宗教法人法

昭和二十六年法律第百二十六号
分類 法律
カテゴリ   文化
@ 施行日 : 令和四年九月一日 ( 2022年 9月1日 )
@ 最終更新 : 令和元年法律第七十一号による改正
最終編集日 : 2024年 08月15日 08時17分

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  • 第一章 総則

  • 第二章 設立

  • 第三章 管理

  • 第四章 規則の変更

  • 第五章 合併

  • 第六章 解散

  • 第七章 登記

    • 第一節 宗教法人の登記
    • 第二節 礼拝用建物及び敷地の登記
  • 第八章 宗教法人審議会

  • 第九章 補則

  • 第十章 罰則

第一章 総則

1項

この法律は、宗教団体が、礼拝の施設 その他の財産を所有し、これを維持運用し、その他その目的達成のための業務 及び事業を運営することに資するため、宗教団体に法律上の能力を与えることを目的とする。

2項

憲法で保障された信教の自由は、すべての国政において尊重されなければならない。


従つて、この法律のいかなる規定も、個人、集団 又は団体が、その保障された自由に基いて、教義をひろめ、儀式行事を行い、その他宗教上の行為を行うことを制限するものと解釈してはならない。

1項

この法律において「宗教団体」とは、宗教の教義をひろめ、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とする左に掲げる団体をいう。

一 号

礼拝の施設を備える神社、寺院、教会、修道院 その他これらに類する団体

二 号

前号に掲げる団体を包括する教派、宗派、教団、教会、修道会、司教区 その他これらに類する団体

1項

この法律において「境内建物」とは、第一号に掲げるような宗教法人の前条に規定する目的のために必要な当該宗教法人に固有の建物 及び工作物をいい、「境内地」とは、第二号から第七号までに掲げるような宗教法人の同条に規定する目的のために必要な当該宗教法人に固有の土地をいう。

一 号

本殿、拝殿、本堂、会堂、僧堂、僧院、信者修行所、社務所、庫裏、教職舎、宗務庁、教務院、教団事務所 その他宗教法人の前条に規定する目的のために供される建物 及び工作物(附属の建物 及び工作物を含む。

二 号

前号に掲げる建物 又は工作物が存する一画の土地(立木竹 その他建物 及び工作物以外の定着物を含む。以下この条において同じ。

三 号
参道として用いられる土地
四 号

宗教上の儀式行事を行うために用いられる土地(神せん田、仏供田、修道耕牧地等を含む。

五 号

庭園、山林 その他尊厳 又は風致を保持するために用いられる土地

六 号

歴史、古記等によつて密接な縁故がある土地

七 号

前各号に掲げる建物、工作物 又は土地の災害を防止するために用いられる土地

1項

宗教団体は、この法律により、法人となることができる。

2項

この法律において「宗教法人」とは、この法律により法人となつた宗教団体をいう。

1項

宗教法人の所轄庁は、その主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事とする。

2項

次に掲げる宗教法人にあつては、その所轄庁は、前項の規定にかかわらず、文部科学大臣とする。

一 号

他の都道府県内に境内建物を備える宗教法人

二 号

前号に掲げる宗教法人以外の宗教法人であつて同号に掲げる宗教法人を包括するもの

三 号

前二号に掲げるもののほか、他の都道府県内にある宗教法人を包括する宗教法人

1項

宗教法人は、公益事業を行うことができる。

2項

宗教法人は、その目的に反しない限り、公益事業以外の事業を行うことができる。


この場合において、収益を生じたときは、これを当該宗教法人、当該宗教法人を包括する宗教団体 又は当該宗教法人が援助する宗教法人 若しくは公益事業のために使用しなければならない。

1項

宗教法人の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。

1項

宗教法人は、第七章第一節の規定により登記しなければならない事項については、登記に因り効力を生ずる事項を除く外、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない

1項

宗教法人は、第七章の規定による登記(所轄庁の嘱託によつてする登記を除く)をしたときは、遅滞なく、登記事項証明書を添えて、その旨を所轄庁に届け出なければならない。

1項

宗教法人は、法令の規定に従い、規則で定める目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う。

1項

宗教法人は、代表役員 その他の代表者がその職務を行うにつき第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。

2項

宗教法人の目的の範囲外の行為に因り第三者に損害を加えたときは、その行為をした代表役員 その他の代表者 及びその事項の決議に賛成した責任役員、その代務者 又は仮責任役員は、連帯してその損害を賠償する責任を負う。

第二章 設立

1項

宗教法人を設立しようとする者は、左に掲げる事項を記載した規則を作成し、その規則について所轄庁の認証を受けなければならない。

一 号
目的
二 号
名称
三 号
事務所の所在地
四 号

設立しようとする宗教法人を包括する宗教団体がある場合には、その名称 及び宗教法人非宗教法人の別

五 号

代表役員、責任役員、代務者、仮代表役員 及び仮責任役員の呼称、資格 及び任免 並びに代表役員についてはその任期 及び職務権限、責任役員についてはその員数、任期 及び職務権限、代務者についてはその職務権限に関する事項

六 号

前号に掲げるものの外、議決、諮問、監査 その他の機関がある場合には、その機関に関する事項

七 号

第六条の規定による事業を行う場合には、その種類 及び管理運営(同条第二項の規定による事業を行う場合には、収益処分の方法を含む。)に関する事項

八 号

基本財産、宝物 その他の財産の設定、管理 及び処分(第二十三条但書の規定の適用を受ける場合に関する事項を定めた場合には、その事項を含む。)、予算、決算 及び会計 その他の財務に関する事項

九 号
規則の変更に関する事項
十 号

解散の事由、清算人の選任 及び残余財産の帰属に関する事項を定めた場合には、その事項

十一 号
公告の方法
十二 号

第五号から前号までに掲げる事項について、他の宗教団体を制約し、又は他の宗教団体によつて制約される事項を定めた場合には、その事項

十三 号

前各号に掲げる事項に関連する事項を定めた場合には、その事項

2項

宗教法人の公告は、新聞紙 又は当該宗教法人の機関紙に掲載し、当該宗教法人の事務所の掲示場に掲示し、その他当該宗教法人の信者 その他の利害関係人に周知させるに適当な方法でするものとする。

3項

宗教法人を設立しようとする者は、第十三条の規定による認証申請の少くとも一月前に、信者 その他の利害関係人に対し、規則の案の要旨を示して宗教法人を設立しようとする旨を前項に規定する方法により公告しなければならない。

1項

前条第一項の規定による認証を受けようとする者は、認証申請書 及び規則二通に左に掲げる書類を添えて、これを所轄庁に提出し、その認証を申請しなければならない。

一 号
当該団体が宗教団体であることを証する書類
二 号

前条第三項の規定による公告をしたことを証する書類

三 号

認証の申請人が当該団体を代表する権限を有することを証する書類

四 号

代表役員 及び定数の過半数に当る責任役員に就任を予定されている者の受諾書

1項

所轄庁は、前条の規定による認証の申請を受理した場合においては、その受理の日を附記した書面でその旨を当該申請者に通知した後、当該申請に係る事案が左に掲げる要件を備えているかどうかを審査し、これらの要件を備えていると認めたときはその規則を認証する旨の決定をし、これらの要件を備えていないと認めたとき 又はその受理した規則 及びその添附書類の記載によつてはこれらの要件を備えているかどうかを確認することができないときはその規則を認証することができない旨の決定をしなければならない。

一 号
当該団体が宗教団体であること。
二 号

当該規則がこの法律 その他の法令の規定に適合していること。

三 号

当該設立の手続が第十二条の規定に従つてなされていること。

2項

所轄庁は、前項の規定によりその規則を認証することができない旨の決定をしようとするときは、あらかじめ当該申請者に対し、相当の期間内に自ら 又はその代理人を通じて意見を述べる機会を与えなければならない。

3項

第一項の場合において、所轄庁が文部科学大臣であるときは、当該所轄庁は、同項の規定によりその規則を認証することができない旨の決定をしようとするときは、あらかじめ宗教法人審議会に諮問してその意見を聞かなければならない。

4項

所轄庁は、前条の規定による認証の申請を受理した場合においては、その申請を受理した日から三月以内に、第一項の規定による認証に関する決定をし、且つ、認証する旨の決定をしたときは当該申請者に対し認証書 及び認証した旨を附記した規則を交付し、認証することができない旨の決定をしたときは当該申請者に対しその理由を附記した書面でその旨を通知しなければならない。

5項

所轄庁は、第一項の規定による認証に関する決定をするに当り、当該申請者に対し第十二条第一項各号に掲げる事項以外の事項を規則に記載することを要求してはならない

1項

宗教法人は、その主たる事務所の所在地において設立の登記をすることに因つて成立する。

第三章 管理

1項

宗教法人には、三人以上の責任役員を置き、そのうち一人を代表役員とする。

2項

代表役員は、規則に別段の定がなければ、責任役員の互選によつて定める。

3項

代表役員は、宗教法人を代表し、その事務を総理する。

4項

責任役員は、規則で定めるところにより、宗教法人の事務を決定する。

5項

代表役員 及び責任役員は、常に法令、規則 及び当該宗教法人を包括する宗教団体が当該宗教法人と協議して定めた規程がある場合にはその規程に従い、更にこれらの法令、規則 又は規程に違反しない限り、宗教上の規約、規律、慣習 及び伝統を十分に考慮して、当該宗教法人の業務 及び事業の適切な運営をはかり、その保護管理する財産については、いやしくもこれを他の目的に使用し、又は濫用しないようにしなければならない。

6項

代表役員 及び責任役員の宗教法人の事務に関する権限は、当該役員の宗教上の機能に対するいかなる支配権 その他の権限も含むものではない。

1項
規則に別段の定がなければ、宗教法人の事務は、責任役員の定数の過半数で決し、その責任役員の議決権は、各々平等とする。
1項

左の各号の一に該当するときは、規則で定めるところにより、代務者を置かなければならない。

一 号

代表役員 又は責任役員が死亡 その他の事由に因つて欠けた場合において、すみやかにその後任者を選ぶことができないとき。

二 号

代表役員 又は責任役員が病気 その他の事由に因つて三月以上その職務を行うことができないとき。

2項

代務者は、規則で定めるところにより、代表役員 又は責任役員に代つてその職務を行う。

1項

代表役員は、宗教法人と利益が相反する事項については、代表権を有しない。


この場合においては、規則で定めるところにより、仮代表役員を選ばなければならない。

2項

責任役員は、その責任役員と特別の利害関係がある事項については、議決権を有しない。


この場合において、規則に別段の定がなければ、議決権を有する責任役員の員数が責任役員の定数の過半数に満たないこととなつたときは、規則で定めるところにより、その過半数に達するまでの員数以上の仮責任役員を選ばなければならない。

3項

仮代表役員は、第一項に規定する事項について当該代表役員に代つてその職務を行い、仮責任役員は、前項に規定する事項について、規則で定めるところにより、当該責任役員に代つてその職務を行う。

1項

次の各号いずれかに該当する者は、代表役員、責任役員、代務者、仮代表役員 又は仮責任役員となることができない。

一 号
未成年者
二 号

心身の故障によりその職務を行うに当たつて必要となる認知、判断 及び意思疎通を適切に行うことができない者

三 号

禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで 又は執行を受けることがなくなるまでの者

1項

宗教法人(宗教団体を包括する宗教法人を除く)は、左に掲げる行為をしようとするときは、規則で定めるところ(規則に別段の定がないときは、第十九条の規定)による外、その行為の少くとも一月前に、信者 その他の利害関係人に対し、その行為の要旨を示してその旨を公告しなければならない。


但し第三号から第五号までに掲げる行為が緊急の必要に基くものであり、又は軽微のものである場合 及び第五号に掲げる行為が一時の期間に係るものである場合は、この限りでない。

一 号

不動産 又は財産目録に掲げる宝物を処分し、又は担保に供すること。

二 号

借入(当該会計年度内の収入で償還する一時の借入を除く)又は保証をすること。

三 号

主要な境内建物の新築、改築、増築、移築、除却 又は著しい模様替をすること。

四 号
境内地の著しい模様替をすること。
五 号

主要な境内建物の用途 若しくは境内地の用途を変更し、又はこれらを当該宗教法人の第二条に規定する目的以外の目的のために供すること。

1項

宗教法人の境内建物 若しくは境内地である不動産 又は財産目録に掲げる宝物について、前条の規定に違反してした行為は、無効とする。


但し、善意の相手方 又は第三者に対しては、その無効をもつて対抗することができない

1項

宗教法人は、その設立(合併に因る設立を含む。)の時に財産目録を、毎会計年度終了後三月以内に財産目録 及び収支計算書を作成しなければならない。

2項

宗教法人の事務所には、常に次に掲げる書類 及び帳簿を備えなければならない。

一 号
規則 及び認証書
二 号
役員名簿
三 号

財産目録 及び収支計算書 並びに貸借対照表を作成している場合には貸借対照表

四 号

境内建物(財産目録に記載されているものを除く)に関する書類

五 号

責任役員 その他規則で定める機関の議事に関する書類 及び事務処理簿

六 号

第六条の規定による事業を行う場合には、その事業に関する書類

3項

宗教法人は、信者 その他の利害関係人であつて前項の規定により当該宗教法人の事務所に備えられた同項各号に掲げる書類 又は帳簿を閲覧することについて正当な利益があり、かつ、その閲覧の請求が不当な目的によるものでないと認められる者から請求があつたときは、これを閲覧させなければならない。

4項

宗教法人は、毎会計年度終了後四月以内に、第二項の規定により当該宗教法人の事務所に備えられた同項第二号から第四号まで 及び第六号に掲げる書類の写しを所轄庁に提出しなければならない。

5項

所轄庁は、前項の規定により提出された書類を取り扱う場合においては、宗教法人の宗教上の特性 及び慣習を尊重し、信教の自由を妨げることがないように特に留意しなければならない。

第四章 規則の変更

1項

宗教法人は、規則を変更しようとするときは、規則で定めるところによりその変更のための手続をし、その規則の変更について所轄庁の認証を受けなければならない。


この場合において、宗教法人が当該宗教法人を包括する宗教団体との関係(以下「被包括関係」という。)を廃止しようとするときは、当該関係の廃止に係る規則の変更に関し当該宗教法人の規則中に当該宗教法人を包括する宗教団体が一定の権限を有する旨の定がある場合でも、その権限に関する規則の規定によることを要しないものとする。

2項

宗教法人は、被包括関係の設定 又は廃止に係る規則の変更をしようとするときは、第二十七条の規定による認証申請の少くとも二月前に、信者 その他の利害関係人に対し、当該規則の変更の案の要旨を示してその旨を公告しなければならない。

3項

宗教法人は、被包括関係の設定 又は廃止に係る規則の変更をしようとするときは、当該関係を設定しようとする場合には第二十七条の規定による認証申請前に当該関係を設定しようとする宗教団体の承認を受け、当該関係を廃止しようとする場合には前項の規定による公告と同時に当該関係を廃止しようとする宗教団体に対しその旨を通知しなければならない。

4項

宗教団体は、その包括する宗教法人の当該宗教団体との被包括関係の廃止に係る規則の変更の手続が前三項の規定に違反すると認めたときは、その旨をその包括する宗教法人の所轄庁 及び文部科学大臣に通知することができる。

1項

宗教法人は、前条第一項の規定による認証を受けようとするときは、認証申請書 及びその変更しようとする事項を示す書類二通に左に掲げる書類を添えて、これを所轄庁に提出し、その認証を申請しなければならない。

一 号

規則の変更の決定について規則で定める手続を経たことを証する書類

二 号

規則の変更が被包括関係の設定に係る場合には、前条第二項の規定による公告をし、及び同条第三項の規定による承認を受けたことを証する書類

三 号

規則の変更が被包括関係の廃止に係る場合には、前条第二項の規定による公告 及び同条第三項の規定による通知をしたことを証する書類

1項

所轄庁は、前条の規定による認証の申請を受理した場合においては、その受理の日を附記した書面でその旨を当該宗教法人に通知した後、当該申請に係る事案が左に掲げる要件を備えているかどうかを審査し、第十四条第一項の規定に準じ当該規則の変更の認証に関する決定をしなければならない。

一 号

その変更しようとする事項がこの法律 その他の法令の規定に適合していること。

二 号

その変更の手続が第二十六条の規定に従つてなされていること。

2項

第十四条第二項から第五項までの規定は、前項の規定による認証に関する決定の場合に準用する。


この場合において、

同条第四項
認証した旨を附記した規則」とあるのは、
「認証した旨を附記した変更しようとする事項を示す書類」と

読み替えるものとする。

1項

宗教法人の規則の変更は、当該規則の変更に関する認証書の交付に因つてその効力を生ずる。

1項

合併に伴い合併後存続する宗教法人が規則を変更する場合においては、当該規則の変更に関しては、この章の規定にかかわらず第五章の定めるところによる。

第五章 合併

1項

二以上の宗教法人は、合併しての宗教法人となることができる。

1項

宗教法人は、合併しようとするときは、第三十四条から第三十七条までの規定による手続をした後、その合併について所轄庁の認証を受けなければならない。

1項

宗教法人は、合併しようとするときは、規則で定めるところ(規則に別段の定がないときは、第十九条の規定)による外、信者 その他の利害関係人に対し、合併契約の案の要旨を示してその旨を公告しなければならない。

2項

合併しようとする宗教法人は、前項の規定による公告をした日から二週間以内に、財産目録 及び第六条の規定による事業を行う場合にはその事業に係る貸借対照表を作成しなければならない。

3項

合併しようとする宗教法人は、前項の期間内に、その債権者に対し合併に異議があればその公告の日から二月を下らない一定の期間内にこれを申し述べるべき旨を公告し、且つ、知れている債権者には各別に催告しなければならない。

4項

合併しようとする宗教法人は、債権者が前項の期間内に異議を申し述べたときは、これに弁済をし、若しくは相当の担保を供し、又はその債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社 若しくは信託業務を営む金融機関に相当の財産を信託しなければならない。


ただし、合併をしても その債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。

1項

合併に因つての宗教法人が存続し他の宗教法人が解散しようとする場合において、当該合併に伴い規則の変更を必要とするときは、その合併後存続しようとする宗教法人は、規則で定めるところにより、その変更のための手続をしなければならない。

2項

合併に因つて宗教法人を設立しようとする場合においては、その合併しようとする各宗教法人が選任した者は、共同して第十二条第一項 及び第二項の規定に準じ規則を作成しなければならない。

3項

前項に規定する各宗教法人が選任した者は、第三十八条第一項の規定による認証申請の少くとも二月前に、信者 その他の利害関係人に対し、前項の規定により作成した規則の案の要旨を示して合併に因つて宗教法人を設立しようとする旨を第十二条第二項に規定する方法により公告しなければならない。

1項

第二十六条第一項後段 及び第二項から第四項までの規定は、合併しようとする宗教法人が当該合併に伴い被包括関係を設定し、又は廃止しようとする場合に準用する。


この場合において、左の各号に掲げる同条各項中の字句は、当該各号に掲げる字句に読み替えるものとする。

一 号

第一項後段中
当該関係の廃止に係る規則の変更」とあるのは
「当該関係の廃止に係る規則の変更 その他当該関係の廃止」

二 号

第二項
第二十七条」とあるのは
第三十八条第一項」、

当該規則の変更の案」とあるのは
「被包括関係の設定 又は廃止に関する事項」

三 号

第三項
第二十七条」とあるのは
第三十八条第一項」、

前項」とあるのは
第三十四条第一項

四 号

第四項
被包括関係の廃止に係る規則の変更の手続」とあるのは
「被包括関係の廃止を伴う合併の手続」、

前三項」とあるのは
第三十四条から第三十七条まで

1項

合併に伴い第三十五条第三項 又は前条において準用する第二十六条第二項の規定による公告をしなければならない場合においては、当該公告は、第三十四条第一項の規定による公告とあわせてすることを妨げない。


この場合において、第三十五条第三項の規定による公告を他の公告とあわせてするときは、合併しようとする宗教法人と同項に規定する各宗教法人が選任した者とが共同して当該公告をするものとする。

1項

宗教法人は、第三十三条の規定による認証を受けようとするときは、認証申請書 及び第三十五条第一項の規定に該当する場合にはその変更しようとする事項を示す書類二通に、同条第二項の規定に該当する場合にはその規則二通に、左に掲げる書類を添えて、これを所轄庁に提出し、その認証を申請しなければならない。

一 号

合併の決定について規則で定める手続(規則に別段の定がないときは、第十九条の規定による手続)を経たことを証する書類

二 号

第三十四条第一項の規定による公告をしたことを証する書類

三 号

第三十四条第二項から第四項までの規定による手続を経たことを証する書類

四 号

第三十五条第一項 又は第二項の規定に該当する場合には、同条第一項 又は第二項の規定による手続を経たことを証する書類

五 号

第三十五条第二項の規定に該当する場合には、合併後成立する団体が宗教団体であることを証する書類

六 号

第三十五条第三項 又は第三十六条において準用する第二十六条第二項の規定による公告をしなければならない場合には、当該公告をしたことを証する書類

七 号

合併に伴い被包括関係を設定し、又は廃止しようとする場合には、第三十六条において準用する第二十六条第三項の規定による承認を受け、又は同項の規定による通知をしたことを証する書類

2項

前項の規定による認証の申請は、合併しようとする各宗教法人の連名でするものとし、


これらの宗教法人の所轄庁が異なる場合には、合併後存続しようとする宗教法人 又は合併に因つて設立しようとする宗教法人の所轄庁をもつて当該認証を申請すべき所轄庁とする。

1項

所轄庁は、前条第一項の規定による認証の申請を受理した場合においては、その受理の日を附記した書面でその旨を当該宗教法人に通知した後、当該申請に係る事案が左に掲げる要件を備えているかどうかを審査し、第十四条第一項の規定に準じ当該合併の認証に関する決定をしなければならない。

一 号

当該合併の手続が第三十四条から第三十七条までの規定に従つてなされていること。

二 号

当該合併が第三十五条第一項 又は第二項の規定に該当する場合には、それぞれその変更しようとする事項 又は規則がこの法律 その他の法令の規定に適合していること。

三 号

当該合併が第三十五条第二項の規定に該当する場合には、当該合併後成立する団体が宗教団体であること。

2項

第十四条第二項から第五項までの規定は、前項の規定による認証に関する決定の場合に準用する。


この場合において、

同条第四項
認証した旨を附記した規則」とあるのは、
「当該合併が第三十五条第一項 又は第二項の規定に該当する場合には認証した旨を附記した変更しようとする事項を示す書類 又は規則」と

読み替えるものとする。

3項

第一項 又は前項において準用する第十四条第四項の規定による宗教法人に対する所轄庁の通知 及び認証書等の交付は、当該認証を申請した宗教法人のうちのに対してすれば足りる。

1項

宗教法人の合併は、合併後存続する宗教法人 又は合併によつて設立する宗教法人がその主たる事務所の所在地において第五十六条の規定による登記をすることによつてその効力を生ずる。

1項

合併後存続する宗教法人 又は合併に因つて設立した宗教法人は、合併に因つて解散した宗教法人の権利義務(当該宗教法人が第六条の規定により行う事業に関し行政庁の許可、認可 その他の処分に基いて有する権利義務を含む。)を承継する。

第六章 解散

1項

宗教法人は、任意に解散することができる。

2項

宗教法人は、前項の場合のほか、次に掲げる事由によつて解散する。

一 号
規則で定める解散事由の発生
二 号

合併(合併後存続する宗教法人における当該合併を除く

三 号
破産手続開始の決定
四 号

第八十条第一項の規定による所轄庁の認証の取消し

五 号

第八十一条第一項の規定による裁判所の解散命令

六 号

宗教団体を包括する宗教法人にあつては、その包括する宗教団体の欠亡

3項

宗教法人は、前項第三号に掲げる事由に因つて解散したときは、遅滞なくその旨を所轄庁に届け出なければならない。

1項

宗教法人は、前条第一項の規定による解散をしようとするときは、第二項 及び第三項の規定による手続をした後、その解散について所轄庁の認証を受けなければならない。

2項

宗教法人は、前条第一項の規定による解散をしようとするときは、規則で定めるところ(規則に別段の定がないときは、第十九条の規定)による外、信者 その他の利害関係人に対し、解散に意見があればその公告の日から二月を下らない一定の期間内にこれを申し述べるべき旨を公告しなければならない。

3項

宗教法人は、信者 その他の利害関係人が前項の期間内にその意見を申し述べたときは、その意見を十分に考慮して、その解散の手続を進めるかどうかについて再検討しなければならない。

1項

宗教法人は、前条第一項の規定による認証を受けようとするときは、認証申請書に左に掲げる書類を添えて、これを所轄庁に提出し、その認証を申請しなければならない。

一 号

解散の決定について規則で定める手続(規則に別段の定がないときは、第十九条の規定による手続)を経たことを証する書類

二 号

前条第二項の規定による公告をしたことを証する書類

1項

所轄庁は、前条の規定による認証の申請を受理した場合においては、その受理の日を附記した書面でその旨を当該宗教法人に通知した後、当該申請に係る解散の手続が第四十四条の規定に従つてなされているかどうかを審査し、第十四条第一項の規定に準じ当該解散の認証に関する決定をしなければならない。

2項

第十四条第二項から第四項までの規定は、前項の規定による認証に関する決定の場合に準用する。


この場合において、

同条第四項
認証書 及び認証した旨を附記した規則」とあるのは、
「認証書」と

読み替えるものとする。

1項

宗教法人の第四十三条第一項の規定による解散は、当該解散に関する認証書の交付によつてその効力を生ずる。

1項

宗教法人がその債務につきその財産をもつて完済することができなくなつた場合には、裁判所は、代表役員 若しくはその代務者 若しくは債権者の申立てにより 又は職権で、破産手続開始の決定をする。

2項

前項に規定する場合には、代表役員 又はその代務者は、直ちに破産手続開始の申立てをしなければならない。

1項

解散した宗教法人は、清算の目的の範囲内において、その清算の結了に至るまではなお存続するものとみなす。

1項

宗教法人が解散(合併 及び破産手続開始の決定による解散を除く)したときは規則に別段の定めがある場合 及び解散に際し代表役員 又はその代務者以外の者を清算人に選任した場合を除くほか、代表役員 又はその代務者が清算人となる。

2項

前項の規定により清算人となる者がないとき、又は清算人が欠けたため損害を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、利害関係人 若しくは検察官の請求により 又は職権で、清算人を選任することができる。

3項

宗教法人が第四十三条第二項第四号 又は第五号に掲げる事由によつて解散したときは、裁判所は、前二項の規定にかかわらず、所轄庁、利害関係人 若しくは検察官の請求により 又は職権で、清算人を選任する。

4項

第二十二条の規定は、宗教法人の清算人に準用する。

5項

重要な事由があるときは、裁判所は、利害関係人 若しくは検察官の請求により 又は職権で、清算人を解任することができる。

6項

宗教法人の責任役員 及びその代務者は、規則に別段の定めがなければ、宗教法人の解散によつて退任するものとする。


宗教法人の代表役員 又はその代務者で清算人とならなかつたものについても、また同様とする。

7項

第三項の規定に該当するときは、宗教法人の代表役員、責任役員 及び代務者は、前項の規定にかかわらず、当該解散によつて退任するものとする。

1項
清算人の職務は、次のとおりとする。
一 号
現務の結了
二 号

債権の取立て 及び債務の弁済

三 号
残余財産の引渡し
2項

清算人は、前項各号に掲げる職務を行うために必要な一切の行為をすることができる。

1項

清算人は、その就職の日から二月以内に、少なくとも三回の公告をもつて、債権者に対し、一定の期間内にその債権の申出をすべき旨の催告をしなければならない。


この場合において、その期間は、二月を下ることができない。

2項

前項の公告には、債権者がその期間内に申出をしないときは清算から除斥されるべき旨を付記しなければならない。


ただし、清算人は、知れている債権者を除斥することができない

3項

清算人は、知れている債権者には、各別にその申出の催告をしなければならない。

4項

第一項の公告は、官報に掲載してする。

1項

前条第一項の期間の経過後に申出をした債権者は、宗教法人の債務が完済された後まだ権利の帰属すべき者に引き渡されていない財産に対してのみ、請求をすることができる。

1項

清算中に宗教法人の財産がその債務を完済するのに足りないことが明らかになつたときは、清算人は、直ちに破産手続開始の申立てをし、その旨を公告しなければならない。

2項

清算人は、清算中の宗教法人が破産手続開始の決定を受けた場合において、破産管財人にその事務を引き継いだときは、その任務を終了したものとする。

3項

前項に規定する場合において、清算中の宗教法人が既に債権者に支払い、又は権利の帰属すべき者に引き渡したものがあるときは、破産管財人は、これを取り戻すことができる。

4項

第一項の規定による公告は、官報に掲載してする。

1項

裁判所は、第四十九条第二項 又は第三項の規定により清算人を選任した場合には、宗教法人が当該清算人に対して支払う報酬の額を定めることができる。


この場合においては、裁判所は、当該清算人(当該宗教法人の規則で当該宗教法人の財産の状況 及び役員の職務の執行の状況を監査する機関を置く旨が定められているときは、当該清算人 及び当該監査の機関)の陳述を聴かなければならない。

1項

解散した宗教法人の残余財産の処分は、合併 及び破産手続開始の決定による解散の場合を除くほか、規則で定めるところによる。

2項

前項の場合において、規則にその定がないときは、他の宗教団体 又は公益事業のためにその財産を処分することができる。

3項

前二項の規定により処分されない財産は、国庫に帰属する。

1項

宗教法人の解散 及び清算は、裁判所の監督に属する。

2項

裁判所は、職権で、いつでも前項の監督に必要な検査をすることができる。

3項

裁判所は、第一項の監督に必要な調査をさせるため、検査役を選任することができる。

4項

第四十九条の六の規定は、前項の規定により裁判所が検査役を選任した場合に準用する。


この場合において、

同条
清算人(当該宗教法人の規則で当該宗教法人の財産の状況 及び役員の職務の執行の状況を監査する機関を置く旨が定められているときは、当該清算人 及び当該監査の機関)」とあるのは、
「宗教法人 及び検査役」と

読み替えるものとする。

5項

宗教法人の解散 及び清算を監督する裁判所は、所轄庁に対し、意見を求め、又は調査を嘱託することができる。

6項

前項に規定する所轄庁は、同項に規定する裁判所に対し、意見を述べることができる。

1項

宗教法人の解散 及び清算の監督 並びに清算人に関する事件は、その主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。

1項

清算人 又は検査役の選任の裁判に対しては、不服を申し立てることができない

第七章 登記

第一節 宗教法人の登記

1項

宗教法人の設立の登記は、規則の認証書の交付を受けた日から二週間以内に、主たる事務所の所在地においてしなければならない。

2項

設立の登記においては、次に掲げる事項を登記しなければならない。

一 号

目的(第六条の規定による事業を行う場合には、その事業の種類を含む。

二 号
名称
三 号
事務所の所在場所
四 号

当該宗教法人を包括する宗教団体がある場合には、その名称 及び宗教法人非宗教法人の別

五 号

基本財産がある場合には、その総額

六 号

代表権を有する者の氏名、住所 及び資格

七 号

規則で境内建物 若しくは境内地である不動産 又は財産目録に掲げる宝物に係る第二十三条第一号に掲げる行為に関する事項を定めた場合には、その事項

八 号

規則で解散の事由を定めた場合には、その事由

九 号
公告の方法
1項

宗教法人において前条第二項各号に掲げる事項に変更が生じたときは、二週間以内に、その主たる事務所の所在地において、変更の登記をしなければならない。

1項

宗教法人がその主たる事務所を他の登記所の管轄区域内に移転したときは、二週間以内に、旧所在地においては移転の登記をし、新所在地においては第五十二条第二項各号に掲げる事項を登記しなければならない。

1項

代表権を有する者の職務の執行を停止し、若しくはその職務を代行する者を選任する仮処分命令 又はその仮処分命令を変更し、若しくは取り消す決定がされたときは、その主たる事務所の所在地において、その登記をしなければならない。

1項

宗教法人が合併するときは、当該合併に関する認証書の交付を受けた日から二週間以内に、その主たる事務所の所在地において、合併後存続する宗教法人については変更の登記をし、合併により解散する宗教法人については解散の登記をし、合併により設立する宗教法人については設立の登記をしなければならない。

1項

第四十三条第一項 又は第二項第二号 及び第三号除く。以下この条において同じ。)の規定により宗教法人が解散したときは、同条第一項の規定による解散の場合には当該解散に関する認証書の交付を受けた日から、同条第二項の規定による解散の場合には当該解散の事由が生じた日から、二週間以内に、その主たる事務所の所在地において、解散の登記をしなければならない。

1項

宗教法人の清算が結了したときは、清算結了の日から二週間以内に、その主たる事務所の所在地において、清算結了の登記をしなければならない。

1項

宗教法人の登記に関する事務は、その事務所の所在地を管轄する法務局 若しくは地方法務局 若しくはこれらの支局 又はこれらの出張所が管轄登記所としてつかさどる。

2項
各登記所に宗教法人登記簿を備える。
1項

設立の登記は、宗教法人を代表すべき者の申請によつてする。

2項

設立の登記の申請書には、所轄庁の証明がある認証を受けた規則の謄本 及び宗教法人を代表すべき者の資格を証する書類を添付しなければならない。

3項

第五十二条第二項各号に掲げる事項の変更の登記の申請書には、当該事項の変更を証する書類を添付しなければならない。


ただし、代表権を有する者の氏名 又は住所の変更の登記については、この限りでない。

4項

合併による変更 又は設立の登記の申請書には、前二項に規定する書類のほか、第三十四条第三項 及び第四項の規定による手続を経たことを証する書類 並びに合併により解散する宗教法人(当該登記所の管轄区域内に主たる事務所があるものを除く)の登記事項証明書を添付しなければならない。

5項

第五十七条の規定による解散の登記の申請書には、解散の事由を証する書類を添付しなければならない。

6項

この法律の規定による所轄庁の認証を要する事項に係る登記の申請書には、第二項から前項までに規定する書類のほか、所轄庁の証明がある認証書の謄本を添付しなければならない。

1項

商業登記法昭和三十八年法律第百二十五号第二条から第五条まで登記所及び登記官)、第七条から第十五条まで第十七条第十八条第十九条の二第十九条の三第二十一条から第二十三条の二まで第二十四条第十四号 及び第十五号除く)、第二十六条第二十七条登記簿等、登記手続の通則及び同一の所在場所における同一商号の登記の禁止)、第五十一条から第五十三条まで第七十一条第一項 及び第三項第七十九条第八十二条第八十三条株式会社の登記)、第三章第十節登記の更正及び抹消)並びに第四章雑則)の規定は、この章の規定による登記について準用する。


この場合において、

同法第七十一条第三項ただし書中
会社法第四百七十八条第一項第一号の規定により清算株式会社の清算人となつたもの(同法第四百八十三条第四項に規定する場合にあつては、同項の規定により清算株式会社の代表清算人となつたもの)」とあるのは
宗教法人法第四十九条第一項の規定による清算人」と、

同法第百四十六条の二
商業登記法(」とあるのは
宗教法人法昭和二十六年法律第百二十六号第六十五条において準用する商業登記法(」と、

商業登記法第百四十五条」とあるのは
宗教法人法第六十五条において準用する商業登記法第百四十五条」と

読み替えるものとする。

第二節 礼拝用建物及び敷地の登記

1項

宗教法人の所有に係るその礼拝の用に供する建物 及びその敷地については、当該不動産が当該宗教法人において礼拝の用に供する建物 及びその敷地である旨の登記をすることができる。

2項

敷地に関する前項の規定による登記は、その上に存する建物について同項の規定による登記がある場合に限りすることができる。

1項

前条第一項の規定による登記は、当該宗教法人の申請によつてする。

2項

登記を申請するには、その申請情報と併せて礼拝の用に供する建物 又はその敷地である旨を証する情報を提供しなければならない。

1項

登記官は、前条第一項の規定による申請があつたときは、その建物 又は土地の登記記録中権利部に、建物については当該宗教法人において礼拝の用に供するものである旨を、土地については当該宗教法人において礼拝の用に供する建物の敷地である旨を記録しなければならない。

1項

宗教法人は、前条の規定による登記をした建物が礼拝の用に供せられないこととなつたときは、遅滞なく同条の規定による登記の抹消を申請しなければならない。


前条の規定による登記をした土地が礼拝の用に供する建物の敷地でなくなつたときも、また同様とする。

2項

登記官は、前項前段の規定による申請に基き登記の抹消をした場合において、当該建物の敷地について前条の規定による登記があるときは、あわせてその登記を抹消しなければならない。

1項

登記官は、第六十八条の規定による登記をした建物 又は土地について所有権移転の登記をしたときは、これとともに当該建物 又は土地に係る同条の規定による登記を抹消しなければならない。

2項

前条第二項の規定は、前項の規定により建物について登記の抹消をした場合に準用する。

3項

前二項の規定は、宗教法人の合併の場合には適用しない

第八章 宗教法人審議会

1項

文部科学省に宗教法人審議会を置く。

2項

宗教法人審議会は、この法律の規定によりその権限に属させられた事項を処理する。

3項

宗教法人審議会は、所轄庁がこの法律の規定による権限(前項に規定する事項に係るものに限る)を行使するに際し留意すべき事項に関し、文部科学大臣に意見を述べることができる。

4項

宗教法人審議会は、宗教団体における信仰、規律、慣習等宗教上の事項について、いかなる形においても調停し、又は干渉してはならない。

1項

宗教法人審議会は、十人以上二十人以内の委員で組織する。

2項

委員は、宗教家 及び宗教に関し学識経験がある者のうちから、文部科学大臣が任命する。

1項

委員の任期は、二年とする。

2項
委員は、再任されることができる。
1項

宗教法人審議会に会長を置く。

2項

会長は、委員が互選した者について、文部科学大臣が任命する。

3項
会長は、宗教法人審議会の会務を総理する。
1項
委員は、非常勤とする。
2項

委員は、その職務に対して報酬を受けない。


但し、職務を行うために要する費用の弁償を受けることができる。

3項

費用弁償の額 及びその支給方法は、文部科学大臣が財務大臣に協議して定める。

1項

この章に規定するものを除くほか、宗教法人審議会の議事の手続 その他その運営に関し必要な事項は、文部科学大臣の承認を受けて、宗教法人審議会が定める。

第九章 補則

1項

宗教団体は、その包括する宗教法人と当該宗教団体との被包括関係の廃止を防ぐことを目的として、又はこれを企てたことを理由として、第二十六条第三項第三十六条において準用する場合を含む。)の規定による通知前に 又はその通知後二年間においては、当該宗教法人の代表役員、責任役員 その他の役員 又は規則で定めるその他の機関の地位にある者を解任し、これらの者の権限に制限を加え、その他これらの者に対し不利益の取扱をしてはならない。

2項

前項の規定に違反してした行為は、無効とする。

3項

宗教法人は、他の宗教団体との被包括関係を廃止した場合においても、その関係の廃止前に原因を生じた当該宗教団体に対する債務の履行を免かれることができない。

1項

所轄庁は、宗教法人について次の各号の一に該当する疑いがあると認めるときは、この法律を施行するため必要な限度において、当該宗教法人の業務 又は事業の管理運営に関する事項に関し、当該宗教法人に対し報告を求め、又は当該職員に当該宗教法人の代表役員、責任役員 その他の関係者に対し質問させることができる。


この場合において、当該職員が質問するために当該宗教法人の施設に立ち入るときは、当該宗教法人の代表役員、責任役員 その他の関係者の同意を得なければならない。

一 号

当該宗教法人が行う公益事業以外の事業について第六条第二項の規定に違反する事実があること。

二 号

第十四条第一項 又は第三十九条第一項の規定による認証をした場合において、当該宗教法人について第十四条第一項第一号 又は第三十九条第一項第三号に掲げる要件を欠いていること

三 号

当該宗教法人について第八十一条第一項第一号から第四号までの一に該当する事由があること。

2項

前項の規定により報告を求め、又は当該職員に質問させようとする場合においては、所轄庁は、当該所轄庁が文部科学大臣であるときはあらかじめ宗教法人審議会に諮問してその意見を聞き、当該所轄庁が都道府県知事であるときはあらかじめ文部科学大臣を通じて宗教法人審議会の意見を聞かなければならない。

3項

前項の場合においては、文部科学大臣は、報告を求め、又は当該職員に質問させる事項 及び理由を宗教法人審議会に示して、その意見を聞かなければならない。

4項

所轄庁は、第一項の規定により報告を求め、又は当該職員に質問させる場合には、宗教法人の宗教上の特性 及び慣習を尊重し、信教の自由を妨げることがないように特に留意しなければならない。

5項

第一項の規定により質問する当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、宗教法人の代表役員、責任役員 その他の関係者に提示しなければならない。

6項

第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

1項

所轄庁は、宗教法人が行う公益事業以外の事業について第六条第二項の規定に違反する事実があると認めたときは、当該宗教法人に対し、一年以内の期間を限りその事業の停止を命ずることができる。

2項

前項の規定による事業の停止の命令は、その理由 及び事業の停止を命ずる期間を附記した書面で当該宗教法人に通知してするものとする。

3項

所轄庁は、第一項の規定による事業の停止の命令に係る弁明の機会を付与するに当たつては、当該宗教法人が書面により弁明をすることを申し出たときを除き、口頭ですることを認めなければならない。

4項

前条第二項の規定は、第一項の規定により事業の停止を命じようとする場合に準用する。

1項

所轄庁は、第十四条第一項 又は第三十九条第一項の規定による認証をした場合において、当該認証に係る事案が第十四条第一項第一号 又は第三十九条第一項第三号に掲げる要件を欠いていることが判明したときは、当該認証に関する認証書を交付した日から一年以内に限り、当該認証を取り消すことができる。

2項

前項の規定による認証の取消は、その理由を附記した書面で当該宗教法人に通知してするものとする。

3項

宗教法人について第一項の規定に該当する事由があることを知つた者は、証拠を添えて、所轄庁に対し、その旨を通知することができる。

4項

第一項の規定による認証の取消しに係る聴聞の主宰者は、行政手続法平成五年法律第八十八号第二十条第三項の規定により当該宗教法人の代表者 又は代理人が補佐人とともに出頭することを申し出たときは、これを許可しなければならない。


ただし、当該聴聞の主宰者は、必要があると認めたときは、その補佐人の数を三人までに制限することができる。

5項

第七十八条の二第二項の規定は、第一項の規定による認証の取消しをしようとする場合に準用する。

6項

所轄庁は、第一項の規定による認証の取消しをしたときは、当該宗教法人の主たる事務所の所在地の登記所に解散の登記の嘱託をしなければならない。

1項

第十四条第一項第二十八条第一項第三十九条第一項 若しくは第四十六条第一項の規定による認証に関する決定、第七十九条第一項の規定による事業の停止の命令 又は前条第一項の規定による認証の取消しについての審査請求に対する裁決は、当該審査請求を却下する場合を除き、あらかじめ宗教法人審議会に諮問した後にしなければならない。

2項

前項の審査請求に対する裁決は、当該審査請求があつた日から四月以内にしなければならない。

1項

裁判所は、宗教法人について左の各号の一に該当する事由があると認めたときは、所轄庁、利害関係人 若しくは検察官の請求により 又は職権で、その解散を命ずることができる。

一 号

法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと。

二 号

第二条に規定する宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をしたこと 又は一年以上にわたつてその目的のための行為をしないこと。

三 号

当該宗教法人が第二条第一号に掲げる宗教団体である場合には、礼拝の施設が滅失し、やむを得ない事由がないのにその滅失後二年以上にわたつてその施設を備えないこと。

四 号

一年以上にわたつて代表役員 及びその代務者を欠いていること。

五 号

第十四条第一項 又は第三十九条第一項の規定による認証に関する認証書を交付した日から一年を経過している場合において、当該宗教法人について第十四条第一項第一号 又は第三十九条第一項第三号に掲げる要件を欠いていることが判明したこと。

2項

前項に規定する事件は、当該宗教法人の主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄とする。

3項

第一項の規定による裁判には、理由を付さなければならない。

4項

裁判所は、第一項の規定による裁判をするときは、あらかじめ当該宗教法人の代表役員 若しくはその代務者 又は当該宗教法人の代理人 及び同項の規定による裁判の請求をした所轄庁、利害関係人 又は検察官の陳述を求めなければならない

5項

第一項の規定による裁判に対しては、当該宗教法人 又は同項の規定による裁判の請求をした所轄庁、利害関係人 若しくは検察官に限り、即時抗告をすることができる。


この場合において、当該即時抗告が当該宗教法人の解散を命ずる裁判に対するものであるときは、執行停止の効力を有する。

6項

裁判所は、第一項の規定による裁判が確定したときは、その解散した宗教法人の主たる事務所の所在地の登記所に解散の登記の嘱託をしなければならない。

7項

第二項から前項までに規定するものを除くほか、第一項の規定による裁判に関する手続については、非訟事件手続法平成二十三年法律第五十一号)の定めるところによる。

1項

文部科学大臣 及び都道府県知事は、この法律の規定による認証に関し宗教法人の代表者 若しくは代理人 若しくは第十二条第一項の規定による認証を受けようとする者 若しくはその代理人が意見を述べる場合 又は第七十九条第一項の規定による事業の停止の命令に関し宗教法人の代表者 若しくは代理人が口頭により弁明をする場合においては、これらの者のほか、助言者、弁護人等としてこれらの者に随伴した者に対し、意見を述べる機会を与えなければならない。


ただし、必要があると認めたときは、その意見を述べる機会を与える随伴者の数を三人までに制限することができる。

1項

宗教法人の所有に係るその礼拝の用に供する建物 及びその敷地で、第七章第二節の定めるところにより礼拝の用に供する建物 及びその敷地である旨の登記をしたものは、不動産の先取特権、抵当権 又は質権の実行のためにする場合 及び破産手続開始の決定があつた場合を除くほか、その登記後に原因を生じた私法上の金銭債権のために差し押さえることができない

1項

国 及び公共団体の機関は、宗教法人に対する公租公課に関係がある法令を制定し、若しくは改廃し、又はその賦課徴収に関し境内建物、境内地 その他の宗教法人の財産の範囲を決定し、若しくは宗教法人について調査をする場合 その他宗教法人に関して法令の規定による正当の権限に基く調査、検査 その他の行為をする場合においては、宗教法人の宗教上の特性 及び慣習を尊重し、信教の自由を妨げることがないように特に留意しなければならない。

1項

この法律のいかなる規定も、文部科学大臣、都道府県知事 及び裁判所に対し、宗教団体における信仰、規律、慣習等宗教上の事項についていかなる形においても調停し、若しくは干渉する権限を与え、又は宗教上の役職員の任免 その他の進退を勧告し、誘導し、若しくはこれに干渉する権限を与えるものと解釈してはならない。

1項

この法律のいかなる規定も、宗教団体が公共の福祉に反した行為をした場合において他の法令の規定が適用されることを妨げるものと解釈してはならない。

1項

第八十条の二第一項に規定する処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ、提起することができない

1項

第九条第十四条第一項第二項第二十八条第二項第三十九条第二項 及び第四十六条第二項において準用する場合を含む。)及び第四項第二十八条第二項第三十九条第二項 及び第四十六条第二項において準用する場合を含む。)、第二十五条第四項第二十六条第四項第三十六条において準用する場合を含む。)、第二十八条第一項第三十九条第一項第四十三条第三項第四十六条第一項第四十九条第三項第五十一条第五項 及び第六項第七十八条の二第一項 及び第二項第七十九条第四項 及び第八十条第五項において準用する場合を含む。)、第七十九条第一項から第三項まで第八十条第一項から第三項まで 及び第六項第八十一条第一項第四項 及び第五項 並びに第八十二条の規定により都道府県が処理することとされている事務は、地方自治法昭和二十二年法律第六十七号第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。

第十章 罰則

1項

次の各号いずれかに該当する場合においては、宗教法人の代表役員、その代務者、仮代表役員 又は清算人は、十万円以下の過料に処する。

一 号

所轄庁に対し虚偽の記載をした書類を添付してこの法律の規定による認証(第十二条第一項の規定による認証を除く)の申請をしたとき。

二 号

第九条 又は第四十三条第三項の規定による届出を怠り、又は虚偽の届出をしたとき。

三 号

第二十三条の規定に違反して同条の規定による公告をしないで同条各号に掲げる行為をしたとき。

四 号

第二十五条第一項 若しくは第二項の規定に違反してこれらの規定に規定する書類 若しくは帳簿の作成 若しくは備付けを怠り、又は同条第二項各号に掲げる書類 若しくは帳簿に虚偽の記載をしたとき。

五 号

第二十五条第四項の規定による書類の写しの提出を怠つたとき。

六 号

第四十八条第二項 又は第四十九条の五第一項の規定による破産手続開始の申立てを怠つたとき。

七 号

第四十九条の三第一項 又は第四十九条の五第一項の規定による公告を怠り、又は不正の公告をしたとき。

八 号

第五十一条第二項の規定による裁判所の検査を妨げたとき。

九 号

第七章第一節の規定による登記をすることを怠つたとき。

十 号

第七十八条の二第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による当該職員の質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をしたとき。

十一 号

第七十九条第一項の規定による事業の停止の命令に違反して事業を行つたとき。

1項

宗教法人を設立しようとする者が所轄庁に対し虚偽の記載をした書類を添付して第十二条第一項の規定による認証の申請をしたときは、当該申請に係る団体の代表者は、十万円以下の過料に処する。