この法律は、電子情報処理組織の使用等により、工業所有権に関する手続の円滑な処理 及び工業所有権に関する情報の利用の促進を図るため、特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)、実用新案法(昭和三十四年法律第百二十三号)、意匠法(昭和三十四年法律第百二十五号)、商標法(昭和三十四年法律第百二十七号)及び特許協力条約に基づく国際出願等に関する法律(昭和五十三年法律第三十号。以下「国際出願法」という。)の特例を定めるものとする。
工業所有権に関する手続等の特例に関する法律
第一章 総則
この法律において「電子情報処理組織」とは、特許庁の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下同じ。)と、特許出願 その他の工業所有権に関する手続(以下単に「手続」という。)をする者 又はその者の代理人の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。
ただし、第十三条第二項 及び第三項においては、特許庁の使用に係る電子計算機と、同条第二項に規定する情報の提供を受けようとする者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。
この法律において「特許等関係法令」とは、特許法、実用新案法、意匠法、商標法、国際出願法 若しくはこの法律 又はこれらの法律に基づく命令をいう。
この法律において「審判長」、「審判官」、「審査官」又は「審判書記官」とは、それぞれ特許法(実用新案法、意匠法、商標法 又は国際出願法において準用する場合を含む。)、実用新案法、意匠法(商標法において準用する場合を含む。)、商標法 又は国際出願法に規定する審判長、審判官、審査官 又は審判書記官をいう。
第二章 電子情報処理組織による手続等
手続をする者は、経済産業大臣、特許庁長官、審判長 又は審査官に対する特許等関係法令の規定による手続であって経済産業省令で定めるもの(以下「特定手続」という。)については、経済産業省令で定めるところにより、電子情報処理組織を使用して行うことができる。
前項の規定により行われた特定手続は、前条第一項の特許庁の使用に係る電子計算機に備えられたファイル(第五条第三項 並びに第十三条第二項 及び第三項を除き、以下単に「ファイル」という。)への記録がされた時に特許庁に到達したものとみなす。
第一項の規定により行われた特定手続については、当該特定手続を書面の提出により行うものとして規定した特許等関係法令の規定に規定する書面の提出により行われたものとみなして、特許等関係法令の規定を適用する。
経済産業大臣、特許庁長官、審判長、審判官、審査官 又は審判書記官は、特許等関係法令の規定による処分 若しくは判定 又は審判に関する記録 その他の特許等関係法令の規定により文書をもって行うものとされている行為であって経済産業省令で定めるもの(以下「特定処分等」という。)については、経済産業省令で定めるところにより、電子情報処理組織を使用して行うことができる。
前項の規定により行われた特定処分等については、当該特定処分等を文書をもって行うものとして規定した特許等関係法令の規定に規定する文書をもって行われたものとみなして、特許等関係法令の規定を適用する。
経済産業大臣、特許庁長官、審判長 又は審査官は、特許等関係法令の規定による通知 又は命令であって経済産業省令で定めるもの(以下「特定通知等」という。)については、経済産業省令で定めるところにより、電子情報処理組織を使用して行うことができる。
ただし、特許等関係法令の規定によりその特定通知等を書類の送達により行うものとされている場合において、当該特定通知等の相手方が、送達を受ける旨の経済産業省令で定める方式による表示をしないときは、この限りでない。
前項ただし書に規定する場合において、当該特定通知等に関する事務を電子情報処理組織を使用して行うときは、当該事務は特許庁長官が指定する職員 又は審判書記官が取り扱うものとする。
第一項の規定により行われた特定通知等は、第二条第一項の手続をする者 又はその者の代理人の使用に係る電子計算機(特許庁の使用に係るものを除く。)に備えられたファイルへの記録がされた時に当該特定通知等の相手方に到達したものとみなす。
第一項の規定により行われた特定通知等については、当該特定通知等を手続に係る書面の副本、処分に係る文書の謄本 その他の書類の送達等(送達 又は送付をいう。以下同じ。)により行うものとして規定した特許等関係法令の規定に規定する書類の送達等により行われたものとみなして、特許等関係法令の規定を適用する。
第二項に規定する特許庁長官が指定する職員 又は審判書記官が特定通知等に関する事務を電子情報処理組織を使用して行ったときは、特許法第百九十条(実用新案法第五十五条第二項、意匠法第六十八条第五項 又は商標法第七十七条第五項において準用する場合を含む。)において準用する民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第百九条の規定による送達に関する事項を記載した書面の作成 及び提出に代えて、当該事項を電子情報処理組織を使用してファイルに記録しなければならない。
電子情報処理組織を使用して特定手続を行う者は、電気通信回線の故障 その他の事由により当該特定手続を行うことができない場合において、特許庁長官が必要があると認めるときは、電子情報処理組織の使用に代えて、経済産業省令で定めるところにより、磁気ディスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録しておくことができる物を含む。以下同じ。)の提出によりその特定手続を行うことができる。
第三条第三項の規定は、前項の規定により行われた特定手続に準用する。
特許庁長官は、第一項の規定により特定手続が磁気ディスクの提出により行われたときは、当該磁気ディスクに記録された事項を、経済産業省令で定めるところにより、ファイルに記録しなければならない。
特定手続のうち特許出願 その他の経済産業省令で定めるもの(以下「指定特定手続」という。)を書面の提出により行った者は、特許庁長官に対し、その手続に係る書面に記載された事項を磁気ディスクに記録すべきことを、当該手続をした日から経済産業省令で定める期間内に、経済産業省令で定めるところにより、求めなければならない。
特許庁長官は、指定特定手続が前項の規定による方式に違反しているとき又はその手続について第四十条第一項第一号の規定により納付すべき手数料を納付しないときは、相当の期間を指定して、当該手続の補正をすべきことを命ずることができる。
特許庁長官は、前項の規定により手続の補正をすべきことを命じた者が同項の規定により指定した期間内にその補正をしないときは、当該手続を却下することができる。
特許庁長官は、指定特定手続 その他経済産業大臣、特許庁長官、審判長 又は審査官に対する手続であって経済産業省令で定めるもの(以下「指定特定手続等」という。)が書面の提出により行われたときは、指定特定手続にあっては前条第一項の磁気ディスクに記録された事項を、それ以外の指定特定手続等にあっては当該書面に記載された事項を、経済産業省令で定めるところにより、ファイルに記録しなければならない。
書面の提出により行われた指定特定手続等について前項の規定によりファイルに記録された事項は、当該書面に記載された事項と 同一であると推定する。
特許庁長官は、前項のファイルに記録された事項が同項の書面に記載された事項と 同一でないことを知ったときは、直ちに当該ファイルに記録された事項を訂正しなければならない。
何人も、第二項のファイルに記録された事項が同項の書面に記載された事項と 同一でないことを知ったときは、特許庁長官に対し、その旨を申し出ることができる。
特許庁長官は、特定処分等が文書をもって行われたときは、当該文書に記載された事項を、経済産業省令で定めるところにより、ファイルに記録しなければならない。
特許庁長官は、その登録を受けた者(以下「登録情報処理機関」という。)に、第六条第三項 若しくは前条第一項の規定によるファイルへの記録、第七条第一項の規定による磁気ディスクへの記録 又はこれらの記録に必要な情報の入力(入力のための準備作業を含む。)、編集 若しくはこれらに類する処理(以下「情報処理業務」という。)の全部 又は一部を行わせることができる。
特許庁長官は、前項の規定により登録情報処理機関に情報処理業務を行わせることとしたときは、当該情報処理業務を行わないものとする。
第一項の規定により、登録情報処理機関が第七条第一項の規定による磁気ディスクへの記録を行う場合における同項の規定の適用については、
同項中
「特許庁長官に対し」とあるのは、
「登録情報処理機関に対し」と
する。
特許庁長官、審判長 又は審査官が手続に係る書面の副本 又は処分に係る文書の謄本の送達等を行うものとして規定した特許等関係法令の規定の適用については、その手続 又はその処分についてファイルに記録されている事項を記載した書類は、当該書面の副本 又は当該文書の謄本とみなす。
特許庁長官は、経済産業省令で定めるところにより、商標法第十八条第四項(同法第六十八条第三項において準用する場合を含む。)の規定により公衆の縦覧に供しなければならないものとされている書類に代えて、当該書類についてファイルに記録されている事項 又は当該事項を記載した書類を公衆の縦覧に供することができる。
何人も、特許庁長官に対し、次に掲げる事項について、経済産業省令で定めるところにより電子情報処理組織を使用して行う閲覧を請求することができる。
ただし、国際出願(国際出願法第二条に規定する国際出願をいう。以下同じ。)に係る事項については、この限りでない。
ファイルに記録されている事項(経済産業省令で定める手続に係る事項に限る。)
特許法第二十七条第一項の特許原簿、実用新案法第四十九条第一項の実用新案原簿、意匠法第六十一条第一項(同法第六十条の十九において読み替えて適用する場合を含む。)の意匠原簿又は商標法第七十一条第一項(同法第六十八条の二十七において読み替えて適用する場合を含む。)の商標原簿のうち磁気テープ(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録しておくことができる物を含む。)をもって調製された部分に記録されている事項であって経済産業省令で定めるもの
何人も、特許庁長官に対し、ファイルに記録されている事項を記載した書類の交付を請求することができる。
ただし、国際出願に係る事項については、この限りでない。
特許法第百八十六条第一項ただし書 及び第二項(これらの規定を実用新案法第五十五条第一項において準用する場合を含む。)、意匠法第六十三条第一項ただし書 及び第二項並びに商標法第七十二条第一項ただし書 及び第二項の規定は、前二項の規定による閲覧 又は書類の交付に準用する。
ファイルについては、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号)の規定は、適用しない。
ファイルに記録されている保有個人情報(個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)第六十条第一項に規定する保有個人情報をいう。)については、同法第五章第四節の規定は、適用しない。
特許法第百九十三条の特許公報、実用新案法第五十三条の実用新案公報、意匠法第六十六条の意匠公報 又は商標法第七十五条の商標公報(以下この条において「特許公報等」という。)は、経済産業省令で定めるところにより、磁気ディスクをもって発行することができる。
特許公報等の発行は、特許公報等に掲載すべき事項であって特許庁の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された情報を、経済産業省令で定めるところにより、電子情報処理組織を使用して送信し、これを当該情報の提供を受けようとする者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法によりすることができる。
前項に規定する方法による特許公報等の発行は、特許公報等に掲載すべき事項を特許庁の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに入力し、当該ファイルに記録された情報の提供を受けようとする者の求めに応じてその使用に係る電子計算機に特許庁の使用に係る電子計算機から送信し得る状態となった時に行われたものとする。
第三章 予納による納付、口座振替による納付及び指定立替納付者による納付
特許法第百七条第一項の特許料 若しくは同法第百十二条第二項の割増特許料 その他工業所有権に関する登録料 若しくは割増登録料(以下「特許料等」という。)又は第四十条第一項、特許法第百九十五条第一項から第三項まで、実用新案法第五十四条第一項 若しくは第二項、意匠法第六十七条第一項 若しくは第二項、商標法第七十六条第一項 若しくは第二項 若しくは国際出願法第八条第四項、第十二条第三項 若しくは第十八条第一項 若しくは第二項の手数料(経済産業省令で定める手続について納付すべきものに限る。以下この章において同じ。)を納付しようとする者は、経済産業省令で定めるところによりあらかじめ特許庁長官に届け出た場合に限り、当該特許料等 又は手数料を予納することができる。
前項の規定による予納は、経済産業省令で定めるところにより、現金をもってしなければならない。
第一項の規定による届出(以下「予納届」という。)をした者が同項の規定による予納 又は次条第一項 若しくは第二項の規定による申出をしない期間が継続して四年に達したときは、当該予納届は、その効力を失う。
予納届をした者について相続 又は合併があった場合におけるその者のこの章の規定による地位の承継については、第四十一条第二項において準用する特許法第二十条の規定にかかわらず、政令で定めるところによる。
前条第一項の規定により予納をした者(以下「予納者」という。)が、経済産業大臣、特許庁長官、審判長 又は審査官に対する特許等関係法令の規定による手続に際し、経済産業省令で定めるところにより申出をしたときは、その予納者に係る予納額(同項の規定により予納した額からこの項の規定により納付されたものとみなされた特許料等 若しくは手数料の額を控除し、又は次項の規定による返還すべき額に相当する金額を加算したときは、当該控除 又は加算をした後の額。以下この条において同じ。)の範囲内において、当該手続に係る特許料等 又は手数料が納付されたものとみなす。
ただし、当該予納者のした予納届がその効力を失った後は、この限りでない。
特許庁長官は、前項の規定により手続に係る申出をした者(以下「申出者」という。)が、特許等関係法令の規定による当該特許料等 又は手数料の返還の請求に際し、経済産業省令で定めるところにより申出をしたときは、その申出者が予納した予納額に、返還すべき額に相当する金額を加算することをもって当該返還に代えるものとする。
予納者が予納した予納額に残余に相当する額があるときは、当該残余に相当する額は、当該予納者の請求により返還する。
前項の規定による残余に相当する額の返還は、特許庁長官から当該予納者のした予納届がその効力を失った旨の通知を受けた日から六月を経過した後は、請求することができない。
特許料等 又は手数料を現金をもって納めることができる場合において、特許庁長官は、当該特許料等 又は手数料を納付しようとする者から、預金 又は貯金の払出しと その払い出した金銭による納付をその預金口座 又は貯金口座のある金融機関に委託して行うこと(次項 及び第十六条において「口座振替による納付」という。)を希望する旨の申出(電子情報処理組織を使用して行うものに限る。)があった場合には、その申出を受けることが特許料等 又は手数料の収納上有利と認められるときに限り、その申出を受けることができる。
前項に定めるもののほか、口座振替による納付の手続 その他必要な事項は、経済産業省令で定める。
特許料等 又は手数料を現金をもって納めることができる場合において、特許庁長官は、当該特許料等 又は手数料を納付しようとする者から、当該特許料等 又は手数料を立て替えて納付する事務を適正かつ確実に遂行するに足りる財産的基礎を有すること その他の経済産業省令で定める要件に該当する者として特許庁長官が指定するもの(次項 及び次条において「指定立替納付者」という。)をして当該特許料等 又は手数料を立て替えて納付させることを希望する旨の申出があった場合には、その申出を受けることが特許料等 又は手数料の収納上有利と認められるときに限り、その申出を受けることができる。
前項に定めるもののほか、指定立替納付者による納付の手続 その他必要な事項は、経済産業省令で定める。
第十四条から前条までの規定は、特許料等 又は手数料の納付をする者の委任による代理をしようとする者がその委任事務を処理するために自己の名においてする予納、口座振替による納付 又は指定立替納付者による納付に準用する。
この場合において、
第十五条第一項中
「予納をした者」とあるのは
「予納をした代理人であって本人のために申出をする者」と、
同条第二項中
「申出をした者(以下「申出者」という。)が」とあるのは
「申出をした者(以下「申出者」という。)が本人のために手続に係る申出をした代理人である場合において、本人が」と、
第十五条の二第一項 及び前条第一項中
「当該特許料等 又は手数料を納付しようとする者から」とあるのは
「代理人であって本人のために当該特許料等 又は手数料を納付しようとする者から」と
読み替えるものとする。
第四章 登録情報処理機関等
第一節 登録情報処理機関
第九条第一項の登録は、経済産業省令で定めるところにより、情報処理業務を行おうとする者の申請により行う。
次の各号のいずれかに該当する者は、第九条第一項の登録を受けることができない。
特許等関係法令の規定に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
第三十条の規定により登録を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者
法人であって、その業務を行う役員のうちに前二号のいずれかに該当する者があるもの
特許庁長官は、第十七条の規定により登録の申請をした者(以下この条において「情報処理機関登録申請者」という。)が次に掲げる要件のすべてに適合しているときは、その登録をしなければならない。
この場合において、登録に関して必要な手続は、経済産業省令で定める。
電子計算機 及び情報処理業務に必要なプログラム(電子計算機に対する指令であって、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。第三十七条第一項第二号において同じ。)を有すること。
情報処理機関登録申請者が、特定の者に支配されているものとして次のいずれかに該当するものでないこと。
情報処理機関登録申請者が他の株式会社の子会社(当該他の株式会社がその総株主(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株主を除き、会社法(平成十七年法律第八十六号)第八百七十九条第三項の規定により議決権を有するものとみなされる株主を含む。)の議決権の過半数を有する株式会社をいう。第三十七条第一項第三号イにおいて同じ。)であること。
情報処理機関登録申請者の役員(持分会社(会社法第五百七十五条第一項に規定する持分会社をいう。第三十七条第一項第三号ロにおいて同じ。)にあっては、業務を執行する社員)に占める同一の者の役員 又は職員(過去二年間にその同一の者の役員 又は職員であった者を含む。)の割合が二分の一を超えていること。
第九条第一項の登録は、情報処理機関登録簿に次に掲げる事項を記載してするものとする。
登録を受けた者の氏名 又は名称 及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
登録を受けた者が情報処理業務を行う事業所の名称 及び所在地
第九条第一項の登録は、三年を下らない政令で定める期間ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によって、その効力を失う。
前三条の規定は、前項の登録の更新に準用する。
登録情報処理機関は、特許庁長官から情報処理業務を行うべきことを求められたときは、正当な理由がある場合を除き、遅滞なく、その情報処理業務を行わなければならない。
登録情報処理機関は、その名称 又は情報処理業務を行う事務所の所在地を変更しようとするときは、変更しようとする日の二週間前までに、特許庁長官に届け出なければならない。
登録情報処理機関は、情報処理業務に関する規程(以下「業務規程」という。)を定め、特許庁長官の認可を受けなければならない。
これを変更しようとするときも、同様とする。
業務規程で定めるべき事項は、経済産業省令で定める。
特許庁長官は、第一項の認可をした業務規程が情報処理業務の公正な遂行上 不適当となったと認めるときは、登録情報処理機関に対し、業務規程を変更すべきことを命ずることができる。
登録情報処理機関は、特許庁長官の許可を受けなければ、情報処理業務の全部 又は一部を休止し、又は廃止してはならない。
登録情報処理機関は、毎事業年度経過後三月以内に、その事業年度の財産目録、貸借対照表 及び損益計算書 又は収支計算書 並びに事業報告書(これらのものが電磁的記録(電子的方式、磁気的方式 その他の人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下この条において同じ。)で作成され、又はその作成に代えて電磁的記録の作成がされている場合における当該電磁的記録を含む。次項 及び第四十五条において「財務諸表等」という。)を作成し、五年間事業所に備え置かなければならない。
指定特定手続等を行った者 その他の利害関係人は、登録情報処理機関の業務時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。
ただし、第二号 又は第四号の請求をするには、登録情報処理機関の定めた費用を支払わなければならない。
財務諸表等が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧 又は謄写の請求
前号の書面の謄本 又は抄本の請求
財務諸表等が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を経済産業省令で定める方法により表示したものの閲覧 又は謄写の請求
前号の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって経済産業省令で定めるものにより提供することの請求又は当該事項を記載した書面の交付の請求
登録情報処理機関は、役員を選任し、又は解任したときは、遅滞なく、その旨を特許庁長官に届け出なければならない。
登録情報処理機関の役員 若しくは職員 又はこれらの職にあった者は、情報処理業務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。
情報処理業務に従事する登録情報処理機関の役員 又は職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号) その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
特許庁長官は、この法律の施行に必要な限度において、登録情報処理機関に対し、その業務 若しくは経理の状況に関し報告をさせ、又はその職員に、登録情報処理機関の事務所に立ち入り、業務の状況 若しくは帳簿、書類 その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。
前項の規定により職員が立ち入るときは、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
第一項に規定する立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
特許庁長官は、登録情報処理機関が第十九条第一項各号に適合しなくなったと認めるときは、その登録情報処理機関に対し、これらの規定に適合するため必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
特許庁長官は、登録情報処理機関が第二十条の規定に違反していると認めるとき、その他情報処理業務の適正な実施を確保するため必要があると認めるときは、その登録情報処理機関に対し、情報処理業務を行うべきこと 又は情報処理業務の実施の方法 その他の業務の方法の改善に関し必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
特許庁長官は、登録情報処理機関が次の各号のいずれかに該当するときは、その登録を取り消し、又は期間を定めて情報処理業務の全部 若しくは一部の停止を命ずることができる。
この節の規定に違反したとき。
第十八条第一号 又は第三号に該当するに至ったとき。
第二十二条第一項の認可を受けた業務規程によらないで情報処理業務を行ったとき。
第二十二条第三項 又は前二条の規定による命令に違反したとき。
不正の手段により登録を受けたとき。
登録情報処理機関は、帳簿を備え、情報処理業務に関し経済産業省令で定める事項を記載しなければならない。
前項の帳簿は、経済産業省令で定めるところにより、保存しなければならない。
第三十条の規定による処分に係る聴聞の期日における審理は、公開により行わなければならない。
前項の聴聞の主宰者は、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第十七条第一項の規定により当該処分に係る利害関係人が当該聴聞に関する手続に参加することを求めたときは、これを許可しなければならない。
特許庁長官は、登録情報処理機関が第二十三条の許可を受けて情報処理業務の全部 若しくは一部を休止したとき、第三十条の規定により登録情報処理機関に対し情報処理業務の全部 若しくは一部の停止を命じたとき、又は登録情報処理機関が天災 その他の事由により情報処理業務の全部 若しくは一部を実施することが困難となった場合において必要があると認めるときは、当該情報処理業務の全部 又は一部を自ら行うものとする。
特許庁長官が前項の規定により情報処理業務の全部 若しくは一部を自ら行う場合、登録情報処理機関が第二十三条の許可を受けて情報処理業務の全部 若しくは一部を廃止する場合 又は第三十条の規定により特許庁長官が登録情報処理機関の登録を取り消した場合における情報処理業務の引継ぎ その他の必要な事項については、経済産業省令で定める。
特許庁長官は、次の場合には、その旨を官報に公示しなければならない。
第九条第一項の登録をしたとき。
第二十一条の規定による届出があったとき。
第二十三条の許可をしたとき。
第三十条の規定により登録を取り消し、又は情報処理業務の全部 若しくは一部の停止を命じたとき。
前条第一項の規定により特許庁長官が情報処理業務の全部 若しくは一部を自ら行うこととするとき、又は自ら行っていた情報処理業務の全部 若しくは一部を行わないこととするとき。
この節に規定するもののほか、登録情報処理機関の行う情報処理業務に関し必要な事項は、政令で定める。
第二節 登録調査機関
特許庁長官は、その登録を受けた者(以下「登録調査機関」という。)に、特許出願の審査に必要な調査のうちその特許出願に係る発明と同一の技術の分野に属する発明 又は考案に関するものであって政令で定めるもの 及び出願公開の際に必要な調査のうち願書に添付した要約書の記載が特許法第三十六条第七項の規定に適合しているかどうかについてのもの(以下「調査業務」という。)を行わせることができる。
前項の登録は、経済産業省令で定めるところにより、経済産業省令で定める区分ごとに、調査業務を行おうとする者の申請により行う。
特許庁長官は、前条第二項の規定により登録の申請をした者(以下この条において「調査機関登録申請者」という。)が次に掲げる要件の全てに適合しているときは、その登録をしなければならない。
この場合において、登録に関して必要な手続は、経済産業省令で定める。
次のいずれかに該当する者が調査業務を実施し、その人数が前条第二項の区分ごとに十名以上であること。
学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に基づく大学(短期大学を除く。)又は旧大学令(大正七年勅令第三百八十八号)に基づく大学を卒業した者であって、科学技術に関する事務(研究を含む。ロにおいて同じ。)に通算して四年以上従事した経験を有し、かつ、独立行政法人工業所有権情報・研修館が行う研修を修了したもの
学校教育法に基づく短期大学(同法に基づく専門職大学の前期課程を含む。)若しくは高等専門学校 又は旧専門学校令(明治三十六年勅令第六十一号)に基づく専門学校を卒業した者(同法に基づく専門職大学の前期課程にあっては、修了した者)であって、科学技術に関する事務に通算して六年以上従事した経験を有し、かつ、イの研修を修了したもの
イ 及びロに掲げる者と同等以上の知識 及び経験を有する者
電子計算機 及び調査業務に必要なプログラムを有すること。
調査機関登録申請者が、特定の者に支配されているものとして次のいずれかに該当するものでないこと。
調査機関登録申請者が他の株式会社の子会社であること。
調査機関登録申請者の役員(持分会社にあっては、業務を執行する社員)に占める同一の者の役員 又は職員(過去二年間にその同一の者の役員 又は職員であった者を含む。)の割合が二分の一を超えていること。
前条第二項の登録は、調査機関登録簿に次に掲げる事項を記載してするものとする。
登録を受けた者の氏名 又は名称 及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
登録を受けた者が調査業務を行う区分
登録を受けた者が調査業務を行う事業所の名称 及び所在地
登録調査機関は、特許庁長官から調査業務を行うべきことを求められたときは、正当な理由がある場合を除き、遅滞なく、その調査業務を行わなければならない。
登録調査機関は、調査業務を行うときは、前条第一項第一号に規定する者(以下「調査業務実施者」という。)に実施させなければならない。
第十八条、第十九条の二、第二十一条から第三十二条まで、第三十四条(第五号を除く。)及び第三十五条の規定は、登録調査機関に準用する。
この場合において、
第十八条中
「特許等関係法令」とあるのは
「特許法、実用新案法 若しくはこの法律 又はこれらの法律に基づく命令」と、
第十九条の二第二項中
「前三条」とあるのは
「第三十六条第二項、第三十七条 及び第三十九条において準用する第十八条」と、
第二十一条、第二十二条第一項 及び第三項、第二十三条、第二十六条、第二十九条、第三十条、第三十一条第一項、第三十四条 並びに第三十五条中
「情報処理業務」とあるのは
「調査業務」と、
第二十四条第二項中
「指定特定手続等を行った者」とあるのは
「特許出願人」と、
第二十五条中
「役員」とあるのは
「役員 又は調査業務実施者」と、
第二十八条中
「第十九条第一項各号」とあるのは
「第三十七条第一項各号」と
読み替えるものとする。
第三節 特定登録調査機関
登録調査機関は、特許庁長官から特に登録を受けて、特許出願人 その他の者の求めに応じ、特許出願に係る発明と同一の技術の分野に属する発明 又は考案に関する調査であって政令で定めるものを行い、その結果を経済産業省令で定めるところにより記載した調査報告をその者に交付する業務(以下「先行技術調査業務」という。)を行うことができる。
特許庁長官は、特許出願について出願審査の請求をする者が、前条の登録を受けた者(以下「特定登録調査機関」という。)が交付する同条の調査報告を提示してその請求をしたときは、政令で定めるところにより、特許法第百九十五条第二項の規定により納付すべき出願審査の請求の手数料を軽減することができる。
第三十九条の二の登録は、経済産業省令で定めるところにより、経済産業省令で定める区分ごとに、先行技術調査業務を行おうとする者の申請により行う。
特許庁長官は、前条の規定により登録の申請をした者がその申請に係る区分について登録調査機関の登録を受けている者であるときは、第三十九条の二の登録をしなければならない。
この場合において、同条の登録に関して必要な手続は、経済産業省令で定める。
第三十九条の二の登録は、特定登録調査機関登録簿に次に掲げる事項を記載してするものとする。
登録を受けた者の氏名 又は名称 及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
登録を受けた者が先行技術調査業務を行う区分
登録を受けた者が先行技術調査業務を行う事業所の名称 及び所在地
特定登録調査機関は、先行技術調査業務を行うべきことを求められたときは、正当な理由がある場合を除き、遅滞なく、その先行技術調査業務を行わなければならない。
特定登録調査機関は、先行技術調査業務を行うときは、調査業務実施者に実施させなければならない。
特定登録調査機関は、先行技術調査業務に関する規程(以下「先行技術調査業務規程」という。)を定め、先行技術調査業務の開始前に、特許庁長官に届け出なければならない。
これを変更しようとするときも、同様とする。
先行技術調査業務規程で定めるべき事項は、経済産業省令で定める。
特定登録調査機関は、先行技術調査業務の全部 若しくは一部を休止し、又は廃止しようとするときは、経済産業省令で定めるところにより、あらかじめ、その旨を特許庁長官に届け出なければならない。
特許庁長官は、特定登録調査機関が第三十九条の二の登録を受けた区分について第三十九条において準用する第三十条の規定により登録調査機関の登録を取り消されたときは、その第三十九条の二の登録を取り消さなければならない。
特許庁長官は、特定登録調査機関が次の各号のいずれかに該当するときは、その第三十九条の二の登録を取り消し、又は期間を定めて先行技術調査業務の全部 若しくは一部の停止を命ずることができる。
この節の規定に違反したとき。
第三十九条の十一において準用する第十八条第三号に該当するに至ったとき。
第三十九条の十一において準用する第二十九条の規定による命令に違反したとき。
不正の手段により第三十九条の二の登録を受けたとき。
特許庁長官は、次の場合には、その旨を官報に公示しなければならない。
第三十九条の二の登録をしたとき。
第三十九条の八の規定又は次条において準用する第二十一条の規定による届出があったとき。
前条第一項 若しくは第二項の規定により第三十九条の二の登録を取り消し、又は同項の規定により先行技術調査業務の全部 若しくは一部の停止を命じたとき。
第十八条(第一号を除く。)、第十九条の二、第二十一条、第二十七条、第二十九条、第三十一条、第三十二条 及び第三十五条の規定は、特定登録調査機関について準用する。
この場合において、
第十八条第三号中
「前二号のいずれか」とあるのは
「前号」と、
第十九条の二第二項中
「前三条」とあるのは
「第三十九条の四、第三十九条の五 及び第三十九条の十一において準用する第十八条(第一号を除く。)」と、
第二十一条、第二十九条、第三十一条第一項 及び第三十五条中
「情報処理業務」とあるのは
「先行技術調査業務」と
読み替えるものとする。
第五章 雑則
次に掲げる者は、政令で定める場合を除くほか、実費を勘案して政令で定める額の手数料を納付しなければならない。
第七条第一項の規定により磁気ディスクへの記録を求める者
第十二条第一項の規定により同項第一号に掲げる事項について閲覧を請求する者
第十二条第一項の規定により同項第二号に掲げる事項について閲覧を請求する者
第十二条第二項の規定により書類の交付を請求する者
前項の手数料は、登録情報処理機関に対し磁気ディスクへの記録を求める者の納めるものについては、当該登録情報処理機関の収入とする。
第一項の規定は、手数料を納付すべき者が国であるときは、適用しない。
ただし、登録情報処理機関に対し磁気ディスクへの記録を求める場合は、この限りでない。
特許権、実用新案権、意匠権 若しくは商標権、特許、実用新案登録 若しくは意匠登録を受ける権利、商標登録出願により生じた権利 又は防護標章登録に基づく権利(以下 この項において「権利」という。)が国と国以外の者との共有に係る場合であって持分の定めがあるときは、国と国以外の者が自己の権利について第一項第一号の規定により納付すべき手数料(政令で定めるものに限る。)は、第一項の規定にかかわらず、同項に規定する手数料の金額に国以外の者の持分の割合を乗じて得た額とし、国以外の者がその額を納付しなければならない。
ただし、登録情報処理機関に対し磁気ディスクへの記録を求める場合は、この限りでない。
前項の規定により算定した手数料の金額に十円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。
第一項の規定による手数料の納付は、登録情報処理機関に納める場合を除き、経済産業省令で定めるところにより、特許印紙をもってしなければならない。
ただし、経済産業省令で定める場合には、経済産業省令で定めるところにより、現金をもって納めることができる。
特許法第百九十五条第十一項 及び第十二項の規定は、第一項の規定により国に納付した手数料に準用する。
特許法第三条の規定は、この法律 又はこの法律に基づく命令に規定する手続についての期間に準用する。
特許法第七条、第八条、第十一条から第十四条まで、第十六条、第十七条第三項(第三号を除く。)及び第四項、第十八条第一項、第十八条の二から第二十一条まで 並びに第二十六条の規定は、この法律 又はこの法律に基づく命令の規定による手続に準用する。
特許法第百九十五条の三の規定は、この法律の規定による処分(第四章の規定による処分を除く。)に準用する。
この法律 又はこの法律に基づく命令に規定する手続であって特許、実用新案登録、意匠登録、商標登録 又は防護標章登録に関するものについての期間は、特許法第二十四条(実用新案法第二条の五第二項、意匠法第六十八条第二項、商標法第七十七条第二項 又は同法附則第二十七条第二項において準用する場合を含む。)の規定により、当該手続が中断し、若しくは中止した時にその進行を停止し、又は当該手続についての期間の進行が開始した時にその進行を開始するものとする。
第六章 罰則
第二十六条第一項(第三十九条において準用する場合を含む。)の規定に違反した者は、一年以下の懲役 又は五十万円以下の罰金に処する。
第三十条(第三十九条において準用する場合を含む。)の規定による情報処理業務 若しくは調査業務の停止の命令 又は第三十九条の九第二項の規定による先行技術調査業務の停止の命令に違反したときは、その違反行為をした登録情報処理機関、登録調査機関 又は特定登録調査機関の役員 又は職員は、一年以下の懲役 又は五十万円以下の罰金に処する。
次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした登録情報処理機関、登録調査機関 又は特定登録調査機関の役員 又は職員は、二十万円以下の罰金に処する。
第二十三条(第三十九条において準用する場合を含む。)の許可を受けないで情報処理業務 又は調査業務の全部を廃止したとき。
第二十七条第一項(第三十九条 又は第三十九条の十一において準用する場合を含む。以下 この号において同じ。)の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは同項の規定による質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をしたとき。
第三十一条第一項(第三十九条 又は第三十九条の十一において準用する場合を含む。)の規定に違反して帳簿を備えず、帳簿に記載せず、若しくは帳簿に虚偽の記載をし、又は第三十一条第二項(第三十九条 又は第三十九条の十一において準用する場合を含む。)の規定に違反して帳簿を保存しなかったとき。
第三十九条の八の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。
第二十四条第一項(第三十九条において準用する場合を含む。)の規定に違反して財務諸表等を備えて置かず、財務諸表等に記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をし、又は正当な理由がないのに第二十四条第二項各号(第三十九条において準用する場合を含む。)の規定による請求を拒んだ者は、二十万円以下の過料に処する。