非訟事件の手続については、次編から第五編まで 及び他の法令に定めるもののほか、この編の定めるところによる。
非訟事件手続法
第二編 非訟事件の手続の通則
第一章 総則
裁判所は、非訟事件の手続が公正かつ迅速に行われるように努め、当事者は、信義に従い誠実に非訟事件の手続を追行しなければならない。
第二章 非訟事件に共通する手続
第一節 管轄
非訟事件は、管轄が人の住所地により定まる場合において、日本国内に住所がないとき 又は住所が知れないときはその居所地を管轄する裁判所の管轄に属し、日本国内に居所がないとき 又は居所が知れないときはその最後の住所地を管轄する裁判所の管轄に属する。
非訟事件は、管轄が法人 その他の社団 又は財団(外国の社団 又は財団を除く。)の住所地により定まる場合において、日本国内に住所がないとき、又は住所が知れないときは、代表者 その他の主たる業務担当者の住所地を管轄する裁判所の管轄に属する。
非訟事件は、管轄が外国の社団 又は財団の住所地により定まる場合においては、日本における主たる事務所 又は営業所の所在地を管轄する裁判所の管轄に属し、日本国内に事務所 又は営業所がないときは日本における代表者 その他の主たる業務担当者の住所地を管轄する裁判所の管轄に属する。
この法律の他の規定 又は他の法令の規定により二以上の裁判所が管轄権を有するときは、非訟事件は、先に申立てを受け、又は職権で手続を開始した裁判所が管轄する。
ただし、その裁判所は、非訟事件の手続が遅滞することを避けるため必要があると認めるときその他相当と認めるときは、申立てにより又は職権で、非訟事件の全部 又は一部を他の管轄裁判所に移送することができる。
管轄裁判所が法律上 又は事実上裁判権を行うことができないときは、その裁判所の直近上級の裁判所は、申立てにより又は職権で、管轄裁判所を定める。
裁判所の管轄区域が明確でないため管轄裁判所が定まらないときは、関係のある裁判所に共通する直近上級の裁判所は、申立てにより又は職権で、管轄裁判所を定める。
前二項の規定により管轄裁判所を定める裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
第一項 又は第二項の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
この法律の他の規定 又は他の法令の規定により非訟事件の管轄が定まらないときは、その非訟事件は、裁判を求める事項に係る財産の所在地 又は最高裁判所規則で定める地を管轄する裁判所の管轄に属する。
裁判所の管轄は、非訟事件の申立てがあった時 又は裁判所が職権で非訟事件の手続を開始した時を標準として定める。
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第十六条(第二項ただし書を除く。)、第十八条、第二十一条 及び第二十二条の規定は、非訟事件の移送等について準用する。
非訟事件の移送の裁判に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。
第二節 裁判所職員の除斥及び忌避
裁判官は、次に掲げる場合には、その職務の執行から除斥される。
ただし、第六号に掲げる場合にあっては、他の裁判所の嘱託により受託裁判官としてその職務を行うことを妨げない。
裁判官 又はその配偶者 若しくは配偶者であった者が、事件の当事者 若しくはその他の裁判を受ける者となるべき者(終局決定(申立てを却下する終局決定を除く。)がされた場合において、その裁判を受ける者となる者をいう。以下同じ。)であるとき、又は事件についてこれらの者と共同権利者、共同義務者 若しくは償還義務者の関係にあるとき。
裁判官が当事者 又はその他の裁判を受ける者となるべき者の四親等内の血族、三親等内の姻族 若しくは同居の親族であるとき、又はあったとき。
裁判官が当事者 又はその他の裁判を受ける者となるべき者の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人 又は補助監督人であるとき。
裁判官が事件について証人 若しくは鑑定人となったとき、又は審問を受けることとなったとき。
裁判官が事件について当事者 若しくはその他の裁判を受ける者となるべき者の代理人 若しくは補佐人であるとき、又はあったとき。
裁判官が事件について仲裁判断に関与し、又は不服を申し立てられた前審の裁判に関与したとき。
前項に規定する除斥の原因があるときは、裁判所は、申立てにより 又は職権で、除斥の裁判をする。
裁判官について裁判の公正を妨げる事情があるときは、当事者は、その裁判官を忌避することができる。
当事者は、裁判官の面前において事件について陳述をしたときは、その裁判官を忌避することができない。
ただし、忌避の原因があることを知らなかったとき、又は忌避の原因がその後に生じたときは、この限りでない。
合議体の構成員である裁判官 及び地方裁判所の一人の裁判官の除斥 又は忌避についてはその裁判官の所属する裁判所が、簡易裁判所の裁判官の除斥 又は忌避についてはその裁判所の所在地を管轄する地方裁判所が、裁判をする。
地方裁判所における前項の裁判は、合議体でする。
裁判官は、その除斥 又は忌避についての裁判に関与することができない。
除斥 又は忌避の申立てがあったときは、その申立てについての裁判が確定するまで非訟事件の手続を停止しなければならない。
ただし、急速を要する行為については、この限りでない。
次に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判をするときは、第三項の規定は、適用しない。
非訟事件の手続を遅滞させる目的のみでされたことが明らかなとき。
前条第二項の規定に違反するとき。
最高裁判所規則で定める手続に違反するとき。
前項の裁判は、第一項 及び第二項の規定にかかわらず、忌避された受命裁判官等(受命裁判官、受託裁判官 又は非訟事件を取り扱う地方裁判所の一人の裁判官 若しくは簡易裁判所の裁判官をいう。次条第三項ただし書において同じ。)がすることができる。
第五項の裁判をした場合には、第四項本文の規定にかかわらず、非訟事件の手続は停止しない。
除斥 又は忌避を理由があるとする裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
除斥 又は忌避の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
裁判所書記官の除斥 及び忌避については、第十一条、第十二条 並びに前条第三項、第五項、第八項 及び第九項の規定を準用する。
裁判所書記官について除斥 又は忌避の申立てがあったときは、その裁判所書記官は、その申立てについての裁判が確定するまでその申立てがあった非訟事件に関与することができない。
ただし、前項において準用する前条第五項各号に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判があったときは、この限りでない。
裁判所書記官の除斥 又は忌避についての裁判は、裁判所書記官の所属する裁判所がする。
ただし、前項ただし書の裁判は、受命裁判官等(受命裁判官 又は受託裁判官にあっては、当該裁判官の手続に立ち会う裁判所書記官が忌避の申立てを受けたときに限る。)がすることができる。
非訟事件の手続における専門委員の除斥 及び忌避については、第十一条、第十二条、第十三条第八項 及び第九項並びに前条第二項 及び第三項の規定を準用する。
この場合において、
同条第二項ただし書中
「前項において準用する前条第五項各号」とあるのは、
「第十三条第五項各号」と
読み替えるものとする。
第三節 当事者能力及び手続行為能力
当事者能力、非訟事件の手続における手続上の行為(以下「手続行為」という。)をすることができる能力(以下 この項 及び第七十四条第一項において「手続行為能力」という。)、手続行為能力を欠く者の法定代理 及び手続行為をするのに必要な授権については、民事訴訟法第二十八条、第二十九条、第三十一条、第三十三条 並びに第三十四条第一項 及び第二項の規定を準用する。
被保佐人、被補助人(手続行為をすることにつきその補助人の同意を得ることを要するものに限る。次項において同じ。)又は後見人 その他の法定代理人が他の者がした非訟事件の申立て 又は抗告について手続行為をするには、保佐人 若しくは保佐監督人、補助人 若しくは補助監督人 又は後見監督人の同意 その他の授権を要しない。
職権により手続が開始された場合についても、同様とする。
被保佐人、被補助人 又は後見人 その他の法定代理人が次に掲げる手続行為をするには、特別の授権がなければならない。
非訟事件の申立ての取下げ 又は和解
終局決定に対する抗告 若しくは異議 又は第七十七条第二項の申立ての取下げ
裁判長は、未成年者 又は成年被後見人について、法定代理人がない場合 又は法定代理人が代理権を行うことができない場合において、非訟事件の手続が遅滞することにより損害が生ずるおそれがあるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、特別代理人を選任することができる。
特別代理人の選任の裁判は、疎明に基づいてする。
裁判所は、いつでも特別代理人を改任することができる。
特別代理人が手続行為をするには、後見人と同一の授権がなければならない。
第一項の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
法定代理権の消滅は、本人 又は代理人から裁判所に通知しなければ、その効力を生じない。
法人の代表者 及び法人でない社団 又は財団で当事者能力を有するものの代表者 又は管理人については、この法律中 法定代理 及び法定代理人に関する規定を準用する。
第四節 参加
当事者となる資格を有する者は、当事者として非訟事件の手続に参加することができる。
前項の規定による参加(次項において「当事者参加」という。)の申出は、参加の趣旨 及び理由を記載した書面でしなければならない。
当事者参加の申出を却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
裁判を受ける者となるべき者は、非訟事件の手続に参加することができる。
裁判を受ける者となるべき者以外の者であって、裁判の結果により直接の影響を受けるもの 又は当事者となる資格を有するものは、裁判所の許可を得て、非訟事件の手続に参加することができる。
前条第二項の規定は、第一項の規定による参加の申出 及び前項の規定による参加の許可の申立てについて準用する。
第一項の規定による参加の申出を却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
第一項 又は第二項の規定により非訟事件の手続に参加した者(以下「利害関係参加人」という。)は、当事者がすることができる手続行為(非訟事件の申立ての取下げ 及び変更 並びに裁判に対する不服申立て 及び裁判所書記官の処分に対する異議の取下げを除く。)をすることができる。
ただし、裁判に対する不服申立て 及び裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、利害関係参加人が不服申立て 又は異議の申立てに関するこの法律の他の規定 又は他の法令の規定によりすることができる場合に限る。
第五節 手続代理人及び補佐人
法令により裁判上の行為をすることができる代理人のほか、弁護士でなければ手続代理人となることができない。
ただし、第一審裁判所においては、その許可を得て、弁護士でない者を手続代理人とすることができる。
前項ただし書の許可は、いつでも取り消すことができる。
手続代理人は、委任を受けた事件について、参加、強制執行 及び保全処分に関する行為をし、かつ、弁済を受領することができる。
手続代理人は、次に掲げる事項については、特別の委任を受けなければならない。
非訟事件の申立ての取下げ 又は和解
終局決定に対する抗告 若しくは異議 又は第七十七条第二項の申立て
前号の抗告、異議 又は申立ての取下げ
手続代理人の代理権は、制限することができない。
ただし、弁護士でない手続代理人については、この限りでない。
前三項の規定は、法令により裁判上の行為をすることができる代理人の権限を妨げない。
第十八条 並びに民事訴訟法第三十四条(第三項を除く。)及び第五十六条から第五十八条まで(同条第三項を除く。)の規定は、手続代理人 及びその代理権について準用する。
非訟事件の手続における補佐人については、民事訴訟法第六十条の規定を準用する。
第六節 手続費用
⤏ 第一款 手続費用の負担
非訟事件の手続の費用(以下「手続費用」という。)は、特別の定めがある場合を除き、各自の負担とする。
裁判所は、事情により、この法律の他の規定(次項を除く。)又は他の法令の規定によれば当事者、利害関係参加人 その他の関係人がそれぞれ負担すべき手続費用の全部 又は一部を、その負担すべき者以外の者であって次に掲げるものに負担させることができる。
前号に掲げる者以外の裁判を受ける者となるべき者
前号に掲げる者に準ずる者であって、その裁判により直接に利益を受けるもの
前二項 又は他の法令の規定によれば法務大臣 又は検察官が負担すべき手続費用は、国庫の負担とする。
事実の調査、証拠調べ、呼出し、告知 その他の非訟事件の手続に必要な行為に要する費用は、国庫において立て替えることができる。
民事訴訟法第六十七条から第七十四条までの規定(裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについての決定に対する即時抗告に関する部分を除く。)は、手続費用の負担について準用する。
この場合において、
同法第七十三条第一項中
「補助参加の申出の取下げ 又は補助参加についての異議の取下げ」とあるのは
「非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)第二十条第一項 若しくは第二十一条第一項の規定による参加の申出の取下げ 又は同条第二項の規定による参加の許可の申立ての取下げ」と、
同条第二項中
「第六十一条から第六十六条まで及び」とあるのは
「非訟事件手続法第二十八条第一項において準用する」と
読み替えるものとする。
前項において準用する民事訴訟法第六十九条第三項の規定による即時抗告 並びに同法第七十一条第四項(前項において準用する同法第七十二条後段において準用する場合を含む。)、第七十三条第二項 及び第七十四条第二項の異議の申立てについての裁判に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。
⤏ 第二款 手続上の救助
非訟事件の手続の準備 及び追行に必要な費用を支払う資力がない者 又はその支払により生活に著しい支障を生ずる者に対しては、裁判所は、申立てにより、手続上の救助の裁判をすることができる。
ただし、救助を求める者が不当な目的で非訟事件の申立てその他の手続行為をしていることが明らかなときは、この限りでない。
民事訴訟法第八十二条第二項 及び第八十三条から第八十六条まで(同法第八十三条第一項第三号を除く。)の規定は、手続上の救助について準用する。
この場合において、
同法第八十四条中
「第八十二条第一項本文」とあるのは、
「非訟事件手続法第二十九条第一項本文」と
読み替えるものとする。
第七節 非訟事件の審理等
非訟事件の手続は、公開しない。
ただし、裁判所は、相当と認める者の傍聴を許すことができる。
裁判所書記官は、非訟事件の手続の期日について、調書を作成しなければならない。
ただし、証拠調べの期日以外の期日については、裁判長においてその必要がないと認めるときは、その経過の要領を記録上明らかにすることをもって、これに代えることができる。
当事者 又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、非訟事件の記録の閲覧 若しくは謄写、その正本、謄本 若しくは抄本の交付 又は非訟事件に関する事項の証明書の交付(第百十二条において「記録の閲覧等」という。)を請求することができる。
前項の規定は、非訟事件の記録中の録音テープ 又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。)に関しては、適用しない。
この場合において、当事者 又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、これらの物の複製を請求することができる。
裁判所は、当事者から前二項の規定による許可の申立てがあった場合においては、当事者 又は第三者に著しい損害を及ぼすおそれがあると認めるときを除き、これを許可しなければならない。
裁判所は、利害関係を疎明した第三者から第一項 又は第二項の規定による許可の申立てがあった場合において、相当と認めるときは、これを許可することができる。
裁判書の正本、謄本 若しくは抄本 又は非訟事件に関する事項の証明書については、当事者は、第一項の規定にかかわらず、裁判所の許可を得ないで、裁判所書記官に対し、その交付を請求することができる。
裁判を受ける者が当該裁判があった後に請求する場合も、同様とする。
非訟事件の記録の閲覧、謄写 及び複製の請求は、非訟事件の記録の保存 又は裁判所の執務に支障があるときは、することができない。
第三項の申立てを却下した裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
前項の規定による即時抗告が非訟事件の手続を不当に遅滞させることを目的としてされたものであると認められるときは、原裁判所は、その即時抗告を却下しなければならない。
前項の規定による裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
裁判所は、的確かつ円滑な審理の実現のため、又は和解を試みるに当たり、必要があると認めるときは、当事者の意見を聴いて、専門的な知見に基づく意見を聴くために専門委員を非訟事件の手続に関与させることができる。
この場合において、専門委員の意見は、裁判長が書面により 又は当事者が立ち会うことができる非訟事件の手続の期日において口頭で述べさせなければならない。
裁判所は、当事者の意見を聴いて、前項の規定による専門委員を関与させる裁判を取り消すことができる。
裁判所は、必要があると認めるときは、専門委員を非訟事件の手続の期日に立ち会わせることができる。
この場合において、裁判長は、専門委員が当事者、証人、鑑定人 その他非訟事件の手続の期日に出頭した者に対し直接に問いを発することを許すことができる。
裁判所は、専門委員が遠隔の地に居住しているとき その他相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、裁判所 及び当事者双方が専門委員との間で音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、専門委員に第一項の意見を述べさせることができる。
この場合において、裁判長は、専門委員が当事者、証人、鑑定人 その他非訟事件の手続の期日に出頭した者に対し直接に問いを発することを許すことができる。
民事訴訟法第九十二条の五の規定は、第一項の規定により非訟事件の手続に関与させる専門委員の指定 及び任免等について準用する。
この場合において、
同条第二項中
「第九十二条の二」とあるのは、
「非訟事件手続法第三十三条第一項」と
読み替えるものとする。
受命裁判官 又は受託裁判官が第一項の手続を行う場合には、同項から第四項までの規定 及び前項において準用する民事訴訟法第九十二条の五第二項の規定による裁判所 及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。
ただし、証拠調べの期日における手続を行う場合には、専門委員を手続に関与させる裁判、その裁判の取消し 及び専門委員の指定は、非訟事件が係属している裁判所がする。
非訟事件の手続の期日は、職権で、裁判長が指定する。
非訟事件の手続の期日は、やむを得ない場合に限り、日曜日 その他の一般の休日に指定することができる。
非訟事件の手続の期日の変更は、顕著な事由がある場合に限り、することができる。
民事訴訟法第九十四条から第九十七条までの規定は、非訟事件の手続の期日 及び期間について準用する。
裁判所は、非訟事件の手続を併合し、又は分離することができる。
裁判所は、前項の規定による裁判を取り消すことができる。
裁判所は、当事者を異にする非訟事件について手続の併合を命じた場合において、その前に尋問をした証人について、尋問の機会がなかった当事者が尋問の申出をしたときは、その尋問をしなければならない。
当事者が死亡、資格の喪失 その他の事由によって非訟事件の手続を続行することができない場合には、法令により手続を続行する資格のある者は、その手続を受け継がなければならない。
法令により手続を続行する資格のある者が前項の規定による受継の申立てをした場合において、その申立てを却下する裁判がされたときは、当該裁判に対し、即時抗告をすることができる。
第一項の場合には、裁判所は、他の当事者の申立てにより 又は職権で、法令により手続を続行する資格のある者に非訟事件の手続を受け継がせることができる。
非訟事件の申立人が死亡、資格の喪失 その他の事由によってその手続を続行することができない場合において、法令により手続を続行する資格のある者がないときは、当該非訟事件の申立てをすることができる者は、その手続を受け継ぐことができる。
前項の規定による受継の申立ては、同項の事由が生じた日から一月以内にしなければならない。
送達 及び非訟事件の手続の中止については、民事訴訟法第一編第五章第四節 及び第百三十条から第百三十二条まで(同条第一項を除く。)の規定を準用する。
この場合において、
同法第百十三条中
「その訴訟の目的である請求 又は防御の方法」とあるのは、
「裁判を求める事項」と
読み替えるものとする。
裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては、その裁判所書記官の所属する裁判所が裁判をする。
前項の裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
検察官は、非訟事件について意見を述べ、その手続の期日に立ち会うことができる。
裁判所は、検察官に対し、非訟事件が係属したこと 及びその手続の期日を通知するものとする。
第八節 検察官に対する通知
裁判所 その他の官庁、検察官 又は吏員は、その職務上検察官の申立てにより非訟事件の裁判をすべき場合が生じたことを知ったときは、管轄裁判所に対応する検察庁の検察官にその旨を通知しなければならない。
第九節 電子情報処理組織による申立て等
非訟事件の手続における申立てその他の申述(次項 及び次条において「申立て等」という。)については、民事訴訟法第百三十二条の十第一項から第五項までの規定(支払督促に関する部分を除く。)を準用する。
前項において準用する民事訴訟法第百三十二条の十第一項本文の規定によりされた申立て等に係るこの法律 その他の法令の規定による非訟事件の記録の閲覧 若しくは謄写 又はその正本、謄本 若しくは抄本の交付は、同条第五項の書面をもってするものとする。
当該申立て等に係る書類の送達 又は送付も、同様とする。
第十節 当事者に対する住所、氏名等の秘匿
非訟事件の手続における申立て等については、民事訴訟法第百三十三条、第百三十三条の二第一項 並びに第百三十三条の四第一項から第三項まで、第四項(第一号に係る部分に限る。)及び第五項から第七項までの規定を準用する。
この場合において、
同法第百三十三条第一項中
「当事者」とあるのは
「当事者 若しくは利害関係参加人(非訟事件手続法第二十一条第五項に規定する利害関係参加人をいう。第百三十三条の四第一項、第二項 及び第七項において同じ。)又はこれらの者以外の裁判を受ける者となるべき者(同法第十一条第一項第一号に規定する裁判を受ける者となるべき者をいう。)」と、
同法第百三十三条の四第一項中
「者は、訴訟記録等」とあるのは
「当事者 又は利害関係参加人は、非訟事件の記録」と、
同条第二項中
「当事者」とあるのは
「当事者 又は利害関係参加人」と、
「訴訟記録等」とあるのは
「非訟事件の記録」と、
同条第七項中
「当事者」とあるのは
「当事者 若しくは利害関係参加人」と
読み替えるものとする。
第三章 第一審裁判所における非訟事件の手続
第一節 非訟事件の申立て
非訟事件の申立ては、申立書(以下 この条 及び第五十七条第一項において「非訟事件の申立書」という。)を裁判所に提出してしなければならない。
非訟事件の申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
申立人は、二以上の事項について裁判を求める場合において、これらの事項についての非訟事件の手続が同種であり、これらの事項が同一の事実上 及び法律上の原因に基づくときは、一の申立てにより求めることができる。
非訟事件の申立書が第二項の規定に違反する場合には、裁判長は、相当の期間を定め、その期間内に不備を補正すべきことを命じなければならない。
民事訴訟費用等に関する法律(昭和四十六年法律第四十号)の規定に従い非訟事件の申立ての手数料を納付しない場合も、同様とする。
前項の場合において、申立人が不備を補正しないときは、裁判長は、命令で、非訟事件の申立書を却下しなければならない。
前項の命令に対しては、即時抗告をすることができる。
申立人は、申立ての基礎に変更がない限り、申立ての趣旨 又は原因を変更することができる。
申立ての趣旨 又は原因の変更は、非訟事件の手続の期日においてする場合を除き、書面でしなければならない。
裁判所は、申立ての趣旨 又は原因の変更が不適法であるときは、その変更を許さない旨の裁判をしなければならない。
申立ての趣旨 又は原因の変更により非訟事件の手続が著しく遅滞することとなるときは、裁判所は、その変更を許さない旨の裁判をすることができる。
第二節 非訟事件の手続の期日
非訟事件の手続の期日においては、裁判長が手続を指揮する。
裁判長は、発言を許し、又はその命令に従わない者の発言を禁止することができる。
当事者が非訟事件の手続の期日における裁判長の指揮に関する命令に対し異議を述べたときは、裁判所は、その異議について裁判をする。
裁判所は、受命裁判官に非訟事件の手続の期日における手続を行わせることができる。
ただし、事実の調査 及び証拠調べについては、第五十一条第三項の規定 又は第五十三条第一項において準用する民事訴訟法第二編第四章第一節から第六節までの規定により受命裁判官が事実の調査 又は証拠調べをすることができる場合に限る。
前項の場合においては、裁判所 及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。
裁判所は、当事者が遠隔の地に居住しているときその他相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、裁判所 及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、非訟事件の手続の期日における手続(証拠調べを除く。)を行うことができる。
非訟事件の手続の期日に出頭しないで前項の手続に関与した者は、その期日に出頭したものとみなす。
非訟事件の手続の期日における通訳人の立会い等については民事訴訟法第百五十四条の規定を、非訟事件の手続関係を明瞭にするために必要な陳述をすることができない当事者、利害関係参加人、代理人 及び補佐人に対する措置については同法第百五十五条の規定を準用する。
第三節 事実の調査及び証拠調べ
裁判所は、職権で事実の調査をし、かつ、申立てにより 又は職権で、必要と認める証拠調べをしなければならない。
当事者は、適切かつ迅速な審理 及び裁判の実現のため、事実の調査 及び証拠調べに協力するものとする。
疎明は、即時に取り調べることができる資料によってしなければならない。
裁判所は、他の地方裁判所 又は簡易裁判所に事実の調査を嘱託することができる。
前項の規定による嘱託により職務を行う受託裁判官は、他の地方裁判所 又は簡易裁判所において事実の調査をすることを相当と認めるときは、更に事実の調査の嘱託をすることができる。
裁判所は、相当と認めるときは、受命裁判官に事実の調査をさせることができる。
前三項の規定により受託裁判官 又は受命裁判官が事実の調査をする場合には、裁判所 及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。
裁判所は、事実の調査をした場合において、その結果が当事者による非訟事件の手続の追行に重要な変更を生じ得るものと認めるときは、これを当事者 及び利害関係参加人に通知しなければならない。
非訟事件の手続における証拠調べについては、民事訴訟法第二編第四章第一節から第六節までの規定(同法第百七十九条、第百八十二条、第百八十七条から第百八十九条まで、第二百七条第二項、第二百八条、第二百二十四条(同法第二百二十九条第二項 及び第二百三十二条第一項において準用する場合を含む。)及び第二百二十九条第四項の規定を除く。)を準用する。
前項において準用する民事訴訟法の規定による即時抗告は、執行停止の効力を有する。
当事者が次の各号のいずれかに該当するときは、裁判所は、二十万円以下の過料に処する。
第一項において準用する民事訴訟法第二百二十三条第一項(同法第二百三十一条において準用する場合を含む。)の規定による提出の命令に従わないとき、又は正当な理由なく第一項において準用する同法第二百三十二条第一項において準用する同法第二百二十三条第一項の規定による提示の命令に従わないとき。
書証を妨げる目的で第一項において準用する民事訴訟法第二百二十条(同法第二百三十一条において準用する場合を含む。)の規定により提出の義務がある文書(同法第二百三十一条に規定する文書に準ずる物件を含む。)を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたとき、又は検証を妨げる目的で検証の目的を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたとき。
当事者が次の各号のいずれかに該当するときは、裁判所は、十万円以下の過料に処する。
正当な理由なく第一項において準用する民事訴訟法第二百二十九条第二項(同法第二百三十一条において準用する場合を含む。)において準用する同法第二百二十三条第一項の規定による提出の命令に従わないとき。
対照の用に供することを妨げる目的で対照の用に供すべき筆跡 又は印影を備える文書 その他の物件を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたとき。
第一項において準用する民事訴訟法第二百二十九条第三項(同法第二百三十一条において準用する場合を含む。)の規定による決定に正当な理由なく従わないとき、又は当該決定に係る対照の用に供すべき文字を書体を変えて筆記したとき。
裁判所は、当事者本人を尋問する場合には、その当事者に対し、非訟事件の手続の期日に出頭することを命ずることができる。
民事訴訟法第百九十二条から第百九十四条までの規定は前項の規定により出頭を命じられた当事者が正当な理由なく出頭しない場合について、同法第二百九条第一項 及び第二項の規定は出頭した当事者が正当な理由なく宣誓 又は陳述を拒んだ場合について準用する。
この条に規定するもののほか、証拠調べにおける過料についての裁判に関しては、第五編の規定(第百十九条の規定 並びに第百二十条 及び第百二十二条の規定中検察官に関する部分を除く。)を準用する。
第四節 裁判
裁判所は、非訟事件の手続においては、決定で、裁判をする。
裁判所は、非訟事件が裁判をするのに熟したときは、終局決定をする。
裁判所は、非訟事件の一部が裁判をするのに熟したときは、その一部について終局決定をすることができる。
手続の併合を命じた数個の非訟事件中 その一が裁判をするのに熟したときも、同様とする。
終局決定は、当事者 及び利害関係参加人 並びにこれらの者以外の裁判を受ける者に対し、相当と認める方法で告知しなければならない。
終局決定(申立てを却下する決定を除く。)は、裁判を受ける者(裁判を受ける者が数人あるときは、そのうちの一人)に告知することによってその効力を生ずる。
申立てを却下する終局決定は、申立人に告知することによってその効力を生ずる。
終局決定は、即時抗告の期間の満了前には確定しないものとする。
終局決定の確定は、前項の期間内にした即時抗告の提起により、遮断される。
終局決定は、裁判書を作成してしなければならない。
ただし、即時抗告をすることができない決定については、非訟事件の申立書 又は調書に主文を記載することをもって、裁判書の作成に代えることができる。
終局決定の裁判書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
終局決定に計算違い、誤記 その他これらに類する明白な誤りがあるときは、裁判所は、申立てにより 又は職権で、いつでも更正決定をすることができる。
更正決定は、裁判書を作成してしなければならない。
更正決定に対しては、更正後の終局決定が原決定であるとした場合に即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。
第一項の申立てを不適法として却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
終局決定に対し適法な即時抗告があったときは、前二項の即時抗告は、することができない。
裁判所は、終局決定をした後、その決定を不当と認めるときは、次に掲げる決定を除き、職権で、これを取り消し、又は変更することができる。
申立てによってのみ裁判をすべき場合において申立てを却下した決定
終局決定が確定した日から五年を経過したときは、裁判所は、前項の規定による取消し 又は変更をすることができない。
ただし、事情の変更によりその決定を不当と認めるに至ったときは、この限りでない。
裁判所は、第一項の規定により終局決定の取消し 又は変更をする場合には、その決定における当事者 及びその他の裁判を受ける者の陳述を聴かなければならない。
第一項の規定による取消し 又は変更の終局決定に対しては、取消し後 又は変更後の決定が原決定であるとした場合に即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。
民事訴訟法第二百四十七条、第二百五十六条第一項 及び第二百五十八条(第二項後段を除く。)の規定は、終局決定について準用する。
この場合において、
同法第二百五十六条第一項中
「言渡し後」とあるのは、
「終局決定が告知を受ける者に最初に告知された日から」と
読み替えるものとする。
裁判所は、終局決定の前提となる法律関係の争い その他中間の争いについて、裁判をするのに熟したときは、中間決定をすることができる。
中間決定は、裁判書を作成してしなければならない。
終局決定以外の非訟事件に関する裁判については、特別の定めがある場合を除き、第五十五条から第六十条まで(第五十七条第一項 及び第五十九条第三項を除く。)の規定を準用する。
非訟事件の手続の指揮に関する裁判は、いつでも取り消すことができる。
終局決定以外の非訟事件に関する裁判は、判事補が単独ですることができる。
第五節 裁判によらない非訟事件の終了
非訟事件の申立人は、終局決定が確定するまで、申立ての全部 又は一部を取り下げることができる。
この場合において、終局決定がされた後は、裁判所の許可を得なければならない。
民事訴訟法第二百六十一条第三項 及び第二百六十二条第一項の規定は、前項の規定による申立ての取下げについて準用する。
この場合において、
同法第二百六十一条第三項ただし書中
「口頭弁論、弁論準備手続 又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)」とあるのは、
「非訟事件の手続の期日」と
読み替えるものとする。
非訟事件の申立人が、連続して二回、呼出しを受けた非訟事件の手続の期日に出頭せず、又は呼出しを受けた非訟事件の手続の期日において陳述をしないで退席をしたときは、裁判所は、申立ての取下げがあったものとみなすことができる。
非訟事件における和解については、民事訴訟法第八十九条、- 第二百六十四条 及び第二百六十五条の規定を準用する。
この場合において、
同法第二百六十四条 及び第二百六十五条第三項中
「口頭弁論等」とあるのは、
「非訟事件の手続」と
読み替えるものとする。
和解を調書に記載したときは、その記載は、確定した終局決定と同一の効力を有する。
第四章 不服申立て
第一節 終局決定に対する不服申立て
⤏ 第一款 即時抗告
終局決定により権利 又は法律上保護される利益を害された者は、その決定に対し、即時抗告をすることができる。
申立てを却下した終局決定に対しては、申立人に限り、即時抗告をすることができる。
手続費用の負担の裁判に対しては、独立して即時抗告をすることができない。
終局決定に対する即時抗告は、二週間の不変期間内にしなければならない。
ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。
即時抗告の期間は、即時抗告をする者が裁判の告知を受ける者である場合にあっては、裁判の告知を受けた日から進行する。
前項の期間は、即時抗告をする者が裁判の告知を受ける者でない場合にあっては、申立人(職権で開始した事件においては、裁判を受ける者)が裁判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。
即時抗告は、抗告状を原裁判所に提出してしなければならない。
抗告状には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
即時抗告が不適法でその不備を補正することができないことが明らかであるときは、原裁判所は、これを却下しなければならない。
前項の規定による終局決定に対しては、即時抗告をすることができる。
前項の即時抗告は、一週間の不変期間内にしなければならない。
ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。
第四十三条第四項から第六項までの規定は、抗告状が第二項の規定に違反する場合 及び民事訴訟費用等に関する法律の規定に従い即時抗告の提起の手数料を納付しない場合について準用する。
終局決定に対する即時抗告があったときは、抗告裁判所は、原審における当事者 及び利害関係参加人(抗告人を除く。)に対し、抗告状の写しを送付しなければならない。
ただし、その即時抗告が不適法であるとき、又は即時抗告に理由がないことが明らかなときは、この限りでない。
裁判長は、前項の規定により抗告状の写しを送付するための費用の予納を相当の期間を定めて抗告人に命じた場合において、その予納がないときは、命令で、抗告状を却下しなければならない。
前項の命令に対しては、即時抗告をすることができる。
抗告裁判所は、原審における当事者 及びその他の裁判を受ける者(抗告人を除く。)の陳述を聴かなければ、原裁判所の終局決定を取り消すことができない。
原裁判所は、終局決定に対する即時抗告を理由があると認めるときは、その決定を更正しなければならない。
終局決定に対する即時抗告は、特別の定めがある場合を除き、執行停止の効力を有しない。
ただし、抗告裁判所 又は原裁判所は、申立てにより、担保を立てさせて、又は立てさせないで、即時抗告について裁判があるまで、原裁判の執行の停止 その他必要な処分を命ずることができる。
前項ただし書の規定により担保を立てる場合において、供託をするには、担保を立てるべきことを命じた裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内の供託所にしなければならない。
民事訴訟法第七十六条、第七十七条、第七十九条 及び第八十条の規定は、前項の担保について準用する。
終局決定に対する即時抗告 及びその抗告審に関する手続については、特別の定めがある場合を除き、前章の規定(第五十七条第一項ただし書 及び第六十四条の規定を除く。)を準用する。
この場合において、
第五十九条第一項第二号中
「即時抗告」とあるのは、
「第一審裁判所の終局決定であるとした場合に即時抗告」と
読み替えるものとする。
民事訴訟法第二百八十三条、第二百八十四条、第二百九十二条、第二百九十八条第一項、第二百九十九条第一項、第三百二条、第三百三条 及び第三百五条から第三百九条までの規定は、終局決定に対する即時抗告 及びその抗告審に関する手続について準用する。
この場合において、
同法第二百九十二条第二項中
「第二百六十一条第三項、第二百六十二条第一項 及び第二百六十三条」とあるのは
「非訟事件手続法第六十三条第二項 及び第六十四条」と、
同法第三百三条第五項中
「第百八十九条」とあるのは
「非訟事件手続法第百二十一条」と
読み替えるものとする。
抗告裁判所の終局決定(その決定が第一審裁判所の決定であるとした場合に即時抗告をすることができるものに限る。)に対しては、次に掲げる事由を理由とするときに限り、更に即時抗告をすることができる。
ただし、第五号に掲げる事由については、手続行為能力、法定代理権 又は手続行為をするのに必要な権限を有するに至った本人、法定代理人 又は手続代理人による追認があったときは、この限りでない。
終局決定に憲法の解釈の誤りがあること その他憲法の違反があること。
法律に従って裁判所を構成しなかったこと。
法律により終局決定に関与することができない裁判官が終局決定に関与したこと。
専属管轄に関する規定に違反したこと。
法定代理権、手続代理人の代理権 又は代理人が手続行為をするのに必要な授権を欠いたこと。
終局決定にこの法律 又は他の法令で記載すべきものと定められた理由 若しくはその要旨を付せず、又は理由 若しくはその要旨に食い違いがあること。
終局決定に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があること。
前項の即時抗告(以下 この条 及び第七十七条第一項において「再抗告」という。)が係属する抗告裁判所は、抗告状 又は抗告理由書に記載された再抗告の理由についてのみ調査をする。
民事訴訟法第三百十四条第二項、第三百十五条、第三百十六条(第一項第一号を除く。)、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十四条、第三百二十五条第一項前段、第三項後段 及び第四項 並びに第三百二十六条の規定は、再抗告 及び その抗告審に関する手続について準用する。
この場合において、
同法第三百十四条第二項中
「前条において準用する第二百八十八条 及び第二百八十九条第二項」とあるのは
「非訟事件手続法第六十八条第六項」と、
同法第三百十六条第二項中
「対しては」とあるのは
「対しては、一週間の不変期間内に」と、
同法第三百二十二条中
「前二条」とあるのは
「非訟事件手続法第七十四条第二項の規定 及び同条第三項において準用する第三百二十一条第一項」と、
同法第三百二十五条第一項前段中
「第三百十二条第一項 又は第二項」とあるのは
「非訟事件手続法第七十四条第一項」と、
同条第三項後段中
「この場合」とあるのは
「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、
同条第四項中
「前項」とあるのは
「差戻し又は移送を受けた裁判所」と
読み替えるものとする。
⤏ 第二款 特別抗告
地方裁判所 及び簡易裁判所の終局決定で不服を申し立てることができないもの 並びに高等裁判所の終局決定に対しては、その決定に憲法の解釈の誤りがあること その他憲法の違反があることを理由とするときに、最高裁判所に特に抗告をすることができる。
前項の抗告(以下 この項 及び次条において「特別抗告」という。)が係属する抗告裁判所は、抗告状 又は抗告理由書に記載された特別抗告の理由についてのみ調査をする。
前款の規定(第六十六条、第六十七条第一項、第六十九条第三項、第七十一条 及び第七十四条の規定を除く。)は、特別抗告 及び その抗告審に関する手続について準用する。
民事訴訟法第三百十四条第二項、第三百十五条、第三百十六条(第一項第一号を除く。)、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段 及び第四項、第三百二十六条 並びに第三百三十六条第二項の規定は、特別抗告 及び その抗告審に関する手続について準用する。
この場合において、
同法第三百十四条第二項中
「前条において準用する第二百八十八条 及び第二百八十九条第二項」とあるのは
「非訟事件手続法第七十六条第一項において準用する同法第六十八条第六項」と、
同法第三百十六条第二項中
「対しては」とあるのは
「対しては、一週間の不変期間内に」と、
同法第三百二十二条中
「前二条」とあるのは
「非訟事件手続法第七十五条第二項の規定 及び同法第七十六条第二項において準用する第三百二十一条第一項」と、
同法第三百二十五条第一項前段 及び第二項中
「第三百十二条第一項 又は第二項」とあるのは
「非訟事件手続法第七十五条第一項」と、
同条第三項後段中
「この場合」とあるのは
「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、
同条第四項中
「前項」とあるのは
「差戻し又は移送を受けた裁判所」と
読み替えるものとする。
⤏ 第三款 許可抗告
高等裁判所の終局決定(再抗告 及び次項の申立てについての決定を除く。)に対しては、第七十五条第一項の規定による場合のほか、その高等裁判所が次項の規定により許可したときに限り、最高裁判所に特に抗告をすることができる。
ただし、その決定が地方裁判所の決定であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る。
前項の高等裁判所は、同項の終局決定について、最高裁判所の判例(これがない場合にあっては、大審院 又は上告裁判所 若しくは抗告裁判所である高等裁判所の判例)と相反する判断がある場合 その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むと認められる場合には、申立てにより、抗告を許可しなければならない。
前項の申立てにおいては、第七十五条第一項に規定する事由を理由とすることはできない。
第二項の規定による許可があった場合には、第一項の抗告(以下 この条 及び次条第一項において「許可抗告」という。)があったものとみなす。
許可抗告が係属する抗告裁判所は、第二項の規定による許可の申立書 又は同項の申立てに係る理由書に記載された許可抗告の理由についてのみ調査をする。
許可抗告が係属する抗告裁判所は、終局決定に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるときは、原決定を破棄することができる。
第一款の規定(第六十六条、第六十七条第一項、第六十八条第四項 及び第五項、第六十九条第三項、第七十一条 並びに第七十四条の規定を除く。)は、許可抗告 及びその抗告審に関する手続について準用する。
この場合において、
これらの規定中
「抗告状」とあるのは
「第七十七条第二項の規定による許可の申立書」と、
第六十七条第二項 及び第三項、第六十八条第一項、第二項第二号 及び第三項、第六十九条第一項 並びに第七十二条第一項本文中
「即時抗告」とあり、及び第六十八条第六項中
「即時抗告の提起」とあるのは
「第七十七条第二項の申立て」と、
第七十二条第一項ただし書 並びに第七十三条第一項前段 及び第二項中
「即時抗告」とあるのは
「許可抗告」と
読み替えるものとする。
民事訴訟法第三百十五条 及び第三百三十六条第二項の規定は前条第二項の申立てについて、同法第三百十八条第三項の規定は前条第二項の規定による許可をする場合について、同法第三百十八条第四項後段、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段 及び第四項 並びに第三百二十六条の規定は前条第二項の規定による許可があった場合について準用する。
この場合において、
同法第三百十八条第四項後段中
「第三百二十条」とあるのは
「非訟事件手続法第七十七条第五項」と、
同法第三百二十二条中
「前二条」とあるのは
「非訟事件手続法第七十七条第五項の規定 及び同法第七十八条第二項において準用する第三百二十一条第一項」と、
同法第三百二十五条第一項前段 及び第二項中
「第三百十二条第一項 又は第二項」とあるのは
「非訟事件手続法第七十七条第二項」と、
同条第三項後段中
「この場合」とあるのは
「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、
同条第四項中
「前項」とあるのは
「差戻し又は移送を受けた裁判所」と
読み替えるものとする。
第二節 終局決定以外の裁判に対する不服申立て
終局決定以外の裁判に対しては、特別の定めがある場合に限り、即時抗告をすることができる。
受命裁判官 又は受託裁判官の裁判に対して不服がある当事者は、非訟事件が係属している裁判所に異議の申立てをすることができる。
ただし、その裁判が非訟事件が係属している裁判所の裁判であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る。
前項の異議の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
最高裁判所 又は高等裁判所に非訟事件が係属している場合における第一項の規定の適用については、
同項ただし書中
「非訟事件が係属している裁判所」とあるのは、
「地方裁判所」と
する。
終局決定以外の裁判に対する即時抗告は、一週間の不変期間内にしなければならない。
ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。
前節の規定(第六十六条第一項 及び第二項、第六十七条第一項 並びに第六十九条 及び第七十条(これらの規定を第七十六条第一項 及び第七十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定を除く。)は、裁判所、裁判官 又は裁判長がした終局決定以外の裁判に対する不服申立てについて準用する。
第五章 再審
確定した終局決定 その他の裁判(事件を完結するものに限る。第五項において同じ。)に対しては、再審の申立てをすることができる。
再審の手続には、その性質に反しない限り、各審級における非訟事件の手続に関する規定を準用する。
民事訴訟法第四編の規定(同法第三百四十一条 及び第三百四十九条の規定を除く。)は、第一項の再審の申立て及びこれに関する手続について準用する。
この場合において、
同法第三百四十八条第一項中
「不服申立ての限度で、本案の審理 及び裁判をする」とあるのは、
「本案の審理 及び裁判をする」と
読み替えるものとする。
前項において準用する民事訴訟法第三百四十六条第一項の再審開始の決定に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。
第三項において準用する民事訴訟法第三百四十八条第二項の規定により終局決定 その他の裁判に対する再審の申立てを棄却する決定に対しては、当該終局決定 その他の裁判に対し即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。
裁判所は、前条第一項の再審の申立てがあった場合において、不服の理由として主張した事情が法律上理由があるとみえ、事実上の点につき疎明があり、かつ、執行により償うことができない損害が生ずるおそれがあることにつき疎明があったときは、申立てにより、担保を立てさせて、若しくは立てさせないで強制執行の一時の停止を命じ、又は担保を立てさせて既にした執行処分の取消しを命ずることができる。
前項の規定による申立てについての裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
第七十二条第二項 及び第三項の規定は、第一項の規定により担保を立てる場合における供託 及び担保について準用する。