国有林野の管理経営に関する法律
第一章 総則
国有林野の取得、維持、保存 及び運用 並びに処分についての国有財産法(昭和二十三年法律第七十三号)の特例は、他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、この法律の定めるところによる。
この法律において「国有林野」とは、次に掲げるものをいう。
国の所有に属する森林原野であつて、国民の福祉のための考慮に基づき森林経営の用に供されなくなり、国有財産法第三条第三項の普通財産となつているもの(同法第四条第二項の所管換 又は同条第三項の所属替をされたものを除く。)
この法律において「国有林野事業」とは、国有林野の管理経営(国有林野と一体として整備 及び保全を行うことが相当と認められる民有林野の整備 及び保全であつて、国が行うものを含む。以下同じ。)の事業をいう。
第一章の二 管理経営に関する計画
農林水産大臣は、政令で定めるところにより、五年ごとに、十年を一期とする国有林野の管理経営に関する基本計画(以下「管理経営基本計画」という。)を定めなければならない。
管理経営基本計画は、森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)第四条第一項の規定によりたてられた全国森林計画 その他法律の規定による森林の整備に関する計画との調和が保たれたものでなければならない。
農林水産大臣は、管理経営基本計画を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、農林水産省令で定めるところにより、その旨を公告し、当該管理経営基本計画の案を、当該公告の日から三十日間公衆の縦覧に供しなければならない。
前項の規定による公告があつたときは、当該縦覧に供された管理経営基本計画の案に意見がある者は、同項の縦覧期間満了の日までに、農林水産大臣に対し、理由を付した文書をもつて、意見を申し立てることができる。
農林水産大臣は、第一項の縦覧期間満了後、当該管理経営基本計画の案について、前項の規定により申立てがあつた意見の要旨を付して、林政審議会の意見を聴かなければならない。
農林水産大臣は、管理経営基本計画を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
この場合においては、第二項の規定により申立てがあつた意見の要旨 及び当該意見の処理の結果を併せて公表しなければならない。
森林管理局長は、管理経営基本計画に即して、森林法第七条の二第一項の森林計画区別に、その管理経営する国有林野で当該森林計画区に係るものにつき、五年ごとに、当該森林計画区に係る森林計画の計画期間の始期をその計画期間の始期とし、五年を一期とする国有林野の管理経営に関する計画(以下「地域管理経営計画」という。)を定めなければならない。
巡視、森林病害虫の駆除 又はそのまん延の防止 その他国有林野の維持 及び保存に関する事項
森林法第十条の十五第一項に規定する公益的機能維持増進協定に基づく林道の開設 その他国有林野と一体として整備 及び保全を行うことが相当と認められる民有林野の整備 及び保全に関する事項
第四条第三項の規定は、地域管理経営計画について準用する。
地域管理経営計画は、森林法第七条の二第一項の規定によりたてられた森林計画との調和が保たれたものでなければならない。
前条の規定は、地域管理経営計画の策定 及び変更について準用する。
この場合において、
同条中
「農林水産大臣」とあるのは
「森林管理局長」と、
同条第三項中
「林政審議会」とあるのは
「関係都道府県知事、関係市町村長 及び次条第二項各号に掲げる事項に関し学識経験を有する者」と
読み替えるものとする。
森林管理局長は、前条第二項第五号に掲げる基本的な方針に即して森林 及び公衆の保健の用に供する施設を整備しようとするときは、政令で定めるところにより、その整備しようとする区域に係る国有林野につき、公衆の保健の用に供するための計画を定めなければならない。
前項の計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
前号の地区内において整備しようとする公衆の保健の用に供する施設の位置、種類 その他当該施設の設置に関する事項
第一号の地区内における造林、保育、伐採 その他の施業の方法に関する事項
国有林野の有する公衆の保健以外の公益的機能との調和 その他第二号の施設の整備に際し配慮すべき事項
森林管理局長は、第一項の計画を策定したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
第一項 及び前項の規定は、第一項の計画の変更について準用する。
農林水産大臣は、毎年九月三十日までに、前年度における管理経営基本計画の実施状況を公表しなければならない。
農林水産大臣は、前項の公表をしようとするときは、林政審議会の意見を聴き、その意見の概要を同項の実施状況とともに公表しなければならない。
林政審議会は、第五条第三項 及び前条第二項の規定によりその権限に属させられた事項を調査審議する。
林政審議会は、前項に規定する事項に関し農林水産大臣に意見を述べることができる。
第一章の三 調査業務の委託
農林水産大臣は、その指定する者(以下「指定調査機関」という。)に、国有林野の管理に関する業務のうち、次に掲げる業務(以下「調査業務」という。)を行わせることができる。
前号の調査により農林水産大臣が定める伐採 又は売払いの基準に適合すると認められる樹木に、農林水産省令で定める記号を表示すること。
前項の規定による指定は、調査業務を行おうとする者の申請により行う。
農林水産大臣は、前条第二項の申請が次に掲げる要件に適合していると認めるときでなければ、指定調査機関の指定をしてはならない。
調査業務以外の業務を行つているときは、その業務を行うことによつて調査業務が不公正になるおそれがないこと。
農林水産大臣は、前条第二項の申請をした者が、次の各号のいずれかに該当するときは、指定調査機関の指定をしてはならない。
一般社団法人 又は一般財団法人以外の者であること。
第六条の十五第一項 又は第二項の規定により指定を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者であること。
その役員のうちに、この法律に規定する罪により刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない者があること。
指定調査機関は、農林水産大臣から調査業務を行うべきことを求められたときは、正当な理由がある場合を除き、遅滞なく、その調査業務を行わなければならない。
調査業務に従事する指定調査機関の役員 又は職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
指定調査機関は、調査業務の実施に関する事項について業務規程を定め、農林水産大臣の認可を受けなければならない。
これを変更しようとするときも、同様とする。
農林水産大臣は、第一項の認可をした業務規程が調査業務の適正かつ確実な実施上不適当となつたと認めるときは、指定調査機関に対し、これを変更すべきことを命ずることができる。
指定調査機関は、毎事業年度、事業計画 及び収支予算を作成し、当該事業年度の開始前に(第六条の五第一項の規定による指定を受けた日の属する事業年度にあつては、その指定を受けた後遅滞なく)、農林水産大臣の認可を受けなければならない。
これを変更しようとするときも、同様とする。
指定調査機関は、毎事業年度、事業報告書 及び収支決算書を作成し、当該事業年度の終了後三月以内に、農林水産大臣に提出しなければならない。
指定調査機関は、帳簿を備え、調査業務に関し農林水産省令で定める事項を記載し、これを保存しなければならない。
前項に規定するもののほか、帳簿の備付け 及び保存に関し必要な事項は、農林水産省令で定める。
前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
第一項に規定する立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
農林水産大臣は、指定調査機関が第六条の六第二項第一号 又は第三号に該当するに至つたときは、その指定を取り消さなければならない。
農林水産大臣は、指定調査機関が次の各号のいずれかに該当するときは、その指定を取り消し、又は期間を定めて調査業務の全部 若しくは一部の停止を命ずることができる。
この章の規定に違反したとき。
第六条の六第一項第一号 又は第二号に適合しなくなつたと認められるとき。
第六条の九第一項の規定により認可を受けた業務規程によらないで調査業務を行つたとき。
第六条の九第三項 又は第六条の十二の規定による命令に違反したとき。
この章に規定するもののほか、指定調査機関 及び調査業務に関し必要な事項は、農林水産省令で定める。
第二章 貸付け、使用及び売払い
第二条第一項第一号の国有林野は、次の各号のいずれかに該当する場合には、その用途 又は目的を妨げない限度において、契約により、貸し付け、又は貸付け以外の方法により使用(収益を含む。以下同じ。)させることができる。
土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)その他の法令により他人の土地を使用することができる事業の用に供するとき。
第六条の二第一項の計画に従つて整備される公衆の保健の用に供する施設の用に供するとき。
その用途 又は目的を妨げない限度において、貸し付け、又は使用させる面積が五ヘクタールを超えないとき。
前項の規定により国有林野を貸し付け、又は貸付け以外の方法により使用させる場合には、国有財産法第二十一条から第二十五条まで(鉄道、道路 その他政令で定める施設の用に供される土地に地上権を設定する場合にあつては、第二十一条 及び第二十三条を除く。)の規定を準用する。
第二条第一項第二号の国有林野を売り払い、貸し付け、又は使用させようとする場合において、次に掲げる者からその買受け、借受け 又は使用の申請があつたときは、これを他に優先させなければならない。
前項の規定により国有林野を無償で貸し付け、又は使用させる場合には、国有財産法第二十二条第二項 及び第三項の規定を準用する。
農林水産大臣は、国有林野を当該国有林野の所在する地方の農林漁業の用に供するため貸し付け、又は使用させている場合において、風水害、冷害等の災害で異常、且つ、広範囲なものにより、その借受人 又は使用者が、当該国有林野の貸付 又は使用の対価を納付することが著しく困難であると認められるときは、これらの者に対しその困難の程度に応じて当該貸付 若しくは使用の対価を減じ、又はその支払を免除することができる。
第二章の二 樹木採取権
農林水産大臣は、民間事業者に次条第一項の樹木採取区において生育している樹木を採取する権利(以下「樹木採取権」という。)を設定することができる。
前項の樹木には、樹木採取権に基づき樹木が採取された後に当該採取跡地に植栽(人工下種を含む。以下同じ。)された樹木を含まないものとする。
農林水産大臣は、樹木採取権の設定に際し、当該設定を受けた者(以下「樹木採取権者」という。)から権利設定料を徴収するものとする。
農林水産大臣は、前項の規定による指定をしたときは、遅滞なく、当該樹木採取区を表示する図面と併せてこれらを公示しなければならない。
樹木採取区を変更し、又はその指定を解除するときも、同様とする。
農林水産大臣は、前条第一項の規定による指定をしたときは、農林水産省令で定めるところにより、次に掲げる事項をあらかじめ公表して、樹木採取権の設定を受けることを希望する者を公募するものとする。
樹木料(樹木採取区において採取される樹木の対価をいう。以下同じ。)の算定の基礎となるべき額 及び算定方法
第八条の十四第二項第一号の樹木の採取に関する基準
前各号に掲げるもののほか、次条第一項の規定による申請をするために必要な事項として農林水産省令で定めるもの
第八条の六第一項の規定により指定された樹木採取区において樹木採取権の設定を受けることを希望する者は、農林水産大臣にその旨を申請しなければならない。
前項の規定による申請をしようとする者は、農林水産省令で定めるところにより、申請書を農林水産大臣に提出しなければならない。
前条第二項の申請書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
経営管理(森林について自然的経済的社会的諸条件に応じた適切な経営 又は管理を持続的に行うことをいう。以下同じ。)を効率的かつ安定的に行う能力 及び経営管理を確実に行うに足りる経理的基礎を有することを明らかにするために必要な事項として農林水産省令で定めるもの
第八条の七の規定により公表された樹木料の算定の基礎となるべき額を勘案して提示する樹木料の算定の基礎となる額(以下「申請額」という。)
木材利用事業者等(木材の安定供給の確保に関する特別措置法(平成八年法律第四十七号)第四条第一項に規定する木材利用事業者等をいう。以下同じ。)及び木材製品利用事業者等(同項に規定する木材製品利用事業者等をいう。以下同じ。)との取引関係、同項に規定する木材生産流通改善施設の所在地、種類 及び規模(当該木材生産流通改善施設を整備しようとする場合に限る。)並びに木材の用途の拡大 その他の木材の需要の開拓 その他これらの者との連携による木材の安定的な取引関係の確立に関する事項として農林水産省令で定めるもの
前各号に掲げるもののほか、事業の実施による雇用の増大 その他の樹木採取区の所在する地域における産業の振興に対する寄与に関する事項 その他の樹木採取権者の選定に関し必要となる事項として農林水産省令で定めるもの
前条第二項の者が木材の安定供給の確保に関する特別措置法第四条第一項の認定(木材利用事業者等 及び木材製品利用事業者等と共同して作成した事業計画(同項に規定する事業計画をいう。以下 この項において同じ。)に係るものに限る。)を受けた者である場合であつて、当該認定に係る事業計画(同条第三項第二号ロの森林の区域に前条第一項の規定による申請に係る樹木採取区が含まれるものに限る。)の写しを提出したときは、前項の規定にかかわらず、同項第六号に掲げる事項の記載を省略することができる。
農林水産大臣は、農林水産省令で定めるところにより、第八条の八第一項の規定による申請をした者(以下「申請者」という。)が次に掲げる基準に適合しているかどうかを審査しなければならない。
前三号に掲げるもののほか、国有林野の適切かつ効率的な管理経営の実施の確保に支障を及ぼすおそれがあるものでないこと。
農林水産大臣は、前項の規定により審査した結果、申請者が同項各号に掲げる基準に適合していると認められるときは、申請額、事業の実施体制、樹木採取区の所在する地域における産業の振興に対する寄与の程度 その他農林水産省令で定める事項を勘案して、その適合していると認められた全ての申請者の申請書について評価し、樹木採取権の設定を受ける者を選定するものとする。
次の各号のいずれかに該当する者は、第八条の七の規定による公募に応じることができない。
この法律 又は森林法に規定する罪を犯し、刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない者
第十七条第一項の規定により第十条に規定する分収造林契約を解除され、その解除の日から二年を経過しない者
第八条の二十二第一項(第一号に係る部分に限る。)の規定により樹木採取権を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者
法人であつて、その業務を行う役員のうちに前各号のいずれかに該当する者があるもの
農林水産大臣は、第八条の十第二項の規定により選定した者に対し、その申請に係る樹木採取権の設定をするものとする。
農林水産大臣は、前項の設定をしようとするときは、関係都道府県知事に協議しなければならない。
農林水産大臣は、第一項の設定をし、又は当該設定をしないことの決定をしたときは、遅滞なく、同項の樹木採取権に係る全ての申請者に対し、その旨の通知をするものとする。
農林水産大臣は、第一項の設定を受けた者に対し、その申請に係る権利設定料について、納付期限を定めて、その納付を命ずるものとする。
前項の権利設定料の納付方法は、政令で定める。
樹木採取権者は、農林水産大臣が指定する期間内に、事業を開始しなければならない。
樹木採取権者は、やむを得ない理由により前項の期間内に事業を開始することができないときは、期間を定め、理由を付して、農林水産大臣の認可を受けなければならない。
樹木採取権者は、引き続き一年以上 その事業を休止しようとするときは、期間を定め、理由を付して、農林水産大臣の認可を受けなければならない。
樹木採取権者は、前項の認可を受けて休止した事業を開始したときは、遅滞なく、その旨を農林水産大臣に届け出なければならない。
樹木採取権者は、事業を開始する前に、農林水産省令で定めるところにより、農林水産大臣と、次に掲げる事項をその内容に含む契約(以下「樹木採取権実施契約」という。)を締結しなければならない。
樹木を採取する箇所 及びその箇所ごとの面積に関する事項
第四項の規定により納付すべき樹木料の算定 及び納付に関する事項
前項第一号の施業の計画(次号において「施業計画」という。)が、国有林野の公益的機能の維持増進 及び木材の持続的かつ計画的な供給の観点から農林水産大臣が樹木採取区ごとに定める樹木の採取に関する基準に適合すること。
前号に掲げるもののほか、施業計画が樹木採取区の所在する国有林野に係る地域管理経営計画に適合すること。
第八条の八第二項の申請書の内容に即していること。
樹木採取権実施契約は、五年ごとに、五年を一期として締結しなければならない。
ただし、国有林野の適切かつ効率的な管理経営の実施を確保するため必要があるときは、その期間よりも短い期間とすることができる。
樹木採取権者は、樹木採取権実施契約に基づき、あらかじめ、農林水産省令で定めるところにより、国に樹木料を納付しなければ、樹木採取区における樹木を採取してはならない。
樹木採取権は、物権とみなし、この法律に別段の定めがある場合を除き、不動産に関する規定を準用する。
樹木採取権は、法人の合併 その他の一般承継、譲渡、滞納処分、強制執行、仮差押え 及び仮処分 並びに抵当権の目的となるほか、権利の目的となることができない。
樹木採取権は、分割し、又は併合することができない。
樹木採取権の移転(法人の合併 その他の一般承継によるものを除く。以下この条において同じ。)をしようとするときは、当該樹木採取権の移転を受けようとする者は、農林水産大臣に申請して、その許可を受けなければならない。
前項の規定による申請をしようとする者は、農林水産省令で定めるところにより、第八条の九第一項各号に掲げる事項を記載した申請書を、農林水産大臣に提出しなければならない。
農林水産大臣は、第二項の許可をしようとするときは、関係都道府県知事に協議しなければならない。
農林水産大臣は、第二項の規定による申請が、次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、その申請を許可してはならない。
その申請をした者が、第八条の十第一項各号に掲げる基準に適合し、かつ、第八条の十一各号のいずれにも該当しないこと。
その申請に係る第八条の九第一項第一号の事業の基本的な方針 及び申請額が、樹木採取権の移転をしようとする者の第八条の八第二項の申請書に記載された同号の事業の基本的な方針 及び申請額に照らして適当なものであること。
抵当権の設定が登録されている樹木採取権については、その抵当権者の同意がなければ、これを放棄することができない。
第二項の許可を受けないで、又は前項の同意を得ないでした樹木採取権の移転 又は放棄は、その効力を生じない。
法人の合併 その他の一般承継によつて樹木採取権を取得した者は、農林水産省令で定めるところにより、取得の日から三月以内に、第八条の九第一項各号に掲げる事項を記載した書類を添えて、その旨を農林水産大臣に届け出なければならない。
農林水産大臣は、前項の規定による届出が、次に掲げる基準に適合すると認めるときは、その旨をその届出をした者に通知し、当該基準に適合しないと認めるときは、樹木採取権を譲渡するために通常必要と認められる期間として農林水産省令で定める期間内に譲渡すべき旨をその届出をした者に通知しなければならない。
その届出をした者が、第八条の十第一項各号に掲げる基準に適合し、かつ、第八条の十一各号のいずれにも該当しないこと。
その届出に係る第八条の九第一項第一号の事業の基本的な方針 及び申請額が、被承継人の第八条の八第二項の申請書に記載された同号の事業の基本的な方針 及び申請額に照らして適当なものであること。
樹木採取権の存続期間は、五十年以内とする。
前項の規定による登録は、登記に代わるものとする。
第一項の規定による登録に関する処分については、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第二章 及び第三章の規定は、適用しない。
樹木採取権登録簿については、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号)の規定は、適用しない。
樹木採取権登録簿に記録されている保有個人情報(個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)第六十条第一項に規定する保有個人情報をいう。)については、同法第五章第四節の規定は、適用しない。
前各項に規定するもののほか、登録に関し必要な事項は、政令で定める。
農林水産大臣は、次の各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは、樹木採取権を取り消すことができる。
樹木採取権者が次のいずれかに該当するとき。
第八条の十一第一号、第二号、第四号 又は第五号に該当することとなつたとき。
第八条の十二第四項の納付期限までに権利設定料を納付しなかつたとき。
第八条の十三第一項 若しくは第二項の規定に違反して事業を開始しないとき、又は同条第三項の規定に違反して引き続き一年以上休業したとき。
ホに掲げる場合のほか、第八条の十四第二項第一号の樹木の採取に関する基準に適合しない樹木の採取をしたときその他の樹木採取権実施契約において定められた事項について重大な違反があつたとき。
第八条の十四第四項の規定による樹木料の納付をしないで樹木採取区における樹木を採取したとき。
第八条の十八第一項の規定による届出をしなかつたとき。
第八条の十八第二項の期間内に樹木採取権の譲渡がされないとき。
正当な理由がなく、前条の指示に従わないとき。
第八条の二十四において準用する第十三条各号に掲げる事項の実施を怠つたとき。
農林水産大臣は、前項の規定により、抵当権の設定が登録されている樹木採取権を取り消そうとするときは、あらかじめ、その旨を当該抵当権に係る抵当権者に通知しなければならない。
国は、前条第一項(第二号に係る部分に限る。以下この条において同じ。)の規定による樹木採取権の取消し 又は前条第三項の規定による樹木採取権の消滅(国の責めに帰すべき事由がある場合に限る。)によつて損失を受けた樹木採取権者 又は樹木採取権者であつた者(以下この条において単に「樹木採取権者」という。)に対して、通常生ずべき損失を補償しなければならない。
前項の規定による損失の補償については、国と樹木採取権者とが協議しなければならない。
前項の規定による協議が成立しない場合においては、国は、自己の見積もつた金額を樹木採取権者に支払わなければならない。
前項の補償金額に不服がある樹木採取権者は、その決定の通知を受けた日から六月以内に、訴えをもつて、その増額を請求することができる。
前項の訴えにおいては、国を被告とする。
前条第一項の規定により取り消された樹木採取権 又は同条第三項の規定により消滅した樹木採取権(国の責めに帰すべき事由により消滅した場合に限る。)の上に抵当権があるときは、当該抵当権に係る抵当権者から供託をしなくてもよい旨の申出がある場合を除き、国は、その補償金を供託しなければならない。
前項の抵当権者は、同項の規定により供託した補償金に対してその権利を行うことができる。
国は、第一項の規定による補償の原因となつた損失が前条第一項の規定による樹木採取権の取消しによるものであるときは、当該補償金額の全部 又は一部をその理由を生じさせた者に負担させることができる。
樹木採取権者については、第十三条の規定を準用する。
この場合において、
同条中
「分収林」とあるのは、
「樹木採取区」と
読み替えるものとする。
農林水産大臣は、樹木採取区内の採取跡地において国有林野事業として行う植栽の効率的な実施を図るため、当該樹木採取区に係る樹木採取権者に対し、当該植栽をその樹木の採取と一体的に行うよう申し入れるものとする。
この章に定めるもののほか、樹木採取権に関し必要な事項は、農林水産省令で定める。
第三章 分収造林
農林水産大臣は、国有林野について、契約により、国以外の者に造林させ、その収益を国 及び造林者が分収するものとすることができる。
前条の契約(以下「分収造林契約」という。)においては、次に掲げる事項を定めなければならない。
分収造林契約の目的たる国有林野(以下この章において「分収林」という。)の所在 及び面積
分収林につき、分収造林契約に基づき植栽した樹木(以下この章において「分収木」という。)は、国と造林者との共有とし、その持分は、当該契約に定められた収益分収の割合によるものとする。
根株は、国の所有とする。
但し、契約をもつて特別の定をすることができる。
民法(明治二十九年法律第八十九号)第二百五十六条の規定は、分収木には、適用しない。
分収造林契約の存続期間は、八十年を超えることができない。
ただし、農林水産大臣は、造林者から長伐期施業を行うため当該存続期間を延長したい旨の申出があつた場合において、分収林の有する公益的機能の維持増進を図るため適当であると認めるときは、これを延長することができる。
前項ただし書の規定により延長する期間は、一回ごとに八十年を超えることができない。
有害動物 及び有害植物の駆除 及び そのまん延の防止
分収造林契約のあつた後において天然に生じた樹木(第十一条第三項の規定により森林管理署長が指定したものを除く。)
植栽後二十年以内において保育のため伐採する分収木
造林者は、その権利を担保に供し、又は処分することができない。
ただし、森林管理局長の許可を受けた場合は、この限りでない。
造林者は、分収造林契約の目的以外の目的に分収林を使用してはならない。
ただし、分収造林契約の目的を妨げないと認めて森林管理局長が許可した場合は、この限りでない。
農林水産大臣は、次の各号の一に該当する場合には、分収造林契約を解除することができる。
ただし、造林者の責めに帰することができない場合は、この限りでない。
当該契約に定められた植栽期間の始期から一年を経過しても造林者が植栽に着手しないとき。
植栽を終わつた後五年を経過しても成林の見込みがないとき。
造林者が第十三条に掲げる事項の実施を怠つたとき。
前項の規定により分収造林契約を解除した場合には、植栽を終わつた樹木は、国の所有に帰する。
農林水産大臣は、第一項 又は前項の規定により分収造林契約を解除しようとするときは、造林者に対し、あらかじめ、理由を付して、その旨を通知し、公開による意見の聴取を行わなければならない。
この場合において、意見の聴取に際しては、造林者 又はその代理人は、当該事案について意見を述べ、かつ、証拠を提出することができる。
第三項の規定により分収造林契約を解除した場合には、国有財産法第二十四条第二項 及び第二十五条の規定を準用する。
この場合において、
同法第二十四条第二項中
「借受人」とあるのは、
「造林者」と
読み替えるものとする。
第四章 分収育林
農林水産大臣は、国有林野について、契約により、一定の土地に生育している樹木を国以外の者との共有とし、その者の持分の対価 並びに当該樹木について国が行う保育 及び管理(以下「育林」という。)に要する費用の一部をその者に支払わせ、育林による収益を国 及びその者(以下「費用負担者」という。)が分収するものとすることができる。
前条の契約(以下「分収育林契約」という。)においては、次に掲げる事項を定めなければならない。
分収育林契約の目的たる国有林野(以下この章において「分収林」という。)の所在 及び面積 並びに当該契約の目的たる樹木(以下この章において「分収木」という。)の樹種別 及び樹齢別の本数
分収育林契約の存続期間は、六十年を超えることができない。
ただし、農林水産大臣は、費用負担者から長伐期施業を行うため当該存続期間を延長したい旨の申出があつた場合において、分収林の有する公益的機能の維持増進を図るため適当であると認めるときは、これを延長することができる。
前項ただし書の規定により延長する期間は、一回ごとに六十年を超えることができない。
分収育林契約については、第十一条第二項から第四項まで 及び第十七条第三項から第五項までの規定を準用する。
この場合において、
同条第四項 及び第五項中
「造林者」とあるのは、
「費用負担者」と
読み替えるものとする。
第五章 共用林野
前項第三号の規定による権利を取得させる場合は、旧来の慣行 その他特別の事由があるときに限る。
第一項の規定により国有林野を使用する権利を取得させることを内容とする契約(以下「共用林野契約」という。)の相手方は、当該契約に基いて当該国有林野を使用することができる者(以下「共用者」という。)の住所地の属する市町村とする。
但し、市町村内の一定の区域に住所を有する者を共用者とする場合には、共用者の全員を相手方とすることを妨げない。
第一項の規定により国有林野を使用させる場合には、国有財産法第二十三条から第二十五条までの規定を準用する。
共用林野契約の目的たる国有林野(以下「共用林野」という。)の所在 及び面積
使用の対価(使用の対価を徴しないときは、その旨)
共用林野契約の存続期間は、五年をこえることができない。
共用林野契約において、使用の対価を徴しない旨の定をし、又は使用の対価を時価よりも低く定めることができるのは、当該契約に共用者が当該林野について第十三条に掲げる事項を行うべき旨の定がある場合に限る。
第十八条の規定により国有林野を使用させている場合には、第八条の四の規定を準用する。
前項の契約においては、共用者以外の者で当該区域内に住所を有し、かつ、当該契約に定める共用者としての要件を備えるものは、農林水産省令の定めるところにより当該契約に加入することを当該共用林野を管轄する森林管理署長 及び共用者の代表者に通知することによつて、共用者としての地位を取得する。
農林水産大臣は、共用者が左の各号の一に該当する場合には、共用林野契約を解除し、又はその者の使用を制限し、若しくは禁止することができる。
当該契約に共用者が第十三条に掲げる事項を行うべき旨の定がある場合において、正当な事由がないのに、その実施を怠つたとき。
前項の規定により共用林野契約を解除し、又は使用を制限し、若しくは禁止しようとする場合には、第十七条第四項の規定を準用する。
この場合において、
「造林者に対し」とあるのは
「共用林野契約の相手方 又は共用者に対し」と、
「造林者 又はその代理人」とあるのは
「共用林野契約の相手方 若しくは共用者 又はその代理人」と
読み替えるものとする。
共用者が共用林野に損害を与えたときは、市町村との共用林野契約である場合には当該市町村 及び共用者が、その他の場合には共用者が連帯してその損害を賠償しなければならない。
第六章 雑則
前項の規定により森林管理局長に委任された権限は、農林水産省令で定めるところにより、その一部を森林管理署長に委任することができる。
第七章 罰則
第六条の十五第二項の規定による調査業務の停止の命令に違反したときは、その違反行為をした指定調査機関の役員 又は職員は、一年以下の懲役 又は五十万円以下の罰金に処する。
次の各号の一に該当するときは、その行為をした指定調査機関の役員 又は職員は、三十万円以下の罰金に処する。
第六条の十一第一項の規定に違反し、又は同項の帳簿に虚偽の記載をしたとき。
第六条の十三第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは同項の規定による質問に対して陳述せず、若しくは虚偽の陳述をしたとき。
第六条の十四の許可を受けないで調査業務の全部を廃止したとき。