家事事件手続法

# 平成二十三年法律第五十二号 #

第一章 総則

分類 法律
カテゴリ   民事
@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第百二号による改正
最終編集日 : 2024年 04月27日 10時48分


第一節 家事審判の手続

第一款 通則

1項

家庭裁判所は、この編に定めるところにより、別表第一 及び別表第二に掲げる事項 並びに同編に定める事項について、審判をする。

1項

家庭裁判所は、参与員の意見を聴いて、審判をする。


ただし、家庭裁判所が相当と認めるときは、その意見を聴かないで、審判をすることができる。

2項

家庭裁判所は、参与員を家事審判の手続の期日に立ち会わせることができる。

3項

参与員は、家庭裁判所の許可を得て、第一項の意見を述べるために、申立人が提出した資料の内容について、申立人から説明を聴くことができる。


ただし別表第二に掲げる事項についての審判事件においては、この限りでない。

4項

参与員の員数は、各事件について一人以上とする。

5項

参与員は、毎年あらかじめ家庭裁判所の選任した者の中から、事件ごとに家庭裁判所が指定する。

6項

前項の規定により選任される者の資格、員数 その他同項の規定による選任に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。

7項

参与員には、最高裁判所規則で定める額の旅費、日当 及び宿泊料を支給する。

1項

当事者となる資格を有する者は、当事者として家事審判の手続に参加することができる。

2項

家庭裁判所は、相当と認めるときは、当事者の申立てにより 又は職権で、他の当事者となる資格を有する者(審判を受ける者となるべき者に限る)を、当事者として家事審判の手続に参加させることができる。

3項

第一項の規定による参加の申出 及び前項の申立ては、参加の趣旨 及び理由を記載した書面でしなければならない。

4項

第一項の規定による参加の申出を却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。

1項

審判を受ける者となるべき者は、家事審判の手続に参加することができる。

2項

審判を受ける者となるべき者以外の者であって、審判の結果により直接の影響を受けるもの 又は当事者となる資格を有するものは、家庭裁判所の許可を得て、家事審判の手続に参加することができる。

3項

家庭裁判所は、相当と認めるときは、職権で、審判を受ける者となるべき者 及び前項に規定する者を、家事審判の手続に参加させることができる。

4項

前条第三項の規定は、第一項の規定による参加の申出 及び第二項の規定による参加の許可の申立てについて準用する。

5項

家庭裁判所は、第一項 又は第二項の規定により家事審判の手続に参加しようとする者が未成年者である場合において、その者の年齢 及び発達の程度 その他一切の事情を考慮してその者が当該家事審判の手続に参加することがその者の利益を害すると認めるときは、第一項の規定による参加の申出 又は第二項の規定による参加の許可の申立てを却下しなければならない。

6項

第一項の規定による参加の申出を却下する裁判(前項の規定により第一項の規定による参加の申出を却下する裁判を含む。)に対しては、即時抗告をすることができる。

7項

第一項から第三項までの規定により家事審判の手続に参加した者(以下「利害関係参加人」という。)は、当事者がすることができる手続行為(家事審判の申立ての取下げ 及び変更 並びに裁判に対する不服申立て 及び裁判所書記官の処分に対する異議の取下げを除く)をすることができる。


ただし、裁判に対する不服申立て及び裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、利害関係参加人が不服申立て 又は異議の申立てに関するこの法律の他の規定によりすることができる場合に限る

1項

家庭裁判所は、当事者となる資格を有しない者 及び当事者である資格を喪失した者を家事審判の手続から排除することができる。

2項

前項の規定による排除の裁判に対しては、即時抗告をすることができる。

1項

当事者が死亡、資格の喪失 その他の事由によって家事審判の手続を続行することができない場合には、法令により手続を続行する資格のある者は、その手続を受け継がなければならない。

2項

法令により手続を続行する資格のある者が前項の規定による受継の申立てをした場合において、その申立てを却下する裁判がされたときは、当該裁判に対し、即時抗告をすることができる。

3項

第一項の場合には、家庭裁判所は、他の当事者の申立てにより 又は職権で、法令により手続を続行する資格のある者に家事審判の手続を受け継がせることができる。

1項

家事審判の申立人が死亡、資格の喪失 その他の事由によってその手続を続行することができない場合において、法令により手続を続行する資格のある者がないときは、当該家事審判の申立てをすることができる者は、その手続を受け継ぐことができる。

2項

家庭裁判所は、前項の場合において、必要があると認めるときは、職権で、当該家事審判の申立てをすることができる者に、その手続を受け継がせることができる。

3項

第一項の規定による受継の申立て及び前項の規定による受継の裁判は、第一項の事由が生じた日から一月以内にしなければならない。

1項

裁判所書記官は、家事審判の手続の期日について、調書を作成しなければならない。


ただし、証拠調べの期日以外の期日については、裁判長においてその必要がないと認めるときは、その経過の要領を記録上 明らかにすることをもって、これに代えることができる。

1項

当事者 又は利害関係を疎明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、家事審判事件の記録の閲覧 若しくは謄写、その正本、謄本 若しくは抄本の交付 又は家事審判事件に関する事項の証明書の交付(第二百八十九条第六項において「記録の閲覧等」という。)を請求することができる。

2項

前項の規定は、家事審判事件の記録中の録音テープ 又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。)に関しては、適用しない


この場合において、当事者 又は利害関係を疎明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、これらの物の複製を請求することができる。

3項

家庭裁判所は、当事者から前二項の規定による許可の申立てがあったときは、これを許可しなければならない。

4項

家庭裁判所は、事件の関係人である未成年者の利益を害するおそれ、当事者 若しくは第三者の私生活 若しくは業務の平穏を害するおそれ 又は当事者 若しくは第三者の私生活についての重大な秘密が明らかにされることにより、その者が社会生活を営むのに著しい支障を生じ、若しくはその者の名誉を著しく害するおそれがあると認められるときは、前項の規定にかかわらず同項の申立てを許可しないことができる。


事件の性質、審理の状況、記録の内容等に照らして当該当事者に同項の申立てを許可することを不適当とする特別の事情があると認められるときも、同様とする。

5項

家庭裁判所は、利害関係を疎明した第三者から第一項 又は第二項の規定による許可の申立てがあった場合において、相当と認めるときは、これを許可することができる。

6項

審判書 その他の裁判書の正本、謄本 若しくは抄本 又は家事審判事件に関する事項の証明書については、当事者は、第一項の規定にかかわらず、家庭裁判所の許可を得ないで、裁判所書記官に対し、その交付を請求することができる。


審判を受ける者が当該審判があった後に請求する場合も、同様とする。

7項

家事審判事件の記録の閲覧、謄写 及び複製の請求は、家事審判事件の記録の保存 又は裁判所の執務に支障があるときは、することができない

8項

第三項の申立てを却下した裁判に対しては、即時抗告をすることができる。

9項

前項の規定による即時抗告が家事審判の手続を不当に遅滞させることを目的としてされたものであると認められるときは、原裁判所は、その即時抗告を却下しなければならない。

10項

前項の規定による裁判に対しては、即時抗告をすることができる。

1項

裁判所 その他の官庁、検察官 又は吏員は、その職務上検察官の申立てにより審判をすべき場合が生じたことを知ったときは、管轄権を有する家庭裁判所に対応する検察庁の検察官にその旨を通知しなければならない。

第二款 家事審判の申立て

1項

家事審判の申立ては、申立書(以下「家事審判の申立書」という。)を家庭裁判所に提出してしなければならない。

2項

家事審判の申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

一 号
当事者 及び法定代理人
二 号
申立ての趣旨 及び理由
3項

申立人は、二以上の事項について審判を求める場合において、これらの事項についての家事審判の手続が同種であり、これらの事項が同一の事実上 及び法律上の原因に基づくときは、一の申立てにより求めることができる。

4項

家事審判の申立書が第二項の規定に違反する場合には、裁判長は、相当の期間を定め、その期間内に不備を補正すべきことを命じなければならない。


民事訴訟費用等に関する法律昭和四十六年法律第四十号)の規定に従い家事審判の申立ての手数料を納付しない場合も、同様とする。

5項

前項の場合において、申立人が不備を補正しないときは、裁判長は、命令で、家事審判の申立書を却下しなければならない。

6項

前項の命令に対しては、即時抗告をすることができる。

1項

申立人は、申立ての基礎に変更がない限り、申立ての趣旨 又は理由を変更することができる。


ただし第七十一条第百八十八条第四項において準用する場合を含む。)の規定により審理を終結した後は、この限りでない。

2項

申立ての趣旨 又は理由の変更は、家事審判の手続の期日においてする場合を除き書面でしなければならない。

3項

家庭裁判所は、申立ての趣旨 又は理由の変更が不適法であるときは、その変更を許さない旨の裁判をしなければならない。

4項

申立ての趣旨 又は理由の変更により家事審判の手続が著しく遅滞することとなるときは、家庭裁判所は、その変更を許さない旨の裁判をすることができる。

第三款 家事審判の手続の期日

1項

家庭裁判所は、家事審判の手続の期日に事件の関係人を呼び出すことができる。

2項

呼出しを受けた事件の関係人は、家事審判の手続の期日に出頭しなければならない。


ただし、やむを得ない事由があるときは、代理人を出頭させることができる。

3項

前項の事件の関係人が正当な理由なく出頭しないときは、家庭裁判所は、五万円以下の過料に処する。

1項

家事審判の手続の期日においては、裁判長が手続を指揮する。

2項

裁判長は、発言を許し、又はその命令に従わない者の発言を禁止することができる。

3項

当事者が家事審判の手続の期日における裁判長の指揮に関する命令に対し異議を述べたときは、家庭裁判所は、その異議について裁判をする。

1項

家庭裁判所は、受命裁判官に家事審判の手続の期日における手続を行わせることができる。


ただし、事実の調査 及び証拠調べについては、第六十一条第三項の規定 又は第六十四条第一項において準用する民事訴訟法第二編第四章第一節から第六節までの規定により受命裁判官が事実の調査 又は証拠調べをすることができる場合に限る

2項

前項の場合においては、家庭裁判所 及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。

1項

家庭裁判所は、当事者が遠隔の地に居住しているとき その他相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、家庭裁判所 及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、家事審判の手続の期日における手続(証拠調べを除く)を行うことができる。

2項

家事審判の手続の期日に出頭しないで前項の手続に関与した者は、その期日に出頭したものとみなす。

1項

家事審判の手続の期日における通訳人の立会い等については民事訴訟法第百五十四条の規定を、家事審判事件の手続関係を明瞭にするために必要な陳述をすることができない当事者、利害関係参加人、代理人 及び補佐人に対する措置については同法第百五十五条の規定を準用する。

第四款 事実の調査及び証拠調べ

1項

家庭裁判所は、職権で事実の調査をし、かつ、申立てにより 又は職権で、必要と認める証拠調べをしなければならない。

2項

当事者は、適切かつ迅速な審理 及び審判の実現のため、事実の調査 及び証拠調べに協力するものとする。

1項

疎明は、即時に取り調べることができる資料によってしなければならない。

1項

家庭裁判所は、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることができる。

2項

急迫の事情があるときは、裁判長が、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることができる。

3項

家庭裁判所調査官は、事実の調査の結果を書面 又は口頭で家庭裁判所に報告するものとする。

4項

家庭裁判所調査官は、前項の規定による報告に意見を付することができる。

1項

家庭裁判所は、必要があると認めるときは、家事審判の手続の期日に家庭裁判所調査官を立ち会わせることができる。

2項

家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前項の規定により立ち会わせた家庭裁判所調査官に意見を述べさせることができる。

3項

家庭裁判所は、家事審判事件の処理に関し、事件の関係人の家庭環境 その他の環境の調整を行うために必要があると認めるときは、家庭裁判所調査官に社会福祉機関との連絡 その他の措置をとらせることができる。

4項

急迫の事情があるときは、裁判長が、前項の措置をとらせることができる。

1項

家庭裁判所は、必要があると認めるときは、医師である裁判所技官に事件の関係人の心身の状況について診断をさせることができる。

2項

第五十八条第二項から第四項までの規定は前項の診断について、前条第一項 及び第二項の規定は裁判所技官の期日への立会い及び意見の陳述について準用する。

1項

家庭裁判所は、他の家庭裁判所 又は簡易裁判所に事実の調査を嘱託することができる。

2項

前項の規定による嘱託により職務を行う受託裁判官は、他の家庭裁判所 又は簡易裁判所において事実の調査をすることを相当と認めるときは、更に事実の調査の嘱託をすることができる。

3項

家庭裁判所は、相当と認めるときは、受命裁判官に事実の調査をさせることができる。

4項

前三項の規定により受託裁判官 又は受命裁判官が事実の調査をする場合には、家庭裁判所 及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。

1項

家庭裁判所は、必要な調査を官庁、公署 その他適当と認める者に嘱託し、又は銀行、信託会社、関係人の使用者 その他の者に対し 関係人の預金、信託財産、収入 その他の事項に関して必要な報告を求めることができる。

1項

家庭裁判所は、事実の調査をした場合において、その結果が当事者による家事審判の手続の追行に重要な変更を生じ得るものと認めるときは、これを当事者 及び利害関係参加人に通知しなければならない。

1項

家事審判の手続における証拠調べについては、民事訴訟法第二編第四章第一節から第六節までの規定(同法第百七十九条第百八十二条第百八十七条から第百八十九条まで第二百七条第二項第二百八条第二百二十四条同法第二百二十九条第二項 及び第二百三十二条第一項において準用する場合を含む。)及び第二百二十九条第四項の規定を除く)を準用する。

2項

前項において準用する民事訴訟法の規定による即時抗告は、執行停止の効力を有する。

3項

当事者が次の各号いずれかに該当するときは、家庭裁判所は、二十万円以下の過料に処する。

一 号

第一項において準用する民事訴訟法第二百二十三条第一項同法第二百三十一条において準用するt場合を含む。)の規定による提出の命令に従わないとき、又は正当な理由なく第一項において準用する同法第二百三十二条第一項において準用する同法第二百二十三条第一項の規定による提示の命令に従わないとき。

二 号

書証を妨げる目的で第一項において準用する民事訴訟法第二百二十条同法第二百三十一条において準用する場合を含む。)の規定により提出の義務がある文書(同法第二百三十一条に規定する文書に準ずる物件を含む。)を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたとき、又は検証を妨げる目的で検証の目的を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたとき。

4項

当事者が次の各号いずれかに該当するときは、家庭裁判所は、十万円以下の過料に処する。

一 号

正当な理由なく第一項において準用する民事訴訟法第二百二十九条第二項同法第二百三十一条において準用する場合を含む。)において準用する同法第二百二十三条第一項の規定による提出の命令に従わないとき。

二 号

対照の用に供することを妨げる目的で対照の用に供すべき筆跡 又は印影を備える文書 その他の物件を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたとき。

三 号

第一項において準用する民事訴訟法第二百二十九条第三項同法第二百三十一条において準用する場合を含む。)の規定による決定に正当な理由なく従わないとき、又は当該決定に係る対照の用に供すべき文字を書体を変えて筆記したとき。

5項

家庭裁判所は、当事者本人を尋問する場合には、その当事者に対し、家事審判の手続の期日に出頭することを命ずることができる。

6項

民事訴訟法第百九十二条から第百九十四条までの規定は前項の規定により出頭を命じられた当事者が正当な理由なく出頭しない場合について、同法第二百九条第一項 及び第二項の規定は出頭した当事者が正当な理由なく宣誓 又は陳述を拒んだ場合について準用する。

第五款 家事審判の手続における子の意思の把握等

1項

家庭裁判所は、親子、親権 又は未成年後見に関する家事審判 その他未成年者である子(未成年被後見人を含む。以下この条において同じ。)がその結果により影響を受ける家事審判の手続においては、子の陳述の聴取、家庭裁判所調査官による調査 その他の適切な方法により、子の意思を把握するように努め、審判をするに当たり、子の年齢 及び発達の程度に応じて、その意思を考慮しなければならない。

第六款 家事調停をすることができる事項についての家事審判の手続の特則

1項

別表第二に掲げる事項についての審判事件は、この法律の他の規定により定める家庭裁判所のほか、当事者が合意で定める家庭裁判所の管轄に属する。

2項

民事訴訟法第十一条第二項 及び第三項の規定は、前項の合意について準用する。

1項

別表第二に掲げる事項についての家事審判の申立てがあった場合には、家庭裁判所は、申立てが不適法であるとき 又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き家事審判の申立書の写しを相手方に送付しなければならない。


ただし、家事審判の手続の円滑な進行を妨げるおそれがあると認められるときは、家事審判の申立てがあったことを通知することをもって、家事審判の申立書の写しの送付に代えることができる。

2項

第四十九条第四項から第六項までの規定は、前項の規定による家事審判の申立書の写しの送付 又はこれに代わる通知をすることができない場合について準用する。

3項

裁判長は、第一項の規定による家事審判の申立書の写しの送付 又はこれに代わる通知の費用の予納を相当の期間を定めて申立人に命じた場合において、その予納がないときは、命令で、家事審判の申立書を却下しなければならない。

4項

前項の命令に対しては、即時抗告をすることができる。

1項

家庭裁判所は、別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続においては、申立てが不適法であるとき 又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、当事者の陳述を聴かなければならない。

2項

前項の規定による陳述の聴取は、当事者の申出があるときは、審問の期日においてしなければならない。

1項

別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続においては、家庭裁判所が審問の期日を開いて当事者の陳述を聴くことにより事実の調査をするときは、他の当事者は、当該期日に立ち会うことができる。


ただし、当該 他の当事者が当該期日に立ち会うことにより事実の調査に支障を生ずるおそれがあると認められるときは、この限りでない。

1項

家庭裁判所は、別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続において、事実の調査をしたときは、特に必要がないと認める場合を除き、その旨を当事者 及び利害関係参加人に通知しなければならない。

1項

家庭裁判所は、別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続においては、申立てが不適法であるとき 又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、相当の猶予期間を置いて、審理を終結する日を定めなければならない。


ただし、当事者双方が立ち会うことができる家事審判の手続の期日においては、直ちに審理を終結する旨を宣言することができる。

1項

家庭裁判所は、前条の規定により審理を終結したときは、審判をする日を定めなければならない。

第七款 審判等

1項

家庭裁判所は、家事審判事件が裁判をするのに熟したときは、審判をする。

2項

家庭裁判所は、家事審判事件の一部が裁判をするのに熟したときは、その一部について審判をすることができる。


手続の併合を命じた数個の家事審判事件中 その一が裁判をするのに熟したときも、同様とする。

1項

審判は、特別の定めがある場合を除き、当事者 及び利害関係参加人 並びにこれらの者以外の審判を受ける者に対し、相当と認める方法で告知しなければならない。

2項

審判(申立てを却下する審判を除く)は、特別の定めがある場合を除き、審判を受ける者(審判を受ける者が数人あるときは、そのうちの一人)に告知することによってその効力を生ずる。


ただし、即時抗告をすることができる審判は、確定しなければその効力を生じない。

3項

申立てを却下する審判は、申立人に告知することによってその効力を生ずる。

4項

審判は、即時抗告の期間の満了前には確定しないものとする。

5項

審判の確定は、前項の期間内にした即時抗告の提起により、遮断される。

1項

金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行 その他の給付を命ずる審判は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。

1項

審判は、審判書を作成してしなければならない。


ただし、即時抗告をすることができない審判については、家事審判の申立書 又は調書に主文を記載することをもって、審判書の作成に代えることができる。

2項

審判書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

一 号
主文
二 号
理由の要旨
三 号
当事者 及び法定代理人
四 号
裁判所
1項

審判に計算違い、誤記 その他これらに類する明白な誤りがあるときは、家庭裁判所は、申立てにより 又は職権で、いつでも更正決定をすることができる。

2項

更正決定は、裁判書を作成してしなければならない。

3項

更正決定に対しては、更正後の審判が原審判であるとした場合に即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。

4項

第一項の申立てを不適法として却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。

5項

審判に対し適法な即時抗告があったときは、前二項の即時抗告は、することができない

1項

家庭裁判所は、審判をした後、その審判を不当と認めるときは、次に掲げる審判を除き、職権で、これを取り消し、又は変更することができる。

一 号

申立てによってのみ審判をすべき場合において申立てを却下した審判

二 号

即時抗告をすることができる審判

2項

審判が確定した日から五年を経過したときは、家庭裁判所は、前項の規定による取消し 又は変更をすることができない。


ただし、事情の変更によりその審判を不当と認めるに至ったときは、この限りでない。

3項

家庭裁判所は、第一項の規定により審判の取消し 又は変更をする場合には、その審判における当事者 及びその他の審判を受ける者の陳述を聴かなければならない。

4項

第一項の規定による取消し 又は変更の審判に対しては、取消し後 又は変更後の審判が原審判であるとした場合に即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。

1項

民事訴訟法第二百四十七条第二百五十六条第一項 及び第二百五十八条第二項後段を除く)の規定は、審判について準用する。


この場合において、

同法第二百五十六条第一項
言渡し後」とあるのは、
「審判が告知を受ける者に最初に告知された日から」と

読み替えるものとする。

1項

外国裁判所の家事事件についての確定した裁判(これに準ずる公的機関の判断を含む。)については、その性質に反しない限り、民事訴訟法第百十八条の規定を準用する。

1項

家庭裁判所は、審判の前提となる法律関係の争い その他中間の争いについて、裁判をするのに熟したときは、中間決定をすることができる。

2項

中間決定は、裁判書を作成してしなければならない。

1項

家庭裁判所は、家事審判の手続においては、審判をする場合を除き、決定で裁判をする。


この場合には、第七十三条から第七十九条まで第七十四条第二項ただし書、第七十六条第一項 及び第七十八条第三項除く)の規定を準用する。

2項

家事審判の手続の指揮に関する裁判は、いつでも取り消すことができる。

3項

審判以外の裁判は、判事補が単独ですることができる。

第八款 取下げによる事件の終了

1項

家事審判の申立ては、特別の定めがある場合を除き、審判があるまで、その全部 又は一部を取り下げることができる。

2項

別表第二に掲げる事項についての家事審判の申立ては、審判が確定するまで、その全部 又は一部を取り下げることができる。


ただし、申立ての取下げは、審判がされた後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。

3項

前項ただし書、第百五十三条第百九十九条第一項において準用する場合を含む。)及び第百九十九条第二項の規定により申立ての取下げについて相手方の同意を要する場合においては、家庭裁判所は、相手方に対し、申立ての取下げがあったことを通知しなければならない。


ただし、申立ての取下げが家事審判の手続の期日において口頭でされた場合において、相手方がその期日に出頭したときは、この限りでない。

4項

前項本文の規定による通知を受けた日から二週間以内に相手方が異議を述べないときは、申立ての取下げに同意したものとみなす。


同項ただし書の規定による場合において、申立ての取下げがあった日から二週間以内に相手方が異議を述べないときも、同様とする。

5項

民事訴訟法第二百六十一条第三項 及び第二百六十二条第一項の規定は、家事審判の申立ての取下げについて準用する。


この場合において、

同法第二百六十一条第三項ただし書中
口頭弁論、弁論準備手続 又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)」とあるのは、
「家事審判の手続の期日」と

読み替えるものとする。

1項

家事審判の申立人(第百五十三条第百九十九条において準用する場合を含む。)の規定により申立ての取下げについて相手方の同意を要する場合にあっては、当事者双方)が、連続して二回、呼出しを受けた家事審判の手続の期日に出頭せず、又は呼出しを受けた家事審判の手続の期日において陳述をしないで退席をしたときは、家庭裁判所は、申立ての取下げがあったものとみなすことができる。

第九款 高等裁判所が第一審として行う手続

1項

高等裁判所が第一審として家事審判の手続を行う場合におけるこの節の規定の適用については、

同節の規定(第五十八条第五十九条第一項から第三項まで第六十一条第一項 及び第二項 並びに第六十五条の規定を除く)中
家庭裁判所」とあるのは
「高等裁判所」と、

第三十九条第四十七条第六項第四十九条第三項第五十六条第二項第六十五条第七十二条第七十三条第七十四条第一項から第三項まで第二項ただし書を除く)、第七十五条第七十七条第一項第七十八条第一項第二号 及び第四項除く)、第七十九条第八十条第一項第八十一条第一項 並びに第八十二条第一項 及び第二項
審判」とあるのは
「審判に代わる裁判」と、

第四十二条第二項
審判の結果」とあるのは
「審判に代わる裁判の結果」と、

第五十八条第一項第五十九条第一項から第三項まで第六十一条第一項 及び第六十五条
家庭裁判所は」とあるのは
「高等裁判所は」と、

第五十八条第三項
家庭裁判所に」とあるのは
「高等裁判所に」と、

第七十六条
審判書」とあるのは
「裁判書」と、

同条第一項
審判は」とあるのは
「審判に代わる裁判は」と、

同項ただし書中
即時抗告をすることができない審判」とあるのは
「家庭裁判所の審判であるとした場合に即時抗告をすることができない審判に代わる裁判」と、

第七十八条第一項第二号
即時抗告をすることができる審判」とあるのは
「家庭裁判所の審判であるとした場合に即時抗告をすることができる審判に代わる裁判」と

する。

2項

第四十条 及び第四十八条の規定は、高等裁判所が第一審として家事審判の手続を行う場合については、適用しない

第二節 不服申立て

第一款 審判に対する不服申立て

第一目 即時抗告

1項

審判に対しては、特別の定めがある場合に限り、即時抗告をすることができる。

2項

手続費用の負担の裁判に対しては、独立して即時抗告をすることができない

1項

審判に対する即時抗告は、特別の定めがある場合を除き二週間不変期間内にしなければならない。


ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。

2項

即時抗告の期間は、特別の定めがある場合を除き、即時抗告をする者が、審判の告知を受ける者である場合にあってはその者が審判の告知を受けた日から、審判の告知を受ける者でない場合にあっては申立人が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から、それぞれ進行する。

1項

即時抗告は、抗告状を原裁判所に提出してしなければならない。

2項

抗告状には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

一 号
当事者 及び法定代理人
二 号

原審判の表示 及びその審判に対して即時抗告をする旨

3項

即時抗告が不適法でその不備を補正することができないことが明らかであるときは、原裁判所は、これを却下しなければならない。

4項

前項の規定による審判に対しては、即時抗告をすることができる。

5項

前項の即時抗告は、一週間不変期間内にしなければならない。


ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。

6項

第四十九条第四項 及び第五項の規定は、抗告状が第二項の規定に違反する場合 及び民事訴訟費用等に関する法律の規定に従い即時抗告の提起の手数料を納付しない場合について準用する。

1項

審判に対する即時抗告があった場合には、抗告裁判所は、即時抗告が不適法であるとき 又は即時抗告に理由がないことが明らかなときを除き、原審における当事者 及び利害関係参加人(抗告人を除く)に対し、抗告状の写しを送付しなければならない。


ただし、抗告審における手続の円滑な進行を妨げるおそれがあると認められる場合には、即時抗告があったことを通知することをもって、抗告状の写しの送付に代えることができる。

2項

裁判長は、前項の規定による抗告状の写しの送付 又はこれに代わる通知の費用の予納を相当の期間を定めて抗告人に命じた場合において、その予納がないときは、命令で、抗告状を却下しなければならない。

1項

抗告裁判所は、原審における当事者 及びその他の審判を受ける者(抗告人を除く)の陳述を聴かなければ、原審判を取り消すことができない

2項

別表第二に掲げる事項についての審判事件においては、抗告裁判所は、即時抗告が不適法であるとき 又は即時抗告に理由がないことが明らかなときを除き、原審における当事者(抗告人を除く)の陳述を聴かなければならない。

1項

原裁判所は、審判に対する即時抗告を理由があると認めるときは、その審判を更正しなければならない。


ただし別表第二に掲げる事項についての審判については、更正することができない

1項

抗告裁判所は、即時抗告について決定で裁判をする。

2項

抗告裁判所は、即時抗告を理由があると認める場合には、家事審判事件について自ら審判に代わる裁判をしなければならない。


ただし第九十三条第三項において準用する民事訴訟法第三百七条 又は第三百八条第一項の規定により事件を第一審裁判所に差し戻すときは、この限りでない。

1項

抗告裁判所は、家事審判事件(別表第二に掲げる事項についての審判事件を除く)の全部 又は一部が原裁判所の管轄に属しないと認める場合には、原審判を取り消さなければならない。


ただし、原審における審理の経過、事件の性質、抗告の理由等に照らして原審判を取り消さないことを相当とする特別の事情があると認めるときは、この限りでない。

2項

抗告裁判所は、家事審判事件が管轄違いであることを理由として原審判を取り消すときは、その事件を管轄権を有する家庭裁判所に移送しなければならない。

1項

審判に対する即時抗告 及びその抗告審に関する手続については、特別の定めがある場合を除き前節第一款から第八款までの規定(第四十条第四十一条第四項第四十二条第六項第四十三条第二項第四十四条第二項第四十七条第八項から第十項まで第四十八条第四十九条第六項第六十六条第六十七条第四項第七十四条第二項ただし書、第四項 及び第五項第七十六条第一項ただし書、第七十七条第三項から第五項まで第七十八条第四項第八十一条第三項 並びに第八十三条の規定を除く)、第四節の規定(第百五条第二項第百十条第百十一条 及び第百十三条の規定を除く)及び次章の規定(家庭裁判所の管轄 及び即時抗告に関する規定を除く)を準用する。


この場合において、

第七十八条第一項第二号
即時抗告をすることができる審判」とあるのは、
「家庭裁判所の審判であるとした場合に即時抗告をすることができる審判に代わる裁判」と

読み替えるものとする。

2項

抗告裁判所は、第八十八条第一項の規定による抗告状の写しの送付 及びこれに代わる即時抗告があったことの通知をすることを要しないときは、前項において準用する第七十一条の規定による審理の終結の手続を経ることなく、即時抗告を却下し、又は棄却することができる。

3項

民事訴訟法第二百八十三条第二百八十四条第二百九十二条第二百九十八条第一項第二百九十九条第一項第三百二条第三百三条 及び第三百五条から第三百八条までの規定は、審判に対する即時抗告 及びその抗告審に関する手続について準用する。


この場合において、

同法第二百九十二条第二項
第二百六十一条第三項、第二百六十二条第一項 及び第二百六十三条」とあるのは
家事事件手続法第八十二条第五項 及び第八十三条」と、

同法第三百三条第五項
第百八十九条」とあるのは
家事事件手続法第二百九十一条」と

読み替えるものとする。

第二目 特別抗告

1項

家庭裁判所の審判で不服を申し立てることができないもの 及び高等裁判所の家事審判事件についての決定に対しては、その裁判に憲法の解釈の誤りがあること その他憲法の違反があることを理由とするときに、最高裁判所に特に抗告をすることができる。

2項

前項の抗告(以下「特別抗告」という。)が係属する抗告裁判所は、抗告状 又は抗告理由書に記載された特別抗告の理由についてのみ調査をする。

1項

特別抗告は、執行停止の効力を有しない。


ただし前条第二項の抗告裁判所 又は原裁判所は、申立てにより、担保を立てさせて、又は立てさせないで、特別抗告について裁判があるまで、原裁判の執行の停止 その他必要な処分を命ずることができる。

2項

前項ただし書の規定により担保を立てる場合において、供託をするには、担保を立てるべきことを命じた裁判所の所在地を管轄する家庭裁判所の管轄区域内の供託所にしなければならない。

3項

民事訴訟法第七十六条第七十七条第七十九条 及び第八十条の規定は、前項の担保について準用する。

1項

第八十六条第二項第八十七条から第八十九条まで第九十一条第一項 及び第九十三条の規定は、特別抗告 及びその抗告審に関する手続について準用する。


この場合において、

第八十七条第六項
及び第五項」とあるのは、
「から第六項まで」と

読み替えるものとする。

2項

民事訴訟法第三百十四条第二項第三百十五条第三百十六条第一項第一号除く)、第三百二十一条第一項第三百二十二条第三百二十五条第一項前段、第二項第三項後段 及び第四項第三百二十六条 並びに第三百三十六条第二項の規定は、特別抗告 及びその抗告審に関する手続について準用する。


この場合において、

同法第三百十四条第二項
前条において準用する第二百八十八条 及び第二百八十九条第二項」とあるのは
家事事件手続法第九十六条第一項において読み替えて準用する同法第八十七条第六項」と、

同法第三百十六条第二項
対しては」とあるのは
「対しては、一週間の不変期間内に」と、

同法第三百二十二条
前二条」とあるのは
家事事件手続法第九十四条第二項の規定 及び同法第九十六条第二項において準用する第三百二十一条第一項」と、

同法第三百二十五条第一項前段 及び第二項
第三百十二条第一項 又は第二項」とあるのは
家事事件手続法第九十四条第一項」と、

同条第三項後段中
この場合」とあるのは
「差戻し 又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、

同条第四項
前項」とあるのは
「差戻し 又は移送を受けた裁判所」と

読み替えるものとする。

第三目 許可抗告

1項

高等裁判所の家事審判事件についての決定(次項の申立てについての決定を除く)に対しては、第九十四条第一項の規定による場合のほか、その高等裁判所が次項の規定により許可したときに限り、最高裁判所に特に抗告をすることができる。


ただし、その決定が家庭裁判所の審判であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る

2項

前項の高等裁判所は、同項の決定について、最高裁判所の判例(これがない場合にあっては、大審院 又は上告裁判所 若しくは抗告裁判所である高等裁判所の判例)と相反する判断がある場合 その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むと認められる場合には、申立てにより、抗告を許可しなければならない。

3項

前項の申立てにおいては、第九十四条第一項に規定する事由を理由とすることはできない

4項

第二項の規定による許可があった場合には、第一項の抗告(以下 この条 及び次条第一項において「許可抗告」という。)があったものとみなす。

5項

許可抗告が係属する抗告裁判所は、第二項の規定による許可の申立書 又は同項の申立てに係る理由書に記載された許可抗告の理由についてのみ調査をする。

6項

許可抗告が係属する抗告裁判所は、裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるときは、原決定を破棄することができる。

1項

第八十六条第二項第八十七条第四項 及び第五項除く)、第八十八条第八十九条第九十一条第一項第九十三条 及び第九十五条の規定は、許可抗告 及びその抗告審に関する手続について準用する。


この場合において、

第八十六条第二項第八十七条第一項第二項第二号 及び第三項第八十八条第一項 並びに第八十九条第二項
即時抗告」とあり、
第八十七条第六項
即時抗告の提起」とあり、
並びに第九十五条第一項本文中
特別抗告」とあるのは
第九十七条第二項の申立て」と、

第八十七条第一項第二項 及び第六項第八十八条 並びに第九十三条第二項
抗告状」とあるのは
第九十七条第二項の規定による許可の申立書」と、

第九十一条第一項並びに第九十三条第一項前段、第二項 及び第三項
即時抗告」とあり、
並びに第九十五条第一項ただし書中
特別抗告」とあるのは
「許可抗告」と

読み替えるものとする。

2項

民事訴訟法第三百十五条 及び第三百三十六条第二項の規定は前条第二項の申立てについて、同法第三百十八条第三項の規定は前条第二項の規定による許可をする場合について、同法第三百十八条第四項後段、第三百二十一条第一項第三百二十二条第三百二十五条第一項前段、第二項第三項後段 及び第四項 並びに第三百二十六条の規定は前条第二項の規定による許可があった場合について準用する。


この場合において、

同法第三百十八条第四項後段中
第三百二十条」とあるのは
家事事件手続法第九十七条第五項」と、

同法第三百二十二条
前二条」とあるのは
家事事件手続法第九十七条第五項の規定 及び同法第九十八条第二項において準用する第三百二十一条第一項」と、

同法第三百二十五条第一項前段 及び第二項
第三百十二条第一項 又は第二項」とあるのは
家事事件手続法第九十七条第二項」と、

同条第三項後段中
この場合」とあるのは
「差戻し 又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、

同条第四項
前項」とあるのは
「差戻し 又は移送を受けた裁判所」と

読み替えるものとする。

第二款 審判以外の裁判に対する不服申立て

1項

審判以外の裁判に対しては、特別の定めがある場合に限り、即時抗告をすることができる。

1項

受命裁判官 又は受託裁判官の裁判に対して不服がある当事者は、家事審判事件が係属している裁判所に異議の申立てをすることができる。


ただし、その裁判が家庭裁判所の裁判であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る

2項

前項の異議の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。

1項

審判以外の裁判に対する即時抗告は、一週間の不変期間内にしなければならない。


ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。

2項

前項の即時抗告は、特別の定めがある場合を除き、執行停止の効力を有しない。


ただし、抗告裁判所 又は原裁判所は、申立てにより、担保を立てさせて、又は立てさせないで、即時抗告について裁判があるまで、原裁判の執行の停止 その他必要な処分を命ずることができる。

3項

第九十五条第二項 及び第三項の規定は、前項ただし書の規定により担保を立てる場合における供託 及び担保について準用する。

1項

前款の規定(第八十五条第一項第八十六条第一項 並びに第八十八条 及び第八十九条これらの規定を第九十六条第一項 及び第九十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定を除く)は、裁判所、裁判官 又は裁判長がした審判以外の裁判に対する不服申立てについて準用する。

第三節 再審

1項

確定した審判 その他の裁判(事件を完結するものに限る第五項において同じ。)に対しては、再審の申立てをすることができる。

2項

再審の手続には、その性質に反しない限り、各審級における手続に関する規定を準用する。

3項

民事訴訟法第四編の規定(同法第三百四十一条 及び第三百四十九条の規定を除く)は、第一項の再審の申立て及びこれに関する手続について準用する。


この場合において、

同法第三百四十八条第一項
不服申立ての限度で、本案の審理 及び裁判をする」とあるのは、
「本案の審理 及び裁判をする」と

読み替えるものとする。

4項

前項において準用する民事訴訟法第三百四十六条第一項の再審開始の決定に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。

5項

第三項において準用する民事訴訟法第三百四十八条第二項の規定により審判 その他の裁判に対する再審の申立てを棄却する決定に対しては、当該審判 その他の裁判に対し即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。

1項

裁判所は、前条第一項の再審の申立てがあった場合において、不服の理由として主張した事情が法律上理由があるとみえ、事実上の点につき疎明があり、かつ、執行により償うことができない損害が生ずるおそれがあることにつき疎明があったときは、申立てにより、担保を立てさせて、若しくは立てさせないで強制執行の一時の停止を命じ、又は担保を立てさせて既にした執行処分の取消しを命ずることができる。

2項

前項の規定による申立てについての裁判に対しては、不服を申し立てることができない

3項

第九十五条第二項 及び第三項の規定は、第一項の規定により担保を立てる場合における供託 及び担保について準用する。

第四節 審判前の保全処分

1項

本案の家事審判事件(家事審判事件に係る事項について家事調停の申立てがあった場合にあっては、その家事調停事件)が係属する家庭裁判所は、この法律の定めるところにより、仮差押え、仮処分、財産の管理者の選任 その他の必要な保全処分を命ずる審判をすることができる。

2項

本案の家事審判事件が高等裁判所に係属する場合には、その高等裁判所が、前項の審判に代わる裁判をする。

1項

審判前の保全処分(前条第一項の審判 及び同条第二項の審判に代わる裁判をいう。以下同じ。)の申立ては、その趣旨 及び保全処分を求める事由を明らかにしてしなければならない。

2項

審判前の保全処分の申立人は、保全処分を求める事由を疎明しなければならない。

3項

家庭裁判所(前条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、審判前の保全処分の申立てがあった場合において、必要があると認めるときは、職権で、事実の調査 及び証拠調べをすることができる。

4項

審判前の保全処分の申立ては、審判前の保全処分があった後であっても、その全部 又は一部を取り下げることができる。

1項

審判前の保全処分のうち仮の地位を定める仮処分を命ずるものは、審判を受ける者となるべき者の陳述を聴かなければ、することができない


ただし、その陳述を聴く手続を経ることにより保全処分の目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。

1項

家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、第四十七条第三項規定にかかわらず、審判前の保全処分の事件について、当事者から同条第一項 又は第二項の規定による許可の申立てがあった場合には、審判前の保全処分の事件における審判を受ける者となるべき者に対し、当該事件が係属したことを通知し、又は審判前の保全処分を告知するまでは、相当と認めるときに限り、これを許可することができる。

1項

審判前の保全処分は、疎明に基づいてする。

2項

審判前の保全処分については、第七十四条第二項ただし書の規定は、適用しない

3項

審判前の保全処分の執行 及び効力は、民事保全法平成元年法律第九十一号)その他の仮差押え 及び仮処分の執行 及び効力に関する法令の規定に従う。


この場合において、

同法第四十五条
仮に差し押さえるべき物 又は係争物の所在地を管轄する地方裁判所」とあるのは、
「本案の家事審判事件(家事審判事件に係る事項について家事調停の申立てがあった場合にあっては、その家事調停事件)が係属している家庭裁判所(当該家事審判事件が高等裁判所に係属しているときは、原裁判所)」と

する。

1項

審判前の保全処分(第百五条第二項の審判に代わる裁判を除く次項において同じ。)の申立人は、申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。


ただし、次に掲げる保全処分の申立てを却下する審判については、この限りでない。

一 号

第百二十六条第一項第百三十四条第一項 及び第百四十三条第一項において準用する場合を含む。)、第百五十八条第一項第二百四十二条第三項において準用する場合を含む。)及び第二百条第一項の規定による財産の管理者の選任 又は財産の管理等に関する指示の保全処分

二 号

第百二十七条第一項第百三十五条第百四十四条第百八十一条 及び第二百二十五条第一項において準用する場合を含む。)、第百六十六条第一項同条第五項において準用する場合を含む。)、第百七十四条第一項第二百四十二条第三項において準用する場合を含む。)、第百七十五条第三項 及び第二百十五条第一項の規定による職務代行者の選任の保全処分

2項

本案の家事審判の申立てについての審判(申立てを却下する審判を除く)に対し即時抗告をすることができる者は、審判前の保全処分(前項各号に掲げる保全処分を命ずる審判を除く)に対し、即時抗告をすることができる。

1項

前条第二項の規定により即時抗告が提起された場合において、原審判の取消しの原因となることが明らかな事情 及び原審判の執行により償うことができない損害を生ずるおそれがあることについて疎明があったときは、抗告裁判所は、申立てにより、即時抗告についての裁判が効力を生ずるまでの間、担保を立てさせて、若しくは担保を立てることを条件として、若しくは担保を立てさせないで原審判の執行の停止を命じ、又は担保を立てさせて、若しくは担保を立てることを条件として既にした執行処分の取消しを命ずることができる。


審判前の保全処分の事件の記録が家庭裁判所に存する間は、家庭裁判所も、これらの処分を命ずることができる。

2項

第百六条第二項 及び第三項の規定は、前項の申立てについて準用する。

1項

審判前の保全処分が確定した後に、保全処分を求める事由の消滅 その他の事情の変更があるときは、本案の家事審判事件(家事審判事件に係る事項について家事調停の申立てがあった場合にあっては、その家事調停事件)が係属する家庭裁判所 又は審判前の保全処分をした家庭裁判所は、本案の家事審判の申立てについての審判(申立てを却下する審判を除く)に対し即時抗告をすることができる者の申立てによ り又は職権で、審判前の保全処分の取消しの審判をすることができる。

2項

本案の家事審判事件が高等裁判所に係属する場合には、その高等裁判所が、前項の審判前の保全処分の取消しの審判に代わる裁判をする。

3項

第百六条並びに第百九条第一項 及び第二項の規定は、第一項の審判前の保全処分の取消しの審判 及び前項の裁判について準用する。

1項

前条第一項の審判前の保全処分の取消しの審判の申立人は、申立てを却下する審判(第百十条第一項各号に掲げる保全処分の取消しの申立てを却下する審判を除く)に対し、即時抗告をすることができる。

2項

審判前の保全処分の申立人は、前条第一項の審判前の保全処分の取消しの審判(第百十条第一項各号に掲げる保全処分の取消しの審判を除く)及び第百十五条において準用する民事保全法第三十三条の規定による原状回復の審判に対し、即時抗告をすることができる。

3項

第百十一条の規定は、前二項の規定による即時抗告に伴う執行停止について準用する。

1項

裁判所書記官は、審判前の保全処分の手続の期日について、調書を作成しなければならない。


ただし、裁判長においてその必要がないと認めるときは、この限りでない。

2項

審判前の保全処分の手続については、第四十六条の規定は、適用しない

1項

民事保全法第四条の規定は審判前の保全処分に関する手続における担保について、同法第十四条第十五条 及び第二十条から第二十四条まで同法第二十三条第四項除く)の規定は審判前の保全処分について、同法第三十三条の規定は審判前の保全処分の取消しの裁判について、同法第三十四条の規定は第百十二条第一項の審判前の保全処分の取消しの審判について準用する。

第五節 戸籍の記載等の嘱託

1項

裁判所書記官は、次に掲げる場合には、最高裁判所規則で定めるところにより、遅滞なく、戸籍事務を管掌する者 又は登記所に対し、戸籍の記載 又は後見登記等に関する法律平成十一年法律第百五十二号)に定める登記を嘱託しなければならない。


ただし、戸籍の記載 又は同法に定める登記の嘱託を要するものとして最高裁判所規則で定めるものに限る

一 号

別表第一に掲げる事項についての審判 又はこれに代わる裁判が効力を生じた場合

二 号

審判前の保全処分が効力を生じ、又は効力を失った場合