裁判所は、清算株式会社に次に掲げる事由があると認めるときは、第五百十四条の規定に基づき、申立てにより、当該清算株式会社に対し特別清算の開始を命ずる。
会社法
第二節 特別清算
⤏ 第一款 特別清算の開始
清算の遂行に著しい支障を来すべき事情があること。
債務超過(清算株式会社の財産がその債務を完済するのに足りない状態をいう。次条第二項において同じ。)の疑いがあること。
債権者、清算人、監査役 又は株主は、特別清算開始の申立てをすることができる。
清算株式会社に債務超過の疑いがあるときは、清算人は、特別清算開始の申立てをしなければならない。
裁判所は、特別清算開始の申立てがあった場合において、必要があると認めるときは、債権者、清算人、監査役 若しくは株主の申立てにより又は職権で、特別清算開始の申立てにつき決定があるまでの間、次に掲げる手続 又は処分の中止を命ずることができる。
ただし、第一号に掲げる破産手続については破産手続開始の決定がされていない場合に限り、第二号に掲げる手続 又は第三号に掲げる処分についてはその手続の申立人である債権者 又はその処分を行う者に不当な損害を及ぼすおそれがない場合に限る。
清算株式会社についての破産手続
清算株式会社の財産に対して既にされている強制執行、仮差押え 又は仮処分の手続(一般の先取特権 その他一般の優先権がある債権に基づくものを除く。)
清算株式会社の財産に対して既にされている共助対象外国租税(租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法 及び地方税法の特例等に関する法律(昭和四十四年法律第四十六号。第五百十八条の二 及び第五百七十一条第四項において「租税条約等実施特例法」という。)第十一条第一項に規定する共助対象外国租税をいう。以下同じ。)の請求権に基づき国税滞納処分の例によってする処分(第五百十五条第一項において「外国租税滞納処分」という。)
特別清算開始の申立てを却下する決定に対して第八百九十条第五項の即時抗告がされたときも、前項と同様とする。
特別清算開始の申立てをした者は、特別清算開始の命令前に限り、当該申立てを取り下げることができる。
この場合において、前条の規定による中止の命令、第五百四十条第二項の規定による保全処分 又は第五百四十一条第二項の規定による処分がされた後は、裁判所の許可を得なければならない。
裁判所は、特別清算開始の申立てがあった場合において、特別清算開始の原因となる事由があると認めるときは、次のいずれかに該当する場合を除き、特別清算開始の命令をする。
特別清算の手続の費用の予納がないとき。
特別清算によっても 清算を結了する見込みがないことが明らかであるとき。
特別清算によることが債権者の一般の利益に反することが明らかであるとき。
不当な目的で特別清算開始の申立てがされたとき、その他申立てが誠実にされたものでないとき。
特別清算開始の命令があったときは、破産手続開始の申立て、清算株式会社の財産に対する強制執行、仮差押え、仮処分 若しくは外国租税滞納処分 又は財産開示手続(民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第百九十七条第一項の申立てによるものに限る。以下 この項において同じ。)若しくは第三者からの情報取得手続(同法第二百五条第一項第一号、第二百六条第一項 又は第二百七条第一項の申立てによるものに限る。以下 この項において同じ。)の申立てはすることができず、破産手続(破産手続開始の決定がされていないものに限る。)、清算株式会社の財産に対して既にされている強制執行、仮差押え 及び仮処分の手続 並びに外国租税滞納処分 並びに財産開示手続 及び第三者からの情報取得手続は中止する。
ただし、一般の先取特権 その他一般の優先権がある債権に基づく強制執行、仮差押え、仮処分 又は財産開示手続 若しくは第三者からの情報取得手続については、この限りでない。
特別清算開始の命令が確定したときは、前項の規定により中止した手続 又は処分は、特別清算の手続の関係においては、その効力を失う。
特別清算開始の命令があったときは、清算株式会社の債権者の債権(一般の先取特権 その他一般の優先権がある債権、特別清算の手続のために清算株式会社に対して生じた債権 及び特別清算の手続に関する清算株式会社に対する費用請求権を除く。以下 この節において「協定債権」という。)については、第九百三十八条第一項第二号 又は第三号に規定する特別清算開始の取消しの登記 又は特別清算終結の登記の日から二箇月を経過する日までの間は、時効は、完成しない。
裁判所は、特別清算開始の命令があった場合において、債権者の一般の利益に適合し、かつ、担保権の実行の手続等(清算株式会社の財産につき存する担保権の実行の手続、企業担保権の実行の手続 又は清算株式会社の財産に対して既にされている一般の先取特権 その他一般の優先権がある債権に基づく強制執行の手続をいう。以下 この条において同じ。)の申立人に不当な損害を及ぼすおそれがないものと認めるときは、清算人、監査役、債権者 若しくは株主の申立てにより又は職権で、相当の期間を定めて、担保権の実行の手続等の中止を命ずることができる。
協定債権を有する債権者(以下 この節において「協定債権者」という。)は、次に掲げる場合には、相殺をすることができない。
特別清算開始後に清算株式会社に対して債務を負担したとき。
支払不能(清算株式会社が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態をいう。以下 この款において同じ。)になった後に契約によって負担する債務を専ら協定債権をもってする相殺に供する目的で清算株式会社の財産の処分を内容とする契約を清算株式会社との間で締結し、又は清算株式会社に対して債務を負担する者の債務を引き受けることを内容とする契約を締結することにより清算株式会社に対して債務を負担した場合であって、当該契約の締結の当時、支払不能であったことを知っていたとき。
支払の停止があった後に清算株式会社に対して債務を負担した場合であって、その負担の当時、支払の停止があったことを知っていたとき。
ただし、当該支払の停止があった時において支払不能でなかったときは、この限りでない。
特別清算開始の申立てがあった後に清算株式会社に対して債務を負担した場合であって、その負担の当時、特別清算開始の申立てがあったことを知っていたとき。
前項第二号から第四号までの規定は、これらの規定に規定する債務の負担が次に掲げる原因のいずれかに基づく場合には、適用しない。
支払不能であったこと 又は支払の停止若しくは特別清算開始の申立てがあったことを協定債権者が知った時より前に生じた原因
特別清算開始の申立てがあった時より一年以上前に生じた原因
清算株式会社に対して債務を負担する者は、次に掲げる場合には、相殺をすることができない。
特別清算開始後に他人の協定債権を取得したとき。
支払不能になった後に協定債権を取得した場合であって、その取得の当時、支払不能であったことを知っていたとき。
支払の停止があった後に協定債権を取得した場合であって、その取得の当時、支払の停止があったことを知っていたとき。
ただし、当該支払の停止があった時において支払不能でなかったときは、この限りでない。
特別清算開始の申立てがあった後に協定債権を取得した場合であって、その取得の当時、特別清算開始の申立てがあったことを知っていたとき。
前項第二号から第四号までの規定は、これらの規定に規定する協定債権の取得が次に掲げる原因のいずれかに基づく場合には、適用しない。
支払不能であったこと又は支払の停止 若しくは特別清算開始の申立てがあったことを清算株式会社に対して債務を負担する者が知った時より前に生じた原因
特別清算開始の申立てがあった時より一年以上前に生じた原因
清算株式会社に対して債務を負担する者と清算株式会社との間の契約
協定債権者は、共助対象外国租税の請求権をもって特別清算の手続に参加するには、租税条約等実施特例法 第十一条第一項に規定する共助実施決定を得なければならない。
⤏ 第二款 裁判所による監督及び調査
特別清算開始の命令があったときは、清算株式会社の清算は、裁判所の監督に属する。
裁判所は、必要があると認めるときは、清算株式会社の業務を監督する官庁に対し、当該清算株式会社の特別清算の手続について意見の陳述を求め、又は調査を嘱託することができる。
前項の官庁は、裁判所に対し、当該清算株式会社の特別清算の手続について意見を述べることができる。
裁判所は、いつでも、清算株式会社に対し、清算事務 及び財産の状況の報告を命じ、その他清算の監督上必要な調査をすることができる。
特別清算開始の命令があった場合には、清算株式会社は、第四百九十二条第三項の承認があった後遅滞なく、財産目録等(同項に規定する財産目録等をいう。以下 この条において同じ。)を裁判所に提出しなければならない。
ただし、財産目録等が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を記載した書面を裁判所に提出しなければならない。
裁判所は、特別清算開始後において、清算株式会社の財産の状況を考慮して必要があると認めるときは、清算人、監査役、債権の申出をした債権者 その他清算株式会社に知れている債権者の債権の総額の十分の一以上に当たる債権を有する債権者 若しくは総株主(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から 引き続き有する株主 若しくは発行済株式(自己株式を除く。)の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の数の株式を六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から 引き続き有する株主の申立てにより又は職権で、次に掲げる事項について、調査委員による調査を命ずる処分(第五百三十三条において「調査命令」という。)をすることができる。
清算株式会社の業務 及び財産の状況
第五百四十条第一項の規定による保全処分をする必要があるかどうか。
第五百四十二条第一項の規定による保全処分をする必要があるかどうか。
第五百四十五条第一項に規定する役員等責任査定決定をする必要があるかどうか。
その他特別清算に必要な事項で裁判所の指定するもの
清算株式会社の財産につき担保権(特別の先取特権、質権、抵当権 又はこの法律 若しくは商法の規定による留置権に限る。)を有する債権者がその担保権の行使によって弁済を受けることができる債権の額は、前項の債権の額に算入しない。
公開会社でない清算株式会社における第一項の規定の適用については、
同項中
「六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する」とあるのは、
「有する」と
する。
⤏ 第三款 清算人
特別清算が開始された場合には、清算人は、債権者、清算株式会社 及び株主に対し、公平かつ誠実に清算事務を行う義務を負う。
裁判所は、清算人が清算事務を適切に行っていないとき、その他重要な事由があるときは、債権者 若しくは株主の申立てにより又は職権で、清算人を解任することができる。
清算人が欠けたときは、裁判所は、清算人を選任する。
清算人がある場合においても、裁判所は、必要があると認めるときは、更に清算人を選任することができる。
清算人は、必要があるときは、その職務を行わせるため、自己の責任で一人 又は二人以上の清算人代理を選任することができる。
前項の清算人代理の選任については、裁判所の許可を得なければならない。
清算人は、費用の前払 及び裁判所が定める報酬を受けることができる。
前項の規定は、清算人代理について準用する。
⤏ 第四款 監督委員
裁判所は、一人 又は二人以上の監督委員を選任し、当該監督委員に対し、第五百三十五条第一項の許可に代わる同意をする権限を付与することができる。
裁判所は、監督委員が清算株式会社の業務 及び財産の管理の監督を適切に行っていないとき、その他重要な事由があるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、監督委員を解任することができる。
監督委員が二人以上あるときは、共同してその職務を行う。
ただし、裁判所の許可を得て、それぞれ単独にその職務を行い、又は職務を分掌することができる。
監督委員は、いつでも、清算株式会社の清算人 及び監査役 並びに支配人 その他の使用人に対し、事業の報告を求め、又は清算株式会社の業務 及び財産の状況を調査することができる。
監督委員は、その職務を行うため必要があるときは、清算株式会社の子会社に対し、事業の報告を求め、又はその子会社の業務 及び財産の状況を調査することができる。
監督委員は、善良な管理者の注意をもって、その職務を行わなければならない。
監督委員が前項の注意を怠ったときは、その監督委員は、利害関係人に対し、連帯して損害を賠償する責任を負う。
監督委員は、費用の前払 及び裁判所が定める報酬を受けることができる。
監督委員は、その選任後、清算株式会社に対する債権 又は清算株式会社の株式を譲り受け、又は譲り渡すには、裁判所の許可を得なければならない。
監督委員は、前項の許可を得ないで同項に規定する行為をしたときは、費用 及び報酬の支払を受けることができない。
⤏ 第五款 調査委員
裁判所は、調査命令をする場合には、当該調査命令において、一人 又は二人以上の調査委員を選任し、調査委員が調査すべき事項 及び裁判所に対して調査の結果の報告をすべき期間を定めなければならない。
前款(第五百二十七条第一項 及び第五百二十九条ただし書を除く。)の規定は、調査委員について準用する。
⤏ 第六款 清算株式会社の行為の制限等
特別清算開始の命令があった場合には、清算株式会社が次に掲げる行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。
ただし、第五百二十七条第一項の規定により監督委員が選任されているときは、これに代わる監督委員の同意を得なければならない。
財産の処分(次条第一項各号に掲げる行為を除く。)
和解 又は仲裁合意(仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第二条第一項に規定する仲裁合意をいう。)
前項の規定にかかわらず、同項第一号から第五号までに掲げる行為については、次に掲げる場合には、同項の許可を要しない。
最高裁判所規則で定める額以下の価額を有するものに関するとき。
前号に掲げるもののほか、裁判所が前項の許可を要しないものとしたものに関するとき。
第一項の許可 又はこれに代わる監督委員の同意を得ないでした行為は、無効とする。
ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
特別清算開始の命令があった場合には、清算株式会社が次に掲げる行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。
事業の重要な一部の譲渡(当該譲渡により譲り渡す資産の帳簿価額が当該清算株式会社の総資産額として法務省令で定める方法により算定される額の五分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)を超えないものを除く。)
その子会社の株式 又は持分の全部 又は一部の譲渡(次のいずれにも該当する場合における譲渡に限る。)
当該譲渡により譲り渡す株式 又は持分の帳簿価額が当該清算株式会社の総資産額として法務省令で定める方法により算定される額の五分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)を超えるとき。
当該清算株式会社が、当該譲渡がその効力を生ずる日において当該子会社の議決権の総数の過半数の議決権を有しないとき。
前条第三項の規定は、前項の許可を得ないでした行為について準用する。
第七章(第四百六十七条第一項第五号を除く。)の規定は、特別清算の場合には、適用しない。
特別清算開始の命令があった場合には、清算株式会社は、協定債権者に対して、その債権額の割合に応じて弁済をしなければならない。
前項の規定にかかわらず、清算株式会社は、裁判所の許可を得て、少額の協定債権、清算株式会社の財産につき存する担保権によって担保される協定債権その他これを弁済しても 他の債権者を害するおそれがない協定債権に係る債務について、債権額の割合を超えて弁済をすることができる。
清算株式会社は、民事執行法 その他強制執行の手続に関する法令の規定により、その財産の換価をすることができる。
この場合においては、第五百三十五条第一項第一号の規定は、適用しない。
清算株式会社は、民事執行法その他強制執行の手続に関する法令の規定により、第五百二十二条第二項に規定する担保権(以下 この条 及び 次条において単に「担保権」という。)の目的である財産の換価をすることができる。
この場合においては、当該担保権を有する者(以下 この条 及び 次条において「担保権者」という。)は、その換価を拒むことができない。
前二項の場合には、民事執行法第六十三条及び第百二十九条(これらの規定を同法 その他強制執行の手続に関する法令において準用する場合を含む。)の規定は、適用しない。
第二項の場合において、担保権者が受けるべき金額がまだ確定していないときは、清算株式会社は、代金を別に寄託しなければならない。
この場合においては、担保権は、寄託された代金につき存する。
担保権者が法律に定められた方法によらないで担保権の目的である財産の処分をする権利を有するときは、裁判所は、清算株式会社の申立てにより、担保権者がその処分をすべき期間を定めることができる。
担保権者は、前項の期間内に処分をしないときは、同項の権利を失う。
⤏ 第七款 清算の監督上必要な処分等
裁判所は、特別清算開始の命令があった場合において、清算の監督上必要があると認めるときは、債権者、清算人、監査役 若しくは株主の申立てにより又は職権で、清算株式会社の財産に関し、その財産の処分禁止の仮処分 その他の必要な保全処分を命ずることができる。
裁判所は、特別清算開始の申立てがあった時から当該申立てについての決定があるまでの間においても、必要があると認めるときは、債権者、清算人、監査役 若しくは株主の申立てにより又は職権で、前項の規定による保全処分をすることができる。特別清算開始の申立てを却下する決定に対して第八百九十条第五項の即時抗告がされたときも、同様とする。
裁判所が前二項の規定により清算株式会社が債権者に対して弁済 その他の債務を消滅させる行為をすることを禁止する旨の保全処分を命じた場合には、債権者は、特別清算の関係においては、当該保全処分に反してされた弁済 その他の債務を消滅させる行為の効力を主張することができない。
ただし、債権者が、その行為の当時、当該保全処分がされたことを知っていたときに限る。
裁判所は、特別清算開始の命令があった場合において、清算の監督上必要があると認めるときは、債権者、清算人、監査役 若しくは株主の申立てにより又は職権で、清算株式会社が株主名簿記載事項を株主名簿に記載し、又は記録することを禁止することができる。
裁判所は、特別清算開始の申立てがあった時から当該申立てについての決定があるまでの間においても、必要があると認めるときは、債権者、清算人、監査役 若しくは株主の申立てにより又は職権で、前項の規定による処分をすることができる。
特別清算開始の申立てを却下する決定に対して第八百九十条第五項の即時抗告がされたときも、同様とする。
裁判所は、特別清算開始の命令があった場合において、清算の監督上必要があると認めるときは、清算株式会社の申立てにより又は職権で、発起人、設立時取締役、設立時監査役、第四百二十三条第一項に規定する役員等 又は清算人(以下 この款において「対象役員等」という。)の責任に基づく損害賠償請求権につき、当該対象役員等の財産に対する保全処分をすることができる。
裁判所は、特別清算開始の申立てがあった時から当該申立てについての決定があるまでの間においても、緊急の必要があると認めるときは、清算株式会社の申立てにより又は職権で、前項の規定による保全処分をすることができる。
特別清算開始の申立てを却下する決定に対して第八百九十条第五項の即時抗告がされたときも、同様とする。
裁判所は、特別清算開始の命令があった場合において、清算の監督上必要があると認めるときは、債権者、清算人、監査役 若しくは株主の申立てにより又は職権で、対象役員等の責任の免除の禁止の処分をすることができる。
特別清算開始の命令があったときは、清算株式会社は、特別清算開始の申立てがあった後 又はその前一年以内にした対象役員等の責任の免除を取り消すことができる。
不正の目的によってした対象役員等の責任の免除についても、同様とする。
前項の規定による取消権は、訴え 又は抗弁によって、行使する。
第一項の規定による取消権は、特別清算開始の命令があった日から二年を経過したときは、行使することができない。
当該対象役員等の責任の免除の日から二十年を経過したときも、同様とする。
裁判所は、特別清算開始の命令があった場合において、必要があると認めるときは、清算株式会社の申立てにより又は職権で、対象役員等の責任に基づく損害賠償請求権の査定の裁判(以下 この条において「役員等責任査定決定」という。)をすることができる。
裁判所は、職権で役員等責任査定決定の手続を開始する場合には、その旨の決定をしなければならない。
第一項の申立て又は前項の決定があったときは、時効の完成猶予 及び更新に関しては、裁判上の請求があったものとみなす。
役員等責任査定決定の手続(役員等責任査定決定があった後のものを除く。)は、特別清算が終了したときは、終了する。
⤏ 第八款 債権者集会
債権者集会は、特別清算の実行上必要がある場合には、いつでも、招集することができる。
債権者集会は、次条第三項の規定により招集する場合を除き、清算株式会社が招集する。
債権の申出をした協定債権者その他清算株式会社に知れている協定債権者の協定債権の総額の十分の一以上に当たる協定債権を有する協定債権者は、清算株式会社に対し、債権者集会の目的である事項 及び招集の理由を示して、債権者集会の招集を請求することができる。
清算株式会社の財産につき第五百二十二条第二項に規定する担保権を有する協定債権者がその担保権の行使によって弁済を受けることができる協定債権の額は、前項の協定債権の額に算入しない。
次に掲げる場合には、第一項の規定による請求をした協定債権者は、裁判所の許可を得て、債権者集会を招集することができる。
第一項の規定による請求の後 遅滞なく招集の手続が行われない場合
第一項の規定による請求があった日から六週間以内の日を債権者集会の日とする債権者集会の招集の通知が発せられない場合
債権者集会を招集する者(以下 この款において「招集者」という。)は、債権者集会を招集する場合には、次に掲げる事項を定めなければならない。
債権者集会に出席しない協定債権者が電磁的方法によって議決権を行使することができることとするときは、その旨
前三号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項
清算株式会社が債権者集会を招集する場合には、当該清算株式会社は、各協定債権について債権者集会における議決権の行使の許否 及び その額を定めなければならない。
清算株式会社以外の者が債権者集会を招集する場合には、その招集者は、清算株式会社に対し、前項に規定する事項を定めることを請求しなければならない。
この場合において、その請求があったときは、清算株式会社は、同項に規定する事項を定めなければならない。
清算株式会社の財産につき第五百二十二条第二項に規定する担保権を有する協定債権者は、その担保権の行使によって弁済を受けることができる協定債権の額については、議決権を有しない。
協定債権者は、共助対象外国租税の請求権については、議決権を有しない。
債権者集会を招集するには、招集者は、債権者集会の日の二週間前までに、債権の申出をした協定債権者 その他清算株式会社に知れている協定債権者 及び清算株式会社に対して、書面をもってその通知を発しなければならない。
招集者は、前項の書面による通知の発出に代えて、政令で定めるところにより、同項の通知を受けるべき者の承諾を得て、電磁的方法により通知を発することができる。
この場合において、当該招集者は、同項の書面による通知を発したものとみなす。
前二項の通知には、前条第一項各号に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
前三項の規定は、債権の申出をした債権者 その他清算株式会社に知れている債権者であって一般の先取特権 その他一般の優先権がある債権、特別清算の手続のために清算株式会社に対して生じた債権又は特別清算の手続に関する清算株式会社に対する費用請求権を有するものについて準用する。
招集者は、前条第一項の通知に際しては、法務省令で定めるところにより、債権の申出をした協定債権者 その他清算株式会社に知れている協定債権者に対し、当該協定債権者が有する協定債権について第五百四十八条第二項 又は第三項の規定により定められた事項 及び議決権の行使について参考となるべき事項を記載した書類(次項において「債権者集会参考書類」という。)並びに協定債権者が議決権を行使するための書面(以下 この款において「議決権行使書面」という。)を交付しなければならない。
招集者は、前条第二項の承諾をした協定債権者に対し同項の電磁的方法による通知を発するときは、前項の規定による債権者集会参考書類 及び議決権行使書面の交付に代えて、これらの書類に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。
ただし、協定債権者の請求があったときは、これらの書類を当該協定債権者に交付しなければならない。
招集者は、第五百四十八条第一項第三号に掲げる事項を定めた場合には、第五百四十九条第二項の承諾をした協定債権者に対する電磁的方法による通知に際して、法務省令で定めるところにより、協定債権者に対し、議決権行使書面に記載すべき事項を当該電磁的方法により提供しなければならない。
招集者は、第五百四十八条第一項第三号に掲げる事項を定めた場合において、第五百四十九条第二項の承諾をしていない協定債権者から債権者集会の日の一週間前までに議決権行使書面に記載すべき事項の電磁的方法による提供の請求があったときは、法務省令で定めるところにより、直ちに、当該協定債権者に対し、当該事項を電磁的方法により提供しなければならない。
債権者集会を招集しようとするときは、招集者は、あらかじめ、第五百四十八条第一項各号に掲げる事項 及び同条第二項 又は第三項の規定により定められた事項を裁判所に届け出なければならない。
債権者集会において、第五百四十八条第二項 又は第三項の規定により各協定債権について定められた事項について、当該協定債権を有する者 又は他の協定債権者が異議を述べたときは、裁判所がこれを定める。
債権者集会において決議をする事項を可決するには、次に掲げる同意のいずれもがなければならない。
出席した議決権者(議決権を行使することができる協定債権者をいう。以下 この款 及び次款において同じ。)の過半数の同意
出席した議決権者の議決権の総額の二分の一を超える議決権を有する者の同意
第五百五十八条第一項の規定によりその有する議決権の一部のみを前項の事項に同意するものとして行使した議決権者(その余の議決権を行使しなかったものを除く。)があるときの同項第一号の規定の適用については、当該議決権者一人につき、出席した議決権者の数に一を、同意をした議決権者の数に二分の一を、それぞれ加算するものとする。
債権者集会は、第五百四十八条第一項第二号に掲げる事項以外の事項については、決議をすることができない。
協定債権者は、代理人によってその議決権を行使することができる。この場合においては、当該協定債権者 又は代理人は、代理権を証明する書面を招集者に提出しなければならない。
前項の代理権の授与は、債権者集会ごとにしなければならない。
第一項の協定債権者 又は代理人は、代理権を証明する書面の提出に代えて、政令で定めるところにより、招集者の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。
この場合において、当該協定債権者 又は代理人は、当該書面を提出したものとみなす。
協定債権者が第五百四十九条第二項の承諾をした者である場合には、招集者は、正当な理由がなければ、前項の承諾をすることを拒んではならない。
債権者集会に出席しない協定債権者は、書面によって議決権を行使することができる。
書面による議決権の行使は、議決権行使書面に必要な事項を記載し、法務省令で定める時までに当該記載をした議決権行使書面を招集者に提出して行う。
前項の規定により書面によって議決権を行使した議決権者は、第五百五十四条第一項 及び第五百六十七条第一項の規定の適用については、債権者集会に出席したものとみなす。
電磁的方法による議決権の行使は、政令で定めるところにより、招集者の承諾を得て、法務省令で定める時までに議決権行使書面に記載すべき事項を、電磁的方法により当該招集者に提供して行う。
協定債権者が第五百四十九条第二項の承諾をした者である場合には、招集者は、正当な理由がなければ、前項の承諾をすることを拒んではならない。
第一項の規定により電磁的方法によって議決権を行使した議決権者は、第五百五十四条第一項 及び第五百六十七条第一項の規定の適用については、債権者集会に出席したものとみなす。
協定債権者は、その有する議決権を統一しないで行使することができる。この場合においては、債権者集会の日の三日前までに、招集者に対してその旨 及び その理由を通知しなければならない。
招集者は、前項の協定債権者が他人のために協定債権を有する者でないときは、当該協定債権者が同項の規定によりその有する議決権を統一しないで行使することを拒むことができる。
債権者集会 又は招集者は、次に掲げる債権者の出席を求め、その意見を聴くことができる。
この場合において、債権者集会にあっては、これをする旨の決議を経なければならない。
第五百二十二条第二項に規定する担保権を有する債権者
一般の先取特権 その他一般の優先権がある債権、特別清算の手続のために清算株式会社に対して生じた債権又は特別清算の手続に関する清算株式会社に対する費用請求権を有する債権者
債権者集会においてその延期 又は続行について決議があった場合には、第五百四十八条(第四項を除く。) 及び第五百四十九条の規定は、適用しない。
債権者集会の議事については、招集者は、法務省令で定めるところにより、議事録を作成しなければならない。
特別清算開始の命令があった場合において、第四百九十二条第一項に規定する清算人が清算株式会社の財産の現況についての調査を終了して財産目録等(同項に規定する財産目録等をいう。以下 この条において同じ。)を作成したときは、清算株式会社は、遅滞なく、債権者集会を招集し、当該債権者集会に対して、清算株式会社の業務 及び財産の状況の調査の結果 並びに財産目録等の要旨を報告するとともに、清算の実行の方針 及び見込みに関して意見を述べなければならない。ただし、債権者集会に対する報告 及び意見の陳述以外の方法によりその報告すべき事項及び当該意見の内容を債権者に周知させることが適当であると認めるときは、この限りでない。
⤏ 第九款 協定
清算株式会社は、債権者集会に対し、協定の申出をすることができる。
協定においては、協定債権者の権利(第五百二十二条第二項に規定する担保権を除く。)の全部又は一部の変更に関する条項を定めなければならない。
協定債権者の権利の全部 又は一部を変更する条項においては、債務の減免、期限の猶予その他の権利の変更の一般的基準を定めなければならない。
協定による権利の変更の内容は、協定債権者の間では平等でなければならない。ただし、不利益を受ける協定債権者の同意がある場合又は少額の協定債権について別段の定めをしても衡平を害しない場合その他協定債権者の間に差を設けても衡平を害しない場合は、この限りでない。
清算株式会社は、協定案の作成に当たり必要があると認めるときは、次に掲げる債権者の参加を求めることができる。
第五百二十二条第二項に規定する担保権を有する債権者
一般の先取特権 その他一般の優先権がある債権を有する債権者
第五百五十四条第一項の規定にかかわらず、債権者集会において協定を可決するには、次に掲げる同意のいずれもがなければならない。
議決権者の議決権の総額の三分の二以上の議決権を有する者の同意
第五百五十四条第二項の規定は、前項第一号の規定の適用について準用する。
協定が可決されたときは、清算株式会社は、遅滞なく、裁判所に対し、協定の認可の申立てをしなければならない。
前条の申立てがあった場合には、裁判所は、次項の場合を除き、協定の認可の決定をする。
裁判所は、次のいずれかに該当する場合には、協定の不認可の決定をする。
特別清算の手続 又は協定が法律の規定に違反し、かつ、その不備を補正することができないものであるとき。
ただし、特別清算の手続が法律の規定に違反する場合において、当該違反の程度が軽微であるときは、この限りでない。
協定は、認可の決定の確定により、その効力を生ずる。
協定は、清算株式会社 及びすべての協定債権者のために、かつ、それらの者に対して効力を有する。
協定は、第五百二十二条第二項に規定する債権者が有する同項に規定する担保権、協定債権者が清算株式会社の保証人その他清算株式会社と共に債務を負担する者に対して有する権利及び清算株式会社以外の者が協定債権者のために提供した担保に影響を及ぼさない。
協定の認可の決定が確定したときは、協定債権者の権利は、協定の定めに従い、変更される。
前項の規定にかかわらず、共助対象外国租税の請求権についての協定による権利の変更の効力は、租税条約等実施特例法第十一条第一項の規定による共助との関係においてのみ主張することができる。
協定の実行上必要があるときは、協定の内容を変更することができる。この場合においては、第五百六十三条から前条までの規定を準用する。
⤏ 第十款 特別清算の終了
裁判所は、特別清算開始後、次に掲げる場合には、清算人、監査役、債権者、株主 又は調査委員の申立てにより、特別清算終結の決定をする。
裁判所は、特別清算開始後、次に掲げる場合において、清算株式会社に破産手続開始の原因となる事実があると認めるときは、職権で、破産法に従い、破産手続開始の決定をしなければならない。
特別清算によることが債権者の一般の利益に反するとき。
裁判所は、特別清算開始後、次に掲げる場合において、清算株式会社に破産手続開始の原因となる事実があると認めるときは、職権で、破産法に従い、破産手続開始の決定をすることができる。
前二項の規定により破産手続開始の決定があった場合における破産法第七十一条第一項第四号 並びに第二項第二号 及び第三号、第七十二条第一項第四号 並びに第二項第二号 及び第三号、第百六十条(第一項第一号を除く。)、第百六十二条(第一項第二号を除く。)、第百六十三条第二項、第百六十四条第一項(同条第二項において準用する場合を含む。)、第百六十六条 並びに第百六十七条第二項(同法第百七十条第二項において準用する場合を含む。)の規定の適用については、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める申立てがあった時に破産手続開始の申立てがあったものとみなす。
特別清算開始の申立ての前に特別清算開始の命令の確定によって効力を失った破産手続における破産手続開始の申立てがある場合
当該破産手続開始の申立て
前号に掲げる場合以外の場合
特別清算開始の申立て
第一項 又は第二項の規定により破産手続開始の決定があったときは、特別清算の手続のために清算株式会社に対して生じた債権及び特別清算の手続に関する清算株式会社に対する費用請求権は、財団債権とする。