次に掲げる少年は、これを家庭裁判所の審判に付する。
少年法
第二章 少年の保護事件
第一節 通則
罪を犯した少年
十四歳に満たないで刑罰法令に触れる行為をした少年
次に掲げる事由があつて、その性格 又は環境に照して、将来、罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をする虞のある少年
保護者の正当な監督に服しない性癖のあること。
正当の理由がなく家庭に寄り附かないこと。
犯罪性のある人 若しくは不道徳な人と交際し、又はいかがわしい場所に出入すること。
自己 又は他人の徳性を害する行為をする性癖のあること。
家庭裁判所は、前項第二号に掲げる少年 及び同項第三号に掲げる少年で十四歳に満たない者については、都道府県知事 又は児童相談所長から送致を受けたときに限り、これを審判に付することができる。
第二十条第一項の決定以外の裁判は、判事補が一人でこれをすることができる。
保護事件の管轄は、少年の行為地、住所、居所 又は現在地による。
家庭裁判所は、保護の適正を期するため特に必要があると認めるときは、決定をもつて、事件を他の管轄家庭裁判所に移送することができる。
家庭裁判所は、事件がその管轄に属しないと認めるときは、決定をもつて、これを管轄家庭裁判所に移送しなければならない。
裁判所は、第三条第一項第一号 又は第二号に掲げる少年に係る保護事件について、第二十一条の決定があつた後、最高裁判所規則の定めるところにより当該保護事件の被害者等(被害者 又はその法定代理人 若しくは被害者が死亡した場合 若しくはその心身に重大な故障がある場合におけるその配偶者、直系の親族 若しくは兄弟姉妹をいう。以下同じ。)又は被害者等から委託を受けた弁護士から、その保管する当該保護事件の記録(家庭裁判所が専ら当該少年の保護の必要性を判断するために収集したもの及び家庭裁判所調査官が家庭裁判所による当該少年の保護の必要性の判断に資するよう作成し 又は収集したものを除く。)の閲覧 又は謄写の申出があるときは、閲覧 又は謄写を求める理由が正当でないと認める場合 及び少年の健全な育成に対する影響、事件の性質、調査 又は審判の状況 その他の事情を考慮して閲覧 又は謄写をさせることが相当でないと認める場合を除き、申出をした者にその閲覧 又は謄写をさせるものとする。
前項の申出は、その申出に係る保護事件を終局させる決定が確定した後三年を経過したときは、することができない。
第一項の規定により記録の閲覧 又は謄写をした者は、正当な理由がないのに閲覧 又は謄写により知り得た少年の氏名 その他少年の身上に関する事項を漏らしてはならず、かつ、閲覧 又は謄写により知り得た事項をみだりに用いて、少年の健全な育成を妨げ、関係人の名誉 若しくは生活の平穏を害し、又は調査 若しくは審判に支障を生じさせる行為をしてはならない。
前条第一項の規定による記録の閲覧 又は謄写の手数料については、その性質に反しない限り、民事訴訟費用等に関する法律(昭和四十六年法律第四十号)第七条から第十条まで 及び別表第二の一の項の規定(同項上欄中「(事件の係属中に当事者等が請求するものを除く。)」とある部分を除く。)を準用する。
第二節 通告、警察官の調査等
家庭裁判所の審判に付すべき少年を発見した者は、これを家庭裁判所に通告しなければならない。
警察官 又は保護者は、第三条第一項第三号に掲げる少年について、直接これを家庭裁判所に送致し、又は通告するよりも、先づ児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)による措置にゆだねるのが適当であると認めるときは、その少年を直接児童相談所に通告することができる。
警察官は、客観的な事情から合理的に判断して、第三条第一項第二号に掲げる少年であると疑うに足りる相当の理由のある者を発見した場合において、必要があるときは、事件について調査をすることができる。
前項の調査は、少年の情操の保護に配慮しつつ、事案の真相を明らかにし、もつて少年の健全な育成のための措置に資することを目的として行うものとする。
警察官は、国家公安委員会規則の定めるところにより、少年の心理 その他の特性に関する専門的知識を有する警察職員(警察官を除く。)に調査(第六条の五第一項の処分を除く。)をさせることができる。
少年 及び保護者は、前条第一項の調査に関し、いつでも、弁護士である付添人を選任することができる。
警察官は、調査をするについて必要があるときは、少年、保護者 又は参考人を呼び出し、質問することができる。
前項の質問に当たつては、強制にわたることがあつてはならない。
警察官は、調査について、公務所 又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。
警察官は、第三条第一項第二号に掲げる少年に係る事件の調査をするについて必要があるときは、押収、捜索、検証 又は鑑定の嘱託をすることができる。
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)中、司法警察職員の行う押収、捜索、検証 及び鑑定の嘱託に関する規定(同法第二百二十四条を除く。)は、前項の場合に、これを準用する。
この場合において、
これらの規定中
「司法警察員」とあるのは
「司法警察員たる警察官」と、
「司法巡査」とあるのは
「司法巡査たる警察官」と
読み替えるほか、
同法第四百九十九条第一項中
「検察官」とあるのは
「警視総監 若しくは道府県警察本部長 又は警察署長」と、
「政令」とあるのは
「国家公安委員会規則」と、
同条第三項中
「国庫」とあるのは
「当該都道府県警察 又は警察署の属する都道府県」と
読み替えるものとする。
警察官は、調査の結果、次の各号のいずれかに該当するときは、当該調査に係る書類とともに事件を児童相談所長に送致しなければならない。
第三条第一項第二号に掲げる少年に係る事件について、その少年の行為が次に掲げる罪に係る刑罰法令に触れるものであると思料するとき。
故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪
イに掲げるもののほか、死刑 又は無期 若しくは短期二年以上の懲役 若しくは禁錮に当たる罪
前号に掲げるもののほか、第三条第一項第二号に掲げる少年に係る事件について、家庭裁判所の審判に付することが適当であると思料するとき。
警察官は、前項の規定により児童相談所長に送致した事件について、児童福祉法第二十七条第一項第四号の措置がとられた場合において、証拠物があるときは、これを家庭裁判所に送付しなければならない。
警察官は、第一項の規定により事件を送致した場合を除き、児童福祉法第二十五条第一項の規定により調査に係る少年を児童相談所に通告するときは、国家公安委員会規則の定めるところにより、児童相談所に対し、同法による措置をとるについて参考となる当該調査の概要 及び結果を通知するものとする。
都道府県知事 又は児童相談所長は、前条第一項(第一号に係る部分に限る。)の規定により送致を受けた事件については、児童福祉法第二十七条第一項第四号の措置をとらなければならない。
ただし、調査の結果、その必要がないと認められるときは、この限りでない。
都道府県知事 又は児童相談所長は、児童福祉法の適用がある少年について、たまたま、その行動の自由を制限し、又はその自由を奪うような強制的措置を必要とするときは、同法第三十三条、第三十三条の二 及び第四十七条の規定により認められる場合を除き、これを家庭裁判所に送致しなければならない。
家庭裁判所調査官は、家庭裁判所の審判に付すべき少年を発見したときは、これを裁判官に報告しなければならない。
家庭裁判所調査官は、前項の報告に先だち、少年 及び保護者について、事情を調査することができる。
第三節 調査及び審判
家庭裁判所は、第六条第一項の通告 又は前条第一項の報告により、審判に付すべき少年があると思料するときは、事件について調査しなければならない。
検察官、司法警察員、警察官、都道府県知事 又は児童相談所長から家庭裁判所の審判に付すべき少年事件の送致を受けたときも、同様とする。
家庭裁判所は、家庭裁判所調査官に命じて、少年、保護者 又は参考人の取調 その他の必要な調査を行わせることができる。
前条の調査は、なるべく、少年、保護者 又は関係人の行状、経歴、素質、環境等について、医学、心理学、教育学、社会学 その他の専門的智識特に少年鑑別所の鑑別の結果を活用して、これを行うように努めなければならない。
家庭裁判所は、最高裁判所規則の定めるところにより第三条第一項第一号 又は第二号に掲げる少年に係る事件の被害者等から、被害に関する心情 その他の事件に関する意見の陳述の申出があるときは、自らこれを聴取し、又は家庭裁判所調査官に命じてこれを聴取させるものとする。
ただし、事件の性質、調査 又は審判の状況 その他の事情を考慮して、相当でないと認めるときは、この限りでない。
少年 並びにその保護者、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族 及び兄弟姉妹は、家庭裁判所の許可を受けて、付添人を選任することができる。
ただし、弁護士を付添人に選任するには、家庭裁判所の許可を要しない。
保護者は、家庭裁判所の許可を受けて、付添人となることができる。
家庭裁判所は、事件の調査 又は審判について必要があると認めるときは、少年 又は保護者に対して、呼出状を発して、その呼出しをすることができる。
家庭裁判所は、少年 又は保護者が、正当な理由がなく、前項の規定による呼出しに応じないとき、又は応じないおそれがあるときは、その少年 又は保護者に対して、同行状を発して、その同行をすることができる。
家庭裁判所は、少年が保護のため緊急を要する状態にあつて、その福祉上必要であると認めるときは、前条第二項の規定にかかわらず、その少年に対して、同行状を発して、その同行をすることができる。
裁判長は、急速を要する場合には、前項の処分をし、又は合議体の構成員にこれをさせることができる。
同行状は、家庭裁判所調査官がこれを執行する。
家庭裁判所は、警察官、保護観察官 又は裁判所書記官をして、同行状を執行させることができる。
裁判長は、急速を要する場合には、前項の処分をし、又は合議体の構成員にこれをさせることができる。
家庭裁判所は、証人を尋問し、又は鑑定、通訳 若しくは翻訳を命ずることができる。
刑事訴訟法中、裁判所の行う証人尋問、鑑定、通訳 及び翻訳に関する規定は、保護事件の性質に反しない限り、前項の場合に、これを準用する。
家庭裁判所は、検証、押収 又は捜索をすることができる。
刑事訴訟法中、裁判所の行う検証、押収 及び捜索に関する規定は、保護事件の性質に反しない限り、前項の場合に、これを準用する。
家庭裁判所は、調査 及び観察のため、警察官、保護観察官、保護司、児童福祉司(児童福祉法第十二条の三第二項第六号に規定する児童福祉司をいう。第二十六条第一項において同じ。)又は児童委員に対して、必要な援助をさせることができる。
家庭裁判所は、その職務を行うについて、公務所、公私の団体、学校、病院 その他に対して、必要な協力を求めることができる。
家庭裁判所は、審判を行うため必要があるときは、決定をもつて、次に掲げる観護の措置をとることができる。
家庭裁判所調査官の観護に付すること。
少年鑑別所に送致すること。
同行された少年については、観護の措置は、遅くとも、到着のときから二十四時間以内に、これを行わなければならない。
検察官 又は司法警察員から勾留 又は逮捕された少年の送致を受けたときも、同様である。
第一項第二号の措置においては、少年鑑別所に収容する期間は、二週間を超えることができない。
ただし、特に継続の必要があるときは、決定をもつて、これを更新することができる。
前項ただし書の規定による更新は、一回を超えて行うことができない。
ただし、第三条第一項第一号に掲げる少年に係る死刑、懲役 又は禁錮に当たる罪の事件でその非行事実(犯行の動機、態様 及び結果 その他の当該犯罪に密接に関連する重要な事実を含む。以下同じ。)の認定に関し証人尋問、鑑定 若しくは検証を行うことを決定したもの又はこれを行つたものについて、少年を収容しなければ審判に著しい支障が生じるおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある場合には、その更新は、更に二回を限度として、行うことができる。
第三項ただし書の規定にかかわらず、検察官から再び送致を受けた事件が先に第一項第二号の措置がとられ、又は勾留状が発せられた事件であるときは、収容の期間は、これを更新することができない。
裁判官が第四十三条第一項の請求により、第一項第一号の措置をとつた場合において、事件が家庭裁判所に送致されたときは、その措置は、これを第一項第一号の措置とみなす。
裁判官が第四十三条第一項の請求により第一項第二号の措置をとつた場合において、事件が家庭裁判所に送致されたときは、その措置は、これを第一項第二号の措置とみなす。
この場合には、第三項の期間は、家庭裁判所が事件の送致を受けた日から、これを起算する。
観護の措置は、決定をもつて、これを取り消し、又は変更することができる。
第一項第二号の措置については、収容の期間は、通じて八週間を超えることができない。
ただし、その収容の期間が通じて四週間を超えることとなる決定を行うときは、第四項ただし書に規定する事由がなければならない。
裁判長は、急速を要する場合には、第一項 及び第八項の処分をし、又は合議体の構成員にこれをさせることができる。
少年、その法定代理人 又は付添人は、前条第一項第二号 又は第三項ただし書の決定に対して、保護事件の係属する家庭裁判所に異議の申立てをすることができる。
ただし、付添人は、選任者である保護者の明示した意思に反して、異議の申立てをすることができない。
前項の異議の申立ては、審判に付すべき事由がないことを理由としてすることはできない。
第一項の異議の申立てについては、家庭裁判所は、合議体で決定をしなければならない。
この場合において、その決定には、原決定に関与した裁判官は、関与することができない。
第三十二条の三、第三十三条 及び第三十四条の規定は、第一項の異議の申立てがあつた場合について準用する。
この場合において、
第三十三条第二項中
「取り消して、事件を原裁判所に差し戻し、又は他の家庭裁判所に移送しなければならない」とあるのは、
「取り消し、必要があるときは、更に裁判をしなければならない」と
読み替えるものとする。
第三十五条第一項の規定は、前条第三項の決定について準用する。
この場合において、
第三十五条第一項中
「二週間」とあるのは、
「五日」と
読み替えるものとする。
前条第四項 及び第三十二条の二の規定は、前項の規定による抗告があつた場合について準用する。
家庭裁判所は、第十七条第一項第二号の措置をとつた場合において、直ちに少年鑑別所に収容することが著しく困難であると認める事情があるときは、決定をもつて、少年を仮に最寄りの少年院 又は刑事施設の特に区別した場所に収容することができる。
ただし、その期間は、収容した時から七十二時間を超えることができない。
裁判長は、急速を要する場合には、前項の処分をし、又は合議体の構成員にこれをさせることができる。
第一項の規定による収容の期間は、これを第十七条第一項第二号の措置により少年鑑別所に収容した期間とみなし、同条第三項の期間は、少年院 又は刑事施設に収容した日から、これを起算する。
裁判官が第四十三条第一項の請求のあつた事件につき、第一項の収容をした場合において、事件が家庭裁判所に送致されたときは、その収容は、これを第一項の規定による収容とみなす。
家庭裁判所は、調査の結果、児童福祉法の規定による措置を相当と認めるときは、決定をもつて、事件を権限を有する都道府県知事 又は児童相談所長に送致しなければならない。
第六条の七第二項の規定により、都道府県知事 又は児童相談所長から送致を受けた少年については、決定をもつて、期限を付して、これに対してとるべき保護の方法 その他の措置を指示して、事件を権限を有する都道府県知事 又は児童相談所長に送致することができる。
家庭裁判所は、調査の結果、審判に付することができず、又は審判に付するのが相当でないと認めるときは、審判を開始しない旨の決定をしなければならない。
家庭裁判所は、調査の結果、本人が二十歳以上であることが判明したときは、前項の規定にかかわらず、決定をもつて、事件を管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならない。
家庭裁判所は、死刑、懲役 又は禁錮に当たる罪の事件について、調査の結果、その罪質 及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるときは、決定をもつて、これを管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならない。
前項の規定にかかわらず、家庭裁判所は、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であつて、その罪を犯すとき十六歳以上の少年に係るものについては、同項の決定をしなければならない。
ただし、調査の結果、犯行の動機 及び態様、犯行後の情況、少年の性格、年齢、行状 及び環境 その他の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認めるときは、この限りでない。
家庭裁判所は、調査の結果、審判を開始するのが相当であると認めるときは、その旨の決定をしなければならない。
審判は、懇切を旨として、和やかに行うとともに、非行のある少年に対し自己の非行について内省を促すものとしなければならない。
審判は、これを公開しない。
審判の指揮は、裁判長が行う。
家庭裁判所は、第三条第一項第一号に掲げる少年に係る事件であつて、死刑 又は無期 若しくは長期三年を超える懲役 若しくは禁錮に当たる罪のものにおいて、その非行事実を認定するための審判の手続に検察官が関与する必要があると認めるときは、決定をもつて、審判に検察官を出席させることができる。
家庭裁判所は、前項の決定をするには、検察官の申出がある場合を除き、あらかじめ、検察官の意見を聴かなければならない。
検察官は、第一項の決定があつた事件において、その非行事実の認定に資するため必要な限度で、最高裁判所規則の定めるところにより、事件の記録 及び証拠物を閲覧し 及び謄写し、審判の手続(事件を終局させる決定の告知を含む。)に立ち会い、少年 及び証人 その他の関係人に発問し、並びに意見を述べることができる。
家庭裁判所は、前条第一項の決定をした場合において、少年に弁護士である付添人がないときは、弁護士である付添人を付さなければならない。
家庭裁判所は、第三条第一項第一号に掲げる少年に係る事件であつて前条第一項に規定する罪のもの又は第三条第一項第二号に掲げる少年に係る事件であつて前条第一項に規定する罪に係る刑罰法令に触れるものについて、第十七条第一項第二号の措置がとられており、かつ、少年に弁護士である付添人がない場合において、事案の内容、保護者の有無 その他の事情を考慮し、審判の手続に弁護士である付添人が関与する必要があると認めるときは、弁護士である付添人を付することができる。
前二項の規定により家庭裁判所が付すべき付添人は、最高裁判所規則の定めるところにより、選任するものとする。
前項(第二十二条の五第四項において準用する場合を含む。)の規定により選任された付添人は、旅費、日当、宿泊料 及び報酬を請求することができる。
家庭裁判所は、最高裁判所規則の定めるところにより第三条第一項第一号に掲げる少年に係る事件であつて次に掲げる罪のもの 又は同項第二号に掲げる少年(十二歳に満たないで刑罰法令に触れる行為をした少年を除く。次項において同じ。)に係る事件であつて次に掲げる罪に係る刑罰法令に触れるもの(いずれも被害者を傷害した場合にあつては、これにより生命に重大な危険を生じさせたときに限る。)の被害者等から、審判期日における審判の傍聴の申出がある場合において、少年の年齢 及び心身の状態、事件の性質、審判の状況 その他の事情を考慮して、少年の健全な育成を妨げるおそれがなく相当と認めるときは、その申出をした者に対し、これを傍聴することを許すことができる。
故意の犯罪行為により被害者を死傷させた罪
刑法(明治四十年法律第四十五号)第二百十一条(業務上過失致死傷等)の罪
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(平成二十五年法律第八十六号)第四条、第五条 又は第六条第三項 若しくは第四項の罪
家庭裁判所は、前項の規定により第三条第一項第二号に掲げる少年に係る事件の被害者等に審判の傍聴を許すか否かを判断するに当たつては、同号に掲げる少年が、一般に、精神的に特に未成熟であることを十分考慮しなければならない。
家庭裁判所は、第一項の規定により審判の傍聴を許す場合において、傍聴する者の年齢、心身の状態 その他の事情を考慮し、その者が著しく不安 又は緊張を覚えるおそれがあると認めるときは、その不安 又は緊張を緩和するのに適当であり、かつ、審判を妨げ、又はこれに不当な影響を与えるおそれがないと認める者を、傍聴する者に付き添わせることができる。
裁判長は、第一項の規定により審判を傍聴する者 及び前項の規定によりこの者に付き添う者の座席の位置、審判を行う場所における裁判所職員の配置等を定めるに当たつては、少年の心身に及ぼす影響に配慮しなければならない。
第五条の二第三項の規定は、第一項の規定により審判を傍聴した者 又は第三項の規定によりこの者に付き添つた者について、準用する。
家庭裁判所は、前条第一項の規定により審判の傍聴を許すには、あらかじめ、弁護士である付添人の意見を聴かなければならない。
家庭裁判所は、前項の場合において、少年に弁護士である付添人がないときは、弁護士である付添人を付さなければならない。
少年に弁護士である付添人がない場合であつて、最高裁判所規則の定めるところにより少年 及び保護者がこれを必要としない旨の意思を明示したときは、前二項の規定は適用しない。
第二十二条の三第三項の規定は、第二項の規定により家庭裁判所が付すべき付添人について、準用する。
家庭裁判所は、最高裁判所規則の定めるところにより第三条第一項第一号 又は第二号に掲げる少年に係る事件の被害者等から申出がある場合において、少年の健全な育成を妨げるおそれがなく相当と認めるときは、最高裁判所規則の定めるところにより、その申出をした者に対し、審判期日における審判の状況を説明するものとする。
前項の申出は、その申出に係る事件を終局させる決定が確定した後三年を経過したときは、することができない。
第五条の二第三項の規定は、第一項の規定により説明を受けた者について、準用する。
家庭裁判所は、審判の結果、第十八条 又は第二十条にあたる場合であると認めるときは、それぞれ、所定の決定をしなければならない。
家庭裁判所は、審判の結果、保護処分に付することができず、又は保護処分に付する必要がないと認めるときは、その旨の決定をしなければならない。
第十九条第二項の規定は、家庭裁判所の審判の結果、本人が二十歳以上であることが判明した場合に準用する。
家庭裁判所は、前条の場合を除いて、審判を開始した事件につき、決定をもつて、次に掲げる保護処分をしなければならない。
ただし、決定の時に十四歳に満たない少年に係る事件については、特に必要と認める場合に限り、第三号の保護処分をすることができる。
保護観察所の保護観察に付すること。
児童自立支援施設 又は児童養護施設に送致すること。
少年院に送致すること。
前項第一号 及び第三号の保護処分においては、保護観察所の長をして、家庭 その他の環境調整に関する措置を行わせることができる。
家庭裁判所は、第三条第一項第一号 及び第二号に掲げる少年について、第十八条、第十九条、第二十三条第二項 又は前条第一項の決定をする場合には、決定をもつて、次に掲げる物を没取することができる。
刑罰法令に触れる行為を組成した物
刑罰法令に触れる行為に供し、又は供しようとした物
刑罰法令に触れる行為から生じ、若しくはこれによつて得た物 又は刑罰法令に触れる行為の報酬として得た物
前号に記載した物の対価として得た物
家庭裁判所は、前項に規定する少年について、第十八条、第十九条、第二十三条第二項 又は前条第一項の決定をする場合には、決定をもつて、次に掲げる物を没取することができる。
私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律(平成二十六年法律第百二十六号)第三条第一項から第三項までの規定に触れる行為を組成し、若しくは当該行為の用に供した私事性的画像記録(同法第二条第一項に規定する私事性的画像記録をいう。)が記録されている物 若しくはこれを複写した物 又は当該行為を組成し、若しくは当該行為の用に供した私事性的画像記録物(同法第二条第二項に規定する私事性的画像記録物をいう。)を複写した物
性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律(令和五年法律第六十七号)第二条第一項 又は第六条第一項の規定に触れる行為により生じた物を複写した物
没取は、その物が本人以外の者に属しないときに限る。
ただし、刑罰法令に触れる行為の後、本人以外の者が情を知つて第一項の物を取得し、又は前項の物を保有するに至つたときは、本人以外の者に属する場合であつても、これを没取することができる。
家庭裁判所は、第二十四条第一項の保護処分を決定するため必要があると認めるときは、決定をもつて、相当の期間、家庭裁判所調査官の観察に付することができる。
家庭裁判所は、前項の観察とあわせて、次に掲げる措置をとることができる。
遵守事項を定めてその履行を命ずること。
条件を附けて保護者に引き渡すこと。
適当な施設、団体 又は個人に補導を委託すること。
家庭裁判所は、必要があると認めるときは、保護者に対し、少年の監護に関する責任を自覚させ、その非行を防止するため、調査 又は審判において、自ら訓戒、指導 その他の適当な措置をとり、又は家庭裁判所調査官に命じてこれらの措置をとらせることができる。
家庭裁判所は、第十七条第一項第二号、第十七条の四第一項 並びに第二十四条第一項第二号 及び第三号の決定をしたときは、家庭裁判所調査官、裁判所書記官、法務事務官、法務教官、警察官、保護観察官 又は児童福祉司をして、その決定を執行させることができる。
家庭裁判所は、第十七条第一項第二号、第十七条の四第一項 並びに第二十四条第一項第二号 及び第三号の決定を執行するため必要があるときは、少年に対して、呼出状を発して、その呼出しをすることができる。
家庭裁判所は、少年が、正当な理由がなく、前項の規定による呼出しに応じないとき、又は応じないおそれがあるときは、その少年に対して、同行状を発して、その同行をすることができる。
家庭裁判所は、少年が保護のため緊急を要する状態にあつて、その福祉上必要であると認めるときは、前項の規定にかかわらず、その少年に対して、同行状を発して、その同行をすることができる。
第十三条の規定は、前二項の同行状に、これを準用する。
裁判長は、急速を要する場合には、第一項 及び第四項の処分をし、又は合議体の構成員にこれをさせることができる。
家庭裁判所は、第十七条第一項第二号の措置がとられている事件について、第十八条、第十九条、第二十条第一項、第二十三条第二項 又は第二十四条第一項の決定をする場合において、必要と認めるときは、決定をもつて、少年を引き続き相当期間少年鑑別所に収容することができる。
ただし、その期間は、七日を超えることはできない。
第二十四条第一項第三号の決定を受けた少年に対して第二十六条第三項 又は第四項の同行状を執行する場合において、必要があるときは、その少年を仮に最寄の少年鑑別所に収容することができる。
更生保護法(平成十九年法律第八十八号)第六十七条第二項の申請があつた場合において、家庭裁判所は、審判の結果、第二十四条第一項第一号の保護処分を受けた者がその遵守すべき事項を遵守せず、同法第六十七条第一項の警告を受けたにもかかわらず、なお遵守すべき事項を遵守しなかつたと認められる事由があり、その程度が重く、かつ、その保護処分によつては本人の改善 及び更生を図ることができないと認めるときは、決定をもつて、第二十四条第一項第二号 又は第三号の保護処分をしなければならない。
家庭裁判所は、前項の規定により二十歳以上の者に対して第二十四条第一項第三号の保護処分をするときは、その決定と同時に、本人が二十三歳を超えない期間内において、少年院に収容する期間を定めなければならない。
前項に定めるもののほか、第一項の規定による保護処分に係る事件の手続は、その性質に反しない限り、第二十四条第一項の規定による保護処分に係る事件の手続の例による。
保護処分の継続中、本人に対して有罪判決が確定したときは、保護処分をした家庭裁判所は、相当と認めるときは、決定をもつて、その保護処分を取り消すことができる。
保護処分の継続中、本人に対して新たな保護処分がなされたときは、新たな保護処分をした家庭裁判所は、前の保護処分をした家庭裁判所の意見を聞いて、決定をもつて、いずれかの保護処分を取消すことができる。
保護処分の継続中、本人に対し審判権がなかつたこと、又は十四歳に満たない少年について、都道府県知事 若しくは児童相談所長から送致の手続がなかつたにもかかわらず、保護処分をしたことを認め得る明らかな資料を新たに発見したときは、保護処分をした家庭裁判所は、決定をもつて、その保護処分を取り消さなければならない。
保護処分が終了した後においても、審判に付すべき事由の存在が認められないにもかかわらず保護処分をしたことを認め得る明らかな資料を新たに発見したときは、前項と同様とする。
ただし、本人が死亡した場合は、この限りでない。
保護観察所、児童自立支援施設、児童養護施設 又は少年院の長は、保護処分の継続中の者について、第一項の事由があることを疑うに足りる資料を発見したときは、保護処分をした家庭裁判所に、その旨の通知をしなければならない。
第十八条第一項 及び第十九条第二項の規定は、家庭裁判所が、第一項の規定により、保護処分を取り消した場合に準用する。
家庭裁判所は、第一項の規定により、少年院に収容中の者の保護処分を取り消した場合において、必要があると認めるときは、決定をもつて、その者を引き続き少年院に収容することができる。
但し、その期間は、三日を超えることはできない。
前三項に定めるもののほか、第一項 及び第二項の規定による第二十四条第一項の保護処分の取消しの事件の手続は、その性質に反しない限り、同項の保護処分に係る事件の手続の例による。
家庭裁判所は、第二十四条 又は第二十五条の決定をした場合において、施設、団体、個人、保護観察所、児童福祉施設 又は少年院に対して、少年に関する報告 又は意見の提出を求めることができる。
家庭裁判所は、第二十五条第二項第三号の措置として、適当な施設、団体 又は個人に補導を委託したときは、その者に対して、これによつて生じた費用の全部 又は一部を支給することができる。
証人、鑑定人、翻訳人 及び通訳人に支給する旅費、日当、宿泊料 その他の費用の額については、刑事訴訟費用に関する法令の規定を準用する。
参考人は、旅費、日当、宿泊料を請求することができる。
参考人に支給する費用は、これを証人に支給する費用とみなして、第一項の規定を適用する。
第二十二条の三第四項の規定により付添人に支給すべき旅費、日当、宿泊料 及び報酬の額については、刑事訴訟法第三十八条第二項の規定により弁護人に支給すべき旅費、日当、宿泊料 及び報酬の例による。
家庭裁判所は、第十六条第一項の規定により保護司 又は児童委員をして、調査 及び観察の援助をさせた場合には、最高裁判所の定めるところにより、その費用の一部 又は全部を支払うことができる。
家庭裁判所は、少年 又はこれを扶養する義務のある者から証人、鑑定人、通訳人、翻訳人、参考人、第二十二条の三第三項(第二十二条の五第四項において準用する場合を含む。)の規定により選任された付添人 及び補導を委託された者に支給した旅費、日当、宿泊料 その他の費用 並びに少年鑑別所 及び少年院において生じた費用の全部 又は一部を徴収することができる。
前項の費用の徴収については、非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)第百二十一条第一項、第二項 及び第四項 並びに刑事訴訟法第五百八条第一項本文 及び第二項 並びに第五百十四条の規定を準用する。
この場合において、
非訟事件手続法第百二十一条第一項中
「検察官」とあるのは、
「家庭裁判所」と
読み替えるものとする。
家庭裁判所は、第三条第一項第一号 又は第二号に掲げる少年に係る事件を終局させる決定をした場合において、最高裁判所規則の定めるところにより当該事件の被害者等から申出があるときは、その申出をした者に対し、次に掲げる事項を通知するものとする。
ただし、その通知をすることが少年の健全な育成を妨げるおそれがあり相当でないと認められるものについては、この限りでない。
少年 及びその法定代理人の氏名 及び住居(法定代理人が法人である場合においては、その名称 又は商号 及び主たる事務所 又は本店の所在地)
決定の年月日、主文 及び理由の要旨
前項の申出は、同項に規定する決定が確定した後三年を経過したときは、することができない。
第五条の二第三項の規定は、第一項の規定により通知を受けた者について、準用する。
第四節 抗告
保護処分の決定に対しては、決定に影響を及ぼす法令の違反、重大な事実の誤認 又は処分の著しい不当を理由とするときに限り、少年、その法定代理人 又は付添人から、二週間以内に、抗告をすることができる。
ただし、付添人は、選任者である保護者の明示した意思に反して、抗告をすることができない。
抗告裁判所は、抗告の趣意に含まれている事項に限り、調査をするものとする。
抗告裁判所は、抗告の趣意に含まれていない事項であつても、抗告の理由となる事由に関しては、職権で調査をすることができる。
抗告裁判所は、決定をするについて必要があるときは、事実の取調べをすることができる。
前項の取調べは、合議体の構成員にさせ、又は家庭裁判所の裁判官に嘱託することができる。
検察官は、第二十二条の二第一項の決定がされた場合においては、保護処分に付さない決定 又は保護処分の決定に対し、同項の決定があつた事件の非行事実の認定に関し、決定に影響を及ぼす法令の違反 又は重大な事実の誤認があることを理由とするときに限り、高等裁判所に対し、二週間以内に、抗告審として事件を受理すべきことを申し立てることができる。
前項の規定による申立て(以下「抗告受理の申立て」という。)は、申立書を原裁判所に差し出してしなければならない。
この場合において、原裁判所は、速やかにこれを高等裁判所に送付しなければならない。
高等裁判所は、抗告受理の申立てがされた場合において、抗告審として事件を受理するのを相当と認めるときは、これを受理することができる。
この場合においては、その旨の決定をしなければならない。
高等裁判所は、前項の決定をする場合において、抗告受理の申立ての理由中に重要でないと認めるものがあるときは、これを排除することができる。
第三項の決定は、高等裁判所が原裁判所から第二項の申立書の送付を受けた日から二週間以内にしなければならない。
第三項の決定があつた場合には、抗告があつたものとみなす。
この場合において、第三十二条の二の規定の適用については、抗告受理の申立ての理由中 第四項の規定により排除されたもの以外のものを抗告の趣意とみなす。
前条第三項の決定があつた場合において、少年に弁護士である付添人がないときは、抗告裁判所は、弁護士である付添人を付さなければならない。
抗告裁判所は、第二十二条の三第二項に規定する事件(家庭裁判所において第十七条第一項第二号の措置がとられたものに限る。)について、少年に弁護士である付添人がなく、かつ、事案の内容、保護者の有無 その他の事情を考慮し、抗告審の審理に弁護士である付添人が関与する必要があると認めるときは、弁護士である付添人を付することができる。
第三十二条の二、第三十二条の三 及び前条に定めるもののほか、抗告審の審理については、その性質に反しない限り、家庭裁判所の審判に関する規定を準用する。
抗告の手続がその規定に違反したとき、又は抗告が理由のないときは、決定をもつて、抗告を棄却しなければならない。
抗告が理由のあるときは、決定をもつて、原決定を取り消して、事件を原裁判所に差し戻し、又は他の家庭裁判所に移送しなければならない。
抗告は、執行を停止する効力を有しない。
但し、原裁判所 又は抗告裁判所は、決定をもつて、執行を停止することができる。
抗告裁判所のした第三十三条の決定に対しては、憲法に違反し、若しくは憲法の解釈に誤りがあること、又は最高裁判所 若しくは控訴裁判所である高等裁判所の判例と相反する判断をしたことを理由とする場合に限り、少年、その法定代理人 又は付添人から、最高裁判所に対し、二週間以内に、特に抗告をすることができる。
ただし、付添人は、選任者である保護者の明示した意思に反して、抗告をすることができない。
第三十二条の二、第三十二条の三、第三十二条の五第二項 及び第三十二条の六から前条までの規定は、前項の場合に、これを準用する。
この場合において、
第三十三条第二項中
「取り消して、事件を原裁判所に差し戻し、又は他の家庭裁判所に移送しなければならない」とあるのは、
「取り消さなければならない。この場合には、家庭裁判所の決定を取り消して、事件を家庭裁判所に差し戻し、又は他の家庭裁判所に移送することができる」と
読み替えるものとする。
この法律で定めるものの外、保護事件に関して必要な事項は、最高裁判所がこれを定める。