方法務局の長の許可を得て、登記の更正をしなければならない。
ただし、登記上の利害関係を有する第三者(当該登記の更正につき利害関係を有する抵当証券の所持人 又は裏書人を含む。以下この項において同じ。)がある場合にあっては、当該第三者の承諾があるときに限る。
登記官が前項の登記の更正をしたときは、その旨を登記権利者 及び登記義務者に通知しなければならない。
この場合においては、第一項ただし書の規定を準用する。
第一項 及び前項の通知は、代位者にもしなければならない。
この場合においては、第一項ただし書の規定を準用する。
権利に関する登記の抹消は、登記上の利害関係を有する第三者(当該登記の抹消につき利害関係を有する抵当証券の所持人 又は裏書人を含む。以下この条において同じ。)がある場合には、当該第三者の承諾があるときに限り、申請することができる。
権利が人の死亡 又は法人の解散によって消滅する旨が登記されている場合において、当該権利がその死亡 又は解散によって消滅したときは、第六十条の規定にかかわらず、登記権利者は、単独で当該権利に係る権利に関する登記の抹消を申請することができる。
買戻しの特約に関する登記がされている場合において、契約の日から十年を経過したときは、第六十条の規定にかかわらず、登記権利者は、単独で当該登記の抹消を申請することができる。
登記権利者は、共同して登記の抹消の申請をすべき者の所在が知れないためその者と共同して権利に関する登記の抹消を申請することができないときは、非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)第九十九条に規定する公示催告の申立てをすることができる。
前項の登記が地上権、永小作権、質権、賃借権 若しくは採石権に関する登記 又は買戻しの特約に関する登記であり、かつ、登記された存続期間 又は買戻しの期間が満了している場合において、相当の調査が行われたと認められるものとして法務省令で定める方法により調査を行ってもなお共同して登記の抹消の申請をすべき者の所在が判明しないときは、その者の所在が知れないものとみなして、同項の規定を適用する。
前二項の場合において、非訟事件手続法第百六条第一項に規定する除権決定があったときは、第六十条の規定にかかわらず、当該登記権利者は、単独で第一項の登記の抹消を申請することができる。
第一項に規定する場合において、登記権利者が先取特権、質権 又は抵当権の被担保債権が消滅したことを証する情報として政令で定めるものを提供したときは、第六十条の規定にかかわらず、当該登記権利者は、単独でそれらの権利に関する登記の抹消を申請することができる。
同項に規定する場合において、被担保債権の弁済期から二十年を経過し、かつ、その期間を経過した後に当該被担保債権、その利息 及び債務不履行により生じた損害の全額に相当する金銭が供託されたときも、同様とする。
登記権利者は、共同して登記の抹消の申請をすべき法人が解散し、前条第二項に規定する方法により調査を行ってもなお その法人の清算人の所在が判明しないためその法人と共同して先取特権、質権 又は抵当権に関する登記の抹消を申請することができない場合において、被担保債権の弁済期から三十年を経過し、かつ、その法人の解散の日から三十年を経過したときは、第六十条の規定にかかわらず、単独で当該登記の抹消を申請することができる。
登記官は、権利に関する登記を完了した後に当該登記が第二十五条第一号から第三号まで 又は第十三号に該当することを発見したときは、登記権利者 及び登記義務者 並びに登記上の利害関係を有する第三者に対し、一月以内の期間を定め、当該登記の抹消について異議のある者がその期間内に書面で異議を述べないときは、当該登記を抹消する旨を通知しなければならない。
登記官は、通知を受けるべき者の住所 又は居所が知れないときは、法務省令で定めるところにより、前項の通知に代えて、通知をすべき内容を公告しなければならない。
登記官は、第一項の異議を述べた者がある場合において、当該異議に理由がないと認めるときは決定で当該異議を却下し、当該異議に理由があると認めるときは決定でその旨を宣言し、かつ、当該異議を述べた者に通知しなければならない。
登記官は、第一項の異議を述べた者がないとき、又は前項の規定により当該異議を却下したときは、職権で、第一項に規定する登記を抹消しなければならない。
抹消された登記(権利に関する登記に限る。)の回復は、登記上の利害関係を有する第三者(当該登記の回復につき利害関係を有する抵当証券の所持人 又は裏書人を含む。以下この条において同じ。)がある場合には、当該第三者の承諾があるときに限り、申請することができる。
敷地権付き区分建物についての所有権 又は担保権(一般の先取特権、質権 又は抵当権をいう。以下この条において同じ。)に係る権利に関する登記は、第四十六条の規定により敷地権である旨の登記をした土地の敷地権についてされた登記としての効力を有する。
ただし、次に掲げる登記は、この限りでない。
敷地権付き区分建物についての所有権 又は担保権に係る権利に関する登記であって、区分建物に関する敷地権の登記をする前に登記されたもの(担保権に係る権利に関する登記にあっては、当該登記の目的等(登記の目的、申請の受付の年月日 及び受付番号 並びに登記原因 及びその日付をいう。以下この号において同じ。)が当該敷地権となった土地の権利についてされた担保権に係る権利に関する登記の目的等と同一であるものを除く。)
敷地権付き区分建物についての所有権に係る仮登記であって、区分建物に関する敷地権の登記をした後に登記されたものであり、かつ、その登記原因が当該建物の当該敷地権が生ずる前に生じたもの
敷地権付き区分建物についての質権 又は抵当権に係る権利に関する登記であって、区分建物に関する敷地権の登記をした後に登記されたものであり、かつ、その登記原因が当該建物の当該敷地権が生ずる前に生じたもの
敷地権付き区分建物についての所有権 又は質権 若しくは抵当権に係る権利に関する登記であって、区分建物に関する敷地権の登記をした後に登記されたものであり、かつ、その登記原因が当該建物の当該敷地権が生じた後に生じたもの(区分所有法第二十二条第一項本文(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定により区分所有者の有する専有部分と その専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない場合(以下この条において「分離処分禁止の場合」という。)を除く。)
第四十六条の規定により敷地権である旨の登記をした土地には、敷地権の移転の登記 又は敷地権を目的とする担保権に係る権利に関する登記をすることができない。
ただし、当該土地が敷地権の目的となった後にその登記原因が生じたもの(分離処分禁止の場合を除く。)又は敷地権についての仮登記 若しくは質権 若しくは抵当権に係る権利に関する登記であって当該土地が敷地権の目的となる前にその登記原因が生じたものは、この限りでない。
敷地権付き区分建物には、当該建物のみの所有権の移転を登記原因とする所有権の登記 又は当該建物のみを目的とする担保権に係る権利に関する登記をすることができない。
ただし、当該建物の敷地権が生じた後にその登記原因が生じたもの(分離処分禁止の場合を除く。)又は当該建物のみの所有権についての仮登記 若しくは当該建物のみを目的とする質権 若しくは抵当権に係る権利に関する登記であって当該建物の敷地権が生ずる前にその登記原因が生じたものは、この限りでない。
⤏ 第二款 所有権に関する登記
所有権の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
所有権の登記名義人が法人であるときは、会社法人等番号(商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第七条(他の法令において準用する場合を含む。)に規定する会社法人等番号をいう。)その他の特定の法人を識別するために必要な事項として法務省令で定めるもの
前項各号に掲げる登記事項についての登記に関し必要な事項は、法務省令で定める。
所有権の保存の登記は、次に掲げる者以外の者は、申請することができない。
表題部所有者 又はその相続人 その他の一般承継人
所有権を有することが確定判決によって確認された者
収用(土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)その他の法律の規定による収用をいう。第百十八条第一項 及び第三項から第五項までにおいて同じ。)によって所有権を取得した者
区分建物にあっては、表題部所有者から所有権を取得した者も、前項の登記を申請することができる。
この場合において、当該建物が敷地権付き区分建物であるときは、当該敷地権の登記名義人の承諾を得なければならない。
登記官は、前条第一項第二号 又は第三号に掲げる者の申請に基づいて表題登記がない不動産について所有権の保存の登記をするときは、当該不動産に関する不動産の表示のうち法務省令で定めるものを登記しなければならない。
所有権の保存の登記においては、第五十九条第三号の規定にかかわらず、登記原因 及びその日付を登記することを要しない。
ただし、敷地権付き区分建物について第七十四条第二項の規定により所有権の保存の登記をする場合は、この限りでない。
登記官は、所有権の登記がない不動産について嘱託により所有権の処分の制限の登記をするときは、職権で、所有権の保存の登記をしなければならない。
前条の規定は、表題登記がない不動産について嘱託により所有権の処分の制限の登記をする場合について準用する。
所有権の登記名義人について相続の開始があったときは、当該相続により所有権を取得した者は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。
遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により所有権を取得した者も、同様とする。
前項前段の規定による登記(民法第九百条 及び第九百一条の規定により算定した相続分に応じてされたものに限る。次条第四項において同じ。)がされた後に遺産の分割があったときは、当該遺産の分割によって当該相続分を超えて所有権を取得した者は、当該遺産の分割の日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。
前二項の規定は、代位者 その他の者の申請 又は嘱託により、当該各項の規定による登記がされた場合には、適用しない。
前条第一項の規定により所有権の移転の登記を申請する義務を負う者は、法務省令で定めるところにより、登記官に対し、所有権の登記名義人について相続が開始した旨 及び自らが当該所有権の登記名義人の相続人である旨を申し出ることができる。
前条第一項に規定する期間内に前項の規定による申出をした者は、同条第一項に規定する所有権の取得(当該申出の前にされた遺産の分割によるものを除く。)に係る所有権の移転の登記を申請する義務を履行したものとみなす。
登記官は、第一項の規定による申出があったときは、職権で、その旨 並びに当該申出をした者の氏名 及び住所 その他法務省令で定める事項を所有権の登記に付記することができる。
第一項の規定による申出をした者は、その後の遺産の分割によって所有権を取得したとき(前条第一項前段の規定による登記がされた後に当該遺産の分割によって所有権を取得したときを除く。)は、当該遺産の分割の日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。
前項の規定は、代位者 その他の者の申請 又は嘱託により、同項の規定による登記がされた場合には、適用しない。
第一項の規定による申出の手続 及び第三項の規定による登記に関し必要な事項は、法務省令で定める。
所有権の登記の抹消は、所有権の移転の登記がない場合に限り、所有権の登記名義人が単独で申請することができる。
⤏ 第三款 用益権に関する登記
地上権の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
地上権設定の目的
地代 又はその支払時期の定めがあるときは、その定め
存続期間 又は借地借家法(平成三年法律第九十号)第二十二条第一項前段 若しくは第二十三条第一項 若しくは大規模な災害の被災地における借地借家に関する特別措置法(平成二十五年法律第六十一号)第七条第一項の定めがあるときは、その定め
地上権設定の目的が借地借家法第二十三条第一項 又は第二項に規定する建物の所有であるときは、その旨
民法第二百六十九条の二第一項前段に規定する地上権の設定にあっては、その目的である地下 又は空間の上下の範囲 及び同項後段の定めがあるときはその定め
永小作権の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
小作料
存続期間 又は小作料の支払時期の定めがあるときは、その定め
民法第二百七十二条ただし書の定めがあるときは、その定め
前二号に規定するもののほか、永小作人の権利 又は義務に関する定めがあるときは、その定め
承役地(民法第二百八十五条第一項に規定する承役地をいう。以下この条において同じ。)についてする地役権の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
要役地(民法第二百八十一条第一項に規定する要役地をいう。以下この条において同じ。)
民法第二百八十一条第一項ただし書 若しくは第二百八十五条第一項ただし書の別段の定め又は同法第二百八十六条の定めがあるときは、その定め
前項の登記においては、第五十九条第四号の規定にかかわらず、地役権者の氏名 又は名称 及び住所を登記することを要しない。
要役地に所有権の登記がないときは、承役地に地役権の設定の登記をすることができない。
登記官は、承役地に地役権の設定の登記をしたときは、要役地について、職権で、法務省令で定める事項を登記しなければならない。
賃借権の登記 又は賃借物の転貸の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
存続期間 又は賃料の支払時期の定めがあるときは、その定め
賃借権の譲渡 又は賃借物の転貸を許す旨の定めがあるときは、その定め
賃貸人が財産の処分につき行為能力の制限を受けた者 又は財産の処分の権限を有しない者であるときは、その旨
土地の賃借権設定の目的が建物の所有であるときは、その旨
前号に規定する場合において建物が借地借家法第二十三条第一項 又は第二項に規定する建物であるときは、その旨
借地借家法第二十二条第一項前段、第二十三条第一項、第三十八条第一項前段 若しくは第三十九条第一項、高齢者の居住の安定確保に関する法律(平成十三年法律第二十六号)第五十二条第一項 又は大規模な災害の被災地における借地借家に関する特別措置法第七条第一項の定めがあるときは、その定め
採石権の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
存続期間
採石権の内容 又は採石料 若しくはその支払時期の定めがあるときは、その定め
⤏ 第四款 担保権等に関する登記
先取特権、質権 若しくは転質 又は抵当権の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
債権額(一定の金額を目的としない債権については、その価額)
所有権以外の権利を目的とするときは、その目的となる権利
二以上の不動産に関する権利を目的とするときは、当該二以上の不動産 及び当該権利
外国通貨で第一号の債権額を指定した債権を担保する質権 若しくは転質 又は抵当権の登記にあっては、本邦通貨で表示した担保限度額
登記官は、前項第四号に掲げる事項を明らかにするため、法務省令で定めるところにより、共同担保目録を作成することができる。
債権の一部について譲渡 又は代位弁済がされた場合における先取特権、質権 若しくは転質 又は抵当権の移転の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、当該譲渡 又は代位弁済の目的である債権の額とする。
不動産工事の先取特権の保存の登記においては、第八十三条第一項第一号の債権額として工事費用の予算額を登記事項とする。
建物を新築する場合における不動産工事の先取特権の保存の登記については、当該建物の所有者となるべき者を登記義務者とみなす。
この場合においては、第二十二条本文の規定は、適用しない。
前項の登記の登記事項は、第五十九条各号 及び第八十三条第一項各号(第三号を除く。)に掲げるもののほか、次のとおりとする。
新築する建物 並びに当該建物の種類、構造 及び床面積は設計書による旨
登記義務者の氏名 又は名称 及び住所
前項第一号の規定は、所有権の登記がある建物の附属建物を新築する場合における不動産工事の先取特権の保存の登記について準用する。
前条第一項の登記をした場合において、建物の建築が完了したときは、当該建物の所有者は、遅滞なく、所有権の保存の登記を申請しなければならない。
前条第三項の登記をした場合において、附属建物の建築が完了したときは、当該附属建物が属する建物の所有権の登記名義人は、遅滞なく、当該附属建物の新築による建物の表題部の変更の登記を申請しなければならない。
抵当権(根抵当権(民法第三百九十八条の二第一項の規定による抵当権をいう。以下同じ。)を除く。)の登記の登記事項は、第五十九条各号 及び第八十三条第一項各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
利息に関する定めがあるときは、その定め
民法第三百七十五条第二項に規定する損害の賠償額の定めがあるときは、その定め
債権に付した条件があるときは、その条件
民法第三百七十条ただし書の別段の定めがあるときは、その定め
抵当証券発行の定めがあるときは、その定め
前号の定めがある場合において元本 又は利息の弁済期 又は支払場所の定めがあるときは、その定め
根抵当権の登記の登記事項は、第五十九条各号 及び第八十三条第一項各号(第一号を除く。)に掲げるもののほか、次のとおりとする。
担保すべき債権の範囲 及び極度額
民法第三百七十条ただし書の別段の定めがあるときは、その定め
担保すべき元本の確定すべき期日の定めがあるときは、その定め
民法第三百九十八条の十四第一項ただし書の定めがあるときは、その定め
抵当権の順位の変更の登記の申請は、順位を変更する当該抵当権の登記名義人が共同してしなければならない。
前項の規定は、民法第三百九十八条の十四第一項ただし書の定めがある場合の当該定めの登記の申請について準用する。
第八十三条 及び第八十八条の規定は、民法第三百七十六条第一項の規定により抵当権を他の債権のための担保とし、又は抵当権を譲渡し、若しくは放棄する場合の登記について準用する。
民法第三百九十三条の規定による代位の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、先順位の抵当権者が弁済を受けた不動産に関する権利、当該不動産の代価 及び当該弁済を受けた額とする。
第八十三条 及び第八十八条の規定は、前項の登記について準用する。
民法第三百九十八条の八第一項 又は第二項の合意の登記は、当該相続による根抵当権の移転 又は債務者の変更の登記をした後でなければ、することができない。
民法第三百九十八条の十九第二項 又は第三百九十八条の二十第一項第三号 若しくは第四号の規定により根抵当権の担保すべき元本が確定した場合の登記は、第六十条の規定にかかわらず、当該根抵当権の登記名義人が単独で申請することができる。
ただし、同項第三号 又は第四号の規定により根抵当権の担保すべき元本が確定した場合における申請は、当該根抵当権 又はこれを目的とする権利の取得の登記の申請と併せてしなければならない。
登記官は、抵当証券を交付したときは、職権で、抵当証券交付の登記をしなければならない。
抵当証券法第一条第二項の申請があった場合において、同法第五条第二項の嘱託を受けた登記所の登記官が抵当証券を作成したときは、当該登記官は、職権で、抵当証券作成の登記をしなければならない。
前項の場合において、同項の申請を受けた登記所の登記官は、抵当証券を交付したときは抵当証券交付の登記を、同項の申請を却下したときは抵当証券作成の登記の抹消を同項の登記所に嘱託しなければならない。
第二項の規定による抵当証券作成の登記をした不動産について、前項の規定による嘱託により抵当証券交付の登記をしたときは、当該抵当証券交付の登記は、当該抵当証券作成の登記をした時にさかのぼってその効力を生ずる。
質権 又は転質の登記の登記事項は、第五十九条各号 及び第八十三条第一項各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
存続期間の定めがあるときは、その定め
利息に関する定めがあるときは、その定め
違約金 又は賠償額の定めがあるときは、その定め
債権に付した条件があるときは、その条件
民法第三百四十六条ただし書の別段の定めがあるときは、その定め
民法第三百五十九条の規定によりその設定行為について別段の定め(同法第三百五十六条 又は第三百五十七条に規定するものに限る。)があるときは、その定め
民法第三百六十一条において準用する同法第三百七十条ただし書の別段の定めがあるときは、その定め
第八十八条第二項 及び第八十九条から第九十三条までの規定は、質権について準用する。
この場合において、
第九十条 及び第九十一条第二項中
「第八十八条」とあるのは、
「第九十五条第一項 又は同条第二項において準用する第八十八条第二項」と
読み替えるものとする。
買戻しの特約の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、買主が支払った代金(民法第五百七十九条の別段の合意をした場合にあっては、その合意により定めた金額)及び契約の費用 並びに買戻しの期間の定めがあるときはその定めとする。
⤏ 第五款 信託に関する登記
信託の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
委託者、受託者 及び受益者の氏名 又は名称 及び住所
受益者の指定に関する条件 又は受益者を定める方法の定めがあるときは、その定め
信託管理人があるときは、その氏名 又は名称 及び住所
受益者代理人があるときは、その氏名 又は名称 及び住所
信託法(平成十八年法律第百八号)第百八十五条第三項に規定する受益証券発行信託であるときは、その旨
信託法第二百五十八条第一項に規定する受益者の定めのない信託であるときは、その旨
公益信託ニ関スル法律(大正十一年法律第六十二号) 第一条に規定する公益信託であるときは、その旨
信託の目的
信託財産の管理方法
前項第二号から第六号までに掲げる事項のいずれかを登記したときは、同項第一号の受益者(同項第四号に掲げる事項を登記した場合にあっては、当該受益者代理人が代理する受益者に限る。)の氏名 又は名称 及び住所を登記することを要しない。
登記官は、第一項各号に掲げる事項を明らかにするため、法務省令で定めるところにより、信託目録を作成することができる。
信託の登記の申請は、当該信託に係る権利の保存、設定、移転 又は変更の登記の申請と同時にしなければならない。
信託の登記は、受託者が単独で申請することができる。
信託法第三条第三号に掲げる方法によってされた信託による権利の変更の登記は、受託者が単独で申請することができる。
受益者 又は委託者は、受託者に代わって信託の登記を申請することができる。
受託者の任務が死亡、後見開始 若しくは保佐開始の審判、破産手続開始の決定、法人の合併以外の理由による解散 又は裁判所 若しくは主務官庁(その権限の委任を受けた国に所属する行政庁 及びその権限に属する事務を処理する都道府県の執行機関を含む。第百二条第二項において同じ。)の解任命令により終了し、新たに受託者が選任されたときは、信託財産に属する不動産についてする受託者の変更による権利の移転の登記は、第六十条の規定にかかわらず、新たに選任された当該受託者が単独で申請することができる。
受託者が二人以上ある場合において、そのうち少なくとも一人の受託者の任務が前項に規定する事由により終了したときは、信託財産に属する不動産についてする当該受託者の任務の終了による権利の変更の登記は、第六十条の規定にかかわらず、他の受託者が単独で申請することができる。
登記官は、信託財産に属する不動産について次に掲げる登記をするときは、職権で、信託の変更の登記をしなければならない。
信託法第七十五条第一項 又は第二項の規定による権利の移転の登記
信託法第八十六条第四項本文の規定による権利の変更の登記
受託者である登記名義人の氏名 若しくは名称 又は住所についての変更の登記 又は更正の登記
裁判所書記官は、受託者の解任の裁判があったとき、信託管理人 若しくは受益者代理人の選任 若しくは解任の裁判があったとき、又は信託の変更を命ずる裁判があったときは、職権で、遅滞なく、信託の変更の登記を登記所に嘱託しなければならない。
主務官庁は、受託者を解任したとき、信託管理人 若しくは受益者代理人を選任し、若しくは解任したとき、又は信託の変更を命じたときは、遅滞なく、信託の変更の登記を登記所に嘱託しなければならない。
前二条に規定するもののほか、第九十七条第一項各号に掲げる登記事項について変更があったときは、受託者は、遅滞なく、信託の変更の登記を申請しなければならない。
第九十九条の規定は、前項の信託の変更の登記の申請について準用する。
信託財産に属する不動産に関する権利が移転、変更 又は消滅により信託財産に属しないこととなった場合における信託の登記の抹消の申請は、当該権利の移転の登記 若しくは変更の登記 又は当該権利の登記の抹消の申請と同時にしなければならない。
信託の登記の抹消は、受託者が単独で申請することができる。
信託の併合 又は分割により不動産に関する権利が一の信託の信託財産に属する財産から他の信託の信託財産に属する財産となった場合における当該権利に係る当該一の信託についての信託の登記の抹消 及び当該他の信託についての信託の登記の申請は、信託の併合 又は分割による権利の変更の登記の申請と同時にしなければならない。
信託の併合 又は分割以外の事由により不動産に関する権利が一の信託の信託財産に属する財産から受託者を同一とする他の信託の信託財産に属する財産となった場合も、同様とする。
信託財産に属する不動産についてする次の表の上欄に掲げる場合における権利の変更の登記(第九十八条第三項の登記を除く。)については、同表の中欄に掲げる者を登記権利者とし、同表の下欄に掲げる者を登記義務者とする。
この場合において、受益者(信託管理人がある場合にあっては、信託管理人。以下この項において同じ。)については、第二十二条本文の規定は、適用しない。
一 不動産に関する権利が固有財産に属する財産か信託財産に属する財産となった場合 | 受益者 | 受託者 |
二 不動産に関する権利が信託財産に属する財産から 固有財産に属する財産となった場合 | 受託者 | 受益者 |
三 不動産に関する権利が一の信託の信託財産に属する財産から他の信託の信託財産に属する財産となった場合 | 当該 他の信託の受益者 及び受託者 | 当該一の信託の受益者 及び受託者 |
⤏ 第六款 仮登記
仮登記は、次に掲げる場合にすることができる。
第三条各号に掲げる権利について保存等があった場合において、当該保存等に係る登記の申請をするために登記所に対し提供しなければならない情報であって、第二十五条第九号の申請情報と併せて提供しなければならないものとされているもののうち法務省令で定めるものを提供することができないとき。
第三条各号に掲げる権利の設定、移転、変更 又は消滅に関して請求権(始期付き又は停止条件付きのものその他将来確定することが見込まれるものを含む。)を保全しようとするとき。
仮登記に基づいて本登記(仮登記がされた後、これと同一の不動産についてされる同一の権利についての権利に関する登記であって、当該不動産に係る登記記録に当該仮登記に基づく登記であることが記録されているものをいう。以下同じ。)をした場合は、当該本登記の順位は、当該仮登記の順位による。
仮登記は、仮登記の登記義務者の承諾があるとき及び次条に規定する仮登記を命ずる処分があるときは、第六十条の規定にかかわらず、当該仮登記の登記権利者が単独で申請することができる。
仮登記の登記権利者 及び登記義務者が共同して仮登記を申請する場合については、第二十二条本文の規定は、適用しない。
裁判所は、仮登記の登記権利者の申立てにより、仮登記を命ずる処分をすることができる。
前項の申立てをするときは、仮登記の原因となる事実を疎明しなければならない。
第一項の申立てに係る事件は、不動産の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に専属する。
第一項の申立てを却下した決定に対しては、即時抗告をすることができる。
非訟事件手続法第二条 及び第二編(同法第五条、第六条、第七条第二項、第四十条、第五十九条、第六十六条第一項 及び第二項 並びに第七十二条を除く。)の規定は、前項の即時抗告について準用する。
所有権に関する仮登記に基づく本登記は、登記上の利害関係を有する第三者(本登記につき利害関係を有する抵当証券の所持人 又は裏書人を含む。以下この条において同じ。)がある場合には、当該第三者の承諾があるときに限り、申請することができる。
登記官は、前項の規定による申請に基づいて登記をするときは、職権で、同項の第三者の権利に関する登記を抹消しなければならない。
仮登記の抹消は、第六十条の規定にかかわらず、仮登記の登記名義人が単独で申請することができる。
仮登記の登記名義人の承諾がある場合における当該仮登記の登記上の利害関係人も、同様とする。
⤏ 第七款 仮処分に関する登記
所有権について民事保全法(平成元年法律第九十一号)第五十三条第一項の規定による処分禁止の登記(同条第二項に規定する保全仮登記(以下「保全仮登記」という。)とともにしたものを除く。以下この条において同じ。)がされた後、当該処分禁止の登記に係る仮処分の債権者が当該仮処分の債務者を登記義務者とする所有権の登記(仮登記を除く。)を申請する場合においては、当該債権者は、当該処分禁止の登記に後れる登記の抹消を単独で申請することができる。
前項の規定は、所有権以外の権利について民事保全法第五十三条第一項の規定による処分禁止の登記がされた後、当該処分禁止の登記に係る仮処分の債権者が当該仮処分の債務者を登記義務者とする当該権利の移転 又は消滅に関し登記(仮登記を除く。)を申請する場合について準用する。
登記官は、第一項(前項において準用する場合を含む。)の申請に基づいて当該処分禁止の登記に後れる登記を抹消するときは、職権で、当該処分禁止の登記も抹消しなければならない。
保全仮登記に基づいて本登記をした場合は、当該本登記の順位は、当該保全仮登記の順位による。
不動産の使用 又は収益をする権利について保全仮登記がされた後、当該保全仮登記に係る仮処分の債権者が本登記を申請する場合においては、当該債権者は、所有権以外の不動産の使用 若しくは収益をする権利 又は当該権利を目的とする権利に関する登記であって当該保全仮登記とともにした処分禁止の登記に後れるものの抹消を単独で申請することができる。
登記官は、保全仮登記に基づく本登記をするときは、職権で、当該保全仮登記とともにした処分禁止の登記を抹消しなければならない。
⤏ 第八款 官庁又は公署が関与する登記等
官庁 又は公署は、公売処分をした場合において、登記権利者の請求があったときは、遅滞なく、次に掲げる事項を登記所に嘱託しなければならない。
公売処分による権利の移転の登記
公売処分により消滅した権利の登記の抹消
滞納処分に関する差押えの登記の抹消
国 又は地方公共団体が登記権利者となって権利に関する登記をするときは、官庁 又は公署は、遅滞なく、登記義務者の承諾を得て、当該登記を登記所に嘱託しなければならない。
国 又は地方公共団体が登記義務者となる権利に関する登記について登記権利者の請求があったときは、官庁 又は公署は、遅滞なく、当該登記を登記所に嘱託しなければならない。
登記官は、官庁 又は公署が登記権利者(登記をすることによって登記名義人となる者に限る。以下この条において同じ。)のためにした登記の嘱託に基づいて登記を完了したときは、速やかに、当該登記権利者のために登記識別情報を当該官庁 又は公署に通知しなければならない。
前項の規定により登記識別情報の通知を受けた官庁 又は公署は、遅滞なく、これを同項の登記権利者に通知しなければならない。
不動産の収用による所有権の移転の登記は、第六十条の規定にかかわらず、起業者が単独で申請することができる。
国 又は地方公共団体が起業者であるときは、官庁 又は公署は、遅滞なく、前項の登記を登記所に嘱託しなければならない。
前二項の規定は、不動産に関する所有権以外の権利の収用による権利の消滅の登記について準用する。
土地の収用による権利の移転の登記を申請する場合には、当該収用により消滅した権利 又は失効した差押え、仮差押え 若しくは仮処分に関する登記を指定しなければならない。
この場合において、権利の移転の登記をするときは、登記官は、職権で、当該指定に係る登記を抹消しなければならない。
登記官は、建物の収用による所有権の移転の登記をするときは、職権で、当該建物を目的とする所有権等の登記以外の権利に関する登記を抹消しなければならない。
第三項の登記をする場合において同項の権利を目的とする権利に関する登記についても、同様とする。
登記官は、第一項の登記をするときは、職権で、裁決手続開始の登記を抹消しなければならない。