地方自治法

# 昭和二十二年法律第六十七号 #
略称 : 地自法 

第九章 財務

分類 法律
カテゴリ   地方自治
@ 施行日 : 令和六年一月一日 ( 2024年 1月1日 )
@ 最終更新 : 平成三十一年法律第三号による改正
最終編集日 : 2024年 03月18日 21時11分


第一節 会計年度及び会計の区分

1項

普通地方公共団体の会計年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わるものとする。

2項

各会計年度における歳出は、その年度の歳入をもつて、これに充てなければならない。

1項

普通地方公共団体の会計は、一般会計 及び特別会計とする。

2項

特別会計は、普通地方公共団体が特定の事業を行なう場合 その他特定の歳入をもつて特定の歳出に充て一般の歳入歳出と区分して経理する必要がある場合において、条例でこれを設置することができる。

第二節 予算

1項

一会計年度における一切の収入 及び支出は、すべてこれを歳入歳出予算に編入しなければならない。

1項

普通地方公共団体の長は、毎会計年度予算を調製し、年度開始前に、議会の議決を経なければならない。


この場合において、普通地方公共団体の長は、遅くとも年度開始前、都道府県 及び第二百五十二条の十九第一項に規定する指定都市にあつては三十日、その他の市 及び町村にあつては二十日までに当該予算を議会に提出するようにしなければならない。

2項

普通地方公共団体の長は、予算を議会に提出するときは、政令で定める予算に関する説明書をあわせて提出しなければならない。

1項

普通地方公共団体の経費をもつて支弁する事件でその履行に数年度を要するものについては、予算の定めるところにより、その経費の総額 及び年割額を定め、数年度にわたつて支出することができる。

2項

前項の規定により支出することができる経費は、これを継続費という。

1項

歳出予算の経費のうちその性質上 又は予算成立後の事由に基づき年度内にその支出を終わらない見込みのあるものについては、予算の定めるところにより、翌年度に繰り越して使用することができる。

2項

前項の規定により翌年度に繰り越して使用することができる経費は、これを繰越明許費という。

1項

歳出予算の金額、継続費の総額 又は繰越明許費の金額の範囲内におけるものを除くほか、普通地方公共団体が債務を負担する行為をするには、予算で債務負担行為として定めておかなければならない。

1項

予算は、次の各号に掲げる事項に関する定めから成るものとする。

一 号

歳入歳出予算

二 号

継続費

三 号

繰越明許費

四 号

債務負担行為

五 号

地方債

六 号

一時借入金

七 号

歳出予算の各項の経費の金額の流用

1項

歳入歳出予算は、歳入にあつては、その性質に従つて款に大別し、かつ、各款中においてはこれを項に区分し、歳出にあつては、その目的に従つてこれを款項に区分しなければならない。

1項

予算外の支出 又は予算超過の支出に充てるため、歳入歳出予算に予備費を計上しなければならない。


ただし、特別会計にあつては、予備費を計上しないことができる。

2項

予備費は、議会の否決した費途に充てることができない

1項

普通地方公共団体の長は、予算の調製後に生じた事由に基づいて、既定の予算に追加 その他の変更を加える必要が生じたときは、補正予算を調製し、これを議会に提出することができる。

2項

普通地方公共団体の長は、必要に応じて、一会計年度のうちの一定期間に係る暫定予算を調製し、これを議会に提出することができる。

3項

前項の暫定予算は、当該会計年度の予算が成立したときは、その効力を失うものとし、その暫定予算に基づく支出 又は債務の負担があるときは、その支出 又は債務の負担は、これを当該会計年度の予算に基づく支出 又は債務の負担とみなす。

4項

普通地方公共団体の長は、特別会計のうちその事業の経費を主として当該事業の経営に伴う収入をもつて充てるもので条例で定めるものについて、業務量の増加により業務のため直接必要な経費に不足を生じたときは、当該業務量の増加により増加する収入に相当する金額を当該経費(政令で定める経費を除く)に使用することができる。


この場合においては、普通地方公共団体の長は、次の会議においてその旨を議会に報告しなければならない。

1項

普通地方公共団体の議会の議長は、予算を定める議決があつたときは、その日から三日以内にこれを当該普通地方公共団体の長に送付しなければならない。

2項

普通地方公共団体の長は、前項の規定により予算の送付を受けた場合において、再議 その他の措置を講ずる必要がないと認めるときは、直ちに、その要領を住民に公表しなければならない。

1項

普通地方公共団体の長は、政令で定める基準に従つて予算の執行に関する手続を定め、これに従つて予算を執行しなければならない。

2項

歳出予算の経費の金額は、各款の間 又は各項の間において相互にこれを流用することができない


ただし、歳出予算の各項の経費の金額は、予算の執行上 必要がある場合に限り、予算の定めるところにより、これを流用することができる。

3項

繰越明許費の金額を除くほか、毎会計年度の歳出予算の経費の金額は、これを翌年度において使用することができない


ただし、歳出予算の経費の金額のうち、年度内に支出負担行為をし、避けがたい事故のため年度内に支出を終わらなかつたもの(当該支出負担行為に係る工事 その他の事業の遂行上の必要に基づきこれに関連して支出を要する経費の金額を含む。)は、これを翌年度に繰り越して使用することができる。

1項

普通地方公共団体の長は、予算の執行の適正を期するため、委員会 若しくは委員 又はこれらの管理に属する機関で権限を有するものに対して、収入 及び支出の実績 若しくは見込みについて報告を徴し、予算の執行状況を実地について調査し、又はその結果に基づいて必要な措置を講ずべきことを求めることができる。

2項

普通地方公共団体の長は、予算の執行の適正を期するため、工事の請負契約者、物品の納入者、補助金、交付金、貸付金等の交付 若しくは貸付けを受けた者(補助金、交付金、貸付金等の終局の受領者を含む。)又は調査、試験、研究等の委託を受けた者に対して、その状況を調査し、又は報告を徴することができる。

3項

前二項の規定は、普通地方公共団体が出資している法人で政令で定めるもの、普通地方公共団体が借入金の元金 若しくは利子の支払を保証し、又は損失補償を行う等 その者のために債務を負担している法人で政令で定めるもの 及び普通地方公共団体が受益権を有する信託で政令で定めるものの受託者にこれを準用する。

1項

普通地方公共団体の長は、条例 その他議会の議決を要すべき案件があらたに予算を伴うこととなるものであるときは、必要な予算上の措置が適確に講ぜられる見込みが得られるまでの間は、これを議会に提出してはならない。

2項

普通地方公共団体の長、委員会 若しくは委員 又はこれらの管理に属する機関は、その権限に属する事務に関する規則 その他の規程の制定 又は改正があらたに予算を伴うこととなるものであるときは、必要な予算上の措置が適確に講ぜられることとなるまでの間は、これを制定し、又は改正してはならない。

第三節 収入

1項

普通地方公共団体は、法律の定めるところにより、地方税を賦課徴収することができる。

1項

普通地方公共団体は、政令で定める場合を除くほか、数人 又は普通地方公共団体の一部に対し利益のある事件に関し、その必要な費用に充てるため、当該事件により特に利益を受ける者から、その受益の限度において、分担金を徴収することができる。

1項

普通地方公共団体は、第二百三十八条の四第七項の規定による許可を受けてする行政財産の使用 又は公の施設の利用につき使用料を徴収することができる。

1項

市町村は、第二百三十八条の六の規定による公有財産の使用につき使用料を徴収することができるほか、同条第二項の規定により使用の許可を受けた者から加入金を徴収することができる。

1項

普通地方公共団体は、当該普通地方公共団体の事務で特定の者のためにするものにつき、手数料を徴収することができる。

1項

分担金、使用料、加入金 及び手数料に関する事項については、条例でこれを定めなければならない。


この場合において、手数料について全国的に統一して定めることが特に必要と認められるものとして政令で定める事務(以下本項において「標準事務」という。)について手数料を徴収する場合においては、当該標準事務に係る事務のうち政令で定めるものにつき、政令で定める金額の手数料を徴収することを標準として条例を定めなければならない。

2項

分担金、使用料、加入金 及び手数料の徴収に関しては、次項に定めるものを除くほか、条例で五万円以下の過料を科する規定を設けることができる。

3項

詐欺 その他不正の行為により、分担金、使用料、加入金 又は手数料の徴収を免れた者については、条例でその徴収を免れた金額の五倍に相当する金額(当該五倍に相当する金額が五万円を超えないときは、五万円とする。)以下の過料を科する規定を設けることができる。

1項

普通地方公共団体の長以外の機関がした分担金、使用料、加入金 又は手数料の徴収に関する処分についての審査請求は、普通地方公共団体の長が当該機関の最上級行政庁でない場合においても、当該普通地方公共団体の長に対してするものとする。

2項

普通地方公共団体の長は、分担金、使用料、加入金 又は手数料の徴収に関する処分についての審査請求がされた場合には、当該審査請求が不適法であり、却下するときを除き、議会に諮問した上、当該審査請求に対する裁決をしなければならない。

3項

議会は、前項の規定による諮問を受けた日から二十日以内に意見を述べなければならない。

4項

普通地方公共団体の長は、第二項の規定による諮問をしないで同項の審査請求を却下したときは、その旨を議会に報告しなければならない。

5項

第二項の審査請求に対する裁決を経た後でなければ、同項の処分については、裁判所に出訴することができない

1項

普通地方公共団体は、別に法律で定める場合において、予算の定めるところにより、地方債を起こすことができる。

2項

前項の場合において、地方債の起債の目的、限度額、起債の方法、利率 及び償還の方法は、予算でこれを定めなければならない。

1項

普通地方公共団体の歳入を収入するときは、政令の定めるところにより、これを調定し、納入義務者に対して納入の通知をしなければならない。

1項

普通地方公共団体は、使用料 又は手数料の徴収については、条例の定めるところにより、証紙による収入の方法によることができる。

2項

証紙による収入の方法による場合においては、証紙の売りさばき代金をもつて歳入とする。

3項

証紙による収入の方法によるものを除くほか、普通地方公共団体の歳入は、第二百三十五条の規定により金融機関が指定されている場合においては、政令の定めるところにより、口座振替の方法により、又は証券をもつて納付することができる。

4項

前項の規定により納付された証券を支払の提示期間内 又は有効期間内に提示し、支払の請求をした場合において、支払の拒絶があつたときは、当該歳入は、はじめから納付がなかつたものとみなす。


この場合における当該証券の処分に関し必要な事項は、政令で定める。

5項

証紙による収入の方法によるものを除くほか、普通地方公共団体の歳入については、第二百三十五条の規定により金融機関を指定していない市町村においては、政令の定めるところにより、納入義務者から証券の提供を受け、その証券の取立て 及びその取り立てた金銭による納付の委託を受けることができる。

1項

普通地方公共団体の歳入(第二百三十五条の四第三項に規定する歳入歳出外現金を含む。以下「歳入等」という。)を納付しようとする者は、次の各号いずれかに該当するときは、指定納付受託者(次条第一項に規定する指定納付受託者をいう。第二号において同じ。)に納付を委託することができる。

一 号
歳入等の納付の通知に係る書面で総務省令で定めるものに基づき納付しようとするとき。
二 号
電子情報処理組織を使用して行う指定納付受託者に対する通知で総務省令で定めるものに基づき納付しようとするとき。
1項

歳入等の納付に関する事務(以下「納付事務」という。)を適切かつ確実に遂行することができる者として政令で定める者のうち普通地方公共団体の長が総務省令で定めるところにより指定するもの(以下「指定納付受託者」という。)は、総務省令で定めるところにより、歳入等を納付しようとする者の委託を受けて、納付事務を行うことができる。

2項

普通地方公共団体の長は、前項の規定による指定をしたときは、指定納付受託者の名称、住所 又は事務所の所在地 その他総務省令で定める事項を告示しなければならない。

3項

指定納付受託者は、その名称、住所 又は事務所の所在地を変更しようとするときは、総務省令で定めるところにより、あらかじめ、その旨を普通地方公共団体の長に届け出なければならない。

4項

普通地方公共団体の長は、前項の規定による届出があつたときは、当該届出に係る事項を告示しなければならない。

1項

第二百三十一条の二の二の規定により歳入等を納付しようとする者の委託を受けた指定納付受託者は、当該委託を受けた納付事務の一部を、納付事務を適切かつ確実に遂行することができる者として政令で定める者に委託することができる。

1項

指定納付受託者は、第二百三十一条の二の二の規定により歳入等を納付しようとする者の委託を受けたときは、普通地方公共団体が指定する日までに当該委託を受けた歳入等を納付しなければならない。

2項

指定納付受託者は、第二百三十一条の二の二の規定により歳入等を納付しようとする者の委託を受けたときは、遅滞なく、総務省令で定めるところにより、その旨 及び当該委託を受けた年月日を普通地方公共団体の長に報告しなければならない。

3項

第一項の場合において、当該指定納付受託者が同項の指定する日までに当該歳入等を納付したときは、当該委託を受けた日に当該歳入等の納付がされたものとみなす。

1項

指定納付受託者は、総務省令で定めるところにより、帳簿を備え付け、これに納付事務に関する事項を記載し、及びこれを保存しなければならない。

2項

普通地方公共団体の長は、前三条この条 及び第二百三十一条の四の規定を施行するため必要があると認めるときは、その必要な限度で、総務省令で定めるところにより、指定納付受託者に対し、報告をさせることができる。

3項

普通地方公共団体の長は、前三条この条 及び第二百三十一条の四の規定を施行するため必要があると認めるときは、その必要な限度で、その職員に、指定納付受託者の事務所に立ち入り、指定納付受託者の帳簿書類(その作成 又は保存に代えて電磁的記録の作成 又は保存がされている場合における当該電磁的記録を含む。)その他必要な物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。

4項

前項の規定により立入検査を行う職員は、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。

5項

第三項に規定する権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

1項

普通地方公共団体の長は、指定納付受託者が次の各号いずれかに該当するときは、総務省令で定めるところにより、第二百三十一条の二の三第一項の規定による指定を取り消すことができる。

一 号

第二百三十一条の二の三第一項に規定する政令で定める者に該当しなくなつたとき。

二 号

第二百三十一条の二の五第二項 又は前条第二項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。

三 号

前条第一項の規定に違反して、帳簿を備え付けず、帳簿に記載せず、若しくは帳簿に虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかつたとき。

四 号

前条第三項の規定による立入り若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は同項の規定による質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をしたとき。

2項

普通地方公共団体の長は、前項の規定により指定を取り消したときは、その旨を告示しなければならない。

1項

分担金、使用料、加入金、手数料、過料 その他の普通地方公共団体の歳入を納期限までに納付しない者があるときは、普通地方公共団体の長は、期限を指定してこれを督促しなければならない。

2項

普通地方公共団体の長は、前項の歳入について同項の規定による督促をした場合には、条例で定めるところにより、手数料 及び延滞金を徴収することができる。

3項

普通地方公共団体の長は、分担金、加入金、過料 又は法律で定める使用料 その他の普通地方公共団体の歳入(以下 この項 及び次条第一項において「分担金等」という。)につき第一項の規定による督促を受けた者が同項の規定により指定された期限までにその納付すべき金額を納付しないときは、当該分担金等 並びに当該分担金等に係る前項の手数料 及び延滞金について、地方税の滞納処分の例により処分することができる。


この場合におけるこれらの徴収金の先取特権の順位は、国税 及び地方税に次ぐものとする。

4項

第一項の歳入 並びに第二項の手数料 及び延滞金の還付 並びにこれらの徴収金の徴収 又は還付に関する書類の送達 及び公示送達については、地方税の例による。

5項

普通地方公共団体の長以外の機関がした前各項の規定による処分についての審査請求は、普通地方公共団体の長が当該機関の最上級行政庁でない場合においても、当該普通地方公共団体の長に対してするものとする。

6項

第三項の規定により普通地方公共団体の長が地方税の滞納処分の例によりした処分についての審査請求については、地方税法昭和二十五年法律第二百二十六号)第十九条の四の規定を準用する。

7項

普通地方公共団体の長は、第一項から第四項までの規定による処分についての審査請求がされた場合には、当該審査請求が不適法であり、却下するときを除き、議会に諮問した上、当該審査請求に対する裁決をしなければならない。

8項

議会は、前項の規定による諮問を受けた日から二十日以内に意見を述べなければならない。

9項

普通地方公共団体の長は、第七項の規定による諮問をしないで同項の審査請求を却下したときは、その旨を議会に報告しなければならない。

10項

第七項の審査請求に対する裁決を経た後でなければ、第一項から第四項までの規定による処分については、裁判所に出訴することができない

11項

第三項の規定による処分中 差押物件の公売は、その処分が確定するまで執行を停止する。

12項

第三項の規定による処分は、当該普通地方公共団体の区域外においても、することができる。

1項

指定納付受託者が第二百三十一条の二の五第一項の歳入等(分担金等であるものに限る。以下 この項において同じ。)を同条第一項の指定する日までに納付しない場合における当該歳入等の徴収については、地方税法第十三条の四の規定を準用する。


この場合における当該歳入等に係る徴収金の先取特権の順位は、国税 及び地方税に次ぐものとする。

2項

普通地方公共団体の長以外の機関がした前項前段において準用する地方税法第十三条の四第一項の規定による処分についての審査請求は、普通地方公共団体の長が当該機関の最上級行政庁でない場合においても、当該普通地方公共団体の長に対してするものとする。

3項

第一項前段において準用する地方税法第十三条の四第一項の規定により普通地方公共団体の長がした処分についての審査請求については、同法第十九条の四の規定を準用する。

4項

普通地方公共団体の長は、第一項前段において準用する地方税法第十三条の四第一項の規定による処分についての審査請求がされた場合には、当該審査請求が不適法であり、却下するときを除き、議会に諮問した上、当該審査請求に対する裁決をしなければならない。

5項

議会は、前項の規定による諮問を受けた日から二十日以内に意見を述べなければならない。

6項

普通地方公共団体の長は、第四項の規定による諮問をしないで同項の審査請求を却下したときは、その旨を議会に報告しなければならない。

7項

第四項の審査請求に対する裁決を経た後でなければ、第一項前段において準用する地方税法第十三条の四第一項の規定による処分については、裁判所に出訴することができない

8項

第一項前段において準用する地方税法第十三条の四第一項の規定による処分中差押物件の公売は、その処分が確定するまで執行を停止する。

9項

第一項前段において準用する地方税法第十三条の四第一項の規定による処分は、当該普通地方公共団体の区域外においても、することができる。

第四節 支出

1項

普通地方公共団体は、当該普通地方公共団体の事務を処理するために必要な経費 その他法律 又はこれに基づく政令により当該普通地方公共団体の負担に属する経費を支弁するものとする。

2項

法律 又はこれに基づく政令により普通地方公共団体に対し事務の処理を義務付ける場合においては、国は、そのために要する経費の財源につき必要な措置を講じなければならない。

1項

普通地方公共団体は、その公益上 必要がある場合においては、寄附 又は補助をすることができる。

1項

普通地方公共団体の支出の原因となるべき契約 その他の行為(これを支出負担行為という。)は、法令 又は予算の定めるところに従い、これをしなければならない。

1項

会計管理者は、普通地方公共団体の長の政令で定めるところによる命令がなければ、支出をすることができない

2項

会計管理者は、前項の命令を受けた場合においても、当該支出負担行為が法令 又は予算に違反していないこと 及び当該支出負担行為に係る債務が確定していることを確認したうえでなければ、支出をすることができない

1項

普通地方公共団体の支出は、債権者のためでなければ、これをすることができない

2項

普通地方公共団体の支出は、政令の定めるところにより、資金前渡、概算払、前金払、繰替払、隔地払 又は口座振替の方法によつてこれをすることができる。

1項

第二百三十五条の規定により金融機関を指定している普通地方公共団体における支出は、政令の定めるところにより、現金の交付に代え、当該金融機関を支払人とする小切手を振り出し、又は公金振替書を当該金融機関に交付してこれをするものとする。


ただし、小切手を振り出すべき場合において、債権者から申出があるときは、会計管理者は、自ら現金で小口の支払をし、又は当該金融機関をして現金で支払をさせることができる。

2項

前項の金融機関は、会計管理者の振り出した小切手の提示を受けた場合において、その小切手が振出日付から十日以上を経過しているものであつても一年を経過しないものであるときは、その支払をしなければならない。

第五節 決算

1項

会計管理者は、毎会計年度、政令で定めるところにより、決算を調製し、出納の閉鎖後三箇月以内に、証書類 その他政令で定める書類と併せて、普通地方公共団体の長に提出しなければならない。

2項

普通地方公共団体の長は、決算 及び前項の書類を監査委員の審査に付さなければならない。

3項

普通地方公共団体の長は、前項の規定により監査委員の審査に付した決算を監査委員の意見を付けて次の通常予算を議する会議までに議会の認定に付さなければならない。

4項

前項の規定による意見の決定は、監査委員の合議によるものとする。

5項

普通地方公共団体の長は、第三項の規定により決算を議会の認定に付するに当たつては、当該決算に係る会計年度における主要な施策の成果を説明する書類 その他政令で定める書類を併せて提出しなければならない。

6項

普通地方公共団体の長は、第三項の規定により議会の認定に付した決算の要領を住民に公表しなければならない。

7項

普通地方公共団体の長は、第三項の規定による決算の認定に関する議案が否決された場合において、当該議決を踏まえて必要と認める措置を講じたときは、速やかに、当該措置の内容を議会に報告するとともに、これを公表しなければならない。

1項

各会計年度において決算上剰余金を生じたときは、翌年度の歳入に編入しなければならない。


ただし、条例の定めるところにより、又は普通地方公共団体の議会の議決により、剰余金の全部 又は一部を翌年度に繰り越さないで基金に編入することができる。

第六節 契約

1項

売買、貸借、請負 その他の契約は、一般競争入札、指名競争入札、随意契約 又はせり売りの方法により締結するものとする。

2項

前項の指名競争入札、随意契約 又はせり売りは、政令で定める場合に該当するときに限り、これによることができる。

3項

普通地方公共団体は、一般競争入札 又は指名競争入札(以下この条において「競争入札」という。)に付する場合においては、政令の定めるところにより、契約の目的に応じ、予定価格の制限の範囲内で最高 又は最低の価格をもつて申込みをした者を契約の相手方とするものとする。


ただし、普通地方公共団体の支出の原因となる契約については、政令の定めるところにより、予定価格の制限の範囲内の価格をもつて申込みをした者のうち最低の価格をもつて申込みをした者以外の者を契約の相手方とすることができる。

4項

普通地方公共団体が競争入札につき入札保証金を納付させた場合において、落札者が契約を締結しないときは、その者の納付に係る入札保証金(政令の定めるところによりその納付に代えて提供された担保を含む。)は、当該普通地方公共団体に帰属するものとする。

5項

普通地方公共団体が契約につき契約書 又は契約内容を記録した電磁的記録を作成する場合においては、当該普通地方公共団体の長 又はその委任を受けた者が契約の相手方とともに、契約書に記名押印し、又は契約内容を記録した電磁的記録に当該普通地方公共団体の長 若しくはその委任を受けた者 及び契約の相手方の作成に係るものであることを示すために講ずる措置であつて、当該電磁的記録が改変されているかどうかを確認することができる等 これらの者の作成に係るものであることを確実に示すことができるものとして総務省令で定めるものを講じなければ、当該契約は、確定しないものとする。

6項

競争入札に加わろうとする者に必要な資格、競争入札における公告 又は指名の方法、随意契約 及びせり売りの手続 その他契約の締結の方法に関し必要な事項は、政令でこれを定める。

1項

普通地方公共団体が工事 若しくは製造 その他についての請負契約 又は物件の買入れ その他の契約を締結した場合においては、当該普通地方公共団体の職員は、政令の定めるところにより、契約の適正な履行を確保するため又はその受ける給付の完了の確認(給付の完了前に代価の一部を支払う必要がある場合において行なう工事 若しくは製造の既済部分 又は物件の既納部分の確認を含む。)をするため必要な監督 又は検査をしなければならない。

2項

普通地方公共団体が契約の相手方をして契約保証金を納付させた場合において、契約の相手方が契約上の義務を履行しないときは、その契約保証金(政令の定めるところによりその納付に代えて提供された担保を含む。)は、当該普通地方公共団体に帰属するものとする。


ただし、損害の賠償 又は違約金について契約で別段の定めをしたときは、その定めたところによるものとする。

1項

普通地方公共団体は、第二百十四条の規定にかかわらず、翌年度以降にわたり、電気、ガス 若しくは水の供給 若しくは電気通信役務の提供を受ける契約 又は不動産を借りる契約 その他政令で定める契約を締結することができる。


この場合においては、各年度におけるこれらの経費の予算の範囲内においてその給付を受けなければならない。

第七節 現金及び有価証券

1項

都道府県は、政令の定めるところにより、金融機関を指定して、都道府県の公金の収納 又は支払の事務を取り扱わせなければならない。

2項

市町村は、政令の定めるところにより、金融機関を指定して、市町村の公金の収納 又は支払の事務を取り扱わせることができる。

1項

普通地方公共団体の現金の出納は、毎月例日を定めて監査委員がこれを検査しなければならない。

2項

監査委員は、必要があると認めるとき、又は普通地方公共団体の長の要求があるときは、前条の規定により指定された金融機関が取り扱う当該普通地方公共団体の公金の収納 又は支払の事務について監査することができる。

3項

監査委員は、第一項の規定による検査の結果に関する報告 又は前項の規定による監査の結果に関する報告を普通地方公共団体の議会 及び長に提出しなければならない。

1項

普通地方公共団体の長は、歳出予算内の支出をするため、一時借入金を借り入れることができる。

2項

前項の規定による一時借入金の借入れの最高額は、予算でこれを定めなければならない。

3項

第一項の規定による一時借入金は、その会計年度の歳入をもつて償還しなければならない。

1項

普通地方公共団体の歳入歳出に属する現金(以下「歳計現金」という。)は、政令の定めるところにより、最も確実かつ有利な方法によりこれを保管しなければならない。

2項

債権の担保として徴するもののほか、普通地方公共団体の所有に属しない現金 又は有価証券は、法律 又は政令の規定によるのでなければ、これを保管することができない

3項

法令 又は契約に特別の定めがあるものを除くほか、普通地方公共団体が保管する前項の現金(以下「歳入歳出外現金」という。)には、利子を付さない。

1項

普通地方公共団体の出納は、翌年度の五月三十一日をもつて閉鎖する。

第八節 時効

1項

金銭の給付を目的とする普通地方公共団体の権利は、時効に関し他の法律に定めがあるものを除くほか、これを行使することができる時から五年間行使しないときは、時効によつて消滅する。


普通地方公共団体に対する権利で、金銭の給付を目的とするものについても、また同様とする。

2項

金銭の給付を目的とする普通地方公共団体の権利の時効による消滅については、法律に特別の定めがある場合を除くほか、時効の援用を要せず、また、その利益を放棄することができないものとする。


普通地方公共団体に対する権利で、金銭の給付を目的とするものについても、また同様とする。

3項

金銭の給付を目的とする普通地方公共団体の権利について、消滅時効の完成猶予、更新 その他の事項(前項に規定する事項を除く)に関し、適用すべき法律の規定がないときは、民法明治二十九年法律第八十九号)の規定を準用する。


普通地方公共団体に対する権利で、金銭の給付を目的とするものについても、また同様とする。

4項

法令の規定により普通地方公共団体がする納入の通知 及び督促は、時効の更新の効力を有する。

第九節 財産

第一款 公有財産

1項

この法律において「公有財産」とは、普通地方公共団体の所有に属する財産のうち次に掲げるもの(基金に属するものを除く)をいう。

一 号

不動産

二 号

船舶、浮標、浮桟橋 及び浮ドック 並びに航空機

三 号

前二号に掲げる不動産 及び動産の従物

四 号

地上権、地役権、鉱業権 その他これらに準ずる権利

五 号

特許権、著作権、商標権、実用新案権 その他これらに準ずる権利

六 号

株式、社債(特別の法律により設立された法人の発行する債券に表示されるべき権利を含み、短期社債等を除く)、地方債 及び国債 その他これらに準ずる権利

七 号

出資による権利

八 号

財産の信託の受益権

2項

前項第六号の「短期社債等」とは、次に掲げるものをいう。

一 号

社債、株式等の振替に関する法律平成十三年法律第七十五号)第六十六条第一号に規定する短期社債

二 号

投資信託及び投資法人に関する法律昭和二十六年法律第百九十八号)第百三十九条の十二第一項に規定する短期投資法人債

三 号

信用金庫法昭和二十六年法律第二百三十八号)第五十四条の四第一項に規定する短期債

四 号

保険業法平成七年法律第百五号)第六十一条の十第一項に規定する短期社債

五 号

資産の流動化に関する法律平成十年法律第百五号)第二条第八項に規定する特定短期社債

六 号

農林中央金庫法平成十三年法律第九十三号)第六十二条の二第一項に規定する短期農林債

3項

公有財産は、これを行政財産普通財産とに分類する。

4項

行政財産とは、普通地方公共団体において公用 又は公共用に供し、又は供することと決定した財産をいい、普通財産とは、行政財産以外の一切の公有財産をいう。

1項

普通地方公共団体の長は、公有財産の効率的運用を図るため必要があると認めるときは、委員会 若しくは委員 又はこれらの管理に属する機関で権限を有するものに対し、公有財産の取得 又は管理について、報告を求め、実地について調査し、又はその結果に基づいて必要な措置を講ずべきことを求めることができる。

2項

普通地方公共団体の委員会 若しくは委員 又はこれらの管理に属する機関で権限を有するものは、公有財産を取得し、又は行政財産の用途を変更し、若しくは第二百三十八条の四第二項 若しくは第三項同条第四項において準用する場合を含む。)の規定による行政財産である土地の貸付け 若しくはこれに対する地上権 若しくは地役権の設定 若しくは同条第七項の規定による行政財産の使用の許可で当該普通地方公共団体の長が指定するものをしようとするときは、あらかじめ当該普通地方公共団体の長に協議しなければならない。

3項

普通地方公共団体の委員会 若しくは委員 又はこれらの管理に属する機関で権限を有するものは、その管理に属する行政財産の用途を廃止したときは、直ちにこれを当該普通地方公共団体の長に引き継がなければならない。

1項

公有財産に関する事務に従事する職員は、その取扱いに係る公有財産を譲り受け、又は自己の所有物と交換することができない

2項

前項の規定に違反する行為は、これを無効とする。

1項

行政財産は、次項から第四項までに定めるものを除くほか、これを貸し付け、交換し、売り払い、譲与し、出資の目的とし、若しくは信託し、又はこれに私権を設定することができない

2項

行政財産は、次に掲げる場合には、その用途 又は目的を妨げない限度において、貸し付け、又は私権を設定することができる。

一 号

当該普通地方公共団体以外の者が行政財産である土地の上に政令で定める堅固な建物 その他の土地に定着する工作物であつて当該行政財産である土地の供用の目的を効果的に達成することに資すると認められるものを所有し、又は所有しようとする場合(当該普通地方公共団体と一棟の建物を区分して所有する場合を除く)において、その者(当該行政財産を管理する普通地方公共団体が当該行政財産の適正な方法による管理を行う上で適当と認める者に限る)に当該土地を貸し付けるとき。

二 号

普通地方公共団体が国、他の地方公共団体 又は政令で定める法人と行政財産である土地の上に一棟の建物を区分して所有するためその者に当該土地を貸し付ける場合

三 号

普通地方公共団体が行政財産である土地 及びその隣接地の上に当該普通地方公共団体以外の者と一棟の建物を区分して所有するためその者(当該建物のうち行政財産である部分を管理する普通地方公共団体が当該行政財産の適正な方法による管理を行う上で適当と認める者に限る)に当該土地を貸し付ける場合

四 号

行政財産のうち庁舎 その他の建物 及びその附帯施設 並びにこれらの敷地(以下 この号において「庁舎等」という。)についてその床面積 又は敷地に余裕がある場合として政令で定める場合において、当該普通地方公共団体以外の者(当該庁舎等を管理する普通地方公共団体が当該庁舎等の適正な方法による管理を行う上で適当と認める者に限る)に当該余裕がある部分を貸し付けるとき(前三号に掲げる場合に該当する場合を除く)。

五 号

行政財産である土地を国、他の地方公共団体又は政令で定める法人の経営する鉄道道路 その他政令で定める施設の用に供する場合において、その者のために当該土地に地上権を設定するとき。

六 号

行政財産である土地を国、他の地方公共団体 又は政令で定める法人の使用する電線路 その他政令で定める施設の用に供する場合において、その者のために当該土地に地役権を設定するとき。

3項

前項第二号に掲げる場合において、当該行政財産である土地の貸付けを受けた者が当該土地の上に所有する一棟の建物の一部(以下 この項 及び次項において「特定施設」という。)を当該普通地方公共団体以外の者に譲渡しようとするときは、当該特定施設を譲り受けようとする者(当該行政財産を管理する普通地方公共団体が当該行政財産の適正な方法による管理を行う上で適当と認める者に限る)に当該土地を貸し付けることができる。

4項

前項の規定は、同項この項において準用する場合を含む。)の規定により行政財産である土地の貸付けを受けた者が当該特定施設を譲渡しようとする場合について準用する。

5項

前三項の場合においては、次条第四項 及び第五項の規定を準用する。

6項

第一項の規定に違反する行為は、これを無効とする。

7項

行政財産は、その用途 又は目的を妨げない限度においてその使用を許可することができる。

8項

前項の規定による許可を受けてする行政財産の使用については、借地借家法(平成三年法律第九十号)の規定は、これを適用しない

9項

第七項の規定により行政財産の使用を許可した場合において、公用 若しくは公共用に供するため必要を生じたとき、又は許可の条件に違反する行為があると認めるときは、普通地方公共団体の長 又は委員会は、その許可を取り消すことができる。

1項

普通財産は、これを貸し付け、交換し、売り払い、譲与し、若しくは出資の目的とし、又はこれに私権を設定することができる。

2項

普通財産である土地(その土地の定着物を含む。)は、当該普通地方公共団体を受益者として政令で定める信託の目的により、これを信託することができる。

3項

普通財産のうち国債 その他の政令で定める有価証券(以下 この項において「国債等」という。)は、当該普通地方公共団体を受益者として、指定金融機関 その他の確実な金融機関に国債等をその価額に相当する担保の提供を受けて貸し付ける方法により当該国債等を運用することを信託の目的とする場合に限り、信託することができる。

4項

普通財産を貸し付けた場合において、その貸付期間中に国、地方公共団体 その他公共団体において公用 又は公共用に供するため必要を生じたときは、普通地方公共団体の長は、その契約を解除することができる。

5項

前項の規定により契約を解除した場合においては、借受人は、これによつて生じた損失につきその補償を求めることができる。

6項

普通地方公共団体の長が一定の用途 並びにその用途に供しなければならない期日 及び期間を指定して普通財産を貸し付けた場合において、借受人が指定された期日を経過してもなお これをその用途に供せず、又はこれをその用途に供した後指定された期間内にその用途を廃止したときは、当該普通地方公共団体の長は、その契約を解除することができる。

7項

第四項 及び第五項の規定は貸付け以外の方法により普通財産を使用させる場合に、前項の規定は普通財産を売り払い、又は譲与する場合に準用する。

8項

第四項から第六項までの規定は、普通財産である土地(その土地の定着物を含む。)を信託する場合に準用する。

9項

第七項に定めるもののほか 普通財産の売払いに関し必要な事項 及び普通財産の交換に関し必要な事項は、政令でこれを定める。

1項

旧来の慣行により市町村の住民中特に公有財産を使用する権利を有する者があるときは、その旧慣による。


その旧慣を変更し、又は廃止しようとするときは、市町村の議会の議決を経なければならない。

2項

前項の公有財産をあらたに使用しようとする者があるときは、市町村長は、議会の議決を経て、これを許可することができる。

1項

第二百三十八条の四の規定により普通地方公共団体の長以外の機関がした行政財産を使用する権利に関する処分についての審査請求は、普通地方公共団体の長が当該機関の最上級行政庁でない場合においても、当該普通地方公共団体の長に対してするものとする。

2項

普通地方公共団体の長は、行政財産を使用する権利に関する処分についての審査請求がされた場合には、当該審査請求が不適法であり、却下するときを除き、議会に諮問した上、当該審査請求に対する裁決をしなければならない。

3項

議会は、前項の規定による諮問を受けた日から二十日以内に意見を述べなければならない。

4項

普通地方公共団体の長は、第二項の規定による諮問をしないで同項の審査請求を却下したときは、その旨を議会に報告しなければならない。

第二款 物品

1項

この法律において「物品」とは、普通地方公共団体の所有に属する動産で次の各号に掲げるもの以外のもの及び普通地方公共団体が使用のために保管する動産(政令で定める動産を除く)をいう。

一 号

現金(現金に代えて納付される証券を含む。

二 号

公有財産に属するもの

三 号

基金に属するもの

2項

物品に関する事務に従事する職員は、その取扱いに係る物品(政令で定める物品を除く)を普通地方公共団体から譲り受けることができない

3項

前項の規定に違反する行為は、これを無効とする。

4項

前二項に定めるもののほか、物品の管理 及び処分に関し必要な事項は、政令でこれを定める。

5項

普通地方公共団体の所有に属しない動産で普通地方公共団体が保管するもの(使用のために保管するものを除く)のうち政令で定めるもの(以下「占有動産」という。)の管理に関し必要な事項は、政令でこれを定める。

第三款 債権

1項

この章において「債権」とは、金銭の給付を目的とする普通地方公共団体の権利をいう。

2項

普通地方公共団体の長は、債権について、政令の定めるところにより、その督促、強制執行 その他その保全 及び取立てに関し必要な措置をとらなければならない。

3項

普通地方公共団体の長は、債権について、政令の定めるところにより、その徴収停止、履行期限の延長 又は当該債権に係る債務の免除をすることができる。

4項

前二項の規定は、次の各号に掲げる債権については、これを適用しない

一 号

地方税法の規定に基づく徴収金に係る債権

二 号

過料に係る債権

三 号

証券に化体されている債権(国債に関する法律明治三十九年法律第三十四号)の規定により登録されたもの 及び社債、株式等の振替に関する法律の規定により振替口座簿に記載され、又は記録されたものを含む。

四 号

電子記録債権法平成十九年法律第百二号)第二条第一項に規定する電子記録債権

五 号

預金に係る債権

六 号

歳入歳出外現金となるべき金銭の給付を目的とする債権

七 号

寄附金に係る債権

八 号

基金に属する債権

第四款 基金

1項

普通地方公共団体は、条例の定めるところにより、特定の目的のために財産を維持し、資金を積み立て、又は定額の資金を運用するための基金を設けることができる。

2項

基金は、これを前項の条例で定める特定の目的に応じ、及び確実かつ効率的に運用しなければならない。

3項

第一項の規定により特定の目的のために財産を取得し、又は資金を積み立てるための基金を設けた場合においては、当該目的のためでなければこれを処分することができない

4項

基金の運用から生ずる収益 及び基金の管理に要する経費は、それぞれ毎会計年度の歳入歳出予算に計上しなければならない。

5項

第一項の規定により特定の目的のために定額の資金を運用するための基金を設けた場合においては、普通地方公共団体の長は、毎会計年度、その運用の状況を示す書類を作成し、これを監査委員の審査に付し、その意見を付けて、第二百三十三条第五項の書類と併せて議会に提出しなければならない。

6項

前項の規定による意見の決定は、監査委員の合議によるものとする。

7項

基金の管理については、基金に属する財産の種類に応じ、収入 若しくは支出の手続、歳計現金の出納 若しくは保管、公有財産 若しくは物品の管理 若しくは処分 又は債権の管理の例による。

8項

第二項から前項までに定めるもののほか、基金の管理 及び処分に関し必要な事項は、条例でこれを定めなければならない。

1項

この法律において「財産」とは、公有財産、物品 及び債権 並びに基金をいう。

2項

第二百三十八条の四第一項の規定の適用がある場合を除き、普通地方公共団体の財産は、条例 又は議会の議決による場合でなければ、これを交換し、出資の目的とし、若しくは支払手段として使用し、又は適正な対価なくしてこれを譲渡し、若しくは貸し付けてはならない。

3項

普通地方公共団体の財産は、第二百三十八条の五第二項の規定の適用がある場合で議会の議決によるとき又は同条第三項の規定の適用がある場合でなければ、これを信託してはならない

第十節 住民による監査請求及び訴訟

1項

普通地方公共団体の住民は、当該普通地方公共団体の長 若しくは委員会 若しくは委員 又は当該普通地方公共団体の職員について、違法 若しくは不当な公金の支出、財産の取得、管理 若しくは処分、契約の締結 若しくは履行 若しくは債務 その他の義務の負担がある(当該行為がなされることが相当の確実さをもつて予測される場合を含む。)と認めるとき、又は違法 若しくは不当に公金の賦課 若しくは徴収 若しくは財産の管理を怠る事実(以下「怠る事実」という。)があると認めるときは、これらを証する書面を添え、監査委員に対し、監査を求め、当該行為を防止し、若しくは是正し、若しくは当該怠る事実を改め、又は当該行為 若しくは怠る事実によつて当該普通地方公共団体の被つた損害を補塡するために必要な措置を講ずべきことを請求することができる。

2項

前項の規定による請求は、当該行為のあつた日 又は終わつた日から一年を経過したときは、これをすることができない


ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。

3項

第一項の規定による請求があつたときは、監査委員は、直ちに当該請求の要旨を当該普通地方公共団体の議会 及び長に通知しなければならない。

4項

第一項の規定による請求があつた場合において、当該行為が違法であると思料するに足りる相当な理由があり、当該行為により当該普通地方公共団体に生ずる回復の困難な損害を避けるため緊急の必要があり、かつ、当該行為を停止することによつて人の生命 又は身体に対する重大な危害の発生の防止 その他公共の福祉を著しく阻害するおそれがないと認めるときは、監査委員は、当該普通地方公共団体の長 その他の執行機関 又は職員に対し、理由を付して次項の手続が終了するまでの間当該行為を停止すべきことを勧告することができる。


この場合において、監査委員は、当該勧告の内容を第一項の規定による請求人(以下この条において「請求人」という。)に通知するとともに、これを公表しなければならない。

5項

第一項の規定による請求があつた場合には、監査委員は、監査を行い、当該請求に理由がないと認めるときは、理由を付してその旨を書面により請求人に通知するとともに、これを公表し、当該請求に理由があると認めるときは、当該普通地方公共団体の議会、長 その他の執行機関 又は職員に対し期間を示して必要な措置を講ずべきことを勧告するとともに、当該勧告の内容を請求人に通知し、かつ、これを公表しなければならない。

6項

前項の規定による監査委員の監査 及び勧告は、第一項の規定による請求があつた日から六十日以内に行わなければならない。

7項

監査委員は、第五項の規定による監査を行うに当たつては、請求人に証拠の提出 及び陳述の機会を与えなければならない。

8項

監査委員は、前項の規定による陳述の聴取を行う場合 又は関係のある当該普通地方公共団体の長 その他の執行機関 若しくは職員の陳述の聴取を行う場合において、必要があると認めるときは、関係のある当該普通地方公共団体の長 その他の執行機関 若しくは職員 又は請求人を立ち会わせることができる。

9項

第五項の規定による監査委員の勧告があつたときは、当該勧告を受けた議会、長 その他の執行機関 又は職員は、当該勧告に示された期間内に必要な措置を講ずるとともに、その旨を監査委員に通知しなければならない。


この場合において、監査委員は、当該通知に係る事項を請求人に通知するとともに、これを公表しなければならない。

10項

普通地方公共団体の議会は、第一項の規定による請求があつた後に、当該請求に係る行為 又は怠る事実に関する損害賠償 又は不当利得返還の請求権 その他の権利の放棄に関する議決をしようとするときは、あらかじめ監査委員の意見を聴かなければならない。

11項

第四項の規定による勧告、第五項の規定による監査 及び勧告 並びに前項の規定による意見についての決定は、監査委員の合議によるものとする。

1項

普通地方公共団体の住民は、前条第一項の規定による請求をした場合において、同条第五項の規定による監査委員の監査の結果 若しくは勧告 若しくは同条第九項の規定による普通地方公共団体の議会、長 その他の執行機関 若しくは職員の措置に不服があるとき、又は監査委員が同条第五項の規定による監査 若しくは勧告を同条第六項の期間内に行わないとき、若しくは議会、長 その他の執行機関 若しくは職員が同条第九項の規定による措置を講じないときは、裁判所に対し、同条第一項の請求に係る違法な行為 又は怠る事実につき、訴えをもつて次に掲げる請求をすることができる。

一 号

当該執行機関 又は職員に対する当該行為の全部 又は一部の差止めの請求

二 号

行政処分たる当該行為の取消し 又は無効確認の請求

三 号

当該執行機関 又は職員に対する当該怠る事実の違法確認の請求

四 号

当該職員 又は当該行為 若しくは怠る事実に係る相手方に損害賠償 又は不当利得返還の請求をすることを当該普通地方公共団体の執行機関 又は職員に対して求める請求。


ただし、当該職員 又は当該行為 若しくは怠る事実に係る相手方が第二百四十三条の二の二第三項の規定による賠償の命令の対象となる者である場合には、当該賠償の命令をすることを求める請求

2項

前項の規定による訴訟は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める期間内に提起しなければならない。

一 号

監査委員の監査の結果 又は勧告に不服がある場合

当該監査の結果 又は当該勧告の内容の通知があつた日から三十日以内

二 号

監査委員の勧告を受けた議会、長 その他の執行機関 又は職員の措置に不服がある場合

当該措置に係る監査委員の通知があつた日から三十日以内

三 号

監査委員が請求をした日から六十日を経過しても監査 又は勧告を行わない場合

当該六十日を経過した日から三十日以内

四 号

監査委員の勧告を受けた議会、長 その他の執行機関 又は職員が措置を講じない場合

当該勧告に示された期間を経過した日から三十日以内

3項

前項の期間は、不変期間とする。

4項

第一項の規定による訴訟が係属しているときは、当該普通地方公共団体の他の住民は、別訴をもつて同一の請求をすることができない

5項

第一項の規定による訴訟は、当該普通地方公共団体の事務所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に専属する。

6項

第一項第一号の規定による請求に基づく差止めは、当該行為を差し止めることによつて人の生命 又は身体に対する重大な危害の発生の防止 その他公共の福祉を著しく阻害するおそれがあるときは、することができない

7項

第一項第四号の規定による訴訟が提起された場合には、当該職員 又は当該行為 若しくは怠る事実の相手方に対して、当該普通地方公共団体の執行機関 又は職員は、遅滞なく、その訴訟の告知をしなければならない。

8項

前項の訴訟告知があつたときは、第一項第四号の規定による訴訟が終了した日から六月を経過するまでの間は、当該訴訟に係る損害賠償 又は不当利得返還の請求権の時効は、完成しない。

9項

民法第百五十三条第二項の規定は、前項の規定による時効の完成猶予について準用する。

10項

第一項に規定する違法な行為 又は怠る事実については、民事保全法平成元年法律第九十一号)に規定する仮処分をすることができない

11項

第二項から前項までに定めるもののほか第一項の規定による訴訟については、行政事件訴訟法第四十三条の規定の適用があるものとする。

12項

第一項の規定による訴訟を提起した者が勝訴(一部勝訴を含む。)した場合において、弁護士、弁護士法人 又は弁護士・外国法事務弁護士共同法人に報酬を支払うべきときは、当該普通地方公共団体に対し、その報酬額の範囲内で相当と認められる額の支払を請求することができる。

1項

前条第一項第四号本文の規定による訴訟について、損害賠償 又は不当利得返還の請求を命ずる判決が確定した場合においては、普通地方公共団体の長は、当該判決が確定した日から六十日以内の日を期限として、当該請求に係る損害賠償金 又は不当利得の返還金の支払を請求しなければならない。

2項

前項に規定する場合において、当該判決が確定した日から六十日以内に当該請求に係る損害賠償金 又は不当利得による返還金が支払われないときは、当該普通地方公共団体は、当該損害賠償 又は不当利得返還の請求を目的とする訴訟を提起しなければならない。

3項

前項の訴訟の提起については、第九十六条第一項第十二号の規定にかかわらず、当該普通地方公共団体の議会の議決を要しない。

4項

前条第一項第四号本文の規定による訴訟の裁判が同条第七項の訴訟告知を受けた者に対してもその効力を有するときは、当該訴訟の裁判は、当該普通地方公共団体と当該訴訟告知を受けた者との間においてもその効力を有する。

5項

前条第一項第四号本文の規定による訴訟について、普通地方公共団体の執行機関 又は職員に損害賠償 又は不当利得返還の請求を命ずる判決が確定した場合において、当該普通地方公共団体がその長に対し当該損害賠償 又は不当利得返還の請求を目的とする訴訟を提起するときは、当該訴訟については、代表監査委員が当該普通地方公共団体を代表する。

第十一節 雑則

1項

普通地方公共団体は、法律 又はこれに基づく政令に特別の定めがある場合を除くほか、公金の徴収 若しくは収納 又は支出の権限を私人に委任し、又は私人をして行なわせてはならない。

1項

普通地方公共団体は、条例で、当該普通地方公共団体の長 若しくは委員会の委員 若しくは委員 又は当該普通地方公共団体の職員(次条第三項の規定による賠償の命令の対象となる者を除く。以下 この項において「普通地方公共団体の長等」という。)の当該普通地方公共団体に対する損害を賠償する責任を、普通地方公共団体の長等が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないときは、普通地方公共団体の長等が賠償の責任を負う額から、普通地方公共団体の長等の職責 その他の事情を考慮して政令で定める基準を参酌して、政令で定める額以上で当該条例で定める額を控除して得た額について免れさせる旨を定めることができる。

2項

普通地方公共団体の議会は、前項の条例の制定 又は改廃に関する議決をしようとするときは、あらかじめ監査委員の意見を聴かなければならない。

3項

前項の規定による意見の決定は、監査委員の合議によるものとする。

1項

会計管理者 若しくは会計管理者の事務を補助する職員、資金前渡を受けた職員、占有動産を保管している職員 又は物品を使用している職員が故意 又は重大な過失(現金については、故意 又は過失)により、その保管に係る現金、有価証券、物品(基金に属する動産を含む。)若しくは占有動産 又はその使用に係る物品を亡失し、又は損傷したときは、これによつて生じた損害を賠償しなければならない。


次に掲げる行為をする権限を有する職員 又はその権限に属する事務を直接補助する職員で普通地方公共団体の規則で指定したものが故意 又は重大な過失により法令の規定に違反して当該行為をしたこと 又は怠つたことにより普通地方公共団体に損害を与えたときも、同様とする。

一 号

支出負担行為

二 号

第二百三十二条の四第一項の命令 又は同条第二項の確認

三 号

支出 又は支払

四 号

第二百三十四条の二第一項の監督 又は検査

2項

前項の場合において、その損害が二人以上の職員の行為により生じたものであるときは、当該職員は、それぞれの職分に応じ、かつ、当該行為が当該損害の発生の原因となつた程度に応じて賠償の責めに任ずるものとする。

3項

普通地方公共団体の長は、第一項の職員が同項に規定する行為により当該普通地方公共団体に損害を与えたと認めるときは、監査委員に対し、その事実があるかどうかを監査し、賠償責任の有無 及び賠償額を決定することを求め、その決定に基づき、期限を定めて賠償を命じなければならない。

4項

第二百四十二条の二第一項第四号ただし書の規定による訴訟について、賠償の命令を命ずる判決が確定した場合には、普通地方公共団体の長は、当該判決が確定した日から六十日以内の日を期限として、賠償を命じなければならない。


この場合においては、前項の規定による監査委員の監査 及び決定を求めることを要しない。

5項

前項の規定により賠償を命じた場合において、当該判決が確定した日から六十日以内に当該賠償の命令に係る損害賠償金が支払われないときは、当該普通地方公共団体は、当該損害賠償の請求を目的とする訴訟を提起しなければならない。

6項

前項の訴訟の提起については、第九十六条第一項第十二号の規定にかかわらず、当該普通地方公共団体の議会の議決を要しない。

7項

第二百四十二条の二第一項第四号ただし書の規定による訴訟の判決に従いなされた賠償の命令について取消訴訟が提起されているときは、裁判所は、当該取消訴訟の判決が確定するまで、当該賠償の命令に係る損害賠償の請求を目的とする訴訟の訴訟手続を中止しなければならない。

8項

第三項の規定により監査委員が賠償責任があると決定した場合において、普通地方公共団体の長は、当該職員からなされた当該損害が避けることのできない事故 その他やむを得ない事情によるものであることの証明を相当と認めるときは、議会の同意を得て、賠償責任の全部 又は一部を免除することができる。


この場合においては、あらかじめ監査委員の意見を聴き、その意見を付けて議会に付議しなければならない。

9項

第三項の規定による決定 又は前項後段の規定による意見の決定は、監査委員の合議によるものとする。

10項

第二百四十二条の二第一項第四号ただし書の規定による訴訟の判決に従い第三項の規定による処分がなされた場合には、当該処分については、審査請求をすることができない

11項

普通地方公共団体の長は、第三項の規定による処分についての審査請求がされた場合には、当該審査請求が不適法であり、却下するときを除き、議会に諮問した上、当該審査請求に対する裁決をしなければならない。

12項

議会は、前項の規定による諮問を受けた日から二十日以内に意見を述べなければならない。

13項

普通地方公共団体の長は、第十一項の規定による諮問をしないで同項審査請求を却下したときは、その旨を議会に報告しなければならない。

14項

第一項の規定により損害を賠償しなければならない場合には、同項の職員の賠償責任については、賠償責任に関する民法の規定は、適用しない

1項

普通地方公共団体の長は、条例の定めるところにより、毎年二回以上歳入歳出予算の執行状況 並びに財産、地方債 及び一時借入金の現在高 その他財政に関する事項を住民に公表しなければならない。

2項

普通地方公共団体の長は、第二百二十一条第三項の法人について、毎事業年度、政令で定めるその経営状況を説明する書類を作成し、これを次の議会に提出しなければならない。

3項

普通地方公共団体の長は、第二百二十一条第三項の信託について、信託契約に定める計算期ごとに、当該信託に係る事務の処理状況を説明する政令で定める書類を作成し、これを次の議会に提出しなければならない。

1項

普通地方公共団体の財政の運営、普通地方公共団体の財政と国の財政との関係等に関する基本原則については、この法律に定めるもののほか、別に法律でこれを定める。

1項

歳入 及び歳出の会計年度所属区分、予算 及び決算の調製の様式、過年度収入 及び過年度支出 並びに翌年度歳入の繰上充用 その他財務に関し必要な事項は、この法律に定めるもののほか、政令でこれを定める。