不動産登記法

# 平成十六年法律第百二十三号 #
略称 : 新不動産登記法  不登法 

第四章 登記手続

分類 法律
カテゴリ   民事
@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第六十三号による改正
最終編集日 : 2024年 04月19日 04時01分


第一節 総則

1項

登記は、法令に別段の定めがある場合を除き、当事者の申請 又は官庁 若しくは公署の嘱託がなければ、することができない。

2項

第二条第十四号第五条第六条第三項第十条 及びこの章この条第二十七条第二十八条第三十二条第三十四条第三十五条第四十一条第四十三条から第四十六条まで第五十一条第五項 及び第六項第五十三条第二項第五十六条第五十八条第一項 及び第四項第五十九条第一号第三号から第六号まで 及び第八号第六十六条第六十七条第七十一条第七十三条第一項第二号から第四号まで第二項 及び第三項第七十六条から第七十六条の四まで第七十六条の六第七十八条から第八十六条まで第八十八条第九十条から第九十二条まで第九十四条第九十五条第一項第九十六条第九十七条第九十八条第二項第百一条第百二条第百六条第百八条第百十二条第百十四条から第百十七条まで 並びに第百十八条第二項第五項 及び第六項除く)の規定は、官庁 又は公署の嘱託による登記の手続について準用する。

1項

登記の申請をする者の委任による代理人の権限は、次に掲げる事由によっては、消滅しない

一 号

本人の死亡

二 号

本人である法人の合併による消滅

三 号

本人である受託者の信託に関する任務の終了

四 号

法定代理人の死亡 又はその代理権の消滅 若しくは変更

1項

登記の申請は、次に掲げる方法のいずれかにより、不動産を識別するために必要な事項、申請人の氏名 又は名称、登記の目的 その他の登記の申請に必要な事項として政令で定める情報(以下「申請情報」という。)を登記所に提供してしなければならない。

一 号

法務省令で定めるところにより電子情報処理組織(登記所の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下この号において同じ。)と申請人 又はその代理人の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。)を使用する方法

二 号

申請情報を記載した書面(法務省令で定めるところにより申請情報の全部 又は一部を記録した磁気ディスクを含む。)を提出する方法

1項

登記官は、前条の規定により申請情報が登記所に提供されたときは、法務省令で定めるところにより、当該申請情報に係る登記の申請の受付をしなければならない。

2項

同一の不動産に関し二以上の申請がされた場合において、その前後が明らかでないときは、これらの申請は、同時にされたものとみなす。

3項

登記官は、申請の受付をしたときは、当該申請に受付番号を付さなければならない。


この場合において、同一の不動産に関し同時に二以上の申請がされたとき(前項の規定により同時にされたものとみなされるときを含む。)は、同一の受付番号を付するものとする。

1項

登記官は、同一の不動産に関し権利に関する登記の申請が二以上あったときは、これらの登記を受付番号の順序に従ってしなければならない。

1項

登記官は、その登記をすることによって申請人自らが登記名義人となる場合において、当該登記を完了したときは、法務省令で定めるところにより、速やかに、当該申請人に対し、当該登記に係る登記識別情報を通知しなければならない。


ただし、当該申請人があらかじめ登記識別情報の通知を希望しない旨の申出をした場合 その他の法務省令で定める場合は、この限りでない。

1項

登記権利者 及び登記義務者が共同して権利に関する登記の申請をする場合 その他登記名義人が政令で定める登記の申請をする場合には、申請人は、その申請情報と併せて登記義務者(政令で定める登記の申請にあっては、登記名義人。次条第一項第二項 及び第四項各号において同じ。)の登記識別情報を提供しなければならない。


ただし前条ただし書の規定により登記識別情報が通知されなかった場合 その他の申請人が登記識別情報を提供することができないことにつき正当な理由がある場合は、この限りでない。

1項

登記官は、申請人が前条に規定する申請をする場合において、同条ただし書の規定により登記識別情報を提供することができないときは、法務省令で定める方法により、同条に規定する登記義務者に対し、当該申請があった旨 及び当該申請の内容が真実であると思料するときは法務省令で定める期間内に法務省令で定めるところによりその旨の申出をすべき旨を通知しなければならない。


この場合において、登記官は、当該期間内にあっては、当該申出がない限り、当該申請に係る登記をすることができない

2項

登記官は、前項の登記の申請が所有権に関するものである場合において、同項の登記義務者の住所について変更の登記がされているときは、法務省令で定める場合を除き同項の申請に基づいて登記をする前に、法務省令で定める方法により、同項の規定による通知のほか、当該登記義務者の登記記録上の前の住所にあてて、当該申請があった旨を通知しなければならない。

3項

前二項の規定は、登記官が第二十五条第十号除く)の規定により申請を却下すべき場合には、適用しない

4項

第一項の規定は、同項に規定する場合において、次の各号いずれかに掲げるときは、適用しない

一 号

当該申請が登記の申請の代理を業とすることができる代理人によってされた場合であって、登記官が当該代理人から法務省令で定めるところにより当該申請人が第一項の登記義務者であることを確認するために必要な情報の提供を受け、かつ、その内容を相当と認めるとき。

二 号

当該申請に係る申請情報(委任による代理人によって申請する場合にあっては、その権限を証する情報)を記載し、又は記録した書面 又は電磁的記録について、公証人(公証人法明治四十一年法律第五十三号第八条の規定により公証人の職務を行う法務事務官を含む。)から当該申請人が第一項の登記義務者であることを確認するために必要な認証がされ、かつ、登記官がその内容を相当と認めるとき。

1項

登記官は、登記の申請があった場合において、申請人となるべき者以外の者が申請していると疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、次条の規定により当該申請を却下すべき場合を除き、申請人 又はその代表者 若しくは代理人に対し、出頭を求め、質問をし、又は文書の提示 その他必要な情報の提供を求める方法により、当該申請人の申請の権限の有無を調査しなければならない。

2項

登記官は、前項に規定する申請人 又はその代表者 若しくは代理人が遠隔の地に居住しているとき、その他相当と認めるときは、他の登記所の登記官に同項の調査を嘱託することができる。

1項

登記官は、次に掲げる場合には、理由を付した決定で、登記の申請を却下しなければならない。


ただし、当該申請の不備が補正することができるものである場合において、登記官が定めた相当の期間内に、申請人がこれを補正したときは、この限りでない。

一 号

申請に係る不動産の所在地が当該申請を受けた登記所の管轄に属しないとき。

二 号

申請が登記事項(他の法令の規定により登記記録として登記すべき事項を含む。以外の事項の登記を目的とするとき。

三 号

申請に係る登記が既に登記されているとき。

四 号

申請の権限を有しない者の申請によるとき。

五 号

申請情報 又はその提供の方法がこの法律に基づく命令 又はその他の法令の規定により定められた方式に適合しないとき

六 号

申請情報の内容である不動産 又は登記の目的である権利が登記記録と合致しないとき。

七 号

申請情報の内容である登記義務者(第六十五条第七十七条第八十九条第一項同条第二項第九十五条第二項において準用する場合を含む。)及び第九十五条第二項において準用する場合を含む。)、第九十三条第九十五条第二項において準用する場合を含む。)又は第百十条前段の場合にあっては、登記名義人)の氏名 若しくは名称 又は住所が登記記録と合致しないとき。

八 号

申請情報の内容が第六十一条に規定する登記原因を証する情報の内容と合致しないとき。

九 号

第二十二条本文 若しくは第六十一条の規定 又はこの法律に基づく命令 若しくはその他の法令の規定により申請情報と併せて提供しなければならないものとされている情報が提供されないとき。

十 号

第二十三条第一項に規定する期間内に同項の申出がないとき。

十一 号

表示に関する登記の申請に係る不動産の表示が第二十九条の規定による登記官の調査の結果と合致しないとき。

十二 号

登録免許税を納付しないとき。

十三 号

前各号に掲げる場合のほか、登記すべきものでないときとして政令で定めるとき。

1項

この章に定めるもののほか、申請情報の提供の方法 並びに申請情報と併せて提供することが必要な情報 及びその提供の方法 その他の登記申請の手続に関し必要な事項は、政令で定める。

第二節 表示に関する登記

第一款 通則

1項

土地 及び建物の表示に関する登記の登記事項は、次のとおりとする。

一 号
登記原因 及びその日付
二 号
登記の年月日
三 号

所有権の登記がない不動産(共用部分(区分所有法第四条第二項に規定する共用部分をいう。以下同じ。)である旨の登記 又は団地共用部分(区分所有法第六十七条第一項に規定する団地共用部分をいう。以下同じ。)である旨の登記がある建物を除く)については、所有者の氏名 又は名称 及び住所 並びに所有者が二人以上であるときはその所有者ごとの持分

四 号

前三号に掲げるもののほか、不動産を識別するために必要な事項として法務省令で定めるもの

1項

表示に関する登記は、登記官が、職権ですることができる。

1項

登記官は、表示に関する登記について第十八条の規定により申請があった場合 及び前条の規定により職権で登記しようとする場合において、必要があると認めるときは、当該不動産の表示に関する事項を調査することができる。

2項

登記官は、前項の調査をする場合において、必要があると認めるときは、日出から日没までの間に限り、当該不動産を検査し、又は当該不動産の所有者 その他の関係者に対し、文書 若しくは電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの提示を求め、若しくは質問をすることができる。


この場合において、登記官は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。

1項

表題部所有者 又は所有権の登記名義人が表示に関する登記の申請人となることができる場合において、当該表題部所有者 又は登記名義人について相続 その他の一般承継があったときは、相続人 その他の一般承継人は、当該表示に関する登記を申請することができる。

1項

表題部所有者の氏名 若しくは名称 又は住所についての変更の登記 又は更正の登記は、表題部所有者以外の者は、申請することができない

1項

表題部所有者 又はその持分についての変更は、当該不動産について所有権の保存の登記をした後において、その所有権の移転の登記の手続をするのでなければ、登記することができない

1項

不動産の所有者と当該不動産の表題部所有者とが異なる場合においてする当該表題部所有者についての更正の登記は、当該不動産の所有者以外の者は、申請することができない

2項

前項の場合において、当該不動産の所有者は、当該表題部所有者の承諾があるときでなければ、申請することができない

3項

不動産の表題部所有者である共有者の持分についての更正の登記は、当該共有者以外の者は、申請することができない

4項

前項の更正の登記をする共有者は、当該更正の登記によってその持分を更正することとなる他の共有者の承諾があるときでなければ、申請することができない

第二款 土地の表示に関する登記

1項

土地の表示に関する登記の登記事項は、第二十七条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。

一 号

土地の所在する市、区、郡、町、村 及び字

二 号

地番

三 号

地目

四 号

地積

2項

前項第三号の地目 及び同項第四号の地積に関し必要な事項は、法務省令で定める。

1項

登記所は、法務省令で定めるところにより、地番を付すべき区域(第三十九条第二項 及び第四十一条第二号において「地番区域」という。)を定め、一筆の土地ごとに地番を付さなければならない。

1項

新たに生じた土地 又は表題登記がない土地の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一月以内に、表題登記を申請しなければならない。

1項

地目 又は地積について変更があったときは、表題部所有者 又は所有権の登記名義人は、その変更があった日から一月以内に、当該地目 又は地積に関する変更の登記を申請しなければならない。

2項

地目 又は地積について変更があった後に表題部所有者 又は所有権の登記名義人となった者は、その者に係る表題部所有者についての更正の登記 又は所有権の登記があった日から一月以内に、当該地目 又は地積に関する変更の登記を申請しなければならない。

1項

第二十七条第一号第二号 若しくは第四号同号にあっては、法務省令で定めるものに限る) 又は第三十四条第一項第一号第三号 若しくは第四号に掲げる登記事項に関する更正の登記は、表題部所有者 又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない

1項

分筆 又は合筆の登記は、表題部所有者 又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない

2項

登記官は、前項の申請がない場合であっても、一筆の土地の一部が別の地目となり、又は地番区域(地番区域でない字を含む。第四十一条第二号において同じ。)を異にするに至ったときは、職権で、その土地の分筆の登記をしなければならない。

3項

登記官は、第一項の申請がない場合であっても、第十四条第一項の地図を作成するため必要があると認めるときは、第一項に規定する表題部所有者 又は所有権の登記名義人の異議がないときに限り、職権で、分筆 又は合筆の登記をすることができる。

1項

登記官は、所有権の登記以外の権利に関する登記がある土地について分筆の登記をする場合において、当該分筆の登記の申請情報と併せて当該権利に関する登記に係る権利の登記名義人(当該権利に関する登記が抵当権の登記である場合において、抵当証券が発行されているときは、当該抵当証券の所持人 又は裏書人を含む。)が当該権利を分筆後のいずれかの土地について消滅させることを承諾したことを証する情報が提供されたとき(当該権利を目的とする第三者の権利に関する登記がある場合にあっては、当該第三者が承諾したことを証する情報が併せて提供されたときに限る)は、法務省令で定めるところにより、当該承諾に係る土地について当該権利が消滅した旨を登記しなければならない。

1項

次に掲げる合筆の登記は、することができない。

一 号

相互に接続していない土地の合筆の登記

二 号

地目 又は地番区域が相互に異なる土地の合筆の登記

三 号

表題部所有者 又は所有権の登記名義人が相互に異なる土地の合筆の登記

四 号

表題部所有者 又は所有権の登記名義人が相互に持分を異にする土地の合筆の登記

五 号

所有権の登記がない土地と所有権の登記がある土地との合筆の登記

六 号

所有権の登記以外の権利に関する登記がある土地(権利に関する登記であって、合筆後の土地の登記記録に登記することができるものとして法務省令で定めるものがある土地を除く)の合筆の登記

1項

土地が滅失したときは、表題部所有者 又は所有権の登記名義人は、その滅失の日から一月以内に、当該土地の滅失の登記を申請しなければならない。

1項

河川法昭和三十九年法律第百六十七号)第六条第一項(同法第百条第一項において準用する場合を含む。第一号において同じ。)の河川区域内の土地の表示に関する登記の登記事項は、第二十七条各号 及び第三十四条第一項各号に掲げるもののほか第一号に掲げる土地である旨 及び第二号から第五号までに掲げる土地にあってはそれぞれその旨とする。

一 号

河川法第六条第一項の河川区域内の土地

二 号

河川法第六条第二項(同法第百条第一項において準用する場合を含む。)の高規格堤防特別区域内の土地

三 号

河川法第六条第三項(同法第百条第一項において準用する場合を含む。)の樹林帯区域内の土地

四 号

河川法第二十六条第四項(同法第百条第一項において準用する場合を含む。)の特定樹林帯区域内の土地

五 号

河川法第五十八条の二第二項(同法第百条第一項において準用する場合を含む。)の河川立体区域内の土地

2項

土地の全部 又は一部が前項第一号の河川区域内 又は同項第二号の高規格堤防特別区域内、同項第三号の樹林帯区域内、同項第四号の特定樹林帯区域内 若しくは同項第五号の河川立体区域内の土地となったときは、河川管理者は、遅滞なく、その旨の登記を登記所に嘱託しなければならない。

3項

土地の全部 又は一部が第一項第一号の河川区域内 又は同項第二号の高規格堤防特別区域内、同項第三号の樹林帯区域内、同項第四号の特定樹林帯区域内 若しくは同項第五号の河川立体区域内の土地でなくなったときは、河川管理者は、遅滞なく、その旨の登記の抹消を登記所に嘱託しなければならない。

4項

土地の一部について前二項の規定により登記の嘱託をするときは、河川管理者は、当該土地の表題部所有者 若しくは所有権の登記名義人 又はこれらの者の相続人 その他の一般承継人に代わって、当該土地の分筆の登記を登記所に嘱託することができる。

5項

第一項各号の河川区域内の土地の全部が滅失したときは、河川管理者は、遅滞なく、当該土地の滅失の登記を登記所に嘱託しなければならない。

6項

第一項各号の河川区域内の土地の一部が滅失したときは、河川管理者は、遅滞なく、当該土地の地積に関する変更の登記を登記所に嘱託しなければならない。

第三款 建物の表示に関する登記

1項

建物の表示に関する登記の登記事項は、第二十七条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。

一 号

建物の所在する市、区、郡、町、村、字 及び土地の地番(区分建物である建物にあっては、当該建物が属する一棟の建物の所在する市、区、郡、町、村、字 及び土地の地番

二 号

家屋番号

三 号

建物の種類、構造 及び床面積

四 号

建物の名称があるときは、その名称

五 号

附属建物があるときは、その所在する市、区、郡、町、村、字 及び土地の地番(区分建物である附属建物にあっては、当該附属建物が属する一棟の建物の所在する市、区、郡、町、村、字 及び土地の地番)並びに種類、構造 及び床面積

六 号

建物が共用部分 又は団地共用部分であるときは、その旨

七 号

建物 又は附属建物が区分建物であるときは、当該建物 又は附属建物が属する一棟の建物の構造 及び床面積

八 号

建物 又は附属建物が区分建物である場合であって、当該建物 又は附属建物が属する一棟の建物の名称があるときは、その名称

九 号

建物 又は附属建物が区分建物である場合において、当該区分建物について区分所有法第二条第六項に規定する敷地利用権(登記されたものに限る)であって、区分所有法第二十二条第一項本文(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定により区分所有者の有する専有部分と分離して処分することができないもの(以下「敷地権」という。)があるときは、その敷地権

2項

前項第三号第五号 及び第七号の建物の種類、構造 及び床面積に関し必要な事項は、法務省令で定める。

1項

登記所は、法務省令で定めるところにより、一個の建物ごとに家屋番号を付さなければならない。

1項

登記官は、表示に関する登記のうち、区分建物に関する敷地権について表題部に最初に登記をするときは、当該敷地権の目的である土地の登記記録について、職権で、当該登記記録中の所有権、地上権 その他の権利が敷地権である旨の登記をしなければならない。

1項

新築した建物 又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一月以内に、表題登記を申請しなければならない。

2項

区分建物である建物を新築した場合において、その所有者について相続 その他の一般承継があったときは、相続人 その他の一般承継人も、被承継人を表題部所有者とする当該建物についての表題登記を申請することができる。

1項

区分建物が属する一棟の建物が新築された場合 又は表題登記がない建物に接続して区分建物が新築されて一棟の建物となった場合における当該区分建物についての表題登記の申請は、当該新築された一棟の建物 又は当該区分建物が属することとなった一棟の建物に属する他の区分建物についての表題登記の申請と併せてしなければならない。

2項

前項の場合において、当該区分建物の所有者は、他の区分建物の所有者に代わって、当該他の区分建物についての表題登記を申請することができる。

3項

表題登記がある建物(区分建物を除く)に接続して区分建物が新築された場合における当該区分建物についての表題登記の申請は、当該表題登記がある建物についての表題部の変更の登記の申請と併せてしなければならない。

4項

前項の場合において、当該区分建物の所有者は、当該表題登記がある建物の表題部所有者 若しくは所有権の登記名義人 又はこれらの者の相続人 その他の一般承継人に代わって、当該表題登記がある建物についての表題部の変更の登記を申請することができる。

1項

二以上の建物が合体して一個の建物となった場合において、次の各号に掲げるときは、それぞれ当該各号に定める者は、当該合体の日から一月以内に、合体後の建物についての建物の表題登記 及び合体前の建物についての建物の表題部の登記の抹消(以下「合体による登記等」と総称する。)を申請しなければならない。


この場合において、第二号に掲げる場合にあっては当該表題登記がない建物の所有者、第四号に掲げる場合にあっては当該表題登記がある建物(所有権の登記がある建物を除く。以下この条において同じ。)の表題部所有者、第六号に掲げる場合にあっては当該表題登記がない建物の所有者 及び当該表題登記がある建物の表題部所有者をそれぞれ当該合体後の建物の登記名義人とする所有権の登記を併せて申請しなければならない。

一 号

合体前の二以上の建物が表題登記がない建物 及び表題登記がある建物のみであるとき。

当該表題登記がない建物の所有者 又は当該表題登記がある建物の表題部所有者

二 号

合体前の二以上の建物が表題登記がない建物 及び所有権の登記がある建物のみであるとき。

当該表題登記がない建物の所有者 又は当該所有権の登記がある建物の所有権の登記名義人

三 号

合体前の二以上の建物がいずれも表題登記がある建物であるとき。

当該建物の表題部所有者

四 号

合体前の二以上の建物が表題登記がある建物 及び所有権の登記がある建物のみであるとき。

当該表題登記がある建物の表題部所有者 又は当該所有権の登記がある建物の所有権の登記名義人

五 号

合体前の二以上の建物がいずれも所有権の登記がある建物であるとき。

当該建物の所有権の登記名義人

六 号

合体前の三以上の建物が表題登記がない建物、表題登記がある建物 及び所有権の登記がある建物のみであるとき。

当該表題登記がない建物の所有者、当該表題登記がある建物の表題部所有者 又は当該所有権の登記がある建物の所有権の登記名義人

2項

第四十七条 並びに前条第一項 及び第二項の規定は、二以上の建物が合体して一個の建物となった場合において合体前の建物がいずれも表題登記がない建物であるときの当該建物についての表題登記の申請について準用する。


この場合において、

第四十七条第一項
新築した建物 又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者」とあるのは
「いずれも表題登記がない二以上の建物が合体して一個の建物となった場合における当該合体後の建物についての合体時の所有者 又は当該合体後の建物が区分建物以外の表題登記がない建物である場合において当該合体時の所有者から所有権を取得した者」と、

同条第二項
区分建物である建物を新築した場合」とあり、
及び前条第一項中「区分建物が属する一棟の建物が新築された場合 又は表題登記がない建物に接続して区分建物が新築されて一棟の建物となった場合」とあるのは
「いずれも表題登記がない二以上の建物が合体して一個の区分建物となった場合」と、

同項
当該新築された一棟の建物 又は当該区分建物が属することとなった一棟の建物」とあるのは
「当該合体後の区分建物が属する一棟の建物」と

読み替えるものとする。

3項

第一項第一号第二号 又は第六号に掲げる場合において、当該二以上の建物(同号に掲げる場合にあっては、当該三以上の建物)が合体して一個の建物となった後 当該合体前の表題登記がない建物の所有者から当該合体後の建物について合体前の表題登記がない建物の所有権に相当する持分を取得した者は、その持分の取得の日から一月以内に、合体による登記等を申請しなければならない。

4項

第一項各号に掲げる場合において、当該二以上の建物(同項第六号に掲げる場合にあっては、当該三以上の建物)が合体して一個の建物となった後に合体前の表題登記がある建物の表題部所有者 又は合体前の所有権の登記がある建物の所有権の登記名義人となった者は、その者に係る表題部所有者についての更正の登記 又は所有権の登記があった日から一月以内に、合体による登記等を申請しなければならない。

1項

登記官は、所有権等(所有権、地上権、永小作権、地役権 及び採石権をいう。以下この款 及び第百十八条第五項において同じ。)の登記以外の権利に関する登記がある建物について合体による登記等をする場合において、当該合体による登記等の申請情報と併せて当該権利に関する登記に係る権利の登記名義人(当該権利に関する登記が抵当権の登記である場合において、抵当証券が発行されているときは、当該抵当証券の所持人 又は裏書人を含む。)が合体後の建物について当該権利を消滅させることについて承諾したことを証する情報が提供されたとき(当該権利を目的とする第三者の権利に関する登記がある場合にあっては、当該第三者が承諾したことを証する情報が併せて提供されたときに限る)は、法務省令で定めるところにより、当該権利が消滅した旨を登記しなければならない。

1項

第四十四条第一項各号第二号 及び第六号除く)に掲げる登記事項について変更があったときは、表題部所有者 又は所有権の登記名義人(共用部分である旨の登記 又は団地共用部分である旨の登記がある建物の場合にあっては、所有者)は、当該変更があった日から一月以内に、当該登記事項に関する変更の登記を申請しなければならない。

2項

前項の登記事項について変更があった後に表題部所有者 又は所有権の登記名義人となった者は、その者に係る表題部所有者についての更正の登記 又は所有権の登記があった日から一月以内に、当該登記事項に関する変更の登記を申請しなければならない。

3項

第一項の登記事項について変更があった後に共用部分である旨の登記 又は団地共用部分である旨の登記があったときは、所有者(前二項の規定により登記を申請しなければならない者を除く)は、共用部分である旨の登記 又は団地共用部分である旨の登記がされた日から一月以内に、当該登記事項に関する変更の登記を申請しなければならない。

4項

共用部分である旨の登記 又は団地共用部分である旨の登記がある建物について、第一項の登記事項について変更があった後に所有権を取得した者(前項の規定により登記を申請しなければならない者を除く)は、その所有権の取得の日から一月以内に、当該登記事項に関する変更の登記を申請しなければならない。

5項

建物が区分建物である場合において、第四十四条第一項第一号区分建物である建物に係るものに限る)又は第七号から第九号までに掲げる登記事項(同号に掲げる登記事項にあっては、法務省令で定めるものに限る次項 及び第五十三条第二項において同じ。)に関する変更の登記は、当該登記に係る区分建物と同じ一棟の建物に属する他の区分建物についてされた変更の登記としての効力を有する。

6項

前項の場合において、同項に規定する登記事項に関する変更の登記がされたときは、登記官は、職権で、当該一棟の建物に属する他の区分建物について、当該登記事項に関する変更の登記をしなければならない。

1項

表題登記がある建物(区分建物を除く)に接続して区分建物が新築されて一棟の建物となったことにより当該表題登記がある建物が区分建物になった場合における当該表題登記がある建物についての表題部の変更の登記の申請は、当該新築に係る区分建物についての表題登記の申請と併せてしなければならない。

2項

前項の場合において、当該表題登記がある建物の表題部所有者 又は所有権の登記名義人は、当該新築に係る区分建物の所有者に代わって、当該新築に係る区分建物についての表題登記を申請することができる。

3項

いずれも表題登記がある二以上の建物(区分建物を除く)が増築 その他の工事により相互に接続して区分建物になった場合における当該表題登記がある二以上の建物についての表題部の変更の登記の申請は、一括してしなければならない。

4項

前項の場合において、当該表題登記がある二以上の建物のうち、表題登記がある一の建物の表題部所有者 又は所有権の登記名義人は、表題登記がある他の建物の表題部所有者 若しくは所有権の登記名義人 又はこれらの者の相続人 その他の一般承継人に代わって、当該表題登記がある他の建物について表題部の変更の登記を申請することができる。

1項

第二十七条第一号第二号 若しくは第四号同号にあっては、法務省令で定めるものに限る)又は第四十四条第一項各号第二号 及び第六号除く)に掲げる登記事項に関する更正の登記は、表題部所有者 又は所有権の登記名義人(共用部分である旨の登記 又は団地共用部分である旨の登記がある建物の場合にあっては、所有者以外の者は、申請することができない

2項

第五十一条第五項 及び第六項の規定は、建物が区分建物である場合における同条第五項に規定する登記事項に関する表題部の更正の登記について準用する。

1項

次に掲げる登記は、表題部所有者 又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない

一 号

建物の分割の登記(表題登記がある建物の附属建物を当該表題登記がある建物の登記記録から分割して登記記録上別の一個の建物とする登記をいう。以下同じ。

二 号

建物の区分の登記(表題登記がある建物 又は附属建物の部分であって区分建物に該当するものを登記記録上区分建物とする登記をいう。以下同じ。

三 号

建物の合併の登記(表題登記がある建物を登記記録上他の表題登記がある建物の附属建物とする登記 又は表題登記がある区分建物を登記記録上これと接続する他の区分建物である表題登記がある建物 若しくは附属建物に合併して一個の建物とする登記をいう。以下同じ。

2項

共用部分である旨の登記 又は団地共用部分である旨の登記がある建物についての建物の分割の登記 又は建物の区分の登記は、所有者以外の者は、申請することができない

3項

第四十条の規定は、所有権等の登記以外の権利に関する登記がある建物についての建物の分割の登記 又は建物の区分の登記をするときについて準用する。

1項

登記官は、敷地権付き区分建物(区分建物に関する敷地権の登記がある建物をいう。第七十三条第一項 及び第三項第七十四条第二項 並びに第七十六条第一項において同じ。)のうち特定登記(所有権等の登記以外の権利に関する登記であって、第七十三条第一項の規定により敷地権についてされた登記としての効力を有するものをいう。以下この条において同じ。)があるものについて、第四十四条第一項第九号の敷地利用権が区分所有者の有する専有部分と分離して処分することができるものとなったことにより敷地権の変更の登記をする場合において、当該変更の登記の申請情報と併せて特定登記に係る権利の登記名義人(当該特定登記が抵当権の登記である場合において、抵当証券が発行されているときは、当該抵当証券の所持人 又は裏書人を含む。)が当該変更の登記後の当該建物 又は当該敷地権の目的であった土地について当該特定登記に係る権利を消滅させることを承諾したことを証する情報が提供されたとき(当該特定登記に係る権利を目的とする第三者の権利に関する登記がある場合にあっては、当該第三者が承諾したことを証する情報が併せて提供されたときに限る)は、法務省令で定めるところにより、当該承諾に係る建物 又は土地について当該特定登記に係る権利が消滅した旨を登記しなければならない。

2項

前項の規定は、特定登記がある建物について敷地権の不存在を原因とする表題部の更正の登記について準用する。


この場合において、

同項
第四十四条第一項第九号の敷地利用権が区分所有者の有する専有部分と分離して処分することができるものとなったことにより敷地権の変更の登記」とあるのは
「敷地権の不存在を原因とする表題部の更正の登記」と、

当該変更の登記」とあるのは
「当該更正の登記」と

読み替えるものとする。

3項

第一項の規定は、特定登記がある建物の合体 又は合併により当該建物が敷地権のない建物となる場合における合体による登記等
又は建物の合併の登記について準用する。


この場合において、

同項中
第四十四条第一項第九号の敷地利用権が区分所有者の有する専有部分と分離して処分することができるものとなったことにより敷地権の変更の登記」とあるのは
「当該建物の合体 又は合併により当該建物が敷地権のない建物となる場合における合体による登記等 又は建物の合併の登記」と、

当該変更の登記」とあるのは
「当該合体による登記等 又は当該建物の合併の登記」と

読み替えるものとする。

4項

第一項の規定は、特定登記がある建物の滅失の登記について準用する。


この場合において、

同項中
第四十四条第一項第九号の敷地利用権が区分所有者の有する専有部分と分離して処分することができるものとなったことにより敷地権の変更の登記」とあるのは
「建物の滅失の登記」と、

当該変更の登記」とあるのは
「当該建物の滅失の登記」と、

当該建物 又は当該敷地権の目的であった土地」とあるのは
「当該敷地権の目的であった土地」と、

当該承諾に係る建物 又は土地」とあるのは
「当該土地」と

読み替えるものとする。

1項

次に掲げる建物の合併の登記は、することができない。

一 号

共用部分である旨の登記 又は団地共用部分である旨の登記がある建物の合併の登記

二 号

表題部所有者 又は所有権の登記名義人が相互に異なる建物の合併の登記

三 号

表題部所有者 又は所有権の登記名義人が相互に持分を異にする建物の合併の登記

四 号

所有権の登記がない建物と所有権の登記がある建物との建物の合併の登記

五 号

所有権等の登記以外の権利に関する登記がある建物(権利に関する登記であって、合併後の建物の登記記録に登記することができるものとして法務省令で定めるものがある建物を除く)の建物の合併の登記

1項

建物が滅失したときは、表題部所有者 又は所有権の登記名義人(共用部分である旨の登記 又は団地共用部分である旨の登記がある建物の場合にあっては、所有者)は、その滅失の日から一月以内に、当該建物の滅失の登記を申請しなければならない。

1項

共用部分である旨の登記 又は団地共用部分である旨の登記に係る建物の表示に関する登記の登記事項は、第二十七条各号第三号除く)及び第四十四条第一項各号第六号除く)に掲げるもののほか、次のとおりとする。

一 号

共用部分である旨の登記にあっては、当該共用部分である建物が当該建物の属する一棟の建物以外の一棟の建物に属する建物の区分所有者の共用に供されるものであるときは、その旨

二 号

団地共用部分である旨の登記にあっては、当該団地共用部分を共用すべき者の所有する建物(当該建物が区分建物であるときは、当該建物が属する一棟の建物

2項

共用部分である旨の登記 又は団地共用部分である旨の登記は、当該共用部分である旨の登記 又は団地共用部分である旨の登記をする建物の表題部所有者 又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない

3項

共用部分である旨の登記 又は団地共用部分である旨の登記は、当該共用部分 又は団地共用部分である建物に所有権等の登記以外の権利に関する登記があるときは、当該権利に関する登記に係る権利の登記名義人(当該権利に関する登記が抵当権の登記である場合において、抵当証券が発行されているときは、当該抵当証券の所持人 又は裏書人を含む。)の承諾があるとき(当該権利を目的とする第三者の権利に関する登記がある場合にあっては、当該第三者の承諾を得たときに限る)でなければ、申請することができない

4項

登記官は、共用部分である旨の登記 又は団地共用部分である旨の登記をするときは、職権で、当該建物について表題部所有者の登記 又は権利に関する登記を抹消しなければならない。

5項

第一項各号に掲げる登記事項についての変更の登記 又は更正の登記は、当該共用部分である旨の登記 又は団地共用部分である旨の登記がある建物の所有者以外の者は、申請することができない

6項

共用部分である旨の登記 又は団地共用部分である旨の登記がある建物について共用部分である旨 又は団地共用部分である旨を定めた規約を廃止した場合には、当該建物の所有者は、当該規約の廃止の日から一月以内に、当該建物の表題登記を申請しなければならない。

7項

前項の規約を廃止した後に当該建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一月以内に、当該建物の表題登記を申請しなければならない。

第三節 権利に関する登記

第一款 通則

1項

権利に関する登記の登記事項は、次のとおりとする。

一 号

登記の目的

二 号

申請の受付の年月日 及び受付番号

三 号
登記原因 及びその日付
四 号

登記に係る権利の権利者の氏名 又は名称 及び住所 並びに登記名義人が二人以上であるときは当該権利の登記名義人ごとの持分

五 号

登記の目的である権利の消滅に関する定めがあるときは、その定め

六 号

共有物分割禁止の定め(共有物 若しくは所有権以外の財産権について民法明治二十九年法律第八十九号第二百五十六条第一項ただし書(同法第二百六十四条において準用する場合を含む。)若しくは第九百八条第二項の規定により分割をしない旨の契約をした場合 若しくは同条第一項の規定により被相続人が遺言で共有物 若しくは所有権以外の財産権について分割を禁止した場合における共有物 若しくは所有権以外の財産権の分割を禁止する定め又は同条第四項の規定により家庭裁判所が遺産である共有物 若しくは所有権以外の財産権についてした分割を禁止する審判をいう。第六十五条において同じ。)があるときは、その定め

七 号

民法第四百二十三条 その他の法令の規定により他人に代わって登記を申請した者(以下「代位者」という。)があるときは、当該代位者の氏名 又は名称 及び住所 並びに代位原因

八 号

第二号に掲げるもののほか、権利の順位を明らかにするために必要な事項として法務省令で定めるもの

1項

権利に関する登記の申請は、法令に別段の定めがある場合を除き、登記権利者 及び登記義務者が共同してしなければならない。

1項

権利に関する登記を申請する場合には、申請人は、法令に別段の定めがある場合を除き、その申請情報と併せて登記原因を証する情報を提供しなければならない。

1項

登記権利者、登記義務者 又は登記名義人が権利に関する登記の申請人となることができる場合において、当該登記権利者、登記義務者 又は登記名義人について相続 その他の一般承継があったときは、相続人 その他の一般承継人は、当該権利に関する登記を申請することができる。

1項

第六十条第六十五条 又は第八十九条第一項同条第二項第九十五条第二項において準用する場合を含む。)及び第九十五条第二項において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、これらの規定により申請を共同してしなければならない者の一方に登記手続をすべきことを命ずる確定判決による登記は、当該申請を共同してしなければならない者の他方が単独で申請することができる。

2項

相続 又は法人の合併による権利の移転の登記は、登記権利者が単独で申請することができる。

3項

遺贈(相続人に対する遺贈に限る)による所有権の移転の登記は、第六十条の規定にかかわらず、登記権利者が単独で申請することができる。

1項

登記名義人の氏名 若しくは名称 又は住所についての変更の登記 又は更正の登記は、登記名義人が単独で申請することができる。

2項

抵当証券が発行されている場合における債務者の氏名 若しくは名称 又は住所についての変更の登記 又は更正の登記は、債務者が単独で申請することができる。

1項

共有物分割禁止の定めに係る権利の変更の登記の申請は、当該権利の共有者であるすべての登記名義人が共同してしなければならない。

1項

権利の変更の登記 又は更正の登記は、登記上の利害関係を有する第三者(権利の変更の登記 又は更正の登記につき利害関係を有する抵当証券の所持人 又は裏書人を含む。以下この条において同じ。)の承諾がある場合 及び当該第三者がない場合に限り、付記登記によってすることができる。

1項

登記官は、権利に関する登記に錯誤 又は遺漏があることを発見したときは、遅滞なく、その旨を登記権利者 及び登記義務者(登記権利者 及び登記義務者がない場合にあっては、登記名義人。第三項 及び第七十一条第一項において同じ。)に通知しなければならない。


ただし、登記権利者、登記義務者 又は登記名義人がそれぞれ二人以上あるときは、その一人に対し通知すれば足りる。

2項

登記官は、前項の場合において、登記の錯誤 又は遺漏が登記官の過誤によるものであるときは、遅滞なく、当該登記官を監督する法務局 又は地方法務局の長の許可を得て、登記の更正をしなければならない。


ただし、登記上の利害関係を有する第三者(当該登記の更正につき利害関係を有する抵当証券の所持人 又は裏書人を含む。以下この項において同じ。)がある場合にあっては、当該第三者の承諾があるときに限る

3項

登記官が前項の登記の更正をしたときは、その旨を登記権利者 及び登記義務者に通知しなければならない。


この場合においては、第一項ただし書の規定を準用する。

4項

第一項 及び前項の通知は、代位者にもしなければならない。


この場合においては、第一項ただし書の規定を準用する。

1項

権利に関する登記の抹消は、登記上の利害関係を有する第三者(当該登記の抹消につき利害関係を有する抵当証券の所持人 又は裏書人を含む。以下この条において同じ。)がある場合には、当該第三者の承諾があるときに限り、申請することができる。

1項

権利が人の死亡 又は法人の解散によって消滅する旨が登記されている場合において、当該権利がその死亡 又は解散によって消滅したときは、第六十条の規定にかかわらず、登記権利者は、単独で当該権利に係る権利に関する登記の抹消を申請することができる。

1項

買戻しの特約に関する登記がされている場合において、契約の日から十年を経過したときは、第六十条の規定にかかわらず、登記権利者は、単独で当該登記の抹消を申請することができる。

1項

登記権利者は、共同して登記の抹消の申請をすべき者の所在が知れないためその者と共同して権利に関する登記の抹消を申請することができないときは、非訟事件手続法平成二十三年法律第五十一号第九十九条に規定する公示催告の申立てをすることができる。

2項

前項の登記が地上権、永小作権、質権、賃借権 若しくは採石権に関する登記 又は買戻しの特約に関する登記であり、かつ、登記された存続期間 又は買戻しの期間が満了している場合において、相当の調査が行われたと認められるものとして法務省令で定める方法により調査を行ってもなお共同して登記の抹消の申請をすべき者の所在が判明しないときは、その者の所在が知れないものとみなして、同項の規定を適用する。

3項

前二項の場合において、非訟事件手続法第百六条第一項に規定する除権決定があったときは、第六十条の規定にかかわらず、当該登記権利者は、単独で第一項の登記の抹消を申請することができる。

4項

第一項に規定する場合において、登記権利者が先取特権、質権 又は抵当権の被担保債権が消滅したことを証する情報として政令で定めるものを提供したときは、第六十条の規定にかかわらず、当該登記権利者は、単独でそれらの権利に関する登記の抹消を申請することができる。


同項に規定する場合において、被担保債権の弁済期から二十年を経過し、かつ、その期間を経過した後に当該被担保債権、その利息 及び債務不履行により生じた損害の全額に相当する金銭が供託されたときも、同様とする。

1項

登記権利者は、共同して登記の抹消の申請をすべき法人が解散し、前条第二項に規定する方法により調査を行ってもなお その法人の清算人の所在が判明しないためその法人と共同して先取特権、質権 又は抵当権に関する登記の抹消を申請することができない場合において、被担保債権の弁済期から三十年を経過し、かつ、その法人の解散の日から三十年を経過したときは、第六十条の規定にかかわらず、単独で当該登記の抹消を申請することができる。

1項

登記官は、権利に関する登記を完了した後に当該登記が第二十五条第一号から第三号まで 又は第十三号に該当することを発見したときは、登記権利者 及び登記義務者 並びに登記上の利害関係を有する第三者に対し、一月以内の期間を定め、当該登記の抹消について異議のある者がその期間内に書面で異議を述べないときは、当該登記を抹消する旨を通知しなければならない。

2項

登記官は、通知を受けるべき者の住所 又は居所が知れないときは、法務省令で定めるところにより、前項の通知に代えて、通知をすべき内容を公告しなければならない。

3項

登記官は、第一項の異議を述べた者がある場合において、当該異議に理由がないと認めるときは決定で当該異議を却下し、当該異議に理由があると認めるときは決定でその旨を宣言し、かつ、当該異議を述べた者に通知しなければならない。

4項

登記官は、第一項の異議を述べた者がないとき、又は前項の規定により当該異議を却下したときは、職権で、第一項に規定する登記を抹消しなければならない。

1項

抹消された登記(権利に関する登記に限る)の回復は、登記上の利害関係を有する第三者(当該登記の回復につき利害関係を有する抵当証券の所持人 又は裏書人を含む。以下この条において同じ。)がある場合には、当該第三者の承諾があるときに限り、申請することができる。

1項

敷地権付き区分建物についての所有権 又は担保権(一般の先取特権、質権 又は抵当権をいう。以下この条において同じ。)に係る権利に関する登記は、第四十六条の規定により敷地権である旨の登記をした土地の敷地権についてされた登記としての効力を有する。


ただし、次に掲げる登記は、この限りでない。

一 号

敷地権付き区分建物についての所有権 又は担保権に係る権利に関する登記であって、区分建物に関する敷地権の登記をする前に登記されたもの(担保権に係る権利に関する登記にあっては、当該登記の目的等(登記の目的、申請の受付の年月日 及び受付番号 並びに登記原因 及びその日付をいう。以下この号において同じ。)が当該敷地権となった土地の権利についてされた担保権に係る権利に関する登記の目的等と同一であるものを除く

二 号

敷地権付き区分建物についての所有権に係る仮登記であって、区分建物に関する敷地権の登記をした後に登記されたものであり、かつ、その登記原因が当該建物の当該敷地権が生ずる前に生じたもの

三 号

敷地権付き区分建物についての質権 又は抵当権に係る権利に関する登記であって、区分建物に関する敷地権の登記をした後に登記されたものであり、かつ、その登記原因が当該建物の当該敷地権が生ずる前に生じたもの

四 号

敷地権付き区分建物についての所有権 又は質権 若しくは抵当権に係る権利に関する登記であって、区分建物に関する敷地権の登記をした後に登記されたものであり、かつ、その登記原因が当該建物の当該敷地権が生じた後に生じたもの(区分所有法第二十二条第一項本文(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定により区分所有者の有する専有部分と その専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない場合(以下この条において「分離処分禁止の場合」という。)を除く

2項

第四十六条の規定により敷地権である旨の登記をした土地には、敷地権の移転の登記 又は敷地権を目的とする担保権に係る権利に関する登記をすることができない


ただし、当該土地が敷地権の目的となった後にその登記原因が生じたもの(分離処分禁止の場合を除く)又は敷地権についての仮登記 若しくは質権 若しくは抵当権に係る権利に関する登記であって当該土地が敷地権の目的となる前にその登記原因が生じたものは、この限りでない。

3項

敷地権付き区分建物には、当該建物のみの所有権の移転を登記原因とする所有権の登記 又は当該建物のみを目的とする担保権に係る権利に関する登記をすることができない


ただし、当該建物の敷地権が生じた後にその登記原因が生じたもの(分離処分禁止の場合を除く)又は当該建物のみの所有権についての仮登記 若しくは当該建物のみを目的とする質権 若しくは抵当権に係る権利に関する登記であって当該建物の敷地権が生ずる前にその登記原因が生じたものは、この限りでない。

第二款 所有権に関する登記

1項

所有権の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。

一 号

所有権の登記名義人が法人であるときは、会社法人等番号(商業登記法昭和三十八年法律第百二十五号第七条他の法令において準用する場合を含む。)に規定する会社法人等番号をいう。)その他の特定の法人を識別するために必要な事項として法務省令で定めるもの

二 号
所有権の登記名義人が国内に住所を有しないときは、その国内における連絡先となる者の氏名 又は名称 及び住所 その他の国内における連絡先に関する事項として法務省令で定めるもの
2項

前項各号に掲げる登記事項についての登記に関し必要な事項は、法務省令で定める。

1項

所有権の保存の登記は、次に掲げる者以外の者は、申請することができない

一 号

表題部所有者 又はその相続人 その他の一般承継人

二 号

所有権を有することが確定判決によって確認された者

三 号

収用(土地収用法昭和二十六年法律第二百十九号)その他の法律の規定による収用をいう。第百十八条第一項 及び第三項から第五項までにおいて同じ。)によって所有権を取得した者

2項

区分建物にあっては、表題部所有者から所有権を取得した者も、前項の登記を申請することができる。


この場合において、当該建物が敷地権付き区分建物であるときは、当該敷地権の登記名義人の承諾を得なければならない。

1項

登記官は、前条第一項第二号 又は第三号に掲げる者の申請に基づいて表題登記がない不動産について所有権の保存の登記をするときは、当該不動産に関する不動産の表示のうち法務省令で定めるものを登記しなければならない。

1項

所有権の保存の登記においては、第五十九条第三号の規定にかかわらず、登記原因 及びその日付を登記することを要しない。


ただし、敷地権付き区分建物について第七十四条第二項の規定により所有権の保存の登記をする場合は、この限りでない。

2項

登記官は、所有権の登記がない不動産について嘱託により所有権の処分の制限の登記をするときは、職権で、所有権の保存の登記をしなければならない。

3項

前条の規定は、表題登記がない不動産について嘱託により所有権の処分の制限の登記をする場合について準用する。

1項

所有権の登記名義人について相続の開始があったときは、当該相続により所有権を取得した者は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。


遺贈(相続人に対する遺贈に限る)により所有権を取得した者も、同様とする。

2項

前項前段の規定による登記(民法第九百条 及び第九百一条の規定により算定した相続分に応じてされたものに限る次条第四項において同じ。)がされた後に遺産の分割があったときは、当該遺産の分割によって当該相続分を超えて所有権を取得した者は、当該遺産の分割の日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。

3項

前二項の規定は、代位者 その他の者の申請 又は嘱託により、当該各項の規定による登記がされた場合には、適用しない

1項

前条第一項の規定により所有権の移転の登記を申請する義務を負う者は、法務省令で定めるところにより、登記官に対し、所有権の登記名義人について相続が開始した旨 及び自らが当該所有権の登記名義人の相続人である旨を申し出ることができる。

2項

前条第一項に規定する期間内に前項の規定による申出をした者は、同条第一項に規定する所有権の取得(当該申出の前にされた遺産の分割によるものを除く)に係る所有権の移転の登記を申請する義務を履行したものとみなす。

3項

登記官は、第一項の規定による申出があったときは、職権で、その旨 並びに当該申出をした者の氏名 及び住所 その他法務省令で定める事項を所有権の登記に付記することができる。

4項

第一項の規定による申出をした者は、その後 の遺産の分割によって所有権を取得したとき(前条第一項前段の規定による登記がされた後に当該遺産の分割によって所有権を取得したときを除く)は、当該遺産の分割の日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。

5項

前項の規定は、代位者 その他の者の申請 又は嘱託により、同項の規定による登記がされた場合には、適用しない

6項

第一項の規定による申出の手続 及び第三項の規定による登記に関し必要な事項は、法務省令で定める。

1項

所有権の登記の抹消は、所有権の移転の登記がない場合に限り、所有権の登記名義人が単独で申請することができる。

第三款 用益権に関する登記

1項

地上権の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。

一 号

地上権設定の目的

二 号

地代 又はその支払時期の定めがあるときは、その定め

三 号

存続期間 又は借地借家法平成三年法律第九十号第二十二条第一項前段 若しくは第二十三条第一項 若しくは大規模な災害の被災地における借地借家に関する特別措置法平成二十五年法律第六十一号)第七条第一項の定めがあるときは、その定め

四 号

地上権設定の目的が借地借家法第二十三条第一項 又は第二項に規定する建物の所有であるときは、その旨

五 号

民法第二百六十九条の二第一項前段に規定する地上権の設定にあっては、その目的である地下又は空間の上下の範囲 及び同項後段の定めがあるときはその定め

1項

永小作権の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。

一 号

小作料

二 号

存続期間 又は小作料の支払時期の定めがあるときは、その定め

三 号

民法第二百七十二条ただし書の定めがあるときは、その定め

四 号

前二号に規定するもののほか、永小作人の権利 又は義務に関する定めがあるときは、その定め

1項

承役地(民法第二百八十五条第一項に規定する承役地をいう。以下この条において同じ。)についてする地役権の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。

一 号

要役地(民法第二百八十一条第一項に規定する要役地をいう。以下この条において同じ。

二 号
地役権設定の目的 及び範囲
三 号

民法第二百八十一条第一項ただし書 若しくは第二百八十五条第一項ただし書の別段の定め又は同法第二百八十六条の定めがあるときは、その定め

2項

前項の登記においては、第五十九条第四号の規定にかかわらず、地役権者の氏名 又は名称 及び住所を登記することを要しない。

3項

要役地に所有権の登記がないときは、承役地に地役権の設定の登記をすることができない

4項

登記官は、承役地に地役権の設定の登記をしたときは、要役地について、職権で、法務省令で定める事項を登記しなければならない。

1項

賃借権の登記 又は賃借物の転貸の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。

一 号
賃料
二 号

存続期間 又は賃料の支払時期の定めがあるときは、その定め

三 号

賃借権の譲渡 又は賃借物の転貸を許す旨の定めがあるときは、その定め

四 号
敷金があるときは、その旨
五 号

賃貸人が財産の処分につき行為能力の制限を受けた者 又は財産の処分の権限を有しない者であるときは、その旨

六 号

土地の賃借権設定の目的が建物の所有であるときは、その旨

七 号

前号に規定する場合において建物が借地借家法第二十三条第一項 又は第二項に規定する建物であるときは、その旨

八 号

借地借家法第二十二条第一項前段、第二十三条第一項第三十八条第一項前段 若しくは第三十九条第一項高齢者の居住の安定確保に関する法律平成十三年法律第二十六号)第五十二条第一項 又は大規模な災害の被災地における借地借家に関する特別措置法第七条第一項の定めがあるときは、その定め

1項

採石権の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。

一 号

存続期間

二 号

採石権の内容 又は採石料 若しくはその支払時期の定めがあるときは、その定め

第四款 担保権等に関する登記

1項

先取特権、質権 若しくは転質 又は抵当権の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。

一 号

債権額(一定の金額を目的としない債権については、その価額

二 号
債務者の氏名 又は名称 及び住所
三 号

所有権以外の権利を目的とするときは、その目的となる権利

四 号

二以上の不動産に関する権利を目的とするときは、当該二以上の不動産 及び当該権利

五 号

外国通貨で第一号の債権額を指定した債権を担保する質権 若しくは転質 又は抵当権の登記にあっては、本邦通貨で表示した担保限度額

2項

登記官は、前項第四号に掲げる事項を明らかにするため、法務省令で定めるところにより、共同担保目録を作成することができる。

1項

債権の一部について譲渡 又は代位弁済がされた場合における先取特権、質権 若しくは転質 又は抵当権の移転の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、当該譲渡 又は代位弁済の目的である債権の額とする。

1項

不動産工事の先取特権の保存の登記においては、第八十三条第一項第一号の債権額として工事費用の予算額を登記事項とする。

1項

建物を新築する場合における不動産工事の先取特権の保存の登記については、当該建物の所有者となるべき者を登記義務者とみなす。


この場合においては、第二十二条本文の規定は、適用しない

2項

前項の登記の登記事項は、第五十九条各号 及び第八十三条第一項各号第三号除く)に掲げるもののほか、次のとおりとする。

一 号

新築する建物 並びに当該建物の種類、構造 及び床面積は設計書による旨

二 号

登記義務者の氏名 又は名称 及び住所

3項

前項第一号の規定は、所有権の登記がある建物の附属建物を新築する場合における不動産工事の先取特権の保存の登記について準用する。

1項

前条第一項の登記をした場合において、建物の建築が完了したときは、当該建物の所有者は、遅滞なく、所有権の保存の登記を申請しなければならない。

2項

前条第三項の登記をした場合において、附属建物の建築が完了したときは、当該附属建物が属する建物の所有権の登記名義人は、遅滞なく、当該附属建物の新築による建物の表題部の変更の登記を申請しなければならない。

1項

抵当権(根抵当権(民法第三百九十八条の二第一項の規定による抵当権をいう。以下同じ。)を除く)の登記の登記事項は、第五十九条各号 及び第八十三条第一項各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。

一 号

利息に関する定めがあるときは、その定め

二 号

民法第三百七十五条第二項に規定する損害の賠償額の定めがあるときは、その定め

三 号

債権に付した条件があるときは、その条件

四 号

民法第三百七十条ただし書の別段の定めがあるときは、その定め

五 号

抵当証券発行の定めがあるときは、その定め

六 号

前号の定めがある場合において元本 又は利息の弁済期 又は支払場所の定めがあるときは、その定め

2項

根抵当権の登記の登記事項は、第五十九条各号 及び第八十三条第一項各号第一号除く)に掲げるもののほか、次のとおりとする。

一 号

担保すべき債権の範囲 及び極度額

二 号

民法第三百七十条ただし書の別段の定めがあるときは、その定め

三 号

担保すべき元本の確定すべき期日の定めがあるときは、その定め

四 号

民法第三百九十八条の十四第一項ただし書の定めがあるときは、その定め

1項

抵当権の順位の変更の登記の申請は、順位を変更する当該抵当権の登記名義人が共同してしなければならない。

2項

前項の規定は、民法第三百九十八条の十四第一項ただし書の定めがある場合の当該定めの登記の申請について準用する。

1項

第八十三条 及び第八十八条の規定は、民法第三百七十六条第一項の規定により抵当権を他の債権のための担保とし、又は抵当権を譲渡し、若しくは放棄する場合の登記について準用する。

1項

民法第三百九十三条の規定による代位の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、先順位の抵当権者が弁済を受けた不動産に関する権利、当該不動産の代価 及び当該弁済を受けた額とする。

2項

第八十三条 及び第八十八条の規定は、前項の登記について準用する。

1項

民法第三百九十八条の八第一項 又は第二項の合意の登記は、当該相続による根抵当権の移転 又は債務者の変更の登記をした後でなければ、することができない

1項

民法第三百九十八条の十九第二項 又は第三百九十八条の二十第一項第三号 若しくは第四号の規定により根抵当権の担保すべき元本が確定した場合の登記は、第六十条の規定にかかわらず、当該根抵当権の登記名義人が単独で申請することができる。


ただし同項第三号 又は第四号の規定により根抵当権の担保すべき元本が確定した場合における申請は、当該根抵当権 又はこれを目的とする権利の取得の登記の申請と併せてしなければならない。

1項

登記官は、抵当証券を交付したときは、職権で、抵当証券交付の登記をしなければならない。

2項

抵当証券法第一条第二項の申請があった場合において、同法第五条第二項の嘱託を受けた登記所の登記官が抵当証券を作成したときは、当該登記官は、職権で、抵当証券作成の登記をしなければならない。

3項

前項の場合において、同項の申請を受けた登記所の登記官は、抵当証券を交付したときは抵当証券交付の登記を、同項の申請を却下したときは抵当証券作成の登記の抹消を同項の登記所に嘱託しなければならない。

4項

第二項の規定による抵当証券作成の登記をした不動産について、前項の規定による嘱託により抵当証券交付の登記をしたときは、当該抵当証券交付の登記は、当該抵当証券作成の登記をした時にさかのぼってその効力を生ずる。

1項

質権 又は転質の登記の登記事項は、第五十九条各号 及び第八十三条第一項各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。

一 号

存続期間の定めがあるときは、その定め

二 号

利息に関する定めがあるときは、その定め

三 号

違約金 又は賠償額の定めがあるときは、その定め

四 号

債権に付した条件があるときは、その条件

五 号

民法第三百四十六条ただし書の別段の定めがあるときは、その定め

六 号

民法第三百五十九条の規定によりその設定行為について別段の定め(同法第三百五十六条 又は第三百五十七条に規定するものに限る)があるときは、その定め

七 号

民法第三百六十一条において準用する同法第三百七十条ただし書の別段の定めがあるときは、その定め

2項

第八十八条第二項 及び第八十九条から第九十三条までの規定は、質権について準用する。


この場合において、

第九十条 及び第九十一条第二項
第八十八条」とあるのは、
第九十五条第一項 又は同条第二項において準用する第八十八条第二項」と

読み替えるものとする。

1項

買戻しの特約の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、買主が支払った代金(民法第五百七十九条の別段の合意をした場合にあっては、その合意により定めた金額)及び契約の費用 並びに買戻しの期間の定めがあるときはその定めとする。

第五款 信託に関する登記

1項

信託の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。

一 号

委託者、受託者 及び受益者の氏名 又は名称 及び住所

二 号

受益者の指定に関する条件 又は受益者を定める方法の定めがあるときは、その定め

三 号

信託管理人があるときは、その氏名 又は名称 及び住所

四 号

受益者代理人があるときは、その氏名 又は名称 及び住所

五 号

信託法平成十八年法律第百八号)第百八十五条第三項に規定する受益証券発行信託であるときは、その旨

六 号

信託法第二百五十八条第一項に規定する受益者の定めのない信託であるときは、その旨

七 号

公益信託ニ関スル法律大正十一年法律第六十二号) 第一条に規定する公益信託であるときは、その旨

八 号

信託の目的

九 号

信託財産の管理方法

十 号
信託の終了の事由
十一 号
その他の信託の条項
2項

前項第二号から第六号までに掲げる事項のいずれかを登記したときは、同項第一号の受益者(同項第四号に掲げる事項を登記した場合にあっては、当該受益者代理人が代理する受益者に限る)の氏名 又は名称 及び住所を登記することを要しない。

3項

登記官は、第一項各号に掲げる事項を明らかにするため、法務省令で定めるところにより、信託目録を作成することができる。

1項

信託の登記の申請は、当該信託に係る権利の保存、設定、移転 又は変更の登記の申請と同時にしなければならない。

2項

信託の登記は、受託者が単独で申請することができる。

3項

信託法第三条第三号に掲げる方法によってされた信託による権利の変更の登記は、受託者が単独で申請することができる。

1項

受益者 又は委託者は、受託者に代わって信託の登記を申請することができる。

1項

受託者の任務が死亡、後見開始 若しくは保佐開始の審判、破産手続開始の決定、法人の合併以外の理由による解散 又は裁判所 若しくは主務官庁(その権限の委任を受けた国に所属する行政庁 及びその権限に属する事務を処理する都道府県の執行機関を含む。第百二条第二項において同じ。)の解任命令により終了し、新たに受託者が選任されたときは、信託財産に属する不動産についてする受託者の変更による権利の移転の登記は、第六十条の規定にかかわらず、新たに選任された当該受託者が単独で申請することができる。

2項

受託者が二人以上ある場合において、そのうち少なくとも一人の受託者の任務が前項に規定する事由により終了したときは、信託財産に属する不動産についてする当該受託者の任務の終了による権利の変更の登記は、第六十条の規定にかかわらず、他の受託者が単独で申請することができる。

1項

登記官は、信託財産に属する不動産について次に掲げる登記をするときは、職権で、信託の変更の登記をしなければならない。

一 号

信託法第七十五条第一項 又は第二項の規定による権利の移転の登記

二 号

信託法第八十六条第四項本文の規定による権利の変更の登記

三 号

受託者である登記名義人の氏名 若しくは名称 又は住所についての変更の登記 又は更正の登記

1項

裁判所書記官は、受託者の解任の裁判があったとき、信託管理人 若しくは受益者代理人の選任 若しくは解任の裁判があったとき、又は信託の変更を命ずる裁判があったときは、職権で、遅滞なく、信託の変更の登記を登記所に嘱託しなければならない。

2項

主務官庁は、受託者を解任したとき、信託管理人 若しくは受益者代理人を選任し、若しくは解任したとき、又は信託の変更を命じたときは、遅滞なく、信託の変更の登記を登記所に嘱託しなければならない。

1項

前二条に規定するもののほか第九十七条第一項各号に掲げる登記事項について変更があったときは、受託者は、遅滞なく、信託の変更の登記を申請しなければならない。

2項

第九十九条の規定は、前項の信託の変更の登記の申請について準用する。

1項

信託財産に属する不動産に関する権利が移転、変更 又は消滅により信託財産に属しないこととなった場合における信託の登記の抹消の申請は、当該権利の移転の登記 若しくは変更の登記 又は当該権利の登記の抹消の申請と同時にしなければならない。

2項

信託の登記の抹消は、受託者が単独で申請することができる。

1項

信託の併合 又は分割により不動産に関する権利が一の信託の信託財産に属する財産から他の信託の信託財産に属する財産となった場合における当該権利に係る当該一の信託についての信託の登記の抹消 及び当該他の信託についての信託の登記の申請は、信託の併合 又は分割による権利の変更の登記の申請と同時にしなければならない。


信託の併合 又は分割以外の事由により不動産に関する権利が一の信託の信託財産に属する財産から受託者を同一とする他の信託の信託財産に属する財産となった場合も、同様とする。

2項

信託財産に属する不動産についてする次の表の上欄に掲げる場合における権利の変更の登記(第九十八条第三項の登記を除く)については、同表の中欄に掲げる者を登記権利者とし、同表の下欄に掲げる者を登記義務者とする。


この場合において、受益者(信託管理人がある場合にあっては、信託管理人。以下この項において同じ。)については、第二十二条本文の規定は、適用しない

一 不動産に関する権利が固有財産に属する財産か信託財産に属する財産となった場合
受益者
受託者
二 不動産に関する権利が信託財産に属する財産から 固有財産に属する財産となった場合
受託者
受益者
三 不動産に関する権利が一の信託の信託財産に属する財産から他の信託の信託財産に属する財産となった場合
当該 他の信託の受益者 及び受託者
当該一の信託の受益者 及び受託者

第六款 仮登記

1項

仮登記は、次に掲げる場合にすることができる。

一 号

第三条各号に掲げる権利について保存等があった場合において、当該保存等に係る登記の申請をするために登記所に対し提供しなければならない情報であって、第二十五条第九号の申請情報と併せて提供しなければならないものとされているもののうち法務省令で定めるものを提供することができないとき。

二 号

第三条各号に掲げる権利の設定、移転、変更 又は消滅に関して請求権(始期付き又は停止条件付きのものその他将来確定することが見込まれるものを含む。)を保全しようとするとき。

1項

仮登記に基づいて本登記(仮登記がされた後、これと同一の不動産についてされる同一の権利についての権利に関する登記であって、当該不動産に係る登記記録に当該仮登記に基づく登記であることが記録されているものをいう。以下同じ。)をした場合は、当該本登記の順位は、当該仮登記の順位による。

1項

仮登記は、仮登記の登記義務者の承諾があるとき及び次条に規定する仮登記を命ずる処分があるときは、第六十条の規定にかかわらず、当該仮登記の登記権利者が単独で申請することができる。

2項

仮登記の登記権利者 及び登記義務者が共同して仮登記を申請する場合については、第二十二条本文の規定は、適用しない

1項

裁判所は、仮登記の登記権利者の申立てにより、仮登記を命ずる処分をすることができる。

2項

前項の申立てをするときは、仮登記の原因となる事実を疎明しなければならない。

3項

第一項の申立てに係る事件は、不動産の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に専属する。

4項

第一項の申立てを却下した決定に対しては、即時抗告をすることができる。

5項

非訟事件手続法第二条 及び第二編同法第五条第六条第七条第二項第四十条第五十九条第六十六条第一項 及び第二項 並びに第七十二条除く)の規定は、前項の即時抗告について準用する。

1項

所有権に関する仮登記に基づく本登記は、登記上の利害関係を有する第三者(本登記につき利害関係を有する抵当証券の所持人 又は裏書人を含む。以下この条において同じ。)がある場合には、当該第三者の承諾があるときに限り、申請することができる。

2項

登記官は、前項の規定による申請に基づいて登記をするときは、職権で、同項の第三者の権利に関する登記を抹消しなければならない。

1項

仮登記の抹消は、第六十条の規定にかかわらず、仮登記の登記名義人が単独で申請することができる。


仮登記の登記名義人の承諾がある場合における当該仮登記の登記上の利害関係人も、同様とする。

第七款 仮処分に関する登記

1項

所有権について民事保全法平成元年法律第九十一号第五十三条第一項の規定による処分禁止の登記(同条第二項に規定する保全仮登記(以下「保全仮登記」という。)とともにしたものを除く。以下この条において同じ。)がされた後、当該処分禁止の登記に係る仮処分の債権者が当該仮処分の債務者を登記義務者とする所有権の登記(仮登記を除く)を申請する場合においては、当該債権者は、当該処分禁止の登記に後れる登記の抹消を単独で申請することができる。

2項

前項の規定は、所有権以外の権利について民事保全法第五十三条第一項の規定による処分禁止の登記がされた後、当該処分禁止の登記に係る仮処分の債権者が当該仮処分の債務者を登記義務者とする当該権利の移転 又は消滅に関し登記(仮登記を除く)を申請する場合について準用する。

3項

登記官は、第一項前項において準用する場合を含む。)の申請に基づいて当該処分禁止の登記に後れる登記を抹消するときは、職権で、当該処分禁止の登記も抹消しなければならない。

1項

保全仮登記に基づいて本登記をした場合は、当該本登記の順位は、当該保全仮登記の順位による。

1項

不動産の使用 又は収益をする権利について保全仮登記がされた後、当該保全仮登記に係る仮処分の債権者が本登記を申請する場合においては、当該債権者は、所有権以外の不動産の使用 若しくは収益をする権利 又は当該権利を目的とする権利に関する登記であって当該保全仮登記とともにした処分禁止の登記に後れるものの抹消を単独で申請することができる。

1項

登記官は、保全仮登記に基づく本登記をするときは、職権で、当該保全仮登記とともにした処分禁止の登記を抹消しなければならない。

第八款 官庁又は公署が関与する登記等

1項

官庁 又は公署は、公売処分をした場合において、登記権利者の請求があったときは、遅滞なく、次に掲げる事項を登記所に嘱託しなければならない。

一 号

公売処分による権利の移転の登記

二 号

公売処分により消滅した権利の登記の抹消

三 号

滞納処分に関する差押えの登記の抹消

1項

国 又は地方公共団体が登記権利者となって権利に関する登記をするときは、官庁 又は公署は、遅滞なく、登記義務者の承諾を得て、当該登記を登記所に嘱託しなければならない。

2項

国 又は地方公共団体が登記義務者となる権利に関する登記について登記権利者の請求があったときは、官庁 又は公署は、遅滞なく、当該登記を登記所に嘱託しなければならない。

1項

登記官は、官庁 又は公署が登記権利者(登記をすることによって登記名義人となる者に限る。以下この条において同じ。)のためにした登記の嘱託に基づいて登記を完了したときは、速やかに、当該登記権利者のために登記識別情報を当該官庁 又は公署に通知しなければならない。

2項

前項の規定により登記識別情報の通知を受けた官庁 又は公署は、遅滞なく、これを同項の登記権利者に通知しなければならない。

1項

不動産の収用による所有権の移転の登記は、第六十条の規定にかかわらず、起業者が単独で申請することができる。

2項

国 又は地方公共団体が起業者であるときは、官庁 又は公署は、遅滞なく、前項の登記を登記所に嘱託しなければならない。

3項

前二項の規定は、不動産に関する所有権以外の権利の収用による権利の消滅の登記について準用する。

4項

土地の収用による権利の移転の登記を申請する場合には、当該収用により消滅した権利 又は失効した差押え、仮差押え 若しくは仮処分に関する登記を指定しなければならない。


この場合において、権利の移転の登記をするときは、登記官は、職権で、当該指定に係る登記を抹消しなければならない。

5項

登記官は、建物の収用による所有権の移転の登記をするときは、職権で、当該建物を目的とする所有権等の登記以外の権利に関する登記を抹消しなければならない。


第三項の登記をする場合において同項の権利を目的とする権利に関する登記についても、同様とする。

6項

登記官は、第一項の登記をするときは、職権で、裁決手続開始の登記を抹消しなければならない。