あへん法

昭和二十九年法律第七十一号
分類 法律
カテゴリ   厚生
@ 施行日 : 令和四年六月十七日 ( 2022年 6月17日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第六十八号による改正
最終編集日 : 2024年 04月26日 21時14分

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  • 第一章 総則

  • 第二章 禁止

  • 第三章 栽培

  • 第四章 収納及び売渡

  • 第五章 管理

  • 第六章 監督

  • 第七章 雑則

  • 第八章 罰則

第一章 総則

1項

この法律は、医療 及び学術研究の用に供するあへんの供給の適正を図るため、国があへんの輸入、輸出、収納 及び売渡を行い、あわせて、けしの栽培 並びにあへん 及びけしがらの譲渡、譲受、所持等について必要な取締を行うことを目的とする。

1項

あへんの輸入、輸出、けし耕作者 及び甲種研究栽培者からの一手買取 並びに麻薬製造業者 及び麻薬研究施設の設置者への売渡の権能は、国に専属する。

1項

この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

一 号

けし

パパヴェル・ソムニフェルム・エル、パパヴェル・セティゲルム・ディーシー 及びその他のけし属の植物であつて、厚生労働大臣が指定するものをいう。

二 号

あへん

けしの液汁が凝固したもの 及びこれに加工を施したもの(医薬品として加工を施したものを除く)をいう。

三 号

けしがら

けしの麻薬を抽出することができる部分(種子を除く)をいう。

四 号

けし栽培者

けし耕作者、甲種研究栽培者 及び乙種研究栽培者をいう。

五 号

けし耕作者

採取したあへんを国に納付する目的で、第十二条第一項の許可を受けてけしを栽培する者をいう。

六 号

甲種研究栽培者

あへんの採取を伴う学術研究のため、第十二条第一項の許可を受けてけしを栽培する者をいう。

七 号

乙種研究栽培者

あへんの採取を伴わない学術研究のため、第十二条第二項の許可を受けてけしを栽培する者をいう。

八 号

麻薬製造業者

麻薬及び向精神薬取締法昭和二十八年法律第十四号)に規定する麻薬製造業者をいう。

九 号

麻薬研究者

麻薬及び向精神薬取締法に規定する麻薬研究者をいう。

十 号

麻薬研究施設

麻薬及び向精神薬取締法に規定する麻薬研究施設をいう。

第二章 禁止

1項

けし栽培者でなければ、けし栽培してはならない

1項

けし耕作者 又は甲種研究栽培者でなければ、あへんを採取してはならない。

1項

何人も、あへんを輸入し、又は輸出してはならない。


但し、国の委託を受けた者は、この限りでない。

2項

何人も、厚生労働大臣の許可を受けなければ、けしがらを輸入し、又は輸出してはならない。

3項

前項の許可を申請するには、厚生労働省令で定めるところにより、栽培地 又は麻薬及び向精神薬取締法に規定する麻薬業務所(以下「麻薬業務所」という。)の所在地(麻薬研究施設の設置者にあつては、麻薬研究施設の所在地とする。第十条第二項において同じ。)の都道府県知事を経由して、申請書を厚生労働大臣に提出しなければならない。

1項

何人も、国以外の者にあへんを譲り渡し、又は国以外の者からあへんを譲り受けてはならない。

2項

けし栽培者、麻薬製造業者 又は麻薬研究施設の設置者でなければ、けしがらを譲り渡し、又は譲り受けてはならない。

3項

前項に規定する者は、同項に規定する者以外の者にけしがらを譲り渡し、又は同項に規定する者以外の者からけしがらを譲り受けてはならない。

1項

けし耕作者、甲種研究栽培者、麻薬製造業者、麻薬研究者 又は麻薬研究施設の設置者でなければ、あへんを所持してはならない。

2項

けし耕作者 又は甲種研究栽培者は、その採取したあへん以外のあへんを所持してはならない。

3項

けし耕作者 又は甲種研究栽培者は、その採取したあへんを第三十条の規定により厚生労働大臣が定めるその年の納付期限をこえて所持してはならない。

4項

麻薬製造業者、麻薬研究者 又は麻薬研究施設の設置者は、国から売渡を受けたあへん以外のあへんを所持してはならない。

5項

けし栽培者、麻薬製造業者、麻薬研究者 又は麻薬研究施設の設置者でなければ、けしがらを所持してはならない。

1項

何人も、あへん 又はけしがらを吸食してはならない。

1項

何人も、厚生労働大臣の許可を受けなければ、あへんを廃棄してはならない。

2項

前項の許可を申請するには、厚生労働省令で定めるところにより、栽培地 又は麻薬業務所の所在地の都道府県知事を経由して、申請書を厚生労働大臣に提出しなければならない。

第三章 栽培

1項

厚生労働大臣は、毎年、けし耕作者 又は甲種研究栽培者がけしを栽培することができる区域 及び面積を定めて、公告する。

1項

採取したあへんを国に納付する目的で、又はあへんの採取を伴う学術研究のため、けしを栽培しようとする者は、あらかじめ栽培地 及び栽培面積 並びにあへんの乾そう場 及び保管場を定めて、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。

2項

あへんの採取を伴わない学術研究のため、けしを栽培しようとする者は、あらかじめ栽培地 及び栽培面積を定めて、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。

3項

前二項の許可を申請するには、栽培地の都道府県知事を経由して、申請書を厚生労働大臣に提出しなければならない。

4項

都道府県知事は、前項の申請書を受理したときは、必要な調査を行い、意見があるときはその意見を付して、これを厚生労働大臣に進達するものとする。

1項

次の各号いずれかに該当する者には、前条第一項 又は第二項の許可を与えない。

一 号
未成年者
二 号

麻薬、大麻 又はあへんの中毒者

1項

次の各号いずれかに該当する者には、第十二条第一項 又は第二項の許可を与えないことができる。

一 号

心身の障害によりこの法律の規定に基づき適正にけしの栽培の業務を行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの

二 号

第四十二条の規定により許可を取り消され、取消の日から三年を経過していない者

三 号

この法律、麻薬及び向精神薬取締法大麻取締法昭和二十三年法律第百二十四号)、覚醒剤取締法昭和二十六年法律第二百五十二号)若しくは国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律平成三年法律第九十四号)に違反する罪 又は刑法明治四十年法律第四十五号第二編第十四章に定める罪を犯し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終り、又は執行を受けることがなくなつた後、三年を経過していない者

四 号

けしの栽培上 又は取締り上 不適当と認める場所に栽培しようとする者

五 号

学術研究のため栽培しようとする場合を除き、申請に係る栽培面積が著しく狭い

六 号

けし栽培者として必要な経営的 又は技術的能力を有しないと認められる者

七 号

法人 又は団体であつて、その業務を行う役員のうちに前条各号のいずれか 又は第一号から第三号までに該当する者があるもの

1項

厚生労働大臣は、第十二条第一項 又は第二項の許可を与えたときは、その申請者に栽培許可証を交付しなければならない。

2項

栽培許可証には、左の各号に掲げる事項を記載しなければならない。

一 号

けし栽培者の氏名 又は名称

二 号
けし栽培者の住所
三 号
栽培地
四 号
栽培面積
五 号

その他厚生労働省令で定める事項

3項

けし耕作者 又は甲種研究栽培者に交付する栽培許可証には、前項各号に掲げる事項のほか、あへんの乾そう場 及び保管場を記載しなければならない。

4項

栽培許可証は、他人に譲り渡し、又は貸与してはならない。

1項

第十二条第一項 又は第二項の許可の有効期間は、許可の日から一年以内九月三十日までとする。

1項

けし栽培者は、許可を受けた栽培地以外の場所で、又は許可を受けた栽培面積をこえて、けしを栽培してはならない。

2項

けし耕作者 又は甲種研究栽培者は、許可を受けたあへんの乾そう場以外の場所であへんを乾そうし、又は許可を受けたあへんの保管場以外の場所であへんを保管してはならない。

1項

けし栽培者は、厚生労働大臣に対し、栽培地、栽培面積 又はあへんの乾燥場 若しくは保管場について、第十二条第一項 又は第二項の許可の変更を申請することができる。


ただし、都道府県の区域を越えてこれらの事項を変更しようとする場合は、この限りでない。

2項

第十二条第三項 及び第四項の規定は、前項申請について、第十四条第四号から第六号までの規定は、前項の規定による許可の変更について準用する。

3項

第一項の申請をするには、申請書に栽培許可証を添付しなければならない。

4項

厚生労働大臣は、第一項の規定により許可を変更したときは、栽培許可証の記載のうち当該変更に係る部分を訂正して、これを申請者に交付しなければならない。

1項

けし耕作者 又は甲種研究栽培者は、その採取したあへんを国に納付するまで、かぎをかけた堅固な設備内に収めてこれを保管しなければならない。


但し、乾そう中は、かぎをかけた設備内に保管することができる。

2項

前項に定めるもののほか、けし栽培者が、あへん 又はけしがらについて、滅失、盗難、紛失 その他の事故を防止するためにとるべき措置については、厚生労働省令で定める。

1項

けし栽培者は、その所有するあへん 又はけしがらにつき、滅失、盗難、紛失 その他の事故が生じたときは、すみやかに、都道府県知事を経由して、その数量、その他事故の状況を明らかにするために必要な事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。

1項

けし栽培者は、麻薬製造業者 若しくは麻薬研究施設の設置者 又は他のけし栽培者にけしがらを譲り渡し、又はこれらの者からけしがらを譲り受けたときは、十五日以内に、都道府県知事を経由して、厚生労働省令で定める事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。

2項

けし栽培者は、けしがらを廃棄しようとするときは、あらかじめ廃棄の日時、場所 及び方法を都道府県知事に届け出なければならない。

3項

けし栽培者は、けしがらを廃棄するには、前項の規定によつて届け出た方法によらなければならない。


但し、あへん監視員から廃棄の方法につき指示を受けたときは、これに従わなければならない。

1項

けし栽培者は、第十五条第二項第一号第二号 又は第五号に掲げる事項に変更を生じたときは、十五日以内に、都道府県知事を経由して、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。

2項

前項の届出をするには、届出書に届出の事由を証する書面 及び栽培許可証を添附しなければならない。

3項

第十八条第四項の規定は、第一項の届出があつた場合に準用する。

1項

けし栽培者は、栽培許可証をき損し、又亡失したときは、十五日以内に、都道府県知事を経由して、厚生労働大臣に栽培許可証の再交付を申請しなければならない。

2項

前項の申請をするには、申請書に、その事由を記載し、且つ、栽培許可証をき損した場合にあつては、その栽培許可証をこれに添附しなければならない。

3項

けし栽培者は、第一項の規定により栽培許可証の再交付を受けた後、亡失した栽培許可証を発見したときは、十五日以内に、都道府県知事を経由して、厚生労働大臣にその栽培許可証を返納しなければならない。

1項

けし栽培者が死亡し、又は法人たるけし栽培者が解散したときは、その相続人 若しくは相続人に代つて相続財産を管理する者 又は清算人、破産管財人 若しくは合併後存続し、若しくは合併により設立された法人の代表者は、十五日以内に、都道府県知事を経由して、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。

2項

前項の届出をするには、届出書に栽培許可証を添附しなければならない。

1項

けし栽培者は、けしの栽培 又は研究を廃止したときは、すみやかに、都道府県知事を経由して、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。

2項

前項の届出をしたときは、第十二条第一項 又は第二項の許可は、その効力を失う。

1項

けし耕作者は、正当な理由がなければ、けしの栽培を廃止し、又は栽培面積を縮少してはならない。

1項

けし栽培者は、その許可が効力を失つたときは、十五日以内に、都道府県知事を経由して、厚生労働大臣に栽培許可証を返納しなければならない。

1項

けし栽培者は、第二十五条第二項の規定によりその許可が効力を失い、又は第四十二条の規定によりその許可を取り消されたときは、十五日以内に、都道府県知事を経由して、現に所有するあへん 及びけしがらの数量を厚生労働大臣に届け出なければならない。

2項

前項の者であつてあへんを所有するものについては、そのあへんに関する限り、届出事由が生じた日から起算して五十日間は、第八条第一項の規定を適用しない

3項

第一項の者であつてけしがらを所有するものについては、その者が届出事由が生じた日から起算して五十日以内にそのけしがらけし栽培者、麻薬製造業者 又は麻薬研究施設の設置者に譲り渡す場合に限り、その譲渡については、第七条第二項の規定を適用せず、また、その者のそのけしがらの所持については、同期間内に限り、第八条第五項の規定を適用しない

4項

第二十一条の規定は、前項の者が同項の期間内に同項けしがらを譲り渡し、又は廃棄する場合について準用する。

5項

前各項の規定は、けし栽培者が死亡し、又は法人たるけし栽培者が解散した場合に、その相続人 若しくは相続人に代つて相続財産を管理する者 又は清算人、破産管財人 若しくは合併後存続し、若しくは合併により設立された法人の代表者について準用する。

第四章 収納及び売渡

1項

国は、けし耕作者 又は甲種研究栽培者が採取したすべてのあへんを収納する。

1項

厚生労働大臣は、毎年、けし耕作者 又は甲種研究栽培者がその採取したあへんを国に納付すべき期限を定めて、公告する。

1項

国に納付されるあへんの収納価格は、厚生労働大臣が財務大臣と協議してけし栽培者の生産事情、あへんの輸入価格 及びその他の経済事情を考慮して定める。

2項

厚生労働大臣は、毎年九月三十日までに、あへんの収納価格を公告する。

1項

国は、けし耕作者 又は甲種研究栽培者が納付したあへんのモルヒネ含有量を鑑定し、その含有量に応じて、収納代金を支払う。

2項

収納代金の額は、収納の年の前年に前条第二項の規定により厚生労働大臣が公告した収納価格による。

3項

第一項の鑑定の方法は、厚生労働省令で定める。

4項

国は、あへんを収納したときは、第一項の鑑定の結果が判明する前に、政令の定めるところにより、収納代金の一部を支払うことができる。

1項

国は、けし耕作者の栽培したけしが、発芽後あへん採取前に風害、水害、雨害、震害、ひよう害、冷害、雪害、凍害、干害、病害 その他の災害にかかり、その年度に採取したあへんの収納代金の額が、政令の定めるところにより算定するその者の平年度収納代金の額の十分の七に達しないときは、その平年度収納代金の額の十分の七とその年度の収納代金の額との差額の二分の一に相当する金額の範囲内で、補償金を交付することができる。

2項

けし耕作者は、前項の規定に基づき、補償金の交付を受けようとするときは、厚生労働省令で定めるところにより、同項に規定する災害による被害を受けた後速やかに栽培地の都道府県知事を経由して、申請書を厚生労働大臣に提出しなければならない。

1項

国は、その所有するあへんを、麻薬製造業者 又は麻薬研究施設の設置者に売り渡すものとする。

2項

前項の規定によりあへんの売渡しを受けようとするときは、厚生労働省令で定めるところにより、麻薬製造業者にあつては厚生労働大臣に、麻薬研究施設の設置者にあつては麻薬研究施設の所在地の都道府県知事を経由して厚生労働大臣に、申請書を提出しなければならない。

1項

あへんの売渡価格は、政令で定める。

2項

売渡価格を定めるに当つては、あへんの輸入、収納、保管 及び事務取扱に要する費用 並びに第三十三条第一項に規定する災害補償に要する費用の額等を考慮しなければならない。

第五章 管理

1項

麻薬製造業者 又は麻薬研究者は、その所有し、又は管理するあへんを、かぎをかけた堅固な設備内に収めて保管しなければならない。

2項

麻薬製造業者 又は麻薬研究者は、その所有し、又は管理するけしがらを、かぎをかけた設備内に収めて保管しなければならない。

1項

第二十条の規定は、麻薬製造業者 又は麻薬研究者が所有し、又は管理するあへん 又はけしがらにつき事故が生じた場合に準用する。

1項

第二十一条第二項 及び第三項の規定は、麻薬製造業者 又は麻薬研究施設の設置者がけしがらを廃棄する場合に準用する。

1項

麻薬製造業者は、麻薬及び向精神薬取締法第三十七条第一項に規定する帳簿に次に掲げる事項を記載しなければならない。

一 号

譲り受け、麻薬の製造のために使用し、又は廃棄したあへんの数量 及びその年月日

二 号

輸入し、輸出し、譲り渡し、譲り受け、麻薬の製造のために使用し、又は廃棄したけしがらの数量 及びその年月日

三 号

けしがらの輸入、輸出、譲渡し 又は譲受けの相手方の氏名 又は名称 及び住所

四 号

第三十七条において準用する第二十条の規定により届け出たあへん 又はけしがらの数量

2項

麻薬研究者は、麻薬及び向精神薬取締法第四十条第一項に規定する帳簿に次に掲げる事項を記載しなければならない。

一 号

新たに管理に属し、又は管理を離れたあへん 又はけしがらの数量 及びその年月日

二 号

研究のために使用したあへん 又はけしがらの数量 及びその年月日

三 号

第三十七条において準用する第二十条の規定により届け出たあへん 又はけしがらの数量

1項

麻薬製造業者は、一月から六月まで 及び七月から十二月までの期間ごとに、その期間の満了後十五日以内に、次に掲げる事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。

一 号

期初にあへん 又はけしがらを所有していたときは、その所有していたあへん 又はけしがらの数量

二 号

その期間中に麻薬の製造のためにあへんを使用したときは、その使用したあへんの数量

三 号

その期間中にけしがらを譲り渡し、譲り受け、若しくは廃棄し、又は麻薬の製造のためにけしがらを使用したときは、その譲り渡し、譲り受け、若しくは廃棄し、又は使用したけしがらの数量 並びにその譲渡し又は譲受けの相手方の氏名 又は名称 及び住所

四 号

期末にあへん 又はけしがらを所有していたときは、その所有していたあへん 又はけしがらの数量

2項

麻薬研究者は、毎年十一月三十日までに、左に掲げる事項を都道府県知事に届け出なければならない。

一 号

前年の十月一日にあへん 又はけしがらを管理していたときは、その管理していたあへん 又はけしがらの数量

二 号

前年の十月一日からその年の九月三十日までの間に新たに管理に属したあへん 若しくはけしがらがあるとき、又は同期間内に研究のためにあへん 若しくはけしがらを使用したときは、その新たに管理に属し、又は使用したあへん 又はけしがらの数量

三 号

その年の九月三十日にあへん 又はけしがらを管理していたときは、その管理していたあへん 又はけしがらの数量

1項

麻薬製造業者 又は麻薬研究施設の設置者は、麻薬製造業者の免許が効力を失い、又は麻薬研究施設が麻薬研究施設でなくなつたとき(麻薬製造業者の免許が効力を失つた場合において、引き続きその者が麻薬製造業者となつたときを除く)は、十五日以内に、麻薬製造業者にあつては厚生労働大臣に、麻薬研究施設の設置者にあつては都道府県知事に、現に所有するあへん 又はけしがらの数量を届け出なければならない。

2項

前項の者であつてあへんを所有するものについては、そのあへんに関する限り、その届出事由が生じた日から起算して五十日間は、第八条第一項の規定を適用しない

3項

第一項の者であつてけしがらを所有するものについては、その者が届出事由が生じた日から起算して五十日以内に、そのけしがらけし栽培者、麻薬製造業者 又は麻薬研究施設の設置者に譲り渡す場合に限り、その譲渡については、第七条第二項の規定を適用せず、また、その者のそのけしがらの所持については、同期間内に限り、第八条第五項の規定を適用しない

4項

第二十一条の規定は、前項の者が同項の期間内に同項けしがらを譲り渡し、又は廃棄する場合について準用する。

5項

前各項の規定は、麻薬製造業者 若しくは麻薬研究施設の設置者が死亡し、又は法人たるこれらの者が解散した場合に、その相続人 若しくは相続人に代つて相続財産を管理する者 又は清算人、破産管財人 若しくは合併後存続し、若しくは合併により設立された法人の代表者について準用する。

第六章 監督

1項

厚生労働大臣は、けし栽培者が第十三条第二号に該当するに至つたときは、その許可を取り消さなければならない。

2項

厚生労働大臣は、けし栽培者がこの法律の規定 若しくはこの法律の規定に基づく命令 若しくは厚生労働大臣の処分に違反したとき、又は第十四条第一号第三号 若しくは第七号に該当するに至つたときは、その許可を取り消すことができる。

1項

厚生労働大臣は、前条の規定による許可の取消しに係る聴聞を行うに当たつては、その期日の一週間前までに、行政手続法平成五年法律第八十八号第十五条第一項の規定による通知をし、かつ、聴聞の期日 及び場所を公示しなければならない。

2項

前条の規定による許可の取消しに係る聴聞の期日における審理は、公開により行わなければならない

1項

厚生労働大臣は、あへん 又はけしがらの取締り上 必要があると認めるときは、けし栽培者、麻薬製造業者、麻薬研究者 その他の関係者から必要な報告を徴し、又は麻薬取締官 若しくは薬事監視員のうちからあらかじめ指定する者をして、けしの栽培地、あへんの乾燥 若しくは保管の場所、けしがらの保管の場所、麻薬の製造所 若しくは研究施設 その他あへん 若しくはけしがらに関係ある場所に立ち入り、帳簿 その他の物件を検査させ、関係者に質問させ、若しくは試験のため必要な最小分量に限り、あへん、けしがら 若しくはこれらの疑いのある物を収去させることができる。

2項

都道府県知事は、あへん 又はけしがらの取締り上必要があると認めるときは、けし栽培者、麻薬研究者 その他の関係者から必要な報告を徴し、又は麻薬取締員 若しくは薬事監視員のうちからあらかじめ指定する者をして、けしの栽培地、あへんの乾燥 若しくは保管の場所、けしがらの保管の場所、麻薬の研究施設 その他あへん 若しくはけしがらに関係ある場所に立ち入り、帳簿 その他の物件を検査させ、関係者に質問させ、若しくは試験のため必要な最小分量に限り、あへん、けしがら 若しくはこれらの疑いのある物を収去させることができる。

3項

前二項の規定により指定された者は、あへん監視員と称する。

4項

あへん監視員は、その身分を示す証票を携帯し、関係者の請求があるときは、これを呈示しなければならない。

5項

第一項 又は第二項に規定する権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

6項

都道府県知事は、けし栽培者について、第四十二条の処分をすることを必要と認めるときは、その旨を厚生労働大臣に具申しなければならない。

1項

麻薬取締官 及び麻薬取締員は、あへん 又はけしがらに関する犯罪の捜査にあたり、厚生労働大臣の許可を受けて、この法律の規定にかかわらず、何人からもあへん 又はけしがらを譲り受けることができる。

第七章 雑則

1項

次に掲げる者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を国庫に納めなければならない。

一 号

けし栽培の許可を申請する者

二 号

けし栽培の許可の変更を申請する者

三 号

栽培許可証の再交付を申請する者

1項

国は、政令の定めるところにより、この法律に基き都道府県知事が行う事務に要する費用を都道府県に交付する。

1項

厚生労働大臣は、法令の規定により国庫に帰属したあへん 又はけしがら(この法律の規定により収納したあへんを除く)について必要な処分をすることができる。

1項

けし栽培者が同時に麻薬製造業者若しくは麻薬研究施設の設置者を兼ねる場合 又は麻薬製造業者が同時に麻薬研究施設の設置者を兼ねる場合には、この法律中あへん 又はけしがらの譲渡 及び譲受に関する規定の適用については、その資格ごとに、それぞれ別個の者とみなす。


同一人が二以上の麻薬製造業者の免許を有し、又は二以上の麻薬研究施設を設置する場合も、同様とする。

1項

この法律で政令に委任するものを除くほか、この法律の実施のための手続 その他その執行について必要な細則は、厚生労働省令で定める。

1項

この法律(第十二条第四項 及び第四十四条第六項除く)の規定により都道府県が処理することとされている事務は、地方自治法昭和二十二年法律第六十七号第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。

1項

この法律に規定する厚生労働大臣の権限は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生局長に委任することができる。

2項

前項の規定により地方厚生局長に委任された権限は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生支局長 又は地方麻薬取締支所の長に委任することができる。

第八章 罰則

1項

次の各号の一に該当する者は、一年以上十年以下の懲役に処する。

一 号

けしをみだりに栽培した者(第五十五条第二号に該当する者を除く

二 号

あへんをみだりに採取した者

三 号

あへん 又はけしがらを、みだりに、本邦 若しくは外国に輸入し、又は本邦 若しくは外国から輸出した者

2項

営利の目的で前項の罪を犯した者は、一年以上の有期懲役に処し、又は情状により一年以上の有期懲役 及び五百万円以下の罰金に処する。

3項

前二項の未遂罪は、罰する。

1項

あへん 又はけしがらを、みだりに、譲り渡し、譲り受け、又は所持した者(第五十五条第一号に該当する者を除く)は、七年以下の懲役に処する。

2項

営利の目的で前項の罪を犯した者は、一年以上十年以下の懲役に処し、又は情状により一年以上十年以下の懲役 及び三百万円以下の罰金に処する。

3項

前二項の未遂罪は、罰する。

1項

第九条の規定に違反した者は、七年以下の懲役に処する。

2項

前項の未遂罪は、罰する。

1項

第五十一条第一項 又は第二項の罪を犯す目的でその予備をした者は、五年以下の懲役に処する。

1項

第五十一条から前条までの罪に係るあへん 又はけしがらで、犯人が所有し、又は所持するものは、没収する。


ただし、犯人以外の者の所有に係るときは、没収しないことができる。

2項

前項に規定する罪(第五十二条の二の罪を除く)の実行に関し、あへん 又はけしがらの運搬の用に供した艦船、航空機 又は車両は、没収することができる。

1項

情を知つて、第五十一条第一項 又は第二項の罪に当たる行為に要する資金、土地、建物、艦船、航空機、車両、設備、機械、器具 又は原材料(けしの種子を含む。)を提供し、又は運搬した者は、五年以下の懲役に処する。

1項

第五十二条第一項 又は第二項の罪に当たるあへん 又はけしがらの譲渡しと譲受けとの周旋をした者は、三年以下の懲役に処する。

1項

第五十一条第五十二条第五十三条第五十四条の二 及び前条の罪は、刑法第二条の例に従う。

1項

次の各号の一に該当する者は、三年以下の懲役 若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

一 号

第八条第三項の規定に違反した者

二 号

第十七条の規定に違反した者

1項

第五十一条第五十二条第五十二条の二 又は前条の規定に当たる行為が刑法第二編第十四章の罪に触れるときは、その行為者は、同法の罪と比較して、重きに従つて処断する。

1項

次の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役 若しくは二十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

一 号

第十条第一項の規定による許可を受けないであへんを廃棄した者

二 号

第十五条第四項第十九条第一項 又は第三十六条第一項の規定に違反した者

三 号

第二十条第三十七条において準用する場合を含む。)、第二十八条第一項同条第五項において準用する場合を含む。)又は第四十一条第一項同条第五項において準用する場合を含む。)の規定による届出に当たり、虚偽の届出をした者

四 号

第三十九条第一項 又は第二項の規定に違反して、帳簿に記載をせず、又は虚偽の記載をした者

1項

第二十条第三十七条において準用する場合を含む。)、第二十八条第一項同条第五項において準用する場合を含む。)、第三十六条第二項 又は第四十一条第一項同条第五項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者は、六月以下の懲役 若しくは十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

1項

次の各号の一に該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。

一 号

第二十一条第一項第二十八条第四項 又は第四十一条第四項において準用する場合を含む。) 又は第四十条第一項 若しくは第二項の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をした者

二 号

第四十四条第一項 若しくは第二項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は立入り、検査 若しくは収去を拒み、妨げ、若しくは忌避した者

1項

第二十四条第一項 又は第二十五条第一項の規定に違反した者は、十万円以下の罰金に処する。

1項

法人の代表者 又は法人 若しくは人の代理人、使用人 その他の従業者が、その法人 又は人の業務に関して第五十一条第二項 若しくは第三項 若しくは第五十二条第二項 若しくは第三項の罪を犯し、又は第五十五条 若しくは第五十七条から前条までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人 又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。

1項

第二十三条第一項 若しくは第三項 又は第二十七条の規定に違反した者は、十万円以下の過料に処する。