企業担保法

昭和三十三年法律第百六号
分類 法律
カテゴリ   民事
@ 施行日 : 令和四年六月十七日 ( 2022年 6月17日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第六十八号による改正
最終編集日 : 2023年 01月12日 12時16分

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  • 第一章 企業担保権

  • 第二章 企業担保権の実行

    • 第一節 総則
    • 第二節 実行手続の開始
    • 第三節 会社の総財産の管理
    • 第四節 換価
    • 第五節 配当
    • 第六節 雑則
  • 第三章 罰則

第一章 企業担保権

1項

株式会社(以下「会社」という。)の総財産は、その会社の発行する社債を担保するため、一体として、企業担保権の目的とすることができる。

2項
企業担保権は、物権とする。
1項

企業担保権者は、現に会社に属する総財産につき、他の債権者に先だつて、債権の弁済を受けることができる。

2項

前項の規定は、会社の財産に対する強制執行 又は担保権の実行としての競売の場合には、適用しない

1項

企業担保権の設定 又は変更を目的とする契約は、公正証書によつてしなければならない。

1項

企業担保権の得喪 及び変更は、会社の本店の所在地において、株式会社登記簿にその登記をしなければ、効力を生じない。


ただし、一般承継、混同 又は担保する債権の消滅による得喪 及び変更については、この限りでない。

2項

企業担保権の登記に関し必要な事項は、政令で定める。

1項

数個の企業担保権相互の順位は、その登記の前後による。

1項

会社の財産の上に存する権利は、企業担保権の登記の後に対抗要件を備えたものでも、企業担保権者に対抗することができる。

1項

一般の先取特権は、企業担保権に優先する。

2項

特別の先取特権、質権 又は抵当権は、その権利の目的となつている財産につき、企業担保権に優先する。

1項

合併により消滅する会社の総財産を目的とする企業担保権は、合併後存続する会社 又は合併により設立される会社の総財産につき、効力を有する。

2項

合併をする会社の双方の総財産が企業担保権の目的となつているときは、合併後の企業担保権の順位に関する企業担保権者間に協定がなければ、合併をすることができない

3項

合併の無効の訴は、企業担保権者も、提起することができる。

1項

会社の総財産が企業担保権の目的となつているときは、その会社は、企業担保権が担保する債務を分割により承継させることができない

1項

民法明治二十九年法律第八十九号第二百九十六条第三百七十四条第三百七十五条第三百七十六条中順位の譲渡 及び放棄に関する部分、第三百七十七条 及び第三百九十六条の規定は、企業担保権について準用する。

第二章 企業担保権の実行

第一節 総則

1項

企業担保権の実行は、会社の本店の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に専属する。

1項

企業担保権の実行は、企業担保権者の申立によつてする。

1項

実行手続に関する裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。

1項

この章の規定によつてする公告は、別段の定がない限り、官報 及び裁判所の定める一個 又は数個の新聞紙に掲載してする。

2項

前項の規定による公告は、最終の掲載があつた日の翌日に、その効力を生ずる。

1項

実行手続における利害関係人は、次に掲げる者とする。

一 号
申立人
二 号
会社
三 号

申立人以外の企業担保権者

四 号

第二十二条第一項の規定による公告の最終の掲載があつた日又は第二十三条第一項の規定による実行手続の開始の登記の日のうちいずれか遅い日において、会社の財産につき、登記 若しくは登録した権利又は仮登記 若しくは仮登録により保全される権利を有する者として、その権利を証明した者

五 号

前号に掲げる者を除くほか、会社の財産につき、実行手続において主張することができる権利を有する者として、その権利を証明した者

1項

裁判所は、利害の関係を有する者の申請により、又は職権で、管財人に、会社の財産 又はその管理若しくは換価の状況に関する報告をさせることができる。

1項

利害の関係を有する者は、裁判所書記官に、実行手続に関する書類の閲覧 又は謄写を請求することができる。

1項

特別の定めがある場合を除き、実行手続に関しては、その性質に反しない限り、民事訴訟法平成八年法律第百九号第一編から第四編までの規定を準用する。

2項

民事執行法昭和五十四年法律第四号第十条から第十二条まで第十四条から第十六条まで第十八条第三十八条第四十二条 及び第百八十三条の規定は、実行手続に関し準用する。

1項

この法律に定めるもののほか、実行手続に関し必要な事項で、登記 又は登録に関するものは政令で、その他のものは最高裁判所が定める。

第二節 実行手続の開始

1項
実行手続の開始は、決定でする。
2項

実行の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。

1項

実行手続の開始の決定には、同時に、企業担保権者のために会社の総財産を差し押える旨を宣言しなければならない。

2項

差押は、決定を会社に送達することによつてその効力を生ずる。

1項

裁判所は、実行手続の開始の決定と同時に、管財人を選任しなければならない。

1項

裁判所は、実行手続の開始の決定をしたときは、ただちに、次に掲げる事項を公告しなければならない。

一 号
実行手続の開始の決定の主文
二 号
管財人の表示
三 号

会社の債務者 及び会社の財産の所持者は、会社に弁済し、又はその財産を交付してはならない旨及び債務を負担すること 又はその財産を所持することを一定の期間内に管財人に届け出るべき旨

四 号

一般の優先権を有する会社の債権者(租税 その他の公課については、その賦課徴収の事務を掌る機関)は、その債権を一定の期間内に裁判所に届け出るべき旨

五 号

特別担保を有する会社の債権者は、その担保権を一定の期間内に裁判所に届け出るべき旨

2項

裁判所は、管財人 又はその表示に変更があつたときは、遅滞なく、その旨を公告しなければならない。

3項

第一項第三号の届出を怠つた者は、これによつて会社の総財産に生じた損害を賠償しなければならない。

1項

管財人は、実行手続の開始の決定があつたときは、遅滞なく、実行手続の開始の登記 及び管財人の登記を会社の本店の所在地を管轄する登記所に申請しなければならない。

2項

前項の規定は、管財人 又はその表示に変更があつた場合における管財人の更迭又はその表示の変更の登記に準用する。

1項

管財人は、実行手続の開始の決定があつたときは、遅滞なく、会社の財産で登記 又は登録をすることができるものについて、実行手続の開始の登記 又は登録を申請しなければならない。

1項

前二条の規定による登記 及び登録については、登録免許税を課さない

1項

管財人は、実行手続の開始の決定があつたときは、遅滞なく、会社の債務者に、会社のその債務者に対する債権が差し押えられた旨を通知しなければならない。


ただし、債務を負担することを管財人に届け出た債務者に対しては、この限りでない。

1項

第二十条の規定による差押は、善意の第三者に対しては、第二十二条第一項の規定による公告 及び第二十三条第一項の規定による実行手続の開始の登記の後でなければ、対抗することができない


その公告 及び登記の後でも、第三者が正当の理由により差押を知らなかつたときは、同様とする。

2項

前項の公告 及び登記の後に、会社の法律行為によらないで会社の財産に関して権利を取得しても、その取得は、実行手続に対する関係においては、その効力を主張することができない

1項

実行手続の開始の決定があつたときは、会社の財産に対し既にされている債権 若しくは担保権に基づく強制執行、仮差押、仮処分 若しくは担保権の実行としての競売手続 若しくは国税徴収法昭和三十四年法律第百四十七号)による滞納処分 若しくは国税徴収の例による滞納処分 又は財産開示手続 若しくは第三者からの情報取得手続は、実行手続に対する関係においては、その効力を失う。

1項

裁判所は、実行手続の開始の決定をしたときは、更に実行手続の開始の決定をすることができない

2項

実行手続の開始の決定があつた後 更に実行の申立てがあつたときは、その申立ては、実行手続に関する書類に添付することにより配当要求の効力を生じ、開始決定を受けた債権者が実行の申立てを取り下げたとき、又は実行手続の開始の決定が取り消されたときは、その時に実行手続の開始の決定を受けたものとみなす。

3項

前項の規定により後の実行の申立てが実行手続の開始の決定を受けたものとみなされたときは、従前の管財人は、引き続き、その後の手続における管財人となる。

第三節 会社の総財産の管理

1項

管財人は、裁判所が選任する。


この場合においては、裁判所は、申立人の意見をきかなければならない。

2項

信託会社(信託業法(平成十六年法律第百五十四号)第三条 又は第五十三条第一項の免許を受けた者をいう。)、銀行 その他の法人は、管財人となることができる。

3項

管財人は、その職務を行う場合において必要があるときは、補助者を使用することができる。

1項

裁判所は、利害関係人の申請により、又は職権で、管財人を解任することができる。


この場合においては、申立人の意見をきき、かつ、その管財人を審尋しなければならない。

1項

管財人は、必要があるときは、その職務を行わせるため、自己の責任で一人 又は数人の管財人代理を選任することができる。

2項

前項の管財人代理の選任については、裁判所の許可を得なければならない。

1項

実行手続の開始の決定があつたときは、管財人は、会社の総財産を保全するため、これを管理する。

2項

管財人は、会社の商品 及び有価証券を売却することができる。

3項

管財人は、会社の債権を直接に取り立てることができる。

1項

会社の取締役、執行役 及び監査役は、管財人の請求により、会社の財産に関し、必要な説明をしなければならない。

1項

管財人は、最高裁判所の定めるところにより、会社の総財産につき財産明細表を作成し、その謄本を裁判所に提出しなければならない。

1項

管財人は、会社の金銭を費用 及び報酬に充てることができる。

2項

申立人は、管財人の請求により、費用 及び報酬を立て替えなければならない。

1項

破産法平成十六年法律第七十五号第七十六条第八十条第八十五条第八十七条第一項 及び第九十条第一項の規定は管財人について、同法第七十九条 及び第百五十五条の規定は会社の財産の管理について、同法第八十七条第一項の規定は管財人代理について準用する。


この場合において、

同法第七十六条第一項
、それぞれ単独にその職務を行い、又は職務」とあるのは
「その職務」と、

同法第七十九条 及び第百五十五条
破産管財人」とあるのは
「管財人」と、

同法第七十九条 及び第八十条
破産財団」とあるのは
「株式会社の財産」と、

同法第九十条第一項
破産者」とあるのは
「株式会社」と

読み替えるものとする。

2項

前項において準用する破産法第八十七条第一項の規定による決定に対しては、執行抗告をすることができる。

第四節 換価

1項

会社の総財産(金銭を除く。以下この節において同じ。)の換価は、一括競売 又は任意売却によつてする。

2項

一括競売は、会社の総財産を一括し、せり売 又は入札の方法によつてする。

3項

任意売却は、会社の総財産を一括し、又は個別に、適宜の方法によつてする。

1項

一括競売によるときは、管財人は、鑑定人に、会社の総財産 及び特別担保の目的となつている財産の評価をさせなければならない。

2項

鑑定人は、会社の総財産の評価をするには、これを一体としてしなければならない。

1項

前条の規定による会社の総財産の評価額は、最低競売価額とする。

1項

競売期日は管財人が、競落期日は裁判所が定める。

1項

管財人は、競売期日、せり売 又は入札の別、競落期日 及び最高裁判所の定める事項を公告しなければならない。

1項

競売期日は、前条の規定による公告の後十四日を経過した日以後でなければならない。

2項
競売期日は、管財人が開く。
3項

管財人は、競売期日に、競売につき調書を作らなければならない。

1項

競落期日は、競売期日から起算して十四日を過ぎることができない

2項
競落期日は、裁判所が開く。
1項

会社の総財産は、代金の支払があつた時に、競落人に移転する。

2項

前項の場合には、競落人は、会社の営業に関する行政庁の許可、認可、免許 その他の処分に基く地位を承継する。


ただし、その承継に関し他の法令に禁止 又は制限の定があるときは、その定に従う。

1項

任意売却は、裁判所の認可を受けて、管財人が実施する。


ただし、企業担保権者、特別担保を有する債権者 又は会社の申出があつた場合において、管財人が、企業担保権者全員 及び、特別担保の目的となつている財産については、その特別担保を有する債権者の同意を得たときに限る

2項

裁判所は、前項の認可の申請があつたときは、鑑定人に、売却価額の鑑定をさせることができる。

3項

会社の総財産の一部の売却代金から実行手続の費用を控除して、企業担保権者 及びこれに優先する債権者の債権を弁済することができるときは、他の財産を売却してはならない。

1項

特別担保の目的となつている財産は、各別に売却しなければならない。

1項

第四十五条第一項の規定による認可を受けないでされた売却は、無効とする。


ただし、その無効は、善意の買受人 又は転得者に対しては、主張することができない

1項

記名の有価証券が売却されたときは、管財人は、名義書換のため必要な行為をすることができる。

1項

債権(民法第三編第一章第四節の規定により譲渡されるものに限る)が売却されたときは、管財人は、その旨を債務者に通知しなければならない。

2項

前項の通知があつたときは、競落人 又は買受人は、その債権の取得を債務者 その他の第三者に対抗することができる。

1項

民事執行法第五十九条第六十条第二項第六十三条第六十五条から第六十八条まで第六十八条の四から第七十一条まで第七十二条第一項 及び第二項第七十四条から第七十六条まで第七十八条 並びに第八十条の規定は、換価に関し準用する。


この場合において、

同法第五十九条第一項
不動産」とあるのは
「株式会社(以下「会社」という。)の総財産(金銭を除く。以下同じ。)又は財産(金銭を除く。以下同じ。)」と、

並びに抵当権」とあるのは
「、抵当権 並びに企業担保権」と、

同条第二項から第四項までの規定中
不動産」とあるのは
「会社の財産」と、

同項
買受人」とあるのは
「競落人 又は買受人」と、

同条第五項
次条第一項に規定する売却基準価額」とあり、
同法第六十条第二項 及び第七十一条第七号
売却基準価額」とあり、
並びに同法第六十三条第一項から第三項まで 及び第六十七条
買受可能価額」とあるのは
「最低競売価額」と、

同法第五十九条第五項
不動産」とあるのは
「会社の総財産 又は財産」と、

同法第六十条第二項
執行裁判所」とあり、並びに同法第六十五条及び第六十七条
執行官」とあるのは
「管財人」と、

同法第六十三条第一項
差押債権者(最初の強制競売の開始決定に係る差押債権者をいう。ただし、第四十七条第六項の規定により手続を続行する旨の裁判があつたときは、その裁判を受けた差押債権者をいう」とあるのは
「実行の申立てをした債権者(実行手続の開始の決定に係るものをいう」と、

同項第一号 並びに同条第二項 及び第三項
差押債権者」とあり、並びに同法第七十六条第一項
差押債権者(配当要求の終期後に強制競売 又は競売の申立てをした差押債権者を除く。)」とあるのは
「実行の申立てをした債権者」と、

同法第六十三条第一項 及び第二項第六十五条の二第六十六条第七十条 並びに第七十一条第二号 及び第三号 並びに同法第七十五条の見出し及び同条第一項
不動産」とあるのは
「会社の総財産」と、

同法第六十三条第二項第七十五条第一項第七十六条第一項第七十八条第一項から第四項まで 及び第八十条第一項
買受人」とあるのは
「競落人」と、

同法第六十五条見出しを含む。)及び第七十一条第八号
売却の」とあるのは
「競売の」と、

同法第六十七条第七十二条第二項第七十四条第二項第七十五条第七十八条第一項 及び第四項 並びに第八十条第一項
売却許可決定」とあるのは
「競落許可決定」と、

同法第六十七条
売却を」とあるのは
「競落を」と、

同法第六十九条見出しを含む。)、第七十条 並びに第七十二条第一項 及び第二項
売却決定期日」とあるのは
「競落期日」と、

同法第六十九条第七十条見出しを含む。)及び第七十一条第六号同法第七十四条の見出し並びに同条第一項第三項 及び第五項同法第七十五条の見出し及び同条第一項 並びに同法第八十条第二項
売却の」とあるのは
「競落の」と、

同法第七十一条の見出し中
売却不許可事由」とあるのは
「競落不許可事由」と、

同条 並びに同法第七十二条第一項 及び第二項
売却不許可決定」とあるのは
「競落不許可決定」と、

同法第七十一条第七号
物件明細書」とあるのは
「財産明細表」と

読み替えるものとする。

第五節 配当

1項

換価が完了したときは、管財人は、裁判所の指定する日に裁判所書記官に、会社の金銭を引き渡し、職務の執行に関する費用の計算書 及びその証明書類並びに、任意売却により換価したときは、換価に関する報告書を提出しなければならない。

1項

債権者は、一括競売により換価をする場合には競落期日の終わりに至るまでに、任意売却により換価をする場合には裁判所が定めて公告した日までに、裁判所に配当要求をすることができる。

1項

裁判所は、一括競売による売却代金、第五十一条の規定により引渡を受けた金銭 並びに第三十五条第一項の規定により管財人が費用 及び報酬に充てた金銭の合計額から実行手続の費用を控除して、まず企業担保権者 及びこれに優先する債権者に配当し、その残余を他の債権者に配当しなければならない。

1項

特別担保を有する債権者の受けるべき配当額は、その特別担保の目的となつている財産の価額から、前条の合計額に対するその財産の価額の割合を実行手続の費用に乗じて得た額を控除した額を限度とする。

2項

特別担保の目的となつている財産の価額は、一括競売により換価したときは、第三十八条第一項の規定による会社の総財産の評価額に対する同項の規定によるその財産の評価額の割合を一括競売による売却代金に乗じて得た額、任意売却により換価したときは、その売却価額とする。

1項

管財人は、企業担保権者 及びこれに優先する債権者の配当表が実施されたときは、遅滞なく、次に掲げる登記 及び登録を申請しなければならない。

一 号

企業担保権の登記 及び第二十三条の規定によつてされた登記のまつ消

二 号

登記 又は登録のされた会社の財産について、消滅した権利の登記 又は登録 及び第二十四条の規定によつてされた登記又は登録のまつ消 並びに競落人 又は買受人の権利の取得の登記 又は登録

2項

前項第一号の登記の申請に要する費用は、実行手続の費用とし、同項第二号の登記 又は登録の申請に要する費用は、競落人 又は買受人の負担とする。

1項

民事執行法第八十四条第八十五条第八十六条第一項 及び第三項 並びに第八十八条から第九十二条までの規定は、配当に関し準用する。

第六節 雑則

1項

実行の申立の取下があつたときは、第二十条の規定による差押は、消滅する。

1項

裁判所は、会社の申立により、又は職権で、第四十五条第三項の規定により売却の禁止される会社の財産について、会社に引き渡すべき旨を管財人に命ずることができる。

2項

前項の規定による裁判所の命令により管財人が会社に引き渡した財産については、第二十条の規定による差押は、その引渡の時に消滅する。

1項

裁判所は、実行手続が実行の申立の取下又は実行手続の開始の決定の取消により終結したときは、ただちに、その旨を公告しなければならない。

1項

管財人は、実行手続が実行の申立の取下又は実行手続の開始の決定の取消により終結したときは、遅滞なく、第二十三条 又は第二十四条の規定によつてされた登記 又は登録のまつ消を申請しなければならない。


第五十七条第二項の規定により差押の消滅した財産についても、同様とする。

第三章 罰則

1項

管財人 又は管財人代理がその職務に関し賄賂を収受し、又はこれを要求し、若しくは約束したときは、三年以下の懲役 又は二十万円以下の罰金に処する。

2項

管財人が法人であるときは、管財人の職務に従事するその役員 又は職員がその職務に関し賄賂を収受し、又はこれを要求し、若しくは約束したときは、三年以下の懲役 又は二十万円以下の罰金に処する。


管財人が法人である場合において、その役員 又は職員が管財人の職務に関し管財人に賄賂を収受させ、又はその供与を要求し、若しくは約束したときも、同様とする。

3項

犯人 又は法人である管財人が収受した賄賂は、没収する。


その全部 又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。

1項

前条第一項 若しくは第二項に規定する賄賂を供与し、又はその申込 若しくは約束をした者は、三年以下の懲役 又は二十万円以下の罰金に処する。

1項

第三十三条の規定により説明の義務のある者が、正当の理由がないのにその説明をせず、又は虚偽の説明をしたときは、一年以下の懲役 又は五万円以下の罰金に処する。

1項

第五十条において準用する民事執行法第六十五条の二の規定により陳述すべき事項について虚偽の陳述をした者は、六月以下の懲役 又は五十万円以下の罰金に処する。