この法律は、輸出入植物 及び国内植物を検疫し、並びに植物に有害な動植物の発生を予防し、これを駆除し、及びそのまん延を防止し、もつて農業生産の安全 及び助長を図ることを目的とする。
植物防疫法
第一章 総則
この法律で「植物」とは、顕花植物、しだ類 又はせんたい類に属する植物(その部分、種子、果実 及びむしろ、こも その他これに準ずる加工品を含む。)で、次項の有害植物を除くものをいう。
この法律で「有害植物」とは、真菌、粘菌 及び細菌 並びに寄生植物 及び草(その部分、種子 及び果実を含む。)並びにウイルスであつて、直接 又は間接に有用な植物を害するものをいう。
この法律で「有害動物」とは、昆虫、だに等の節足動物、線虫 その他の無脊椎動物 又は脊椎動物であつて、有用な植物を害するものをいう。
この法律で「登録検査機関」とは、第十条の四第一項の規定により農林水産大臣の登録を受けた者をいう。
この法律に規定する検疫 又は防除に従事させるため、農林水産省に植物防疫官を置く。
植物防疫官が行う検疫 又は防除の事務を補助させるため、農林水産省に植物防疫員を置くことができる。
植物防疫員は、非常勤とする。
植物防疫官は、有害動物 若しくは有害植物であることの疑いのある動植物(以下この項において「疑いのある動植物」という。)又は有害動物 若しくは有害植物が付着しているおそれがある植物、土 若しくは農機具 その他の農林水産省令で定める物品(以下「指定物品」という。)若しくはこれらの容器包装があると認めるときは、土地、貯蔵所、倉庫、事業所、船舶、車両 又は航空機に立ち入り、当該疑いのある動植物 並びに当該植物、土 及び指定物品 並びにこれらの容器包装等を検査し、関係者に質問し、又は検査のため必要な最少量に限り、当該疑いのある動植物 若しくは当該植物、土 若しくは指定物品 若しくはこれらの容器包装を無償で集取することができる。
前項の規定による検査の結果、有害動物 又は有害植物があると認めた場合において、これを駆除し、又はそのまん延を防止するため必要があるときは、植物防疫官は、当該有害動物 若しくは有害植物を所有し、若しくは管理する者に対し、その廃棄を命じ、又は当該植物、土 若しくは指定物品 若しくはこれらの容器包装、土地、貯蔵所、倉庫、事業所、船舶、車両 若しくは航空機を所有し、若しくは管理する者に対し、その消毒を命ずることができる。
前項の場合には、第二十条第一項の規定を準用する。
第一項の規定による立入検査、質問 及び集取の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
植物防疫官 及び植物防疫員は、この法律により職務を執行するときは、その身分を示す証票を携帯し、且つ、前条第一項の規定による権限を行うとき、又は関係者の要求があつたときは、これを呈示しなければならない。
植物防疫官の服制は、農林水産大臣が定める。
第二章 国際植物検疫
この章で「検疫有害動植物」とは、まん延した場合に有用な植物に損害を与えるおそれがある有害動物 又は有害植物であつて、次の各号のいずれかに該当するものとして農林水産省令で定めるものをいう。
国内に存在することが確認されていないもの
農林水産大臣は、前項の規定による農林水産省令を定めようとするときは、あらかじめ、有害動物 又は有害植物の性質に関し専門の学識経験を有する者 その他の関係者の意見を聴かなければならない。
輸入する植物(栽培の用に供しない植物であつて、検疫有害動植物が付着するおそれが少ないものとして農林水産省令で定めるものを除く。以下この項 及び次項において同じ。)又は指定物品(検疫有害動植物が付着するおそれがあるものとして農林水産省令で定めるものに限る。以下この章において「検疫指定物品」という。)及びこれらの容器包装は、輸出国の政府機関により発行され、かつ、その検査の結果検疫有害動植物が付着していないことを確かめ、又は信ずる旨を記載した検査証明書 又はその写しを添付してあるものでなければ、輸入してはならない。
ただし、次に掲げる植物 又は検疫指定物品 及びこれらの容器包装については、この限りでない。
植物検疫についての政府機関を有しない国から輸入する植物 又は検疫指定物品 及びこれらの容器包装であるためこの章の規定により特に綿密な検査が行われるもの
農林水産省令で定める国から輸入する植物 又は検疫指定物品 及びこれらの容器包装であつて、検査証明書 又はその写しに記載されるべき事項が当該国の政府機関から電気通信回線を通じて植物防疫所の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。)に送信され、当該電子計算機に備えられたファイルに記録されたもの
農林水産省令で定める地域から発送された植物 又は検疫指定物品で、第八条第一項の規定による検査を的確に実施するため当該植物の栽培の過程で特定の検疫有害動植物が付着していないこと その他の農林水産省令で定める基準に適合していることについてその輸出国で検査を行う必要があるものとして農林水産省令で定めるものについては、前項の規定によるほか、輸出国の政府機関によりその検査の結果当該基準に適合していることを確かめ、又は信ずる旨を記載した検査証明書 又はその写しを添付してあるものでなければ、輸入してはならない。
この場合においては、同項ただし書(第一号を除く。)の規定を準用する。
植物、検疫指定物品 及び次条第一項に規定する輸入禁止品は、郵便物として輸入する場合を除き、農林水産省令で定める港 及び飛行場以外の場所で輸入してはならない。
植物、検疫指定物品 及び次条第一項に規定する輸入禁止品は、小形包装物 及び小包郵便物以外の郵便物 又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第三項に規定する信書便物(次項において「信書便物」という。)としては、輸入してはならない。
植物、検疫指定物品 又は次条第一項に規定する輸入禁止品を小形包装物 及び小包郵便物以外の郵便物 又は信書便物として受け取つた者は、遅滞なく、その現品を添えて植物防疫所に届け出なければならない。
第一項本文 又は第二項の農林水産省令を定める場合には、前条第二項の規定を準用する。
何人も、次に掲げる物(以下「輸入禁止品」という。)を輸入してはならない。
ただし、試験研究の用 その他農林水産省令で定める特別の用(第九条第三項各号において「試験研究等用途」という。)に供するため農林水産大臣の許可を受けた場合は、この限りでない。
農林水産省令で定める地域から発送され、又は当該地域を経由した植物で、農林水産省令で定めるもの
土 又は土の付着する植物
前各号に掲げる物の容器包装
前項ただし書の許可を受けようとする者は、農林水産省令で定めるところにより、農林水産大臣に許可の申請をしなければならない。
農林水産大臣は、前項の申請に係る輸入禁止品の輸入後においてこれを管理する施設が農林水産省令で定める技術上の基準に適合していると認めるときでなければ、第一項ただし書の許可をしてはならない。
第一項ただし書の許可を受けた場合には、同項ただし書の許可を受けたことを証する書面を添付して輸入しなければならない。
第一項ただし書の許可には、輸入の方法、輸入後の管理方法 その他必要な条件を付することができる。
農林水産大臣は、第一項ただし書の許可に係る第三項の施設が同項の技術上の基準に適合しなくなつたと認めるとき、又は第一項ただし書の許可を受けた者が前項の規定により付された条件に違反したときは、当該第一項ただし書の許可を取り消し、又は当該輸入禁止品の廃棄 その他の必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
第一項第一号の農林水産省令を定める場合には、第五条の二第二項の規定を準用する。
植物、検疫指定物品 又は輸入禁止品を輸入した者は、遅滞なく、その旨を植物防疫所に届け出て、その植物、検疫指定物品 又は輸入禁止品 及びこれらの容器包装につき、原状のままで、植物防疫官から、第六条第一項 及び第二項の規定に違反しないかどうか、輸入禁止品であるかどうか、並びに検疫有害動植物(農林水産大臣が指定する検疫有害動植物を除く。第七項 及び次条において同じ。)があるかどうかについての検査を受けなければならない。
ただし、第三項の規定による検査を受けた場合 及び郵便物として輸入した場合は、この限りでない。
前項の規定による検査は、第六条第三項の港 又は飛行場の中の植物防疫官が指定する場所で行う。
ただし、特別の事由があるときは、農林水産大臣が定める基準に適合するその他の場所のうち植物防疫官が指定する場所で行うことができる。
日本郵便株式会社は、通関手続が行われる事業所において、植物、検疫指定物品 又は輸入禁止品を包有し、又は包有している疑いのある小形包装物 又は小包郵便物の送付を受けたときは、遅滞なく、その旨を植物防疫所に通知しなければならない。
前項の通知があつたときは、植物防疫官は、同項の小形包装物 又は小包郵便物の検査を行う。
この場合において、検査のため必要があるときは、日本郵便株式会社の職員の立会いの下に当該郵便物を開くことができる。
前項の規定による検査を受けていない小形包装物 又は小包郵便物であつて植物 又は検疫指定物品を包有しているものを受け取つた者は、その郵便物を添え、遅滞なく、その旨を植物防疫所に届け出て、植物防疫官の検査を受けなければならない。
農林水産省令で定める種苗については、植物防疫官は、第一項、第三項、第五項 又は前項の規定による検査の結果、検疫有害動植物があるかどうかを判定するためなお必要があるときは、農林水産省令で定めるところにより、当該植物の所有者に対して隔離栽培を命じてその栽培地で検査を行い、又は自ら隔離栽培を実施することができる。
植物防疫官は、外国から入港した船舶 又は航空機に乗つてきた者に対して、その携帯品(第一項 又は第三項の規定による検査を受けた物を除く。)のうちに植物、検疫指定物品 又は輸入禁止品が含まれているかどうかを判断するため、必要な質問を行うとともに、必要な限度において、当該携帯品の検査を行うことができる。
前条の規定による検査の結果、検疫有害動植物があつた場合は、植物防疫官は、その植物 若しくは検疫指定物品 及びこれらの容器包装を消毒し、若しくは廃棄し、又はこれらを所有し、若しくは管理する者に対して植物防疫官の立会いの下にこれらを消毒し、若しくは廃棄すべきことを命じなければならない。
植物防疫官は、第六条第一項から第五項まで 若しくは前条第一項 若しくは第六項の規定に違反して輸入された植物 若しくは検疫指定物品 及びこれらの容器包装を消毒し、若しくは廃棄し、又はこれらを所持している者に対して植物防疫官の立会いの下にこれらを消毒し、若しくは廃棄すべきことを命ずることができる。同条第七項の規定による隔離栽培の命令の違反があつた場合において、その違反に係る植物についてもまた同様とする。
第七条第一項の規定に違反して輸入された輸入禁止品があるときは、植物防疫官は、これを廃棄する。
ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
第七条第一項の規定に違反して輸入禁止品を輸入した者は、当該輸入禁止品について前項第二号の許可を受けることができない。
前条の規定による検査の結果、当該植物 又は検疫指定物品 及びこれらの容器包装が第六条第一項 及び第二項の規定に違反せず、輸入禁止品に該当せず、かつ、これらに検疫有害動植物がないと認めたときは、植物防疫官は、検査に合格した旨の証明をしなければならない。
第三項第二号の許可には、第七条第二項、第三項、第五項 及び第六項の規定を準用する。
この場合において、
同条第三項中
「輸入後」とあるのは
「譲渡し後」と、
同条第五項中
「輸入の方法、輸入後の管理方法」とあるのは
「譲渡し後の管理方法」と
読み替えるものとする。
輸入国がその輸入につき、植物検疫に係る輸出国の検査証明を必要としている植物 又は物品 及びこれらの容器包装を輸出しようとする者は、当該植物 又は物品 及びこれらの容器包装につき、植物防疫官から、これらが当該輸入国の要求の全てに適合していることについての検査を受け、かつ、第三項の植物検疫証明書の交付を受けた後でなければ、これらを輸出してはならない。
前項の規定による検査は、植物防疫所で行う。
ただし、植物防疫官が必要と認めるときは、当該植物 又は物品の所在地において行うことができる。
植物防疫官は、第一項の規定による検査の結果、その植物 又は物品 及びこれらの容器包装が当該輸入国の要求の全てに適合していると認めるときは、植物検疫証明書を交付しなければならない。
植物防疫官は、輸入国の要求に応ずるため、必要があると認めるときは、前項の植物検疫証明書の交付を受けた物について更に検査をすることができる。
第一項 及び前項の規定にかかわらず、植物防疫官は、登録検査機関が、第十条の四第一項の規定による登録に係る検査において輸入国の要求に適合している旨の確認をした植物 又は物品 及びこれらの容器包装については、農林水産省令で定めるところにより、第一項 又は前項の規定による検査の一部を行わないことができる。
植物防疫官は、本邦から出国する者に対して、その携帯品(第一項の規定による検査を受けた物を除く。)のうちに同項に規定する物が含まれているかどうかを判断するため、必要な質問を行うとともに、必要な限度において、当該携帯品の検査を行うことができる。
登録検査機関の登録(以下この章において単に「登録」という。)を受けようとする者は、農林水産省令で定めるところにより、次に掲げる検査の区分により、農林水産大臣に登録の申請をしなければならない。
次の各号のいずれかに該当する者は、登録を受けることができない。
この法律 又はこの法律に基づく処分に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない者
第十条の十五第一項から第三項までの規定により登録を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者(当該登録を取り消された者が法人である場合においては、その取消しの日前三十日以内にその取消しに係る法人の業務を行う役員であつた者でその取消しの日から二年を経過しないものを含む。)
法人であつて、その業務を行う役員のうちに前二号のいずれかに該当する者があるもの
農林水産大臣は、第十条の二の規定により登録を申請した者が次に掲げる要件の全てに適合しているときは、その登録をしなければならない。
この場合において、登録に関して必要な手続は、農林水産省令で定める。
登録に係る検査(以下この章(第十一条第一項を除く。)において単に「検査」という。)を適確に行うために必要な知識 及び技能を有する者として農林水産省令で定めるものが検査を行うこと。
検査の業務(以下「検査業務」という。)の公正な実施を確保するために必要なものとして農林水産省令で定める基準に適合する体制が整備されていること。
前各号に掲げるもののほか、農林水産省令で定める事項
農林水産大臣は、登録をしたときは、遅滞なく、前項各号に掲げる事項を公示しなければならない。
登録は、三年を下らない政令で定める期間ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によつて、その効力を失う。
前三条の規定は、前項の登録の更新について準用する。
農林水産大臣は、第一項の規定により登録が効力を失つたときは、遅滞なく、その旨を公示しなければならない。
登録検査機関は、第十条の四第二項第三号に掲げる事項を変更しようとするときは、変更登録を受けなければならない。
前項の変更登録(以下この条 及び第十条の十五第二項第五号において単に「変更登録」という。)を受けようとする者は、農林水産省令で定めるところにより、農林水産大臣に変更登録の申請をしなければならない。
第十条の三 及び第十条の四の規定は、変更登録について準用する。
登録検査機関は、検査を行うことを求められたときは、正当な理由がある場合を除き、遅滞なく、当該検査を行わなければならない。
登録検査機関は、第十条の四第二項第二号、第四号 又は第五号に掲げる事項を変更しようとするときは、変更しようとする日の二週間前までに、農林水産大臣に届け出なければならない。
農林水産大臣は、前項の規定による届出があつたときは、遅滞なく、その旨を公示しなければならない。
登録検査機関は、検査業務に関する規程(以下この章において「業務規程」という。)を定め、検査業務の開始前に、農林水産大臣の認可を受けなければならない。
これを変更しようとするときも、同様とする。
農林水産大臣は、前項の規定による許可をしたときは、遅滞なく、その旨を公示しなければならない。
登録検査機関は、毎事業年度経過後三月以内に、その事業年度の財産目録、貸借対照表 及び損益計算書 又は収支計算書 並びに事業報告書(これらの作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式 その他の人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下この条において同じ。)の作成がされている場合における当該電磁的記録を含む。次項第一号 及び第三号 並びに第四十五条において「財務諸表等」という。)を作成し、五年間事務所に備えて置かなければならない。
第十条第一項に規定する者 その他の利害関係人は、登録検査機関の業務時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。
ただし、第二号 又は第四号の請求をするには、登録検査機関の定めた費用を支払わなければならない。
前号の書面の謄本 又は抄本の請求
前号の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法 その他の情報通信の技術を利用する方法であつて農林水産省令で定めるものをいう。)により提供することの請求 又は当該事項を記載した書面の交付の請求
登録検査機関(その者が法人である場合にあつては、その役員。次項において同じ。)及びその職員 並びにこれらの者であつた者は、その検査業務に関して知り得た秘密を漏らし、又は自己の利益のために使用してはならない。
登録検査機関 及びその職員で検査業務に従事する者は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
農林水産大臣は、登録検査機関が第十条の四第一項各号に掲げる要件のいずれかに適合しなくなつたと認めるときは、当該登録検査機関に対し、当該要件に適合するために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
農林水産大臣は、登録検査機関が第十条の七の規定に違反していると認めるとき、又は登録検査機関が行う検査が適当でないと認めるときは、当該登録検査機関に対し、検査を実施すべきこと 又は検査の方法 その他の業務の方法の改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
農林水産大臣は、第十条の九第一項の認可をした業務規程が検査業務の公正な実施上不適当となつたと認めるときは、当該業務規程を変更すべきことを命ずることができる。
農林水産大臣は、登録検査機関が第十条の三各号のいずれかに該当するに至つたときは、その登録を取り消さなければならない。
農林水産大臣は、登録検査機関が次の各号のいずれかに該当するときは、その登録を取り消し、又は一年以内の期間を定めて検査業務の全部 若しくは一部の停止を命ずることができる。
第十条の七、第十条の八第一項、第十条の九第一項、第十条の十第一項、第十条の十一第一項 又は次条の規定に違反したとき。
第十条の九第一項の規定により認可を受けた業務規程によらないで検査業務を実施したとき。
正当な理由がないのに第十条の十一第二項の規定による請求を拒んだとき。
前二条の規定による命令に違反したとき。
農林水産大臣は、前二項に規定する場合のほか、登録検査機関が、正当な理由がないのに、その登録を受けた日から一年を経過してもなお その検査業務を開始せず、又は一年以上継続してその検査業務を停止したときは、その登録を取り消すことができる。
農林水産大臣は、前三項の規定による処分をしたときは、遅滞なく、その旨を公示しなければならない。
登録検査機関は、農林水産省令で定めるところにより、帳簿を備え、検査業務に関し農林水産省令で定める事項を記載し、これを保存しなければならない。
登録検査機関以外の者は、その行う業務が検査に関するものであると人を誤認させるような表示、広告 その他の行為をしてはならない。
農林水産大臣は、第十条から前条までの規定の施行に必要な限度において、登録検査機関に対し、必要な報告 若しくは帳簿、書類 その他の物件の提出を求め、又はその職員に、当該登録検査機関の事務所、事業所 その他検査業務を行う場所に立ち入り、検査業務の状況 若しくは帳簿、書類 その他の物件を検査させ、若しくは従業者 その他の関係者に質問させることができる。
前項の規定により立入検査 又は質問をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者にこれを提示しなければならない。
第四条第四項の規定は、第一項の規定による立入検査 及び質問について準用する。
この章に規定するものの外、検査の手続 及び方法並びに検査の結果行う 処分の基準は、農林水産大臣が定めて公表する。
前項の場合には、第五条の二第二項の規定を準用する。
第三章 国内植物検疫
農林水産大臣は、新たに国内に侵入し、又は既に国内の一部に存在している有害動物若しくは有害植物のまん延を防止するため、この章の規定により検疫を実施するものとする。
農林水産大臣の指定する繁殖の用に供する植物(以下「指定種苗」という。)を生産する者(以下「種苗生産者」という。)は、毎年 その生産する指定種苗について、その栽培地において栽培中に、植物防疫官の検査を受けなければならない。
植物防疫官は、前項の検査のみによつては有害動物 又は有害植物を駆除し、又はそのまん延を防止する目的を達することができないと認めるときは、指定種苗の栽培前若しくは採取後における検査をあわせて行うことができる。
植物防疫官は、第一項 又は前項の規定による検査の結果、指定種苗に農林水産大臣の指定する有害動物 及び有害植物がないと認めたときは、当該種苗生産者に対して、合格証明書を交付しなければならない。
指定種苗は、前項の合格証明書又は植物防疫官の発行するその謄本 若しくは抄本を添付してあるものでなければ、譲渡し、譲渡を委託し、又は当該検査を受けた栽培地の属する都道府県の区域外に移出してはならない。
植物防疫官は、第一項 又は第二項の規定による検査により、第三項の有害動物 又は有害植物があると認めたときは、その検査を中止し、当該種苗生産者に対し、当該有害動物 又は有害植物を駆除し、又はそのまん延を防止するため必要と認める事項を口頭 又は文書により指示しなければならない。
前項の指示を受けた種苗生産者は、当該指示に従つて必要な駆除予防をした場合には、植物防疫官に対し、当該指定種苗について第一項 又は第二項に規定する検査を継続すべきことを申請することができる。
第一項の指定をする場合には、第五条の二第二項の規定を準用する。
植物防疫官は、前条第四項の規定に違反して譲渡され、譲渡を委託され、又は移出された指定種苗を所持している者に対して、その廃棄を命じ、又は自らこれを廃棄することができる。
農林水産大臣は、第十三条第一項の規定により検査を受ける者から、検査の実費をこえない範囲内において農林水産省令で定める額の手数料を徴収することができる。
第十一条の規定は、第十三条第一項 又は第二項の検査について準用する。
次に掲げる指定種苗については、第十二条から前条までの規定は適用しない。
農林水産大臣の指定する地域で生産される指定種苗
都道府県又は国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構が生産し、かつ、農林水産大臣の定める基準に従つて自ら検査する指定種苗
種苗生産者が同一都道府県の区域内で自ら繁殖の用に供するため生産する指定種苗
農林水産省令で定める地域内にある植物 又は指定物品で、有害動物 又は有害植物のまん延を防止するため他の地域への移動を制限する必要があるものとして農林水産省令で定めるもの 及びこれらの容器包装は、農林水産省令で定める場合を除き、農林水産省令で定めるところにより、植物防疫官が、その行う検査の結果有害動物 又は有害植物が付着していないと認め、又は農林水産省令で定める基準に従つて消毒したと認める旨を示す表示を付したものでなければ、他の地域へ移動してはならない。
前項の農林水産省令を定める場合には、第五条の二第二項の規定を準用する。
農林水産省令で定める地域内にある植物、有害動物 若しくは有害植物 又は土で、有害動物 又は有害植物のまん延を防止するため他の地域への移動を禁止する必要があるものとして農林水産省令で定めるもの 及びこれらの容器包装は、他の地域へ移動してはならない。
ただし、試験研究の用に供するため農林水産大臣の許可を受けた場合は、この限りでない。
前項の農林水産省令を定める場合には第五条の二第二項の規定を、前項ただし書の場合には第七条第二項から第六項までの規定を準用する。
この場合において、
同条第三項中
「輸入禁止品の輸入後」とあるのは
「植物、有害動物 若しくは有害植物 又は土 及びこれらの容器包装の移動後」と、
同条第四項中
「輸入しなければ」とあるのは
「移動しなければ」と、
同条第五項中
「輸入の方法、輸入後の管理方法」とあるのは
「移動の方法、移動後の管理方法」と、
同条第六項中
「輸入禁止品」とあるのは
「植物、有害動物 若しくは有害植物 若しくは土 及びこれらの容器包装」と
読み替えるものとする。
植物防疫官は、第十六条の二第一項 又は前条第一項の規定に違反して植物、指定物品、有害動物 若しくは有害植物 又は土 及びこれらの容器包装が移動されることを防止するため必要があると認めるときは、これらの物品を所有し、又は管理する者に対し、船舶、車両 若しくは航空機にこれらの物品の積込み 若しくは持込みをしないよう、又は船舶、車両 若しくは航空機に積込み 若しくは持込みをしたこれらの物品を取り卸すよう命ずることができる。
植物防疫官は、第十六条の二第一項 又は第十六条の三第一項の規定に違反して移動された植物、指定物品、有害動物 若しくは有害植物 又は土 及びこれらの容器包装を所持する者に対して、これらの消毒 若しくは廃棄を命じ、又は自らこれらを消毒し、若しくは廃棄することができる。
第三章の二 侵入調査
この章で「侵入警戒有害動植物」とは、まん延した場合に有用な植物に重大な損害を与え、又は有用な植物の輸出を阻害するおそれがある有害動物 又は有害植物であつて、次の各号のいずれかに該当するものとして農林水産大臣が指定するものをいう。
農林水産大臣は、侵入警戒有害動植物の国内への侵入 又は国内での分布の状況を調査する事業(以下「侵入調査事業」という。)を行うものとする。
都道府県は、農林水産大臣が都道府県の承諾を得て定める計画に従い、侵入調査事業に協力しなければならない。
侵入警戒有害動植物が、新たに国内に侵入し、又はまん延するおそれがあると認めた者は、遅滞なく、その旨を植物防疫所長 又は都道府県知事に通報しなければならない。
第四章 緊急防除
新たに国内に侵入し、若しくは既に国内の一部に存在している有害動物 若しくは有害植物がまん延して有用な植物に重大な損害を与えるおそれがある場合、又は有害動物 若しくは有害植物により有用な植物の輸出が阻害されるおそれがある場合において、これを駆除し、又はそのまん延を防止するため必要があるときは、農林水産大臣は、この章の規定により、防除を行うものとする。
ただし、森林病害虫等について、別に法律で定めるところにより防除が行われる場合は、この限りでない。
農林水産大臣は、前項の規定による防除を行うには、その三十日前までに次の事項を告示しなければならない。
有害動物 又は有害植物の種類
農林水産大臣は、前条第一項の規定による防除の対象となる有害動物 又は有害植物のうち、まん延した場合に有用な植物に重大な損害を与えるおそれが高く、かつ、行うべき防除の内容が明らかであると認められるものとして農林水産省令で定めるものについて、同項の規定による防除の実施に関する基準(以下この条において「緊急防除実施基準」という。)を定めることができる。
農林水産大臣は、緊急防除実施基準に従つて前条第一項の規定による防除を行うときは、同条第二項の規定にかかわらず、同項の期間を十日まで短縮することができる。
農林水産大臣は、第十七条第一項の規定による防除を行うため必要な限度において、次に掲げる命令をすることができる。
第十七条第一項の場合において、緊急に防除を行う必要があるため同条第二項 又は前条第五項の規定によるいとまがないときは、農林水産大臣は、その必要の限度において、第十七条第二項の規定による告示をしないで、前項各号の命令をし、又は植物防疫官に有害動物 若しくは有害植物 若しくはこれらが付着し、若しくは付着しているおそれがある植物 若しくは土 若しくはこれらの容器包装の消毒、除去、廃棄 その他の必要な措置 若しくは有害動物 若しくは有害植物が付着し、若しくは付着しているおそれがある農機具、運搬用具 その他の物品 若しくは倉庫 その他の施設の消毒 その他の必要な措置をさせることができる。
第十七条第一項の防除を行うため必要があるときは、農林水産大臣は、地方公共団体、農業者の組織する団体 又は防除業者に対し防除に関する業務に協力するよう指示することができる。
前項の場合には、協力指示書を交付しなければならない。
第一項の規定による指示に従い防除が行われたときは、国は、その費用を弁償しなければならない。
国は、第十八条の処分により損失を受けた者に対し、その処分により通常生ずべき損失を補償しなければならない。
前項の規定により補償を受けようとする者は、補償を受けようとする見積額を記載した申請書を農林水産大臣に提出しなければならない。
農林水産大臣は、前項の申請があつたときは、遅滞なく、補償すべき金額を決定し、当該申請人に通知しなければならない。
農林水産大臣は、前項の規定により補償金額を決定するには、少くとも一人の農業者を含む三人の評価人をその区域から選び、その意見を徴しなければならない。
第一項の規定による補償を伴うべき処分は、これによつて必要となる補償金の総額が国会の議決を経た予算の金額をこえない範囲内でしなければならない。
第三項の補償金額の決定に不服がある者は、その決定の通知を受けた日から六箇月以内に、訴えをもつてその増額を請求することができる。
前項の訴えにおいては、国を被告とする。
都道府県知事は、新たに国内に侵入し、若しくは既に国内の一部に存在している有害動物 若しくは有害植物がまん延して有用な植物に重大な損害を与えるおそれがあると認めた場合には、その旨を農林水産大臣に報告しなければならない。
第五章 指定有害動植物の防除
この章 及び次章で「指定有害動植物」とは、有害動物 又は有害植物であつて、国内における分布が局地的でなく、又は局地的でなくなるおそれがあり、かつ、急激にまん延して農作物に重大な損害を与える傾向があるため、その防除につき特別の対策を要するものとして、農林水産大臣が指定するものをいう。
この章で「総合防除」とは、有害動物 又は有害植物の防除のうち、その発生 及び増加の抑制 並びにこれが発生した場合における駆除 及びまん延の防止を適時で経済的なものにするために必要な措置を総合的に講じて行うものをいう。
農林水産大臣は、指定有害動植物の総合防除を推進するための基本的な指針(以下「総合防除基本指針」という。)を定めるものとする。
第二十三条第一項に規定する発生予察事業の対象とする指定有害動植物 その他当該発生予察事業に関する事項
第二十四条第一項に規定する異常発生時の基準に関する事項
第二十四条第一項に規定する異常発生時防除の内容に関する基本的な事項
農林水産大臣は、最新の科学的知見 並びに指定有害動植物の我が国における発生の状況 及び動向を踏まえ、少なくとも五年ごとに総合防除基本指針に再検討を加え、必要があると認めるときは、これを変更するものとする。
農林水産大臣は、総合防除基本指針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表するとともに、都道府県知事に通知しなければならない。
都道府県知事は、総合防除基本指針に即して、かつ、地域の実情に応じて、指定有害動植物の総合防除の実施に関する計画(以下「総合防除計画」という。)を定めるものとする。
第二十四条第一項に規定する異常発生時防除の内容 及び実施体制に関する事項
都道府県知事は、指定有害動植物のまん延を防止するため必要があると認めるときは、総合防除計画に、前項各号に掲げる事項のほか、指定有害動植物の種類ごとの発生の予防 及び当該指定有害動植物が発生した場合における駆除 又はまん延の防止の方法に関し農業者が遵守すべき事項(第二十四条第一項に規定する異常発生時防除に係るものを含む。第二十四条の二 及び第二十四条の三第一項において「遵守事項」という。)を定めることができる。
都道府県知事は、総合防除計画を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表するとともに、農林水産省令で定めるところにより、農林水産大臣に報告しなければならない。
農林水産大臣は、総合防除基本指針に基づき、発生予察事業(有害動物 又は有害植物の防除を適時で経済的なものにするため、有害動物 又は有害植物の繁殖、気象、農作物の生育等の状況を調査して、農作物についての有害動物 又は有害植物による損害の発生を予察し、及びそれに基づく情報を関係者に提供する事業をいう。以下同じ。)を行うものとする。
都道府県は、農林水産大臣が都道府県の承諾を得て定める計画に従い、前項の規定による発生予察事業に協力しなければならない。
農林水産大臣は、前条第一項の規定による発生予察事業の実施により得た資料に基づき、又はその他の事情に鑑み、指定有害動植物が異常な水準で発生したと認められる場合(以下この項において「異常発生時」という。)であつて、その急激なまん延を防止するため特に必要があると認めるときは、関係都道府県知事に、総合防除基本指針 及び当該都道府県の総合防除計画に即して、当該指定有害動植物の異常発生時の防除に関する措置(以下「異常発生時防除」という。)を行うよう指示することができる。
都道府県知事は、前項の規定による指示を受けたときは、総合防除基本指針 及び当該都道府県の総合防除計画に即して、速やかに、当該指定有害動植物の異常発生時防除を行うべき区域 及び期間 その他必要な事項を定めなければならない。
都道府県知事は、前項に規定する事項を定め、又はこれを変更したときは、速やかにこれを告示するとともに、その旨を農林水産大臣に報告しなければならない。
都道府県知事は、第二十二条の三第三項の規定により指定有害動植物について遵守事項を定めた場合において、当該指定有害動植物の防除が適正に行われることを確保するため必要があるときは、農業者に対し、当該遵守事項に即した防除を行うために必要な指導 及び助言を行うものとする。
都道府県知事は、前条の規定による指導 又は助言をした場合において、なお遵守事項に即した防除が行われないため、指定有害動植物がまん延することにより農作物に重大な損害を与えるおそれがあると認める場合(異常発生時防除に係る遵守事項に即した防除が行われない場合にあつては、指定有害動植物の急激なまん延を防止するために必要があると認める場合)には、改善すべき事項を記載した文書の提示 その他の農林水産省令で定める方法により、当該農業者に対し、期限を定めて、遵守事項に即した防除を行うべきことを勧告することができる。
都道府県知事は、前項の規定による勧告を受けた者が正当な理由がなくてその勧告に従わない場合において、特に必要があると認めるときは、改善すべき事項を記載した文書の提示 その他の農林水産省令で定める方法により、その者に対し、期限を定めて、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。
都道府県知事は、前二条の規定の施行に必要な限度において、その職員に、農作物の栽培地に立ち入り、必要な調査をさせ、又は関係者に質問させることができる。
この場合において、その職員は、あらかじめ、当該栽培地の占有者に通知しなければならない。
第十条の十八第二項の規定は、前項の規定により農作物の栽培地に立ち入ろうとする職員について準用する。
国は、地方公共団体、農業者 又はその組織する団体であつて、第二十四条第三項の規定による告示で定められた異常発生時防除を行うべき区域 及び期間において、総合防除計画に基づき防除を行つたものに対し、予算の範囲内において、防除に必要な薬剤(薬剤として用いることができる物を含む。以下同じ。)及び噴霧機、散粉機、煙霧機 その他防除に必要な器具(以下「防除用器具」という。)の購入に要した費用の二分の一以内の補助金を交付することができる。
前項の補助金の交付を受けようとする者は、農林水産大臣に対し、補助金交付申請書を農林水産省令で定める書類と共に提出しなければならない。
農林水産大臣は、前項の提出書類を審査し、適当と認めるときは、補助金の交付を決定するものとする。
国は、指定有害動植物の防除のため特に必要があるときは、地方公共団体、農業者 又はその組織する団体であつて、第二十四条第三項の規定による告示で定められた異常発生時防除を行うべき区域 及び期間において、総合防除計画に基づき防除を行おうとするものに対し、防除に必要な薬剤を譲与し、若しくは時価より低い対価で譲渡し、又は防除用器具を無償で貸し付けることができる。
前項の規定による譲与、譲渡 及び貸付に関し必要な事項は、農林水産大臣が定める。
農林水産大臣は、前項の場合には、財務大臣と協議しなければならない。
農林水産大臣は、第一項の規定による譲与、譲渡 及び貸付の目的に供するため、常に、これに必要な薬剤 及び防除用器具の整備に努めなければならない。
何人も、自己 又は他人のために財産上の不当の利益を図る目的をもつて、農作物についての指定有害動植物のまん延による広範囲の損害の発生に関し、風説を流布してはならない。
第六章 都道府県の防疫
有害動物 又は有害植物がまん延して有用な植物に重大な損害を与えるおそれがある場合において、これを駆除し、又はそのまん延を防止するため必要があるときは、都道府県は、植物を検疫し、又は有害動物 若しくは有害植物の防除に関し必要な措置をとることができる。
前項の場合には、他の都道府県において生産された種苗その他の物の正当な流通を妨げないように留意しなければならない。
都道府県の区域内において、農作物についての有害動物 若しくは有害植物の防除(以下「防除」という。)が行われず、又は防除の方法が適当でないため、他の都道府県の区域に損害が波及するおそれがあるときは、農林水産大臣は、当該都道府県に対し、防除に関し必要な措置をとるべき旨を勧告することができる。
都道府県は、指定有害動植物(第二十三条第一項の規定による発生予察事業の対象となるものに限る。第三項において同じ。)以外の有害動物 又は有害植物について、発生予察事業を行うものとする。
都道府県知事は、農林水産大臣に対し、前項の規定による発生予察事業の内容 及び結果を適時に報告しなければならない。
農林水産大臣は、農作物についての指定有害動植物以外の有害動物又は有害植物による損害が都道府県の区域を超えて発生するおそれがある場合において、都道府県の発生予察事業の総合調整を図るため特に必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、必要な指示をすることができる。
農林水産大臣は、必要があると認めるときは、その職員をして都道府県の発生予察事業に協力させるものとする。
病害虫防除所は、地方における植物の検疫 及び防除に資するため、都道府県が設置する。
病害虫防除所の位置、名称 及び管轄区域は、条例で定める。
都道府県は、病害虫防除所を設置しようとするときは、あらかじめ、農林水産省令で定める事項を農林水産大臣に届け出なければならない。
病害虫防除所は、第一項に規定する目的を達成するため、次に掲げる事務を行う。
防除についての企画に関する事務
市町村、農業者 又はその組織する団体が行う防除に対する指導 及び協力に関する事務
病害虫防除所は、前項に規定する事務を適切に行うため必要なものとして政令で定める基準に適合したものでなければならない。
農林水産大臣は、有害動物 又は有害植物がまん延して都道府県の区域を超えて有用な植物に重大な損害を与えるおそれがある場合において、これを駆除し、又はそのまん延を防止するため特に必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、病害虫防除所の事務に関し、必要な事項を指示し、又は必要な報告を求めることができる。
この法律による病害虫防除所でないものは、その名称中に「病害虫防除所」という文字 又はこれに類似する文字を用いてはならない。
前項の場合には、前条第三項の規定を準用する。
第七章 雑則
国は、第十六条の七第二項の規定により侵入調査事業に協力するのに要する経費、第二十三条第二項の規定により同条第一項の規定による発生予察事業に協力するのに要する経費 及び病害虫防除所の運営に要する経費の財源に充てるため、都道府県に対し、交付金を交付する。
農林水産大臣は、前項の規定による都道府県への交付金の交付については、各都道府県の農家数 及び農地面積を基礎とし、各都道府県において植物の検疫、防除 及び発生予察事業を緊急に行うことの必要性 その他侵入調査事業 及び発生予察事業への協力 並びに病害虫防除所の運営に関する特別の事情を考慮して政令で定める基準に従つて決定しなければならない。
第九条第一項 若しくは第二項、第十四条、第十六条の四 又は第十六条の五の規定による命令については、審査請求をすることができない。
第十条第一項 若しくは第四項又は第十三条第二項の検査の結果に不服がある者は、検査を受けた日の翌日から起算して三月以内に、植物防疫官に対して再検査を申し立てることができる。
前項に規定する検査 又は再検査の結果については、審査請求をすることができない。
この法律中他の規定による場合の外、防除に関し特に必要があるときは、農林水産大臣は、地方公共団体、農業者 又はその組織する団体に対し、必要な報告を求めることができる。
第二十五条 及び前条の規定により農林水産大臣の権限に属する事務の一部は、政令の定めるところにより、都道府県知事が行うこととすることができる。
第三章からこの章までに規定する農林水産大臣の権限は、農林水産省令の定めるところにより、その一部を地方農政局長に委任することができる。
第二十一条の規定により都道府県が処理することとされている事務は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。
第八章 罰則
次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、三年以下の懲役 又は三百万円以下の罰金に処する。
第六条第一項から第三項まで 又は第七条第一項の規定に違反したとき。
第七条第五項(第九条第六項において準用する場合を含む。)の規定による許可の条件に違反したとき。
第七条第六項(第九条第六項において準用する場合を含む。)の規定による命令に違反したとき。
第八条第一項の規定による検査を受けず、又はその検査を受けるに当たつて不正行為をしたとき。
第十条第一項の規定に違反し、又は同項の規定による検査を受けるに当たつて不正行為をしたとき。
次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、三年以下の懲役 又は百万円以下の罰金に処する。
第十三条第四項、第十六条の二第一項 又は第十六条の三第一項の規定に違反したとき。
第十六条の三第二項において準用する第七条第五項の規定による許可の条件に違反したとき。
第十六条の三第二項において準用する第七条第六項 又は第十八条第一項の規定による命令に違反したとき。
次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、一年以下の懲役 又は五十万円以下の罰金に処する。
第八条第六項の規定による検査を受けず、又はその検査を受けるに当たつて不正行為をしたとき。
第八条第七項 又は第十六条の四の規定による命令に違反したとき。
第九条第一項 若しくは第二項の規定による命令に違反し、又は同条第一項から第三項までの規定による処分を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。
第十条の十五第二項の規定による命令に違反したとき。
第十六条の五の規定による命令に違反し、又は同条の規定による処分を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。
第十八条第二項の規定による命令に違反し、又は同項の規定による処分を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。
第二十八条の規定に違反したとき。
第十条の十二第一項の規定に違反して、その検査業務に関して知り得た秘密を漏らし、又は自己の利益のために使用した者は、一年以下の懲役 又は五十万円以下の罰金に処する。
次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、三十万円以下の罰金に処する。
第四条第一項の規定による検査 若しくは集取を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は同項の規定による質問に対し陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をしたとき。
第四条第二項の規定による命令に違反したとき。
第六条第五項の規定に違反したとき。
第八条第八項 若しくは第十条第六項の規定による質問に対し陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をし、又はこれらの規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。
第十条第四項の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避したとき。
第十条の十第一項の規定に違反して、許可を受けないで検査業務の全部を廃止したとき。
第十条の十六の規定に違反して、帳簿に記載せず、若しくは帳簿に虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかつたとき。
第十条の十八第一項の規定による報告 若しくは物件の提出をせず、若しくは虚偽の報告 若しくは虚偽の物件の提出をし、又は同項の規定による立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは同項の規定による質問に対し陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をしたとき。
第十四条の規定による命令に違反し、又は同条の規定による処分を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。
法人の代表者 又は法人 若しくは人の代理人、使用人 その他の従業者が、その法人 又は人の業務に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。
第三十九条 及び第四十条
五千万円以下の罰金刑
第四十一条第一項 及び前条
各本条の罰金刑
第二十四条の三第二項の規定による命令に違反した者は、三十万円以下の過料に処する。
第十条の十一第一項の規定に違反して、財務諸表等を備えて置かず、財務諸表等に記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をし、又は正当な理由がないのに同条第二項の規定による請求を拒んだ者は、二十万円以下の過料に処する。