刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律

# 平成十七年法律第五十号 #
略称 : 刑事施設法  刑事収容施設法  刑事被収容者処遇法 

第二章 刑事施設における被収容者の処遇

分類 法律
カテゴリ   刑事
@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第六十三号による改正
最終編集日 : 2024年 04月25日 17時58分


第一節 収容の開始

1項

刑事施設の長は、被収容者に対し、その刑事施設における収容の開始に際し、被収容者としての地位に応じ、次に掲げる事項を告知しなければならない。


その刑事施設に収容されている被収容者がその地位を異にするに至ったときも、同様とする。

一 号

物品の貸与 及び支給 並びに自弁に関する事項

二 号

第四十八条第一項に規定する保管私物 その他の金品の取扱いに関する事項

三 号

保健衛生 及び医療に関する事項

四 号

宗教上の行為、儀式行事 及び教誨に関する事項

五 号

書籍等(書籍、雑誌、新聞紙 その他の文書図画(信書を除く)をいう。以下同じ。)の閲覧に関する事項

六 号

第七十四条第一項に規定する遵守事項

七 号

面会 及び信書の発受に関する事項

八 号
懲罰に関する事項
九 号

審査の申請を行うことができる措置、審査の申請をすべき行政庁 及び審査の申請期間 その他の審査の申請に関する事項

十 号

第百六十三条第一項の規定による申告を行うことができる行為、申告先 及び申告期間 その他の同項の規定による申告に関する事項

十一 号
苦情の申出に関する事項
2項

前項の規定による告知は、法務省令で定めるところにより、書面で行う。

1項

刑務官は、被収容者について、その刑事施設における収容の開始に際し、その者の識別のため必要な限度で、その身体を検査することができる。


その後 必要が生じたときも、同様とする。

2項

女子の被収容者について前項の規定により検査を行う場合には、女子の刑務官がこれを行わなければならない。


ただし、女子の刑務官がその検査を行うことができない場合には、男子の刑務官が刑事施設の長の指名する女子の職員を指揮して、これを行うことができる。

第二節 処遇の態様

1項

未決拘禁者(刑事施設に収容されているものに限る。以下この章において同じ。)の処遇(運動、入浴 又は面会の場合 その他の法務省令で定める場合における処遇を除く次条第一項 及び第三十七条第一項において同じ。)は、居室外において行うことが適当と認める場合を除き、昼夜、居室において行う。

2項

未決拘禁者(死刑確定者としての地位を有するものを除く)の居室は、罪証の隠滅の防止上支障を生ずるおそれがある場合には、単独室とし、それ以外の場合にあっても、処遇上共同室に収容することが適当と認める場合を除き、できる限り、単独室とする。

3項

未決拘禁者は、罪証の隠滅の防止上支障を生ずるおそれがある場合には、居室外においても相互に接触させてはならない。

1項

死刑確定者の処遇は、居室外において行うことが適当と認める場合を除き、昼夜、居室において行う。

2項

死刑確定者の居室は、単独室とする。

3項

死刑確定者は、居室外においても、第三十二条第一項に定める処遇の原則に照らして有益と認められる場合を除き、相互に接触させてはならない。

1項

各種被収容者(刑事施設に収容されているものに限る。以下この章において同じ。)の処遇は、居室外において行うことが適当と認める場合を除き、昼夜、居室において行う。

2項

各種被収容者の居室は、処遇上共同室に収容することが適当と認める場合を除き、できる限り、単独室とする。

第三節 起居動作の時間帯等

1項

刑事施設の長は、法務省令で定めるところにより、次に掲げる時間帯を定め、これを被収容者に告知するものとする。

一 号

食事、就寝 その他の起居動作をすべき時間帯

二 号

受刑者(刑事施設に収容されているものに限る。以下この章において同じ。)については、第八十六条第一項に規定する矯正処遇等の時間帯 及び余暇に充てられるべき時間帯

1項

刑事施設の長は、被収容者に対し、刑事施設の規律 及び秩序の維持 その他管理運営上支障を生ずるおそれがない限り、余暇時間帯等(受刑者にあっては余暇に充てられるべき時間帯をいい、その他の被収容者にあっては食事、就寝 その他の起居動作をすべき時間帯以外の時間帯をいう。次項において同じ。)において自己契約作業(その者が刑事施設の外部の者との請負契約により行う物品の製作 その他の作業をいう。以下同じ。)を行うことを許すものとする。

2項

刑事施設の長は、法務省令で定めるところにより、被収容者に対し、自己契約作業、知的、教育的 及び娯楽的活動、運動競技 その他の余暇時間帯等における活動について、援助を与えるものとする。

第四節 物品の貸与等及び自弁

1項

被収容者には、次に掲げる物品(書籍等を除く。以下この節において同じ。)であって、刑事施設における日常生活に必要なもの(第四十二条第一項各号に掲げる物品を除く)を貸与し、又は支給する。

一 号
衣類 及び寝具
二 号
食事 及び湯茶
三 号
日用品、筆記具 その他の物品
2項

被収容者には、前項に定めるもののほか、法務省令で定めるところにより、必要に応じ、室内装飾品 その他の刑事施設における日常生活に用いる物品(第四十二条第一項各号に掲げる物品を除く)を貸与し、又は嗜好品(酒類を除く。以下同じ。)を支給することができる。

1項

刑事施設の長は、受刑者が、次に掲げる物品(次条第一項各号に掲げる物品を除く次項において同じ。)について、自弁のものを使用し、又は摂取したい旨の申出をした場合において、その者の処遇上適当と認めるときは、法務省令で定めるところにより、これを許すことができる。

一 号
衣類
二 号
食料品 及び飲料
三 号
室内装飾品
四 号
嗜好品
五 号

日用品、文房具 その他の刑事施設における日常生活に用いる物品

2項

刑事施設の長は、受刑者以外の被収容者が、前項各号に掲げる物品 及び寝具について自弁のものを使用し、又は摂取したい旨の申出をした場合には、刑事施設の規律 及び秩序の維持 その他管理運営上支障を生ずるおそれがある場合 並びに第十二節の規定により禁止される場合を除き、法務省令で定めるところにより、これを許すものとする。

1項

被収容者には、次に掲げる物品については、刑事施設の規律 及び秩序の維持 その他管理運営上支障を生ずるおそれがある場合を除き、自弁のものを使用させるものとする。

一 号

眼鏡 その他の補正器具

二 号

自己契約作業を行うのに必要な物品

三 号

信書を発するのに必要な封筒 その他の物品

四 号

第百六条の二第一項の規定による外出 又は外泊の際に使用する衣類 その他の物品

五 号

その他法務省令で定める物品

2項

前項各号に掲げる物品について、被収容者が自弁のものを使用することができない場合であって、必要と認めるときは、その者にこれを貸与し、又は支給するものとする。

1項

第四十条 又は前条第二項の規定により貸与し、又は支給する物品は、被収容者の健康を保持するに足り、かつ、国民生活の実情等を勘案し、被収容者としての地位に照らして、適正と認められるものでなければならない。

第五節 金品の取扱い

1項

刑事施設の職員は、次に掲げる金品について、検査を行うことができる。

一 号

被収容者が収容される際に所持する現金 及び物品

二 号

被収容者が収容中に取得した現金 及び物品(信書を除く次号において同じ。)であって、同号に掲げる現金 及び物品以外のもの(刑事施設の長から支給された物品を除く

三 号

被収容者に交付するため当該被収容者以外の者が刑事施設に持参し、又は送付した現金 及び物品

1項

刑事施設の長は、前条第一号 又は第二号に掲げる物品が次の各号いずれかに該当するときは、被収容者に対し、その物品について、親族(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下同じ。)その他相当と認める者への交付 その他相当の処分を求めるものとする。

一 号

保管に不便なものであるとき。

二 号

腐敗し、又は滅失するおそれがあるものであるとき。

三 号

危険を生ずるおそれがあるものであるとき。

2項

前項の規定により物品の処分を求めた場合において、被収容者が相当の期間内にその処分をしないときは、刑事施設の長は、これを売却してその代金を領置する。


ただし、売却することができないものは、廃棄することができる。

1項

刑事施設の長は、第四十四条第三号に掲げる現金 又は物品が次の各号いずれかに該当するときは、その現金 又は物品を持参し、又は送付した者(以下「差入人」という。)に対し、その引取りを求めるものとする。

一 号

被収容者に交付することにより、刑事施設の規律 及び秩序を害するおそれがあるものであるとき。

二 号

交付の相手方が受刑者であり、かつ、差入人が親族以外の者である場合において、その受刑者に交付することにより、その矯正処遇の適切な実施に支障を生ずるおそれがあるものであるとき。

三 号

交付の相手方が未決拘禁者である場合において、刑事訴訟法の定めるところによりその者が交付を受けることが許されない物品であるとき。

四 号

差入人の氏名が明らかでないものであるとき。

五 号

自弁により使用し、若しくは摂取することができることとされる物品 又は釈放の際に必要と認められる物品(以下「自弁物品等」という。以外の物品であるとき。

六 号

前条第一項各号いずれかに該当する物品であるとき。

2項

第四十四条第三号に掲げる現金 又は物品であって、前項第一号から第四号までいずれかに該当するものについて、差入人の所在が明らかでないため同項の規定による引取りを求めることができないときは、刑事施設の長は、その旨を政令で定める方法によって公告しなければならない。

3項

前項に規定する現金 又は物品について、第一項の規定による引取りを求め、又は前項の規定により公告した日から起算して六月を経過する日までに差入人がその現金 又は物品の引取りをしないときは、その現金 又は物品は、国庫に帰属する。

4項

第二項に規定する物品であって、第一項第六号に該当するものについては、刑事施設の長は、前項の期間内でも、これを売却してその代金を保管することができる。


ただし、売却できないものは、廃棄することができる。

5項

第四十四条第三号に掲げる現金 又は物品であって、第一項第五号 又は第六号に該当するもの(同項第一号から第四号までいずれかに該当するものを除く)について、差入人の所在が明らかでないため同項の規定による引取りを求めることができないとき、若しくはその引取りを求めることが相当でないとき、又は差入人がその引取りを拒んだときは、刑事施設の長は、被収容者に対し、親族 その他相当と認める者への交付 その他相当の処分を求めるものとする。

6項

前条第二項の規定は、前項の規定により処分を求めた場合について準用する。

7項

第四十四条第三号に掲げる現金 又は物品であって、第一項各号いずれにも該当しないものについて、被収容者がその交付を受けることを拒んだ場合には、刑事施設の長は、差入人に対し、その引取りを求めるものとする。


この場合においては、第二項 及び第三項の規定を準用する。

1項

次に掲げる物品のうち、この法律の規定により被収容者が使用し、又は摂取することができるものは、被収容者に引き渡す。

一 号

第四十四条第一号 又は第二号に掲げる物品であって、第四十五条第一項各号いずれにも該当しないもの

二 号

第四十四条第三号に掲げる物品であって、前条第一項各号いずれにも該当しないもの(被収容者が交付を受けることを拒んだ物品を除く

2項

次に掲げる金品は、刑事施設の長が領置する。

一 号

前項各号に掲げる物品のうち、この法律の規定により被収容者が使用し、又は摂取することができるもの以外のもの

二 号

第四十四条各号に掲げる現金であって、前条第一項第一号第二号 又は第四号いずれにも該当しないもの

1項

刑事施設の長は、法務省令で定めるところにより、保管私物(被収容者が前条第一項の規定により引渡しを受けて保管する物品(第五項の規定により引渡しを受けて保管する物品を含む。)及び被収容者が受けた信書でその保管するものをいう。以下この章において同じ。)の保管方法について、刑事施設の管理運営上必要な制限をすることができる。

2項

刑事施設の長は、被収容者の保管私物(法務省令で定めるものを除く)の総量(以下この節において「保管総量」という。)が保管限度量(被収容者としての地位の別ごとに被収容者一人当たりについて保管することができる物品の量として刑事施設の長が定める量をいう。以下この節において同じ。)を超えるとき、又は被収容者について領置している物品(法務省令で定めるものを除く)の総量(以下この節において「領置総量」という。)が領置限度量(被収容者としての地位の別ごとに被収容者一人当たりについて領置することができる物品の量として刑事施設の長が定める量をいう。以下この節において同じ。)を超えるときは、当該被収容者に対し、その超過量に相当する量の物品について、親族 その他相当と認める者への交付 その他相当の処分を求めることができる。


腐敗し、又は滅失するおそれが生じた物品についても、同様とする。

3項

第四十五条第二項の規定は、前項の規定により処分を求めた場合について準用する。

4項

刑事施設の長は、被収容者が保管私物について領置することを求めた場合において、相当と認めるときは、これを領置することができる。


ただし、領置総量が領置限度量を超えることとなる場合は、この限りでない。

5項

刑事施設の長は、前項の規定により領置している物品について、被収容者がその引渡しを求めた場合には、これを引き渡すものとする。


ただし、保管総量が保管限度量を超えることとなる場合は、この限りでない。

1項

刑事施設の長は、被収容者が、自弁物品等を購入し、又は刑事施設における日常生活上自ら負担すべき費用に充てるため、領置されている現金を使用することを申請した場合には、必要な金額の現金の使用を許すものとする。


ただし、自弁物品等を購入するための現金の使用については、次の各号いずれかに該当するときは、この限りでない。

一 号

購入により、保管総量が保管限度量を超え、又は領置総量が領置限度量を超えることとなるとき。

二 号

被収容者が未決拘禁者である場合において、刑事訴訟法の定めるところにより購入する自弁物品等の交付を受けることが許されないとき。

1項

刑事施設の長は、被収容者が、保管私物 又は領置されている金品(第百三十三条第百三十六条第百三十八条第百四十一条第百四十二条 及び第百四十四条において準用する場合を含む。)に規定する文書図画に該当するものを除く)について、他の者(当該刑事施設に収容されている者を除く)への交付(信書の発信に該当するものを除く)を申請した場合には、次の各号いずれかに該当する場合を除き、これを許すものとする。

一 号

交付(その相手方が親族であるものを除く次号において同じ。)により、刑事施設の規律 及び秩序を害するおそれがあるとき。

二 号

被収容者が受刑者である場合において、交付により、その矯正処遇の適切な実施に支障を生ずるおそれがあるとき。

三 号

被収容者が未決拘禁者である場合において、刑事訴訟法の定めるところにより交付が許されない物品であるとき。

1項

刑事施設の長は、この節に定めるもののほか、法務省令で定めるところにより、差入人による被収容者に対する金品の交付 及び被収容者による自弁物品等の購入について、刑事施設の管理運営上必要な制限をすることができる。

1項

刑事施設の長は、被収容者の釈放の際、領置している金品をその者に引き渡すものとする。

1項

釈放された被収容者の遺留物(刑事施設に遺留した金品をいう。以下この章において同じ。)は、その釈放の日から起算して六月を経過する日までに、その者からその引渡しを求める申出がなく、又はその引渡しに要する費用の提供がないときは、国庫に帰属する。

2項

前項の期間内でも、刑事施設の長は、腐敗し、又は滅失するおそれが生じた遺留物は、廃棄することができる。

1項

被収容者が次の各号いずれかに該当する場合において、当該各号に定める日から起算して六月を経過する日までに、その者から引渡しを求める申出がなく、又は引渡しに要する費用の提供がないときは、その遺留物は、国庫に帰属する。

一 号

逃走したとき

逃走した日

二 号

第八十三条第二項の規定により解放された場合において、同条第三項に規定する避難を必要とする状況がなくなった後 速やかに同項に規定する場所に出頭しなかったとき

避難を必要とする状況がなくなった日

三 号

第九十六条第一項の規定による作業 又は第百六条の二第一項の規定による外出 若しくは外泊の場合において、刑事施設の長が指定した日時までに刑事施設に帰着しなかったとき

その日

2項

前条第二項の規定は、前項の遺留物について準用する。

1項

死亡した被収容者の遺留物は、法務省令で定めるところにより、その遺族等(法務省令で定める遺族 その他の者をいう。以下この章において同じ。)に対し、その申請に基づき、引き渡すものとする。

2項

死亡した被収容者の遺留物がある場合において、その遺族等の所在が明らかでないため第百七十六条の規定による通知をすることができないときは、刑事施設の長は、その旨を政令で定める方法によって公告しなければならない。

3項

第一項の遺留物は、第百七十六条の規定による通知をし、又は前項の規定により公告をした日から起算して六月を経過する日までに第一項の申請がないときは、国庫に帰属する。

4項

第五十三条第二項の規定は、第一項の遺留物について準用する。

第六節 保健衛生及び医療

1項

刑事施設においては、被収容者の心身の状況を把握することに努め、被収容者の健康 及び刑事施設内の衛生を保持するため、社会一般の保健衛生 及び医療の水準に照らし適切な保健衛生上及び医療上の措置を講ずるものとする。

1項

被収容者には、日曜日 その他法務省令で定める日を除き、できる限り戸外で、その健康を保持するため適切な運動を行う機会を与えなければならない。


ただし、公判期日への出頭 その他の事情により刑事施設の執務時間内にその機会を与えることができないときは、この限りでない。

1項

被収容者は、身体、着衣 及び所持品 並びに居室 その他日常使用する場所を清潔にしなければならない。

1項

被収容者には、法務省令で定めるところにより、刑事施設における保健衛生上適切な入浴を行わせる。

1項

受刑者には、法務省令で定めるところにより、調髪 及びひげそりを行わせる。

2項

刑事施設の長は、受刑者が自弁により調髪を行いたい旨の申出をした場合において、その者の処遇上適当と認めるときは、これを許すことができる。

3項

刑事施設の長は、受刑者以外の被収容者が調髪 又はひげそりを行いたい旨の申出をした場合には、法務省令で定めるところにより、これを許すものとする。

1項

刑事施設の長は、被収容者に対し、その刑事施設における収容の開始後 速やかに、及び毎年一回以上定期的に、法務省令で定めるところにより、健康診断を行わなければならない。


刑事施設における保健衛生上必要があるときも、同様とする。

2項

被収容者は、前項の規定による健康診断を受けなければならない。


この場合においては、その健康診断の実施のため必要な限度内における採血、エックス線撮影 その他の医学的処置を拒むことはできない

1項

刑事施設の長は、被収容者が次の各号いずれかに該当する場合には、速やかに、刑事施設の職員である医師等(医師 又は歯科医師をいう。以下同じ。)による診療(栄養補給の処置を含む。以下同じ。)を行い、その他必要な医療上の措置を執るものとする。


ただし第一号に該当する場合において、その者の生命に危険が及び、又は他人にその疾病を感染させるおそれがないときは、その者の意思に反しない場合に限る。

一 号

負傷し、若しくは疾病にかかっているとき、又はこれらの疑いがあるとき。

二 号
飲食物を摂取しない場合において、その生命に危険が及ぶおそれがあるとき。
2項

刑事施設の長は、前項に規定する場合において、傷病の種類 又は程度等に応じ必要と認めるときは、刑事施設の職員でない医師等による診療を行うことができる。

3項

刑事施設の長は、前二項の規定により診療を行う場合において、必要に応じ被収容者を刑事施設の外の病院 又は診療所に通院させ、やむを得ないときは被収容者を刑事施設の外の病院 又は診療所に入院させることができる。

1項

刑事施設の長は、負傷し、又は疾病にかかっている被収容者が、刑事施設の職員でない医師等を指名して、その診療を受けることを申請した場合において、傷病の種類 及び程度、刑事施設に収容される前にその医師等による診療を受けていたこと その他の事情に照らして、その被収容者の医療上適当であると認めるときは、刑事施設内において、自弁によりその診療を受けることを許すことができる。

2項

刑事施設の長は、前項の規定による診療を受けることを許す場合において、同項の診療を行う医師等(以下この条において「指名医」という。)の診療方法を確認するため、又はその後にその被収容者に対して刑事施設において診療を行うため必要があるときは、刑事施設の職員をしてその診療に立ち会わせ、若しくはその診療に関して指名医に質問させ、又は診療録の写し その他のその診療に関する資料の提出を求めることができる。

3項

指名医は、その診療に際し、刑事施設の長が法務省令で定めるところにより指示する事項を遵守しなければならない。

4項

刑事施設の長は、第一項の規定による診療を受けることを許した場合において、その指名医が、第二項の規定により刑事施設の長が行う措置に従わないとき、前項の規定により刑事施設の長が指示する事項を遵守しないとき、その他その診療を継続することが不適当であるときは、これを中止し、以後、その指名医の診療を受けることを許さないことができる。

1項

刑事施設の長は、刑事施設内における感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要がある場合には、被収容者に対し、第六十一条の規定による健康診断 又は第六十二条の規定による診療 その他必要な医療上の措置を執るほか、予防接種、当該疾病を感染させるおそれがなくなるまでの間の隔離 その他法務省令で定める措置を執るものとする。

1項

刑事施設の長は、老人、妊産婦、身体虚弱者 その他の養護を必要とする被収容者について、その養護を必要とする事情に応じ、傷病者のための措置に準じた措置を執るものとする。

2項

刑事施設の長は、被収容者が出産するときは、やむを得ない場合を除き、刑事施設の外の病院、診療所 又は助産所に入院させるものとする。

1項

刑事施設の長は、女子の被収容者がその子を刑事施設内で養育したい旨の申出をした場合において、相当と認めるときは、その子が一歳に達するまで、これを許すことができる。

2項

刑事施設の長は、被収容者が、前項の規定により養育され一歳に達した子について、引き続いて刑事施設内で養育したい旨の申出をした場合において、その被収容者の心身の状況に照らして、又はその子を養育する上で、特に必要があるときは、引き続き六月間に限り、これを許すことができる。

3項

被収容者が前二項の規定により子を養育している場合には、その子の養育に必要な物品を貸与し、又は支給する。

4項

前項に規定する場合において、被収容者が、その子の養育に必要な物品について、自弁のものを使用し、若しくは摂取し、又はその子に使用させ、若しくは摂取させたい旨の申出をした場合には、刑事施設の規律 及び秩序の維持 その他管理運営上支障がない限り、これを許すものとする。

5項

被収容者が第一項 又は第二項の規定により養育している子については、被収容者の例により、健康診断、診療 その他の必要な措置を執るものとする。

第七節 宗教上の行為等

1項

被収容者が一人で行う礼拝 その他の宗教上の行為は、これを禁止し、又は制限してはならない。


ただし、刑事施設の規律 及び秩序の維持 その他管理運営上支障を生ずるおそれがある場合は、この限りでない。

1項

刑事施設の長は、被収容者が宗教家(民間の篤志家に限る。以下この項において同じ。)の行う宗教上の儀式行事に参加し、又は宗教家の行う宗教上の教誨を受けることができる機会を設けるように努めなければならない。

2項

刑事施設の長は、刑事施設の規律 及び秩序の維持 その他管理運営上支障を生ずるおそれがある場合には、被収容者に前項に規定する儀式行事に参加させず、又は同項に規定する教誨を受けさせないことができる。

第八節 書籍等の閲覧

1項

被収容者が自弁の書籍等を閲覧することは、この節 及び第十二節の規定による場合のほか、これを禁止し、又は制限してはならない。

1項

刑事施設の長は、被収容者が自弁の書籍等を閲覧することにより次の各号いずれかに該当する場合には、その閲覧を禁止することができる。

一 号

刑事施設の規律 及び秩序を害する結果を生ずるおそれがあるとき。

二 号

被収容者が受刑者である場合において、その矯正処遇の適切な実施に支障を生ずるおそれがあるとき。

三 号

被収容者が未決拘禁者である場合において、罪証の隠滅の結果を生ずるおそれがあるとき。

2項

前項の規定により閲覧を禁止すべき事由の有無を確認するため自弁の書籍等の翻訳が必要であるときは、法務省令で定めるところにより、被収容者にその費用を負担させることができる。


この場合において、被収容者が負担すべき費用を負担しないときは、その閲覧を禁止する。

1項

刑事施設の長は、法務省令で定めるところにより、被収容者が取得することができる新聞紙の範囲 及び取得方法について、刑事施設の管理運営上必要な制限をすることができる。

1項

刑事施設の長は、被収容者に対し、日刊新聞紙の備付け、報道番組の放送 その他の方法により、できる限り、主要な時事の報道に接する機会を与えるように努めなければならない。

2項

刑事施設の長は、第三十九条第二項の規定による援助の措置として、刑事施設に書籍等を備え付けるものとする。


この場合において、備え付けた書籍等の閲覧の方法は、刑事施設の長が定める。

第九節 規律及び秩序の維持

1項

刑事施設の規律 及び秩序は、適正に維持されなければならない。

2項

前項の目的を達成するため執る措置は、被収容者の収容を確保し、並びにその処遇のための適切な環境 及びその安全かつ平穏な共同生活を維持するため必要な限度を超えてはならない。

1項

刑事施設の長は、被収容者が遵守すべき事項(以下この章において「遵守事項」という。)を定める。

2項

遵守事項は、被収容者としての地位に応じ、次に掲げる事項を具体的に定めるものとする。

一 号

犯罪行為をしてはならないこと。

二 号

他人に対し、粗野 若しくは乱暴な言動をし、又は迷惑を及ぼす行為をしてはならないこと。

三 号

自身を傷つける行為をしてはならないこと。

四 号

刑事施設の職員の職務の執行を妨げる行為をしてはならないこと。

五 号

自己 又は他の被収容者の収容の確保を妨げるおそれのある行為をしてはならないこと。

六 号

刑事施設の安全を害するおそれのある行為をしてはならないこと。

七 号

刑事施設内の衛生 又は風紀を害する行為をしてはならないこと。

八 号

金品について、不正な使用、所持、授受 その他の行為をしてはならないこと。

九 号

正当な理由なく、第九十二条 若しくは第九十三条に規定する作業を怠り、又は第八十五条第一項各号第百三条 若しくは第百四条に規定する指導を拒んではならないこと。

十 号

前各号に掲げるもののほか、刑事施設の規律 及び秩序を維持するため必要な事項

十一 号

前各号に掲げる事項について定めた遵守事項 又は第九十六条第四項第百六条の二第二項において準用する場合を含む。)に規定する特別遵守事項に違反する行為を企て、あおり、唆し、又は援助してはならないこと。

3項

前二項のほか、刑事施設の長 又はその指定する職員は、刑事施設の規律 及び秩序を維持するため必要がある場合には、被収容者に対し、その生活 及び行動について指示することができる。

1項

刑務官は、刑事施設の規律 及び秩序を維持するため必要がある場合には、被収容者について、その身体、着衣、所持品 及び居室を検査し、並びにその所持品を取り上げて一時保管することができる。

2項

第三十四条第二項の規定は、前項の規定による女子の被収容者の身体 及び着衣の検査について準用する。

3項

刑務官は、刑事施設の規律 及び秩序を維持するため必要がある場合には、刑事施設内において、被収容者以外の者(弁護人 又は刑事訴訟法第三十九条第一項に規定する弁護人となろうとする者(以下「弁護人等」という。)を除く)の着衣 及び携帯品を検査し、並びにその者の携帯品を取り上げて一時保管することができる。

4項

前項の検査は、文書図画の内容の検査に及んではならない。

1項

刑事施設の長は、受刑者が次の各号いずれかに該当する場合には、その者を他の被収容者から隔離することができる。


この場合においては、その者の処遇は、運動、入浴 又は面会の場合 その他の法務省令で定める場合を除き昼夜、居室において行う。

一 号

他の被収容者と接触することにより刑事施設の規律 及び秩序を害するおそれがあるとき。

二 号

他の被収容者から危害を加えられるおそれがあり、これを避けるために他に方法がないとき。

2項

前項の規定による隔離の期間は、三月とする。


ただし、特に継続の必要がある場合には、刑事施設の長は、一月ごとにこれを更新することができる。

3項

刑事施設の長は、前項の期間中であっても、隔離の必要がなくなったときは、直ちにその隔離を中止しなければならない。

4項

第一項の規定により受刑者を隔離している場合には、刑事施設の長は、三月に一回以上定期的に、その受刑者の健康状態について、刑事施設の職員である医師の意見を聴かなければならない。

1項

刑務官は、被収容者が自身を傷つけ 若しくは他人に危害を加え、逃走し、刑事施設の職員の職務の執行を妨げ、その他刑事施設の規律 及び秩序を著しく害する行為をし、又はこれらの行為をしようとする場合には、合理的に必要と判断される限度で、その行為を制止し、その被収容者を拘束し、その他その行為を抑止するため必要な措置を執ることができる。

2項

刑務官は、被収容者以外の者が次の各号いずれかに該当する場合には、合理的に必要と判断される限度で、その行為を制止し、その行為をする者を拘束し、その他その行為を抑止するため必要な措置を執ることができる。

一 号

刑事施設に侵入し、その設備を損壊し、刑事施設の職員の職務執行を妨げ、又はこれらの行為をまさにしようとするとき。

二 号

刑務官の要求を受けたのに刑事施設から退去しないとき。

三 号

被収容者の逃走 又は刑事施設の職員の職務執行の妨害を、現場で、援助し、あおり、又は唆すとき。

四 号

被収容者に危害を加え、又はまさに加えようとするとき。

3項

前二項の措置に必要な警備用具については、法務省令で定める。

1項

刑務官は、被収容者を護送する場合 又は被収容者が次の各号のいずれかの行為をするおそれがある場合には、法務省令で定めるところにより、捕縄 又は手錠を使用することができる。

一 号
逃走すること。
二 号

自身を傷つけ、又は他人に危害を加えること。

三 号

刑事施設の設備、器具 その他の物を損壊すること。

2項

刑務官は、被収容者が自身を傷つけるおそれがある場合において、他にこれを防止する手段がないときは、刑事施設の長の命令により、拘束衣を使用することができる。


ただし、捕縄 又は手錠と同時に使用することはできない。

3項

前項に規定する場合において、刑事施設の長の命令を待ついとまがないときは、刑務官は、その命令を待たないで、拘束衣を使用することができる。


この場合には、速やかに、その旨を刑事施設の長に報告しなければならない。

4項

拘束衣の使用の期間は、三時間とする。


ただし、刑事施設の長は、特に継続の必要があると認めるときは、通じて十二時間を超えない範囲内で、三時間ごとにその期間を更新することができる。

5項

刑事施設の長は、前項の期間中であっても、拘束衣の使用の必要がなくなったときは、直ちにその使用を中止させなければならない。

6項

被収容者に拘束衣を使用し、又はその使用の期間を更新した場合には、刑事施設の長は、速やかに、その被収容者の健康状態について、刑事施設の職員である医師の意見を聴かなければならない。

7項

捕縄、手錠 及び拘束衣の制式は、法務省令で定める。

1項

刑務官は、被収容者が次の各号いずれかに該当する場合には、刑事施設の長の命令により、その者を保護室に収容することができる。

一 号

自身を傷つけるおそれがあるとき。

二 号

次のイからハまでいずれかに該当する場合において、刑事施設の規律 及び秩序を維持するため特に必要があるとき。

刑務官の制止に従わず、大声 又は騒音を発するとき。

他人に危害を加えるおそれがあるとき。

刑事施設の設備、器具 その他の物を損壊し、又は汚損するおそれがあるとき。

2項

前項に規定する場合において、刑事施設の長の命令を待ついとまがないときは、刑務官は、その命令を待たないで、その被収容者を保護室に収容することができる。


この場合には、速やかに、その旨を刑事施設の長に報告しなければならない。

3項

保護室への収容の期間は、七十二時間以内とする。


ただし、特に継続の必要がある場合には、刑事施設の長は、四十八時間ごとにこれを更新することができる。

4項

刑事施設の長は、前項の期間中であっても、保護室への収容の必要がなくなったときは、直ちにその収容を中止させなければならない。

5項

被収容者を保護室に収容し、又はその収容の期間を更新した場合には、刑事施設の長は、速やかに、その被収容者の健康状態について、刑事施設の職員である医師の意見を聴かなければならない。

6項

保護室の構造 及び設備の基準は、法務省令で定める。

1項

刑務官は、法務省令で定める場合に限り、小型武器を携帯することができる。

2項

刑務官は、被収容者が次の各号いずれかに該当する場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で、武器を使用することができる

一 号

暴動を起こし、又はまさに起こそうとするとき。

二 号

他人に重大な危害を加え、又はまさに加えようとするとき。

三 号

刑務官が携帯し、又は刑事施設に保管されている武器を奪取し、又はまさに奪取しようとするとき。

四 号

凶器を携帯し、刑務官が放棄を命じたのに、これに従わないとき。

五 号

刑務官の制止に従わず、又は刑務官に対し暴行 若しくは集団による威力を用いて、逃走し、若しくは逃走しようとし、又は他の被収容者の逃走を助けるとき。

3項

刑務官は、被収容者以外の者が次の各号いずれかに該当する場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で、武器を使用することができる。

一 号

被収容者が暴動を起こし、又はまさに起こそうとする場合において、その現場で、これらに参加し、又はこれらを援助するとき。

二 号

被収容者に重大な危害を加え、又はまさに加えようとするとき。

三 号

刑務官が携帯し、又は刑事施設に保管されている武器を奪取し、又はまさに奪取しようとするとき。

四 号

銃器、爆発物 その他の凶器を携帯し、又は使用して、刑事施設に侵入し、若しくはその設備を損壊し、又はこれらの行為をまさにしようとするとき。

五 号

暴行 又は脅迫を用いて、被収容者を奪取し、若しくは解放し、又はこれらの行為をまさにしようとするとき。

4項

前二項の規定による武器の使用に際しては、刑法明治四十年法律第四十五号第三十六条 若しくは第三十七条に該当する場合 又は次の各号いずれかに該当する場合を除いては、人に危害を加えてはならない。

一 号

刑務官において他に被収容者の第二項各号に規定する行為を抑止する手段がないと信ずるに足りる相当の理由があるとき。

二 号

刑務官において他に被収容者以外の者の前項各号に規定する行為を抑止する手段がないと信ずるに足りる相当の理由があるとき。


ただし同項第二号に掲げる場合以外の場合にあっては、その者が刑務官の制止に従わないで当該行為を行うときに限る

1項

刑務官は、被収容者が次の各号いずれかに該当する場合には、当該各号に定める時から四十八時間以内に着手したときに限り、これを連れ戻すことができる。

一 号

逃走したとき

逃走の時

二 号

第九十六条第一項の規定による作業 又は第百六条の二第一項の規定による外出 若しくは外泊の場合において、刑事施設の長が指定した日時までに刑事施設に帰着しなかったとき

その日時

1項

刑事施設の長は、地震、火災 その他の災害に際し、刑事施設内にある者の生命 又は身体の保護のため必要があると認める場合には、被収容者を刑事施設内 又はこれに近接する区域における消火、人命の救助 その他の応急の用務に就かせることができる。

2項

第百条から第百二条までの規定は、被収容者が前項の規定により応急の用務に就いて死亡し、負傷し、又は疾病にかかった場合について準用する。

1項

刑事施設の長は、地震、火災 その他の災害に際し、刑事施設内において避難の方法がないときは、被収容者を適当な場所に護送しなければならない。

2項

前項の場合において、被収容者を護送することができないときは、刑事施設の長は、その者を刑事施設から解放することができる。


地震、火災 その他の災害に際し、刑事施設の外にある被収容者を避難させるため適当な場所に護送することができない場合も、同様とする。

3項

前項の規定により解放された者は、避難を必要とする状況がなくなった後 速やかに、刑事施設 又は刑事施設の長が指定した場所に出頭しなければならない。

第十節 矯正処遇の実施等

第一款 通則

1項

受刑者には、矯正処遇として、第九十二条 又は第九十三条に規定する作業を行わせ、並びに第百三条 及び第百四条に規定する指導を行う。

2項

矯正処遇は、処遇要領(矯正処遇の目標 並びにその基本的な内容 及び方法を受刑者ごとに定める矯正処遇の実施の要領をいう。以下この条 及び次条第一項において同じ。)に基づいて行うものとする。

3項
処遇要領は、法務省令で定めるところにより、刑事施設の長が受刑者の年齢を考慮し、その資質 及び環境の調査の結果に基づき定めるものとする。
4項

処遇要領は、必要に応じ、受刑者の希望を参酌して定めるものとする。


これを変更しようとするときも、同様とする。

5項

矯正処遇は、必要に応じ、医学、心理学、教育学、社会学 その他の専門的知識 及び技術を活用して行うものとする。

1項

刑事施設の長は、処遇要領を定めるに当たっては、法務省令で定めるところにより、被害者等(受刑者が刑を言い渡される理由となった犯罪により害を被った者(以下この項において「被害者」という。)又はその法定代理人 若しくは被害者が死亡した場合 若しくはその心身に重大な故障がある場合におけるその配偶者、直系の親族 若しくは兄弟姉妹をいう。以下この節において同じ。)の被害に関する心情、被害者等の置かれている状況 及び第三項の規定により聴取した心情等を考慮するものとする。


処遇要領を変更しようとするときも、同様とする。

2項

刑事施設の長は、矯正処遇を行うに当たっては、前項の心情 及び状況 並びに次項の規定により聴取した心情等を考慮するものとする。

3項

刑事施設の長は、法務省令で定める受刑者について、被害者等から、被害に関する心情、被害者等の置かれている状況 又は当該受刑者の生活 及び行動に関する意見(以下この節において「心情等」という。)を述べたい旨の申出があったときは、法務省令で定めるところにより、当該心情等を聴取するものとする。


ただし、当該被害に係る事件の性質、当該被害者等と当該受刑者との関係 その他の被害者等に関する事情を考慮して相当でないと認めるときは、この限りでない。

1項

受刑者には、矯正処遇を行うほか、次の各号に掲げる期間において、当該各号に定める指導を行う。

一 号

刑の執行開始後の法務省令で定める期間

受刑の意義 その他矯正処遇の実施の基礎となる事項 並びに刑事施設における生活 及び行動に関する指導

二 号

釈放前における法務省令で定める期間

釈放後の社会生活において直ちに必要となる知識の付与 その他受刑者の帰住 及び釈放後の生活に関する指導

2項

前項第二号に掲げる期間における受刑者の処遇は、できる限り、これにふさわしい設備と環境を備えた場所で行うものとし、必要に応じ、第百六条の二第一項の規定による外出 又は外泊を許し、その他円滑な社会復帰を図るため必要な措置を執るものとする。

3項

刑事施設の長は、法務省令で定める基準に従い、第一項各号に定める指導を行う日 及び時間を定める。

1項

矯正処遇 及び前条第一項の規定による指導(以下「矯正処遇等」という。)は、その効果的な実施を図るため、必要に応じ、受刑者を集団に編成して行うものとする。

2項

前項の場合において特に必要があるときは、第四条第一項の規定にかかわらず、居室外に限り、同項第一号に掲げる別による分離をしないことができる。

1項

矯正処遇等は、その効果的な実施を図るため必要な限度において、刑事施設の外の適当な場所で行うことができる。

1項

受刑者の自発性 及び自律性を涵養するため、刑事施設の規律 及び秩序を維持するための受刑者の生活 及び行動に対する制限は、法務省令で定めるところにより、第三十条の目的を達成する見込みが高まるに従い、順次緩和されるものとする。

2項

前項の場合において、第三十条の目的を達成する見込みが特に高いと認められる受刑者の処遇は、法務省令で定めるところにより、開放的施設(収容を確保するため通常必要とされる設備 又は措置の一部を設けず、又は講じない刑事施設の全部 又は一部で法務大臣が指定するものをいう。以下同じ。)で行うことができる。

1項

刑事施設の長は、受刑者の改善更生の意欲を喚起するため、次に掲げる処遇について、法務省令で定めるところにより、一定の期間ごとの受刑態度の評価に応じた優遇措置を講ずるものとする。

一 号

第四十条第二項の規定により物品を貸与し、又は支給すること。

二 号

第四十一条第一項の規定により自弁の物品の使用 又は摂取を許すこと。

三 号

第百十一条の面会をすることができる時間 又は回数を定めること。

四 号

その他法務省令で定める処遇

1項

刑事施設の長は、受刑者の処遇を行うに当たり必要があると認めるときは、受刑者の親族、民間の篤志家、関係行政機関 その他の者に対し、協力を求めるものとする。

2項

前項の協力をした者は、その協力を行うに当たって知り得た受刑者に関する秘密を漏らしてはならない。

1項

刑事施設の長は、受刑者の資質 及び環境の調査のため必要があるときは、公務所 又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。

第二款 作業

1項

懲役受刑者(刑事施設に収容されているものに限る。以下この節において同じ。)に行わせる作業は、懲役受刑者ごとに、刑事施設の長が指定する。

1項

刑事施設の長は、禁錮受刑者(刑事施設に収容されているものに限る。以下この節において同じ。)又は拘留受刑者(刑事施設に収容されているものに限る)が刑事施設の長の指定する作業を行いたい旨の申出をした場合には、法務省令で定めるところにより、その作業を行うことを許すことができる。

1項

作業は、できる限り、受刑者の勤労意欲を高め、これに職業上有用な知識 及び技能を習得させるように実施するものとする。

2項

受刑者に職業に関する免許 若しくは資格を取得させ、又は職業に必要な知識 及び技能を習得させる必要がある場合において、相当と認めるときは、これらを目的とする訓練を作業として実施する。

1項

刑事施設の長は、法務省令で定める基準に従い、一日の作業時間 及び作業を行わない日を定める。

2項

刑事施設の長は、作業を行う受刑者の安全 及び衛生を確保するため必要な措置を講じなければならない。

3項

受刑者は、前項の規定により刑事施設の長が講ずる措置に応じて、必要な事項を守らなければならない。

4項

第二項の規定により刑事施設の長が講ずべき措置 及び前項の規定により受刑者が守らなければならない事項は、労働安全衛生法昭和四十七年法律第五十七号)その他の法令に定める労働者の安全 及び衛生を確保するため事業者が講ずべき措置 及び労働者が守らなければならない事項に準じて、法務大臣が定める。

1項

刑事施設の長は、刑法第二十八条国際受刑者移送法第二十一条において読み替えて適用する場合を含む。)、少年法第五十八条 又は国際受刑者移送法第二十二条の規定により仮釈放を許すことができる期間を経過した懲役受刑者 又は禁錮受刑者が、第八十八条第二項の規定により開放的施設において処遇を受けていること その他の法務省令で定める事由に該当する場合において、その円滑な社会復帰を図るため必要があるときは、刑事施設の職員の同行なしに、その受刑者を刑事施設の外の事業所(以下この条において「外部事業所」という。)に通勤させて作業を行わせることができる。

2項

前項の規定による作業(以下「外部通勤作業」という。)は、外部事業所の業務に従事し、又は外部事業所が行う職業訓練を受けることによって行う。

3項

受刑者に外部通勤作業を行わせる場合には、刑事施設の長は、法務省令で定めるところにより、当該外部事業所の事業主(以下この条において「外部事業主」という。)との間において、受刑者の行う作業の種類、作業時間、受刑者の安全 及び衛生を確保するため必要な措置 その他外部通勤作業の実施に関し必要な事項について、取決めを行わなければならない。

4項

刑事施設の長は、受刑者に外部通勤作業を行わせる場合には、あらかじめ、その受刑者が外部通勤作業に関し遵守すべき事項(以下この条において「特別遵守事項」という。)を定め、これをその受刑者に告知するものとする。

5項

特別遵守事項は、次に掲げる事項を具体的に定めるものとする。

一 号

指定された経路 及び方法により移動しなければならないこと。

二 号

指定された時刻までに刑事施設に帰着しなければならないこと。

三 号

正当な理由なく、外部通勤作業を行う場所以外の場所に立ち入ってはならないこと。

四 号

外部事業主による作業上の指示に従わなければならないこと。

五 号

正当な理由なく、犯罪性のある者 その他接触することにより矯正処遇の適切な実施に支障を生ずるおそれがある者と接触してはならないこと。

6項

刑事施設の長は、外部通勤作業を行う受刑者が遵守事項 又は特別遵守事項を遵守しなかった場合 その他外部通勤作業を不適当とする事由があると認める場合には、これを中止することができる。

1項

作業の実施による収入は、国庫に帰属する。

1項

刑事施設の長は、作業を行った受刑者に対しては、釈放の際(その者が受刑者以外の被収容者となったときは、その際)に、その時における報奨金計算額に相当する金額の作業報奨金を支給するものとする。

2項

刑事施設の長は、法務省令で定めるところにより、毎月、その月の前月において受刑者が行った作業に対応する金額として、法務大臣が定める基準に従い、その作業の成績 その他就業に関する事項を考慮して算出した金額を報奨金計算額に加算するものとする。


ただし、釈放の日の属する月における作業に係る加算は、釈放の時に行う。

3項

前項の基準は、作業の種類 及び内容、作業に要する知識 及び技能の程度等を考慮して定める。

4項

刑事施設の長は、受刑者がその釈放前に作業報奨金の支給を受けたい旨の申出をした場合において、その使用の目的が、自弁物品等の購入、親族の生計の援助、被害者に対する損害賠償への充当等相当なものであると認めるときは、第一項の規定にかかわらず、法務省令で定めるところにより、その支給の時における報奨金計算額に相当する金額の範囲内で、申出の額の全部 又は一部の金額を支給することができる。


この場合には、その支給額に相当する金額を報奨金計算額から減額する。

5項

受刑者が次の各号いずれかに該当する場合において、当該各号に定める日から起算して六月を経過する日までに刑事施設に収容されなかったときは、その者の報奨金計算額は、とする。

一 号

逃走したとき

逃走した日

二 号

第八十三条第二項の規定により解放された場合において、同条第三項に規定する避難を必要とする状況がなくなった後速やかに同項に規定する場所に出頭しなかったとき

避難を必要とする状況がなくなった日

三 号

外部通勤作業 又は第百六条の二第一項の規定による外出 若しくは外泊の場合において、刑事施設の長が指定した日時までに刑事施設に帰着しなかったとき

その日

1項

刑事施設の長は、受刑者が死亡した場合には、法務省令で定めるところにより、その遺族等に対し、その時に釈放したとするならばその受刑者に支給すべき作業報奨金に相当する金額を支給するものとする。

1項

刑事施設の長は、受刑者が作業上死亡した場合(作業上負傷し、又は疾病にかかった受刑者が受刑者以外の被収容者となった場合において、その被収容者がその負傷 又は疾病により死亡したときを含む。)には、法務省令で定めるところにより、その遺族等に対し、死亡手当金を支給するものとする。

2項

刑事施設の長は、作業上負傷し、又は疾病にかかった受刑者が治った場合(作業上負傷し、又は疾病にかかった受刑者が受刑者以外の被収容者となった場合において、その被収容者が治ったときを含む。)において、身体に障害が残ったときは、法務省令で定めるところにより、その者に障害手当金を支給するものとする。


ただし、その者が故意 又は重大な過失によって負傷し、又は疾病にかかったときは、その全部 又は一部を支給しないことができる。

3項

前二項の規定により支給する手当金の額は、労働基準法昭和二十二年法律第四十九号)に基づく災害補償の額に関する基準を参酌して法務省令で定める基準に従い算出した金額とする。

4項

刑事施設の長は、作業上負傷し、又は疾病にかかった受刑者が釈放の時になお治っていない場合(作業上負傷し、又は疾病にかかった受刑者が受刑者以外の被収容者となった場合において、その被収容者が釈放の時になお治っていないときを含む。)において、その傷病の性質、程度 その他の状況を考慮して相当と認められるときは、法務省令で定めるところにより、その者に特別手当金を支給するものとする。

1項

国が国家賠償法昭和二十二年法律第百二十五号)、民法明治二十九年法律第八十九号)その他の法律による損害賠償の責任を負う場合において、前条の手当金を支給したときは、同一の事由については、国は、その価額の限度においてその損害賠償の責任を免れる。

2項

前項に規定する場合において、前条の手当金の支給を受けるべき者が、同一の事由につき国家賠償法民法 その他の法律による損害賠償を受けたときは、国は、その価額の限度において同条の手当金の支給の義務を免れる。

1項

第百条の手当金の支給を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない

2項

第百条の手当金として支給を受けた金銭を標準として、租税 その他の公課を課してはならない。

第三款 各種指導

1項

刑事施設の長は、受刑者に対し、犯罪の責任を自覚させ、健康な心身を培わせ、並びに社会生活に適応するのに必要な知識 及び生活態度を習得させるため必要な指導を行うものとする。

2項

次に掲げる事情を有することにより改善更生 及び円滑な社会復帰に支障があると認められる受刑者に対し前項の指導を行うに当たっては、その事情の改善に資するよう特に配慮しなければならない。

一 号

麻薬、覚せい剤 その他の薬物に対する依存があること。

二 号

暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律平成三年法律第七十七号第二条第六号に規定する暴力団員であること。

三 号

その他法務省令で定める事情

3項

刑事施設の長は、第一項の指導を行うに当たっては、被害者等の被害に関する心情、被害者等の置かれている状況 及び第八十四条の二第三項の規定により聴取した心情等を考慮するものとする。

4項

刑事施設の長は、法務省令で定めるところにより、被害者等から、第八十四条の二第三項の規定により聴取した心情等を受刑者に伝達することを希望する旨の申出があったときは、第一項の指導を行うに当たり、当該心情等を受刑者に伝達するものとする。


ただし、その伝達をすることが当該受刑者の改善更生を妨げるおそれがあるとき その他当該被害に係る事件の性質、矯正処遇の実施状況 その他の処遇に関する事情を考慮して相当でないと認めるときは、この限りでない。

1項

刑事施設の長は、社会生活の基礎となる学力を欠くことにより改善更生 及び円滑な社会復帰に支障があると認められる受刑者に対しては、教科指導(学校教育法昭和二十二年法律第二十六号)による学校教育の内容に準ずる内容の指導をいう。次項において同じ。)を行うものとする。

2項

刑事施設の長は、前項に規定するもののほか、学力の向上を図ることが円滑な社会復帰に特に資すると認められる受刑者に対し、その学力の状況に応じた教科指導を行うことができる。

1項

刑事施設の長は、法務省令で定める基準に従い、前二条の規定による指導を行う日 及び時間を定める。

第四款 社会復帰支援等

1項
刑事施設の長は、受刑者の円滑な社会復帰を図るため、釈放後に自立した生活を営む上での困難を有する受刑者に対しては、その意向を尊重しつつ、次に掲げる支援を行うものとする。
一 号
適切な住居 その他の宿泊場所を得ること 及び当該宿泊場所に帰住することを助けること。
二 号
医療 及び療養を受けることを助けること。
三 号
就業 又は修学を助けること。
四 号

前三号に掲げるもののほか、受刑者が健全な社会生活を営むために必要な援助を行うこと。

2項

前項の支援は、その効果的な実施を図るため必要な限度において、刑事施設の外の適当な場所で行うことができる。

3項

刑事施設の長は、第一項の支援を行うに当たっては、矯正処遇の実施状況、第八十四条の二第三項の規定により聴取した心情等 その他の被害者等に関する事情 及び受刑者が社会復帰をするに際し支援を必要とする事情を考慮するものとする。

4項

刑事施設の長は、第一項の支援を行うに当たっては、保護観察所の長と連携を図るように努めなければならない。

1項

刑事施設の長は、刑法第二十八条国際受刑者移送法第二十一条において読み替えて適用する場合を含む。)、少年法第五十八条 又は国際受刑者移送法第二十二条の規定により仮釈放を許すことができる期間を経過した懲役受刑者 又は禁錮受刑者が、第八十八条第二項の規定により開放的施設において処遇を受けていること その他の法務省令で定める事由に該当する場合において、その円滑な社会復帰を図るため、刑事施設の外において、その者が、釈放後の住居 又は就業先の確保 その他の一身上の重要な用務を行い、更生保護に関係のある者を訪問し、その他その釈放後の社会生活に有用な体験をする必要があると認めるときは、刑事施設の職員の同行なしに、外出し、又は七日以内の期間を定めて外泊することを許すことができる。


ただし、外泊については、その受刑者に係る刑が六月以上執行されている場合に限る

2項

第九十六条第四項第五項第四号除く)及び第六項の規定は、前項の規定による外出 及び外泊について準用する。

1項

前条第一項の規定による外泊をした者が、刑事施設の長が指定した日時までに刑事施設に帰着しなかった場合には、その外泊の期間は、刑期に算入しない。


ただし、自己の責めに帰することのできない事由によって帰着することができなかった場合は、この限りでない。

1項

第百六条の二第一項の規定による外出 又は外泊に要する費用については、受刑者が負担することができない場合 又は刑事施設の長が相当と認める場合には、その全部 又は一部を国庫の負担とする。

第五款 未決拘禁者としての地位を有する受刑者

1項

未決拘禁者としての地位を有する受刑者についての第八十四条第一項 及び第八十九条の規定の適用については、

第八十四条第一項
矯正処遇として」とあるのは
「未決の者としての地位を損なわない限度で、かつ、その拘禁の期間を考慮して可能な範囲内で、矯正処遇として」と、

第八十九条第三号
第百十一条」とあるのは
第百十九条において準用する第百十一条」と

する。

2項

未決拘禁者としての地位を有する受刑者については、第八十六条から第八十八条まで第九十六条第百六条第二項 及び第百六条の二から前条までの規定は、適用しない

第十一節 外部交通

第一款 受刑者についての留意事項

1項

この節の定めるところにより、受刑者に対し、外部交通(面会、信書の発受 及び第百四十六条第一項に規定する通信をいう。以下この条において同じ。)を行うことを許し、又はこれを禁止し、差し止め、若しくは制限するに当たっては、適正な外部交通が受刑者の改善更生 及び円滑な社会復帰に資するものであることに留意しなければならない。

第二款 面会

第一目 受刑者

1項

刑事施設の長は、受刑者(未決拘禁者としての地位を有するものを除く。以下この目において同じ。)に対し、次に掲げる者から面会の申出があったときは、第百四十八条第三項 又は次節の規定により禁止される場合を除き、これを許すものとする。

一 号
受刑者の親族
二 号

婚姻関係の調整、訴訟の遂行、事業の維持 その他の受刑者の身分上、法律上又は業務上の重大な利害に係る用務の処理のため面会することが必要な者

三 号

受刑者の更生保護に関係のある者、受刑者の釈放後にこれを雇用しようとする者 その他の面会により受刑者の改善更生に資すると認められる者

2項

刑事施設の長は、受刑者に対し、前項各号に掲げる者以外の者から面会の申出があった場合において、その者との交友関係の維持 その他面会することを必要とする事情があり、かつ、面会により、刑事施設の規律 及び秩序を害する結果を生じ、又は受刑者の矯正処遇の適切な実施に支障を生ずるおそれがないと認めるときは、これを許すことができる。

1項

刑事施設の長は、刑事施設の規律 及び秩序の維持、受刑者の矯正処遇の適切な実施 その他の理由により必要があると認める場合には、その指名する職員に、受刑者の面会に立ち会わせ、又はその面会の状況を録音させ、若しくは録画させることができる。


ただし、受刑者が次に掲げる者と面会する場合には、刑事施設の規律 及び秩序を害する結果を生ずるおそれがあると認めるべき特別の事情がある場合を除き、この限りでない。

一 号

自己に対する刑事施設の長の措置 その他自己が受けた処遇に関し調査を行う国 又は地方公共団体の機関の職員

二 号

自己に対する刑事施設の長の措置 その他自己が受けた処遇に関し弁護士法昭和二十四年法律第二百五号第三条第一項に規定する職務を遂行する弁護士

1項

刑事施設の職員は、次の各号いずれかに該当する場合には、その行為 若しくは発言を制止し、又はその面会を一時停止させることができる。


この場合においては、面会の一時停止のため、受刑者 又は面会の相手方に対し面会の場所からの退出を命じ、その他必要な措置を執ることができる。

一 号

受刑者 又は面会の相手方が次の 又はいずれかに該当する行為をするとき。

次条第一項の規定による制限に違反する行為

刑事施設の規律 及び秩序を害する行為

二 号

受刑者 又は面会の相手方が次のイからホまでいずれかに該当する内容の発言をするとき。

暗号の使用 その他の理由によって、刑事施設の職員が理解できないもの

犯罪の実行を共謀し、あおり、又は唆すもの

刑事施設の規律 及び秩序を害する結果を生ずるおそれのあるもの

受刑者の矯正処遇の適切な実施に支障を生ずるおそれのあるもの

特定の用務の処理のため必要であることを理由として許された面会において、その用務の処理のため必要な範囲を明らかに逸脱するもの

2項

刑事施設の長は、前項の規定により面会が一時停止された場合において、面会を継続させることが相当でないと認めるときは、その面会を終わらせることができる。

1項

刑事施設の長は、受刑者の面会に関し、法務省令で定めるところにより、面会の相手方の人数、面会の場所、日 及び時間帯、面会の時間 及び回数 その他面会の態様について、刑事施設の規律 及び秩序の維持 その他管理運営上必要な制限をすることができる。

2項

前項の規定により面会の回数について制限をするときは、その回数は、一月につき二回を下回ってはならない。

第二目 未決拘禁者

1項

刑事施設の長は、未決拘禁者(受刑者 又は死刑確定者としての地位を有するものを除く。以下この目において同じ。)に対し、他の者から面会の申出があったときは、第百四十八条第三項 又は次節の規定により禁止される場合を除き、これを許すものとする。


ただし刑事訴訟法の定めるところにより面会が許されない場合は、この限りでない。

1項

刑事施設の長は、その指名する職員に、未決拘禁者の弁護人等以外の者との面会に立ち会わせ、又はその面会の状況を録音させ、若しくは録画させるものとする。


ただし、刑事施設の規律 及び秩序を害する結果 並びに罪証の隠滅の結果を生ずるおそれがないと認める場合には、その立会い並びに録音 及び録画(次項において「立会い等」という。)をさせないことができる。

2項

刑事施設の長は、前項の規定にかかわらず、未決拘禁者の第百十二条各号に掲げる者との面会については、刑事施設の規律 及び秩序を害する結果 又は罪証の隠滅の結果を生ずるおそれがあると認めるべき特別の事情がある場合を除き、立会い等をさせてはならない。

1項

第百十三条第一項第二号ホ除く)の規定は、未決拘禁者の面会について準用する。


この場合において、

同項
各号のいずれか」とあるのは
各号のいずれか(弁護人等との面会の場合にあっては、第一号ロ限る)」と、

同項第二号ニ
受刑者の矯正処遇の適切な実施に支障」とあるのは
「罪証の隠滅の結果」と

読み替えるものとする。

1項

未決拘禁者の弁護人等との面会の日 及び時間帯は、日曜日 その他政令で定める日以外の日の刑事施設の執務時間内とする。

2項

前項の面会の相手方の人数は、三人以内とする。

3項

刑事施設の長は、弁護人等から前二項の定めによらない面会の申出がある場合においても、刑事施設の管理運営上支障があるときを除き、これを許すものとする。

4項

刑事施設の長は、第一項の面会に関し、法務省令で定めるところにより、面会の場所について、刑事施設の規律 及び秩序の維持 その他管理運営上必要な制限をすることができる。

5項

第百十四条の規定は、未決拘禁者と弁護人等以外の者との面会について準用する。


この場合において、

同条第二項
一月につき二回」とあるのは、
一日につき一回」と

読み替えるものとする。

第三目 未決拘禁者としての地位を有する受刑者

1項

第百十一条第百十三条第百十四条第百十六条 及び前条第一項から第四項までの規定は、未決拘禁者としての地位を有する受刑者の面会について準用する。


この場合において、

第百十一条第一項
場合」とあるのは
「場合 及び刑事訴訟法の定めるところにより許されない場合」と、

同条第二項
ときは」とあるのは
「ときは、刑事訴訟法の定めるところにより許されない場合を除き」と、

第百十三条第一項
各号のいずれか」とあるのは
各号のいずれか(弁護人等との面会の場合にあっては、第一号ロ限る)」と、

同項第二号ニ
生ずる」とあるのは
「生じ、又は罪証の隠滅の結果を生ずる」と、

第百十四条第一項
面会に」とあるのは
「面会(弁護人等との面会を除く)に」と

読み替えるものとする。

第四目 死刑確定者

1項

刑事施設の長は、死刑確定者(未決拘禁者としての地位を有するものを除く。以下この目において同じ。)に対し、次に掲げる者から面会の申出があったときは、第百四十八条第三項 又は次節の規定により禁止される場合を除き、これを許すものとする。

一 号
死刑確定者の親族
二 号

婚姻関係の調整、訴訟の遂行、事業の維持 その他の死刑確定者の身分上、法律上又は業務上の重大な利害に係る用務の処理のため面会することが必要な者

三 号

面会により死刑確定者の心情の安定に資すると認められる者

2項

刑事施設の長は、死刑確定者に対し、前項各号に掲げる者以外の者から面会の申出があった場合において、その者との交友関係の維持 その他面会することを必要とする事情があり、かつ、面会により刑事施設の規律 及び秩序を害する結果を生ずるおそれがないと認めるときは、これを許すことができる。

1項

刑事施設の長は、その指名する職員に、死刑確定者の面会に立ち会わせ、又はその面会の状況を録音させ、若しくは録画させるものとする。


ただし、死刑確定者の訴訟の準備 その他の正当な利益の保護のためその立会い又は録音 若しくは録画をさせないことを適当とする事情がある場合において、相当と認めるときは、この限りでない。

1項

第百十三条第一項第二号ニ除く)及び第百十四条の規定は、死刑確定者の面会について準用する。


この場合において、

同条第二項
一月につき二回」とあるのは、
一日につき一回」と

読み替えるものとする。

第五目 未決拘禁者としての地位を有する死刑確定者

1項

第百十三条第百十八条第百二十条 及び第百二十一条の規定は、未決拘禁者としての地位を有する死刑確定者の面会について準用する。


この場合において、

第百十三条第一項
各号のいずれか」とあるのは
各号のいずれか(弁護人等との面会の場合にあっては、第一号ロ限る)」と、

同項第二号ニ
受刑者の矯正処遇の適切な実施に支障」とあるのは
「罪証の隠滅の結果」と、

第百二十条第一項
場合」とあるのは
「場合 及び刑事訴訟法の定めるところにより許されない場合」と、

同条第二項
ときは」とあるのは
「ときは、刑事訴訟法の定めるところにより許されない場合を除き」と、

第百二十一条
面会に」とあるのは
「面会(弁護人等との面会を除く)に」と

読み替えるものとする。

第六目 各種被収容者

1項

刑事施設の長は、各種被収容者に対し、他の者から面会の申出があったときは、第百四十八条第三項 及び次節の規定により禁止される場合を除き、これを許すものとする。

1項

第百十二条第百十三条第一項第二号ニ 及び除く)及び第百十四条の規定は、各種被収容者の面会について準用する。


この場合において、

第百十二条第一項
、受刑者の矯正処遇の適切な実施 その他の」とあるのは
「その他の」と、

第百十四条第二項
一月につき二回」とあるのは
一日につき一回」と

読み替えるものとする。

第三款 信書の発受

第一目 受刑者

1項

刑事施設の長は、受刑者(未決拘禁者としての地位を有するものを除く。以下この目において同じ。)に対し、この目第百四十八条第三項 又は次節の規定により禁止される場合を除き、他の者との間で信書を発受することを許すものとする。

1項

刑事施設の長は、刑事施設の規律 及び秩序の維持、受刑者の矯正処遇の適切な実施 その他の理由により必要があると認める場合には、その指名する職員に、受刑者が発受する信書について、検査を行わせることができる。

2項

次に掲げる信書については、前項の検査は、これらの信書に該当することを確認するために必要な限度において行うものとする。


ただし第三号に掲げる信書について、刑事施設の規律 及び秩序を害する結果を生ずるおそれがあると認めるべき特別の事情がある場合は、この限りでない。

一 号

受刑者が国 又は地方公共団体の機関から受ける信書

二 号

受刑者が自己に対する刑事施設の長の措置 その他自己が受けた処遇に関し調査を行う国 又は地方公共団体の機関に対して発する信書

三 号

受刑者が自己に対する刑事施設の長の措置 その他自己が受けた処遇に関し弁護士法第三条第一項に規定する職務を遂行する弁護士(弁護士法人 及び弁護士・外国法事務弁護士共同法人を含む。以下この款において同じ。)との間で発受する信書

1項

刑事施設の長は、犯罪性のある者 その他受刑者が信書を発受することにより、刑事施設の規律 及び秩序を害し、又は受刑者の矯正処遇の適切な実施に支障を生ずるおそれがある者(受刑者の親族を除く)については、受刑者がその者との間で信書を発受することを禁止することができる。


ただし、婚姻関係の調整、訴訟の遂行、事業の維持 その他の受刑者の身分上、法律上又は業務上の重大な利害に係る用務の処理のため信書を発受する場合は、この限りでない。

1項

刑事施設の長は、第百二十七条の規定による検査の結果、受刑者が発受する信書について、その全部 又は一部が次の各号いずれかに該当する場合には、その発受を差し止め、又はその該当箇所を削除し、若しくは抹消することができる。


同条第二項各号に掲げる信書について、これらの信書に該当することを確認する過程においてその全部 又は一部が次の各号いずれかに該当することが判明した場合も、同様とする。

一 号

暗号の使用 その他の理由によって、刑事施設の職員が理解できない内容のものであるとき。

二 号

発受によって、刑罰法令に触れることとなり、又は刑罰法令に触れる結果を生ずるおそれがあるとき。

三 号

発受によって、刑事施設の規律 及び秩序を害する結果を生ずるおそれがあるとき。

四 号

威迫にわたる記述 又は明らかな虚偽の記述があるため、受信者を著しく不安にさせ、又は受信者に損害を被らせるおそれがあるとき。

五 号

受信者を著しく侮辱する記述があるとき。

六 号

発受によって、受刑者の矯正処遇の適切な実施に支障を生ずるおそれがあるとき。

2項

前項の規定にかかわらず、受刑者が国 又は地方公共団体の機関との間で発受する信書であってその機関の権限に属する事項を含むもの及び受刑者が弁護士との間で発受する信書であってその受刑者に係る弁護士法第三条第一項に規定する弁護士の職務に属する事項を含むものについては、その発受の差止め 又はその事項に係る部分の削除 若しくは抹消は、その部分の全部 又は一部が前項第一号から第三号までいずれかに該当する場合に限り、これを行うことができる。

1項

刑事施設の長は、法務省令で定めるところにより、受刑者が発する信書の作成要領、その発信の申請の日 及び時間帯、受刑者発信を申請する信書の通数 並びに受刑者の信書の発受の方法について、刑事施設の管理運営上必要な制限をすることができる。

2項

前項の規定により受刑者が発信を申請する信書の通数について制限をするときは、その通数は、一月につき四通を下回ってはならない。

1項

信書の発信に要する費用については、受刑者が負担することができない場合において、刑事施設の長が発信の目的に照らし相当と認めるときは、その全部 又は一部を国庫の負担とする。

1項

刑事施設の長は、第百二十八条第百二十九条 又は第百四十八条第三項の規定により信書の発受を禁止し、又は差し止めた場合にはその信書を、第百二十九条の規定により信書の一部を削除した場合にはその削除した部分を保管するものとする。

2項

刑事施設の長は、第百二十九条の規定により信書の記述の一部を抹消する場合には、その抹消する部分の複製を作成し、これを保管するものとする。

3項

刑事施設の長は、受刑者の釈放の際、前二項の規定により保管する信書の全部 若しくは一部 又は複製(以下この章において「発受禁止信書等」という。)をその者に引き渡すものとする。

4項

刑事施設の長は、受刑者が死亡した場合には、法務省令で定めるところにより、その遺族等に対し、その申請に基づき、発受禁止信書等を引き渡すものとする。

5項

前二項の規定にかかわらず、発受禁止信書等の引渡しにより刑事施設の規律 及び秩序の維持に支障を生ずるおそれがあるときは、これを引き渡さないものとする。


次に掲げる場合において、その引渡しにより刑事施設の規律 及び秩序の維持に支障を生ずるおそれがあるときも、同様とする。

一 号

釈放された受刑者が、釈放後に、発受禁止信書等の引渡しを求めたとき。

二 号

受刑者が、第五十四条第一項各号いずれかに該当する場合において、発受禁止信書等の引渡しを求めたとき。

6項

第五十三条第一項第五十四条第一項 並びに第五十五条第二項 及び第三項の規定は、受刑者に係る発受禁止信書等(前項の規定により引き渡さないこととされたものを除く)について準用する。


この場合において、

同条第三項
第一項の申請」とあるのは、
第百三十二条第四項の申請」と

読み替えるものとする。

7項

第五項の規定により引き渡さないこととした発受禁止信書等は、受刑者の釈放 若しくは死亡の日 又は受刑者が第五十四条第一項各号いずれかに該当することとなった日から起算して三年を経過した日に、国庫に帰属する。

1項

刑事施設の長は、受刑者が、その作成した文書図画(信書を除く)を他の者に交付することを申請した場合には、その交付につき、受刑者が発する信書に準じて検査 その他の措置を執ることができる。

第二目 未決拘禁者

1項

刑事施設の長は、未決拘禁者(受刑者 又は死刑確定者としての地位を有するものを除く。以下この目において同じ。)に対し、この目第百四十八条第三項 又は次節の規定により禁止される場合を除き、他の者との間で信書を発受することを許すものとする。


ただし刑事訴訟法の定めるところにより信書の発受が許されない場合は、この限りでない。

1項

刑事施設の長は、その指名する職員に、未決拘禁者が発受する信書について、検査を行わせるものとする。

2項

次に掲げる信書については、前項の検査は、これらの信書に該当することを確認するために必要な限度において行うものとする。


ただし第三号に掲げる信書について、刑事施設の規律 及び秩序を害する結果 又は罪証の隠滅の結果を生ずるおそれがあると認めるべき特別の事情がある場合は、この限りでない。

一 号

未決拘禁者が弁護人等から受ける信書

二 号

未決拘禁者が国 又は地方公共団体の機関から受ける信書

三 号

未決拘禁者が自己に対する刑事施設の長の措置 その他自己が受けた処遇に関し弁護士法第三条第一項に規定する職務を遂行する弁護士から受ける信書

3項

刑事施設の長は、刑事施設の規律 及び秩序を害する結果 並びに罪証の隠滅の結果を生ずるおそれがないと認める場合には、前二項の規定にかかわらず第一項の検査を行わせないことができる。

1項

第百二十九条から第百三十三条までの規定は、未決拘禁者が発受する信書について準用する。


この場合において、

第百二十九条第一項
第百二十七条」とあるのは
第百三十五条」と、

同項第六号
受刑者の矯正処遇の適切な実施に支障」とあるのは
「罪証の隠滅の結果」と、

同条第二項
第三号まで」とあるのは
第三号まで 又は第六号」と、

第百三十条第一項
申請する信書」とあるのは
「申請する信書(弁護人等に対して発するものを除く)」と、

同条第二項
一月につき四通」とあるのは
一日につき一通」と、

第百三十二条第一項
第百二十八条、第百二十九条」とあるのは
第百二十九条」と、

同条第五項第二号 及び第七項
第五十四条第一項各号」とあるのは
第五十四条第一項第一号 又は第二号」と、

同条第六項
第五十四条第一項」とあるのは
第五十四条第一項第三号除く)」と

読み替えるものとする。

第三目 未決拘禁者としての地位を有する受刑者

1項

刑事施設の長は、未決拘禁者としての地位を有する受刑者に対し、この目第百四十八条第三項 又は次節の規定により禁止される場合を除き、他の者との間で信書を発受することを許すものとする。


ただし刑事訴訟法の定めるところにより信書の発受が許されない場合は、この限りでない。

1項

第百二十八条から第百三十三条まで 及び第百三十五条の規定は、未決拘禁者としての地位を有する受刑者が発受する信書について準用する。


この場合において、

第百二十九条第一項
第百二十七条」とあるのは
第百三十八条において準用する第百三十五条」と、

同項第六号
生ずる」とあるのは
「生じ、又は罪証の隠滅の結果を生ずる」と、

同条第二項
場合」とあるのは
「場合 又は信書の発受によって罪証の隠滅の結果を生ずるおそれがあるものである場合」と、

第百三十条第一項
申請する信書」とあるのは
「申請する信書(弁護人等に対して発するものを除く)」と、

第百三十二条第五項第二号 及び第七項
第五十四条第一項各号」とあるのは
第五十四条第一項第一号 又は第二号」と、

同条第六項
第五十四条第一項」とあるのは
第五十四条第一項第三号除く)」と

読み替えるものとする。

第四目 死刑確定者

1項

刑事施設の長は、死刑確定者(未決拘禁者としての地位を有するものを除く。以下この目において同じ。)に対し、この目第百四十八条第三項 又は次節の規定により禁止される場合を除き、次に掲げる信書を発受することを許すものとする。

一 号

死刑確定者の親族との間で発受する信書

二 号

婚姻関係の調整、訴訟の遂行、事業の維持 その他の死刑確定者の身分上、法律上 又は業務上の重大な利害に係る用務の処理のため発受する信書

三 号

発受により死刑確定者の心情の安定に資すると認められる信書

2項

刑事施設の長は、死刑確定者に対し、前項各号に掲げる信書以外の信書の発受について、その発受の相手方との交友関係の維持 その他その発受を必要とする事情があり、かつ、その発受により刑事施設の規律 及び秩序を害するおそれがないと認めるときは、これを許すことができる。

1項

刑事施設の長は、その指名する職員に、死刑確定者が発受する信書について、検査を行わせるものとする。

2項

第百二十七条第二項の規定は、前項の検査について準用する。

1項

第百二十九条第一項第六号除く)及び第百三十条から第百三十三条までの規定は、死刑確定者が発受する信書について準用する。


この場合において、

第百二十九条第一項
第百二十七条」とあるのは
第百四十条」と、

第百三十条第二項
一月につき四通」とあるのは
一日につき一通」と、

第百三十二条第一項
第百二十八条、第百二十九条」とあるのは
第百二十九条」と、

同条第五項第二号 及び第七項
第五十四条第一項各号」とあるのは
第五十四条第一項第一号 又は第二号」と、

同条第六項
第五十四条第一項」とあるのは
第五十四条第一項第三号除く。)」と

読み替えるものとする。

第五目 未決拘禁者としての地位を有する死刑確定者

1項

第百二十九条から第百三十三条まで第百三十五条第一項 及び第二項 並びに第百三十九条の規定は、未決拘禁者としての地位を有する死刑確定者が発受する信書について準用する。


この場合において、

第百二十九条第一項
第百二十七条」とあるのは
第百四十二条において準用する第百三十五条第一項 及び第二項」と、

同項第六号
受刑者の矯正処遇の適切な実施に支障」とあるのは
「罪証の隠滅の結果」と、

同条第二項
第三号まで」とあるのは
第三号まで 又は第六号」と、

第百三十条第一項
申請する信書」とあるのは
「申請する信書(弁護人等に対して発するものを除く)」と、

同条第二項
一月につき四通」とあるのは
一日につき一通」と、

第百三十二条第一項
第百二十八条、第百二十九条」とあるのは
第百二十九条」と、

同条第五項第二号 及び第七項
第五十四条第一項各号」とあるのは
第五十四条第一項第一号 又は第二号」と、

同条第六項
第五十四条第一項」とあるのは
第五十四条第一項第三号除く)」と、

第百三十九条第一項
、この目」とあるのは
「、次目」と、

場合」とあるのは
「場合 及び刑事訴訟法の定めるところにより許されない場合」と、

同条第二項
ときは」とあるのは
「ときは、刑事訴訟法の定めるところにより許されない場合を除き」と

読み替えるものとする。

第六目 各種被収容者

1項

刑事施設の長は、各種被収容者に対し、この目第百四十八条第三項 又は次節の規定により禁止される場合を除き、他の者との間で信書を発受することを許すものとする。

1項

第百二十七条第百二十九条第一項第六号除く)及び第百三十条から第百三十三条までの規定は、各種被収容者が発受する信書について準用する。


この場合において、

第百二十七条第一項
、受刑者の矯正処遇の適切な実施 その他の」とあるのは
「その他の」と、

第百三十条第二項
一月につき四通」とあるのは
一日につき一通」と、

第百三十二条第一項
第百二十八条、第百二十九条」とあるのは
第百二十九条」と、

同条第五項第二号 及び第七項
第五十四条第一項各号」とあるのは
第五十四条第一項第一号 又は第二号」と、

同条第六項
第五十四条第一項」とあるのは
第五十四条第一項第三号除く)」と

読み替えるものとする。

第四款 被告人又は被疑者である被収容者の面会及び信書の発受

1項

被告人 又は被疑者である被収容者(未決拘禁者としての地位を有するものを除く)が弁護人等と面会し、又は弁護人等との間において信書の発受をする場合については、第二款第二目 又は前款第二目中の未決拘禁者の弁護人等との面会 又は信書の発受に関する規定(第百三十六条において準用する第百二十九条第一項第六号除く)の例による。

第五款 電話等による通信

1項

刑事施設の長は、受刑者(未決拘禁者としての地位を有するものを除く。以下この款において同じ。)に対し、第八十八条第二項の規定により開放的施設において処遇を受けていること その他の法務省令で定める事由に該当する場合において、その者の改善更生 又は円滑な社会復帰に資すると認めるときその他相当と認めるときは、電話 その他政令で定める電気通信の方法による通信を行うことを許すことができる。

2項

第百三十一条の規定は、前項の通信について準用する。

1項

刑事施設の長は、刑事施設の規律 及び秩序の維持、受刑者の矯正処遇の適切な実施 その他の理由により必要があると認める場合には、その指名する職員に、前条第一項の通信の内容を確認するため、その通信を受けさせ、又はその内容を記録させることができる。

2項

第百十三条第一項第一号イ除く)及び第二項の規定は、前条第一項の通信について準用する。

第六款 外国語による面会等

1項

刑事施設の長は、被収容者 又はその面会等(面会 又は第百四十六条第一項に規定する通信をいう。以下この条において同じ。)の相手方が国語に通じない場合には、外国語による面会等を許すものとする。


この場合において、発言 又は通信の内容を確認するため通訳 又は翻訳が必要であるときは、法務省令で定めるところにより、その被収容者にその費用を負担させることができる。

2項

刑事施設の長は、被収容者 又はその信書の発受の相手方が国語に通じない場合 その他相当と認める場合には、外国語による信書の発受を許すものとする。


この場合において、信書の内容を確認するため翻訳が必要であるときは、法務省令で定めるところにより、その被収容者にその費用を負担させることができる。

3項

被収容者が前二項の規定により負担すべき費用を負担しないときは、その面会等 又は信書の発受を許さない。

第十二節 賞罰

1項

刑事施設の長は、被収容者が次の各号いずれかに該当する場合には、法務省令で定めるところにより、賞金 又は賞品の授与 その他の方法により褒賞を行うことができる。

一 号
人命を救助したとき。
二 号

第八十二条第一項に規定する応急の用務に服して、功労があったとき。

三 号

前二号に掲げるもののほか、賞揚に値する行為をしたとき。

1項

刑事施設の長は、被収容者が、遵守事項 若しくは第九十六条第四項第百六条の二第二項において準用する場合を含む。)に規定する特別遵守事項を遵守せず、又は第七十四条第三項の規定に基づき刑事施設の職員が行った指示に従わなかった場合には、その被収容者に懲罰を科することができる。

2項

懲罰を科するに当たっては、懲罰を科せられるべき行為(以下この節において「反則行為」という。)をした被収容者の年齢、心身の状態 及び行状、反則行為の性質、軽重、動機 及び刑事施設の運営に及ぼした影響、反則行為後におけるその被収容者の態度、受刑者にあっては懲罰がその者の改善更生に及ぼす影響 その他の事情を考慮しなければならない。

3項

懲罰は、反則行為を抑制するのに必要な限度を超えてはならない。

1項

受刑者に科する懲罰の種類は、次のとおりとする。

一 号
戒告
二 号

第九十三条の規定による作業の十日以内の停止

三 号

第四十一条第一項の規定による自弁の物品の使用 又は摂取の一部 又は全部の十五日以内の停止

四 号

書籍等(被告人 若しくは被疑者としての権利の保護 又は訴訟の準備 その他の権利の保護に必要と認められるものを除く第三項第三号 及び次条第一項第三号において同じ。)の閲覧の一部 又は全部の三十日以内の停止

五 号

報奨金計算額の三分の一以内の削減

六 号

三十日以内懲罰を科する時に二十歳以上の者について、特に情状が重い場合には、六十日以内)の閉居

2項

前項第二号から第五号までの懲罰にあっては二種類以上を併せて、同項第六号の懲罰(以下この節において「閉居罰」という。)にあっては同項第五号の懲罰と併せて科することができる。

3項

受刑者以外の被収容者に科する懲罰の種類は、次のとおりとする。

一 号
戒告
二 号

第四十一条第二項の規定による自弁の物品の使用 又は摂取の一部 又は全部の十五日以内の停止

三 号

書籍等の閲覧の一部 又は全部の三十日以内の停止

四 号
閉居罰
4項

前項第二号 及び第三号の懲罰は、併せて科することができる。

1項

閉居罰においては、次に掲げる行為を停止し、法務省令で定めるところにより、居室内において謹慎させる。

一 号

第四十一条の規定により自弁の物品(刑事施設の長が指定する物品を除く)を使用し、又は摂取すること。

二 号

宗教上の儀式行事に参加し、又は他の被収容者と共に宗教上の教誨を受けること。

三 号
書籍等を閲覧すること。
四 号
自己契約作業を行うこと。
五 号

面会すること(弁護人等と面会する場合 及び被告人 若しくは被疑者としての権利の保護 又は訴訟の準備 その他の権利の保護に必要と認められる場合を除く)。

六 号

信書を発受すること(弁護人等との間で信書を発受する場合 及び被告人 若しくは被疑者としての権利の保護 又は訴訟の準備 その他の権利の保護に必要と認められる場合を除く)。

2項

閉居罰を科されている被収容者については、第五十七条の規定にかかわらず、その健康の保持に支障を生じない限度において、法務省令で定める基準に従い、運動を制限する。

3項

閉居罰を科されている受刑者には、謹慎の趣旨に反しない限度において、矯正処遇等を行うものとする。

1項

刑事施設の長は、懲罰を科する場合において、刑事施設の規律 及び秩序を維持するため必要があるときは、次に掲げる物を国庫に帰属させることができる。


ただし、反則行為をした被収容者以外の者に属する物については、この限りでない。

一 号
反則行為を組成した物
二 号

反則行為の用に供し、又は供しようとした物

三 号

反則行為によって生じ、若しくはこれによって得た物 又は反則行為の報酬として得た物

四 号

前号に掲げる物の対価として得た物

1項

刑事施設の長は、被収容者が反則行為をした疑いがあると思料する場合には、反則行為の有無 及び第百五十条第二項の規定により考慮すべき事情 並びに前条の規定による処分の要件の有無について、できる限り速やかに調査を行わなければならない。

2項

刑事施設の長は、前項の調査をするため必要があるときは、刑務官に、被収容者の身体、着衣、所持品 及び居室を検査させ、並びにその所持品を取り上げて一時保管させることができる。

3項

第三十四条第二項の規定は、前項の規定による女子の被収容者の身体 及び着衣の検査について準用する。

4項

刑事施設の長は、受刑者について、反則行為をした疑いがあると思料する場合において、必要があるときは、法務省令で定めるところにより、他の被収容者から隔離することができる。


この場合においては、その者の処遇は、運動、入浴 又は面会の場合 その他の法務省令で定める場合を除き、昼夜、居室において行う。

5項

前項の規定による隔離の期間は、二週間とする。


ただし、刑事施設の長は、やむを得ない事由があると認めるときは、二週間に限り、その期間を延長することができる。

6項

刑事施設の長は、前項の期間中であっても、隔離の必要がなくなったときは、直ちにその隔離を中止しなければならない。

1項

刑事施設の長は、被収容者に懲罰を科そうとする場合には、法務省令で定めるところにより、その聴取をする三人以上の職員を指名した上、その被収容者に対し、弁解の機会を与えなければならない。


この場合においては、その被収容者に対し、あらかじめ、書面で、弁解をすべき日時 又は期限 及び懲罰(第百五十三条の規定による処分を含む。次項 及び次条において同じ。)の原因となる事実の要旨を通知するとともに、被収容者を補佐すべき者を刑事施設の職員のうちから指名しなければならない。

2項

前項前段の規定による指名を受けた職員は、懲罰を科することの適否 及び科すべき懲罰の内容について協議し、これらの事項についての意見 及び被収容者の弁解の内容を記載した報告書を刑事施設の長に提出しなければならない。

1項

刑事施設の長は、懲罰を科するときは、被収容者に対し、懲罰の内容 及び懲罰の原因として認定した事実の要旨を告知した上、直ちにその執行をするものとする。


ただし、反省の情が著しい場合 その他相当の理由がある場合には、その執行を延期し、又はその全部 若しくは一部の執行を免除することができる。

2項

刑事施設の長は、閉居罰の執行に当たっては、その被収容者の健康状態について、刑事施設の職員である医師の意見を聴かなければならない。

第十三節 不服申立て

第一款 審査の申請及び再審査の申請

1項

次に掲げる刑事施設の長の措置に不服がある者は、書面で、当該刑事施設の所在地を管轄する矯正管区の長に対し、審査の申請をすることができる。

一 号

第四十一条第二項の規定による自弁の物品の使用 又は摂取を許さない処分

二 号

第四十九条の規定による領置されている現金の使用 又は第五十条の規定による保管私物 若しくは領置されている金品の交付を許さない処分

三 号

第六十三条第一項の規定による診療を受けることを許さない処分 又は同条第四項の規定による診療の中止

四 号

第六十七条に規定する宗教上の行為の禁止 又は制限

五 号

第七十条第一項 又は第七十一条の規定による書籍等の閲覧の禁止 又は制限

六 号

第七十条第二項の規定による費用を負担させる処分

七 号

第七十六条第一項の規定による隔離

八 号

第九十八条第一項の規定による作業報奨金の支給に関する処分

九 号

第百条第二項第八十二条第二項において準用する場合を含む。)の規定による障害手当金の支給に関する処分

十 号

第百条第四項第八十二条第二項において準用する場合を含む。)の規定による特別手当金の支給に関する処分

十一 号

第百二十八条第百三十八条において準用する場合を含む。)の規定 又は第百二十九条第百三十条第一項 若しくは第百三十三条これらの規定を第百三十六条第百四十五条においてその例による場合を含む。次号において同じ。)、第百三十八条第百四十一条第百四十二条 及び第百四十四条において準用する場合を含む。)の規定による信書の発受 又は文書図画の交付の禁止、差止め又は制限

十二 号

第百三十二条第五項前段(第百三十六条第百三十八条第百四十一条第百四十二条 及び第百四十四条において準用する場合を含む。)の規定による発受禁止信書等の引渡しをしない処分(第百三十二条第三項第百三十六条第百三十八条第百四十一条第百四十二条 及び第百四十四条において準用する場合を含む。)の規定による引渡しに係るものに限る

十三 号

第百四十八条第一項 又は第二項の規定による費用を負担させる処分

十四 号

第百五十条第一項の規定による懲罰

十五 号

第百五十三条の規定による物を国庫に帰属させる処分

十六 号

第百五十四条第四項の規定による隔離

2項

前項の規定による審査の申請(以下この節において単に「審査の申請」という。)は、これを行う者が自らしなければならない。

1項

審査の申請は、措置の告知があった日の翌日から起算して三十日以内にしなければならない。

2項

天災 その他前項の期間内に審査の申請をしなかったことについてやむを得ない理由があるときは、同項の規定にかかわらず、その理由がやんだ日の翌日から起算して一週間以内に限り、審査の申請をすることができる。

3項

刑事施設の長が誤って法定の期間よりも長い期間を審査の申請期間として教示した場合において、その教示された期間内に審査の申請がされたときは、その審査の申請は、法定の期間内にされたものとみなす。

1項

行政不服審査法平成二十六年法律第六十八号第十五条第十八条第三項第十九条第二項 及び第四項第二十二条第一項 及び第五項第二十三条第二十五条第一項第二項 及び第六項第二十六条第二十七条 並びに第三十九条の規定は、審査の申請について準用する。


この場合において、

同法第二十五条第二項
審査請求人の申立てにより又は職権で」とあるのは、
「職権で」と

読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

1項

矯正管区の長は、職権で、審査の申請に関して必要な調査をするものとする。

2項

矯正管区の長は、前項の調査をするため必要があるときは、刑事施設の長に対し、報告 若しくは資料 その他の物件の提出を命じ、又はその指名する職員をして、審査の申請人 その他の関係者に対し質問をさせ、若しくは物件の提出を求めさせ、これらの者が提出した物件を留め置かせ、若しくは検証を行わせることができる。

1項

矯正管区の長は、審査の申請を受けたときは、できる限り九十日以内に裁決をするよう努めるものとする。

2項

行政不服審査法第四十五条第一項 及び第二項第四十六条第一項本文 及び第二項第二号除く)、第四十七条ただし書 及び第二号除く)、第四十八条第五十条第一項 及び第三項第五十一条 並びに第五十二条第一項 及び第二項の規定は、審査の申請の裁決について準用する。


この場合において、

同法第五十一条第三項
掲示し、かつ、その旨を官報 その他の公報 又は新聞紙に少なくとも一回掲載して」とあるのは、
「掲示して」と読み替えるものとするほか、

必要な技術的読替えは、政令で定める。

1項

審査の申請の裁決に不服がある者は、書面で、法務大臣に対し、再審査の申請をすることができる。

2項

前項の規定による再審査の申請(以下この節において単に「再審査の申請」という。)は、審査の申請についての裁決の告知があった日の翌日から起算して三十日以内にしなければならない。

3項

第百五十七条第二項第百五十八条第二項第百六十条 及び前条第一項 並びに行政不服審査法第十五条第十八条第三項第十九条第二項 及び第四項第二十三条第二十五条第一項第二項 及び第六項第二十六条第二十七条第三十九条第四十六条第一項本文 及び第二項第二号を除く。)、第四十七条ただし書 及び第二号を除く。)、第四十八条第五十条第一項第五十一条第五十二条第一項 及び第二項第六十二条第二項 並びに第六十四条第一項から第三項までの規定は、再審査の申請について準用する。


この場合において、

同法第二十五条第二項
審査請求人の申立てにより 又は職権で」とあるのは
「職権で」と、

同法第五十一条第三項
掲示し、かつ、その旨を官報 その他の公報 又は新聞紙に少なくとも一回掲載して」とあるのは
「掲示して」と

読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

第二款 事実の申告

1項

被収容者は、自己に対する刑事施設の職員による行為であって、次に掲げるものがあったときは、政令で定めるところにより、書面で、当該刑事施設の所在地を管轄する矯正管区の長に対し、その事実を申告することができる。

一 号

身体に対する違法な有形力の行使

二 号

違法 又は不当な捕縄、手錠 又は拘束衣の使用

三 号

違法 又は不当な保護室への収容

2項

前項の規定による申告は、その申告に係る事実があった日の翌日から起算して三十日以内にしなければならない。

3項

第百五十七条第二項第百五十八条第二項 及び第三項 並びに第百六十条 並びに行政不服審査法第十八条第三項第二十二条第一項 及び第五項第二十三条第二十七条 並びに第三十九条の規定は、第一項の規定による申告について準用する。


この場合において必要な技術的読替えは、政令で定める。

1項

前条第一項の規定による申告が適法であるときは、矯正管区の長は、その申告に係る事実の有無について確認し、その結果をその申告をした者に通知するものとする。


ただし、その者が釈放されたときは、この限りでない。

2項

前条第一項の規定による申告が法定の期間経過後にされたものであるとき、その他不適法であるときは、矯正管区の長は、その旨をその申告をした者に通知するものとする。


この場合においては、前項ただし書の規定を準用する。

3項

第百六十一条第一項 並びに行政不服審査法第五十条第一項 及び第三項の規定は、前二項の規定による通知について準用する。


この場合において必要な技術的読替えは、政令で定める。

4項

矯正管区の長は、前条第一項に規定する事実があったことを確認した場合において、必要があると認めるときは、同様の行為の再発の防止のため必要な措置 その他の措置を執るものとする。

1項

被収容者は、前条第一項 又は第二項の規定による通知を受けた場合において、その内容に不服があるときは、政令で定めるところにより、書面で、法務大臣に対し、第百六十三条第一項に規定する事実を申告することができる。

2項

前項の規定による申告は、前条第一項 又は第二項の規定による通知を受けた日の翌日から起算して三十日以内にしなければならない。

3項

第百五十七条第二項第百五十八条第二項第百六十条第百六十一条第一項 並びに前条第一項第二項 及び第四項 並びに行政不服審査法第十八条第三項第二十三条第二十七条第三十九条 及び第五十条第一項の規定は、第一項の規定による申告について準用する。


この場合において必要な技術的読替えは、政令で定める。

第三款 苦情の申出

1項

被収容者は、自己に対する刑事施設の長の措置 その他自己が受けた処遇について、書面で、法務大臣に対し、苦情の申出をすることができる。

2項

第百五十七条第二項の規定は、前項の苦情の申出について準用する。

3項

法務大臣は、苦情の申出を受けたときは、これを誠実に処理し、処理の結果を苦情の申出をした者に通知しなければならない。


ただし、その者が釈放されたときは、この限りでない。

1項

被収容者は、自己に対する刑事施設の長の措置 その他自己が受けた処遇について、口頭 又は書面で、第五条の規定により実地監査を行う監査官(以下この節において単に「監査官」という。)に対し、苦情の申出をすることができる。

2項

第百五十七条第二項の規定は、前項の苦情の申出について準用する。

3項

監査官は、口頭による苦情の申出を受けるに当たっては、刑事施設の職員を立ち会わせてはならない

4項

前条第三項の規定は、監査官が苦情の申出を受けた場合について準用する。

1項

被収容者は、自己に対する刑事施設の長の措置 その他自己が受けた処遇について、口頭 又は書面で、刑事施設の長に対し、苦情の申出をすることができる。

2項

第百五十七条第二項の規定は、前項の苦情の申出について準用する。

3項

被収容者が口頭で第一項の苦情の申出をしようとするときは、刑事施設の長は、その指名する職員にその内容を聴取させることができる。

4項

第百六十六条第三項の規定は、刑事施設の長が苦情の申出を受けた場合について準用する。

第四款 雑則

1項

刑事施設の長は、被収容者が、審査の申請等(審査の申請、再審査の申請 又は第百六十三条第一項 若しくは第百六十五条第一項の規定による申告をいう。次項 及び次条において同じ。)をし、又は法務大臣 若しくは監査官に対し苦情の申出をするに当たり、その内容を刑事施設の職員に秘密にすることができるように、必要な措置を講じなければならない。

2項

第百二十七条第百四十四条において準用する場合を含む。)、第百三十五条第百三十八条 及び第百四十二条において準用する場合を含む。)及び第百四十条の規定にかかわらず、審査の申請等 又は苦情の申出の書面は、検査をしてはならない。

1項

刑事施設の職員は、被収容者が審査の申請等 又は苦情の申出をしたことを理由として、その者に対し不利益な取扱いをしてはならない。

第十四節 釈放

1項

受刑者の釈放は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める期間内に、できる限り速やかに行う。

一 号

釈放すべき日があらかじめ定められている場合

その日の午前中

二 号

不定期刑の終了による場合

更生保護法平成十九年法律第八十八号第四十四条第二項の通知が刑事施設に到達した日の翌日の午前中

三 号

政令で行われる恩赦による場合であって、当該恩赦に係る政令の規定の公布の日が釈放すべき日となる場合

その日のうち

四 号

前三号に掲げる場合以外の場合

釈放の根拠となる文書が刑事施設に到達した時から十時間以内

1項

被勾留者(刑事施設に収容されているものに限る。以下この条において同じ。)の釈放は、次に掲げる事由が生じた後 直ちに行う。

一 号

被告人の勾留の期間が満了したこと。

二 号

刑事訴訟法第三百四十五条の規定により勾留状が効力を失ったこと(被勾留者が公判廷にある場合に限る)。

三 号

検察官の釈放の指揮 又は通知を受けたこと。

1項

前二条の規定によるもののほか、被収容者の釈放は、他の法令に定めるところによるもののほか、政令で定める事由が生じた後 直ちに行う。

1項

刑事施設の長は、釈放すべき被収容者が刑事施設内において医療を受けている場合において、釈放によってその生命に危険が及び、又はその健康に回復し難い重大な障害が生ずるおそれがあるときは、その者が刑事施設に一時とどまることを許すことができる。

2項

前項の規定により刑事施設にとどまる者の処遇については、その性質に反しない限り、各種被収容者に関する規定を準用する。

1項

釈放される被収容者に対しては、その帰住を助けるため必要な旅費 又は衣類を支給するものとする。

第十五節 死亡

1項

刑事施設の長は、被収容者が死亡した場合には、法務省令で定めるところにより、その遺族等に対し、その死亡の原因 及び日時 並びに交付すべき遺留物、支給すべき作業報奨金に相当する金額 若しくは死亡手当金 又は発受禁止信書等があるときはその旨を速やかに通知しなければならない。

1項

被収容者が死亡した場合において、その死体の埋葬 又は火葬を行う者がないときは、墓地、埋葬等に関する法律昭和二十三年法律第四十八号第九条の規定にかかわらず、その埋葬 又は火葬は、刑事施設の長が行うものとする。

2項

前項に定めるもののほか、被収容者の死体に関する措置については、法務省令で定める。

第十六節 死刑の執行

1項

死刑は、刑事施設内の刑場において執行する。

2項

日曜日、土曜日、国民の祝日に関する法律昭和二十三年法律第百七十八号)に規定する休日、一月二日、一月三日 及び十二月二十九日から十二月三十一日までの日には、死刑を執行しない。

1項

死刑を執行するときは、絞首された者の死亡を確認してから五分を経過した後に絞縄を解くものとする。